説明

画像形成装置及び画像濃度制御方法

【課題】中間転写体上の像の濃度を検知して、形成する像の濃度を制御する、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置であって、比較的簡易な構成で、かかる制御を行ううえで必要な、中間転写体の光沢度に配慮した画像形成装置及び画像濃度制御方法の提供。
【解決手段】その表面の光沢度が互いに異なる、第1の部分11aと、第1の部分11aよりも光沢度の高い第2の部分11bとを有し、像担持体上に担持された像を転写される中間転写体11と、中間転写体11に光を照射する光源によって照射された光の、中間転写体側11からの反射光の強度を検知する検知手段とを用い、この検知手段によって検知された第2の部分11aに対応する前記強度であって第2の部分11aの非画像形成部からの反射光の強度に応じて、前記光源によって照射される光の強度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置であって、中間転写体上の像の濃度を検知して、形成する像の濃度を制御する画像形成装置及び画像濃度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置において、装置の使用環境、感光体等の像担持体や現像剤等の経時での特性変動、かかる像担持体や現像剤等の製造時の特性のばらつきに起因して、形成する像の濃度が変化することに鑑み、かかる濃度が適正になるように制御するため、いわゆるプロセスコントロールを行うように構成されているものが知られている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。
【0003】
また、このような画像形成装置であって、かかる像担持体から像を転写される中間転写体を有する画像形成装置において、プロセスコントロールを、中間転写体上の像を検知して行う技術が知られている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。
【0004】
このような技術では、画像濃度を調整するための像である濃度調整用パターンを中間転写体上に形成し、濃度調整用パターンに光を照射し、その反射光を反射型濃度センサで検知するとともに、反射型濃度センサの出力値が所定値となるように画像形成条件を制御するようになっている。
【0005】
かかる制御を精度良く行うには、濃度調整用パターンに照射される光の強度の調整を行う必要があるため、従来より、中間転写体の地肌部に光を照射し、その反射光を反射型濃度センサで検知するとともに、反射型濃度センサの出力値を所定値とする制御が行われている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。
【0006】
ところが、中間転写体の材質が、担持した像を転写紙等の記録媒体に転写する際の転写特性等の制約を受ける関係上、中間転写体の表面の光沢度が低い場合があり、また、中間転写体の表面の経時劣化等により、かかる表面の光沢度が低下する場合があり、このような場合には、反射型濃度センサの出力値が、濃度調整用パターンに照射される光の強度の調整を行うのに不十分になり得る。
【0007】
そこで、反射型濃度センサを、中間転写体の移動方向と直交する方向、言い換えると幅方向に移動可能とし、その出力値が、かかる調整を行うのに十分となる位置となるように移動する技術が提案されている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。この技術は、中間転写体の表面の光沢度が経時劣化等により低下する場合には、光沢度の低下が、中間転写体の幅方向においてムラとなって現れることを想定し、光沢度が、かかる調整を行うのに十分となる程度に維持されている部分に反射型濃度センサを移動させることで、かかる調整を行おうとするものであると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、かかる技術は、上述したように中間転写体の材質が転写特性等の制約を受ける事などの理由によりその表面の光沢度がもともと低く、このために、反射型濃度センサの出力値がかかる調整を行うのに不十分にならざるを得ない場合にも有効であるとは言いがたく、また、反射型濃度センサを移動させる機構によって装置が複雑化するため、装置の低コスト化、小型化等の要請に反する。
【0009】
本発明は、中間転写体上の像の濃度を検知して、形成する像の濃度を制御する、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置であって、比較的簡易な構成で、かかる制御を行ううえで必要な、中間転写体の光沢度に配慮した画像形成装置及び画像濃度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体上に担持された像を転写される中間転写体と、この中間転写体に向けて光を照射する光源と、この光源によって照射された光の、前記中間転写体側からの反射光の強度を検知する検知手段と、この検知手段によって検知された前記強度に応じて画像形成条件を制御する画像形成条件制御手段とを有し、前記中間転写体は、その表面の光沢度が互いに異なる、第1の部分と、第1の部分よりも光沢度の高い第2の部分とを有し、前記検知手段によって検知された第2の部分に対応する前記強度であって第2の部分の非画像形成部からの反射光の強度に応じて、前記光源によって照射される光の強度を調整する発光強度調整手段とを有する画像形成装置。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記中間転写体上の像を転写する転写手段を有し、第2の部分は、前記転写手段の動作領域外に対応して設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、第1の部分は、弾性層を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、第2の部分は、主走査方向における前記中間転写体の両端部に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、第2の部分は、前記中間転写体本体に塗料を塗布することによって形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、第2の部分は、前記中間転写体本体に、その表面が当該光沢度の部材を貼り付けることによって形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成装置において、第2の部分は、ポリイミド樹脂によって形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、その表面の光沢度が互いに異なる、第1の部分と、第1の部分よりも光沢度の高い第2の部分とを有し、像担持体上に担持された像を転写される中間転写体と、この中間転写体に光を照射する光源と、この光源によって照射された光の、前記中間転写体側からの反射光の強度を検知する検知手段と、この検知手段によって検知された前記強度に応じて画像形成条件を制御する画像形成条件制御手段とを用い、前記検知手段によって検知された第2の部分に対応する前記強度であって第2の部分の非画像形成部からの反射光の強度に応じて、前記光源によって照射される光の強度を調整する画像濃度制御方法にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、像担持体上に担持された像を転写される中間転写体と、この中間転写体に向けて光を照射する光源と、この光源によって照射された光の、前記中間転写体側からの反射光の強度を検知する検知手段と、この検知手段によって検知された前記強度に応じて画像形成条件を制御する画像形成条件制御手段とを有し、前記中間転写体は、その表面の光沢度が互いに異なる、第1の部分と、第1の部分よりも光沢度の高い第2の部分とを有し、前記検知手段によって検知された第2の部分に対応する前記強度であって第2の部分の非画像形成部からの反射光の強度に応じて、前記光源によって照射される光の強度を調整する発光強度調整手段とを有する画像形成装置にあるので、光沢度の高い第2の部分を設けるという比較的簡易な構成で、中間転写体上の像の濃度を精度良く検知して、形成する像の濃度を制御することで、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0019】
前記中間転写体上の像を転写する転写手段を有し、第2の部分は、前記転写手段の動作領域外に対応して設けられていることとすれば、かかる動作領域外に光沢度の高い第2の部分を設けるという比較的簡易な構成で、中間転写体上の像の濃度を精度良く検知して、形成する像の濃度を制御することで、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0020】
第1の部分は、弾性層を有していることとすれば、光沢度の高い第2の部分を設けるという比較的簡易な構成で、中間転写体上の像の濃度を精度良く検知して、形成する像の濃度を制御するとともに、第1の部分に担持した像が良好に転写され得ることで、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0021】
第2の部分は、主走査方向における前記中間転写体の両端部に設けられていることとすれば、光沢度の高い第2の部分を中間転写体の両端部に設けるという比較的簡易な構成で、中間転写体上の像の濃度を速やかに検知可能であり、またかかる濃度を精度良く検知して、形成する像の濃度を制御することで、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
第2の部分は、前記中間転写体本体に塗料を塗布することによって形成されていることとすれば、光沢度の高い第2の部分を塗布により設けるという比較的簡易且つ比較的容易に作成される構成で、中間転写体上の像の濃度を精度良く検知して、形成する像の濃度を制御することで、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0023】
第2の部分は、前記中間転写体本体に、その表面が当該光沢度の部材を貼り付けることによって形成されていることとすれば、光沢度の高い第2の部分を貼り付けにより設けるという比較的簡易な構成で、中間転写体上の像の濃度を精度良く検知して、形成する像の濃度を制御するとともに、第1の部分の厚さに応じて第2の部分の位置を容易に第1の部分の位置に合わせ得ることで、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0024】
第2の部分は、ポリイミド樹脂によって形成されていることとすれば、光沢度の高い第2の部分を設けるという比較的簡易な構成で、中間転写体上の像の濃度を精度良く検知して、形成する像の濃度を制御するとともに、かかる第2の部分をポリイミド樹脂によって形成することにより、第2の部分の光沢度が高く、また傷が付きにくく光沢度が維持されるとともに、耐久性が高いことで、かかる制御が経時的にも精度良く行われ、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0025】
本発明は、その表面の光沢度が互いに異なる、第1の部分と、第1の部分よりも光沢度の高い第2の部分とを有し、像担持体上に担持された像を転写される中間転写体と、この中間転写体に光を照射する光源と、この光源によって照射された光の、前記中間転写体側からの反射光の強度を検知する検知手段と、この検知手段によって検知された前記強度に応じて画像形成条件を制御する画像形成条件制御手段とを用い、前記検知手段によって検知された第2の部分に対応する前記強度であって第2の部分の非画像形成部からの反射光の強度に応じて、前記光源によって照射される光の強度を調整する画像濃度制御方法にあるので、光沢度の高い第2の部分を設けた比較的簡易な中間転写体を用い、この中間転写体上の像の濃度を精度良く検知して、形成する像の濃度を制御することで、良好な画像形成を可能とする画像濃度制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた複数の像担持体及び被転写体の周りの構成を示す概略正面図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に備えられた光源及び検知手段を示す概略正断面図である。
【図4】図1に示した画像形成装置に備えられた中間転写体示す概略斜視図である。
【図5】図4に示した中間転写体の概略正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であってフルカラーの画像形成を行うことが可能になっているカラーデジタル複合機であるが、他の画像形成装置、すなわち、モノクロ機や、複写機、プリンタ、ファクシミリの単体、あるいは複写機とプリンタとの複合機等他の複合機であっても良い。画像形成装置100は、プリンタとして用いられる場合には、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。
【0028】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをも記録シートであるシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体としての記録体である記録紙たる転写紙の両面に画像形成可能な両面画像形成装置でもある。
【0029】
画像形成装置100は、上下方向において中央位置を占めプリンタ部として機能する本体101と、本体101の上側に位置し原稿を読み取るスキャナとしての読取装置21および原稿を積載され積載された原稿を読取装置21に向けて送り出すADFといわれる原稿自動搬送装置である自動原稿給紙装置22と、本体101の下側に位置し感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと像搬送体としての被転写体である転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙を積載した給紙テーブルとしての給紙装置であるシート給送装置23とを有している。
【0030】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な複数の像担持体としての感光体である感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを並設したタンデム構造を採用したタンデム型の画像形成装置である。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、互いに同一径であり、画像形成装置100の本体101の内部のほぼ中央部に配設された無端ベルトである中間転写体たる中間転写ベルトとしての転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に、等間隔で並んでいる。
【0031】
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら図中時計方向である矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成され各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に担持された像である可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、転写紙に一括転写されるようになっている。このように画像形成装置100は中間転写方式である間接転写方式を採用している。よって画像形成装置100はタンデム型間接転写方式の電子写真装置となっている。
【0032】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのそれぞれに対向する位置に配設され転写ベルト11の内周面に接触配置された転写チャージャとしての転写用帯電手段たる1次転写装置である1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの真下の位置すなわち1次転写位置である転写位置にて行われる。
【0033】
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並設されている。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0034】
画像形成装置100は、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによって構成される画像形成部としての画像形成手段である作像部60と、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの下方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写ユニットであるベルトユニットとしての転写ユニットたる転写ベルトユニット10と、転写ベルト11を挟んで作像部60と反対の側において、転写ベルト11に対向して配設され、転写ベルト11に当接し、転写ベルト11への当接位置において転写ベルト11と同方向に回転して中間転写ベルト11上のトナー像を転写紙に転写する第2の転写手段としての2次転写装置である転写部材たる2次転写ローラ17と、2次転写ローラ17によって転写ベルト11上のトナー像を転写されたシートを搬送する搬送装置76と、2次転写ローラ17をクリーニングする2次転写クリーニング装置18とを有している。
【0035】
画像形成装置100はまた、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKの上方に対向して配設された書き込み手段である光書き込み装置としての光書き込みユニットたる露光装置である光走査装置8と、シート給送装置23から搬送されてきた転写紙を、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と2次転写ベルト5との間に向けて繰り出すレジストローラ対13と、転写紙の先端がレジストローラ対13に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0036】
画像形成装置100はまた、搬送装置76によって転写ベルト11上のトナー像を転写された状態で搬送されてきた転写紙が進入し、転写紙にトナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着手段である定着装置6と、定着済みの転写紙を本体101外に排出する排紙経路と再度レジストローラ対13に向けて搬送する反転経路とを備え転写紙を何れかの経路に搬送する排紙ユニット79と、2次転写ローラ17、2次転写クリーニング装置18、搬送装置76および定着装置6の下方に、作像部60と平行に配設され、転写紙の両面に画像を記録すべく、排紙ユニット79が一方の面に画像を形成された転写紙を反転経路に搬送した場合に、その転写紙をスイッチバックして上下反転させ、再度、レジストローラ対13に向けて搬送する再給紙ユニットとしてのシート反転装置である両面ユニット96とを有している。
【0037】
画像形成装置100はまた、本体101外部に配設され画像形成済みの転写紙を積載するスタック部としての排紙トレイ75と、図1における本体101の右側面に配設された手差し給紙装置33と、画像形成装置100の操作を行う図示しない操作パネルと、画像形成装置100全体の動作を制御する制御部としての制御手段99と、図示しない廃トナータンクとを有している。
【0038】
図2に示すように、転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、転写ベルト11のループ内側に配設され転写ベルト11を転写ベルト11の裏側で感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧した1次転写手段としての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられ転写ベルト11を同図に示されているように逆三角形状の形状になる姿勢で掛け回した第1ないし第3の支持ローラである、転写ベルト11を回転駆動する回転駆動ローラとしての張架ローラである駆動ローラ72、2次転写対向ローラとしての斥力ローラである転写入口ローラ73および従動ローラであるテンションローラ74と、テンションローラ74との間に転写ベルト11を挟み込み転写ベルト11表面をクリーニングするクリーニング手段としてのベルトクリーニング装置である静電クリーニング装置たる中間転写ベルトクリーニング装置14とを有している。
【0039】
転写ベルトユニット10はまた、A1方向において作像部60よりも下流側且つ2次転写ローラ17よりも上流側、具体的には駆動ローラ72に対向する位置で転写ベルト11の外周面に対向して配設され転写ベルト11上のトナー像を光学的に検知するための検知部たる検知ユニットとしての反射型光学センサである反射型濃度センサたる光学センサ50と、駆動ローラ72を回転駆動することで転写ベルト11をA1方向に無端移動させる図示しないベルト駆動モータと、画像形成が2色以上の多色画像で行われるか黒色のみの単色画像すなわちモノクロ画像で行われるかに応じて転写ベルト11等を変位させる図示しない転写ベルトユニット駆動手段と、光学センサ50を転写ベルト11から離間した位置において所定距離を保つように保持した図示しない保持部材とを有している。なお回転駆動ローラはテンションローラ74または転写入口ローラ73によって構成してもよく、この場合はその他のローラが従動回転する従動ローラとなる。
【0040】
転写ベルトユニット駆動手段は、画像形成が2色以上の多色画像で行われるときには、転写ベルト11が図1に示すように張架される態位としてこの上側の略水平な展張面に転写ベルト11を各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに接触させ、画像形成がモノクロ画像で行われるときには、同図左方を下側に変位させるようにして転写ベルト11を感光体ドラム20Y、20M、20Cから離間させ転写ベルト11が各感光体ドラム20BKのみに接触する態位とする。なお、画像形成がモノクロ画像で行われるときには、感光体ドラム20Y、20M、20Cの回転をはじめとして画像ステーション60Y、60M、60Cの各構成の動作が停止される。このような構成においては、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKは、A1方向上流から、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKの順で横に並べ、後述のような現像を行うことが好ましいが、何れにしても、作像部60は、テンションローラ72と駆動ローラ74との間に張り渡した転写ベルト11上に配置される。また、このように、画像を形成する色の順番は、画像形成装置100の持つ狙いや特性によって異なってくるものであり、限定されるものではない。
【0041】
2次転写ローラ17は、転写ベルト11の下方に配設されており、転写入口ローラ73による転写ベルト11の掛け回し箇所において転写ベルト11の表面側から転写ベルト11に当接して、転写入口ローラ73との間に転写ベルト11を挟み込んでおり、この挟み込みにより、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが接触する2次転写部としての2次転写ニップを形成している。2次転写ニップには、2次転写バイアスの印加により、後述するようにして転写ベルト11上に担持された最大4色のトナー像を、転写ベルト11側から2次転写ローラ17側に向けて静電移動させる、2次転写電界が形成される。かかるトナー像は、後述するようにしてレジストローラ13により転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に搬送されてきた転写紙に、2次転写電界、ニップ圧によって転写される。
【0042】
搬送装置76は、その上面側で転写紙を搬送する用紙搬送ベルトとしての搬送ベルト5と、搬送ベルト5を巻き掛けた張架ローラである、駆動ローラ15及び従動ローラ16と、2次転写ベルト5に対向して配設され転写ベルト11を介して押圧された対向ローラとしてのバックアップローラである転写入口ローラ73と、トナーと逆極性の2次転写バイアスを駆動ローラ15に印加する図示しない電源とを有している。
【0043】
中間転写ベルトクリーニング装置14は、A1方向において2次転写ニップの下流側であって、1次転写が行われる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの対向領域のうちA1方向において最上流となる感光体ドラム20Yと1次転写ローラ12Yとの対向領域よりも上流側の位置において、転写ベルト11をクリーニングするものである。
【0044】
中間転写ベルトクリーニング装置14は、図示を省略するが、転写ベルト11にかかる位置で当接したクリーニング部材としてのブラシローラであるファーブラシと、このファーブラシに当接したブレードと、ファーブラシを随時転写ベルト11に接離させる当接・離間手段と、ファーブラシに、転写ベルト11上のトナーを移動させる向きの電圧を印加する電圧印加装置とを有している。ファーブラシは、転写ベルト11に対して接触してカウンタ方向に回転するように設けられている。中間転写ベルトクリーニング装置14は、転写ベルト11のA1方向への回転とともに、ファーブラシを用いて転写ベルト11表面のクリーニングを行い、このクリーニングにより転写ベルト11からファーブラシ側に転移したトナーをさらにブレードにより掻き落とす。
【0045】
定着装置6は、熱源を内部に有する加熱ローラ62と、加熱ローラ62に巻き掛けられた定着ベルト64と、加熱ローラ62とともに定着ベルト64を巻き掛けた定着ローラ65と、定着ローラ65との間で定着ベルト64に圧接し圧接部である定着部としての定着ニップを形成する加圧ローラ63とを有している。加熱ローラ62と、定着ベルト64と、定着ローラ65とは、定着ベルト64が無端移動するベルトユニットを構成している。定着装置6は、トナー像を担持した転写紙を定着ニップに通すことで、熱と圧力との作用により、すなわち加圧や加熱の処理により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。
【0046】
光走査装置8は、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの表面によって構成された被走査面をそれぞれ走査して露光し、光書込処理を施して静電潜像を形成するための、画像信号に基づくレーザービームとしてのレーザー光であるビームLY、LM、LC、LBKを発する図示しない光源を有している。
【0047】
ビームLY、LM、LC、LBKは、読取装置21で読み取られた原稿、ファクシミリにおける受信データ、後述のようにPC等の外部入力装置から入力される画像情報に基づいて生成される各色の版を構成する、形成すべき画像に対応した電子情報である画像信号が光情報に変換されたものである。
【0048】
光走査装置8は、制御手段99によって光源の駆動が制御されることで、光源からビームLY、LM、LC、LBKを出射し、かかる光情報を感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に潜像として固定するものである。なお、光源は、光走査装置8のようなレーザ方式に限定されず、LED方式など他の方式を用いた露光装置であっても良い。
【0049】
図1に示すように、排紙ユニット79は、定着装置6から搬送されてきた定着済みの転写紙を、両面ユニット96に向けて搬送する搬送ローラ97と、本体101外に排出する排出ローラ対としての排紙ローラ98と、定着済みの転写紙を搬送ローラ97のある排紙経路に導いて本体101外に排出するか、排紙ローラ98のある反転経路に導いて両面ユニット96に進入させるかを切り換える切換爪94とを備えている。
【0050】
両面ユニット96は、排紙ユニット79から搬送されてきた、一方の面に画像形成された転写紙を一旦積載する給紙ボックスとしてのトレイ92と、トレイ92上の転写紙をスイッチバックさせる反転ローラ93と、反転ローラ93によってスイッチバックされた転写紙をレジストローラ13に向けて送り出す給紙ローラ95等を有している。
【0051】
シート給送装置23は、複数枚の転写紙を紙束の状態で収容可能な給紙トレイとしての給紙カセット25を鉛直方向に複数重なるように多段に配設された給紙ボックスとしてのペーパーバンク26と、給紙カセット25に積載された転写紙のうち最上位の転写紙の上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ24と、給送ローラ24により繰り出された転写紙を1枚ずつ分離する分離ローラ27と、給紙ローラ24及び分離ローラ27により送り出された転写紙が通過する給紙路29とを有している。
【0052】
給紙路29は、給紙ローラ24及び分離ローラ27により送り出された転写紙をレジストローラ対13に向けて搬送する搬送手段としての搬送ローラ28と、転写紙の搬送方向下流端言い換えると末端の付近に位置するレジストローラ13とを備え、搬送ローラ28によって搬送される転写紙シート給送装置23から本体101内に連続するように設けられており、本体101内の給紙路29にも搬送ローラ28が配設されている。
【0053】
シート給送装置23は、給送ローラ24が図中反時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ27が作用することにより、最上位の転写紙を給紙路29内に導き、搬送ローラ28の回転によりレジストローラ対13に向けて給送し、搬送された転写紙がレジストローラ対13に突き当てて止められスキューが修正されるようになっている。
【0054】
手差し給紙装置33は、転写紙を積載する給紙ボックスとしての手差しトレイ34と、手差しトレイ34に積載された転写紙のうち最上位の転写紙の上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ35と、給送ローラ35により繰り出された転写紙を1枚ずつ分離する分離ローラ36と、手差しトレイ34上に転写紙が載置されたことを検知する用紙センサとを有している。
【0055】
手差し給紙装置33は、給送ローラ35が図中時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ36が作用することにより、最上位の転写紙を、本体101内の、給紙路29に合流した手差し給紙路に送り出し、給紙路29内に導くとともにレジストローラ対13に向けて給送し、搬送された転写紙がレジストローラ対13に突き当てて止められるようになっている。
【0056】
読取装置21は、原稿を載置するコンタクトガラス21a、コンタクトガラス21aに載置された原稿に光を照射する図示しない光源及び光源から原稿に照射され反射された光を反射する図示しない第1の反射体を備え図1における左右方向に走行する第1走行体21b、第1走行体21bの反射体によって反射された光を反射する図示しない第2の反射体を備えた第2走行体21c、第2走行体21cからの光を結像するための結像レンズ21d、結像レンズ21dを経た光を受け原稿の内容を読み取る読み取りセンサ21e等を備えている。
【0057】
読取装置21は、読み取りセンサ21eで読み取った原稿の画像情報を制御手段99に送信する。
自動原稿給紙装置22は原稿を載置する原稿台22aを有している。自動原稿給紙装置22は読取装置21に対して回動自在であって、上方に向けて回動したときコンタクトガラス21aを露出させるようになっている。
【0058】
操作パネルは、液晶ディスプレイ、複写を開始するためのコピースタートスイッチ等として機能するスタートボタン、複写枚数等を入力するためのテンキー等の各種キーボタン等を有する操作表示部となっている。操作パネルにおいては、画像形成を多色画像で行うかモノクロ画像で行うかを指定可能となっているとともに、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードを設定可能となっている。片面プリントモードには、ダイレクト排出モード、反転排出モード、反転デカール排出モードが含まれ、このうちの1つが選択される。
制御手段99は、CPU、記憶手段としてのメモリであるROM、RAM等を備えている。
【0059】
画像ステーション60Y、60M、60C、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、画像ステーション60Yを除く他の画像ステーション60M、60C、60BKの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像ステーション60M、60C、60BKの構成に付し、詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にY、M、C、BKが付されたものはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
【0060】
図2に示すように、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中反時計方向であるその移動方向である回転方向B1に沿って、転写部たる1次転写ローラ12Yと、クリーナ部たるクリーニング手段としての感光体クリーニング装置である1次転写クリーニング装置たるクリーニング装置70Yと、除電部たる除電手段としての除電装置90Yと、帯電部たる帯電手段である帯電ユニットとしての帯電器たる帯電装置30Yと、現像部たる現像手段としての現像ユニットである現像装置80Yとを有している。
【0061】
画像ステーション60Yはまた、感光体ドラム20Yの周囲のこれらの構成を一体化したカートリッジケース59Yと、トナーの正規の帯電極性である負極性と逆極性である正極性の1次転写バイアスを1次転写ローラ12Yに印加する図示しない電源と、感光体ドラム20YをB1方向に回転駆動する図示しない駆動手段とを有している。
【0062】
感光体ドラム20Yと、クリーニング装置70Yと、除電装置90Yと、帯電装置30Yと、現像装置80Yとはカートリッジケース59Yによって一体化されており、プロセスカートリッジとしての画像ステーション60Yを構成している。プロセスカートリッジとしての画像ステーション60Yは、カートリッジケース59Yを、本体101に固定された図示しないガイドレールに沿って本体101に対して引き出し自在であるとともに、本体101に押し込むことが可能であり、本体101に対して着脱自在に設置され、適時、交換可能となっている。
【0063】
プロセスカートリッジとしての画像ステーション60Yは、本体101に押し込むと、画像形成に適した所定の位置に装填され、位置決めされるようになっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことが可能であるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。またプロセスカートリッジの要素である各部の寿命が同等とされているため、不要な交換が防止、抑制され、さらに好ましい構成となっている。
【0064】
プロセスカートリッジとしての画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yと、クリーニング装置70Yと、除電装置90Yと、帯電装置30Yと、現像装置80Yとのうち、少なくとも感光体ドラム20Yが、クリーニング装置70Yと、除電装置90Yと、帯電装置30Yと、現像装置80Yとのうちの少なくとも1つと一体化されることによって構成され、本体101に着脱自在に設置されるユニットである。なお5つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによって構成される作像部60全体をプロセスカートリッジとして、これらが一体で本体101に対して着脱自在となっていても良い。
【0065】
1次転写ローラ12Yが転写ベルト11を感光体ドラム20Yに向けて押圧して形成された、転写ベルト11と感光体ドラム20Yとの当接位置である1次転写ニップは、感光体ドラム20Y上のトナー像が転写ベルト11に転写される転写位置を構成している。1次転写ローラ12Yの電源は、定電圧制御により1次転写ローラ12Yに所定の転写バイアスを印加する。なお1次転写装置は本形態のようなローラ状に限らず、導電性のブラシ形状、非接触のコロナチャージャなどによって構成してもよい。
【0066】
除電装置90Yは、感光体ドラム20Yの表面に近接して配設された図示しない除電ランプを備えており、感光体ドラム20Yの表面を除電して電気的に清浄な状態とすることでかかる表面の電位を初期化するものである。
【0067】
帯電装置30Yは、図示を省略するが、感光体ドラム20Yの表面に当接して従動回転する帯電部材としての帯電ローラと、帯電ローラに当接し従動回転する帯電クリーニング部材としてのクリーニングローラとを有している。
【0068】
帯電ローラには、直流に交流成分の帯電バイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段が接続されており、感光体ドラム20Yと対向する帯電領域において、除電装置90Yによって除電された感光体ドラム20Yの表面を所定の極性に一様に帯電するようになっている。
【0069】
クリーニングローラは帯電ローラに従動回転することで帯電ローラをクリーニングするようになっている。
このように、本形態では、接触ローラを用いた帯電システムを採用しているが、帯電システムは、近接ローラを用いたものであっても良いし、非接触のスコロトロンチャージャを採用したものであっても良い。
【0070】
現像装置80Yは、感光体ドラム20Yに近接対向して配設されたトナーとキャリアとを含む二成分現像剤である現像剤を担持する現像部材としての現像ローラ81Yと、現像ローラ81Yに直流成分の現像バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段と、トナーを収容した図示しないトナーカートリッジと、現像装置80Y本体内の現像剤中のトナーのキャリアに対する重量パーセントであるトナー濃度を検知する図示しないトナー濃度検知手段と、トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度が所定濃度となるようにすなわちトナー濃度検知手段による検知信号によって示される値が所定の制御目標値となるようにトナーカートリッジから現像装置80Y本体内にトナーを補給する図示しないトナー補給手段とを有している。現像剤は、磁性キャリアと、正規の帯電極性がマイナスのカラートナーであるイエロートナーとを含む二成分現像剤である。バイアス印加手段によって印加される現像バイアスは直流成分でなく交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
【0071】
感光体ドラム20Yの表面の、帯電装置30Yと現像装置80Yとの間には光走査装置8Yから出射されたビームLYが照射され、帯電装置30Yにより帯電された後の感光体ドラム20Yの表面の被走査面が露光され、現像装置80Yによってイエロートナー像として可視像化される、画像情報に応じた静電潜像を書き込まれるようになっており、このビームLYが照射される部分は露光部となっている。
【0072】
クリーニング装置70Yは、その先端が感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の転写残留物である転写残トナー、キャリア、紙粉等の異物を掻き取って回収しクリーニングするクリーニング部材としての図示しないクリーニングブレードと、回収した転写残トナーを廃トナータンクに搬送して回収する図示しない廃トナー搬送手段とを有している。クリーニング装置70Yは、クリーニングブレードとともにあるいはクリーニングブレードに代えてファーブラシローラを用いてもよいし、磁気ブラシクリーニング方式を採用しても良い。
【0073】
以上のような構成の画像ステーション60Yにおいては、画像形成時において、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置30Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8Yからの光の露光走査により、露光部言い換えると照射部における感光体ドラム20Yの電位が減衰してイエロー色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置80Yによりイエロー色のトナーにより現像され、現像により得られたイエロー色のトナー像を1次転写ローラ12Yによって形成される一次転写電界、ニップ圧により、A1方向に移動する転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナーを含む不要物をクリーニング装置70Yにより除去されて除電装置90Y、帯電装置30Yによる次の除電、帯電に供される。
【0074】
このような構成の画像形成装置100において、複写を行うときには、自動原稿給紙装置22の原稿台22aに原稿をセットするか、自動原稿給紙装置22を上方に回動してコンタクトガラス21a上に原稿を載置したうえで自動原稿給紙装置22を下方に回動して閉じ原稿を押さえた状態としたうえで、操作パネルのスタートボタンを押下する。なお、自動原稿給紙装置22にセットされる原稿は、たとえば束状のシート原稿であり、コンタクトガラス21a上にセットされる原稿は、たとえば本状に綴じられている片綴じ原稿である。画像形成装置100をプリンタとして使用する場合には、画像形成装置100に接続したPC等の外部入力装置において画像形成を行う画像データを選択、入力等したうえで画像形成開始の操作を行う。
【0075】
複写を行う場合であって、原稿を原稿台22aにセットした場合には、セットした原稿がコンタクトガラス21a上に送り出されてから読取装置21による原稿の読み取りが行われ、また、原稿をコンタクトガラス21a上に載置したときにはスタートボタンの押下によって読取装置21による原稿の読み取りが行われ、画像データが生成される。
【0076】
読取装置21による原稿の読み取りは次のように行われる。スタートボタンの押下によって第1走行体21bおよび第2走行体21cがコンタクトガラス21aに載置された原稿の原稿面に沿って走行を開始し、第1走行体21bにより、光源から発した光を原稿面で反射させるとともに、得られた反射光を第2走行体21cに向けて反射する。この第1走行体21bからの折り返し光は、第2走行体21cによってさらに折り返された後、結像レンズ21dを通して読み取りセンサ21eに入射し、これにより原稿内容が読み取られる。
【0077】
生成された画像データ又は入力された画像データに基づいて、上述の構成の画像ステーション60Y、60M、60C、60BKが作動する。また、かかる原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジである画像ステーション60Y、60M、60C、60BK内の各機器や、転写ベルトユニット10、2次転写ユニット76、定着装置6等がそれぞれ駆動を開始する。
【0078】
画像ステーション60Yにおいては、上述したように、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置30Yにより表面を一様に帯電されて一様帯電処理が行われ、光走査装置8により静電潜像を形成されて光書込処理が行われ、この静電潜像を現像装置80Yによりイエロー色のトナーにより現像されて現像処理が行われ、イエロー色のトナー像を1次転写ローラ12Yによって転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナーを含む不要物をクリーニング装置70Yにより除去されて除電装置90Y、帯電装置30Yによる次の除電、帯電に供される。
【0079】
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいてもその状態が良好に保たれながら同様に各色のトナー像が良好に形成等され、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12M、12C、12BKにより、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。このとき、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、トナーの正規の帯電極性である負極性とは逆の正極性の電圧が印加されるようになっている。
【0080】
転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像によって構成された4色重ね合わせトナー像すなわち4色トナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ17との対向位置である2次転写ニップまで移動し、転写ベルト11に密着した転写紙に、ニップ圧や転写用電界である2次転写電界の作用によって2次転写され、転写紙上にフルカラー画像が担持される。
【0081】
転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に搬送されてきた転写紙は、スタートボタンの押下により、画像情報に応じたサイズに応じてシート給送装置23の1つの給送ローラ24が選択されこの回転によって対応する給紙カセット25から繰り出されてフィードされたものであるか、または、手差し給紙装置33の給送ローラ35の回転によって手差しトレイ34から繰り出されてフィードされたものであるか、または、両面ユニット96から給紙ローラ95によって繰り出されてフィードされたものであるかの何れかであって、レジストローラ対13によって、そのローラ間に挟み込まれ、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ローラ17に対向するタイミングで送り出されたものである。かかるフィード動作は、上述の原稿読取動作と略同時に開始される。
【0082】
転写紙は、すべての色のトナー像を転写され、担持すると、搬送装置76によって搬送されて定着装置6に送り込まれ、定着ベルト64と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、転写紙上に良好なカラー画像が形成される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙は、切換爪94の態位に応じて、排紙ローラ98を経由して排紙トレイ75上にスタックされるか、または搬送ローラ97を経て両面ユニット96に進入して再度レジストローラ対13に戻され、2次転写ニップおよび定着装置6を再経由する両面画像形成に備える。
【0083】
一方、1次転写を終えた感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、クリーニング装置70Y、70M、70C、70BKによってこれに残留する転写残トナー等を除去されてクリーニングされ、次の画像形成に備える。また、2次転写を終えた転写ベルト11は、中間転写ベルトクリーニング装置14によってこれに残留する残留トナー等といわれる転写残トナー等を除去されてクリーニングされ、次の画像形成に備える。
【0084】
このような画像形成動作を良好に行うにあたって、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおいて形成されるトナー像の濃度言い換えると画像濃度が一定に保たれることは、良好な色再現性を得る等のために重要である。
【0085】
そのため、画像形成装置100では、電源投入時、所定枚数の画像形成後等の所定のタイミングで、ユーザーの指定により行われる通常の画像形成とは別に、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおいて形成される画像すなわちトナー像の濃度言い換えるとトナーの付着量が適正になるように画像形成条件を制御するための画像濃度調整モードとしてのプロセスコントロールを実行する。
【0086】
画像形成装置100におけるプロセスコントロール動作を概略的に説明すると、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおいて感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上にトナー濃度調整パターンたる濃度調整用パターンであるトナーパターンとしての画像パッチを形成し、各色の画像パッチをそれぞれ転写ベルト11上の別領域に転写し、光学センサ50により各色の画像パッチを光学的に読み取り、この読み取った画像パッチの濃度が適正濃度となるように、制御手段99により、帯電装置30Y、30M、30C、30BKの電圧印加手段の出力の調整、現像装置80Y、80M、80C、80BKのバイアス印加手段の調整やトナー補給手段の駆動等を行い、画像形成条件を制御する。この点、制御手段99は、画像形成条件制御手段として機能する。
【0087】
このとき、光学センサ50により読み取った画像パッチの濃度に対応する出力電圧が制御手段99に入力され、制御手段99はかかる出力電圧を粉体付着量変換方法を用いた付着量変換アルゴリズムにより付着量変換して、その時点での現像能力を表す現像γ、現像開始電圧Vkの算出を行い、この算出値に基づき、帯電装置30Y、30M、30C、30BKの電圧印加手段の出力の制御による帯電バイアス値の調整、現像装置80Y、80M、80C、80BKのバイアス印加手段の制御による現像バイアス値の調整、現像装置80Y、80M、80C、80BKにおけるトナー濃度検知手段によって検知されるべき制御目標値の変更等を行う。
【0088】
図3に示すように、光学センサ50は、プロセスコントロール時に転写ベルト11上に形成される画像パッチの反射特性を読み取るために、転写ベルト11に向けて赤外光を発光する発光部としての発光素子であるLED51と、LED51から照射された光のうち対向部材である転写ベルト11あるいは画像パッチによって反射された反射光言い換えると反射成分を受光するPセンサとしての受光部である第1の受光素子としての正反射受光素子52及び第2の受光素子としての拡散反射受光素子53とを有している。
【0089】
光学センサ50はまた、LED51、正反射受光素子52、拡散反射受光素子53を外部の空間から遮断することで、LED51、正反射受光素子52、拡散反射受光素子53がトナー等によって汚染されること等を防止しLED51、正反射受光素子52、拡散反射受光素子53の性能の維持を図るための図示しない遮蔽手段としての汚染防止手段と、LED51、正反射受光素子52、拡散反射受光素子53、汚染防止手段を支持した素子ホルダ54とを有している。
【0090】
汚染防止手段は、LED51、正反射受光素子52、拡散反射受光素子53を、外部の空間から遮断した遮断位置と、外部の空間に露出させる開放位置との間で変位するシャッタと、シャッタを遮蔽位置と開放位置との間で駆動しシャッタを開閉する図示しない駆動手段とを有している。駆動手段は、制御手段99によって駆動を制御され、プロセスコントロールを行うときに、シャッタを遮蔽位置から開放位置に変位する。
【0091】
正反射受光素子52は、かかる反射成分のうち、正反射成分を検知する。そのため、正反射受光素子52は、LED51の光軸の、転写ベルト11表面上の点50aに立てた転写ベルト11表面に対する法線50bに対し、LED51の光軸と対称にその光軸が位置するように配置されている。
【0092】
拡散反射受光素子53は、かかる反射成分のうち、拡散反射成分を検知する。拡散反射受光素子53は、法線50bに対してLED51と同じ側の、LED51よりも反法線側すなわちLED51よりも法線50bから離れた位置を占めており、その光軸上に点50aが位置するように設けられている。
【0093】
正反射受光素子52、拡散反射受光素子53はそれぞれ、フォトトランジスタまたはフォトダイオードである。転写ベルト11の地肌あるいは画像パッチの、LED50から照射された光が反射される面は、検知対象面を構成している。
【0094】
正反射受光素子52及び拡散反射受光素子53は、LED51によって転写ベルト11に向けて照射された光の、転写ベルト11側からの反射光すなわち検知対象面による反射光の強度を検知する検知手段として機能し、かかる反射光の受光強度に応じた信号である出力電圧を制御手段99に入力する。よって、画像形成条件制御手段として機能する制御手段99は、かかる強度に応じて画像形成条件を制御するものとなっている。
【0095】
光学センサ50により画像パッチを光学的に読み取り、画像形成条件制御手段として機能する制御手段99により画像形成条件を制御することで、読み取った画像パッチの濃度言い換えると反射光の強度が適正値となるようにするには、LED51の照射強度すなわち発光光量(Vsg)を適正に調整する必要がある。そのためには、光の反射率が比較的安定した、転写ベルト11の地肌部すなわち非画像形成部による反射光の強度に基づいて、発光光量調整(Vsg調整)を行うことが望ましい。
【0096】
ここで、正反射受光素子52によって行う正反射光の検知においては、転写ベルト11上のトナーによる反射光は、トナーによって弱められるため、転写ベルト11の地肌部による反射光のほうが強度が大きいという特性がある。また、拡散反射受光素子53によって行う拡散反射光の検知においては、転写ベルト11上のカラートナーによる反射光は、カラートナーによって拡散するため、転写ベルト11の地肌部による反射光のほうが強度が小さいという特性がある。
【0097】
よって、光学センサ50において、発光光量調整(Vsg調整)は、拡散反射受光素子53による拡散反射光の検知では転写ベルト11の地肌部における出力が低く発光光量調整には不向きであることから、正反射受光素子52による正反射光の検知強度に基づいて行っている。
【0098】
したがって、プロセスコントロールにおいては、まず、反射型受光素子52によりトナーのない転写ベルト11表面すなわち非画像形成部である地肌部を読み取り、その出力が所定値となるようにLED51の発光光量を調整する。LED51の駆動制御は制御手段99によって行われる。この点、制御手段99は、発光強度調整手段として機能する。
【0099】
このようにして行われる発光強度の調整後、拡散反射受光素子53により転写ベルト11上に形成された画像パッチを読み取り、その出力が所定値となるように画像形成条件が調整され、これによって画像濃度が適正化される。
これらの発光強度の調整及び画像濃度の適正化に関する具体的な態様については後述する。
【0100】
ところで、光学センサ50においてもそうであるように、一般に、正反射光の検知は、転写ベルト11のようなトナー担持体の地肌に対して照射された光が、トナーにより遮られることにより、反射光の強度が低下することを利用する。したがって、S/N比の向上のためには、トナー担持体の地肌部に対する正反射光が高く、トナーに対する反射光が低くなる条件が好ましい。また、拡散反射光での検知は、トナー担持体の地肌部に対して照射された光が、トナー担持体にカラートナーが付着することで拡散することにより、反射光が増えることを利用する。したがって、S/N比の向上のためには、トナー担持体の地肌部に対する拡散反射光が低く、カラートナーに対する拡散反射光が高くなる条件が好ましい。よって、正反射光の検知、拡散反射光の検知の何れにおいても、トナー担持体表面の平滑性が高く、光沢度が高い方が好ましい。
【0101】
そこで、画像形成装置100においては、図4に示すように、転写ベルト11が、その表面の光沢度が互いに異なる、2次転写ローラ17によって転写紙に転写されるトナー像を担持する第1の部分である被転写部11aと、2次転写ローラ17の動作領域外すなわち転写領域外に対応して設けられ被転写部11aよりも光沢度の高い第2の部分である光沢部11bとを有している。
【0102】
被転写部11aは、主走査方向に対応した転写ベルト11の幅方向において、転写ベルト11の中央部を占めており、光沢部11bは、被転写部11aの両側を占め、転写ベルト11の両端部に配設されている。光沢部11bは、転写領域外に対応しており、被転写部11aに担持されたトナー像が転写紙に転写されるため、転写紙へのトナー像の転写性が確保されている。転写ベルト11の幅は、たとえば376mmであり、このとき、各光沢部11bの幅は、たとえば20〜50mmとされる。
【0103】
転写ベルト11の幅方向において、2次転写ローラ17は、被転写部11aと同じ幅を有し、被転写部11aと同位置を占めている。これにより、後述するような、被転写部11aを構成した材質と光沢部11bを構成した材質との相違による、2次転写ニップにおける転写ベルト11の潰れ量の違いによる影響が回避される。
【0104】
なお、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKをはじめとする画像ステーション60Y、60M、60C、60BKの各構成は、転写ベルト11の幅方向において、被転写部11aに対応する領域のみならず、光沢部11bに対応する領域にも、画像形成が可能である。また、中間転写ベルトクリーニング装置14は、被転写部11aに対応する領域のみならず、光沢部11bに対応する領域についても、転写ベルト11をクリーニングするように構成されている。
【0105】
光学センサ50は、転写ベルト11の幅方向において、被転写部11aに対して複数個所に設けられているとともに、各光沢部11bに対して1箇所に設けられている態様で、複数設けられている。
【0106】
図5を参照して、転写ベルト11のより詳しい構成について説明する。
転写ベルト11の構成は、同図(a)、(b)にそれぞれ示した構成の何れであっても良い。
同図(a)、(b)はそれぞれ、A1方向に垂直な面による転写ベルト11の断面図である。
【0107】
同図(a)、(b)に示す構成に共通して、転写ベルト11は、その本体をなす最内層として、基層11cと、基層11c上に配設された、その表面が被転写部11aをなす弾性層11dと、弾性層11dの両側に配設された、その表面が光沢部11bをなすポリイミド樹脂製の高光沢部材11eとを有している。
【0108】
転写ベルト11は、弾性層11dを有することにより、転写紙に凹凸がある場合にも、変形によって転写性が保たれる利点を有する。
光沢部11bは、ポリイミド樹脂で形成されていることにより、光沢度が高いとともに、傷が付きにくく光沢度が維持され、また耐久性が高いという利点がある。
光沢部11bはたとえば日本電色工業製PG−1で20度測定したときの光沢度80〜200程度であることが、LED51の発光光量の調整の観点等から好ましい。
【0109】
同図(a)に示す構成において、高光沢部材11eは、基層11c上の中央部に弾性層11dを形成後、弾性層11d表面をマスキングした状態で、弾性層11dの両側において基層11c上にポリイミド樹脂塗料を塗布して形成される。
【0110】
同図(b)に示す構成において、転写ベルト11は、弾性層11dの両側において基層11cと高光沢部材11eとの間に配設されたシール材11fを有しており、高光沢部材11eは、基層11c上の中央部に弾性層11dを形成後、シール材11fで弾性層11dの両側において基層11c上に貼り合わされている。
【0111】
基層11cは厚さ60μである。
弾性層11dは、厚さ150μmであるが、50〜500μmの厚さであれば良い。
【0112】
高光沢部材11eの厚さは、同図(a)に示した構成では、弾性層11dと同じ厚さとされており、同図(b)に示した構成では、シール材11fの厚さとの合計が弾性層11dと同じ厚さとされている。これにより、光沢部11bの表面位置は、被転写部11aの表面位置と面一となっている。よって、転写ベルト11は、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKからのトナー像の転写性、中間転写ベルトクリーニング装置14によるクリーニング性について、被転写部11aと光沢部11bとでの均一化が図られている。
【0113】
なお、同図(b)に示した構成では、弾性層11dの厚さを確保する必要がある場合、高光沢部材11eの厚さを弾性層11dの厚さと同じ厚さとすることが、高光沢部材11eの材料性質上困難であっても、シール材11fの厚さを調整して貼り付けることにより、高光沢部材11eの厚さの制約が排除ないし緩和されるという利点がある。
【0114】
また、これらの構成の転写ベルト11は上述した方法以外の製造方法で製造されても良い。たとえば、光沢部11bを形成する部分についても弾性層11dを配し、この部分の弾性層11dの厚さを被転写部11aに対応する部分の厚さよりも薄くして、同図(a)に示したのと同様に塗布形成により、あるいは同図(b)に示したのと同様にシール材11fを介して、高光沢部材11eを設けるようにしても良い。
【0115】
以上のような構成の転写ベルト11を用いたプロセスコントロールの具体的な態様について説明する。
プロセスコントロールの制御プログラムである画像濃度制御プログラムの実行が制御手段99において開始されると、汚染防止手段のシャッタが遮蔽位置から開放位置に変位するとともに、光沢部11bに対応して設けられたLED51が発光強度調整手段として機能する制御手段99によって駆動され、転写ベルト11の地肌部を読み取った正反射受光素子52からの、正反射光の強度に応じた出力電圧が、発光強度調整手段として機能する制御手段99に入力される。
【0116】
発光強度調整手段として機能する制御手段99は、かかる出力電圧が4.0Vとなるように、LED51の発光強度言い換えるとLED51の駆動電圧を調整する。かかる4.0Vの値は、拡散反射受光素子53で画像パッチを読み取って画像形成条件を制御するための適正値として制御手段99に予め記憶されている値であり、画像形成条件が良好に制御される値であれば、他の値であっても良い。
【0117】
発光強度調整手段として機能する制御手段99が、光沢部11bの地肌部すなわち非画像形成部に対応した出力電圧に基づいてかかるVsg調整を行うため、このVsg調整は、高精度で良好に行われる。
【0118】
制御手段99は、かかるVsg調整の際に決定した、光沢部11bに対応した光学センサ50のLED51への駆動電圧を用いて、被転写部11aに対応した光学センサ50のLED51を駆動する。したがって、汚染防止手段が備えられていることもあり、全てのLED51の発光強度はほぼ同一となる。よって、被転写部11aの反射率が低く、被転写部11aの反射光に基づいてVsg調整を行うと調整精度が低くなる場合であっても、被転写部11aに対応した光学センサ50のLED51のVsg調整が良好に行われたこととなる。
【0119】
このようにして行われるVsg調整と並行して、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおいてそれぞれ、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に、各色の画像パッチが形成され、転写ベルト11の幅方向において各光学センサ50が配設されている位置に対応して、転写ベルト11上に、各色の画像パッチが独立した態様で転写される。
【0120】
次いで、Vsg調整の終了後に、光沢部11bに対応した光学センサ50の拡散反射受光素子53は、光沢部11bに担持された各色の画像パッチを読み取り、各色の画像パッチの拡散反射光の強度に応じた出力電圧を、画像形成条件制御手段として機能する制御手段99に入力する。
【0121】
画像形成条件制御手段として機能する制御手段99は、かかる拡散反射光の強度に応じて、その後のユーザー指定の画像形成において、すなわち当該プロセスコントロール後の画像形成において、各色のトナー像が良好に形成されるように、各画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおける画像形成条件を制御する。
【0122】
具体的には、画像形成条件制御手段として機能する制御手段99は、当該プロセスコントロールの終了後に形成される、ユーザー指定の画像形成におけるトナー像について、かりに光学センサ50を用いて検知を行ったとしたならばこれによって得られる拡散反射光に関する出力電圧がそれぞれ適正値となるように、各画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおける画像形成条件を決定する。
【0123】
そして、以後の、ユーザー指定の画像形成の際には、画像形成条件制御手段として機能する制御手段99は、この決定された画像形成条件を用いて各画像ステーション60Y、60M、60C、60BKの制御を行うことで画像形成を行う。
【0124】
このように、プロセスコントロールにおいて、LED51の発光強度が高精度で調整され、この高精度で調整されたLED51の発光強度で画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおける画像形成条件が調整されるため、プロセスコントロール後の画像形成が高品位で行われる。
【0125】
なお、プロセスコントロールにおいて形成された転写ベルト11上の画像パッチは、中間転写ベルトクリーニング装置14によって、被転写部11aに対応する領域のみならず、光沢部11bに対応する領域についても、クリーニングされる。
【0126】
制御手段99は、ROMに、以上述べた、その表面の光沢度が互いに異なる、被転写部11aと、被転写部11aよりも光沢度の高い光沢部11bとを有し、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に担持されたトナー像を転写される転写ベルト11と、転写ベルト11に光を照射するLED51と、LED51によって照射された光の、転写ベルト11側からの反射光の強度を検知する正反射受光素子52及び拡散反射受光素子53と、正反射受光素子52及び拡散反射受光素子53によって検知された転写ベルト11側からの反射光の強度に応じて画像形成条件を制御する画像形成条件制御手段として機能する制御手段99を用い、正反射受光素子52によって検知された光沢部11bに対応する転写ベルト11側からの反射光の強度であって光沢部11bの非画像形成部からの反射光の強度に応じて、LED51によって照射される光の強度を調整する画像濃度制御方法を実行するための画像濃度制御プログラムを記憶している。この点、制御手段99ないしROMは、画像濃度制御プログラム記憶手段として機能している。かかる画像濃度制御プログラムは、制御手段99に備えられたROMのみならず、半導体媒体(たとえば、RAM、不揮発性メモリ等)、光媒体(たとえば、DVD、MO、MD、CD−R等)、磁気媒体(たとえば、ハードディスク、磁気テープ、フレキシブルディスク等)その他の記憶媒体に記憶可能であり、かかるメモリ、他の記憶媒体は、かかる画像濃度制御プログラムを記憶した場合に、かかる画像濃度制御プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体を構成する。
【0127】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0128】
たとえば、第2の部分は、主走査方向における中間転写体の両端部に設けられているのに限らず、主走査方向における中間転写体の一方の端部に設けられていても良い。ただし、第2の部分をかかる両端部に設けると、第2の部分をかかる一方の端部に設けた場合よりも画像パッチが半分の時間で検知されるという利点がある。具体的には、たとえば、片側の第2の部分に対してイエロー、シアンの画像パッチをA1方向に沿って形成し、もう片側の第2の部分に対してマゼンタ、ブラックの画像パッチをA1方向に沿って形成し、それぞれの第2の部分に対応した検知手段で検知を行えば、すべての色の画像パッチを1つの第2の部分に対してA1方向に沿って形成し、この第2の部分に対応した検知手段で検知を行う場合の半分の時間で検知が行われる。
【0129】
また、何らかの理由で、かかる両端部に設けられた第2の部分のいずれか一方において画像パッチの検知が不能となった場合でも、他方の第2の部分に各色の画像パッチを形成すれば、全ての色の画像パッチが検知されるという利点がある。
【0130】
第2の部分は、副走査方向における中間転写体の中途部に設けても良い。このようにすれば、上述の第1の画像形成条件、第2の画像形成条件を決定するための検知手段を共通化可能となることなどにより、第2の部分を主走査方向における中間転写体の端部に設けた場合よりも、光源及び/又は検知手段の数が抑制され得る。ただし、この場合には、中間転写体上の像を転写する転写手段の動作を、第2の部分が2次転写ニップを通過するときに停止するなど、かかる転写手段の駆動タイミングを調整することで、第2の部分を実質的に転写手段の動作領域外に対応して設けることとする。
【0131】
その他、画像形成装置は、近年では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラーのものが多くなってきているが、画像形成装置は、モノカラー画像のみを形成可能なものであっても良い。
このような画像形成装置に用いる現像剤は、二成分現像剤に限らず、上述したのと同様のクリーニングレスとすることが可能な構成であれば一成分現像剤であっても良い。
【0132】
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機でなく、これらの単体であっても良いし、その他、プロッタであっても良く、また、複写機とプリンタとの複合機等の他の組み合わせの複合機であっても良い。
【0133】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0134】
11 中間転写体
11a 第1の部分
11b 第2の部分
11d 弾性層
11e 当該光沢度の部材
17 転写手段
20Y、20M、20C、20BK 像担持体
51 光源
52、53 検知手段
99 画像形成条件制御手段、発光強度調整手段
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0135】
【特許文献1】特開2010−44098号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に担持された像を転写される中間転写体と、
この中間転写体に向けて光を照射する光源と、
この光源によって照射された光の、前記中間転写体側からの反射光の強度を検知する検知手段と、
この検知手段によって検知された前記強度に応じて画像形成条件を制御する画像形成条件制御手段とを有し、
前記中間転写体は、その表面の光沢度が互いに異なる、第1の部分と、第1の部分よりも光沢度の高い第2の部分とを有し、
前記検知手段によって検知された第2の部分に対応する前記強度であって第2の部分の非画像形成部からの反射光の強度に応じて、前記光源によって照射される光の強度を調整する発光強度調整手段とを有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記中間転写体上の像を転写する転写手段を有し、
第2の部分は、前記転写手段の動作領域外に対応して設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
第1の部分は、弾性層を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
第2の部分は、主走査方向における前記中間転写体の両端部に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、
第2の部分は、前記中間転写体本体に塗料を塗布することによって形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、
第2の部分は、前記中間転写体本体に、その表面が当該光沢度の部材を貼り付けることによって形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成装置において、
第2の部分は、ポリイミド樹脂によって形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
その表面の光沢度が互いに異なる、第1の部分と、第1の部分よりも光沢度の高い第2の部分とを有し、像担持体上に担持された像を転写される中間転写体と、
この中間転写体に光を照射する光源と、
この光源によって照射された光の、前記中間転写体側からの反射光の強度を検知する検知手段と、
この検知手段によって検知された前記強度に応じて画像形成条件を制御する画像形成条件制御手段とを用い、
前記検知手段によって検知された第2の部分に対応する前記強度であって第2の部分の非画像形成部からの反射光の強度に応じて、前記光源によって照射される光の強度を調整する画像濃度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−194384(P2012−194384A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58344(P2011−58344)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】