説明

画像形成装置及び画像調整方法

【課題】画像調整処理の実行中に記録媒体が停止しても、当該画像調整処理を完了させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一の記録媒体が搬送途中で停止された際に、当該少なくとも一の記録媒体のうち、所定の搬送路の最も搬送方向上流側に存する最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了しているか否かを判定する。そして、最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了していないと判定されると、最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報を読み取らせるまで当該最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定し、最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定された場合に、当該搬送領域を利用して最終記録媒体を搬送させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式やインクジェット方式等を採用したカラープリンタ、カラー複写機などの画像形成装置では、出力画像の高画質化が求められている。特に、出力画像における濃度の階調とその安定性は、ユーザの画像評価に大きな影響を及ぼすこととなる。
また、画像形成装置は、設置環境の変化や長時間使用に起因する装置各部の変動に伴って出力画像の濃度に変動が生じて、カラーバランスを崩す虞もある。
【0003】
そこで、出力画像にて常に一定の濃度−階調特性を保つために、転写材にY、M、C、Kの各色のトナー像で形成されたパッチ画像の色ごとの出力濃度情報を、カラーセンサを利用して読み取って、読み取られた出力濃度情報と予め保有するカラーマッチングテーブル等とを対照することで、転写材上に形成する画像の濃度又は色度の制御を行う画像調整処理が知られている。
【0004】
ところで、パッチ画像は複数枚の転写紙に対して形成されることが多いが、上記した画像調整処理を行うためには同一の画像形成条件でパッチ画像を形成する必要がある。従って、画像調整処理の実行中にジャムなどのエラーが発生した場合、一から画像調整処理をやり直す必要があり、用紙やインク、トナーなどの記録材を無駄に消費してしまうという課題があった。
【0005】
そこで、複数枚の転写材上にパッチ画像を分割して形成する画像調整処理の実行中に所定のエラーが発生した場合、直ちに転写材の搬送を停止させ、エラー発生前にパッチ画像の読み取りを終了した転写材については同じパッチ画像の形成及び出力濃度情報の読み取りを行わずに画像調整処理を再開する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、記録材の無駄な消費を防ぐことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−132049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、画像調整処理の実行中にエラーが発生した場合、例えば、パッチ画像が形成された複数枚の転写紙のうち、最終の転写紙がカラーセンサを通過可能であっても、即ち、最終の転写紙からパッチ画像の出力濃度情報を読み取り可能であっても、転写紙の搬送を停止する処理が行われる。このため、既にパッチ画像が形成されているにも拘わらずカラーセンサを通過することができない転写紙は、依然として無駄となる。
【0008】
また、パッチ画像を同一の画像形成条件で形成する必要があるが、パッチ画像が形成された複数枚の転写紙のうち、最終の転写紙に形成されたパッチ画像の出力濃度情報を読み取っている最中にエラーが発生した場合にも、改めて最初の転写紙からパッチ画像の出力濃度情報の読み取りをやり直さなければならず、使い勝手が悪いといった課題もある。
【0009】
本発明は、画像調整処理の実行中に記録媒体が搬送途中で停止しても、当該画像調整処理を完了させることができる画像形成装置及び画像調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、画像形成装置において、記録媒体を所定の搬送路に沿って搬送方向に搬送させる搬送駆動部と、少なくとも一の記録媒体上にパッチ画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記画像形成部により形成されたパッチ画像の出力濃度情報を前記少なくとも一の記録媒体の各々から読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られたパッチ画像の出力濃度情報に基づいて、前記画像形成部による画像形成条件を調整する画像調整部と、前記少なくとも一の記録媒体の前記搬送駆動部による搬送を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記少なくとも一の記録媒体が搬送途中で停止された際に、当該少なくとも一の記録媒体のうち、前記所定の搬送路の最も搬送方向上流側に存する最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の前記画像読取部による読み取りが完了しているか否かを判定する読取判定部と、前記読取判定部によって前記画像読取部による前記最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了していないと判定された場合に、前記最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報を前記画像読取部により読み取らせるまで当該最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定する搬送領域判定部と、を有し、前記搬送領域判定部により前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定された場合に、当該搬送領域を利用して前記最終記録媒体を前記搬送駆動部により搬送させることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記搬送領域判定部は、前記所定の搬送路における前記最終記録媒体の停止位置から前記画像読取部までの第1距離を算出する第1距離算出部と、前記所定の搬送路における前記最終記録媒体の停止位置から下流側に当該最終記録媒体を搬送可能な第2距離を算出する第2距離算出部と、を有し、前記第1距離算出部により算出された第1距離と前記第2距離算出部により算出された第2距離とを比較判定し、前記第2距離が前記第1距離以上であると判定された場合に、前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記画像読取部よりも記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記搬送駆動部により搬送される前記最終記録媒体を検知する記録媒体検知部を更に備え、前記第1距離算出部は、前記記録媒体検知部により前記最終記録媒体が検知された時点から当該最終記録媒体の搬送が停止した時点までの時間に基づいて、前記第1距離を算出することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の画像形成装置において、記録媒体のジャムの発生を検知するジャム検知部を更に備え、前記第2距離算出部は、前記搬送駆動部により搬送される前記少なくとも一の記録媒体のうち、前記ジャム検知部により検知されたジャムが発生した記録媒体と前記最終記録媒体との間における隣り合う記録媒体どうしの間隔に基づいて、前記第2距離を算出することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記搬送領域判定部は、前記画像読取部よりも下流側に、前記搬送駆動部により搬送される前記記録媒体の搬送路として、前記所定の搬送路とは異なる搬送路が存するか否かを判定する搬送路判定部を更に有し、前記搬送路判定部により前記所定の搬送路とは異なる搬送路が存すると判定された場合に、前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記搬送領域判定部は、前記第2距離が前記第1距離よりも短いと判定された場合に、前記画像読取部よりも下流側に、前記搬送駆動部により搬送される前記記録媒体の搬送路として、前記所定の搬送路とは異なる搬送路が存するか否かを判定する搬送路判定部と、前記搬送路判定部により前記所定の搬送路とは異なる搬送路が存すると判定された場合に、前記最終記録媒体よりも下流側の記録媒体の搬送路を前記所定の搬送路とは異なる搬送路に切り替えて搬送させることに基づいて確保される、前記所定の搬送路における前記最終記録媒体の停止位置から下流側に当該最終記録媒体を搬送可能な第3距離を算出する第3距離算出部と、を更に有し、前記第1距離算出部により算出された第1距離と前記第3距離算出部により算出された第1距離とを比較判定し、前記第3距離が前記第1距離以上であると判定された場合に、前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、記録媒体を所定の搬送路に沿って搬送方向に搬送させる搬送駆動部と、少なくとも一の記録媒体上にパッチ画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記画像形成部により形成されたパッチ画像の出力濃度情報を前記少なくとも一の記録媒体の各々から読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られたパッチ画像の出力濃度情報に基づいて、前記画像形成部による画像形成条件を調整する画像調整部と、を備える画像形成装置を用いた画像調整方法であって、前記少なくとも一の記録媒体が搬送途中で停止した際に、当該少なくとも一の記録媒体のうち、前記所定の搬送路の最も搬送方向上流側に存する最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の前記画像読取部による読み取りが完了しているか否かを判定する処理と、前記画像読取部による前記最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了していないと判定された場合に、前記最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報を前記画像読取部により読み取らせるまで当該最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定する処理と、前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定された場合に、当該搬送領域を利用して前記最終記録媒体を前記搬送駆動部により搬送させる処理と、を行うことを特徴とする画像調整方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像調整処理の実行中に記録媒体が搬送途中で停止しても、最終記録媒体の停止位置から下流側の搬送領域を利用して当該最終記録媒体をパッチ画像の出力濃度情報を読み取らせるまで搬送させることができ、これにより、画像調整処理を完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示した図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置1の機能ブロック図である。
【図3】画像形成部110でパッチ画像が形成された転写紙Pの一例について示した図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置1内で行われる搬送制御処理の一例について示したフローチャートである。
【図5】搬送可能な距離を算出する処理の一例について示したフローチャートである。
【図6】搬送可能な距離を算出する処理が行われる様子の一具体例について説明した図である。
【図7】変形例1に係る画像形成装置1内で行われる搬送制御処理の一例について示したフローチャートである。
【図8】搬送ルートの切り替えが行われた後の様子の一具体例について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示した図である。また、図2は、画像形成装置1の機能ブロック図である。
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、例えば、デジタル複合機であり、プリンタ部100、後処理部200を備えている。
【0021】
プリンタ部100は、給紙された転写紙(記録媒体)に対して、各種画像データ(例えば原稿から読み取った画像データや外部装置等から受信した画像データ)に基づいてY(イエロー)、M(マジェンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色のトナー像を形成し、これを定着させて後処理部200に対して出力する。
具体的には、プリンタ部100は、画像形成部110、パッチ画像生成部120、画像調整部130、プリンタ制御部140、給紙ユニット150等を備えて構成される。
【0022】
画像形成部110は、像担持体である感光ドラム、感光ドラムの帯電を行う帯電部、画像データに基づいて感光ドラム表面を露光走査する露光部、感光ドラム上の静電潜像を現像する現像部、感光ドラム上に形成されたトナー像を記録媒体としての転写紙に転写する転写部、感光ドラム上の残トナーを除去するクリーニング部、転写紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等を備えて構成され、各種画像データに基づいて転写紙に画像形成を行う。
また、画像形成部110は、画像調整部130による画像調整処理にて、パッチ画像データに基づいて転写紙上に所定のパッチ画像(図3参照)を形成する。
【0023】
パッチ画像生成部120は、画像形成部110によるパッチ画像の形成に用いられるパッチ画像データを生成する。そして、パッチ画像生成部120は、生成したパッチ画像データをプリンタ制御部140の指示に従って画像形成部110に出力する。
このように、パッチ画像生成部120は、画像調整部130による画像調整処理に用いられるパッチ画像データを生成する。
【0024】
ここで、パッチ画像が形成された転写紙Pの一例について、図3に示す。
図3に示すように、パッチ画像は、一般的に、複数枚の転写紙P、…を利用して形成される。各転写紙P上には、Y、M、C、Kの4色のトナー像で形成された各色のパッチ画像が搬送方向と略直交する方向に並んで出力されている。これらY、M、C、Kの各パッチ画像は、搬送方向に沿って段階的に階調(出力濃度情報)が変化するように形成されている。なお、図中の矢印は、転写紙Pの搬送方向を示している。
【0025】
画像調整部130は、画像形成部110による画像形成条件を調整する。
即ち、画像調整部130は、画像形成部110により形成される画像(出力画像)にて常に一定の濃度−階調特性を保つように当該画像形成部110による画像形成条件を調整する。具体的には、画像調整部130は、後述する画像読取部220により読み取られた少なくとも一の転写紙のパッチ画像のY、M、C、Kの各色の出力濃度情報を取得して、当該出力濃度情報に基づいて、画像形成部110により形成される画像の濃度や色度などの画像形成条件を調整する。
このように、画像調整部130は、パッチ画像を利用した画像調整処理を完了するためには、全ての転写紙に形成されているパッチ画像の各色の出力濃度情報を取得することが必要である。
【0026】
プリンタ制御部140は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えて構成され、ROMに格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、プリンタ部100の各部を集中制御する。
【0027】
給紙ユニット150は、転写紙を格納する複数の給紙トレイを備えて構成され、これら給紙トレイに格納されている所定の転写紙を画像形成部110に対して給紙する。
なお、各給紙トレイには、例えば普通紙、裏紙、再生紙、上質紙等の紙種、色及びサイズが異なる転写紙を収容することが可能である。
【0028】
なお、本実施形態では、記録媒体として転写紙を用いる電子写真方式を適用した例を説明するが、記録媒体の種類や画像形成方式はこれに限られるものではなく、インクジェット方式、熱昇華方式等、他のプリント方式を適用することとしてもよい。
また、プリンタ部100は、上記した各構成の他に、原稿から画像データを読み取るスキャナ部や外部装置等から画像データを受信するI/F部等を備える構成としてもよい。
【0029】
後処理部200は、後処理部制御部210、画像読取部220、搬送駆動部230、転写紙検知部240、ジャム検知部250、搬送路切替部260等を備えて構成される。
また、後処理部200には、プリンタ部100から供給される転写紙を所定方向に搬送するための搬送路Rが設けられている。この搬送路Rは、例えば、各種のローラ、ベルト、ガイド等により構成されている。そして、搬送路Rに沿って上流側(プリンタ部100側)から下流側に搬送される転写紙は、当該搬送路Rの下流側に設けられた用紙排出部Tから排出される。
【0030】
後処理部制御部210は、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、ROMに格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。具体的には、後処理部制御部210は、画像読取部220を制御する読取制御部211と、搬送駆動部230、転写紙検知部240、ジャム検知部250及び搬送路切替部260を制御する搬送制御部212とを具備している。
また、後処理部制御部210(読取制御部211及び搬送制御部212)とプリンタ制御部140とは、所定の通信ネットワークNを介して相互にデータ通信可能に接続されている。
【0031】
画像読取部220は、画像形成部110よりも搬送方向下流側に、搬送路Rに沿って搬送される転写紙の画像形成面と対向するように配設されている。また、画像読取部220は、後処理部制御部210の読取制御部211の制御下にて駆動して、例えば、光源から照射され転写紙の画像形成面で反射した反射光を、CCD(Charge Coupled Device)などのイメージセンサにより読み取って、当該転写紙上に形成されたパッチ画像の各色の出力濃度情報を取得する。
画像読取部220により取得されたパッチ画像の出力濃度情報は、後処理部制御部210及びプリンタ制御部140を介して画像調整部130へと出力される。
【0032】
ここで、画像調整部130による画像調整処理にあっては、上記のように、全ての転写紙に形成されているパッチ画像の各色の出力濃度情報を取得する必要がある。このため、画像読取部220は、搬送路Rに沿って搬送される全ての転写紙に形成されているパッチ画像の各色の出力濃度情報を読み取ることを要する。
【0033】
搬送駆動部230は、複数の搬送ローラ231〜237と、これら搬送ローラ231〜237の各々を所定方向に回転駆動させる駆動用モータなどの複数の駆動源(図示略)とを備えて構成されている。
複数の搬送ローラ231〜237の各々は、後処理部200本体内の所定位置に配設されており、このうち、第1搬送ローラ231〜第6搬送ローラ236は、搬送路Rに沿って搬送方向上流側から下流側に所定間隔を空けて配置されている。そして、搬送駆動部230は、後処理部制御部210の搬送制御部212の制御下にて駆動して、駆動源により第1搬送ローラ231〜第6搬送ローラ236を所定方向に所定の回転速度で回転させる。これにより、搬送駆動部230は、プリンタ部100で画像形成された転写紙を略一定の所定の搬送速度(例えば、線速V等)で搬送路Rに沿って搬送させる。
ここで、複数の転写紙を連続して搬送する場合には、例えば、複数の搬送ローラの駆動力が一の転写紙に伝達されないように、連続する転写紙どうしを所定の時間間隔を空けて搬送する。これにより、パッチ画像が形成された複数の転写紙の搬送が完了せずに、当該転写紙が搬送路の中途部で停止した状態にて、搬送方向に隣り合う転写紙どうしの間に紙間が生じる。
【0034】
なお、第7搬送ローラ237は、第1搬送ローラ231〜第6搬送ローラ236等により構成される基準搬送ルート(搬送路R)とは異なる代替搬送ルートを構成するものである。
即ち、後述する搬送路切替部260によって搬送ルートの切替えが行われると、第1搬送ローラ231〜第6搬送ローラ236によって構成される基準搬送ルート(搬送路R)とは異なる代替搬送ルートに沿って転写紙の搬送が行われる。この代替搬送ルートでは、第4搬送ローラ234を経て下流側に送られる転写紙は、第5搬送ローラ235の代わりに第7搬送ローラ237側に搬送され、当該第7搬送ローラ237を経て下流側の第6搬送ローラ236へと送られる。
なお、本実施形態にあっては、第1搬送ローラ231〜第6搬送ローラ236等により構成される基準搬送ルート(搬送路R)に沿って転写紙の搬送が行われ、第7搬送ローラ237を用いる代替搬送ルートに沿った搬送については、当該画像形成装置1の変形例にて後述する。
【0035】
また、基準搬送ルート(搬送路R)や代替搬送ルートに沿って搬送される転写紙は、これらの搬送ルートに沿っている限り如何なる位置に存しても、第1搬送ローラ231〜第7搬送ローラ237のうちの何れか一の搬送ローラの駆動力が伝達可能な状態となっている。つまり、パッチ画像が形成された複数の転写紙の搬送が完了せずに、当該転写紙が搬送ルートの中途部で停止した状態であっても、ジャムが発生して移動不可の転写紙以外の転写紙に対しては、第1搬送ローラ231〜第7搬送ローラ237のうちの何れか一の搬送ローラの駆動力を伝達して搬送方向に移動可能となる。
【0036】
転写紙検知部240は、後処理部200本体内を所定の搬送ルート(基準搬送ルートや代替搬送ルート)に沿って搬送される転写紙(記録媒体)を検知する複数の位置検知センサ241〜245を備えている。
複数の位置検知センサ241〜245は、例えば、光学式のセンサであり、光源から光を照射して、搬送ルートに沿って搬送される転写紙により遮光されるか否かに応じて、転写紙の先端部(搬送方向下流側端部)や後端部(搬送方向上流側端部)の位置を検知する。
また、複数の位置検知センサ241〜245のうち、第1位置検知センサ241〜第4位置検知センサ244は、搬送路R(基準搬送ルート)に沿って搬送方向上流側から下流側に所定間隔を空けて配置されている。具体的には、第1位置検知センサ241は、画像読取部220よりも上流側に配置され、一方、第2位置検知センサ242〜第4位置検知センサ244は、画像読取部220よりも下流側に配置されている。
なお、第5位置検知センサ245は、代替搬送ルートに配置されており、代替搬送ルートに沿った搬送される転写紙を検知する。
【0037】
そして、転写紙検知部240は、複数の位置検知センサ241〜245の各々の位置検知信号に基づいて、搬送駆動部230により所定の搬送ルートに沿って搬送される転写紙の通過タイミングを検知する。転写紙検知部240は、検知された通過タイミング情報を後処理部制御部210の搬送制御部212に出力する。
なお、これらの通過タイミング情報は、後述する搬送制御処理等で用いられることとなる(後述)。
【0038】
ジャム検知部250は、搬送駆動部230による転写紙の搬送処理におけるジャム(紙詰まり)の発生を検知する。そして、ジャム検知部250は、検知されたジャム発生情報を後処理部制御部210の搬送制御部212に出力する。
【0039】
搬送路切替部260は、搬送路R(基準搬送ルート)における代替搬送ルートとの分岐点付近に配置されており、後処理部制御部210の搬送制御部212の指示に従って、転写紙を搬送するルートの切り替えを行う。
即ち、搬送路切替部260は、第4搬送ローラ234と第5搬送ローラ235との間に設けられ、搬送ルートの切替前(即ち、通常時の基準搬送ルート)にあっては、第4搬送ローラ234を経て下流側に送られる転写紙を、第5搬送ローラ235側に案内する。一方、搬送ルートが基準搬送ルートから代替搬送ルートに切り替えられると、第4搬送ローラ234を経て下流側に送られる転写紙を、第5搬送ローラ235側の代わりに第7搬送ローラ237側(代替搬送ルート側)に案内する。
なお、代替搬送ルートと基準搬送ルートは、第5搬送ローラ235(第7搬送ローラ237)の下流側にて合流し、代替搬送ルートを経て搬送される転写紙は、基準搬送ルート(第5搬送ローラ)を経て搬送される転写紙と同様に第6搬送ローラ236側に送られる。
【0040】
なお、後処理部200は、上記した各構成の他に、画像が形成された用紙のソート処理を行うソート部、パンチ処理を行うパンチ部、設定された綴じ位置に用紙の束を綴じるステイプル処理を行うステイプル部、折り処理を行う折り部、断裁処理を行う断裁部等を備える構成としてもよい。
【0041】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、記録媒体(転写紙)を所定の搬送路Rに沿って搬送方向に搬送させる搬送駆動部230と、複数の記録媒体上にパッチ画像を形成する画像形成部110と、画像形成部110よりも下流側に設けられ、画像形成部110により形成されたパッチ画像の出力濃度情報を複数の記録媒体の各々から読み取る画像読取部220と、画像読取部220により読み取られたパッチ画像の出力濃度情報に基づいて、画像形成部110による画像形成条件を調整する画像調整部130と、複数の記録媒体の搬送駆動部230による搬送を制御する搬送制御部212と、を備える。
【0042】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。
図4は、画像形成装置1内で行われる搬送制御処理の一例について示したフローチャートである。この搬送制御処理は、ジャム検知部250によりジャムの発生が検知されたことを契機に、後処理部制御部210(読取制御部211、搬送制御部212)のCPUがROMに格納されているプログラムを実行することにより実現される。
【0043】
図4に示すように、ステップS11では、画像読取部220による最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了しているか否かを判定する。最終パッチ画像とは、パッチ画像が形成された複数の転写紙のうち、最後の転写紙に形成されたパッチ画像のことである。最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了していると判定した場合(ステップS11:YES)は、これ以上転写紙の搬送を行う必要がないため、当該搬送制御処理を終了する。一方、最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了していないと判定した場合(ステップS11:NO)は、ステップS12へと移行する。
【0044】
ステップS12では、画像調整完了に必要な距離を算出する。画像調整完了に必要な距離とは、具体的には、最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了するまでの距離、即ち、最終パッチ画像が形成された最終転写紙が画像読取部220を通過するまでの距離のことである。画像調整完了に必要な距離Sは、下記式(1)に示す計算式を用いて計算される。
S=(D+L)−T×V …式(1)
なお、式(1)中のDは、画像読取部220から最終パッチ画像が形成された最終転写紙を検知した転写紙検知部240の第1位置検知センサ241までの距離である。また、Lは、転写紙の搬送方向の長さであり、Tは、転写紙検知部240が最終転写紙を検知した時点から当該転写紙の搬送が停止した時点までの時間であり、Vは転写紙の線速である。
【0045】
このように、画像形成装置1は、転写紙検知部240により最終パッチ画像が形成された最終転写紙が検知された時点から当該最終転写紙の搬送が停止した時点までの時間に基づいて、画像調整完了に必要な距離(第1距離)を算出する。
【0046】
ステップS13では、搬送可能な距離を算出する処理を行う。この搬送可能な距離を算出する処理について、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。以後、転写紙をPnと表記し、ジャムが発生した転写紙をP0、以降搬送される順にP1、P2、…と表記する。そして、最終パッチ画像が形成された最終転写紙をPfinと表記する。
【0047】
図5に示すように、ステップS131では、本処理において搬送可能な距離を算出するに当たり、ジャムが発生した転写紙P0を起点として搬送方向に隣り合う転写紙どうしの紙間を順次加算していくため、n=0を設定するとともに、搬送可能な距離に0を設定する。
【0048】
ステップS132では、nに1を加算する(n=n+1)。これにより、対象の転写紙Pnが一つ後で搬送される転写紙Pn+1へと移動する。
【0049】
ステップS133では、転写紙Pnが、ジャムが発生した搬送駆動部230の搬送ローラ(例えば、第6搬送ローラ236等)の駆動力により下流側に送る(搬送する)ことができるか否かを判定する。即ち、ジャムが発生した瞬間に、搬送駆動部230の全ての搬送ローラ231〜237を緊急停止させるようになっているが、ジャムが発生した転写紙P0の直ぐ後ろを搬送される転写紙P1は、転写紙P0との紙間が小さいと、転写紙P0の紙詰まりが発生している搬送ローラ(例えば、第6搬送ローラ236等)による駆動力伝達範囲(搬送可能範囲)内に進入する虞がある。
そこで、ステップS133にて、ジャムが発生した搬送ローラの駆動力により下流側に送ることができると判定した場合(ステップS133:YES)は、ステップS132へと移行し、対象を一つ後で搬送される転写紙Pn+1へと移動させる。一方、ジャムが発生した搬送ローラの駆動力により下流側に送ることができないと判定した場合(ステップS133:NO)は、ステップS134へと移行する。
【0050】
ステップS134では、搬送可能な距離に、転写紙Pnと一つ前で搬送される転写紙Pn-1との紙間の長さを加算する。
【0051】
ステップS135では、nに1を加算する(n=n+1)。これにより、対象の転写紙Pnが一つ後で搬送される転写紙Pn+1へと移動する。
【0052】
ステップS136では、転写紙Pnが、最終パッチ画像が形成された最終転写紙Pfinであるか否か、即ち、Pn=Pfinであるか否かを判定する。Pn=Pfinである場合(ステップS136:YES)は、ステップS137へと移行する。一方、Pn≠Pfinである場合(ステップS136:NO)は、ステップS134へと移行し、対象を一つ後で搬送される転写紙Pn+1へと移動させる。
【0053】
ステップS137では、搬送可能な距離に、最終転写紙Pfinと一つ前で搬送される転写紙Pfin-1との紙間の長さを加算する。これにより、ジャムが発生した転写紙P0から最終転写紙Pfinまでの各転写紙間における紙間を合算することとなるので、最終転写紙Pfinを搬送可能な距離を算出することができる。
【0054】
このように、画像形成装置1は、ジャムが発生した転写紙P0と最終パッチ画像が形成された最終転写紙Pfinとの間における隣り合う転写紙どうしの間隔に基づいて、搬送可能な距離(第2距離)を算出する。
【0055】
ここで、図6を用いて、具体的に搬送可能な距離を算出する処理が行われる様子の一例を説明する。なお、図中のXはジャムの発生地点を表し、P0〜P5は転写紙をそれぞれ表している。また、転写紙P3は最終転写紙(Pfin)である。
【0056】
図6に示すように、X地点で転写紙P0がジャムを起こしているので、一つ後で搬送される転写紙P1の位置を、直前に通過した転写紙検知部240(図6ではc)が検知した通過タイミング情報等に基づいて算出する。そして、図6では、転写紙P1を、ジャムが発生した搬送駆動部230の第6搬送ローラ236の駆動力により下流側に送ることができないので、転写紙P0と転写紙P1との間に紙間が存在することがわかる。
この紙間の長さは予め等間隔で設定されているものであるが、例えば両転写紙の位置情報等に基づいて算出することも可能である。紙間の長さは、搬送可能な距離に加算される。次に、転写紙P2の位置を算出するとともに、この転写紙P2が、最終転写紙Pfin(図6ではP3)であるか否かを判定する。図6では、転写紙P2は最終転写紙Pfinではないので、P1−P2間の紙間の長さを搬送可能な距離に加算する。
以下、最終パッチ画像が形成された最終転写紙Pfinの位置を算出するまで上記処理を繰り返す。最終転写紙Pfinの位置が算出されると、当該最終転写紙Pfinと一つ前で搬送される転写紙Pfin-1(図6ではP2)との紙間の長さを搬送可能な距離に加算する。これにより、ジャムが発生した転写紙P0から最終転写紙Pfinまでの各転写紙間における紙間を合算することとなるので、最終転写紙Pfinの搬送可能な距離を算出することができる。
【0057】
次に、図4のステップS14では、ステップS12で算出された画像調整完了に必要な距離とステップS13で算出された搬送可能な距離とを比較し、当該最終転写紙を搬送可能な距離が画像調整完了に必要な距離以上であるか否かを判定する。最終転写紙を搬送可能な距離が画像調整完了に必要な距離以上であると判定した場合(ステップS14:YES)は、ステップS15へと移行する。一方、搬送可能な距離が画像調整完了に必要な距離未満であると判定した場合(ステップS14:NO)は、最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りを完了させることができないため、当該搬送制御処理を終了し、また最初のパッチ画像の読み取りからやり直すこととなる。
【0058】
ステップS15では、最終パッチ画像が形成された最終転写紙Pfinが画像読取部220のセンサ領域を通過するまで、各転写紙の搬送を行う。具体的には、例えば、ジャムが発生した転写紙以外の転写紙であって、搬送方向下流側に送ることができる転写紙のうち、最も下流側の転写紙から順次下流側に送る動作を行う。つまり、最も下流側の転写紙P1は、第3搬送ローラ233の駆動により当該転写紙よりも一つ下流側の転写紙P0との紙間の分だけ下流側に送られる。そして、最も下流側の転写紙よりも一つ上流側の転写紙P2は、第2搬送ローラ232の駆動により当該転写紙よりも一つ下流側の転写紙P1との紙間に加えて、転写紙P1と転写紙P0との紙間の分だけ下流側に送られる。この動作を最終パッチ画像が形成された最終転写紙Pfinが画像読取部220のセンサ領域を通過するまで繰り返し行う。
このように、最終転写紙よりも下流側の転写紙を下流側に移動させることで生じた搬送可能な領域を利用することで、最終転写紙の画像読取部220のセンサ領域を通過するまでの送り動作、即ち、最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りを完了させることができる。
【0059】
このように、搬送制御部212は、複数の転写紙の搬送が所定の搬送路Rの途中で停止された際に、これら複数の転写紙のうち、所定の搬送路Rの最も上流側に存する最終転写紙上のパッチ画像(最終パッチ画像)の出力濃度情報の画像読取部220による読み取りが完了しているか否かを判定する読取判定部として機能する。
また、搬送制御部212は、読取判定部によって画像読取部220による最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了していないと判定された場合に、最終パッチ画像の出力濃度情報を画像読取部220により読み取らせるまで当該最終転写紙を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定する搬送領域判定部として機能する。
そして、搬送制御部212は、搬送領域判定部により最終転写紙を搬送可能な搬送領域が存すると判定された場合に、当該搬送領域を利用して最終転写紙を搬送駆動部230により搬送させる。
【0060】
また、搬送制御部212の搬送領域判定部は、所定の搬送路Rにおける最終転写紙の停止位置から画像読取部220までの第1距離を算出する第1距離算出部として機能する。
また、搬送制御部212の搬送領域判定部は、所定の搬送路Rにおける最終転写紙の停止位置から下流側に当該最終転写紙を搬送可能な第2距離を算出する第2距離算出部として機能する。
そして、搬送制御部212は、第1距離算出部により算出された第1距離と第2距離算出部により算出された第2距離とを比較判定し、第2距離が第1距離以上であると判定された場合に、最終転写紙を搬送可能な搬送領域が存すると判定する。
【0061】
従って、搬送路Rの下流側でジャムが発生して転写紙の搬送が停止された場合(ジャムの発生地点X;図6参照)であっても、最終転写紙の停止位置から下流側の搬送領域(即ち、最終パッチ画像が形成された最終転写紙を搬送することが可能な距離)を十分確保することができ、当該搬送領域を利用して最終転写紙をパッチ画像の出力濃度情報を読み取らせるまで搬送させることができ、画像調整処理(最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取り)を完了させることができる。
また、記録材の無駄な消費を防ぐことができるとともに、再度画像調整処理を行う必要がなくなるため、費用や時間面でのコストを削減することができる。
【0062】
<変形例1>
図7は、変形例1に係る画像形成装置1内で行われる搬送制御処理の一例について示したフローチャートである。なお、変形例1は、搬送可能な距離が画像調整完了に必要な距離未満であると判定した場合に搬送路の切り替えを行うことで搬送可能な距離を確保した点において、上記実施形態と異なる。
【0063】
図7に示すように、ステップS21〜ステップS23は、図4に示した搬送制御処理におけるステップS11〜ステップS13と同様の処理を行うため、説明を省略する。
【0064】
ステップS24では、ステップS22で算出された画像調整完了に必要な距離とステップS23で算出された搬送可能な距離とを比較し、搬送可能な距離が画像調整完了に必要な距離以上であるか否かを判定する。搬送可能な距離が画像調整完了に必要な距離以上であると判定した場合(ステップS24:YES)は、ステップS25へと移行する。
ステップS25では、上記実施形態におけるステップS15と同様に、最終パッチ画像が形成された最終転写紙Pfinが画像読取部220のセンサ領域を通過するまで、各転写紙の搬送を行う。これにより、最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りを完了させることができる。
【0065】
一方、ステップS24にて、搬送可能な距離が画像調整完了に必要な距離未満であると判定した場合(ステップS24:NO)は、ステップS26へと移行する。
ステップS26では、切り替え可能な搬送路(代替搬送ルート)が存在するか否かを判定する。切り替え可能な搬送路が存在すると判定した場合(ステップS26:YES)は、ステップS27へと移行する。一方、切り替え可能な搬送路が存在しないと判定した場合(ステップS26:NO)は、最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りを完了させることができないため、当該搬送制御処理を終了し、また最初のパッチ画像の読み取りからやり直すこととなる。
【0066】
ステップS27では、搬送路切替部260を制御することにより、搬送路の切り替えを行う。搬送路の切り替えが完了すると、ステップS23へと移行し、再度搬送可能な距離を算出する処理を行って、転写紙搬送の可否を判定することとなる。
【0067】
ここで、図8を用いて、具体的に搬送路の切り替えが行われた後の様子の一例を説明する。図8は、図6の状態から搬送路切替部260を制御して搬送路の切り替えを行った後、最終パッチ画像が形成された最終転写紙P3が画像読取部220のセンサ領域を通過するまで転写紙P2及びP3の搬送が行われた様子について示した図である。
【0068】
図8に示すように、変形例1に係る画像形成装置1は、搬送制御処理において、搬送可能な距離が画像調整完了に必要な距離未満であると判定した場合、搬送路切替部260を制御して搬送路の切り替えを行う。図8には、搬送路Rから代替搬送ルートへと搬送路の切り替えが行われた様子が示されている。代替搬送ルートへと搬送路Rの切り替えが行われると、新たに搬送可能な距離を算出し、算出された距離が画像調整完了に必要な距離以上であるか否かを判定する(説明の都合上、ここでは画像調整完了に必要な距離以上であるものとする)。新たに搬送可能な距離は、例えば搬送路切替部260よりも上流に存する転写紙のうち最も下流側の転写紙(図8ではP2)が、代替搬送ルートの終端まで到達するまでの搬送距離を計算することで算出される。画像調整完了に必要な距離以上であると判定されると、搬送路切替部260から最終転写紙Pfinまでの間に存在する転写紙(図8ではP2及びP3)の搬送を行う。具体的には、搬送路切替部260よりも上流に存する転写紙のうち最も下流側の転写紙P2の搬送を行うために第4搬送ローラ234を回転させ、一つ上流側の転写紙P3の搬送を行うために第3搬送ローラ233を回転させる。この動作を最終パッチ画像が形成された最終転写紙Pfinが画像読取部220のセンサ領域を通過するまで繰り返し行う。これにより、最終パッチ画像が形成された最終転写紙Pfinが画像読取部220のセンサ領域を通過するまで転写紙の送り動作、即ち、最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取りを完了させることができる。
【0069】
このように、搬送制御部(搬送領域判定部)212は、第2距離が第1距離よりも短いと判定された場合に、画像読取部220よりも下流側に、搬送駆動部230により搬送される転写紙の搬送路として、所定の搬送路Rとは異なる搬送路が存するか否かを判定する搬送路判定部として機能する。
また、搬送制御部(搬送領域判定部)212は、搬送路判定部により所定の搬送路Rとは異なる搬送路が存すると判定された場合に、最終転写紙よりも搬送方向下流側の転写紙の搬送路を所定の搬送路Rとは異なる搬送路に切り替えて搬送させることに基づいて確保される、所定の搬送路Rにおける最終転写紙の停止位置から下流側に当該最終転写紙を搬送可能な第3距離を算出する第3距離算出部として機能する。
搬送制御部(搬送領域判定部)212は、第1距離算出部により算出された第1距離と第3距離算出部により算出された第1距離とを比較判定し、第3距離が第1距離以上であると判定された場合に、最終転写紙を搬送可能な搬送領域が存すると判定する。
【0070】
これにより、例えば図8に示した搬送路切替部260のように所定の搬送路Rとは異なる搬送路への切替手段によって、最終転写紙よりも下流側の転写紙をさらに下流側に搬送することが可能な距離をより長く確保することができ、この結果、最終転写紙を搬送可能な搬送領域を確保して、画像調整処理(最終パッチ画像の出力濃度情報の読み取り)を完了させることができる。
【0071】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0072】
例えば、上記変形例では、二つの搬送路を備える構成を例示しているが、この限りではない。より多くの搬送路を備えることが可能であれば、搬送可能な距離をより長く確保することが可能となり、本発明の効果をより有効なものとすることができる。
また、上記変形例では、搬送路の切り替えを行った後に再度搬送可能な距離を算出するようにしているが、先に搬送路切り替え後の搬送可能な距離を算出し、算出した距離が画像調整完了に必要な距離以上であると判定した場合に、搬送路の切り替えを行うようにしてもよい。
また、上記変形例では、所定の搬送路とは異なる搬送路が存すると判定した場合に、第3距離を算出して最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定するようにしているが、所定の搬送路とは異なる搬送路が存すると判定した場合に、自動的に最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、転写紙の搬送が所定の搬送路Rの途中で停止される場合として、ジャムを例示して説明しているが、ジャム以外の搬送に係るエラー(例えば装置の故障等)を検出する機能を設けることで、ジャム以外の搬送エラーに対しても本発明を適用することが可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、転写紙検知部240により最終パッチ画像が形成された最終転写紙が検知された時点から当該最終転写紙の搬送が停止した時点までの時間に基づいて、画像調整完了に必要な距離(第1距離)を算出するようにしているが、この限りではなく、画像調整完了に必要な距離を算出することが可能であればいかなる算出方法を用いてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、ジャムが発生した転写紙P0と最終転写紙Pfinとの間における隣り合う転写紙どうしの間隔に基づいて、搬送可能な距離(第2距離)を算出するようにしているが、この限りではなく、搬送可能な距離を算出することが可能であればいかなる算出方法を用いてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、パッチ画像が複数枚の転写紙を利用して形成される場合を例示して説明しているが、パッチ画像が一枚の場合にも本発明を適用することが可能である。この場合、画像形成部110は、少なくとも一の記録媒体上にパッチ画像を形成する。
【0077】
その他、画像形成装置1を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成装置
100 プリンタ部
110 画像形成部
120 パッチ画像生成部
130 画像調整部
140 プリンタ制御部
150 給紙ユニット
200 後処理部
210 後処理部制御部
211 読取制御部
212 搬送制御部
220 画像読取部
230 搬送駆動部
240 転写紙検知部
250 ジャム検知部
260 搬送路切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を所定の搬送路に沿って搬送方向に搬送させる搬送駆動部と、
少なくとも一の記録媒体上にパッチ画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記画像形成部により形成されたパッチ画像の出力濃度情報を前記少なくとも一の記録媒体の各々から読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られたパッチ画像の出力濃度情報に基づいて、前記画像形成部による画像形成条件を調整する画像調整部と、
前記少なくとも一の記録媒体の前記搬送駆動部による搬送を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記少なくとも一の記録媒体が搬送途中で停止された際に、当該少なくとも一の記録媒体のうち、前記所定の搬送路の最も搬送方向上流側に存する最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の前記画像読取部による読み取りが完了しているか否かを判定する読取判定部と、
前記読取判定部によって前記画像読取部による前記最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了していないと判定された場合に、前記最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報を前記画像読取部により読み取らせるまで当該最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定する搬送領域判定部と、を有し、
前記搬送領域判定部により前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定された場合に、当該搬送領域を利用して前記最終記録媒体を前記搬送駆動部により搬送させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送領域判定部は、
前記所定の搬送路における前記最終記録媒体の停止位置から前記画像読取部までの第1距離を算出する第1距離算出部と、
前記所定の搬送路における前記最終記録媒体の停止位置から下流側に当該最終記録媒体を搬送可能な第2距離を算出する第2距離算出部と、を有し、
前記第1距離算出部により算出された第1距離と前記第2距離算出部により算出された第2距離とを比較判定し、前記第2距離が前記第1距離以上であると判定された場合に、前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像読取部よりも記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記搬送駆動部により搬送される前記最終記録媒体を検知する記録媒体検知部を更に備え、
前記第1距離算出部は、
前記記録媒体検知部により前記最終記録媒体が検知された時点から当該最終記録媒体の搬送が停止した時点までの時間に基づいて、前記第1距離を算出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体のジャムの発生を検知するジャム検知部を更に備え、
前記第2距離算出部は、
前記搬送駆動部により搬送される前記少なくとも一の記録媒体のうち、前記ジャム検知部により検知されたジャムが発生した記録媒体と前記最終記録媒体との間における隣り合う記録媒体どうしの間隔に基づいて、前記第2距離を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送領域判定部は、
前記画像読取部よりも下流側に、前記搬送駆動部により搬送される前記記録媒体の搬送路として、前記所定の搬送路とは異なる搬送路が存するか否かを判定する搬送路判定部を更に有し、
前記搬送路判定部により前記所定の搬送路とは異なる搬送路が存すると判定された場合に、前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送領域判定部は、
前記第2距離が前記第1距離よりも短いと判定された場合に、前記画像読取部よりも下流側に、前記搬送駆動部により搬送される前記記録媒体の搬送路として、前記所定の搬送路とは異なる搬送路が存するか否かを判定する搬送路判定部と、
前記搬送路判定部により前記所定の搬送路とは異なる搬送路が存すると判定された場合に、前記最終記録媒体よりも下流側の記録媒体の搬送路を前記所定の搬送路とは異なる搬送路に切り替えて搬送させることに基づいて確保される、前記所定の搬送路における前記最終記録媒体の停止位置から下流側に当該最終記録媒体を搬送可能な第3距離を算出する第3距離算出部と、を更に有し、
前記第1距離算出部により算出された第1距離と前記第3距離算出部により算出された第1距離とを比較判定し、前記第3距離が前記第1距離以上であると判定された場合に、前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録媒体を所定の搬送路に沿って搬送方向に搬送させる搬送駆動部と、
少なくとも一の記録媒体上にパッチ画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記画像形成部により形成されたパッチ画像の出力濃度情報を前記少なくとも一の記録媒体の各々から読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られたパッチ画像の出力濃度情報に基づいて、前記画像形成部による画像形成条件を調整する画像調整部と、を備える画像形成装置を用いた画像調整方法であって、
前記少なくとも一の記録媒体が搬送途中で停止した際に、当該少なくとも一の記録媒体のうち、前記所定の搬送路の最も搬送方向上流側に存する最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の前記画像読取部による読み取りが完了しているか否かを判定する処理と、
前記画像読取部による前記最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報の読み取りが完了していないと判定された場合に、前記最終記録媒体上のパッチ画像の出力濃度情報を前記画像読取部により読み取らせるまで当該最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存するか否かを判定する処理と、
前記最終記録媒体を搬送可能な搬送領域が存すると判定された場合に、当該搬送領域を利用して前記最終記録媒体を前記搬送駆動部により搬送させる処理と、を行うことを特徴とする画像調整方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−227353(P2011−227353A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98345(P2010−98345)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】