説明

画像形成装置

【課題】 表面と裏面に転写されるトナー画像の傾きや位置をそろえて印刷することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、用紙の表面にマークを転写する表面転写手段と、上記マークが表面に転写された用紙の表裏を反転させる反転手段と、反転された用紙の表面に転写されたマークを読み取る読取手段と、読み取られたマークの位置と傾きに基づいて裏面に転写される画像データを補正する補正手段と、補正された裏面の画像データを用紙の裏面に転写する裏面転写手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面印刷可能なプリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、従来のカラーの画像形成装置100の転写部を示す。トナー画像が転写される用紙は、手差しトレイ101又は給紙カセット102からピックアップローラ103、104によって引き出され、レジストローラ105を介して、搬送ベルト106へ搬送される。搬送ベルト106に搬送された用紙は、搬送ベルト106によって、Y・M・C・K各色の感光ドラム107と転写ローラ108の間に搬送される。感光ドラム107と転写ローラ108の間を通過する際に、感光ドラム107に形成されたトナー画像が用紙の感光ドラム側の表面に転写される。各色の感光ドラム107と転写ローラ108の間を通過した用紙は、定着ローラ109と加圧ローラ110の間を通過し、この通過によって転写されたトナー画像が表面に定着される。定着ローラ109と加圧ローラ110の先には、排紙トレイ112へ用紙を排紙させるか、搬送ベルト106に用紙を戻すかを切り替える分岐弁115がある。片面印刷の場合は、分岐弁115は、排紙トレイ112に排紙させる側になっており、両面印刷の場合は、搬送ベルト106に戻す側になっている。
【0003】
片面印刷の場合、定着ローラ109と加圧ローラ110を通過した用紙は、分岐弁115の案内によって排紙ローラ111に送られ、排紙ローラ111によって排紙トレイ112に排紙される。
【0004】
両面印刷の場合、定着ローラ109と加圧ローラ110を通過した用紙は、分岐弁115の案内によって、反転用の搬送ローラ113に搬送され、反転用の搬送ローラ113よって、搬送ベルト106の下方にあるスイッチバック機構に搬送される。スイッチバック機構の搬送ローラ114は、用紙の後端を先頭にして用紙を上記のレジストローラ105を介して搬送ベルト106に搬送する。
【0005】
これにより2度目に搬送ベルト106に搬送されたときは、用紙の表裏が逆転しており、用紙の裏面にトナー画像が転写できる状態になる。2度面に搬送ベルト106に搬送されたときは、用紙は各色の感光ドラム107と転写ローラ108の間を搬送され、その後は片面印刷時と同じように、定着ローラ109と加圧ローラ110を介して、排紙トレイ112に排紙される。
【0006】
上記のような構成の転写部を備えた画像形成装置100において両面印刷が行われる場合、表面と裏面のトナー画像の傾きや位置が一致しない場合がある。表面と裏面のトナー画像にずれが生じる原因は、表面にトナー画像が転写されてから、裏面を感光ドラム107側に向けて搬送ベルト106に用紙を搬送するための搬送ローラ113、114の回転軸が正確に取り付けられていないなどの取付け誤差等である。取付け誤差があると、1度目の搬送された際と、2度目に搬送された際の用紙の傾きが異なったり、主走査方向(搬送方向に対して左右方向)の位置が異なったりする。用紙の傾きや主走査方向の位置が異なることによって、表面と裏面のトナー画像間に傾きや位置のずれが発生する。
【0007】
表面と裏面のトナー画像を一致させるために、記録紙の両面にマークを印刷して両面のマークのずれ量を算出し、それ以降に行われる両面印刷時に、算出されたずれ量に基づいて表面と裏面のトナー画像を形成する技術が特開2003−173109に開示されている。
【特許文献1】特開2003−173109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の技術では、両面印刷時の表面と裏面のトナー画像間のずれ量を前もって算出する必要がある。
【0009】
本発明は、前もってずれ量を検知すること無く、表面と裏面のトナー画像の傾きや位置をそろえて印刷することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、用紙の表面にマークを転写する表面転写手段と、上記のマークが表面に転写された用紙の表裏を反転させる反転手段と、反転された用紙の表面に転写されたマークを読み取る読取手段と、読み取られたマークの位置と傾きに基づいて裏面に転写される画像データを補正する補正手段と、補正された裏面の画像データを用紙の裏面に転写する裏面転写手段を備える。
【0011】
上記マークは、目立たないように、イエローのトナーで転写されたり、独立点で転写されたりするのが好ましい。また、上記マークは、トナー画像が転写される領域外である余白に転写されるのが好ましい。
【0012】
上記反転手段は、表面にマークが転写されてから検知手段にマークが検知されるまでの間に用紙の裏表を反転させたり、検知手段が検知できる位置まで用紙を搬送したりする手段である。
【0013】
また、表面と裏面の画像データ間のずれをなくすためには、上記補正手段の補正は、裏面に画像データを転写する直前に検知手段の検知結果に基づいて行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置は、表面にマークが転写されて用紙が反転された後に、表面のマークの位置や傾きに基づいて裏面の画像データを補正するので、前もってずれ量を算出しなくても、表面と裏面に転写されるトナー画像の傾きや位置をそろえて印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施の形態の画像形成装置100の転写部を図1に示す。図1に示すように、本実施の形態の画像形成装置100の転写部の構成は、マーク検知センサ120が設けられている点を除いて図6に示す従来の画像形成装置100と同じである。なお、以下では、説明のために従来の画像形成装置100と同じ部材については、従来の画像形成装置100の部材と同じ符号を用いる。
【0016】
本実施の画像形成装置100は、従来の画像形成装置と同様に、片面印刷と両面印刷をすることができる。片面印刷命令が画像形成装置100の操作パネル(図示しない)を介してユーザから入力されると、図2に示す画像形成装置100の印刷制御手段201は、搬送手段202に片面印刷命令が入力された旨を通知する(図5、S501)。搬送手段202は、片面印刷命令が入力された旨が通知されると、定着ローラ109と加圧ローラ110の間を通過した用紙が排紙トレイ112に排紙されるように、分岐弁115を切り替える。次に、搬送手段201は、ピックアップローラ103又はピックアップローラ104で手差しトレイ101又は給紙カセット102から用紙を引き出して、引き出した用紙をレジストローラ105を介して、搬送ベルト106へ搬送する。用紙を搬送ベルト106に搬送すると、搬送手段202は、搬送ベルト106を駆動して定着ローラ109と加圧ローラ110側に用紙を送る。
【0017】
上記の用紙の搬送中にレジストローラ105を用紙が通過すると、搬送手段202は、印刷制御手段201にその旨を通知する。レジストローラ105を用紙が通過した旨が通知されると、印刷制御手段201は、ユーザから片面印刷命令が入力されている場合は片面印刷命令を表面転写手段203に出す。
【0018】
片面印刷命令が出されると、表面転写手段203は、片面印刷命令に対応する画像データを取得して、取得した画像データに対応するY・M・C・K各色のトナー画像を各色の感光ドラム107に形成する。表面転写手段203が行う感光ドラム107へのトナー画像の形成は、図3に示す感光ドラム107を一様に帯電させる帯電器301と、潜像を感光ドラム107に形成するレーザ302と、潜像にトナーを付着させて可視像を形成する現像器303を用いて行われる。
【0019】
表面転写手段203は、搬送ベルト106で搬送されている用紙の表面に、各色の感光ドラム107に形成したトナー画像を転写する(図5、S502)。
【0020】
搬送手段201は、用紙を定着ローラ109と加圧ローラ110の間を通過すると、排紙手段204にその旨を通知する。用紙が定着ローラ109と加圧ローラ110を通過したことが通知されると、排紙手段204は、排紙ローラ111を駆動して、定着ローラ109と加圧ローラ110の間を通過した用紙を排紙トレイ112に排紙する。
【0021】
一方、両面印刷命令が入力されたときは(図5、S501)、印刷制御手段201は、搬送手段202に両面印刷命令が入力された旨を通知する。搬送手段202は、両面印刷命令が入力された旨が通知されると、定着ローラ109と加圧ローラ110の間を通過した用紙が反転機構に搬送されるように分岐弁115を切り替える。
【0022】
次に、搬送手段201は、ピックアップローラ103又はピックアップローラ104で手差しトレイ101又は給紙カセット102から用紙を引き出して、引き出した用紙をレジストローラ105を介して、搬送ベルト106へ搬送する。用紙を搬送ベルト106に搬送すると、搬送手段202は、搬送ベルト106を駆動して定着ローラ109と加圧ローラ110側に用紙を送る。
【0023】
上記の用紙の搬送中にレジストローラ105を用紙が通過すると、搬送手段202は、印刷制御手段201にその旨を通知する。レジストローラ105を用紙が通過した旨が通知されると、印刷制御手段201は、ユーザから両面印刷命令が入力されている場合は両面印刷命令を表面転写手段203に出す。
【0024】
両面印刷命令が出されると、表面転写手段203は、両面印刷命令に対応する両面の画像データのうち表面の画像データを取得する。表面の画像データを取得すると、表面転写手段203は、取得した表面の画像データにマークの画像データを付加する。マークとは、図4に示すように、用紙の表面の上端(搬送方向の先端)に転写される目印401である。尚、取得した表面の画像データ403の転写されない余白402にマークが転写されるように、取得した表面の画像データにマークの画像データを付加するのが好ましい。
【0025】
マークの画像データを表面の画像データに付加すると、表面転写手段203は、マークの画像データを付加した表面の画像データに対応するY・M・C・K各色のトナー画像を各色の感光ドラム107に形成する。表面転写手段203は、搬送ベルト106で搬送されている用紙に、各色の感光ドラム107に形成したトナー画像を転写する(図5、S503)。
【0026】
両面印刷命令が入力された旨が印刷制御手段201から通知されている場合、搬送手段201は、定着ローラ109と加圧ローラ110の間を用紙が通過すると、反転手段205にその旨を通知する。用紙が定着ローラ109と加圧ローラ110を通過したことが通知されると、反転手段205は、反転用の搬送ローラ113を駆動して、定着ローラ109と加圧ローラ110の間を通過した用紙をスイッチバック機構に搬送する。さらに、反転手段205は、スイッチバック機構に用紙が搬送されると、搬送ローラ114を駆動して、用紙の後端を先頭にして、用紙を上記のレジストローラ105を介して搬送ベルト106に搬送する。このスイッチバックによって、用紙は、画像データやマークが転写された表面を搬送ベルト側(図面1の下側)に向けた状態で搬送ベルト106に搬送される(図5、S504)。
【0027】
レジストローラ105を用紙が通過すると、反転手段205は、レジストローラ105を用紙が通過した旨を搬送手段201に通知する。レジストローラ105を用紙が通過した旨が通知されると、搬送手段201は搬送ベルト106を駆動して用紙を定着ローラ109と加圧ローラ110側に搬送する。
【0028】
また、反転手段205は、スイッチバック機構の搬送ローラ114を駆動して用紙を搬送ベルト106に搬送すると、検知手段206にマークの検知を指示する。検知手段206はマークの検知の指示があると、レジストローラ105と搬送ベルト106の間の用紙の搬送路の下方に設けられた検知センサ120にて、検知センサ120の上方を通過する用紙の読み取りを開始する。
【0029】
検知手段206は、検知センサ120を用いて読み取った画像データからマークの画像データを抽出し、抽出したマークの傾き及び位置を補正手段207に入力する(図5、S505)。
【0030】
マークの傾き及び位置が入力されると、補正手段207は、入力された傾き及び位置に基づいて、表面と裏面のトナー画像の傾きや位置がそろうように、両面印刷命令に対応する裏面の画像データを補正する(図5、S506)。裏面の画像データを補正すると、補正手段207は、補正した裏面の画像データを裏面転写手段208に入力する。
【0031】
裏面の画像データが入力されると、裏面転写手段208は、入力された裏面の画像データに対応するトナー画像を各色の感光ドラム107に形成する。裏面転写手段208が行う感光ドラム107へのトナー画像の形成は、表面転写手段203にも利用される図3に示す帯電器301と、レーザ302と、現像器303を用いて行われる。
【0032】
裏面転写手段208は、搬送ベルト106で搬送されている用紙に、各色の感光ドラム107に形成したトナー画像を転写する(図5、S507)。
【0033】
搬送手段201は、用紙を定着ローラ109と加圧ローラ110の間を通過すると、排紙手段204にその旨を通知する。用紙が定着ローラ109と加圧ローラ110を通過したことが通知されると、排紙手段204は、排紙ローラ111を駆動して、定着ローラ109と加圧ローラ110の間を通過した用紙を排紙トレイ112に排紙する。
【0034】
よって、裏面の画像データに対応するトナー画像を転写する前の用紙の傾きや位置に基づいて裏面の画像データを補正することで、前もってずれ量を算出しなくても、裏面の画像データと表面の画像データの傾きや位置をそろえて印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の転写部の断面図。
【図2】本発明を適用した画像形成装置の概略機能ブロック図。
【図3】本発明を適用した画像形成装置の感光ドラム周辺の拡大図。
【図4】マークが転写された表面の模式図。
【図5】本発明を適用した画像形成装置の動作を示すフローチャート。
【図6】従来の画像形成装置の転写部の断面図。
【符号の説明】
【0036】
100 画像形成装置
201 印刷手段
202 搬送手段
203 表面転写手段
204 排紙手段
205 反転手段
206 検知手段
207 補正手段
208 裏面転写手段
401 マーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の表面にマークを転写する表面転写手段と、
上記マークが表面に転写された用紙の表裏を反転させる反転手段と、
反転された用紙の表面に転写されたマークを読み取る読取手段と、
読み取られたマークの位置と傾きに基づいて裏面に転写される画像データを補正する補正手段と、
補正された裏面の画像データを用紙の裏面に転写する裏面転写手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記表面転写手段は、上記マークをイエローで転写する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記表面転写手段は、上記マークを独立点で転写する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記表面転写手段は、上記マークを用紙の余白部に転写する請求項1に記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−126550(P2006−126550A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315506(P2004−315506)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】