説明

画像形成装置

【課題】 異常な状態が放置されることを防ぎ、安全な使用を保全することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置は、装置の異常を検出すると(S11)、まずエラーメッセージを送信する(S12)。ついで、発光による通知、音による通知を行なったあと、管理者に通報する(S13〜S15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、外部から画像形成装置の監視が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、装置に異常が発生した場合に、装置の周囲にその旨を報知する機構が設けられている。
【0003】
たとえば、特開2002−234236号公報(特許文献1)においては、印刷ジョブデータの印刷状況に応じて、その印刷状況に対応する音声または光のデータを基に、音声または光を発生して、印刷状況を報知している。ファクシミリ機能を有する複写機が一般に知られている。
【0004】
また、特開2000−132009号公報(特許文献2)は、装置の設置されたオフィス内等で、離れた位置でも、稼働状態を視認できる画像形成装置を開示している。
【0005】
特開平7−156461号公報(特許文献3)は、印刷開始通知、警告音等を判別した識別番号に対応して、異った音色を発生するプリンタを開示している。
【特許文献1】特開2002−234236号公報(段落番号0005等)
【特許文献2】特開2000−132009号公報(段落番号0007等)
【特許文献3】特開平7−156461号公報(段落番号0006等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の報知手段を有する画像形成装置は、上記のように構成されていた。従来の報知機構を有する画像形成装置においては、このような報知により、直ちに異常が解消されることが前提とされている。
【0007】
しかしながら、装置の周辺に人がいなかったり、また、プリンタにおいては、印字者が不明である場合も多く、動作状況を報知しているにもかかわらず、長時間にわたって異常な状態が放置されることもしばしばある。なお、ここで、異常な状態とは、複写機においては、紙詰まり、紙切れ、セキュリティ異常、システム異常等をいう。
【0008】
この発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、異常な状態が放置されることを防ぎ、安全な使用を保全することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る、画像形成装置は、装置の異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段によって検出された異常を報知する報知手段とを含み、報知手段は、装置を管理する管理者に報知する管理者報知手段を含む。
【0010】
好ましくは、報知手段は、管理者報知手段以外の、複数の別の方法による外部報知手段を有し、異常検出手段が検出した異常の内容に応じて、複数の外部報知手段の中から、所望の外部報知手段を選択する外部報知選択手段を含む。
【0011】
さらに好ましくは、異常検出手段による検出から、管理者報知手段および外部報知手段による、報知までの時間を設定する報知時間設定手段を含む。
【0012】
さらに好ましくは、管理者報知手段は、異常検出手段の検出した異常の内容を報知する異常内容報知手段をさらに含む。
【0013】
さらに好ましくは、異常検出手段の検出した異常が解除されたことを検出する、解除検出手段を含み、管理者報知手段は、解除検出手段の検出した異常の解除を通知する。
【発明の効果】
【0014】
この発明においては、画像形成装置が、異常検出手段によって検出された異常を報知する報知手段とを含み、報知手段は、装置を管理する管理者に報知するため、装置の管理者に異常事態が必ず通知される。
【0015】
その結果、異常な状態が放置されることを防ぎ、安全な使用を保全することのできる画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施の形態を、複写機能、ネットワークプリンタ機能、ネットワークスキャナ機能およびファクシミリ機能を有する、デジタル複合機のような、画像形成装置に適応した場合の、デジタル複合機10の構成を示すブロック図である。図1を参照して、デジタル複合機10は、異常検出手段、管理者報知手段、解除検出手段等として機能するとともに、デジタル複合機10全体を制御する制御部11と、DRAM12と、FAX通信部13と、ネットワーク40と接続するためのネットワークIF(インタフェース)部14と、印字部15と、データを保存するハードディスク16と、画像読み取り部17と、操作部18と、外部報知手段として作動する、音や光を発する、報知部25とを含む。この報知部25については任意の装置の利用が可能であり、公知であるため、その説明は省略する。
【0017】
なお、制御部11には、図示の無い、計時装置が設けられており、現在時刻および、異常発生時からの時間経過の検出が可能である。
【0018】
画像読み取り部17は光電変換素子の一例のCCD(図示せず)を備えており、原稿の画像データを読み取ることができる。
【0019】
図2は操作部18の詳細を示す図である。図2を参照して、操作部18は、入力部19と表示部20とを含み、入力部19は、FAXの送信スタートやコピースタートを指示するスタートキー191と、実行中の処理を全面的に解除するための中止キー192と、割り込みの実行・解除を指示するための割り込みキー193と、FAX送り先の番号やコピー枚数などを指示するテンキー194と、設定手段として機能するとともに、各種情報を設定するための設定キー195などを含む。
【0020】
表示部20は液晶パネルにより構成されており、デジタル複合機10からユーザへの情報を表示したり、ユーザが所望の設定を行なうことができるようになっている。この液晶パネルはタッチパネルであり、「FAX」、「プリンタ」、「スキャナ」および「コピー」の各機能を選択する入力部19の一部としても機能する。
【0021】
制御部11は、画像読み取り部17から与えられるデータ、FAX通信部13またはネットワークIF部14から与えられるデータをDRAM12に圧縮符号化して書き込み、DRAM12に書き込んだデータを読み出し、伸張復号化して出力する。また、制御部11は、FAX通信部13による通信のための制御と、ネットワークIF部14による通信のための制御と、印字部15による印字のための制御と、画像読み取り部17の画像読み取りのための制御と、操作部18の入力部19からのデータを入力するための制御と、操作部18の表示部20にデータを表示するための制御などを行う。
【0022】
ネットワーク40には、デジタル複合機10にアクセス可能な複数のパソコン等の端末が接続されていてもよい。
【0023】
なお、図1において太線の矢印は画像データの流れを示しており、細線の矢印は制御信号または制御データの流れを示している。
【0024】
次に、デジタル複合機10に異常が発生した場合の処理について説明する。図3は、異常が発生した場合の処理内容を示すフローチャートである。図3を参照して、制御部11が、デジタル複合機10の内部で異常を検出すると(ステップS11、以下ステップを省略する)、エラーメッセージの送信を行なう(S12)。
【0025】
たとえば、ネットワークプリンタとして使用中であれば、その送信者である、ネットワーク40に接続されたパソコンに、異常の内容を示すエラーメッセージを送信する。ファックシミリや、複写機として使用されている場合は、装置のそばにそのユーザがいるため、特にエラーメッセージの送信は行なわなくてもよい。
【0026】
次に、報知部25を用いて、発光による報知(S13)、音による報知(S14)を行ない、管理者に通報する(S15)。なお、この報知の順は、これに限らず、任意の順に行ってもよいし、管理者への通報を除いて、この全ての報知を行なう必要もない。
【0027】
すなわち、これらの報知は、予め、表示部20において、発生した異常の内容に応じて、報知を行なう報知手段の種類(エラーメッセージの送信、発光による通知、音による通知および管理者への通報等)、および、異常を検出してから、各報知手段が作動するまでの報知時間の設定が可能であるものとする。なお、管理者報知手段による管理者への通報は必ず行う。また、管理者への通報以外の外部への発光等による報知を外部報知といい、それを行なう装置を外部報知手段という。また、報知時間の設定は、制御部11が報知時間設定手段として管理し、その設定内容は、上記の報知手段の種類とともに、ハードディスク16に格納される。
【0028】
発光による報知においては、発光のパターン(点滅時間、色、明るさ、間隔等)を異常状態の内容に応じて変えることにより、周囲の人は、その内容を知ることができる。なお、このパターンは、任意に設定できるものとする。
【0029】
音による報知においても、音のパターン(音程、間隔、メロディ)を異常状態の内容に応じて変えることにより、周囲の人は、その内容を知ることができる。なお、この音のパターンのうち、間隔等については、JBMS−71−2002に規格が定められているので、それに準拠する必要がある。
【0030】
管理者報知手段による管理者への通報は、ネットワーク40を介したメールを送信したり、公衆回線30を介した電話でのコール等が自動的に行なわれる。なお、デジタル複合機10は、装置の稼働状況データをハードディスク16の所定の格納位置に格納しており、メールの送信時等に、デジタル複合機10の異常の状況、発生時間についての、稼働状況データをログとして、メールの添付書類等として送信されるのが好ましい。
【0031】
なお、上記のように、管理者報知手段による管理者への通報までの時間を設定可能とするのは、異常の内容によって、管理者への通報を急ぐものと急がないものとが存在するためである。たとえば、紙切れの場合は、操作者は、紙の保管場所がわからないので、管理者に早く知らせて、紙の補充をしてもらう必要がある。また、システム異常の場合も同様である。また、この通知までの時間は分単位で設定できるものとしてもよい。
【0032】
また、報知された異常状態が、第3者によって、解除され、報知の必要が無くなった場合は、発光、音による報知を停止させ、管理者報知手段は、解除の旨を管理者に通知する。
【0033】
また、管理者への通報内容としては、異常の発生時間、異常状態の内容、プリンタであれば、印字指示者名、設定枚数等が考えられるが、この内容は、表示部20において、「管理者への通報内容」の選択画面を用意し、この表示に基づいて、任意に設定できるものとする。
【0034】
なお、上記実施の形態においては、管理者への通報は、異常時にのみ行なう場合について説明したが、これに限らず、異常時以外に、装置の稼働状態をリアルタイムに通知するようにしてもよい。
【0035】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】デジタル複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】操作部を示す図である。
【図3】デジタル複合機の異常発生時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
10 デジタル複合機、11 制御部、12 DRAM、13 FAX通信部、14 ネットワークI/F部、15 印字部、16 ハードディスク、17 画像読取り部、18 操作部、20 表示部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって検出された異常を報知する報知手段とを含み、
前記報知手段は、前記装置を管理する管理者に報知する管理者報知手段を含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記管理者報知手段以外の、複数の別の方法による外部報知手段を有し、
前記異常検出手段が検出した異常の内容に応じて、前記複数の外部報知手段の中から、所望の外部報知手段を選択する外部報知選択手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記異常検出手段による検出から、前記管理者報知手段および前記外部報知手段による、報知までの時間を設定する報知時間設定手段を含む、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記管理者報知手段は、前記異常検出手段の検出した異常の内容を報知する異常内容報知手段をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記異常検出手段の検出した異常が解除されたことを検出する、解除検出手段を含み、
前記管理者報知手段は、前記解除検出手段の検出した異常の解除を通知する、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−86560(P2006−86560A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266351(P2004−266351)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】