説明

画像形成装置

【課題】共用モータで発生する回転駆動力を装置各部の複数箇所に伝達する共通駆動機構を有する画像形成装置において、装置の大型化を抑制する。
【解決手段】各画像形成ステーションの像書込部が複数の発光素子からなるラインヘッドにより構成されているので、画像形成ユニットの直下空間である電装配設空間SPを広く設けることができる。そして、この電装配設空間SPに駆動モータ911等のモータ本体部が配置されている。すなわち、電装配設空間SPにおいて主走査方向および副走査方向に直交する鉛直方向からの平面視でモータ本体部が転写ベルト81と重なり合うように、各駆動モータ911等が装置本体の背面側に位置する支持部材32に取り付けられている。したがって、モータ本体部が上記平面視において画像形成ステーションY,M,C,Kや転写ベルト81から主走査方向に突出するのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像形成ステーションを転写ベルト等の転写媒体の移動方向(副走査方向)に沿って配置するとともに、各画像形成ステーションにより形成したトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置として、例えば下記特許文献1で開示されているように、所定方向に搬送される転写ベルトに沿ってそれぞれ互いに異なる色のトナー像を形成する画像形成ステーションを複数配置した、いわゆるタンデム型の画像形成装置が知られている。各画像形成ステーションでは、各トナー色ごとに、感光体ドラムなどの潜像担持体が設けられるとともに感光体ドラムに対応してレーザービームスキャナユニット(像書込部)が設けられている。各レーザービームスキャナユニットは、画像データに応じて変調されたドット光を発する半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子からの光を主走査方向に偏向させるための偏向装置と、偏向装置により偏向されたレーザ光を感光体表面に結像させるためのfθレンズなどの結像光学系とを備えている。そして、レーザービームスキャナユニットによって感光体ドラムに潜像を形成するとともに現像ユニットによって感光体ドラムにトナーを付着させて潜像に対応するトナー像を形成する。こうして、各色ごとにトナー像が形成され、さらに転写ベルト表面に重ね合わせてカラー画像が形成される。そして、ベルト表面に形成されたカラー画像は、紙等の転写媒体に転写される。
【0003】
【特許文献1】特開平11−24356号公報(段落0038〜0040,図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の画像形成装置では現像ユニットの現像器本体に収容するトナー量を低減させる一方、トナー補給容器を別途設けて該容器からトナーを現像器本体に補給する技術が数多く提案されている。また、それらの提案例の中には、ユーザでもメンテナンスを容易に行うことができるようにするため、トナー補給容器を現像器の軸端部に配置した装置がある。このような配設構造を採用した装置では、装置の正面側からユーザがトナー補給容器にアクセスすることができ、メンテナンス性に優れている。しかしながら、トナー補給容器を現像器の軸端部に配設するため、該容器の全部または一部が現像器の軸方向(主走査方向)に突出して該方向における装置サイズが増大してしまう。ここで、サイズ増大がトナー補給容器のみに起因するのであれば、トナー補給容器の形状などを工夫することでサイズ増大量を最小限に抑えることができる。しかしながら、上記装置では、駆動ローラや感光体ドラムなどの装置各部を駆動するために、次のような駆動構成を採用しており、その結果、トナー補給容器の形状や大きさ等を工夫したとしても、装置サイズの大型化は避けられなかった。
【0005】
上記装置では、転写ベルトを駆動させるための駆動ローラや感光体ドラムなどの装置各部を駆動するために2つの駆動モータが設けられている。そして、カラー画像が形成される感光体ドラムは、その中心軸にギアを備え、その各ギアはアイドルギアを介し、タイミングベルトにより第1のモータと連結されている。一方、黒画像が形成されるブラック用感光体ドラムはその中心軸にギアを備え、そのギアはアイドルギアを介して第2のモータと連結されている。さらに、転写ベルト用の駆動ローラは中心軸にギアを備え、そのギアはアイドルギアを介して第2のモータに連結されるとともに、定着装置も定着ローラの中心軸にギアを備え、アイドルギアを介して第2のモータに連結されている。つまり、上記従来装置では、各モータに対して複数のローラがギアなどの駆動伝達部材を介して連結されており、各モータは共用モータとして機能している。このため、共用モータにかかる負荷は比較的大きなものとなり、それに応じて共用モータのモータ本体部(ロータ、ステータおよび両者を収納するケース)が必然的に大きくなってしまう。しかも、従来装置では、半導体レーザ素子からの光を偏向装置および結像光学系を介して主走査方向に走査させる像書込部を採用していたため、大型化した共用モータのモータ本体部が像書込部と干渉するのを防止すべく、共用モータを画像形成ステーションや転写ベルトなどの側方に配置していた。つまり、共用モータのモータ本体部が画像形成ステーションや転写ベルトなどから主走査方向に突き出た状態で共用モータが配置されていた。しかも、トナー補給容器については形状などを工夫することで突出量を抑制することが可能であるが、共用モータではトルクや回転速度などの基本動作特性を満足させるために、大きさや形状などを変更することができず、突出量の低減には一定の限界があった。
【0006】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、共用モータで発生する回転駆動力を装置各部の複数箇所に伝達する共通駆動機構を有する画像形成装置において、装置の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、副走査方向に回転する潜像担持体と、潜像担持体に潜像を形成する像書込部と、副走査方向とほぼ直交する主走査方向に延設されたトナー担持体の表面に担持されるトナーを潜像担持体に与えて潜像を現像してトナー像を形成する現像部と、トナー担持体の軸端部に配置されて現像部にトナーを補給するトナー補給容器とを有する、画像形成ステーションを複数個備え、該複数の画像形成ステーションを転写媒体の移動方向に沿って配置し、駆動手段で複数の潜像担持体を含む装置各部を駆動させることによって、複数の画像形成ステーションの各々によりトナー像を形成するとともに該複数のトナー像を転写媒体上で重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置であって、上記目的を達成するため、トナー補給容器の各々は、その全体または一部が主走査方向および副走査方向に直交する鉛直方向からの平面視で転写媒体から突出するように、配置され、複数の像書込部の各々は、複数の発光素子を主走査方向に列状に配列したラインヘッドを潜像担持体に近接配置して潜像担持体に潜像を形成するものであり、駆動手段は、1つの共用モータで発生する回転駆動力を装置各部の複数箇所に伝達する共通駆動機構を有し、しかも、該共通駆動機構の共用モータの少なくとも1つは、平面視で該共用モータのモータ本体部が転写媒体もしくは転写媒体を構成部品とする転写ユニットと重なり合うように、配置されたことを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、装置の大型化を招く主要因は、トナー補給容器と駆動手段とにある。このうちトナー補給容器について検討すると、次のようなことがわかる。トナー補給容器の各々は、その全体または一部が主走査方向および副走査方向に直交する鉛直方向からの平面視で転写媒体から突出するように、配置されている。そのため、その突出量に応じて装置が大型化する。しかしながら、トナー補給容器の主目的は補給用トナーを一時的に貯留しておくことにあるため、形状やトナーの貯留容量などに関しては設計自由度が大きく、容器の形状や大きさなどを工夫することで突出量を抑えて装置の大型化を抑制することができる。
【0009】
一方、本発明では、1つの共用モータで発生する回転駆動力を装置各部の複数箇所に伝達する共通駆動機構が駆動手段に設けられており、共用モータのモータ本体部(ロータ、ステータおよび両者を収納するケース)の大型化は避けられず、装置の大型化に関してトナー補給容器に比べて深刻な問題となっていた。そこで、本発明では、上記平面視でモータ本体部が転写媒体と重なり合うように共用モータが配置されており、該平面視において共用モータのモータ本体部が画像形成ステーションや転写媒体から主走査方向に突出するのが防止されている。その結果、共用モータの大型化にもかかわらず、装置の大型化を招く要因とはならず、単にトナー補給容器の形状などを工夫することで装置の大型化を抑制することができる。ただし、このような配置構成を採用した場合には、画像形成ステーションを構成する像書込部との干渉が問題となる。しかしながら、本発明では、像書込部を構成するラインヘッドが潜像担持体に近接配置されて潜像担持体への潜像形成を行う。そのため、発光素子からの光を走査してライン潜像を形成していた従来装置に比べて、像書込部の占有空間が格段に狭くなる。したがって、その占有不要となった空間にモータ本体部を配設することができ、上記モータ配置構成を採用しながらも像書込部とモータ本体部との干渉を回避することができる。
【0010】
ここで、本発明では、トナー補給容器は平面視で転写媒体から突出するように配置されているため、その突出部の鉛直方向において空間が形成される。そこで、鉛直空間に定着手段を駆動するための定着駆動機構を配置してもよい。これによって、鉛直空間が有効利用されて装置のコンパクト化が可能となる。
【0011】
また、複数の画像形成ステーションを支持するために、該画像形成ステーションの両端部に一対の支持部材を配置し、これらにより潜像担持体を回転自在に支持する構成を採用した画像形成装置では、次のように構成することでモータ本体部で発生する熱を装置から排熱することができるとともに、共用モータから発生する音が装置外部に漏れるのを抑制することができる。すなわち、一対の支持部材を設けたことによって、複数の画像形成ステーションに対して転写媒体の反対側において一対の支持部材と複数の画像形成ステーションとで囲まれる、空間が形成される。そこで、該空間にモータ本体部が配置されるように共用モータが配置されると、共用モータから発生する音が装置外部に漏れるのが抑制されて低騒音化が可能となる。また、空間を排気する排気手段をさらに設けることによって、共用モータのモータ本体部から発生した熱が装置外部に排熱される。その結果、装置の内部温度が上昇するのを抑えて装置動作の安定化を図ることができる。
【0012】
なお、上記空間に対して排熱処理が施されることから、装置各部を制御する制御手段を上記空間に配置してもよく、これにより制御手段からの熱が効率的に装置内部から排熱される。その結果、装置各部を安定的に制御することができ、装置の誤動作を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置における装置各部を駆動するための駆動構成を示す図である。また、図3は図1の画像形成装置の部分断面図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラに与えられると、このメインコントローラからの指令に応じてエンジンコントローラがエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0014】
この画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラおよびエンジンコントローラを内蔵し、装置各部を制御する制御ユニット(制御手段)5が後述する電装配設空間SPに設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット(転写手段)8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット(定着手段)13、シート案内部材15が配設されている。
【0015】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21は、図3に示すように、画像形成ステーションY,M,C,Kの両端部に配置された一対の支持部材31,32により回転自在に軸支されている。そして、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。なお、駆動モータの構成ならびに各駆動モータで発生した回転駆動力を感光体ドラム21に与えて駆動する駆動ユニット(駆動手段)の構成については、後で詳述する。
【0016】
また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、像書込部29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0017】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0018】
像書込部29は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)、発光ダイオードやバックライトを備えた液晶シャッタ等の発光素子を感光体ドラム21の軸方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に列状に配列したラインヘッドを用いており、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、このような発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光を照射して該表面に潜像を形成する。また、ラインヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトであり、像書込部29の占有空間が格段に狭くなる。しかも、感光体ドラム21に対して近接配置が可能であり、像書込部29の占有空間は潜像担持体に近接することとなる。したがって、従来のレーザー走査方式の像書込部において必須となっていた空間の大部分が不要となり、図1および図3に示すように、画像形成ユニット7の直下空間を比較的広く設けることができる。このように、この実施形態では、画像形成ステーションY,M,C,Kに対して転写ベルトユニット8の反対側(図面の下方側)において、一対の支持部材31,32と画像形成ステーションY,M,C,Kとで囲まれる空間SPを形成することができる。なお、この明細書では、該空間SPを「電装配設空間」と称する。
【0019】
また、この実施形態では、装置本体の左側面(図1の左手側面)に電装配設空間SPを臨むように排気ファンFNが取り付けられている。このため、排気ファンFNによって電装配設空間SPで図1中の1点鎖線で示すような気流が形成され、該気流により装置内部、特に電装配設空間SPに籠もる熱を排熱し、装置内の温度上昇を抑制することが可能となっている。このように、本実施形態では、排気ファンFNが本発明の「排気手段」として機能している。
【0020】
そして、この実施形態においては、各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25および感光体クリーナ27を感光体カートリッジ(図示省略)としてユニット化している。
【0021】
現像部25は、主走査方向に延設された円柱形状で、その表面にトナーを担持する現像ローラ(トナー担持体)251を有している。この現像ローラ251は感光体カートリッジにおいて回転自在に設けられており、同カートリッジに対応する駆動モータからの回転駆動力を受けて回転する。つまり、この実施形態では、各色において、1つの駆動モータで発生した回転駆動力が駆動機構を介して感光体ドラム21と現像ローラ251とに与えられており、該駆動モータが本発明の「共用モータ」に相当している。なお、この点についても後で詳述する。
【0022】
このようにトナーを担持しながら回転する現像ローラ251に対して現像バイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されている。そして、現像ローラ251に現像バイアスを印加することによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動して像書込部29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0023】
また、この実施形態では、図3に示すように、装置の正面側(同図の左手側)でトナー補給容器26が画像形成ユニットの現像部25に対して着脱自在に設けられている。すなわち、トナー補給容器26が現像部25に装着されると、現像ローラ251の回転軸の端部、つまり軸端部に配置されることとなり、容器内に貯留されているトナーが必要に応じて現像部25の内部に補給される。また、トナー補給容器26の一部は主走査方向および副走査方向に対してほぼ直交する鉛直方向X(図1)における平面視で画像形成ステーションY,M,C,Kおよび転写ベルトユニット8から正面側に突出している。したがって、ユーザは突出部を持ってトナー補給容器26を現像部25から容易に取り外すことができる。また、トナー補給容器26にトナーを補充した後に再度現像部25に装着する場合も同様である。このようにトナー補給容器26は現像器251の軸端部に配置されている。したがって、このような配設構造を採用した装置では、装置の正面側からユーザがトナー補給容器にアクセスすることができ、優れたメンテナンス性が得られる。
【0024】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0025】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0026】
転写ベルトユニット8は一対の転写ユニットフレーム84,84を備えており、これら一対のフレーム84,84により、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ(ブレード対向ローラ)83とが回転自在に軸支されている。これらのローラのうち駆動ローラ82はブラック用画像形成ステーションKのために配設された駆動モータからの回転駆動力を受けて回転する。つまり、この実施形態では、ブラック用駆動モータは本発明の「共用モータ」に相当している。そして、これらのローラには転写ベルト81が張架されており、ブラック用駆動モータからの回転駆動力を受けて駆動ローラ82が回転すると、それに応じて転写ベルト81が図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される。
【0027】
また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85K(転写部材)を備えている。そして、これらの1次転写ローラ85は、図1に示すように、それぞれが対向する画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めされることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させる。その結果、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1が形成される。また、1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、これらの1次転写ローラ85を、それぞれが対向する感光体ドラム21に転写ベルト81を挟んで当接させるとともに、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部から1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、各感光体ドラム21と転写ベルト81とが当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81上に転写することができる。
【0028】
さらに、転写ベルトユニット8は、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kのうち搬送方向D81の最下流に位置する1次転写ローラ85K(最下流転写部材)の下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設されたガイドローラ86(下流ガイドローラ)を備える。また、この下流ガイドローラ86は、1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0029】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0030】
給紙ユニット11は、本発明の「記録材」に相当するシートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0031】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、この実施形態では、ローラ1322が一対の支持部材31,32に対して回転自在に軸支され、定着ユニット専用の駆動モータ951からの回転駆動力をカップリングなどの駆動伝達部952(図4)を介して受けて回転し、加圧ベルト1323を循環駆動する。なお、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0032】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に残留する転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。
【0033】
図4は装置各部を駆動する駆動ユニットの主要構成を示すブロック図である。以下、図1ないし図4を参照しつつ駆動ユニットの構成および動作について説明する。この駆動ユニット9は、感光体ドラム21、現像ローラ251および駆動ローラ82を駆動するために4つの共通駆動機構91〜94と、定着用ローラ1322を駆動するために1つの定着駆動機構95とを有している。すなわち、第1共通駆動機構91は第1駆動モータ911および第1駆動伝達部912を有しており、第1駆動モータ911から発生する回転駆動力を第1駆動伝達部912を介してブラック用感光体ドラム21、ブラック用現像ローラ251および駆動ローラ82に伝達して駆動する。この第1駆動伝達部912は、図2に示すように、第1駆動モータ911の回転軸に固定されたピニオンギアGaをはじめとして合計15個のギアGa〜Goで構成されている。これらのギアのうちギアGa〜Geにより感光体駆動輪列が形成されている。そして、この感光体駆動輪列により第1駆動モータ911で発生した回転駆動力がブラック用感光体ドラム21の回転軸に固定されたギアGeに伝達されて該感光体ドラム21が駆動される。また、ギアGa,Gb,Gf〜Gjにより現像駆動輪列が形成されている。そして、この現像駆動輪列により第1駆動モータ911で発生した回転駆動力がブラック用現像ローラ251の回転軸に固定されたギアGjに伝達されて該現像ローラ251が駆動される。さらに、ギアGa,Gk〜Goにより転写駆動輪列が形成されている。そして、この転写駆動輪列により第1駆動モータ911で発生した回転駆動力が駆動ローラ82の回転軸に固定されたギアGoに伝達されて駆動ローラ82が駆動されて転写ベルト81が搬送方向D81に循環移動する。
【0034】
また、第2共通駆動機構92は第2駆動モータ921および第2駆動伝達部922を有しており、第2駆動モータ921から発生する回転駆動力を第2駆動伝達部922を介してシアン用感光体ドラム21およびシアン用現像ローラ251に伝達して駆動する。また、第3共通駆動機構93は第3駆動モータ931および第3駆動伝達部932を有しており、第3駆動モータ931から発生する回転駆動力を第3駆動伝達部932を介してマゼンタ用感光体ドラム21およびマゼンタ用現像ローラ251に伝達して駆動する。さらに、第4共通駆動機構94は第4駆動モータ941および第4駆動伝達部942を有しており、第4駆動モータ941から発生する回転駆動力を第4駆動伝達部942を介してイエロー用感光体ドラム21およびイエロー用現像ローラ251に伝達して駆動する。なお、第2〜第4駆動伝達部922〜924はいずれも第1駆動伝達部921の感光体駆動輪列および現像駆動輪列と同一の構成を有している。
【0035】
さらに、定着駆動機構95は第5駆動モータ951およびカップリングなどの第5駆動伝達部952を有しており、第5駆動モータ951から発生する回転駆動力を第5駆動伝達部952を介して定着用ローラ1322に伝達して駆動する。このように、この実施形態では、第5駆動モータ951が本発明の「専用モータ」として機能している。
【0036】
以上のように、本実施形態では、4つの駆動モータ911,921,931,941はいずれも駆動輪列を介して複数の被駆動体(ローラや感光体ドラム)と連結されており、本発明の「共用モータ」として機能している。このため、これらの駆動モータ911,921,931,941にかかる負荷は比較的大きなものとなり、それに応じて各駆動モータ911,921,931,941のモータ本体部(ロータ、ステータおよび両者を収納するケース)が必然的に大きくなってしまう。しかしながら、本実施形態では、像書込部29が複数の発光素子からなるラインヘッドにより構成されており、それによって画像形成ユニット7の直下空間である電装配設空間SPを広く設け、この電装配設空間SPにモータ本体部を配置している。すなわち、本実施形態では、図3に示すように、一対の支持部材31,32と画像形成ステーションY,M,C,Kとで囲まれる電装配設空間SPにおいて主走査方向および副走査方向に直交する鉛直方向(同図の上下方向)からの平面視でモータ本体部が転写ベルト81と重なり合うように、各駆動モータ911,921,931,941が装置本体1の背面側(同図の右手側)に位置する支持部材32に取り付けられている。また、駆動伝達部912,922,932,942を構成するギアについては、支持部材32の背面側で駆動ボックス97内に配設されている。したがって、モータ本体部が上記平面視において画像形成ステーションY,M,C,Kや転写ベルト81から主走査方向(同図の左右方向)に突出するのを防止することができる。その結果、第1ないし第4駆動モータ911,921,931,941の大型化にもかかわらず、共用モータを設けたことが装置の大型化を招く要因とはならず、装置の大型化を抑制することができる。
【0037】
また、トナー補給容器26は、図3に示すように、平面視で転写ベルト81から突出している。そのため、その突出部の鉛直方向において空間SPvが形成されるが、専用モータ951が平面視でトナー補給容器26と重なり合うように配置されている。つまり、この実施形態では、その鉛直空間SPvに定着用ローラ1322を駆動するための定着駆動機構95が配置されている。このため、鉛直空間SPvが有効利用されて装置のコンパクト化が可能となる。
【0038】
また、上記のようにモータ本体部が電装配設空間SPに配置されていることから、各駆動モータ911,921,931,941から発生する音が装置外部に漏れるのを抑制することができ、装置の低騒音化が可能となる。また、排気ファンFNによって電装配設空間SPを排気しているため、各駆動モータ911,921,931,941のモータ本体部や制御ユニット5から発生した熱が効率的に装置外部に排熱される。その結果、装置の内部温度が上昇するのを抑えて装置動作の安定化を図ることができる。
【0039】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、カラー色の各々について共通駆動機構92〜94を設けた画像形成装置に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、1つの共用モータで複数のローラを駆動させて画像を形成する画像形成装置全般に本発明を適用することができる。例えば図5に示すように、イエロー、マゼンタおよびシアン用の感光体ドラム21および現像ローラ251を駆動するために1つの共通駆動機構96を設けた画像形成装置に対しても本発明を適用することによって、装置のダウンサイズ化を効果的に図ることができる。また本実施形態では駆動モータ、電装部を転写ベルトの下方向に全て配置したが、転写ベルトの上側の空間に配置しても同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置における装置各部を駆動するための駆動構成を示す図。
【図3】図1の画像形成装置の部分断面図。
【図4】装置各部を駆動する駆動ユニットの主要構成を示すブロック図。
【図5】本発明にかかる画像形成装置の他の実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0041】
5…制御ユニット(制御手段)、 7…画像形成ユニット、 8…転写ベルトユニット(転写手段)、 9…駆動ユニット(駆動手段)、 13…定着ユニット、 15…シート案内部材、 21…感光体ドラム(潜像担持体)、 29…像書込部、 31,32…支持部材、 81…転写ベルト、 82…駆動ローラ、 83…ブレード対向ローラ、 91〜94,96…共通駆動機構、 95…定着駆動機構、 1322…定着用ローラ、 251…現像ローラ、 911,921,931,941…駆動モータ(共用モータ)、 951…第5駆動モータ(専用モータ)、 912,922,932,942、952…駆動伝達部、 D81…(転写ベルトの移動方向)搬送方向、 FN…排気ファン、 SP…電装配設空間、 Y,M,C,K…画像形成ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
副走査方向に回転する潜像担持体と、前記潜像担持体に潜像を形成する像書込部と、前記副走査方向とほぼ直交する主走査方向に延設されたトナー担持体の表面に担持されるトナーを前記潜像担持体に与えて前記潜像を現像してトナー像を形成する現像部と、前記トナー担持体の軸端部に配置されて前記現像部にトナーを補給するトナー補給容器とを有する、画像形成ステーションを複数個備え、該複数の画像形成ステーションを転写媒体の移動方向に沿って配置し、駆動手段で前記複数の潜像担持体を含む装置各部を駆動させることによって、前記複数の画像形成ステーションの各々によりトナー像を形成するとともに該複数のトナー像を前記転写媒体上で重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、
前記トナー補給容器の各々は、その全体または一部が前記主走査方向および前記副走査方向に直交する鉛直方向からの平面視で前記転写媒体から突出するように、配置され、
前記複数の像書込部の各々は、複数の発光素子を前記主走査方向に列状に配列したラインヘッドを前記潜像担持体に近接配置して前記潜像担持体に潜像を形成するものであり、
前記駆動手段は、1つの共用モータで発生する回転駆動力を装置各部の複数箇所に伝達する共通駆動機構を有し、しかも、
該共通駆動機構の共用モータの少なくとも1つは、前記平面視で該共用モータのモータ本体部が前記転写媒体もしくは転写媒体を構成部品とする転写ユニットと重なり合うように、配置されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写媒体上に形成されたカラー画像を記録材に転写する転写手段と、前記記録材に転写されたカラー画像を前記記録材に定着させる定着手段とをさらに備え、
前記駆動手段は、1つの専用モータで発生する回転駆動力を前記定着手段に伝達する定着駆動機構を有し、
前記専用モータは、前記平面視で前記トナー補給容器と重なり合うように、配置された請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の画像形成ステーションの両端部に配置されて各潜像担持体を回転自在に支持する一対の支持部材と、
前記複数の画像形成ステーションに対して前記転写媒体の反対側において前記一対の支持部材と前記複数の画像形成ステーションとで囲まれる、空間を排気する排気手段とをさらに備え、
前記共用モータのモータ本体部が前記空間に配置される請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置各部を制御する制御手段をさらに備え、前記制御手段が前記空間に配置された請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−114598(P2007−114598A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307544(P2005−307544)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】