説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において電装基板を高密度に配置し、装置本体を小型化する。
【解決手段】画像形成装置が、記録材に画像を形成する画像形成手段と、第1の電装基板と、第2の電装基板と、を備える。前記第1の電装基板と第2の電装基板とが、ほぼ平行に重ねて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を形成する、例えば電子写真複写機・プリンタ・ワードプロセッサ・ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式や他の記録方式を採用する画像形成装置としては、特許文献1(特開2005−84161号公報)に開示されたレーザービームプリンタがある。以下、従来のレーザービームプリンタの構成を図10、図11および図12を参照して説明する。
【0003】
図10は従来のレーザービームプリンタの断面図であり、図11および図12はその斜視図である。
【0004】
図10に示すレーザービームプリンタにおいては、記録材Pを載置する給紙トレイ106が装置本体の下部に、プリントされた記録材を載置する排紙トレイ114が装置本体の上部にそれぞれ配置されている。給紙トレイ106と排紙トレイ114の間にプロセスカートリッジ107が配置されている。
【0005】
図11および図12は、レーザービームプリンタのフレーム構成を示している。フレームは、一対の第1の側板120および第2の側板121と、スキャナプレート123と、背面プレート124と、底板125とから構成される。スキャナプレート123は、レーザスキャナ105を支持する。背面プレート124は、第1の側板120と第2の側板121をそれらの背面側でつないでいる。底板125は、第1の側板120と第2の側板121をそれらの底面側でつないでいる。
【0006】
第2の側板121にはモータ116が固定されている。モータ116の駆動力は、駆動列170によって、感光体108、給紙ローラ102、搬送ローラ103、定着器150の加圧ローラ111等に伝達される。
【0007】
駆動列170をはさんで第2の側板121の反対側には、ギアカバー126が配置されている。第2の側板121とギアカバー126の間で、駆動列170が保持されている。
【0008】
第1の側板120上には、AC電源や高圧回路等を含む電装部115が配置されている。電装部115は、定着器150、転写ローラ109、プロセスカートリッジ107、レーザスキャナ105、モータ116等に電力を供給する。
【0009】
ギアカバー126のさらに外側には、コントローラ基板127が配置されている。このコントローラ基板127は、外部のコンピュータから入力された画像信号を展開する処理等を実行する。
【0010】
上述したフレーム、電装部115、コントローラ基板127等は、外装113で覆われている。
【特許文献1】特開2005−84161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、装置の小型化へのさらなる要求を受けて、電装部、コントローラ基板等の高密度実装や高密度配置が要求されるようになってきている。
【0012】
しかしながら、電装部やコントローラ部の電装基板上には、トランス、トライアック、アルミ電解コンデンサ、コネクタ、ACインレット、電源スイッチなどの比較的高さ寸法の大きい部品と、抵抗などの比較的高さ寸法の低い部品とが混在して実装されている。外装とのクリアランスは高さ寸法の高い部品に合わせて設定しなければならないため、高さ寸法の低い部品と外装との隙間が大きくなり、多くの無駄な空間が発生して装置の小型化を阻害している。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、画像形成装置において電装基板を高密度に配置し、装置本体を小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明では、以下の構成を採用する。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、第1の電装基板と、第2の電装基板と、を備え、前記第1の電装基板と第2の電装基板とが、ほぼ平行に重ねて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成装置において電装基板を高密度に配置し、装置本体を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ここでは、電子写真方式を採用する画像形成装置として、レーザービームプリンタを例に説明する。ただし、本発明は、プリンタ以外にも、複写機、ワードプロセッサ、ファクシミリ装置などの各種画像形成装置に適用可能である。
【0018】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【0019】
画像形成装置は、給紙トレイ6、給紙ローラ2、搬送ローラ3a,3b、レジストセンサー4、プロセスカートリッジ7、レーザスキャナ5、転写ローラ9、案内部材10、定着器F、排紙ローラ対12、排紙トレイ14を備える。記録材Pを載置する給紙トレイ6は装置本体の下部に、プリントされた記録材を載置する排紙トレイ14は装置本体の上部にそれぞれ配置される。両トレイの間に、プロセスカートリッジ7が配置されている。
【0020】
レジストセンサー4は記録材Pの先端を検知する検知手段である。プロセスカートリッジ7は、像担持体である感光体(感光ドラム)8、現像器、帯電器、クリーニング装置等のプロセス手段が一体化されたものである。プロセスカートリッジ7は装置本体に対し着脱自在である。定着器Fは、回転可能に支持された加圧ローラ11と、発熱体を含むヒータユニットHとを備える。加圧ローラ11とヒータユニットHは所定の圧力で接触し、定着ニップを形成している。
【0021】
給紙トレイ6に載置された記録材Pは、トレイ奥側(図中左側)に配置された給紙ローラ2によって、1枚ずつ分離され給送される。その記録材Pは、搬送ローラ3a,3bによって、転写ローラ9と感光体8からなる転写部に搬送される。このとき、レジストセンサー4の検知結果に基づき、記録材Pの先端位置とレーザスキャナ5の発光タイミングとの同期がとられる。
【0022】
一方、感光体8上には、帯電、露光(静電潜像の形成)、現像(静電潜像の顕像化)などの一連の電子写真プロセスによって、トナー像が形成される。このトナー像は、転写ローラ9によって、記録材P上に転写される。
【0023】
転写後の記録材Pは、案内部材10によってほぼ鉛直な方向に案内され、定着器Fの定着ニップに進入する。定着ニップを通過するとき、熱と圧力でトナー像が記録材P上に定着する。定着後の記録材Pは排紙ローラ対12によって排紙トレイ14上に排紙される。
【0024】
(フレーム構成)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置のフレーム構成および電装系レイアウトを示す斜視図である。
【0025】
フレームは、一対の第1の側板20および第2の側板21と、スキャナプレート23と、背面プレート24と、底板25とから構成される。第1の側板20と第2の側板21はそれぞれ装置本体の左右に垂直に配置される。スキャナプレート23は、レーザスキャナ5を支持する。背面プレート24は、第1の側板20と第2の側板21をそれらの背面側でつないでいる。底板25は、第1の側板20と第2の側板21をそれらの底面側でつないでいる。
【0026】
第2の側板21には駆動源としてのモータ16が固定されている。モータ16の駆動力は、駆動列70によって、感光体8、給紙ローラ2、搬送ローラ3b、加圧ローラ11等の画像形成手段に伝達される。
【0027】
駆動列70をはさんで第2の側板21の反対側には、ギアカバー26が配置されている。第2の側板21とギアカバー26の間で、駆動列70が保持されている。
【0028】
装置本体は外装カバー13で覆われている。
【0029】
(電装系レイアウト)
第1の側板20上、かつ、第1の側板20と外装カバー13の間には、第1の電装基板15が配置されている。第1の電装基板15は、定着器F、転写ローラ9、プロセスカートリッジ7、レーザスキャナ5等の画像形成手段、並びに、モータ16に電力を供給する。第1の電装基板15には、AC入力、電源回路、低圧電源、高圧電源、高圧回路、アクチュエータドライバ、ASIC、定着ドライブ、インレット(入力端子部)、パワーSW(電源スイッチ)等が配置されている。これらの電気部品の中には、高さ寸法が相対的に高い部品群と低い部品群とが含まれている。高さ寸法が相対的に高い部品群は第1の電装基板15の一箇所にまとめて配置しておくことが好ましい。
【0030】
第1の電装基板15の近傍には、第1の電装基板15と平行に第2の電装基板27が配置されている。第2の電装基板27には、外部のコンピュータから入力された画像信号を展開する処理等の画像形成処理に関わる制御を実行する制御回路が実装されている。第2の電装基板27は、図3に示すように、第1の電装基板15上に立てられた支柱28に、ビス30で固定されている。
【0031】
図3の例では、第1の電装基板15に実装されている部品の中で最も高さ寸法が高い部品35の高さをH1max、第2の電装基板27の部品を含む最大厚みをt2としたとき、
H1max>t2
の関係がある。そして、第1の電装基板15と第2の電装基板27とが、部品の実装面を向き合わせるようにして配置されている。しかも、第2の電装基板27は、第1の電装基
板15のうち高さ寸法が相対的に低い部品群が配置されている領域に重ね合わされている。以下、本明細書では、一方の電装基板の少なくとも一部(好ましくは大部分、より好ましくは全体)が他方の電装基板の外接直方体領域と重なるような配置を「オーバーラップ配置」とよぶ。
【0032】
これにより、第1の電装基板15と第2の電装基板27との部品の干渉を防ぎつつ、第1の電装基板15上の最も高さ寸法が高い部品とほぼ同じかそれよりも低い位置に第2の電装基板27を配置することができる。すなわち、第2の電装基板27は第1の電装基板15と外装カバー13の間の空間に配置されることになる。したがって、デッドスペースが縮小され、画像形成装置の幅寸法の縮小が可能となる。
【0033】
なお、外装カバー13のうち第1の電装基板15、第2の電装基板27に対応する位置には開口部であるルーバー部(不図示)が設けられている。これらの電装基板15,27から発生する熱は、外装カバー13のルーバー部から装置外に排出される。
【0034】
以上述べた本実施形態の装置構成によれば、2つの電装基板15,27をオーバーラップ配置したことにより、電装基板と外装カバー13の間にできる不要なスペースが縮小され、装置の小型化が可能となる。図6は、本実施形態の装置構成(上)と従来の装置構成(下)との比較図である。本実施形態の装置構成では装置幅がW1、従来の装置構成では装置幅がW0である。第2の電装基板27を第1の電装基板15にオーバーラップ配置したことで、Wd(=W0−W1)分、装置幅を小さくできることがわかる。
【0035】
駆動列70は、ギアカバー26やギア支軸などの剛性の高い金属で構成されている。それゆえ、通常の画像形成装置では、駆動列70がある側に装置の重心が偏ってしまうことが多い。しかし、本実施形態では、駆動列70の反対側に第1の電装基板15と第2の電装基板27を配置したことにより、装置本体の重量バランスの均等化が図られている。
【0036】
また、駆動列70を構成するギアの中には減速のためのダブルギアもあるため、通常の画像形成装置では、記録材の搬送中心を基準にすると駆動列70のある側のほうが装置幅が長くなる傾向にある。しかし、本実施形態では、駆動列70の反対側に第1の電装基板15と第2の電装基板27を配置したので、装置本体の形状を、記録材の搬送中心に対し対称な形状に近づけることが容易になる。これにより、デザイン上の制約もなくなる。
【0037】
また、発熱源となる電装基板15,27と騒音源となる駆動列70とが装置の反対側にそれぞれ配置されている。そして、外装カバーの電装基板側に開口部を設けて排熱効果をもたせ、駆動列側は遮蔽して防音効果をもたせている。これにより、装置の排熱対策と騒音対策の両立が図られる。
【0038】
さらに、電気放射ノイズ対策、電気部品の静電破壊対策を駆動列側に施す必要が無くなるため、本体サイズの小型化、コスト低減、本体重量軽減に有利になる。
【0039】
(変形例)
図4および図5は、電装系レイアウトの変形例を示している。図4の例では、第1の電装基板15の実装面と第2の電装基板27の実装面とが同じ向きになるように、両電装基板15,27が重ね合わされている。図5の例では、第2の電装基板27上の部品が、第1の電装基板15上の最も高さ寸法の高い部品よりも若干突出している。
【0040】
これらのレイアウトでも、第2の電装基板27の全体又は大部分が第1の電装基板15にオーバーラップしているため、上記第1実施形態と同様、無駄なスペースの削減および装置本体の小型化の効果が得られる。
【0041】
図7は、画像形成部の変形例を示している。上記第1実施形態では給紙トレイから排紙トレイに至る記録材搬送路がほぼ垂直であったが、図7の構成では、記録材搬送路がS字状である。この種の画像形成装置においても、第1の電装基板15と第2の電装基板27を駆動列70と反対側にほぼ平行にオーバーラップ配置することで、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【0043】
本実施形態でも、第1の電装基板15と第2の電装基板27とがオーバーラップ配置されている。ただし、両電装基板15,27は、装置本体の側部ではなく、装置本体の奥側に配置されている。具体的には、両電装基板15,27は、記録材搬送路をはさんで、プロセスカートリッジ7の反対側に(つまり、記録材搬送路よりも奥側に)配置されている。その他の構成については第1実施形態のものと同様である。
【0044】
図8の構成によれば、電装部が装置本体の側部に無いため、装置本体の幅方向の寸法を小さくできる。つまりこの構成は、装置幅を低減したいときに有利である。
【0045】
また、2つの電装基板15,27をオーバーラップ配置しているため、第1実施形態と同様、電装基板と外装カバー間の無駄なスペースを削減でき、装置本体の小型化を図ることもできる。
【0046】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る画像形成装置の構成を示す斜視図である。
【0047】
本実施形態では、第2の電装基板27が、基板取付ステー29にビス30で固定されている。基板取付ステー29は、導電性金属で構成されている。また、基板取付ステー29は、導電性金属からなる第1の側板20にビス(不図示)等で電気的接触をもって固定されることで、接地されている。なお、第2の電装基板27は、基板取付ステー29と第1の電装基板15の間に配置される。その他の構成については第1実施形態のものと同様である。
【0048】
この構成においても、2つの電装基板15,27をオーバーラップ配置しているため、第1実施形態と同様、電装基板と外装カバー間の無駄なスペースを削減でき、装置本体の小型化を図ることができる。
【0049】
しかも、接地された基板取付ステー29により電装基板27の大部分を覆っているので、放射ノイズが低減されるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置のフレーム構成および電装系レイアウトを示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図。
【図3】電装系レイアウトの一例を示す図。
【図4】電装系レイアウトの変形例を示す図。
【図5】電装系レイアウトの変形例を示す図。
【図6】本発明の第1実施形態の装置構成と従来の装置構成との比較図。
【図7】画像形成部の変形例を示す図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図。
【図9】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置のフレーム構成および電装系レイアウトを示す斜視図。
【図10】従来の画像形成装置の構成を示す断面図。
【図11】従来の画像形成装置の構成を示す斜視図。
【図12】従来の画像形成装置の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0051】
2 給紙ローラ
3a,3b 搬送ローラ
4 レジストセンサー
5 レーザスキャナ
6 給紙トレイ
7 プロセスカートリッジ
8 感光体
9 転写ローラ
10 案内部材
11 加圧ローラ
12 排紙ローラ対
13 外装カバー
14 排紙トレイ
15 第1の電装基板
16 モータ
20 第1の側板
21 第2の側板
23 スキャナプレート
24 背面プレート
25 底板
26 ギアカバー
27 第2の電装基板
28 支柱
29 基板取付ステー
30 ビス
70 駆動列
F 定着器
H ヒータユニット
P 記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
第1の電装基板と、
第2の電装基板と、を備え、
前記第1の電装基板と第2の電装基板とが、ほぼ平行に重ねて配置されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の電装基板および第2の電装基板と、前記画像形成手段に駆動力を伝達する駆動列とが、前記画像形成手段をはさんだ反対側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の電装基板は、前記画像形成手段に電力を供給するための電源回路または高圧回路を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の電装基板は、画像形成処理に関わる制御を実行するための制御回路を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の電装基板は、高さ寸法が相対的に高い部品群と低い部品群とを含み、
前記第2の電装基板は、前記第1の電装基板のうち高さ寸法が相対的に低い部品群が配置されている領域に重ね合わされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の電装基板と第2の電装基板とが、部品の実装面を向き合わせるようにして配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の電装基板は、その全体が第1の電装基板の外接直方体領域と重なるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−152609(P2007−152609A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347539(P2005−347539)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】