説明

画像形成装置

【課題】簡易な構成で用紙に付着した紙粉を確実に除去することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】レジストローラ対を構成するローラ部材24、26が正に帯電する正帯電ローラで構成されているため、用紙Pと接触することにより負に帯電した紙粉を用紙Pから引き寄せることができる。これにより、搬送される用紙Pから紙粉を除去することができ、紙粉が原因となる画像不良を防止することができる。また、簡易な構成で、搬送される用紙Pから紙粉を除去することができるため、設備コストが大幅に増大してしまうことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正帯電される感光体ドラムを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置の中には、感光体ドラムを正帯電させる方式のものがある。また、この方式の画像形成装置には、プラスチックで構成された搬送ローラなどのローラ部材を設けたものがある。
【特許文献1】特開2000−181309号公報
【特許文献2】特開2005−4086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の画像形成装置では、用紙の紙粉は負に帯電する傾向があり、プラスチックで構成された搬送ローラなどのローラ部材も負に帯電する傾向があるため、用紙がローラ部材に接触した場合でも、用紙の紙粉を除去することができない問題がある。このため、紙粉により用紙に形成される画像の画像不良が発生することがある。また、画像不良を防止するためには、所定のバイアスを印加させるための大規模な設備が必要となり、設備コストが大幅に増大してしまう問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、簡易な構成で用紙に付着した紙粉を確実に除去することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、正に帯電される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに搬送される用紙が接触するローラ部材と、を有する画像形成装置であって、前記ローラ部材は、正に帯電する正帯電ローラで構成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ローラ部材が正に帯電する正帯電ローラで構成されているため、負に帯電し易い紙粉を効果的に引き寄せることができる。これにより、搬送される用紙から紙粉を除去することができ、紙粉が原因となる画像不良を防止することができる。また、簡易な構成で、搬送される用紙から紙粉を除去することができるため、設備コストが大幅に増大してしまうことを防止できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記ローラ部材の少なくとも外周面は、紙よりも正に帯電し易い材料で構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、ローラ部材の少なくとも外周面が紙よりも正に帯電し易い材料で構成されているため、搬送される用紙から紙粉を効率良く除去することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記ローラ部材の少なくとも外周面は、ガラスで構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、ローラ部材の少なくとも外周面が最も正に帯電し易いガラスで構成されているため、搬送される用紙から紙粉を確実に除去することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記ローラ部材の外周面には、セロハンフィルムが巻かれていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、ローラ部材の外周面には比較的正に帯電し易いセロハンフィルムが巻かれているため、搬送される用紙から紙粉を効率良く除去することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記ローラ部材に接触し前記ローラ部材の回転と共に回転する接触ローラ部材を有し、前記ローラ部材の少なくとも外周面は、前記接触ローラ部材よりも正に帯電し易い材料で構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、ローラ部材は接触ローラ部材よりも正に帯電し易い材料で構成されているため、ローラ部材の回転と共に接触ローラ部材が回転している間は、その接触によりローラ部材が常に正に帯電する。これにより、搬送される用紙から紙粉を確実に除去することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成で用紙に付着した紙粉を確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、画像形成装置10は、用紙P(図2参照)に画像を形成するための画像形成部が設けられた画像形成装置本体12を備えている。画像形成装置本体12の下側には、給紙カセット14が配置されている。この給紙カセット14の内部には、フラッパ16が設けられている。このフラッパ16の上部には、所定のサイズの用紙Pが積層されている。また、給紙カセット14の近傍には、給紙ローラ18が配置されている。また、フラッパ16は、積層された用紙Pの上面が給紙ローラ18に接するようにバネ部材20により上方に付勢されている。この状態で、給紙ローラ18が回転駆動すると、摩擦力により用紙Pが1枚ずつ搬送路22に給紙されるようになる。
【0018】
給紙ローラ18の用紙搬送方向下流側には、レジストローラ対を構成する2つのローラ部材24、26が配置されている。ここで、各ローラ部材24、26は、正に帯電する正帯電ローラで構成されている。詳細には、各ローラ部材24、26の少なくとも外周面が紙よりも正に帯電し易い材料、具体的には、ガラス、ナイロン、セロハン、ビニロン、絹、アルミニウム、アクリルなどの樹脂や金属で構成されている。各ローラ部材24、26の全体を上述した各材料で構成してもよく、また、外周面に上述した各材料をフィルム状にしたものを巻きつけてもよい。
【0019】
レジストローラ対の用紙搬送方向下流側には、感光体ドラム28と、感光体ドラム28に所定のニップ圧で接触する転写ローラ30と、が配置されている。また、感光体ドラム28の周囲には、クリーニングローラ32と、コロナ帯電器34と、現像器36と、が配置されている。また、現像器36の近傍には、露光ヘッド38が配置されている。
【0020】
上記クリーニングローラ32は、導電性のスポンジ等により構成され、転写後の感光体ドラム28の表面に付着したトナーや紙粉を除去する。また、コロナ帯電器34は、コロトロンからの放電により感光体ドラム28の表面を一様に帯電する。コロナ帯電器34により一様に帯電された感光体ドラム28に、露光ヘッド38により画像記録信号に応じて露光することで静電潜像が形成される。そして、現像器36内のトナーを感光体ドラム28に形成された静電潜像に転移させて、静電潜像を可視像化する。また、上述した転写ローラ30は用紙Pを挟んで感光体ドラム28と対向する位置に配置されており、転写ローラ30に所定の電圧が印加されると感光体ドラム28の表面に形成されたトナー像が転写ローラ30により用紙Pに転写される。
【0021】
感光体ドラム28及び転写ローラ30の用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された画像を定着させる定着部が設けられている。この定着部は、定着ローラ40と、定着用プレスローラ42と、が配置されている。用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pが定着ローラ40及び定着用プレスローラ42により挟持されて加熱・プレスされることにより、定着される。
【0022】
定着ローラ40及び定着用プレスローラ42の用紙搬送方向下流側には、排紙ローラ44と、この排紙ローラ44と対向するピンチローラ46と、が配置されている。また、画像形成装置本体12の上面には、排紙トレイ48が形成されている。
【0023】
なお、本実施形態の画像形成装置10ではレジストローラ対の2つのローラ部材24、26を正に帯電する正帯電ローラで構成する例を説明したが、この構成に限られるものではなく、例えば給紙ローラ18や給紙カセット14から感光体ドラム28に至るまでに配置されている搬送ローラ(図示省略)などのローラ部材を正に帯電する正帯電ローラで構成することが好ましい。
【0024】
次に、本実施形態の画像形成装置の作用及び効果について説明する。
【0025】
図2に示すように、レジストローラ対の2つのローラ部材24、26が正に帯電する正帯電ローラで構成されているため、用紙Pと接触することにより、負に帯電した紙粉を用紙Pから引き寄せることができる。これにより、搬送される用紙Pから紙粉を除去することができ、紙粉が原因となる画像不良を防止することができる。また、簡易な構成で、搬送される用紙Pから紙粉を除去することができるため、設備コストが大幅に増大してしまうことを防止できる。
【0026】
特に、レジストローラ対の2つのローラ部材24、26を紙よりも正に帯電し易い材料で構成されることにより、搬送される用紙Pから紙粉を効率良く除去することができる。
【0027】
具体的には、レジストローラ対の2つのローラ部材24、26が最も正に帯電し易いガラスで構成されることにより、搬送される用紙Pから紙粉を確実に除去することができる。
【0028】
また、レジストローラ対の2つのローラ部材24、26の外周面に比較的正に帯電し易いセロハンフィルムが巻かれている場合でも、搬送される用紙Pから紙粉を効率良く除去することができる。
【0029】
次に、上記実施形態の画像形成装置の変形例について説明する。なお、上記画像形成装置と重複する構成については説明を省略する。
【0030】
図3に示すように、変形例の画像形成装置では、レジストローラ対の1つのローラ部材24の近傍に、このローラ部材24と接触しローラ部材24の回転と共に回転する接触ローラ部材50が配置されている。ここで、ローラ部材24は、接触ローラ部材50よりも正に帯電し易い材料で構成されている。例えば、ローラ部材24は、ガラス、ナイロン、セロハン、ビニロン、絹、アルミニウム、アクリルで構成され、接触ローラ部材50は、ローラ部材24よりも正に帯電し難い材料、例えばスチール、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、テフロン(登録商標)などの材料で構成されている。また、接触ローラ部材50には除電ブラシ52が取り付けられている。
【0031】
この変形例によれば、ローラ部材24は接触ローラ部材50よりも正に帯電し易い材料で構成されているため、ローラ部材24の回転と共に接触ローラ部材50が回転している間は、その接触によりローラ部材24が常に正に帯電する。これにより、搬送される用紙Pから紙粉を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を構成するローラ部材に紙粉が引き寄せられる状態を示した説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の変形例の要部を示した構成図である。
【符号の説明】
【0033】
10 画像形成装置
24 ローラ部材
26 ローラ部材
28 感光体ドラム
50 接触ローラ部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正に帯電される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに搬送される用紙が接触するローラ部材と、を有する画像形成装置であって、
前記ローラ部材は、正に帯電する正帯電ローラで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ローラ部材の少なくとも外周面は、紙よりも正に帯電し易い材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ローラ部材の少なくとも外周面は、ガラスで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ローラ部材の外周面には、セロハンフィルムが巻かれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ローラ部材に接触し前記ローラ部材の回転と共に回転する接触ローラ部材を有し、
前記ローラ部材の少なくとも外周面は、前記接触ローラ部材よりも正に帯電し易い材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−34228(P2007−34228A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221519(P2005−221519)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】