説明

画像形成装置

【課題】装置本体の強度に影響する構成を変更しないで画像読取装置の光源の光を利用して排紙空間内を照明できるようにすること。
【解決手段】画像形成装置2は、光源52を含む画像読取装置50が内蔵された装置本体上部4U及び下部4L間に配設された排紙空間6を備えた装置本体4と、装置本体上部4Uに配設された自動原稿搬送装置40と、画像読取装置50の光源52の光を受光・伝播して排紙空間6内を照明する受光・伝播・照明部材60を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機などの画像形成装置であって、装置本体を構成する装置本体上部と装置本体下部との間に排紙空間が配設された、いわゆる胴内排紙型の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置本体を構成する装置本体上部と装置本体下部との間に排紙空間が配設された、いわゆる胴内排紙型の画像形成装置は、例えば、特許文献1に開示されている。排紙空間は装置本体の前後方向における前側に開放され、排紙空間に排出された用紙は、装置本体の前側から取り出し可能となっている。このように排紙空間が装置本体内に配設されていると、光が十分届かないので排紙空間内が暗く、排紙空間内に用紙が存在するか否かの確認がしずらく、ユーザが排紙空間内に手を入れて確認していた。
【0003】
このような問題を解決するため、装置本体の両側面に、排紙空間に採光する窓部を設けた画像形成装置が開示されている(特許文献2参照)。この装置によれば、採光用の二つの窓部から排紙空間に光が差し込むので、排紙空間内に用紙が存在するか否かを目視で容易に確認することができる。
【0004】
しかしながら、上記画像形成装置においては、排紙空間の両側に窓部(開口部)を形成しなければならないため、光源を含む画像読取装置が内蔵された装置本体上部を支持するための強度が不足するおそれがある。特に、装置本体上部に自動原稿搬送装置が配設された場合には、強度不足のおそれは更に増加することになる。
【特許文献1】特開2006−52077号公報
【特許文献2】特許第3572143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、装置本体の強度に影響する構成を変更することなく、画像読取装置の光源の光を利用して排紙空間内を照明することを可能にする、新規な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
光源を含む画像読取装置が内蔵された装置本体上部と、装置本体下部と、装置本体上部及び下部間に配設された排紙空間とを備えた装置本体と;装置本体上部の上端に配設された原稿戴置台と;装置本体上部に配設されて、原稿戴置台の上面を覆う閉位置と、原稿戴置台の上面を上方に開放する開位置との間を回動可能な自動原稿搬送装置と;を備え、画像読取装置の光源は、自動原稿搬送装置により搬送されかつ原稿戴置台に配設された画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取る所定位置に静止可能でありかつ、原稿戴置台に沿って往復移動して原稿戴置台に載置された原稿を露光走査しうる、画像形成装置において、
画像読取装置の光源の光を受光・伝播して排紙空間内を照明する受光・伝播・照明部材を備えている、
ことを特徴とする画像形成装置、が提供される。
受光・伝播・照明部材は透明の合成樹脂から構成される、ことが好ましい。
装置本体は、原稿戴置台の、光源の往復移動方向における一側部側において、装置本体上部及び下部間を延在する装置本体中間一側部を備え、受光・伝播・照明部材は、原稿戴置台の、光源の往復移動方向に対し水平に直交する、装置本体の前後方向両端を、原稿戴置台の一側部から他側部まで該両端に沿って延在し、更に該他側部において装置本体上部内を下方に延びてから、排紙空間内を排紙空間の天面に沿って、装置本体中間一側部に向かって延在する、ことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に従って構成された画像形成装置の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
先ず、図4を参照して、本発明が適用される画像形成装置の基本構成について説明する。プリンタと複写機との複合機である画像形成装置2は、装置本体4を備えている。装置本体4は、装置本体上部4Uと、装置本体下部4Lとを備え、装置本体上部4Uと装置本体下部4Lとの間には、排紙空間6が配設されている。装置本体4の水平横方向(図4において左右方向)における一側部(図4において左側部)において、装置本体上部4Uと装置本体下部4Lとの間には、装置本体上部4U及び装置本体下部4L間を延在する装置本体中間一側部4Cと、装置本体4の水平横方向に対し水平に直交する、装置本体4の前後方向(図4において表裏方向)における後端部(図4において裏側部)において、装置本体上部4U及び装置本体下部4L間を延在する装置本体中間後端部4Bとを備えている。排紙空間6は、装置本体4の前面(図4において手前側)及び装置本体中間一側部4Cと反対側の他側面(図4において右側面)に開放されている。排紙空間6の内部には排出トレイ8が形成されている。排紙空間6の一つの壁を形成する、装置本体中間一側部4Cの、図1において右側の壁10には、用紙Pの排出口10Aが設けられている。
【0009】
装置本体下部4L内の、図4において中央よりも左側寄りの位置には、感光体ドラム12が配設されている。感光体ドラム12の周囲には、帯電器14、レーザスキャニングユニットLSU、現像器16、転写ローラ17、クリーニング装置18が配設されている。転写ローラ17は、感光体ドラム12の、図4において左斜め下方の表面に接触するよう配置されている。用紙Pの搬送路20は、感光体ドラム12と転写ローラ17とのニップ部を通って上下方向に延在するよう配設されている。
【0010】
装置本体下部4L内の下端部には、給紙カセット22が配設されている。給紙カセット22内に配設された用紙載置板24には、用紙Pの束が載置され、圧縮コイルばね25により、装置本体下部4L内に配設されたピックアップローラ26に押圧されている。搬送路20の上流端は、ピックアップローラ26の下流側に接続されている。搬送路20の、転写ローラ17よりも上流側には、レジストローラ対28が配設されている。搬送路20の、転写ローラ17よりも下流側は、上方に延びてから排出口10Aに向かってほぼ水平横方向(図4において右方)にカーブしており、定着装置30、搬送ローラ対32及び排出ローラ対34が、この順に搬送路20の下流に向かって配設されている。定着装置30は、熱定着ローラ30Aと、熱定着ローラ30Aに圧接された加圧ローラ30Bとを備えている。
【0011】
装置本体上部4Uの上端には、原稿戴置台であるコンタクトガラス(プラテンガラス)36が配設されている。コンタクトガラス36は、一定の厚さを有する平面矩形状の透明ガラスから形成されている。装置本体上部4Uには自動原稿搬送装置40が配設されている。それ自体は周知の構成を利用することでよい自動原稿搬送装置40は、その下面に原稿押え板40Aを備えかつ、その後端部が、装置本体上部4Uの後端部に図示しないヒンジ機構を介して回動可能に支持されている。自動原稿搬送装置40は、原稿押え板40Aがコンタクトガラス36の上面を覆う閉位置(図4に示される位置)と、原稿押え板40Aがコンタクトガラス36の上面から上方に離隔して該上面を上方に開放する開位置(不図示)との間を回動可能である。
【0012】
自動原稿搬送装置40は、ピックアップローラ41と、ピックアップローラ41の下流側に配置された一対の分離ローラ対42と、分離ローラ対42の下流側に配置されたレジストローラ対43と、レジストローラ対43の下流側に配置された排出ローラ対44とを備えている。ピックアップローラ41、分離ローラ対42、レジストローラ対43及び排出ローラ対44は、自動原稿搬送装置40の原稿搬送路45に沿って上流から下流に向かってその順序で配置されている。原稿搬送路45の上流端の延長上には原稿給紙テーブル46が配設され、原稿搬送路45の下流端の延長上には原稿排出トレイ47が配設されている。原稿排出トレイ47は原稿給紙テーブル46の鉛直下方に配置されている。ピックアップローラ8の下方位置にはセット原稿押さえ板48が配設されている。セット原稿押さえ板48は、ピックアップローラ41から下方に離隔した非作用位置(図4に示される位置)と、原稿給紙テーブル46上にセットされた原稿の先端部をピックアップローラ41に向けて押圧する作用位置(不図示)とに選択的に位置付けられるよう構成されている。
【0013】
原稿搬送路45の一部領域は、装置本体上部4Uの上面、すなわちコンタクトガラス36の上面の一部領域と協働して形成されると共に画像読取位置Rを規定している。画像読取位置Rの上流側にはレジストローラ対43が配置され、画像読取位置Rの下流側には排出ローラ対44が配置されている。原稿搬送路45は分離ローラ対42から画像読取位置Rに至る間においてほぼ反転するよう湾曲されている。
【0014】
装置本体上部4Uには、露光走査装置である画像読取装置50が内蔵されている。それ自体は周知の構成を利用することでよい画像読取装置50は、第1キャリッジ51、第1キャリッジ51に支持された光源52及び第1ミラー53、第2キャリッジ54、第2キャリッジ54に支持された第2ミラー55及び第3ミラー56、集光レンズ57、ラインセンサ58などを備えている。例えば蛍光ランプからなる光源52は、コンタクトガラス36を下面から照射することができ、コンタクトガラス36の、上記前後方向長さよりも長く形成されている。
【0015】
自動原稿搬送装置40が閉位置(図4)に位置付けられた状態において、原稿給紙テーブル46上にセットされた原稿が、周知のとおりにして、ピックアップローラ41、分離ローラ対42、レジストローラ対43により搬送路45を搬送され、画像読取位置Rを通過する過程において、画像読取装置50により原稿の画像が読み取られる。第1キャリッジ51及び第2キャリッジ54は静止し、光源52は、画像読取位置Rを通過する原稿の画像を読み取る所定位置に静止させられる。画像読取装置50により読み取られた画像情報は、自動原稿搬送装置40の上記搬送動作に並行して行なわれる、装置本体下部4L内における画像形成動作により用紙Pに転写・定着され、該用紙Pは排紙空間6の排出トレイ8に排出される。
【0016】
他方、原稿がコンタクトガラス36上に載置された場合には、第1キャリッジ51がコンタクトガラス36の下面に沿って図4において左右方向に往復移動して、光源52によりコンタクトガラス36上に載置された原稿を露光走査する。第2キャリッジ52は、原稿からラインセンサ58までの光路長が一定となるように、第1キャリッジ51の1/2の速度で第1キャリッジ51に連動させられる。このように、光源52は、自動原稿搬送装置40により搬送されかつコンタクトガラス36の一側部(図4において左側部)に配設された画像読取位置Rを通過する原稿の画像を読み取る所定位置に静止可能でありかつ、コンタクトガラス36に沿って往復移動してコンタクトガラス36に載置された原稿を露光走査することができるのである。
【0017】
なお、上記画像形成装置2において、画像形成動作そのものは周知のとおりにして行われるので、以下、図4を参照して簡単に説明する。画像形成が行われるに際しては、帯電器14により一様に帯電された感光体ドラム14の表面がレーザスキャニングユニットLSUにより露光されることにより静電潜像が形成され、この静電潜像は現像装置16により現像されてトナー像となる。このトナー像は、給紙カセット22から送られた用紙Pが、感光体ドラム12と転写ローラ17とのニップ部を通過する間に該用紙Pに転写される。該用紙Pに転写されたトナー像は、定着装置30を通過する間に該用紙Pに熱定着される。該トナー像が定着された該用紙Pは、搬送ローラ対32及び排出ローラ対34によって、排出口10Aを通って排出トレイ8にフェイスダウンの状態で排出される。
【0018】
画像形成装置2は、画像読取装置50の光源52の光を受光・伝播して排紙空間6内を照明する受光・伝播・照明部材60を2個備えている。図1及び図2を参照して、受光・伝播・照明部材60は、コンタクトガラス36の前後方向両端を、コンタクトガラス36の一側部(図1及び図2において左側部)から他側部(図1及び図2において右側部)まで該両端に沿って延在し、更に該他側部において装置本体上部4U内を下方に延びてから、排紙空間6内を排紙空間6の天面6Aに沿って、装置本体中間一側部4Cの壁10に向かって延在する。排紙空間6内を延在する受光・伝播・照明部材60の、図4において左端は、装置本体中間一側部4Cの壁10に近接した位置に存在するが、壁10の手前であってもよい。受光・伝播・照明部材60の各々は、横断面が矩形状の透明な合成樹脂製ロッド部材から構成されている。受光・伝播・照明部材60の各々が上下方向に延在する装置本体上部4Uの内側には、板金製のフレーム70が配設され、装置本体上部4Uの外側面は、板金製のカバー71が配設されている。図2に示されているように、受光・伝播・照明部材60が配設されるコンタクトガラス36の前後方向両端は、コンタクトガラス36に載置される最大サイズの原稿(図2においてハッチングで図示されている)の幅(上記前後方向の幅)よりも外側の位置である。
【0019】
画像読取位置Rを通過する原稿の画像を読み取る所定位置に静止させられた光源52から照射された光は、受光・伝播・照明部材60の、コンタクトガラス36の前後方向両端における、図1において左側部において受光され、受光・伝播・照明部材60に沿って反射を繰り返しながら搬送され、前後方向両端における、排紙空間6内の、図1において右側部まで伝播されてから排紙空間6内に向けて照射される。
【0020】
このような受光・伝播・照明動作が効果的に行われるための手段が、受光・伝播・照明部材60に施されることが好ましい。図3には、該手段の実施形態が示されている。受光・伝播・照明部材60の、コンタクトガラス36の前後方向両側における、図1において左端には、下方から照射される光が、受光・伝播・照明部材60に沿って図3において右方に反射されるように、反射板61が傾斜して一体に取り付けられている。コンタクトガラス36の前後方向両端おける、図3において右端には、反射板61により反射された光が、受光・伝播・照明部材60に沿って図3において下方に反射されるように、反射板62が傾斜して一体に取り付けられている。受光・伝播・照明部材60の、排紙空間6内に位置する図3において右端には、反射板62により反射された光が、受光・伝播・照明部材60に沿って図3において左方に反射されるように、反射板63が傾斜して一体に取り付けられている。そして、受光・伝播・照明部材60の、排紙空間6内に位置する図3において左端には、反射板63により反射された光が、排紙空間6内を下方に照射されるように、反射板64が傾斜して一体に取り付けられている。受光・伝播・照明部材60の、コンタクトガラス36の前後方向両端を延在する領域の下面には、走査のために移動する光源52(図1)の光が、受光・伝播・照明部材60内に入射され、閉位置に位置付けられた自動原稿搬送装置40の原稿押え板40Aに反射されて反射板62の方向に指向されるような、断面がほぼV形状をなす溝65が、該走査方向に間隔をおいて複数個形成されている。
【0021】
本発明において、画像形成装置2は、画像読取装置50の光源52の光を受光・伝播して排紙空間6内を照明する受光・伝播・照明部材60を備えているので、装置本体4の強度に影響する構成を変更することなく、したがって、装置本体4の強度を十分確保しながら、画像読取装置50の光源52の光を利用して排紙空間6内を照明することができる。これによりユーザは、排紙空間6内に用紙Pが存在するか否かを目視で容易に確認することができる。
【0022】
本発明において、受光・伝播・照明部材60は透明の合成樹脂から構成されるので、比較的低コストで本発明の実用化が可能である。
【0023】
本発明の上記実施形態において、排紙空間6の前方及び装置本体中間一側部4Cと反対側の他側が外部に開放されているが、装置本体4の水平横方向(図4において左右方向)における他側部(図1において右側部)において、装置本体上部4Uと装置本体下部4Lとの間には、装置本体上部4U及び装置本体下部4L間を延在する装置本体中間他側部(不図示)が形成され、排紙空間6の前方のみが外部に開放される他の実施形態もある。本発明による照明効果は、この実施形態においては更に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に従って構成された画像形成装置の実施形態を示す構成概略図である。
【図2】図1のA−A矢断面概略図であって、コンタクトガラス及び光搬送部材のみを示すA−A矢断面概略図である。
【図3】図1に示す光搬送部材及び関連部材を概略的に示す断面である。
【図4】従来の画像形成装置を示す構成概略図である。
【符号の説明】
【0025】
2:画像形成装置
4:装置本体
4U:装置本体上部
4L:装置本体下部
6:排紙空間
36:コンタクトガラス
40:自動原稿搬送装置
50:画像読取装置
52:光源
60:受光・伝播・照明装置
R:画像読取位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を含む画像読取装置が内蔵された装置本体上部と、装置本体下部と、装置本体上部及び下部間に配設された排紙空間とを備えた装置本体と;装置本体上部の上端に配設された原稿戴置台と;装置本体上部に配設されて、原稿戴置台の上面を覆う閉位置と、原稿戴置台の上面を上方に開放する開位置との間を回動可能な自動原稿搬送装置と;を備え、画像読取装置の光源は、自動原稿搬送装置により搬送されかつ原稿戴置台に配設された画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取る所定位置に静止可能でありかつ、原稿戴置台に沿って往復移動して原稿戴置台に載置された原稿を露光走査しうる、画像形成装置において、
画像読取装置の光源の光を受光・伝播して排紙空間内を照明する受光・伝播・照明部材を備えている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
受光・伝播・照明部材は透明の合成樹脂から構成される、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置本体は、原稿戴置台の、光源の往復移動方向における一側部側において、装置本体上部及び下部間を延在する装置本体中間一側部を備え、受光・搬送・照明部材は、原稿戴置台の、光源の往復移動方向に対し水平に直交する、装置本体の前後方向両端を、原稿戴置台の一側部から他側部まで該両端に沿って延在し、更に該他側部において装置本体上部内を下方に延びてから、排紙空間内を排紙空間の天面に沿って、装置本体中間一側部に向かって延在する、請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−107666(P2008−107666A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291934(P2006−291934)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】