説明

画像形成装置

【課題】 残留現像剤による影響を排除し、高画質の画像形成が可能となる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 潜像担持体に形成されたトナー像を中間転写体に1次転写する1次転写手段と、中間転写体から記録媒体にトナー像を転写する2次転写手段と、中間転写体から残留現像剤を除去する除去手段とを備え、さらに、中間転写体の駆動停止後に中間転写体と2次転写手段を離間する離間手段Aと、中間転写体と上記潜像担持体を離間する離間手段Bとを設ける。そして、当接手段Aは、中間転写体の駆動開始から、除去手段と2次転写手段との間を中間転写体が移動するのに要する移動時間Aの経過後に、中間転写体と2次転写手段を当接させる画像形成装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機、複合機等の画像形成装置に関し、特に液体現像剤を用いる湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プリンタや複写機、複合機等の画像形成装置に適用する現像方法としては、現像剤の扱い安さ、簡便さから乾式現像方法が主に用いられている。しかし、乾式現像剤に代わり、液体現像剤を用いる湿式画像形成装置の開発が盛んに進められている。この液体現像剤は、主に、ジメチルポリシロキサンオイル等の絶縁性液体(キャリア液)とこの液体中に懸濁させている顕像化のための着色粒子であるトナーから構成されている。液体中にトナーを懸濁させることができるため、トナーの粒子径を非常に小さくすることが可能になり、高品位の画像を得ることができる。とくに、トナーの粒子径を小さくすることで、粒状性のない高品位のカラー画像も容易に得ることができる。
【0003】
図5(a)は、湿式画像形成装置における印刷機構の概略構成図である。中間転写駆動ローラ63a、中間転写テンションローラ63b、中間転写従動ローラ63cの3つのローラに、中間転写体である中間転写ベルトB1が張設されている。そして、中間転写駆動ローラ63aが回転することで、中間転写ベルトB1は矢印F方向に巡回する。
【0004】
中間転写ベルトB1の下方には、この巡回方向の上流から、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)の各色ごとのトナー像を形成する画像形成手段FY,FC,FM,FBが備えられている。画像形成手段FYの潜像担持体RYと1次転写ローラ61Yでこの中間転写ベルトB1を挟み込むニップ部において1次転写ローラ61Y(1次転写手段)にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写バイアス電圧が印加されているので、この潜像担持体RYから中間転写ベルトB1へ、イエローのトナー像が1次転写される。なお、キャリア液は絶縁性なので1次転写はされないが、中間転写ベルトB1に若干量が付着することによって移動する。
【0005】
以下、同様にして、順次シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像が中間転写ベルトB1へ1次転写されて、ブラックの画像形成手段FBを通過した際には、中間転写ベルトB1上にフルカラーのトナー像が形成される。このように、各色の画像形成手段を直列的に配置することでフルカラー画像の形成を行う方式は、タンデム式と呼ばれる。
【0006】
このようにして形成されたフルカラートナー像は、トナーと逆極性のバイアスが印加された2次転写ローラ(2次転写手段)62によって、搬送路L内に搬送された記録媒体K上に2次転写されて、1つの画像の印刷が完了する。この2次転写後、中間転写ベルトB1に残留した現像剤(トナー及びキャリア液)は、中間転写ベルトの除去手段B2によって中間転写ベルトB1から除去される。
【0007】
より具体的には、中間転写従動ローラ63cの位置において、除去手段B2内の除去ブレードB3及び除去ローラB4が、この中間転写ベルトB1の表面に当接し、この表面の現像剤を掻き取る。ここで、上記除去ブレードB3及び除去ローラB4は、必ずしも1対で備えられている必要はない。即ち、除去ブレードB3または除去ローラB4の一方のみを備えていても、上記現像剤を掻き取ることはできる。ただし、1対で用いたほうが、現像剤を掻き取る際の効率が上がる。
【0008】
こうして、掻き取られた現像剤は重力によりタンクB5内に落下し、回収装置(図示しない)によって回収され、再利用される。このような除去手段B2を備えた画像形成装置は、例えば下記の特許文献1,2に開示されている。
【特許文献1】特開2001−109346号公報
【特許文献2】特開2002−296918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記の従来技術には以下のような問題点がある。
【0010】
画像形成停止時に、中間転写ベルトB1が一定時間以上停止状態にあると、図5(b)に示すように、掻き取られて除去ブレードB3の上方に溜まった現像剤Cが、毛細管現象で除去ブレードB3の長手方向の両サイドを超えて除去ブレードB3の裏面側にも回りこみ、中間転写ベルトB1の除去ブレードの下流側に付着する。特に液体現像剤を用いる湿式画像形成装置では、現像剤Cのこのような回り込みが頻繁に起こる。この現像剤Cには各色のトナーが混じっているため黒く濁った色調であり、この回り込みを許してしまうと、次のような不都合が起こる。
【0011】
即ち、再び画像形成を開始したときには上記回り込んで中間転写ベルトの除去ブレードの下流側に付着した現像剤Cがそのまま2次転写位置まで運ばれて2次転写手段62と中間転写ベルトB1のニップ部に滞留し、ニップ部のキャリア液の量が過剰になる。このために2次転写効率が低下し、中間転写ベルトB1上に形成されたフルカラー画像が記録媒体Kに2次転写される際に、転写不良を発生させて画像を乱す。また、現像剤Cは濁った色をしているので用紙先端が汚れたりする。さらに、各画像形成手段の潜像担持体RYが中間転写ベルトB1から離間しない場合には1次転写ニップで現像剤Cが堰き止められ、1次転写ニップにおけるキャリア液が過剰に存在するため1次転写効率が低下し、画像に劣化を生じさせる。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、中間転写ベルトの除去手段の端部を回りこんで中間転写ベルトに付着した残留現像剤による影響を排除し、高画質の画像形成が可能となる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を採用している。
まず、本発明は、潜像担持体に形成されたトナー像を中間転写体に1次転写する1次転写手段と、中間転写体から記録媒体にトナー像を転写する2次転写手段と、中間転写体から残留現像剤を除去する除去手段とを備える。
【0014】
そして、このような画像形成装置において、中間転写体の駆動停止後に中間転写体と2次転写手段を離間する離間手段Aと、中間転写体と上記潜像担持体を離間する離間手段Bとを設ける。そして、当接手段Aは、中間転写体の駆動開始から、除去手段と2次転写手段との間を中間転写体が移動するのに要する移動時間Aの経過後に、中間転写体と2次転写手段を当接させる。すなわち、中間転写ベルトの除去ブレードの下流側の現像液が付着した部分が通過するのを待ってから2次転写を行うのである。
【0015】
さらに、中間転写体の駆動開始から除去手段と上記潜像担持体との間を中間転写体が移動するのに要する移動時間Bの経過後に、該中間転写体と該潜像担持体とを当接させる当接手段Bを備える構成としてもよい。
【0016】
またさらに、中間転写体の駆動開始から移動時間Bの経過時までの間、中間転写体の線速を画像形成時の線速より高速にする加速手段を備える構成としても良い。即ち、上記現像液が付着した部分はいち早く通過させる。なお、ここでいう画像形成時とは、印刷処理時に連続して記録媒体に出力する際の線速ということができ、即ち潜像担持体にトナー像を形成する際の線速である。
【0017】
なお、本発明は、1次転写手段がトナーと液体キャリアからなる液体現像剤を用いて上記トナー像を形成する、湿式画像形成装置を主に想定している。
【発明の効果】
【0018】
以上、本発明の画像形成装置によれば、中間転写ベルトの除去手段の端部を回りこんで中間転写ベルトに付着した残留現像剤が通過するまで2次転写手段を離間しておくので、残留現像剤の影響を受けない高画質の画像を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、図面では部材の位置及び大きさ等は適宜強調して描かれている。また、以下の実施形態は、本発明の画像処理装置の一例として、プリンタを挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の画像処理装置は画像形成部を備えていればよく、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有するいわゆる複合機(MFP:Multi Function Peripheral)やコピー機能のみを備えたものでもよい。
【0020】
図1は、本実施形態の画像形成装置1の概略構成図である。
【0021】
画像形成装置1は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部A1、用紙を収容する用紙収容部2、画像形成部A1で形成されたトナー画像を用紙上に転写する2次転写部3を備えている。また、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部4、定着の完了した用紙を排紙する排紙装置5、及び、排紙された用紙を受ける排紙トレイ7を備えている。さらに、画像形成装置1は、用紙収容部2から排紙装置5まで用紙を搬送する用紙搬送部6を備えている。
【0022】
画像形成部A1は、中間転写体である中間転写ベルトB1、中間転写ベルトの除去手段B2、並びに、イエロー(Y) 、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)の各色にそれぞれ対応した画像形成手段(画像形成ユニット)FY、FC、FM、及びFBを備える。なお、この画像形成部A1とその中の除去手段B2の具体的構成及び作用は、上記背景技術と同様である(図5参照)。
【0023】
中間転写ベルトB1は、用紙搬送方向に直角な方向の長さが使用可能な最大の用紙より幅広であり、導電性を有する無端状、すなわちループ状のベルト状部材である。この中間転写ベルトB1は、図1において時計回りに循環駆動される。
【0024】
画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBは、中間転写ベルトB1の移動方向において、中間転写ベルトのクリーニング部B2より下流かつ2次転写部3の上流に、この順に配される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。
次に、この湿式画像形成装置1の画像形成動作を説明する。図2は、画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBの1つの詳細図である。各画像形成ユニットFY、FC、FM、FBはほぼ同等な構成となっている。
【0025】
画像形成ユニットFYは、感光体ドラム(潜像担持体)10、帯電器11、LED露光装置12、イエロー用の現像装置HY、1次転写ローラ(電圧印加部)20、感光体ドラム10のクリーニングユニット31、除電装置13、キャリア液除去ローラ(キャリア除去部材)30を備える。
【0026】
なお、他の画像形成ユニットFM、FC、FBはそれぞれの色に対応した現像装置HM、HC、HBを備える。また、画像形成ユニットのうち、中間転写ベルトB1の移動方向の最下流側に位置する画像形成ユニットFBには、その下流に画像形成部が位置しないためキャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
【0027】
感光体ドラム10は、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持することができるようになっていればよい。
【0028】
本実施形態において、感光体ドラム10は、中間転写ベルトB1の移動方向に垂直かつ中間転写ベルトB1の面方向に平行な回転軸を中心に回転可能に配される略円筒状の部材とする。また、感光体ドラム10は、中間転写ベルトB1の表面に、所定の1次転写位置10Sにて接するようになっている。そして、感光体ドラム10は、1次転写位置10Sでの移動方向が中間転写ベルトB1の移動方向と同方向になるように、つまり図2においては反時計回りに回転可能である。
【0029】
クリーニングブレード35、除電装置13、帯電器11、LED露光装置12、イエロー用の現像装置HYは、感光体ドラム10の回りに、上述の回転方向に沿って、1次転写位置から見てこの順に配される。
【0030】
帯電器11は、感光体ドラム10表面を一様に帯電させることができる。
【0031】
LED露光装置12は、LED光源を有し、上述の上位装置から印刷指示された画像情報に応じて、帯電した感光体ドラム10表面を画像情報に応じた光で照射し、感光体ドラム10表面に静電潜像を形成可能である。
【0032】
現像装置HYは、現像容器40、現像ローラ40a、供給ローラ40b、汲み上げローラ40c、撹拌スパイラル40d及び40e、クリーニングブレード45、並びに供給ローラドクターブレード40gを備える。
【0033】
イエロー用の現像装置HYは、イエローのトナー及び液体のキャリアを含む現像剤を上記静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付与し、静電潜像をトナー像として現像することができる。このトナー像は1次転写ローラ20によって中間転写ベルトB1に1次転写される。1次転写ローラ20の詳細については後述する。
次に、現像装置HYの構成について説明する。各色の現像装置HY、HC、HM、HBの構成は同等である。
【0034】
現像容器40は、内部にイエローのトナー粒子と液体のキャリアからなる現像剤を貯留する。撹拌スパイラル40d及び40eは、現像容器40の現像剤に全体が浸るように設けられ、現像剤を撹拌する。撹拌スパイラル40dと40eの回転によってトナー粒子がキャリア液に均一に分散される。
【0035】
汲み上げローラ40cは現像容器の現像剤にその一部が浸るように配置され、現像剤をその表面に付着させて汲み上げる。この汲み上げローラ40cに接するようにして供給ローラ40bが配置され、汲み上げローラ40cから現像剤の供給を受ける。供給ローラ40bの回転方向の汲み上げローラ40cと接する位置の下流側であり後述する現像ローラ40aとの接触位置の上流側に、供給ローラ40bの表面の現像剤の層厚を規制する供給ローラドクターブレード40gが設けられる。供給ローラドクターブレード40gは、供給ローラ40bの表面の現像剤層厚を所定量になるように規制する。供給ローラと40bと接するように現像ローラ40aが配置され、その表面に供給ローラ40bから現像剤が付与される。供給ローラ40bの現像剤の層厚が所定値に規制されているので現像ローラ40aの表面形成される現像剤の層厚も所定値に保たれる。この現像ローラ40aは感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ40aに印加される現像バイアスの電位差によって上位装置から形成指示された画像に応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。なお、現像ローラ40aが駆動されている間は現像ローラ40aから感光体ドラム10に液体のキャリアが付着することによって少量ずつ移動する。
【0036】
感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ40aの表面の現像剤はクリーニングブレード45によって除去され、当該クリーニングブレード45の表面に沿って流下し図示しない流路を通って現像容器40に貯留されている現像剤と混合される。
【0037】
また、現像容器にはトナー濃度センサ40hが配置され、現像容器40内の現像剤のトナー濃度を検出する。トナー濃度が所定値より低いことが検出された場合には、図示しないトナーカートリッジからトナー(所定値よりトナー濃度が高い現像剤)が現像容器40に供給され、トナー濃度が所定値より高い場合には図示しないキャリア液カートリッジからキャリア液がトナー容器40に供給される。
【0038】
また、現像容器40には現像液液面センサ40iが配置され、現像容器40内の現像剤の液面が所定値かどうかを検出する。現像剤の液面が所定値より低いことを検出した場合には、図示しない配管を経由してトナーカートリッジ(図示しない)からトナーを、キャリア液カートリッジ(図示しない)からキャリア液をそれぞれ現像容器40に所定割合で供給し、液面が所定値になるように調整する。なお、現像剤調整装置を設けて、トナーとキャリア液を所定割合で混合した後、現像容器40に供給してもよい。現像剤の液面が所定値より高いことを検出した場合には、現像容器40に設けられた図示しない現像剤排出管から現像液を排出し図示しないリザーブタンク等に一時貯蔵する。
【0039】
クリーニングブレード31aは、感光体ドラム10に接するように配されたブレード状の部材である。クリーニングブレード31aは1次転写後、感光体ドラム10の表面に残留した現像剤を除去する。
【0040】
除電装置13は光源を備え、クリーニングブレード31aによる現像剤除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電し、次の画像形成に備える。
【0041】
1次転写ローラ20は、中間転写ベルトB1の裏面に、中間転写ベルトB1の移動方向において上記1次転写位置10Sより下流の電圧印加位置20Sで接するように配される。1次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーの帯電極性とは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、1次転写ローラ20は、電圧印加位置20Sにて、中間転写ベルトB1にトナーと逆極性の電圧を印加することができる。中間転写ベルトB1は導電性を有するので、この印加電圧によって、電圧印加位置20Sの中間転写ベルトB1の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。なお、中間転写ベルトB1が駆動されている間は感光体ドラム10から中間転写ベルトB1に液体のキャリアが付着することによって少量ずつ移動する。
【0042】
そこで、本実施形態では、上記1次転写位置10Sを、この印加電圧によってトナーが中間転写ベルトB1側に引き付けられる範囲内に配する。その結果感光体ドラム10から中間転写ベルトB1の表面へトナーが移動し、1次転写が行われる。
【0043】
このように1次転写が可能であれば、1次転写ローラ20の具体的な構成は特に限定されず、具体的な構成は適宜変更可能である。本実施形態においては、1次転写ローラ20は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と逆方向に回転可能な、つまり電荷印加位置20Sでの移動方向が中間転写ベルトB1と同方向になるように回転可能な、略円柱状の部材とする。
【0044】
本実施形態では、キャリア除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材であるとするが、これに限定されるものではなく、中間転写ベルトB1の移動方向において1次転写位置10Sよりも下流、2次転写位置よりも上流(下流側の画像形成ユニットの感光体ドラム10と中間転写ベルトB1とが接する位置よりも上流)で中間転写ベルトB1表面からキャリアを除くことができればよい。具体的には、キャリア除去ローラ30は、中間転写ベルトB1の表面に接することによって、中間転写ベルトB1表面のキャリアを自身の表面に移動させることができるようになっていればよい。
【0045】
前述のように、キャリアも感光体ドラム10から中間転写ベルトB1へと少量ずつ転移する。このキャリアの転移は、下流側の画像形成部における1次転写を妨げて画像のぼけ及びにじみ等の画像の不具合を引き起こす場合がある。キャリア除去ローラ30を設けることによって、このような画像の不具合を防ぐことができる。ここでトナーの帯電はキャリアにトナーが分散されている時にしか発揮されないので、中間転写ベルトB1に付着しているキャリアを全て除去すると1次転写が満足に行われない。このため、1次転写に必要な量を残して余剰となるキャリアのみ除去するように設定するのが望ましい。
【0046】
本実施形態では、キャリア除去ローラ30は、上述のクリーニングブレード35と共に、クリーニングユニット31に組み込まれている。クリーニングユニット31は、画像形成ユニットFY内に設けられており、クリーニングブレード31a及びキャリア除去ローラ30の他に、キャリア除去ローラ30の表面に接することでキャリア除去ローラ30表面に付着したキャリアを除去するキャリア除去ブレード31bと、キャリア除去ローラ30から除去されたキャリア、及び感光体ドラム10表面からクリーニングブレード35によって除去された現像剤(トナー及びキャリアを含む)とを、クリーニングユニット31の外部に搬送する搬送部材31cを備える。画像形成ユニットFYはさらに、搬送部材31cによって搬送されたキャリア及びトナーを再利用するため、キャリアとトナーとを分離する分離部等を備えてもよい。
【0047】
このような構成の下、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置から画像形成の指示を受けた画像形成装置1は、指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY、FC、FM、FBを用いて形成する。各画像形成部で形成されたトナー像は中間転写ベルトB1に転写されて、中間転写ベルトB1上で重ね合わされてカラートナー像となる。
【0048】
上記カラートナー像の形成と同期して用紙収容部2に収容されている用紙が図示しない給紙装置で用紙収容部2から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部6上を搬送される。そして、用紙は中間転写ベルトB1への1次転写とタイミングを合わせて2次転写部3に送り込まれ、2次転写部3で中間転写ベルトB1上のカラートナー像が用紙に2次転写される。カラートナー像が転写された用紙はさらに定着部4に搬送されて熱と圧力によりカラートナー像が用紙に定着される。さらに用紙は排紙装置5によって画像形成装置1の外周に設けられた排紙トレイ部7に排紙される。2次転写後、中間転写ベルトB1に残留したトナーは、中間転写ベルトの除去手段B2によって中間転写ベルトB1から除去される。なお、中間転写ベルトB1が停止して例えば1時間程度経過すると、掻き取られて除去ブレードB3の上方に溜まった現像剤Cが、毛細管現象で除去ブレードB3の長手方向の両サイドを超えて除去ブレードB3の裏面側にも回りこんで中間転写ベルトB1の除去ブレードの下流側に付着する。中間転写ベルトB1が停止してから上記のような現象が発生するまでの時間はキャリアの種類、現像剤C中のトナー量、温度湿度等の環境条件等によって異なる。
【0049】
図3は、本実施形態における画像形成装置1のハードウェア構成図である。
【0050】
画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Onl7 Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204及び上記印刷における各駆動部に対応するドライバ205が内部バス206を介して接続されている。上記CPU201は、例えばRAM202を作業領域として利用し、ROM203やHDD204等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ205とデータや命令を授受することにより上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図4に示す)についても、CPU201がプログラムを実行することで各手段として動作する。
【0051】
図4は、本実施形態における画像形成装置1のソフトウェア構成図である。
ユーザは、この画像形成装置1のタッチパネル401から、あるいは、この画像形成装置1とネットワークで接続されたパーソナルコンピュータ501から、画像形成の指示を入力する。この画像形成が一旦終了し、中間転写ベルトB1が停止後、画像形成の指示が所定時間(例えば20分)以上無いと、離間手段A 402が、例えば油圧ジャッキ等の位置移動手段J1を駆動して、中間転写ベルトB1と上記2次転写部3の2次転写手段(より具体的には2次転写ローラ)62とを離間する。また、ほぼ同時に、離間手段B404が、例えば画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBに当接している偏心カム駆動手段等の位置移移動手段J2を駆動することで、画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBを中間転写ベルトB1から離間させる。これら画像形成ユニットを中間転写ベルトB1から離間させることで、これら画像形成ユニットに含まれる感光体ドラム10を中間転写ベルトB1から離間することになる。ただし、1次転写ローラ20は中間転写ベルトB1の裏面に当接しているので移動させる必要がない。
【0052】
中間転写ベルトB1が停止後、画像形成の指示が所定時間以上無いと、上記のような離間動作を行う理由は、中間転写ベルトB1が停止した状態で感光体ドラム10や2次転写手段62が例えば圧力により当接していると、中間転写ベルトB1当接部の特性が変化し次の画像形成に支障をきたすからである。支障が無い場合には、中間転写ベルトB1を次に駆動する直前に、これらを離間しても良い。
【0053】
次に、ユーザがタッチパネル401からあるいはこの画像形成装置1とネットワークで接続されたパーソナルコンピュータ501から、再び画像形成を指示すると、この画像形成開始時から除去手段B2と2次転写手段62との間を上記中間転写ベルトB1が移動するのに要する時間(以後“移動時間A”と称する)の経過後に、当接手段A403が中間転写ベルトB1と2次転写手段62とを当接させる。この当接も、やはり上記位置移動手段J1を駆動して行われる。
即ち、現像剤Cが中間転写ベルトB1上の2次転写位置を通過するのを待ってから2次転写手段(より具体的には2次転写ローラ)62を中間転写ベルトB1に当接させるのである。これによって、2次転写手段62に現像剤Cが付着するのが防止され、画質の劣化を防ぐことができる。なお、2次転写手段62を通過した上記現像剤Cは、再び上記除去手段B2を通過する際に除去され、それ以降は通常の画像形成が行われる。また、上記移動時間Aは、除去手段B2と2次転写手段62との距離を中間転写ベルトB1の線速で除して算出し、予めRAM202に記憶しておく。
【0054】
さらに、当接手段B406が位置移移動手段J2を駆動さることで、離間している画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBは、2次転写手段62の当接と同時に中間転写ベルトB1に当接する。これら画像形成ユニットを中間転写ベルトB1に当接せることで、これら画像形成ユニットに含まれる感光体ドラム10を中間転写ベルトB1に当接させることになる。なお、画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBが中間転写ベルトB1に当接するのは最低限以下の時間が経過してからとする。
【0055】
即ち、上記現像剤Cが画像形成ユニットFY、FC、FM、FBに含まれる感光体ドラム10が中間転写ベルトB1に当接すべき位置を通過するのに要する時間(以後“移動時間B”と称する)”の経過後に画像形成ユニットFY、FC、FM、FB を中間転写ベルトB1に当接させるのである。これにより、現像剤Cが図2に示した感光体ドラム10と中間転写ベルトB1との当接ニップに堰き止められ、そのため当接ニップ部にキャリア液の量が過剰になってしまうことで1次転写が充分行えず、即ち転写不良が発生し画像を劣化させる問題を解決することができる。この移動時間Bも、上記移動時間Aと同様に、除去手段B2と画像形成ユニットFY、FC、FM、FBの感光体ドラム10と中間転写ベルトB1の当接位置 との距離を中間転写ベルトB1の線速で除して算出し、予めRAM202に記憶しておく。
【0056】
ここで、移動時間Bは、画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの位置の違いを考慮して、画像形成ユニットFY、FC、FM、FBごとに4種算出しておいてもよい。例えば、マゼンタの画像形成ユニットFMに対して、移動時間BはTMであるとする。そして、上記画像形成開始時から移動時間B(TM)経過中は、中間転写ベルトB1から画像形成ユニットFM を離間しておき、移動時間B(TM)経過後に、中間転写ベルトB1と画像形成ユニットFMとを当接してもよいことになる。
【0057】
さらに、上記の移動時間A経過中には、加速手段405が、中間転写駆動ローラ63aの回転速度を上昇させることで、中間転写ベルトB1の線速を画像形成時より加速する。即ち、上記汚れ部分は2次転写手段62をいち早く通過させることで、印刷開始までの待ち時間が短縮できる。この場合には、加速手段405による線速に応じた各移動時間が算出される。また、画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBを中間転写ベルトB1に対して離間及び当接させるようにしたが、画像形成ユニットの感光体ドラム10のみを中間転写ベルトB1に対して離間及び当接させてもよい。
【0058】
なお、中間転写ベルトB1の駆動中に2次転写手段62や画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBを中間転写ベルトB1に当接すると、その衝撃の影響が中間転写ベルトB1の駆動部の劣化を促進してしまう。また、トナーの移動を防ぐため画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBの感光体ドラム10と中間転写ベルトB1に電圧を印加した状態で、両者を当接させることになる。この際に、リーク等によって感光体ドラム10に劣化が生じる可能性がある。これらを防止する必要がある場合は、第2移動時間経過後に中間転写ベルトB1を停止させ、その後2次転写手段62や画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBを中間転写ベルトB1に当接させてから中間転写ベルトB1を再度駆動させるようにする。
【0059】
以上により、高画質の画像形成を継続して行うことが可能となる。なお、本実施形態では、中間転写体は中間転写ベルトB1であるとして説明したが、これは一例であって、他の中間転写体(例えば中間転写ドラム)を使用する場合であっても、本発明の適用がある。また、既述の通り、現像剤の浸潤は液体現像剤を用いる場合に起こりやすい。従って、本発明は液体現像剤を用いる湿式画像形成装置において特に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る画像形成装置は、中間転写ベルトの停止時に、除去手段の下流側の中間転写ベルトに付着した現像剤の影響が画像に出ないように制御することで、高画質の画像形成が可能である。従って、高画質印刷に対応するプリンタや複写機、複合機等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の画像形成装置の概略構成図。
【図2】本発明の画像形成装置における画像形成ユニットの詳細図。
【図3】本発明の画像形成装置のハードウェア構成図。
【図4】本発明の画像形成装置のソフトウェア構成図。
【図5】湿式画像形成装置における印刷機構の概略構成図。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
A1 画像形成部
B1 中間転写ベルト
B2 除去手段
B3 除去ブレード
B4 除去ローラ
2 用紙収容部
3 二次転写部3
4 定着部
5 排紙装置5
6 用紙搬送部
7 排紙トレイ
FY、FM、FC、FB 画像形成ユニット
HY、HM、HC、HB 現像装置
10感光体ドラム
40 現像容器
40a 現像ローラ
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 HDD
205 ドライバ
206 内部バス
401 タッチパネル
402 離間手段A
403 当接手段A
404 離間手段B
405 加速手段
406 当接手段B
J1、J2 位置移動手段
62 2次転写手段
63a 中間転写駆動ローラ
63b 中間転写テンションローラ
63c 中間転写従動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に形成されたトナー像を中間転写体に1次転写する1次転写手段と、
上記中間転写体から記録媒体に上記トナー像を転写する2次転写手段と、
上記中間転写体から残留現像剤を除去する除去手段と、
中間転写体の駆動停止後に、上記中間転写体と上記2次転写手段を離間する離間手段Aと、
中間転写体の駆動停止後に、上記中間転写体と上記潜像担持体を離間する離間手段Bと
中間転写体の駆動開始から、上記除去手段と上記2次転写手段との間を上記中間転写体が移動するのに要する移動時間Aの経過後に、上記中間転写体と該2次転写手段を当接させる当接手段Aと、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
さらに、中間転写体の駆動開始から上記除去手段と上記潜像担持体との間を上記中間転写体が移動するのに要する移動時間Bの経過後に、該中間転写体と該潜像担持体とを当接させる当接手段Bを備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
中間転写体の駆動開始から上記移動時間Aの経過時までの間、上記中間転写体の線速を画像形成時の線速より高速にする加速手段を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記1次転写手段は、
トナーと液体キャリアからなる液体現像剤を用いて上記トナー像を形成する請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−203295(P2008−203295A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35864(P2007−35864)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】