説明

画像形成装置

【課題】感光体ユニットのメンテナンス性を向上させる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、画像形成装置本体12と、画像形成装置本体12に着脱自在に設けられ、少なくともトナー像を形成する複数の感光体40を有する感光体ユニット26と、複数の感光体40に潜像を形成する光書き込み装置56と、画像形成装置本体12に固定され、感光体40で形成されたトナー像をシートに定着する定着装置30と、感光体ユニット26の着脱を定着装置30と光書き込み装置56との間からできるように画像形成装置本体12の上面に設けられた開閉カバー64とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機又はファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置において、複数の感光体を有する感光体ユニットを備えたものが知られている。この感光体ユニットを画像形成装置本体に対して着脱する際には、該感光体ユニットを垂直方向に移動させると力が入りやすく着脱作業が容易となる。しかし、感光体ユニットと該感光体ユニットの上方に配置された定着装置とが干渉し、該感光体ユニットを垂直方向へ移動させて着脱することが困難であった。そこで、定着ユニットをプリンタの筐体に揺動支持し、該定着ユニットを開放することにより感光体ユニットを垂直方向に着脱可能とする技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−105493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、定着装置を回動させるため、該定着装置の位置がばらつくとの問題点があり、また、定着装置を回動させるための回動機構が必要となりコストがかるとの問題点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的とするところは、上記従来の問題点を解消し、感光体ユニットのメンテナンス性を向上させる画像形成装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、画像形成装置本体と、少なくともトナー像を形成する複数の感光体を有する感光体ユニットと、前記複数の感光体に潜像を形成する光書き込み装置と、前記画像形成装置本体に固定され、前記感光体ユニットで形成されたトナー像を前記シートに定着する定着装置と、前記感光体ユニットの着脱を前記定着装置と前記光書き込み装置との間からできるように前記画像形成装置本体の上面に設けられた開閉手段とを有する画像形成装置にある。したがって、感光体ユニットを力の入りやすい垂直方向に移動させて着脱することが可能となり、該感光体ユニットのメンテナンス性が向上される。
【0007】
好適には、前記感光体ユニットの少なくとも一部が前記定着装置の下方に配置されている。
【0008】
好適には、前記感光体に形成されたトナー像を前記シートに転写する転写ユニットを有し、前記感光体ユニットは前記転写ユニットと前記光書き込み装置との間を略水平方向に移動可能に設けられている。
【0009】
好適には、前記感光体ユニットを回動自在に支持する支持軸を有し、前記感光体ユニットはこの支持軸を支点として回動可能に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、感光体ユニットを力の入りやすい垂直方向に移動させて着脱することができるので、該感光体ユニットの画像形成装置本体に対する着脱操作が容易となり、該感光体ユニットのメンテナンス性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12の下部には、シート供給装置14が配置されていると共に、画像形成装置本体12の上部には排出部16が形成されている。
【0012】
シート供給装置14は、シートカセット18を有し、このシートカセット18に多数のシートが積層される。このシートカセット18の一端上部には、フィードロール20が配置されていると共に、このフィードロール20に対向してリタードロール22が設けられている。シートカセット18の最上位にあるシートがフィードロール20によりピックアップされ、フィードロール20とリタードロール22との協働によりシートが捌かれて搬送される。
【0013】
シートカセット18から搬送されたシートは、レジストローラ24により一時停止され、所定のタイミングにより後述する感光体ユニット26と転写ユニット28との間及び定着装置30を通って排出ローラ32により排出部16へ排出される。
【0014】
画像形成装置本体12内には、感光体ユニット26、転写ユニット28、電源ユニット34及び制御部36が配置されている。感光体ユニット26は、感光体ユニット本体38を有し、この感光体ユニット本体38には例えば4つの感光体40が回転自在に支持されている。各感光体40の周囲には、感光体40を一様に帯電する帯電ロールを備えた帯電手段としての帯電装置42と、各感光体40に書き込まれた潜像を現像剤(トナー)で現像する現像手段としての現像装置44と、転写後の感光体40を除電する除電装置46と、転写がなされた後に感光体40に残留する現像剤を除去する現像剤除去手段としてのクリーニング装置48とを有する。感光体ユニット26は、4つの感光体40、帯電装置42、現像装置44、除電装置46及びクリーニング装置48を一体化したものであり、該感光体ユニット26の少なくとも一部が定着装置30の下方に配置されるとともに、画像形成装置本体12に対して着脱自在になっている。また、感光体ユニット26には、ユーザが把持することができる把持部26a(図2に示す)が設けられている。
【0015】
4つのトナーボックス50は、感光体ユニット26の裏面側方に接続されている。各トナーボックス50は、マゼンダ、イエロー、シアン及び黒用であり、トナー供給部52とトナー回収部54とが一体になって構成されている。トナー供給部52は現像装置44に接続されて各色のトナーを現像装置44に供給し、トナー回収部54はクリーニング装置48に接続されて各色のトナーを回収する。
【0016】
光書込み装置56は、それぞれレーザ露光装置からなり、感光体ユニット26の背面側にあって各感光体40に対応した位置に配置され、一様に帯電された感光体40に対してレーザ光を照射して潜像を形成するようになっている。
【0017】
転写ユニット28は、感光体ユニット26の表側にあって感光体ユニット26に対向して縦方向に配置されている。この転写ユニット28は、上下方向に設けられた二つの支持ロール58に搬送ベルト60が掛けられている。また、各感光体40に搬送ベルト60を挟んで対向して転写ロール62が設けられている。したがって、転写ユニット26は、感光体ユニット26の各感光体40に形成されたトナー像をシートに転写するようになっている。
【0018】
定着装置30は、感光体ユニット26の少なくとも一部の上方に配置されており、画像形成装置本体12に固定されている。この定着装置30は、感光体ユニット26の各感光体40で形成されシート上に転写されたトナー像をシートに定着するようになっている。
【0019】
また、開閉手段としての開閉カバー64は、画像形成装置本体12の上面に設けられ、回動支点部66を支点として回動自在に設けられている。また、ガイドレール68は、感光体ユニット26の下部に略水平に配置されており、該感光体ユニット26を摺動自在に支持するよう画像形成装置本体12に設けられている。したがって、感光体ユニット26は、転写ユニット28と光書き込み装置56との間を略水平方向に移動可能に設けられている。また、このガイドレール68の一端部にはストッパ68aが形成されており、感光体ユニット26が光書き込み装置56の方向に移動した際に、該感光体ユニット26とストッパ68aとが当接することにより、該感光体ユニット26と光書き込み装置56とが接触しないようになっている。
【0020】
したがって、各感光体40は、帯電装置42により一様に帯電され、光書込み装置56により潜像が形成され、現像装置44により潜像がトナーにより可視像化される。各感光体40に形成されたトナー像は、下方から順番に転送ユニット28の転写ロール62により、搬送されるシートに転写され、定着装置30によりシートに定着される。
【0021】
次に感光体ユニット26の着脱(交換)方法を図2に基づいて説明する。
図2(a)に示すように、開閉カバー64を回動(図2(a)の矢印a方向)させることにより開き、感光体ユニット26の把持部26aを転写ユニット28の方向から光書き込み装置56の方向へ(図2(a)の矢印A方向へ)引くと、感光体ユニット26は、ガイドレール68に沿って光書き込み装置56の方向へ略水平に移動(スライド)する。
【0022】
続いて、図2(b)に示すように、感光体ユニット26の把持部26aを把持して感光体ユニット26を上方(図2(b)の矢印B方向)へ引き上げると、感光体ユニット26は定着装置30と光書き込み装置56との間及び開閉カバー64を開くことにより形成された開放部とを介して画像形成装置本体12より取り外される。
【0023】
このように、本実施形態の画像形成装置10においては、感光体ユニット26を垂直方向に移動させて、感光体ユニット26を着脱するので、力が入りやすく着脱作業を容易にすることができる。したがって、感光体ユニット26のメンテナンス性を向上させることができる。また、定着装置30を画像形成装置本体12に固定させつつ、感光体ユニット26の着脱を可能としたので、該定着装置の位置のばらつきを防止するとともに該定着装置30を回動させるための回動機構が不要となる。したがって、出力画像の品質を維持するとともにコストの低減を実現することができる。
【0024】
また、本実施形態の画像形成装置10においては、感光体40と光書き込み装置56との間の距離(光路)を長くとることが可能となり、光書き込み装置56の小型化を実現することができる。すなわち、図3に示すように、この感光体40と光書き込み装置56との間の距離(光路)を長くすると(例えば図3の距離L1からL2へ)、光書き込み装置56の幅方向の大きさを縮小できる(例えば図3の長さW1からW2へ縮小)ことが知られている。
【0025】
また、本実施形態の画像形成装置10においては、この感光体ユニット26と光書き込み装置56との間のスペースを感光体ユニット26の着脱(移動)のためのスペースとして有効に利用することができる。
【0026】
次に本発明の画像形成装置10の比較例における画像形成装置100を図6に基づいて説明する。
【0027】
本比較例における画像形成装置100は、画像形成装置本体102を有し、画像形成装置本体102内に、感光体ユニット104、転写ユニット106及び光書き込み装置108等が設けられている。また画像形成装置本体102の転写ユニット102が配設されている側面(図中左側面)には開閉カバー102aが設けられている。図6に示すように、開閉カバー102aを開放し、転写ユニット102を略水平状態になるまで回動させることにより、感光体ユニット104を画像形成装置本体12に対して着脱する。この画像形成装置100においては、感光体ユニット104を着脱する際に、該感光体ユニット104と転写ユニット106とが接触し、転写ユニット106が傷つくことがあった。
【0028】
この第1の比較例における画像形成装置100と比較し、本発明の画像形成装置10は、定着装置30と光書き込み装置56との間を介して画像形成装置本体12の上面より感光体ユニット26が着脱されるので、該感光体ユニット26の着脱時に発生する転写ユニット28の傷を防止することができる。
【0029】
次に第1の実施形態の変形例に係る画像形成装置10を図4に基づいて説明する。
【0030】
図4に示すように、本変形例における画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12の上面には原稿読取装置などの増設ユニット70が配設されている。本例において、画像形成装置本体12の前面は、光書き込み装置56が配設されている側面(図中右側面)となっている。
【0031】
図4(b)に示すように、感光体ユニット26の着脱及びシートカセット18の着脱は、画像形成装置本体12の前面側(図4(b)の矢印C方向)より行なわれる。また、ジャム処理は、感光体ユニット26を画像形成装置本体12より取り外すことにより行なわれる。
【0032】
このように、本変形例における画像形成装置10は、少なくとも排出部16に排出されたシートの取り出し、感光体ユニット26の着脱、シートカセット18の着脱及びジャム処理を画像形成装置本体12の前面(図中右側面)側から行なうことができるので、画像形成装置本体12の背面(図中左側面)を壁際に配置することが可能となる。
【0033】
次に本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10を図5に基づいて説明する。
【0034】
図5に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12には支持軸72が設けられている。この支持軸72は、円柱形状に形成され、感光体ユニット26の近傍に配置されている。
【0035】
ユニット支持アーム74は、感光体ユニット26の底部に設けられ、感光体ユニット26を支持するとともに支持軸72と回動自在に係合するようになっている。このユニット支持アーム74には切り欠き部(図示省略)が形成されており、ユニット支持アーム74と支持軸72とは着脱自在に係合している。したがって、感光体ユニット26は、この支持軸72を支点として回動可能に設けられているとともに、支持軸72に対して着脱自在に設けられている。
【0036】
図5(a)に示すように、開閉カバー64を回動(図5(a)の矢印a方向)させることにより開き、感光体ユニット26の把持部26aを斜め下方(図5(a)の矢印D方向)に回動させると、感光体ユニット26は、支持軸72を支点として回動する。
【0037】
続いて、図5(b)に示すように、感光体ユニット26の把持部26aを把持して感光体ユニット26を斜め上方(図5(b)の矢印E方向)へ引き上げると、感光体ユニット26のユニット支持アーム74と支持軸72との係合が解除され、感光体ユニット26は、定着装置30と光書き込み装置56との間と、開閉カバー64を開くことにより形成された開放部とを介して画像形成装置本体12より取り外される。
【0038】
このように、本実施形態の画像形成装置10においては、第1の実施形態で用いられるガイドレール68を設けることなく、感光体ユニット26の着脱が可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上述べたように、本発明は、画像形成装置本体に着脱自在に設けられた感光体ユニットを有する画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る感光体ユニットの着脱方法を示し、(a)は感光体ユニットを略水平方向に移動させた状態、(b)は感光体ユニットを取り外した状態を示す側面図である。
【図3】感光体と光書き込み装置との間の距離(光路)と、光書き込み装置の幅方向の大きさとの関係を説明する模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の変形例を示し、(a)は排出部にシートが排出された状態、(b)は感光体ユニットの着脱(ジャム処理)及びシートカセットの着脱が行なわれた状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置を示し、(a)は感光体ユニットを回動させた状態、(b)は感光体ユニットを取り外した状態を示す側面図である。
【図6】本発明の比較例における画像形成装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
26 感光体ユニット
28 転写ユニット
30 定着装置
40 感光体
56 光書き込み装置
64 開閉カバー
72 支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体に着脱自在に設けられ、少なくともトナー像を形成する複数の感光体を有する感光体ユニットと、
前記複数の感光体に潜像を形成する光書き込み装置と、
前記画像形成装置本体に固定され、前記感光体で形成されたトナー像を前記シートに定着する定着装置と、
前記感光体ユニットの着脱を前記定着装置と前記光書き込み装置との間からできるように前記画像形成装置本体の上面に設けられた開閉手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体ユニットの少なくとも一部が前記定着装置の下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体に形成されたトナー像を前記シートに転写する転写ユニットを有し、前記感光体ユニットは前記転写ユニットと前記光書き込み装置との間を略水平方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体ユニットを回動自在に支持する支持軸を有し、前記感光体ユニットはこの支持軸を支点として回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−26363(P2008−26363A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195388(P2006−195388)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】