説明

画像形成装置

【課題】一対の側フレーム及び中間フレームからなるフレーム全体としての強度を向上させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、一対の側フレーム50,52と、中間フレーム54と、前記一対の側フレーム50,52のうち互いに対向した位置において当該各側フレーム50,52と前記中間フレーム54とをそれぞれ連結する一対の第1ネジ64,66と、当該各側フレーム50,52と前記中間フレーム54とをそれぞれ連結する一対の第2ネジ68,70と、を備え、第1ネジ64,66同士のネジ締め位置の間隔が、前記第2ネジ68,70同士のネジ締め位置の間隔よりも狭い構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、互いに対向配置される一対の側フレームと、各種のローラを軸支するとともに上記一対の側フレーム間に配置される中間フレームとが設けられている。一方の側フレーム及び中間フレーム間と、他方のフレーム及び中間フレーム間とは、互いに対応した位置ごとにネジ締めにより連結されている(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平9−120187号公報
【特許文献2】特開2002−169353公報
【特許文献3】特開2002−214900公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記文献に記載された従来の画像形成装置では、一方の側フレーム及び中間フレーム間のネジ締め位置と、他方のフレーム及び中間フレーム間のネジ締め位置であって、互いに対応した位置に配置されたもの同士の距離がいずれも同一とされていた。つまり、各ネジ締め位置を結んで形成される形が正方形あるいは長方形をなすため、一対の側フレーム及び中間フレームからなるフレーム全体の強度が弱いという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、一対の側フレーム及び中間フレームからなるフレーム全体としての強度を向上させることが可能な画像形成装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像形成装置は、互いに対向配置される一対の側フレームと、前記一対の側フレームの間に設けられる中間フレームと、前記一対の側フレームのうち互いに対向した位置において当該各側フレームと前記中間フレームとをそれぞれ連結する一対の第1ネジと、前記一対の側フレームのうち互いに対向した位置において当該各側フレームと前記中間フレームとをそれぞれ連結する一対の第2ネジと、を備え、前記第1ネジ同士のネジ締め位置の間隔が、前記第2ネジ同士のネジ締め位置の間隔よりも狭い構成とされている。
本発明によれば、前記一対の側フレームのうち互いに対向した位置において中間フレームと各側フレームとをそれぞれ連結する一対の第1ネジと、互いに対向した位置において中間フレームと各側フレームとをそれぞれ連結する一対の第2ネジとは、それぞれのネジ締め位置の間隔が異なる。つまり、上記第1ネジ及び第2ネジを結んで形成される形が台形状になる。従って、ネジ締め位置を結んで形成される形が正方形や長方形をなす構成に比べて、一対の側フレーム及び中間フレームからなるフレーム全体としての強度を向上させることができる。
【0005】
第2の発明は、第1の発明の画像形成装置であって、前記第1ネジ同士のネジ締め位置と、前記第2ネジ同士のネジ締め位置とは高さが異なる。
本発明では、更に、前記第1ネジ同士のネジ締め位置と、前記第2ネジ同士のネジ締め位置との高さが異なる。従って、同じ高さに設計された構成に比べて、フレーム全体としての強度を更に向上させることができる。
【0006】
第3の発明は、第1または第2の発明の画像形成装置であって、前記中間フレームは、前記一対の側フレームの並び方向に沿った軸を中心に回転可能に設けられた搬送ローラを備え、当該搬送ローラは、前記第2ネジ同士のネジ締め位置よりも前記第1ネジ同士のネジ締め位置に近い位置に配置されている。
第1ネジ同士のネジ締め位置の間隔は、第2ネジ同士のネジ締め位置の間隔よりも狭い。従って、この第1ネジ同士のネジ締め位置付近は特に強度が高いため、この付近に搬送ローラを設ければフレームの歪み変形による荷重が搬送ローラの回転動作に影響を与えることを抑制できる。
【0007】
第4の発明は、第3の発明の画像形成装置であって、前記搬送ローラのローラ軸のうち駆動モータからの駆動力を受ける一端部側は、前記第2ネジのネジ締め位置と同じ位置、またはそれよりも外側で軸受けされる構成である。
本発明によれば、搬送ローラのローラ軸の一端部が、駆動モータからの駆動力を第2ネジのネジ締め位置よりも外側で受ける場合に、それに合わせて、当該ローラ軸の一端部を第2ネジのネジ締め位置と同じ位置、またはそれよりも外側で軸受けするようにした。これにより、駆動モータからの駆動力を受ける部分により近い位置で軸受けすることができ、搬送ローラを安定的に回転させることができる。
【0008】
第5の発明は、第1から第4のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記一対の側フレームは互いに対向する一部分が内側に突出した凸部をそれぞれ有し、前記中間フレームは前記凸部に対応した凹部が形成され、前記一対の第1ネジは前記凸部と凹部との対向部分でネジ締めされ、前記中間フレームの下方には印刷媒体を収容する収容カセットを備え、前記凸部の下面は前記収容カセットを着脱する際のガイドを構成する。
本発明によれば、第1ネジが締め付けられる凸部の下面が収容カセットを着脱する際のガイドとして機能する。従って、専用のガイドを設けることなく収容カセットを円滑に出し入れすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一対の側フレーム及び中間フレームからなるフレーム全体としての強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態1について図1〜図5を参照して説明する。
(レーザプリンタの全体構成)
図1は、レーザプリンタ(以下、「プリンタ1」という。画像形成装置の一例。)の要部を示す側断面図である。なお、以下、図1で紙面左側をプリンタ1の前側、図1で紙面右側をプリンタ1の後側として説明する。図1において、プリンタ1は、装置本体内に、用紙3(印刷媒体の一例)を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0011】
(1)フィーダ部
フィーダ部4は、給紙トレイ6(収容カセットの一例)と、給紙ローラ8と、分離ローラ9と、レジストレーションローラ12とを備えている。給紙トレイ6内の最上位にある用紙3が給紙ローラ8によって給紙され、分離ローラ9の回転によって1枚ずつ給紙される。給紙された用紙3は、レジストレーションローラ12によってレジストされた後に転写位置に送られる。
【0012】
(2)画像形成部
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17および定着部18を備えている。
スキャナ部16は、レーザ発光部、ポリゴンミラー(図示せず)等を備えている。レーザ発光部からの発光されるレーザ光は、ポリゴンミラーによって偏向されつつ感光ドラム27の表面上に照射される。
【0013】
また、プロセスカートリッジ17は、現像ローラ31(現像手段の一例)、感光ドラム27、スコロトロン型の帯電器29及び転写ローラ30を備えている。 帯電器29は、感光ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させる。その後、感光ドラム27の表面は、スキャナ部16からのレーザ光により露光され、静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ31の表面上に担持されるトナーが、感光ドラム27上に形成された静電潜像に供給され現像される。
【0014】
用紙3が上記転写位置を通過するときに、転写ローラ30に転写電圧が印加されることで感光ドラム27上のトナー像が用紙3に転写される。定着部18は、用紙3上のトナーを、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させる。その熱定着後の用紙3は排紙トレイ44上に排紙される。
【0015】
(プリンタのフレーム構造)
図2はプリンタ1のフレーム構造の正面図(紙面手前側がプリンタ1の前面側)であり、図3はプリンタ1のフレーム構造の底面図(紙面上側がプリンタ1の前面側)である。プリンタ1は、左右に配置された一対のサイドフレーム50,52(側フレームの一例)の間に、ペーパーフィードフレーム54(中間フレームの一例)及びスキャナ部16を挟んだ構造になっている。
【0016】
図4は左側のサイドフレーム50を外側(左側)から見た側面図であり、図5は左側のサイドフレーム50を内側(右側)から見た側面図である。
各サイドフレーム50,52は、プリンタ1の外側に向けられる外面側が開放した箱形をなし、プリンタ1の内側に向けられる内壁は、その前側部分において矩形状に隆起した凸部56,58を有する形状になっている。また、各凸部56,58の下方にはツバ部60,62が設けられている。一方、ペーパーフィードフレーム54は、全体として平板状をなし、上記各凸部56,58に対応した部分が窪んだ形状になっている。なお、ペーパーフィードフレーム54は、用紙3を円滑にガイドするために上部が滑らかな凹凸形状になっている。
【0017】
そして、図2、図3に示すように、ペーパーフィードフレーム54は、上記サイドフレーム50,52の凸部56,58に一対の第1ネジ64,66で固定され、また、サイドフレーム50,52の後端側に一対の第2ネジ68,70で固定されている。しかも、図2に示すように、第1ネジ64,66のネジ止め位置と第2ネジ68,70のネジ止め位置とで高さが異なる。
【0018】
なお、第1ネジ64,66のネジ止め位置は、プリンタ1の左右方向(一対の側フレームの並び方向の一例)に沿った直線上に位置する。換言すれば、第1ネジ64,66のネジ止め位置は、サイドフレーム50,52の対向位置(最短距離の一対の位置)にある。同じく、第2ネジ68,70のネジ止め位置は、プリンタ1の左右方向に沿った直線上に位置する。換言すれば、第2ネジ68,70のネジ止め位置は、サイドフレーム50,52の対向位置(最短距離の一対の位置)にある。
【0019】
また、図3に示すように、ペーパーフィードフレーム54には、分離ローラ9と共に、レジストレーションローラ12(下側のもの)が設けられている。このレジストレーションローラ12(搬送ローラの一例)は、左右方向に並んだ一対のローラ部12A,12Aと、ローラ軸12Bとを備え、上記凸部56,58に対応して窪んだ部分において、第1ネジ64,66のネジ止め位置の近傍に設けられている。
【0020】
具体的には、ペーパーフィードフレーム54内には軸受け部80が設けられており、この軸受け部80はローラ軸12Bの一端部を軸受けする。一方、ローラ軸12Bの他端部はペーパーフィードフレーム54の側壁に設けられた貫通穴55を介して外部に突出している。一方、左側のサイドフレーム50の凸部56は、外側に窪んだ部分56Aを有し、この窪んだ部分56Aの底部に軸受け部82が設けられている。ローラ軸12Bの上記他端部は、この軸受け部82に軸受けされ、その先端に図示しない駆動モータMからの駆動力を受けるギア84が固定されている。なお、各図では駆動モータMからの駆動力をギア84に伝達する機構は省略されている。
【0021】
また、スキャナ部16は、一対の第3ネジ72,74及び一対の第4ネジ76,78によってサイドフレーム50,52間に固定されている。
【0022】
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態によれば、第1ネジ64,66及び第2ネジ68,70によって、ペーパーフィードフレーム54をサイドフレーム50,52間に固定している。そして、図2、図3に示すように、第1ネジ64,66のネジ止め位置同士の距離間隔D1は、第2ネジ68,70のネジ止め位置同士の距離間隔D2よりも短い。つまり、第1ネジ64,66及び第2ネジ68,70を結んで形成される形が台形状になる。従って、ネジ締め位置を結んで形成される形が正方形や長方形をなす構成に比べて、一対のサイドフレーム50,52及びペーパーフィードフレーム54からなるフレーム構造の強度を向上させることができる。
【0023】
(2)しかも、第1ネジ64,66のネジ止め位置と第2ネジ68,70のネジ止め位置とで高さが異なる。従って、同じ高さに設計された構成に比べて、フレーム構造の強度を更に向上させることができる。
【0024】
(3)レジストレーションローラ12は、第1ネジ64,66のネジ止め位置の近傍に設けられている。この第1ネジ64,66同士のネジ締め位置付近は第2ネジ68,70同士のネジ止め位置に比べて特に強度が高いため、フレームの歪み変形による荷重がレジストレーションローラ12の回転動作に影響を与えることを抑制できる。
【0025】
(4)本実施形態では、レジストレーションローラ12のローラ軸12Bの他端部が、駆動モータMからの駆動力を第2ネジ68のネジ締め位置よりも外側で受ける構成になっている。この場合には、それに合わせて、当該ローラ軸12Bの他端部を第2ネジ68のネジ締め位置と同じ位置で軸受けするようにした。これにより、駆動モータMからの駆動力を受けるギア84に近い位置で軸受けすることができ、レジストレーションローラ12を安定的に回転させることができる。
【0026】
(5)また、図5に示すように、上記凸部56,58の下面が給紙トレイ6を着脱する際あるいは出し入れする際のガイドとして機能する。従って、専用のガイドを設けることなく給紙トレイ6を円滑に出し入れすることができる。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0028】
(1)「中間フレーム」として、上記実施形態ではペーパーフィードフレーム54を例に挙げたが、これに限らず、一対の側フレームに挟まれるものであれば、スキャナ部16や定着部18であってもよい。
【0029】
(2)「搬送ローラ」として、上記実施形態ではレジストレーションローラ12を例に挙げたが、用紙3を搬送する他のローラであってもよい。
【0030】
(3)上記実施形態では、両側フレームに凸部を設けた構成としたが、一方の側フレームだけに凸部を設けた構成でもよい。また、両側フレームに凸部を設けた構成において、両凸部の突出長さが互いに異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの概要構成図
【図2】プリンタのフレーム構造の正面図
【図3】プリンタのフレーム構造の底面図
【図4】左側のサイドフレームを左側から見た側面図
【図5】左側のサイドフレームを右側から見た側面図
【符号の説明】
【0032】
1…プリンタ(画像形成装置)
3…用紙(印刷媒体)
6…給紙トレイ(収容カセット)
12…レジストレーションローラ(搬送ローラ)
50,52…サイドフレーム(側フレーム)
54…ペーパーフィードフレーム(中間フレーム)
56,58…凸部
64,66…第1ネジ
68,70…第2ネジ
M…駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置される一対の側フレームと、
前記一対の側フレームの間に設けられる中間フレームと、
前記一対の側フレームのうち互いに対向した位置において当該各側フレームと前記中間フレームとをそれぞれ連結する一対の第1ネジと、
前記一対の側フレームのうち互いに対向した位置において当該各側フレームと前記中間フレームとをそれぞれ連結する一対の第2ネジと、を備え、
前記第1ネジ同士のネジ締め位置の間隔が、前記第2ネジ同士のネジ締め位置の間隔よりも狭い構成とされている画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記第1ネジ同士のネジ締め位置と、前記第2ネジ同士のネジ締め位置とは高さが異なる。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記中間フレームは、前記一対の側フレームの並び方向に沿った軸を中心に回転可能に設けられた搬送ローラを備え、当該搬送ローラは、前記第2ネジ同士のネジ締め位置よりも前記第1ネジ同士のネジ締め位置に近い位置に配置されている。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記搬送ローラのローラ軸のうち駆動モータからの駆動力を受ける一端部側は、前記第2ネジのネジ締め位置と同じ位置、またはそれよりも外側で軸受けされる構成である。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記一対の側フレームは互いに対向する一部分が内側に突出した凸部をそれぞれ有し、前記中間フレームは前記凸部に対応した凹部が形成され、前記一対の第1ネジは前記凸部と凹部との対向部分でネジ締めされ、
前記中間フレームの下方には印刷媒体を収容する収容カセットを備え、
前記凸部の下面は前記収容カセットを着脱する際のガイドを構成する。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−309992(P2008−309992A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157263(P2007−157263)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】