説明

画像形成装置

【課題】ステー部材の厚み増や補強部材追加、梱包材の厚み増加などを行うことなく、衝撃等による画像形成するための部材の損傷を防止し得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体の外装カバー22が、記録材に画像を形成するための画像形成手段を支持するステー部材19と当接する当接部22aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、対向して設けた直立する2つのフレーム部材と、これらのフレーム部材で挟持される、画像形成手段を固定しているステー部材を有する画像形成装置が一般的に用いられている。この種の装置では、輸送時の落下等によって装置へ衝撃が加わると、ステー部材が変形し、画像形成手段が損傷を受けるおそれがあった。
【0003】
そのため、装置を衝撃から守るための梱包材を設け、輸送中の画像形成装置への衝撃を緩和し、破損変形を防ぎ、印字精度など製品精度を確保してきた。
【0004】
しかし近年、輸送エネルギーの効率を向上するといった世界的流れに対応するため、梱包寸法は縮小化される傾向にある。それにより、梱包材の厚さを従来どおりに確保することが困難になりつつあり、メーカーから使用者まで製品精度を確保しつつ輸送を行うことが大きな課題となっている。
【0005】
装置の剛性を高めるものとしては、たとえば特許文献1のように、フレーム部材で挟持されるステー部材を複数構成にすることで、衝撃が発生しても内部への影響を緩和する構成が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−217560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例では、通常の使用状態ではステー部材を複数構成にすることは不必要であり、コストアップの要因になっていた。また輸送時の落下衝撃などで大きな外部応力を受けた場合、フレーム部材を介してステー部材が変形し、印字精度を劣化させる恐れがあった。
【0008】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステー部材の厚み増加や補強部材の追加、また梱包材の厚み増加といったことを行うことなく、落下等による衝撃によって画像形成手段が損傷することを防止する画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、記録材に画像を形成するための画像形成手段と、前記画像形成手段を支持するステー部材と、装置本体の外装カバーと、を有する画像形成装置において、前記外装カバーは前記ステー部材と当接する当接部を有することを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は、記録材に画像を形成するための画像形成手段と、前記画像形成手段を支持するステー部材と、装置本体の外装カバーと、を有する画像形成装置において、前記外装カバーは前記ステー部材と当接可能な当接部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明にあっては、ステー部材が変形しようとするときに、ステー部材が当接部に当接することで、ステー部材の変形が防止される。このため、ステー部材の板厚増加や補強部材追加、梱包材の厚み増加などを行うことなく、輸送時の落下衝撃による画像形成部材の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1乃至図3は第1実施形態に係る電子写真画像形成装置を示すものであり、図1は画像形成装置の構成概略断面説明図、図2はステー部材と外装カバーに設けた突起部の説明図、図3はステー部材と突起部材の関係を示す拡大説明図である。
【0014】
(電子写真画像形成装置の全体構成)
まず、図1を参照して画像形成装置の全体構成について画像形成動作とともに説明する。本実施形態の画像形成装置1は電子写真方式のレーザービームプリンタを例示している。記録材Pに画像を形成する画像形成手段はプロセスカートリッジ2としてカートリッジ化され、装置本体に着脱可能となっている。
【0015】
プロセスカートリッジ2には感光体ドラム3や図示しない帯電手段、現像器等が備えられ、画像情報に基づいてレーザースキャナ4から照射されるレーザーによって感光体ドラム3上に形成される潜像が公知のプロセスによりトナー現像されるものである。
【0016】
また、画像形成装置1の下部には、記録材Pを収納可能な給送カセット5が配置されている。そして、感光体ドラム3へのトナー像の形成に同期して、記録材Pの先端部付近に配置された給送ローラ6と分離パッド7によって記録材Pが一枚ずつ分離給送され、その後、搬送ローラ対8及びレジストローラ対9によって下流に搬送される。続いて、感光体ドラム3と転写ローラ10によって搬送され、記録材P上に感光体ドラム3上に形成されたトナー像が転写される。未定着のトナー像が転写された記録材Pは更に下流に搬送され、定着装置11によって加圧、加熱され、トナーが溶融することでトナー像が記録材Pに定着される。その後、搬送ローラ対12及び排出ローラ対13により、記録材Pは排出トレイ14に排出される。
【0017】
15は、AC電源及びDC電源、高圧電源からなる電装部である。この電装部15は、図1に示すように、転写ローラ10から定着装置11にかけての記録材搬送経路の下部で、給送カセット5の上部に配置されている。これにより、装置本体のスペースを無駄なく利用して電装部15による設置面積の増大を防いでいる。また転写ローラ10から定着装置11にかけての記録材搬送経路の下部に電装部を配置することにより、転写ローラ10や定着装置11との電気的接続に必要な束線類の簡略化を図っている。
【0018】
(ステー部材の変形防止構成)
画像形成装置は骨組みとなるフレーム部材やステー部材によって画像形成するための部材を支持し、全体は外装カバーで覆われている。本実施形態の画像形成装置にあっては、前記ステー部材が衝撃によって変形しないように構成している。以下、そのための構成について説明する。
【0019】
本実施形態の画像形成装置1は、前述したように、装置本体の底部に給送カセット5、給送ローラ6を含むカセット給送装置16を有している。また装置1は、画像形成部の一部であり装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジ2と、記録材搬送路17、レーザースキャナ4、定着装置11、排出ローラ対13、電装部15を有している。
【0020】
そして、画像形成するための画像形成手段であるレーザースキャナ4は板金製のステー部材であるスキャナステー18に固定されている。また、画像形成するための画像形成手段である電装部15も板金製のステー部材である電装ステー19に固定されている。
【0021】
スキャナステー18と、電装ステー19は図2に示す板金製の右側板20と、板金製の左側板21に挟持されて装置本体の枠体を構成している。そしてカセット給送装置16と、記録材搬送路17と、定着装置11と、排出ローラ対13の主要機構部は右側板20と左側板21の間に設けられている。スキャナステー18と電装ステー19は対向して配置されたフレーム部材である右側板20と左側板21とを連結して固定している。
【0022】
また、枠体の外周は、後カバー22、前カバー23、上カバー24、図示しない左カバー、右カバーなどから構成される外装カバーにより保護されている。
【0023】
図2及び図3は電装ステー19の変形防止構成を示すものである。本実施形態の画像形成装置は、図2に示すように、画像形成装置の後部を保護する後カバー22には電装ステー19と当接可能な当接部(支持部)となる突起部22aが設けられている。この突起部22aは、図3に示すように、電装ステー19の下面を支持する位置に配置されている。
【0024】
このため、輸送時の落下衝撃などで電装ステー19が変形するような大きな負荷がかかった場合、電装ステー19が後カバー22の突起部22aに突き当たる。このため、電装ステー19は突起部22aで支持されて変形が防止される。
【0025】
したがって、本実施形態の画像形成装置は外装カバーに突起部を設けるという簡単な構成により、ステー部材の板厚増加や補強部材追加、梱包材の厚み増加などを行うことなく、輸送時の落下衝撃等による画像形成するための手段の損傷を防止することができる。
【0026】
ここで、上記の画像形成するための画像形成手段とは、画像形成装置の主要機構部、すなわち、レーザースキャナ4、定着装置11、電装部15、記録媒体搬送路17などである。これらの手段がステー部材に固定されているときに、ステー部材の変形を防止することで画像形成手段の損傷を防止する。
【0027】
なお、本実施形態では突起部22a上に電装ステー19が当接することで支持される例を示したが、図4に示すように構成してもよい。図4は突起部22aと電装ステー19との当接係止構成の他の例を示すものであり、図4(a)は後カバー装着前の状態を示し、図4(b)は後カバー装着後の状態を示す。
【0028】
図に示すように、電装ステー19に開口部である穴19aを設け、後カバー22の突起部22aを穴19aに差し込むことで、電装ステー19を支持する構成である。このようにすると、前述した実施形態の効果に加え、突起部22aを電装ステー19の穴19aに差し込む構成であるため、電装ステー19の下方向の変形だけでなく、上方向の変形も防止することができる。
【0029】
また、突起部22aを図5に示すように構成してもよい。図5(a)は側面図であり、図5(b)斜視図である。
【0030】
すなわち、図5に示すように、後カバー22の突起部22aをコの字型にして、突起部22aで電装ステー19を挟持することで支持するように構成してもよい。このようにしても、電装ステー19の下方向の変形だけでなく、上方向の変形も防止することができる。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態に係る装置について図6を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成は前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
【0032】
本実施形態にあっては、組み立てた状態で後カバー22に設けた突起部22aと電装ステー19とが間隙Xをもって対向するように構成している。この隙間Xの大きさは、電装ステー19の弾性変形の領域内までに、突起部22aと電装ステー19が突き当たる大きさに設定している。すなわち、電装ステー19が塑性変形する前に、突起部22aと電装ステー19は突き当たるようになっている。
【0033】
上記構成により、電装ステー19が変形しようとしても、第1実施形態と同様に塑性変形する前に突起部22aによって支持されることで変形が防止される。また、突起部22aと電装ステー19の間に間隙Xがあるために、後カバー22の組み付け性が向上する。また、突起部22aと電装ステー19の位置精度を緩和できるため、寸法公差を厳しくする必要がなく無駄なコストアップを避けることができる。
【0034】
〔他の実施形態〕
前述した各実施形態では後カバー22に電装ステー19を支持するための突起部22aを1個だけ設けた例を示した。しかし、突起部22aは必要に応じて複数個配置してもよい。
【0035】
また、突起部22aを設ける外装カバーは、後カバー22のみに限定するものではなく、複数のカバーで構成される外装カバーの全体においても、適応できる。
【0036】
また、電装ステー19は板金製としているが、材質は金属に限定されるものではない。さらに、電装ステー19の変形防止のみに限定するものではなく、フレーム部材で挟持される画像形成手段を固定しているステー部材において前述した構成は適応できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】画像形成装置の構成概略断面図である。
【図2】ステー部材と外装カバーに設けた突起部の説明図である。
【図3】ステー部材と突起部材の関係を示す拡大説明図である。
【図4a】後カバー装着前の突起部と電装ステーとの当接係止構成の他例を示す説明図である。
【図4b】後カバー装着後の突起部と電装ステーとの当接係止構成の他例を示す説明図である。
【図5a】突起部と電装ステーとの当接係止構成の他例を示す側面図である。
【図5b】突起部と電装ステーとの当接係止構成の他例を示す斜視図である。
【図6】突起部と電装ステーとの間に間隙を設けた実施形態と説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 …画像形成装置
3 …感光体ドラム
15 …電装部
16 …カセット給送装置
17 …記録媒体搬送路
18 …スキャナステー
19 …電装ステー
19a …穴
20 …右側板
21 …左側板
22 …後カバー
22a …突起部
23 …前カバー
24 …上カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成するための画像形成手段と、前記画像形成手段を支持するステー部材と、装置本体の外装カバーと、を有する画像形成装置において、
前記外装カバーは前記ステー部材と当接する当接部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記当接部は前記ステー部材に形成された開口部に差し込まれることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記当接部は前記ステー部材の端部を挟持することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材に画像を形成するための画像形成手段と、前記画像形成手段を支持するステー部材と、装置本体の外装カバーと、を有する画像形成装置において、
前記外装カバーは前記ステー部材と当接可能な当接部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記当接部は、前記ステー部材と間隙をもって対向し、前記間隙は前記ステー部材の弾性変形の領域内にあることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ステー部材は対向して配置されたフレーム部材を連結することを特徴とする請求項1又は4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−58342(P2008−58342A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231477(P2006−231477)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】