説明

画像形成装置

【課題】ユーザが離れた位置から画像形成装置の作動状況を監視できる操作表示手段を有する画像形成装置の提供。
【解決手段】操作表示パネルを備えた操作部を有する画像形成装置であって、監視モードを含む複数の表示モードを有し、選択された表示モードにより前記操作表示パネルの表示内容を切り替える制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択された表示モードに対応して操作表示パネルの表示内容を切り替える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の多くの画像形成装置において、入力機能と表示機能とを合わせ持つ操作表示パネル、通称タッチパネルと称される操作表示手段が採用されている。
【0003】
このようなタッチパネルは、画像形成装置の上面の一角に埋め込まれたり、あるいは上面の端部に適度な角度を持たせた立状態で固定される。
【0004】
ユーザ、あるいは保守サービス員は、タッチパネルに表示されている画像中の所定のボタン表示、又はタッチパネル外に設けられた所定のボタンに触れることにより、画像形成装置に設けられたいくつかの表示モードの中から所望する表示モードを選択して、所望のモードの表示画像を表示させる。
【0005】
例えば、ユーザは通常の画像形成作業を行うための操作表示モードの表示画像を見ながら、自分の画像形成作業に必要な諸設定を行うが、画像形成装置に不都合が発生したときには、タッチパネルの表示モードを、装置の各部の状態を示す保守モードに切り替えて、表示された内容を参考にして対応をとる。
【0006】
上述した表示モードの選択は、ユーザやサービス員が行うことを前提としているが、ユーザにとっては、その操作が煩わしい場合もある。
【0007】
例えば、画像形成装置がある時間使用されずに待機状態を維持したときに、省エネルギー化の一つの手段として、低電力モード、又はスリープモードと呼ばれる節電モードに入ることが多い。
【0008】
このようなスリープモードに入っている画像形成装置をユーザが使用する場合には、何らかの入力操作を行うことにより、通常の画像形成作業を行うための操作モードへの切替が必要となる。
【0009】
このモード切替の煩わしさを軽減するために、画像形成装置にユーザの接近を検知するセンサを設けて、ユーザの接近を検知した時に、自動的にモードを切り替えるという提案もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
ところが、従来オフィスで多用されてきた画像形成装置は、多機能化と高速化が進むにつれ、印刷分野においても広く使用されるようになってきた。
【0011】
特に、少量の出版物に対応して、原稿入力から製本までの一環処理を行うPOD(Publish On Demand)のシステムにおいては欠くことのできない装置となっている。
【0012】
このような状況から、従来のように1台の画像形成装置を多数の人が使用するというオフィスにおける使用形態とは大きく異なる使用形態が増えてきた。
【0013】
即ち、複数の画像形成装置と複数のパーソナルコンピュータ等の情報処理機器とをネットワークで接続したシステムを構築して、このシステムをできる限り少人数で活用する使用形態である。
【0014】
この新たな、使用形態においては、ユーザが離れた位置から画像形成装置の作動状況を監視する場合が一般的であることから、従来の画像形成装置が備える操作表示部、及び表示内容では、画像形成装置の作動状況を監視することは困難であることが多い。
【0015】
特に、一人の作業者が複数の画像形成装置の作動状況を監視する場合には、この困難が大きくなる。
【特許文献1】特開平11−202690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述したような状況に鑑みてなされたもので、その目的は、ユーザが離れた位置から画像形成装置の作動状況を監視できる操作表示手段を有する画像形成装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は、以下に記載する発明を実現することにより達成される。
1.操作表示パネルを備えた操作部を有する画像形成装置であって、
監視モードを含む複数の表示モードを有し、
選択された表示モードにより前記操作表示パネルの表示内容を切り替える制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
2.ユーザが画像形成装置に近接していることを検知する近接検知手段を設け、
前記制御手段は、前記近接検知手段の検知情報を基に、前記操作表示パネルの表示モードを切り替えることを特徴とする1項に記載の画像形成装置。
3.前記操作部は、回転可能に保持されていることを特徴とする1又は2項に記載の画像形成装置。
4.ユーザが位置する方向を検知する方向検知手段を備え、
前記制御手段は、
前記方向検知手段からの方向情報に基づき、前記操作部の方向を制御することを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
5.前記制御手段は、
ユーザが前記操作部から入力する指示情報に基づいて、監視モードで表示する表示項目を設定することを特徴とする1〜4項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ユーザは画像形成装置から離れた位置から画像形成装置の作動状況を容易に監視できる操作表示手段を有する画像形成装置が実現される。
【0019】
その結果、複数の画像形成装置の作動状況を一人で監視することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図を基に本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、画像形成装置G、大容量給紙装置S、後処理装置F1、後処理装置F2からなる画像形成システムの概念図である。
【0022】
画像形成装置Gは、電子写真方式の高速の画像形成装置であり、上部に自動原稿送り装置A、操作部Pを備えている。
【0023】
大容量給紙装置Sは、大量の用紙の装填が可能であり、これらの用紙を画像形成装置Gに供給する装置である。
【0024】
後処理F1は、画像形成装置Gから送られた用紙に、穿孔、中折り、綴じ処理を施す装置である。
【0025】
後処理装置F2は、後処理装置F1にて処理された用紙、あるいは後処理装置F1を経由して送られた用紙に製本処理を施す装置である。
【0026】
画像形成装置Gの操作部Pを除き、上記の装置はいずれも公知の技術からなる一般に使用されている装置である。
【0027】
図2は、前記画像形成システムの制御関係を示すブロック図である。
【0028】
画像形成装置Gの制御手段C1は、CPU、メモリM、入出力I/O、通信用インターフェイス、駆動回路等からなるコンピュータシステムであり、制御対象となる各手段の制御は、メモリMに格納されているプログラムを実行させることによりなされる。
【0029】
大容量給紙装置S、後処理装置F1、後処理装置F2も、規模は小さいが同様の制御手段C2〜4を有しており、制御手段Cとは通信手段を介して情報交換を行っている。
【0030】
また、画像形成装置Gの制御手段C1は、通信手段を介して、パーソナルコンピュータ等の情報処理機器、あるいは、他の画像形成装置との情報交換も行うことができる。
【0031】
図3は、図1の画像形成システムを複数セット並べた例を示す図である。
【0032】
本例においては、3セットの画像形成システムが並べられているが、セット数はユーザの使用状況により変わるものである。
【0033】
図から容易に想像されるように、これらのシステムの動作状況を監視するユーザは、各システムから離れた位置から常時、複数の操作部P1〜3の操作表示パネルPN1〜3に表示された出力画像を目視確認する必要がある。
【0034】
従来の画像形成装置においては、操作部Pの主要部である操作表示パネルPNは、画像形成装置の上面と同面となるように取り付けられることが多い。また、本例のように上面に立てた状態に取り付けられたものであっても、表示面が小さく、また、その中に表示される画像も小さい。
【0035】
従って、各画像形成装置からは離れた位置に立つユーザが、このように複数セット並べた画像形成システムの作動状況を、画像形成装置Gの操作表示パネルPNの表示画像を見ることによって監視することは困難である。
【0036】
また、1組の画像形成システムであっても、これを離れた位置から監視する場合には、同様な問題が発生する。
【0037】
図4は、本発明による操作表示パネルPNを有する操作部Pの概念図である。
【0038】
操作部Pは回転可能な支持部材11により支持されており、液晶の表示面に透明電極を有するシートを貼り付けたタッチパネルと称される公知の技術手段で構成される操作表示パネルPNを有している。
【0039】
なお、操作表示パネルPNの下方の点線で示す領域には、押しボタン、表示ランプ等が設けられている。
【0040】
操作表示パネルPN上の図は、表示モードとして操作モードが選択されている場合の表示画像の例を概念的に示すもので、ユーザが画像形成装置Gの前面に立ち、画像形成作業を開始する前の諸条件を設定するために必要な一般的な画像の配置を示している。
【0041】
図5は、監視モードにおける操作表示パネルPNの表示例を示す図である。
【0042】
監視モードが選択されると、操作表示パネルPNに表示される表示項目数は、図4にて例示した操作モードにおける表示項目数よりも少ない。
【0043】
従って、各項目を示す画像は操作モードにおける画像よりも大きくすることができるので、より遠くからの視認性が向上する。
【0044】
なお、表示項目数の増加と、視認性の向上は相反する要件であることから、ユーザの監視作業に適合するように、操作部Pからユーザが監視モードにて表示する表示内容、又は表示項目数を指示する指示情報を予め入力する。
【0045】
入力された指示情報は、制御手段CのメモリMの表示項目設定テーブルに設定され、表示モードとして監視モードが選択された場合に参照され、設定されている表示項目が表示される。
【0046】
図6は、操作部Pを回転させる操作部回転手段10の概念図である。
【0047】
操作部Pの下部には支持部材11が取り付けられており、前記支持部材11は画像形成装置Gの本体に固定されている軸受け12、13により回転可能に支持されている。
【0048】
前記支持部材11にはベルト車14が取り付けられており、駆動軸15に取り付けられているベルト車16によりベルト17を介して回転される。
【0049】
前記駆動軸15はクラッチCLを介してステッピングモータMTに接続され、クラッチCLがオン状態の時には、ステッピングモータMTにより回転制御される。
【0050】
即ち、操作部Pは、クラッチCLがオフの時には、支持部材11は自由に回転できることから手動による回転が可能であり、操作表示面PNを所定の方向に手動で向けることができる。
【0051】
一方、オンの時には、ステッピングモータの回転を制御することにより、操作部Pの操作表示面PNを所定の方向に向けることができる。
【0052】
図7は、表示モードの選択により操作表示パネルPNの表示内容を変更する処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
先ず、表示モードの選択を自動で行うか否かを指示するユーザが操作部Pから入力した指示情報を確認する(ステップS1)。
【0054】
もし、手動で行う指示がなされていたならば(ステップS1:N)、ユーザが操作部Pから入力した表示モードに対応する画像を操作表示パネルPNに出力して(ステップS2)、処理ルーチンから出る。
【0055】
もし、自動で行う指示がなされていたならば(ステップS1:Y)、ユーザが画像形成装置に近接しているか否かの検知情報を近接検知手段20から取得する(ステップS3)。
【0056】
ユーザの画像形成装置Gへの近接が検知された場合には(ステップS3:Y)、表示モードの中の操作モードを選択して、操作モードに対応する画像を操作表示パネルPNに出力して(ステップS4)、処理ルーチンを出る。
【0057】
ユーザの画像形成装置Gへの近接が検知されなかった場合には(ステップS3:N)、表示モードの中の監視モードを選択して、監視モードに対応する画像を操作表示パネルPNに出力する(ステップS5)。
【0058】
この時、ユーザの位置する方向を検知する方向検知手段30を作動させる設定がなされていたならば(ステップS6:Y)、制御手段Cは、方向検知手段30の検知情報を基に操作部回転手段10を制御することによって、操作表示パネルPNの面をユーザの方向に向ける(ステップS8)。
【0059】
なお、ユーザの位置する方向を検知する方向検知手段30を作動させる設定がなされていなかった場合には(ステップS6:N)、そのまま処理ルーチンから出る。
【0060】
なお、近接検知手段は、赤外線の反射、又は超音波の反射による人体の接近を検知する検知手段、あるいは、ユーザが所有する微小電力の電波発信機の発信電波を検知する検知手段等の公知の手段から適宜に選択されるものである。
【0061】
又、方向検知手段は、監視カメラによる人物検知、あるいは、ユーザが所有する微小電力の電波発信機の発信電波を受信して発信源方向を検知する検知手段等の公知の手段から適宜に選択される。
【0062】
以上説明したように、本発明により、ユーザは画像形成装置から離れた位置から画像形成装置の作動状況を容易に監視できるようになる。また、複数の画像形成装置の作動状況を一人で監視することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】画像形成システムの概念図である。
【図2】画像形成システムの制御関係を示すブロック図である。
【図3】画像形成システムを複数セット並べた例を示す図である。
【図4】操作表示パネルを有する操作部の概念図である。
【図5】監視モードにおける操作表示パネルの表示例を示す図である。
【図6】操作部回転手段10の概念図である。
【図7】操作表示パネルの表示内容を変更する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10 操作部回転手段
11 支持部材
G 画像形成装置
C1 制御手段(画像形成装置)
P 操作部
PN 操作表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作表示パネルを備えた操作部を有する画像形成装置であって、
監視モードを含む複数の表示モードを有し、
選択された表示モードにより前記操作表示パネルの表示内容を切り替える制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザが画像形成装置に近接していることを検知する近接検知手段を設け、
前記制御手段は、前記近接検知手段の検知情報を基に、前記操作表示パネルの表示モードを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記操作部は、回転可能に保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザが位置する方向を検知する方向検知手段を備え、
前記制御手段は、
前記方向検知手段からの方向情報に基づき、前記操作部の方向を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
ユーザが前記操作部から入力する指示情報に基づいて、監視モードで表示する表示項目を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−76470(P2008−76470A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252413(P2006−252413)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】