説明

画像形成装置

【課題】簡単な作業で防塵ガラスを清掃でき、しかも拭きムラをなくすことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、防塵ガラス61を有するレーザースキャナユニット6と、装置本体2に第1の方向に着脱可能な現像ユニット7と、装置本体2に第1の方向と直交する第2の方向に着脱可能な感光体ユニット5とを備えている。現像ユニット7には、当該現像ユニット7が装置本体2から取り外される際に防塵ガラス61の表面を拭き取る第1の清掃部材75が取り付けられており、感光体ユニット5には、当該感光体ユニット5が装置本体2から取り外される際に防塵ガラス61の表面を拭き取る第2の清掃部材55が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体ドラムにレーザー光を照射するレーザースキャナユニットを備えた画像形成装置が知られている。このレーザースキャナユニットでは、ハウジング内にレンズ等が収容されていて、ハウジングに設けられた出射口からレーザー光が出射されるようになっている。また、ハウジング内にゴミ等が侵入しないようにするために、前記出射口にレーザー光を透過させる防塵ガラスが配設されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−127495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のような画像形成装置においては、防塵ガラスに汚れが付着すると画像不良が発生することがあるため、防塵ガラスを清掃する必要がある。しかし、レーザースキャナユニットは、通常は装置本体の内部に配設されるため、防塵ガラスの清掃は容易ではない。
【0004】
そこで、例えば現像ユニットを装置本体に着脱可能に装着するとともに、この現像ユニットに清掃部材を取り付け、現像ユニットが取り外される際に清掃部材で防塵ガラスの表面を拭き取るようにすることが考えられるが、このようにしても、防塵ガラスを一方向からしか拭くことができないので、拭きムラが生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、簡単な作業で防塵ガラスを清掃でき、しかも拭きムラをなくすことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、レーザー光を透過させる防塵ガラスを有するレーザースキャナユニットと、このレーザースキャナユニットが装着される装置本体と、この装置本体に第1の方向に着脱可能に装着される現像ユニットと、前記装置本体に第1の方向と直交する第2の方向に着脱可能に装着される感光体ユニットとを備え、前記現像ユニットには、当該現像ユニットが前記装置本体から取り外される際に前記防塵ガラスの表面を第1の方向に沿って拭き取る第1の清掃部材が取り付けられており、前記感光体ユニットには、当該感光体ユニットが前記装置本体から取り外される際に前記防塵ガラスの表面を第2の方向に沿って拭き取る第2の清掃部材が取り付けられていることを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記感光体ユニットは、感光体ドラムを有していて、この感光体ドラムの軸心方向が第2の方向となっているとともに、感光体ドラムの軸心方向と直交する方向が第1の方向となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、装置本体に対して第1の方向に着脱可能な現像ユニットに第1の清掃部材を取り付け、装置本体に対して第2の方向に着脱可能な感光体ユニットに第2の清掃部材を取り付けたから、現像ユニットおよび感光体ユニットを装置本体から取り外すだけの簡単な作業で、防塵ガラスの表面を第1の清掃部材および第2の清掃部材で第1の方向および第2の方向に沿って拭き取ることができる。しかも、第1の方向と第2の方向は直交しているので、防塵ガラスの表面をクロスする方向で拭き取ることができ、拭きムラをなくすことができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、感光体ユニットの着脱方向が感光体ドラムの軸心方向になるため、装置本体の内部における感光体ユニットの着脱に要するスペースを小さく抑えることができ、装置本体の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置であるプリンタ1を示す。なお、本発明は、プリンタに限らず、他の画像形成装置である複写機やファクシミリ装置、複合機等にも適用可能である。また、本実施形態では、図1の+X方向を前方、−X方向を後方、+Y方向を左方、−Y方向を右方という。
【0012】
前記プリンタ1は、図4に示すように、搬送路Lに沿って用紙を搬送する途中で、端末等から送られた画像データに基づいて用紙に画像を形成するものであり、箱状の装置本体2の内部に、感光体ドラム41の表面にトナー像を形成した後にそのトナー像を用紙に転写する画像形成部4と、画像形成部4に用紙を供給する給紙部3と、トナー像を用紙に定着させる定着部8と、トナー像が定着された用紙を排出する排出部9とを備えている。
【0013】
前記給紙部3は、給紙カセット31を有しており、給紙カセット31に収納された用紙をピックアップローラ32によって取り出すとともに、その用紙を給紙ローラ33によって1枚ずつ搬送路Lに送り出し、さらに搬送路Lに送り出された用紙を、レジストローラ34によって一旦待機させ、所定のタイミングで画像形成部4に供給するようになっている。
【0014】
前記画像形成部4は、軸心方向が左右方向となる感光体ドラム51を有する感光体ユニット5と、この感光体ユニット5の上方に配設されるレーザースキャナユニット6と、感光体ユニット5の前方に配設される現像ユニット7と、感光体ドラム51の下方に配設される転写ローラ45とを備えている。これらは、個別に装置本体2に装着されている。
【0015】
現像ユニット7は、感光体ドラム51にトナーを供給する現像スリーブ71を有している。この現像スリーブ71は、図5および図8に示すように、ユニット本体70に保持されている。
【0016】
一方、装置本体2の上面には、図2に示すように、現像ユニット7を出し入れするための出し入れ開口23が設けられているとともに、この出し入れ開口23を開閉可能な上カバー21が取り付けられている。
【0017】
また、図示は省略するが、出し入れ開口23の内部には、ユニット本体70を後方から前方に向かって徐々に上向きにガイドするガイド溝が設けられており、これにより現像ユニット4が装置本体2に図2中の矢印aで示す方向(第1の方向)に着脱可能となっている。
【0018】
そして、上カバー21を開けば、出し入れ開口23から現像ユニット7を取り出したり装填したりすることができる。具体的には、現像ユニット7を取り出すには、現像ユニット7を前方に引きながら持ち上げるようにすればよいし、現像ユニット7を装填するには、前記操作と逆の操作をすればよい。
【0019】
感光体ユニット5は、感光体ドラム51の他に、帯電部53およびクリーニング部54を有している。これらの感光体ドラム51等は、図5および図9に示すように、ユニット本体50に保持されている。
【0020】
一方、装置本体2の左側面には、図3に示すように、感光体ユニット5を出し入れするための出し入れ開口24が設けられているとともに、この出し入れ開口24を開閉可能な横カバー22が取り付けられている。
【0021】
また、図示は省略するが、出し入れ開口24の内部には、ユニット本体50を左右方向にガイドするガイド溝が設けられており、これにより感光体ユニット5が装置本体2に図3中の矢印bで示す左右方向(第2の方向)に着脱可能となっている。換言すれば、第2の方向は、感光体ドラム51の軸心方向となっていて、第1の方向と直交している。
【0022】
そして、横カバー22を開けば、出し入れ開口24から感光体ユニット5を取り出したり挿入したりすることができる。具体的には、感光体ユニット5を取り出すには、感光体ユニット5を左方に引き抜けばよいし、現像ユニット7を装填するには、感光体ユニット5を右方に押し込めばよい。
【0023】
なお、図示は省略するが、感光体ユニット5のユニット本体50には、現像ユニット7のユニット本体70に右方から係合する係合部が設けられていて、現像ユニット7を取り外さなければ感光体ユニット5を取り外すことができないようになっている。これは、感光体ドラム51と現像スリーブ71とが擦れることによって感光体ドラム51が損傷することを防ぐためである。
【0024】
レーザースキャナユニット6は、前方に向かって上向きに傾斜した姿勢で装置本体2に装着されている。レーザースキャナユニット6は、レンズ等を収容するハウジング60と、このハウジング60の下面の前側位置に配設されてレーザー光を透過させる防塵ガラス61とを有している。
【0025】
前記感光体ドラム41は、図4において時計回りに回転するようになっており、その表面には、当該表面が帯電部53によって一様に帯電された後に、レーザースキャナユニット6によって画像データに基づくレーザー光が照射されることにより静電潜像が形成され、さらに静電潜像が形成された表面に、現像スリーブ71からトナーが供給されることによってトナー像が形成されるようになっている。
【0026】
そして、前記給紙部3から供給された用紙は、転写ローラ45によって感光体ドラム51に押し付けられながら搬送されることにより、その表面(転写面)に、感光体ドラム51の表面に形成されたトナー像が転写され、その後に定着部8に送り込まれる。
【0027】
なお、転写後の感光体ドラム51の表面に残留したトナーおよび残留電荷は、クリーニング部52によって除去されるようになっている。
【0028】
定着部8に送り込まれた用紙は、ここでトナー像が定着された後に、排出部9によって装置本体2外に排出される。
【0029】
さらに、本実施形態のプリンタ1では、レーザースキャナユニット6の防塵ガラス61を清掃するための構成が採用されている。
【0030】
具体的には、図5および図8に示すように、現像ユニット7のユニット本体70には、レーザースキャナユニット6のハウジング6の下面のうち防塵ガラス61が配設された部分と対向する位置に、後方に向かって下り勾配で傾斜する横長長方形板状の支持部76が設けられている。この支持部76には、中央よりも少し後ろ側位置に、防塵ガラス61を透過するレーザー光を遮らないようにするための開口76aが設けられているとともに、この開口76aよりもさらに後ろ側位置の上面に、左右方向に延びる第1の清掃部材75が取り付けられている。
【0031】
第1の清掃部材75は、例えばスポンジ等からなっている。そして、現像ユニット7を上述した操作に従って装置本体2から取り外すと、防塵ガラス61の表面(下面)が全面に亘って第1の清掃部材75で第1の方向に沿って後方から前方に拭き取られ、逆に現像ユニット7を装置本体2に取り付けると、防塵ガラス61の表面が全面に亘って第1の清掃部材75で第1の方向に沿って前方から後方に拭き取られるようになる。
【0032】
一方、感光体ユニット5のユニット本体50には、図5〜図7および図9に示すように、レーザースキャナユニット6の防塵ガラス61の右方でハウジング60から外れた位置に、上方に突出する角柱状の支持部56が設けられている。この支持部56の上面は、レーザースキャナユニット6のハウジング6の下面と略平行に傾斜しており、この上面に断面形状が台形状をなすブロック状の第2の清掃部材55が取り付けられている。
【0033】
第2の清掃部材55は、例えばスポンジ等からなっている。そして、現像ユニット7を装置本体2から取り外した後に、感光体ユニット5を上述した操作に従って装置本体2から取り外すと、防塵ガラス61の表面が全面に亘って第2の清掃部材55で第2の方向に沿って右方から左方に拭き取られ、逆に感光体ユニット5を装置本体2に取り付けると、防塵ガラス61の表面が全面に亘って第2の清掃部材55で第2の方向に沿って左方から右方に拭き取られるようになる。
【0034】
本実施形態のプリンタ1では、装置本体2に対して第1の方向に着脱可能な現像ユニット7に第1の清掃部材75を取り付け、装置本体2に対して第2の方向に着脱可能な感光体ユニット5に第2の清掃部材55を取り付けたから、現像ユニット7および感光体ユニット5を装置本体2から取り外すだけの簡単な作業で、防塵ガラス61の表面を第1の清掃部材75および第2の清掃部材55で第1の方向および第2の方向に沿って拭き取ることができる。しかも、第1の方向と第2の方向は直交しているので、防塵ガラス61の表面をクロスする方向で拭き取ることができ、拭きムラをなくすことができる。
【0035】
また、感光体ユニット5の着脱方向である第2の方向が感光体ドラム51の軸心方向になっているので、装置本体2の内部における感光体ユニット5の着脱に要するスペースを小さく抑えることができ、装置本体2の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置であるプリンタの斜視図である。
【図2】上カバーを開いた状態のプリンタの斜視図である。
【図3】横カバーを開いた状態のプリンタの斜視図である。
【図4】プリンタの概略構成図である。
【図5】感光体ユニット、現像ユニット、レーザースキャナユニットの側面図である。
【図6】感光体ユニット、レーザースキャナユニットの側面図である。
【図7】感光体ユニット、レーザースキャナユニットの正面図である。
【図8】現像ユニットの斜視図である。
【図9】感光体ユニットの斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 プリンタ(画像形成装置)
2 装置本体
4 画像形成部
5 感光体ユニット
51 感光体ドラム
55 第2の清掃部材
6 レーザースキャナユニット
61 防塵ガラス
7 現像ユニット
75 第1の清掃部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を透過させる防塵ガラスを有するレーザースキャナユニットと、このレーザースキャナユニットが装着される装置本体と、この装置本体に第1の方向に着脱可能に装着される現像ユニットと、前記装置本体に第1の方向と直交する第2の方向に着脱可能に装着される感光体ユニットとを備え、
前記現像ユニットには、当該現像ユニットが前記装置本体から取り外される際に前記防塵ガラスの表面を第1の方向に沿って拭き取る第1の清掃部材が取り付けられており、
前記感光体ユニットには、当該感光体ユニットが前記装置本体から取り外される際に前記防塵ガラスの表面を第2の方向に沿って拭き取る第2の清掃部材が取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体ユニットは、感光体ドラムを有していて、この感光体ドラムの軸心方向が第2の方向となっているとともに、感光体ドラムの軸心方向と直交する方向が第1の方向となっていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−83351(P2008−83351A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262675(P2006−262675)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】