説明

画像形成装置

【課題】現像部において、現像装置から飛散するトナーが直接転写前露光装置に飛散することを防止でき、光量低下を防ぐ。
【解決手段】潜像担持体と、これに接して張設されたベルト体をする画像形成装置において、前記ベルト体として、光を透過する透光性材料で形成された透光性ベルトを用いるとともに、前記透光性ベルトの内周側に、被転写対象物へ可視像が転写される前に前記透光性ベルトを介して前記潜像担持体に露光が可能な、転写前露光手段を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、潜像担持体の電位を低下させるための構成の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置における画像形成方式の一つに、潜像担持体として用いられる感光体上に形成された静電潜像を現像剤により可視像処理し、直接、もしくは中間転写体を介して、可視像を転写材に静電転写する行程を備えた方式がある。
可視像処理には感光体上の静電潜像に対してトナーを静電的に付着させる方法が知られており、この方法により得られた感光体上でのトナー像は直接、もしくは中間転写体を介して、記録紙などの転写材に対して静電転写方式により転写される。静電転写されたトナー像は定着されることにより複写物とされる。
感光体上のトナー像が転写材に転写される行程では、転写材を搬送しながら感光体上のトナー像に転写材を対峙させて転写バイアスを印加することができる転写装置が用いられる。
【0003】
転写装置には、転写材を搬送可能な展張面を備えたベルトを用い、ベルトに対してトナーと逆極性の転写バイアスを印加するローラを用いた構成が知られている。
転写を終えた転写材は、感光体から分離されて定着装置に向け搬送されるが、そのときの転写材の分離は、転写材に有する曲げ剛性、いわゆる腰の強さに依存する。つまり、感光体に付着して連れ動く場合の転写材は、転写位置で移動する方向と感光体に付着した状態で移動する方向とで後者の移動方向が感光体の曲率に対応した方向となることと自らの腰の強さによる形状復元力とを利用した曲率分離によって感光体から剥離されるが、感光体との静電付着力が腰の強さ以上であると感光体から分離されないまま移動することがある。
従来、感光体からの転写材の分離に用いられる構成として、転写行程を通過した感光体の周面に当接する先端を備えた分離爪を用いる構成、あるいは転写前に感光体の表面電位を下げるために一様露光を行う構成が知られている(例えば、特許文献1)。
中間転写方式を採用しているカラー複写機などの画像形成装置においては、潜像担持体上の非画像部(非潜像部分)と、中間転写体上の未定着の可視像との間で放電が発生し、その可視像を構成する像形成物質(例えばトナー)に電荷注入が起こり、中間転写体上に1次転写された未定着の可視像の画像劣化や、中間転写体上に1次転写された未定着の可視像を構成する像形成物質を、次の1次転写の際にその潜像担持体に逆転写させてしまうことがある。
【0004】
このような放電現象による問題に対しては、潜像担持体上のトナー像を中間転写体上に転写する直前の位置に光除電器を設置し、現像工程後、転写工程前の潜像担持体表面を除電することにより、潜像担持体と中間転写体間の電位差を減少させることで放電を抑制し、逆転写を低減させる方法が知られている(例えば特許文献2)。
像担持体にトナー画像を形成した後にそのトナー画像を用紙に転写する画像形成装置において、高画質の画像を形成するために、像担持体に定められたパターンのトナー画像を形成し、その画像の濃度の検出結果に基づいて、作像プロセス条件を制御することが行われ、トナー画像の濃度を検出する例として、透明の転写ベルトを間にして発光素子と受光素子とを対向配置した透過型の濃度センサで検出する例が知られている(例えば特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−268498公報(段落「0036」欄)
【特許文献2】特開平5−165383号公報
【特許文献3】特開2002−049193公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複写機やプリンタなどの画像形成装置は、昨今においては小型化が進んでおり、それに伴い潜像担持体の小径化も進み、帯電、現像、転写等の各装置の間隔が狭くなっている。
このような場合には、潜像担持体回転方向に対して、現像下流側と転写上流側の間に、転写前露光装置を設置する為の専用取り付け部材を設置する事が困難となるという問題がある。
また、中間転写方式を採用しているカラー複写機などの画像形成装置においては、1次転写における放電現象を抑制する為に、転写前露光装置の設置が効果的ではある。しかしながら、現像装置と中間転写体との間隔は狭く、転写前露光装置を設置する為の専用取り付け部材を設置する事が困難である。
本発明は、前記実情を考慮してなされたものであり、その目的は、潜像担持体から転写後に実行される転写材の分離性を向上し、また画像劣化を抑制する事が出来る、もしくは、潜像担持体から中間転写体へ1次転写する際に生じる放電現象を抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に接して張設されたベルト体とを有し、前記潜像担持体上に形成された静電潜像を可視像処理した後、該可視化された可視像を被転写対象物に転写する画像形成装置において、前記ベルト体として、光を透過する透光性材料により形成された透光性ベルトを用いるとともに、前記被転写対象物へ前記可視像が転写される前に、前記潜像担持体への露光を行なう転写前露光手段を有し、前記転写前露光手段は、前記透光性ベルトの内周側に、該透光性ベルトを介して前記潜像担持体に露光が可能なように配設されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、透明なベルトを使用し、転写前露光装置をベルト周内に設置することにより、現像装置から飛散するトナーが直接転写前露光装置に飛散することを防止でき、光量低下を防ぐ事が可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記転写前露光手段が、前記潜像担持体と前記透光性ベルトとの間に形成されるニップ部よりも、潜像担持体回転方向の上流側に配置されていることを特徴とする。同様に、現像装置から飛散するトナーが直接転写前露光装置に飛散することを適切に防止でき、光量低下を防ぐ事が可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、前記転写前露光装置から照射される光の照射領域が、前記潜像担持体と前記透光性ベルトとの間に形成されるニップ部に近接していることを特徴とする。これにより、特に転写前露光装置から照射される光の位置が、潜像担持体と転写ベルトで形成するニップ部に近接させる事で、光の拡散を抑制し、所定の光量を保つ事が可能となる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記転写前露光装置により露光される光の光量を制御可能に構成したことを特徴とする。請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記転写前露光装置により露光される光の光量を、前記転写材の搬送位置に対して異ならせることを特徴とする。また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記転写前露光装置より照射され前記潜像担持体に露光される光量が、前記転写材先端部に対応する部位の光量のほうが、前記転写材先端部以降に対応する領域の光量より多くなるように制御されることを特徴とする。請求項4、5、6の発明によれば、転写前露光装置から照射される光量を制御(制限するように制御して)し、転写材先端部に露光することで、転写材の分離性を向上させることが可能となり、転写材先端部以降に露光する事で、画像劣化を防止することが可能となる。
【0009】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記転写前露光装置には、前記転写前露光手段の光出射側に防塵部材が取り付けられていることを特徴とする。請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記防塵部材は、透明体のフィルムもしくは、透明なガラスもしくは透明な樹脂が用いられていることを特徴とする。請求項7、8の発明のように、防塵部材を取り付けることにより、トナー飛散等による発光面の汚れを低減することができ、光量低下を防ぐ事が可能となる。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記転写前露光手段は、薄板に発光ダイオードが複数個配列されてなることを特徴とする。薄板にLEDを配列する事で転写前露光手段を小型化することが可能となり、またLEDを複数個配列する事で、感光体に対し実質的に均一に照射することが可能となる。
【0010】
そして、請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記被転写対象物である転写材に前記可視像を直接に転写する際に当該転写材を搬送可能な展張面を備えた搬送ベルトを前記透光性ベルトとして用いていることを特徴とするものである。
また、請求項11に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、画像形成手段を複数個有し協働するように構成され、前記被転写対象物である中間転写体ベルトを前記透光性ベルトとして用いており、それぞれの前記画像形成手段の潜像担持体それぞれに対して個々に前記転写前露光手段が設置されていることを特徴とするものである。この発明では、複数の画像形成手段にそれぞれ転写前露光手段を設置することで、各画像形成手段における放電現象を抑制することが可能であり、画像劣化や逆転写を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、透明なベルトを使用し、転写前露光装置をベルト周内に設置することにより、現像装置から飛散するトナーが直接転写前露光装置に飛散することを防止でき、光量低下を防ぐ事ができるようになる。転写前露光装置をベルト周内で潜像担持体とベルトのニップ部より潜像担持体回転方向上流側に設置することで高い効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置要部を模式的に示した概略構成図である。この画像形成装置は、画像情報に対応した光書き込みが可能なプリンタである(周知の関連各部に関しては、図示および説明はともに省略する)。
図1において、プリンタ100は、ドラムが用いられる潜像担持体としての感光体(以下、感光体ドラムと言う)2を備えており、感光体ドラム2の周囲には、反時計方向の感光体ドラム2の回転過程において画像形成処理を実行するための帯電装置3、書き込み装置(図1では光路のみが示されている)4、現像装置5、転写装置6およびクリーニング装置7がそれぞれ配置されている。
プリンタ100では、感光体ドラム2の回転過程において、帯電装置3による一様帯電処理後、画像情報に応じた光書き込みによって感光体ドラム2に静電潜像が形成され、静電潜像が現像装置5から供給される像形成物質(以下、トナーと言う)により可視像処理されてトナー像が形成される。
このトナー像は、転写装置6を介して図示しない給紙装置から繰り出された被転写対象物としての転写材(被転写用紙)に対して静電転写され、図示しない定着装置に搬送されて定着されることにより画像出力物とされる。
【0013】
本実施形態に用いられる転写装置6は、記録シートなどの転写材Pを担持しながら搬送が可能な、透明体ベルトとしての搬送ベルト(転写ベルト)6Aを備えており、搬送ベルト6Aの展張面の一方が感光体ドラム2に対向当接している。このような透明体でなる搬送ベルト6Aとしては、インフレーション成型された、イオン導電性のフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)ベルト等を使用することが可能である。
ベルト6Aが感光体ドラム2と当接している領域は転写材を挟持しながら移動させる転写ニップ部6Cであり、転写ニップ部6Cでは、感光体ドラム2に担持されているトナー像が転写材に静電転写される。
感光体ドラム2に担持されているトナー像を転写材Pに転写させるための構成として、本実施形態では、ベルト6Aが転写ニップ部6Cを通過した位置に配置された転写用バイアス手段であるバイアスローラ6Bが用いられる。
【0014】
バイアスローラ6Bは、転写ニップ部6Cよりもベルト6Aの移動方向において前方に位置することにより、転写ニップ部6Cに転写材Pが達するまでの間にトナーを静電吸着できるに足る電荷をベルト6Aに誘起させるようになっている。このため、転写ニップ部6Cに達した転写材は、ベルト6Aとの間で生起される誘電分極によってトナーと逆極性に帯電され、感光体ドラム2側のトナーが静電的に転写される。
感光体ドラム2からトナー像の転写を受けた転写材Pは、感光体ドラム2の周面が転写ニップ部6Cを通過した位置に配置されている分離爪15により、感光体ドラム2の周面に先端が付着している場合には剥離されてベルト6A側に移動の向きを変えられて図示しない定着装置に向けて搬送される。
本実施形態では、感光体ドラム2の回転方向において、転写ニップ部6Cの上流側で、かつ転写ベルト6Aの周内に転写前露光装置20が設けられている。
転写前露光装置20は、転写前の感光体ドラム2の表面電位、特に非画像部での表面電位を一様に下げる機能を有し、画像部のトナーが非画像部に飛散して付着するのを防止するようになっている。
【0015】
図2、3を参照して、実施形態1における転写前露光装置20の詳細について説明する。転写前露光装置20は、透明体ベルトとしての転写ベルト6Aの周内に、感光ドラム2の回転方向に対して転写ニップ部6C上流側で、光の照射位置が転写ニップ部6Cに近接する位置となるように配置されている。
転写前露光装置20は、光源としての複数のLED(発光ダイオード)20Aを所定の配線パターンを形成したプリント基板(薄板)20Bの上に、感光ドラム2の回転軸方向(円筒形状長手方向)に沿ってアレイ状に配列して構成されており、感光体ドラム2表面の長手方向に沿った略長尺矩形の領域全面を均一に露光できるようになっている。
また、転写前露光装置20には、透明体のフィルムもしくは、透明なガラスもしくは樹脂が用いられた防塵部材20Cが設置されており、飛散したトナーや紙粉等により発光面が汚れるのを防いでいる。なお、各LED20Aの軸外方に放射光を集光するための反射部材を設けて効率化を図っても良い。また、適宜の反射部材と併用することで、転写前露光装置20を横方向に(光源軸を水平方向に)設置することもできる。
LED(群)20Aは、その発光強度(光量)が、明示しない光量制御回路によって制御されている。適宜光学センサによって転写材の先端部および後端部が検出可能になっていて、これにより搬送され移動する転写材の位置が監視され、位置に応じて発光強度が制御される。
【0016】
図4は転写前露光装置20から照射された光が感光体2で受光されるときの光量変化を表したもので、縦軸に感光体に照射され受光された光量、横軸に時間をとった時の模式図である。図4のa〜bまでが転写材1枚分が転写位置を通過するための時間であり、aは転写材先端部の転写位置到達タイミング(検出タイミングから一定短時間遅延させて得られる)を、bは転写材後端部の転写位置離脱タイミングを表している。
本実施形態の場合、転写前露光装置により照射される光の光量を、前記転写材の搬送位置に対して異ならせて、感光体2の対応領域によって露光光量が異なるようにしている。すなわち、図4に示したように、第1段階として、転写材Pの先端部aが照射位置に到達する前に露光が開始され、転写材Pの先端部aが転写位置を過ぎたところ(距離換算では、例えば転写材先端部から10mm)まで光量cの光を照射する。この工程により、感光体2の対応領域の電位を充分に低下させることができ、転写材Pの感光体2からの分離性を向上させることが出来る。
【0017】
そして、第2段階として、転写材Pの先端部aを過ぎたところから、転写材Pの後端部bを過ぎたところ(例えば後端部から10mm)までを、光量cより少ない光量dの光を照射する。この工程により、第1段階と同様に感光体2の電位を適切に低下させ、転写材Pと感光体2との間に生じる放電を抑制させることができ、画像劣化を低減することができる。
このように、転写材Pの部位に対応させて転写前露光装置20から照射され感光体2(潜像担持体)に露光される光量が、転写材先端部に対応する部位(位置)の光量のほうが、先端部以降部分に対応する部位(領域)の光量より多くなるように、照射光量、従って露光光量を制御することで、分離性向上効果と画像劣化低減効果を担保している。なお、露光を開始する位置(部位)、光量を切替える位置、露光を停止する位置は環境等の条件により最適なものが異なる場合もある為、それぞれ任意の位置に変更できることが望ましい。
【0018】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。この第2実施形態は、画像形成手段を複数有している画像形成装置の一例としてのプリンタである。図5はその画像形成部の要部を示した概略構成図である(周知関連各部は、図示・説明をともに省略)。言うまでも無く、本発明は、こうした画像形成手段を複数有した構成の画像形成装置として、上述したプリンタのみでなく複写機やファクシミリ装置あるいは印刷機を対象とすることも可能である。
図5に示されるように,第2実施形態のプリンタ100Aは、潜像担持体としての感光体ドラム2(前実施形態同等のドラム)を個々に備えた画像形成手段としての感光体ユニット1(1Cy、1Ye、1Ma、1Bk)を4つタンデムに配列し、1次転写の被転写対象物としての中間転写体8を介して合成され得られたカラー画像を転写材(被転写用紙)Pへと2次転写する方式を採っている。但し、各感光体ドラム2の回転方向は時計方向であり、これに合わせて周囲関連各部配置も図1と逆順になっている。また、転写材Pに転写されるまでは鏡像潜像として処理される。なお、通例通り図中の各符号数字に付された添字(Cy、Ye、Ma、Bk)は、各色用の部材であることを示している。
【0019】
各画像形成手段1では、前実施形態と同じ様に、感光体ドラム2(2Cy、2Ye、2Ma、2Bk)の周囲には、順時計方向の回転過程において画像形成処理を実行するための帯電装置3(3Cy、3Ye、3Ma、3Bk)、書き込み装置(図5では光路のみ図示)4(4Cy、4Ye、4Ma、4Bk)、現像装置5(5Cy、5Ye、5Ma、5Bk)、転写装置6(6Cy、6Ye、6Ma、6Bk)およびクリーニング装置7(7Cy、7Ye、7Ma、7Bk)がそれぞれ配置されている。
本発明で言う透明体ベルトである中間転写体8は第1実施形態における透明性を備えた搬送ベルト6対応するもので、前実施形態と同様に例えば導電性のフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)をインフレーション成型する等で作成された透明体ベルトが用いられている。
また、転写前露光装置20(20Cy、20Ye、20Ma、20Bk)が、それぞれ個々に対応する4箇所の転写ニップ部8A(8ACy、8AYe、8AMa、8ABk)よりも、各感光体ドラム2の回転方向に対し上流側で、中間転写体の周内にそれぞれに設置されている。これらの転写前露光装置20は、第1実施形態のものと、全く同じものを用いることができ、重複説明を省略する。
【0020】
第2実施形態においては、感光体ドラム2の回転過程において、帯電装置3による一様帯電処理後、明示されない画像処理部で鏡像化された画像情報に応じて光書き込みによって感光体ドラム2に静電潜像(鏡像)が形成され、この静電潜像が現像装置5から供給される像形成物質(以下、トナーと言う)により可視像処理されてトナー像が形成される。
このとき、前述の転写前露光装置20が、中間転写体8を介して感光体ドラム2に露光することで、既述したように、転写前の感光体ドラム2の表面電位、特に非画像部での表面電位を一様に下げる機能を有し、画像部でのトナーが非画像部に飛散して付着し画像劣化が起こるのを防止している。
各画像形成手段で形成されたトナー像は中間転写体8に順次転写され、各トナー像が重畳されて得られたカラートナー像が、中間転写体8から転写材(被転写用紙)Pに転写される。トナー像の転写を受けた転写材Pは、図示しない定着装置に向けて搬送される。
【0021】
この実施形態における、転写前露光装置20の動作制御については、第1実施形態の場合と同様で良いが、本実施形態のように中間転写方式の画像形成装置においては、転写材の分離性を考慮した光量制御をする必要はなく、図6のように一定の光量eを照射して画像劣化や逆転写を低減する方法で足りる。本実施形態では、転写材Pの先端部が転写位置に到達する転写位置到達タイミング:aの前から転写材Pの後端部の転写位置離脱タイミング:bが照射位置を通過したあとまで露光するように制御している。
ただし、画像劣化や逆転写をより低減することを目的として、光量制御をしたい場合もある。このような用途に対応するためには、露光開始位置、停止位置は図6の実施形態と同様にそれぞれ任意の位置に変更できるようにすることが望ましい。以上説明した各実施形態は、例示であって本発明は実施形態により限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態における要部の拡大図である。
【図3】転写前露光装置を示した斜視図である。
【図4】転写前露光装置から感光体に照射された照射光の光量を時間変化とともに示した模式図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図6】第2実施形態における転写前露光装置から感光体に照射された照射光の光量を時間変化とともに示した模式図である。
【符号の説明】
【0023】
100、100A プリンタ、1(1Cy、1Ye、1Ma、1Bk) 感光体ユニット、2(2Cy、2Ye、2Ma、2Bk) 感光体ドラム、3(3Cy、3Ye、3Ma、3Bk) 帯電装置、4(4Cy、4Ye、4Ma、4Bk) 書き込み装置、5(5Cy、5Ye、5Ma、5Bk) 現像装置、6(6Cy、6Ye、6Ma、6Bk) 転写装置、6A 搬送ベルト(透明体ベルト)、6B バイアスローラ、6C 転写ニップ部、8 中間転写体(透明体ベルト)、8A(8ACy、8AYe、8AMa、8ABk) 転写ニップ部、15 分離爪、20(20Cy、20Ye、20Ma、20Bk) 転写前露光装置、20A LED(発光ダイオード)、20B 薄板、20C 防塵部材、P 転写材(被転写用紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、該潜像担持体に接して張設されたベルト体とを有し、前記潜像担持体上に形成された静電潜像を可視像処理した後、該可視化された可視像を被転写対象物に転写する画像形成装置において、
前記ベルト体として、光を透過する透光性材料により形成された透光性ベルトを用いるとともに、
前記被転写対象物へ前記可視像が転写される前に、前記潜像担持体への露光を行なう転写前露光手段を有し、
前記転写前露光手段は、前記透光性ベルトの内周側に、該透光性ベルトを介して前記潜像担持体に露光が可能なように配設されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写前露光手段が、前記潜像担持体と前記透光性ベルトとの間に形成される転写ニップ部よりも、潜像担持体回転方向の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写前露光装置から照射される光の照射領域が、前記潜像担持体と前記透光性ベルトとの間に形成される転写ニップ部に近接していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写前露光装置により露光される光の光量を制御可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写前露光装置により露光される光の光量を、前記転写材の搬送位置に対して異ならせることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写前露光装置より照射され前記潜像担持体に露光される光量が、前記転写材先端部に対応する部位の光量のほうが、前記転写材先端部以降に対応する領域の光量より多くなるように制御されることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写前露光装置には、前記転写前露光手段の光出射側に防塵部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記防塵部材は、透明体のフィルムもしくは、透明なガラスもしくは透明な樹脂が用いられていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記転写前露光手段は、薄板に発光ダイオードが複数個配列されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記被転写対象物である転写材に前記可視像を直接に転写する際に当該転写材を搬送可能な展張面を備えた搬送ベルトを前記透光性ベルトとして用いていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像形成手段を複数個有し協働するように構成され、前記被転写対象物である中間転写体ベルトを前記透光性ベルトとして用いており、それぞれの前記画像形成手段の潜像担持体それぞれに対して個々に前記転写前露光手段が設置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−157097(P2009−157097A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335099(P2007−335099)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】