説明

画像形成装置

【課題】用紙にトナー汚れが生じることなく、トナー像の転写性を良好にして高品位な画像出力を実現できる画像形成装置を提供する
【解決手段】感光体ドラム32と、画像形成部30aと、転写部30と、感光体ドラム32表面に対して所定間隔を空けて配置されて用紙を転写部30に案内する転写前用紙ガイド24を備えた画像形成装置1において、転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32に近接した位置と感光体ドラム32から離間した位置とに選択的に変位させる転写前用紙ガイド変位手段25と、転写前用紙ガイド変位手段25の駆動を制御する副制御部60とを備え、副制御部60により感光体ドラム32の表面に画像形成中で且つ転写前用紙ガイド24へ用紙が搬送されない時に転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32から離間した位置に変位させるように転写前用紙ガイド変位手段25の駆動を制御するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、特に、電子写真方式により感光体ドラム上に形成されたトナー像を記録媒体に転写して出力する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式による画像形成装置は、感光体ドラム上にトナー像を形成して、そのトナー像を用紙(記録媒体)に直接転写する、いわゆる直接転写方式により出力画像を得るものや、そのトナー像を一時的に感光体ドラムから中間転写ベルト(中間転写媒体)に転写して該中間転写ベルトから再び用紙に転写する、いわゆる間接転写により出力画像を得るものが知られている。
【0003】
上述した転写方式のうち直接転写方式を採用する画像形成装置では、感光体ドラムに搬送される用紙を感光体ドラム直前まで案内するガイド部材(以下、「転写前ガイド部材」と称する。)を設けて、感光体ドラムに対して正確に用紙を搬送するようにされている。
【0004】
このように構成された画像形成装置において、感光体ドラムから用紙へのトナー像の転写性を良好にする場合、転写前ガイド部材を感光体ドラムに接近させる必要がある。しかしながら、転写前ガイド部材を感光体ドラムに近接させた状態では、転写前ガイド部材に用紙が搬送されない非通紙状態で感光体ドラムに画像形成を行うと、感光体ドラム上に残留していたトナーが放出して転写前ガイド部材に付着するため、転写前ガイド部材に案内されて搬送される用紙の裏にトナー汚れが生じるという問題があった。
【0005】
そこで、上記問題の対策として、転写前ガイド部材を感光体ドラムから離間させる必要がある。従来技術では、装置非動作時に転写前ガイド部材を離間させることで感光体ドラムの損傷を防止するようにしたものが開示されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−296862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術のように転写前ガイド部材を感光体ドラムから離間させると転写性が低下するという問題が生じる。このように、従来では、用紙の裏にトナー汚れが生じることなく、トナー像の転写性を良好にするという両者を両立させることが困難であった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであって、トナー像を用紙に転写する際に、用紙にトナー汚れが生じることなく、トナー像の転写性を良好にして高品位な画像出力を実現できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明に係る画像形成装置の構成は、次の通りである。
本発明は、静電潜像が形成されて該静電潜像に基づきトナー像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する画像形成部と、前記感光体ドラム上に形成されたトナー像を搬送された記録媒体に転写する転写部と、前記感光体ドラム表面に対して所定間隔を空けて配置されて記録媒体を前記転写部に案内する転写前ガイド部材を備え、電子写真方式により前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写して出力する画像形成装置において、前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムに近接した位置と前記感光体ドラムから離間した位置とに選択的に変位させる転写前ガイド部材変位手段と、前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部により、少なくとも前記画像形成部において前記感光体ドラムの表面に画像形成中で且つ前記転写前ガイド部材へ記録媒体が搬送されない時に、前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムから離間した位置に変位させるように前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明は、前記制御部により、前記転写前ガイド部材変位手段に通電することで、前記転写前ガイド部材変位手段が前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムから離間した位置に変位させるようにすることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、前記転写前ガイド部材が前記感光体ドラムに近接した位置に変位した時に、前記転写前ガイド部材と前記感光体ドラムとの間隔を規制する転写前ガイド部材規制部材を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記転写前ガイド部材を、該転写前ガイド部材と前記感光体ドラムとの間隔が前記感光体ドラムに近接した位置で0.6〜1.0mm、前記感光体ドラムから離間した位置で1.5mm以上となるように設定することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記転写前ガイド部材より記録媒体搬送方向上流側の記録媒体搬送経路上に、前記転写前ガイド部材に搬送される記録媒体を検出する記録媒体検出手段を備え、前記記録媒体検出手段により、搬送される記録媒体の記録媒体搬送方向上流側端部、すなわち記録媒体の後端部を検出し、前記制御部が、前記記録媒体検出手段により検出された記録媒体の記録媒体搬送方向上流側端部の通過タイミングに基づいて、前記転写前ガイド部材が前記感光体ドラムから離間した位置に変位するように前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、静電潜像が形成されて該静電潜像に基づきトナー像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する画像形成部と、前記感光体ドラム上に形成されたトナー像を搬送された記録媒体に転写する転写部と、前記感光体ドラム表面に対して所定間隔を空けて配置されて記録媒体を前記転写部に案内する転写前ガイド部材を備え、電子写真方式により前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写して出力する画像形成装置において、前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムに近接した位置と前記感光体ドラムから離間した位置とに選択的に変位させる転写前ガイド部材変位手段と、前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部により、少なくとも前記画像形成部において前記感光体ドラムの表面に画像形成中で且つ前記転写前ガイド部材へ記録媒体が搬送されない時に、前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムから離間した位置に変位させるように前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御することで、画像形成部における画像形成時に感光体ドラム上に残留していたトナーが放出されることによる転写前ガイド部材にトナーが付着することを抑制できるので、転写前ガイド部材によりガイドされる用紙にトナー汚れを生じさせることなく、また、転写時には転写前ガイド部材を感光体ドラムに近接させることができるので、トナー像の転写性を良好にでき、高品位な画像出力を実現できる。
【0014】
また、本発明によれば、前記制御部により、前記転写前ガイド部材変位手段(例えば、ソレノイドや駆動モータ等)に通電することで、前記転写前ガイド部材変位手段が前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムから離間した位置に変位させるようにしたので、簡単な構成で転写前ガイド部材を変位させることができる。
【0015】
また、本発明によれば、前記転写前ガイド部材が前記感光体ドラムに近接した位置に変位した時に、前記転写前ガイド部材と前記感光体ドラムとの間隔を規制する転写前ガイド部材規制部材を備えることで、簡単な構成で転写前ガイド部材を所定位置に確実に配置することができる。
【0016】
また、本発明によれば、前記転写前ガイド部材を、該転写前ガイド部材と前記感光体ドラムとの間隔が前記感光体ドラムに近接した位置で0.6〜1.0mm、前記感光体ドラムから離間した位置で1.5mm以上となるように設定することで、前記転写前ガイド部材が感光体ドラムに近接した状態で安定して用紙の搬送を行うことができ、前記転写前ガイド部材が感光体ドラムから離間した状態で感光体ドラム上に残留したトナーが付着することを抑制することができる。
【0017】
また、本発明によれば、前記転写前ガイド部材より記録媒体搬送方向上流側の記録媒体搬送経路上に、前記転写前ガイド部材に搬送される記録媒体を検出する記録媒体検出手段を備え、前記記録媒体検出手段により、搬送される記録媒体の記録媒体搬送方向上流側端部、すなわち記録媒体の後端部を検出し、前記制御部が、前記記録媒体検出手段により検出された記録媒体の記録媒体搬送方向上流側端部の通過タイミングに基づいて、前記転写前ガイド部材が前記感光体ドラムから離間した位置に変位するように前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御することで、感光体ドラム上に残留したトナーが転写前ガイド部材に付着することを最小限にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【0019】
本実施形態に係る画像形成装置1は、図1に示すように、静電潜像が形成されて該静電潜像に基づきトナー像が形成される感光体ドラム32と、感光体ドラム32の表面に静電潜像を形成する画像形成部30aと、感光体ドラム32上に形成されたトナー像を搬送された用紙(記録媒体)に転写する転写部30と、感光体ドラム32表面に対して所定間隔を空けて配置されて用紙を転写部30に案内する転写前用紙ガイド(転写前ガイド部材)24を備え、電子写真方式により感光体ドラム32の表面に形成されたトナー像を用紙上に転写して出力する画像形成装置において、転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32に近接した位置と感光体ドラム32から離間した位置とに選択的に変位させる転写前用紙ガイド変位手段(転写前ガイド部材変位手段)25を備え、画像形成部30aにおいて感光体ドラム32の表面に画像形成中で且つ転写前用紙ガイド24へ用紙が搬送されない時に、転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32から離間した位置に変位させるように転写前用紙ガイド変位手段25の駆動を制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
まず、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について図面を参照して説明する
画像形成装置1は、印刷モードとして複写モード、プリンタモード、FAXモードを有しており、図示しない操作部からの操作入力やパーソナルコンピュータ等の外部ホスト装置からの印刷ジョブの受信に応じた印刷モードが図示しない制御部によって選択され、印刷モードに応じた画像出力が行われる。
【0021】
画像形成装置1の構成は、図1に示すように、原稿読み取り部(スキャナ部)10、給紙部20、転写部30、排紙部40に大別され、原稿読み取り部10が給紙部20の上方に配設され、排紙部40が原稿読み取り部10と給紙部20の中間部位に配設されている。
【0022】
画像形成装置1の装置本体1aの上面部に、読取り原稿が載置される透明ガラスからなるプラテンガラス11が設けられている。このプラテンガラス11の上方には、ADF(自動原稿供給装置)10aが設けられ、一方、このプラテンガラス11の下方には、原稿の画像情報を読取る原稿読み取り部10が配置されている。この原稿読み取り部10の下方には、転写部30、定着装置38及び排紙部40が構成され、さらに、その下方には、記録媒体たる用紙が収容された給紙カセット21が配設されている。
【0023】
画像読み取り部10は、プラテンガラス11の下方に配置されて平行に往復移動する第1の走査ユニットであるコピーランプユニット12及び第2の走査ユニット13と、光学レンズ15と、CCD(光電変換素子)16を備えている。画像読み取り部10の光路は一点鎖線で示している。
【0024】
コピーランプユニット12は、コピーランプ12aと、このコピーランプ12aからの光を原稿画像表面に露光させるリフレクタ12cと、このリフレクタ12cを介して露光され反射される原稿からの反射光像を所定の方向に向かって導くための第1ミラー12bとを有し、プラテンガラス11の下面に対して一定の距離を保ちながら所定の走査速度で平行に往復移動制御されるようになっている。
【0025】
第2の走査ユニット13は、コピーランプユニット12の第1ミラー12bにより導かれた原稿からの反射光像を、更に所定の方向に向かって導くための第2ミラー13a及び第3ミラー14を有し、コピーランプユニット12と一定の速度関係を保って平行に往復移動制御されるようになっている。
【0026】
光学レンズ15は、第2の走査ユニット13の第3ミラー14により導かれた原稿画像の反射光の光路上に配置され、その光像をCCD16に結像させるものである。
【0027】
CCD16は、光学レンズ15により結像された原稿画像の光像を読取って電気信号に光電変換することによって原稿画像情報(原稿画像データ)を作成するものであり、その原稿画像情報を後述する画像処理部52(図3を参照)に向けて出力する。
【0028】
画像処理部52は、CCD16が出力した原稿画像情報を、解像度や濃度等が印字に適した印字用画像情報(印字用画像データ)に画像処理するものである。画像処理後の印字用画像情報は、LSU(レーザスキャニングユニット)33の画像データ入力部へと転送されるようになっている。
【0029】
LSU33は、画像処理部52から出力された印字用画像情報に応じたレーザ光を、画像形成部30aを構成する感光体ドラム32の表面に照射する。これにより、感光体ドラム32に印字用画像情報の静電潜像が書込み形成されるようになっている。
【0030】
転写部30は、主に、感光体ドラム32の表面にトナー像を形成する画像形成部30aと、感光体ドラム32の表面に形成されたトナー像を用紙に転写する転写ユニット(例えば、コロナチャージャ)36により構成されている。
【0031】
画像形成部30aは、主に、感光体ドラム32、LSU33、主帯電ユニット34、現像装置35等により構成されている。感光体ドラム32の外周部には、転写ユニット36による転写後の感光体ドラム32上に残留する残留トナーをクリーニングするクリーナユニット37が配置されている。
【0032】
LSU33は、感光体ドラム32表面に静電潜像を形成するためのレーザ光を照射するものである。主帯電ユニット34は、感光体ドラム32の表面を所定の電位に帯電させるとともに、クリーナユニット37によるクリーニング後の感光体ドラム32の表面の電荷を除電する図示しない除電装置の機能を有している。
【0033】
現像装置35は、トナーが貯留された現像槽35a、感光体ドラム32へトナーを供給するMGローラ(現像ローラ)35s、現像槽35aにトナーを補給するトナーホッパ35tを備えて構成され、LSU33からのレーザ光により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像として顕像化するものである。
【0034】
転写ユニット36は、現像装置35にて顕像化された原稿画像のトナー像を給紙カセット21から給紙される用紙上に転写するものである。
【0035】
定着装置38は、ヒートローラ38aと圧接ローラ38bとを備え、このヒートローラ38aと圧接ローラ38bとにより用紙を挟持した状態でヒートローラ38aを回転させて、ヒートローラ38aと圧接ローラ38bとの間を通過させることにより、用紙上に転写されたトナー像を溶融して用紙に定着するものである。
【0036】
排紙部40は、主に、排紙ローラ41及び排紙トレイ42より構成されている。
【0037】
また、画像形成装置1の装置本体1aの内底部側には、用紙が所定の用紙サイズ毎に積載収容された交換可能な給紙カセット21が配置される。この給紙カセット21の排紙側上部には、半月状の給紙ローラ(「ピックアップローラ」とも称する。)22が配置されている。
【0038】
給紙ローラ22は、給紙カセット21内に積載収容された用紙を最上層から1枚ずつピックアップし、下流側に向かって(便宜上の用紙の流れ出し側(カセット側)を上流、排紙側を下流とする)レジストローラ(「アイドルローラ」とも称する。)31まで搬送させるようになっている。
【0039】
レジストローラ31の上流側には、PINセンサ(記録媒体検出手段)23が設けられている。このPINセンサ23は、給紙カセット21から給紙搬送される用紙を検知する。その検知信号を基に給紙タイミングを図りながら、用紙を転写部30に給紙するようになっている。
【0040】
ADF(自動原稿供給装置)10aは、原稿が載置される原稿トレイXaを有し、連続的に複数の原稿の読取処理を行う場合、この原稿トレイXa上に載置された原稿を原稿ピックアップローラ17aにより送りだして、原稿給送ローラ17bを介して原稿を装置内に導入してレジストローラ(PSローラ)17cの上流側に案内搬送するようになっている。
【0041】
レジストローラ17cに搬送された原稿は、プラテンガラス11の片側に隣接させて配置したスリットガラスからなる原稿読取り台11a上に搬送され、原稿の移動と共にコピーランプユニット12により走査される。そして、原稿読取り台11a上で画像読取りが終了した原稿は、搬送ローラ17dを介して原稿排紙ローラ17eに搬送されて原稿排紙トレイ18上に排紙されるようになっている。
【0042】
ここで、画像形成装置1における印刷モードのうちの複写モードについて説明する。
図1に示すように、画像形成装置1の原稿読み取り部10のプラテンガラス11上に原稿を載置した後、給紙部20の給紙カセット21或いは装置側面に設けられたオプション給紙トレイXbに用紙を装着し、さらに、装置の外装前面部に配置される操作パネル(図示省略)上の条件入力キー(印刷枚数/印刷倍率等)により印刷条件を入力した後に、操作パネルのスタートキーを操作することでコピー動作が開始される。
【0043】
スタートキーが操作されると、メイン駆動モータ(図示省略)が始動し、各駆動ギヤが回転する。その後、給紙カセット21側の給紙ローラ22或いはオプション給紙トレイXb側の給紙ローラ22aが回転して用紙が装置内へ給紙され、給紙された用紙はレジストローラ31へ到達する。レジストローラ31の用紙搬送方向上流側に給紙された用紙の有無はPINセンサ23により検知される。
【0044】
レジストローラ31に搬送された用紙は、感光体ドラム32上に形成される画像の先端部(画像形成開始部)と同期をとるために一時停止され、用紙の先端部が均一にレジストローラ31に押しつけられて用紙の先端位置の補正が行なわれる。
【0045】
一方、原稿読み取り部10においては、コピーランプ12aが点灯し、コピーランプユニット12が矢印A方向へ移動することで露光が開始される。コピーランプ12aにより原稿に照射された照射光は、原稿の画像情報を含む反射光(原稿からの反射光)となり、該反射光は、コピーランプユニット12に設けられた第1ミラー12bから第2ミラー13a、第3ミラー14、光学レンズ15から、CCD16へ入力されて読み取られる。
【0046】
このようにして読み取られた画像情報は、制御部(図示省略)が備えるCCD回路で、光の画像情報が電気的信号に変換され、その画像情報信号は、設定された条件で画像処理が行われ、LSU33へプリントデータとして送信される。
【0047】
他方、感光体ドラム32は、主帯電ユニット34により全体が所定帯電電位に帯電される。LSU33からのレーザ光は、ポリゴンミラー(図示省略)や各種レンズを通して感光体ドラム32へ照射されて、感光体ドラム32上に静電潜像が形成される。その後、現像槽35a中のMGローラ35s上のトナーが感光体ドラム32表面上に引き寄せられ、静電潜像はトナーによって感光体ドラム32上の電位ギャップに応じて顕像化される。トナーは、トナーホッパ35tに貯留されており、現像槽35aに供給される。
【0048】
また、トナー像が転写される用紙は、レジストローラ31によりタイミングを合わせて搬送され、転写前用紙ガイド24に案内されて感光体ドラム32へ搬送される。そして、転写ユニット36により感光体ドラム32上のトナーが用紙に転写される。この時、用紙に転写されずに感光体ドラム32上の残留したトナーは、クリーナユニット37のクリーニングブレードによってかきとられて回収される。
【0049】
他方、トナー像の転写が終了した用紙は、定着工程において、定着装置38のヒートローラ38aと圧接ローラ38bとの圧接部を通過することにより熱と圧力が加えられ、用紙上の未定着トナーが用紙に溶融、固着され、排紙ローラ41により排紙トレイ42に排出される。
【0050】
また、原稿読み取り部10が備えるADF10aの原稿トレイXaに原稿が載置されていることが図示しない所定のセンサにより検出されている場合には、ADF10aにより原稿が連続的に自動供給されてコピーが実行される。
【0051】
即ち、前記スタートキー操作がなされた時に、ADF10aの原稿給送ローラ17bが回転し、原稿トレイXa上に載置された原稿が原稿読み取り部10内へ送出されて所定の搬送経路17fで搬送される一方、コピーランプユニット12が所定の停止位置で停止したまま搬送中の原稿を露光する。このようにして画像が読み取られた原稿は原稿排紙トレイ18へ排出される。
【0052】
次に、本実施形態に係る特徴的な転写前用紙ガイド24と転写前用紙ガイド変位手段25について図面を参照して説明する。
図2(a)は本実施形態に係る画像形成装置を構成する転写前用紙ガイドと転写前用紙ガイド変位手段の構成を示す正面図、(b)は(a)のB矢視図である。
【0053】
画像形成装置1には、図2(a),(b)に示すように、感光体ドラム32近傍に配置された転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32に近接した位置と感光体ドラム32から離間した位置とに選択的に変位させる転写前用紙ガイド変位手段25が設けられている。
【0054】
転写前用紙ガイド24は、図1、図2(a),(b)に示すように、用紙を感光体ドラム32に向かいガイドするガイド部24aと、ガイド部24aを回動可能に支持する支軸24bと、転写前用紙ガイド変位手段25に連結されるアーム部24cとを一体的に備えている。
【0055】
ガイド部24aは、図2(a),(b)に示すように、感光体ドラム32の軸線方向に沿って長い矩形状に形成され、感光体ドラム32の軸線方向に沿った一端部24a1を感光体ドラム32に近接対向させ、他端部24a2には支軸24bが一体的に設けられている。
【0056】
支軸24bは、感光体ドラム32の軸線方向に沿って長い軸体であって、その両端部が図示しない装置側に回転可能に取付けられている。支軸24bの軸線方向の一端側にはアーム部24cが突設されている。
【0057】
アーム部24cは、その一端部が支軸24bに一体的に接続され、他端部が転写前用紙ガイド変位手段25の一部に連結されて、転写前用紙ガイド変位手段25の動作に連動して支軸24bを支点として回動するようになっている。
【0058】
転写前用紙ガイド変位手段25は、図2(b)に示すように、主に、転写前用紙ガイドソレノイド(以下、「ソレノイド」と称する。)25aとばね部材(引張りコイルばね)25cを備えて構成されている。
【0059】
ソレノイド25aは、電源のON/OFFによってプランジャ25bが出没するようになっている。プランジャ25bの先端部には、アーム部24cの他端部が連結されるとともに、ばね部材25cが連結されている。ばね部材25cは、プランジャ25bを突出する方向に付勢するように設けられている。
【0060】
本実施形態では、ソレノイド25aは、図2(b)に示すように、通電時(ON状態)にプランジャ25bを本体25a1側に引き込むようになっている。この時、プランジャ25bの動作に連動してアーム部24cが図中で時計回り方向に回動して、転写前用紙ガイド24は、ガイド部24aが感光体ドラム32から離間する位置に変位するようになっている(ガイド部24aの2点鎖線部)。この時の転写前用紙ガイド24の位置は、転写前用紙ガイド24と感光体ドラムとの間隔が1.5mm以上となるように設定されている。
【0061】
一方、ソレノイド25aの通電が解除された状態(OFF状態)の時は、プランジャ25bは、ばね部材25cによって本体25a1外側に突出するようになっている。この時、転写前用紙ガイド24は、プランジャ25bの動作に連動してアーム部24cが図中で反時計回り方向に回動して、ガイド部24aが感光体ドラム32に近接する位置に変位するようになっている(ガイド部24aの2点鎖線部)。
【0062】
また、感光体ドラム32とガイド部24aとの間には、ガイド部24aと感光体ドラム32との間隔を規制する転写前用紙ガイド位置決めピン(転写前ガイド部材規制部材)26が設けられている。
【0063】
転写前用紙ガイド位置決めピン26は、転写前用紙ガイド24が感光体ドラムに近接した時に当接して、転写前用紙ガイド24と感光体ドラムとの間隔が0.6〜1.0mmとなる位置に配置されている。
【0064】
次に、実施形態に係る画像形成装置1の全体の電気的制御についてブロック図に基づき説明する。図3は本実施形態に係る画像形成装置の制御部の構成の一部を示すブロック図である。
【0065】
画像形成装置1は、図3に示すように、制御部を構成する主制御部50により原稿の画像の読取り処理、画像処理、画像形成処理等を実行する。
【0066】
画像形成装置1において、原稿読み取り部10によって読取った原稿の画像情報(原稿画像データ)、または、通信ネットワークに繋がれた各端末装置から送信された原稿画像情報は、通信部51により画像処理部52に入力されるようになっている。
【0067】
通信部51は、外部のPCもしくはFAX回線と接続するためのインターフェースである。
【0068】
画像処理部52は、RAM等の画像メモリ53に記憶された原稿画像情報を印字(用紙への画像形成)に適した印字用画像に上記のプログラムによって処理するものである。印字用画像情報は画像形成部30aに入力される。
【0069】
また、画像形成装置1は、設定された前記運転条件にしたがって、図1に示すように、原稿読み取り部10、画像形成部30a、定着装置38および排紙部40などの駆動用アクチュエータをそれぞれ同期させて制御するようになっている。
【0070】
これらの各駆動部の駆動用モータは、それぞれ同じまたは異なるモータを駆動源として適宜に動力伝達機構を介して構成できる。
【0071】
次に、転写部30の電気的制御についてブロック図に基づき説明する。
図4は本実施形態に係る画像形成装置を構成する転写部の制御部の構成の一部を示すブロック図である。
【0072】
画像形成装置1は、図4に示すように、制御部として副制御部60が設けられ、この副制御部60により転写部30における各駆動部の駆動を制御するようにされている。
【0073】
副制御部60は、駆動モータ61,レジストローラクラッチ62,ソレノイド25a及び給紙ローラクラッチ63に接続され、それぞれドライバ61a,62a,25a2及び63aを介して駆動制御を行うとともに,PINセンサ23及びLSU33に接続されている。
【0074】
駆動モータ61は、装置の全ての機構を駆動するものである。レジストローラクラッチ62は、レジストローラ31の回転を駆動/停止するものである。ソレノイド25aは、転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32に対して離接変位させるものである。PINセンサ23は、レジストローラ31よりも用紙搬送方向上流に配置されて、用紙の有無を検出するものである。給紙ローラクラッチ63は、給紙ローラ22を所定時間回転して給紙カセット21から用紙を繰り出す動作を制御するものである。
【0075】
そして、副制御部60は、画像形成部30aにおいて感光体ドラム32の表面に画像形成中で且つ転写前用紙ガイド24へ用紙が搬送されない時に、転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32から離間した位置に変位させるようにソレノイド25aの駆動を制御するようにされている。
【0076】
ここで、副制御部60による転写前用紙ガイド変位手段25の駆動制御と転写前用紙ガイド変位手段25による転写前用紙ガイド24の作用についてタイミングチャート及び図面に基づき説明する。
図5は本実施形態に係る画像形成装置の画像形成部における副制御部による駆動制御の一例を示すタイミングチャートである。
【0077】
画像形成装置1において、印字工程が行われる場合、給紙ローラクラッチ63が通電状態(ON状態)になると給紙ローラ22に駆動が伝達されて、給紙ローラ22が回転することにより給紙カセット21から用紙が1枚繰り出される。そして、給紙カセット21からレジストローラ31に搬送された用紙がPINセンサ23により検知される。
【0078】
図5に示すように、給紙ローラ22により搬送された用紙がPINセンサ23により検出されて、PINセンサ23がONされた時点T1からt1+t7(時間)後に、LSU33に対し画像書込みタイミング信号が出力され、LSU33は、感光体ドラム32に対して画像書込みレーザを照射する。t7は、定着ウオームアップが完了していない場合の待機時間に相当する。
【0079】
画像書込みタイミング信号がONされてからt2(時間)後に、レジストローラクラッチ62がONされて用紙が感光体ドラム32に向かい繰り出される。
【0080】
この時、転写前用紙ガイド24は、図2(b)に示すように、アーム部24cがばね部材25cにより引っ張られた状態となっているので、ガイド部24aが感光体ドラム32に近接した状態となっている。
【0081】
そして、図5に示すように、レジストローラクラッチ62がONした時点からt5後に、給紙ローラクラッチ63がONして次の用紙が供給され、連続的に印字処理が行われる。
【0082】
また、搬送された用紙の後端がPINセンサ23を通過した時点T2からt4後にレジストローラクラッチ62がOFFされ、t8後にソレノイド25aがONして、プランジャ25bがソレノイド本体側に引き込まれる。
【0083】
これにより、アーム部24cがソレノイド25a側(図中左方向)に変位するため、ガイド部24aが感光体ドラム32から離間した状態となることにより、感光体ドラム32から放出される残留トナーによって非通紙時の転写前用紙ガイド24が汚染されることを防止できる。
【0084】
尚、本実施形態の一実施例として、感光体ドラム32の直径を30mm、プロセス速度を88mm/secと125mm/secとした装置では、転写前用紙ガイド24と感光体ドラム32との間隔が0.6〜1.0mmの時に転写性が良好であり、一方、転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32から1.5mm以上離間させたときに汚れが改善されることが実験により確認されている。
【0085】
以上のように構成したので、本実施形態によれば、感光体ドラム32近傍に転写前用紙ガイド24を設け、この転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32に近接した位置と感光体ドラム32から離間した位置とに選択的に変位させる転写前用紙ガイド変位手段25を設けて、副制御部60により転写前用紙ガイド変位手段25の駆動を制御して、用紙搬送時には、転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32に近接した位置に配置することでトナー像の転写性を良好にすることができ、一方、画像形成部30aにおいて感光体ドラム32の表面に画像形成中で且つ転写前用紙ガイド24へ用紙が搬送されない時には、転写前用紙ガイド変位手段25を駆動させて転写前用紙ガイド24を感光体ドラム32から離間した位置に変位させることができるので、感光体ドラム32から放出される残留トナーにより非通紙時の転写前用紙ガイド24が汚染されることを防止できる。従って、本実施形態によれば、用紙にトナー汚れが生じることなく、トナー像の転写性を良好にして高品位な画像出力を実現できる。
【0086】
また、本実施形態によれば、転写前用紙ガイド変位手段25の構成としてソレノイド25aとばね部材25cを用いているので、簡単な構成と簡単な制御により転写前用紙ガイド24を動作制御することができる。
【0087】
尚、本発明は、転写前ガイド部材変位手段の構成に限定されるものではなく、例えば、駆動モータやリンク機構、カム機構等を用いて転写前用紙ガイド24を変位させるものであってもよい。
【0088】
また、本実施形態では、副制御部60により画像形成部30aの駆動制御を行うようにしているが、本発明は、制御部の構成に限定されるものではなく、例えば、装置本体の駆動制御を行う制御部に、ソレノイド25a等の本発明に係る駆動部材の駆動制御を行う機能を持たせるようにしたものであってもよい。
【0089】
さらに、本発明は、転写前ガイド部材の構成や形状に限定されるものではなく、装置構成によって如何様にも構成や形状を展開することができる。
【0090】
以上、本発明の好適な実施形態及び実施例について説明したが、本発明は上述した例に限定されないことは言うまでもなく、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図2】(a)は前記画像形成装置を構成する転写前用紙ガイドと転写前用紙ガイド変位手段の構成を示す正面図、(b)は(a)のB矢視図である。
【図3】前記画像形成装置の制御部の構成の一部を示すブロック図である。
【図4】前記画像形成装置を構成する転写部の制御部の構成の一部を示すブロック図である。
【図5】前記画像形成装置の画像形成部における副制御部による駆動制御の一例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1 画像形成装置
20 給紙部
22,22a 給紙ローラ
23 PINセンサ(記録媒体検出手段)
24 転写前用紙ガイド(転写前ガイド部材)
24a ガイド部
24c アーム部
25 転写前用紙ガイド変位手段(転写前ガイド部材変位手段)
25a ソレノイド
25b プランジャ
25c ばね部材
26 転写前用紙ガイド位置決めピン(転写前ガイド部材規制部材)
30 転写部
30a 画像形成部
31 レジストローラ
32 感光体ドラム
33 LSU
50 主制御部
51 通信部
52 画像処理部
53 画像メモリ
60 副制御部(制御部)
61 駆動モータ
62 レジストローラクラッチ
63 給紙ローラクラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成されて該静電潜像に基づきトナー像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する画像形成部と、前記感光体ドラム上に形成されたトナー像を搬送された記録媒体に転写する転写部と、前記感光体ドラム表面に対して所定間隔を空けて配置されて記録媒体を前記転写部に案内する転写前ガイド部材を備え、電子写真方式により前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写して出力する画像形成装置において、
前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムに近接した位置と前記感光体ドラムから離間した位置とに選択的に変位させる転写前ガイド部材変位手段と、
前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、少なくとも前記画像形成部において前記感光体ドラムの表面に画像形成中で且つ前記転写前ガイド部材へ記録媒体が搬送されない時に、前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムから離間した位置に変位させるように前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記転写前ガイド部材変位手段に通電することで、前記転写前ガイド部材変位手段が前記転写前ガイド部材を前記感光体ドラムから離間した位置に変位させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写前ガイド部材が前記感光体ドラムに近接した位置に変位した時に、前記転写前ガイド部材と前記感光体ドラムとの間隔を規制する転写前ガイド部材規制部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写前ガイド部材は、該転写前ガイド部材と前記感光体ドラムとの間隔が前記感光体ドラムに近接した位置で0.6〜1.0mm、前記感光体ドラムから離間した位置で1.5mm以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写前ガイド部材より記録媒体搬送方向上流側の記録媒体搬送経路上に、前記転写前ガイド部材に搬送される記録媒体を検出する記録媒体検出手段を備え、
前記記録媒体検出手段は、搬送される記録媒体の記録媒体搬送方向上流側端部を検出し、
前記制御部は、前記記録媒体検出手段により検出された記録媒体の記録媒体搬送方向上流側端部の通過タイミングに基づいて、前記転写前ガイド部材が前記感光体ドラムから離間した位置に変位するように前記転写前ガイド部材変位手段の駆動を制御することを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−186763(P2009−186763A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26660(P2008−26660)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】