画像形成装置
【課題】扉(開閉部材)を開放した際、給紙カセットのシート通過領域に傷が付くのを防ぐことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体100aに、開放された際、給紙カセット11の引き出し領域内に入り込む扉101を給紙カセット11の着脱側と同じ側に開放可能に設ける。そして、給紙カセット11を装置本体100aに着脱する際、付勢機構により給紙カセット11を、給紙カセット11の画像形成部に給送されるシートが通過するシート通過領域が、開放される扉101と当接しない位置に移動させるように付勢する。
【解決手段】装置本体100aに、開放された際、給紙カセット11の引き出し領域内に入り込む扉101を給紙カセット11の着脱側と同じ側に開放可能に設ける。そして、給紙カセット11を装置本体100aに着脱する際、付勢機構により給紙カセット11を、給紙カセット11の画像形成部に給送されるシートが通過するシート通過領域が、開放される扉101と当接しない位置に移動させるように付勢する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に装置本体に着脱可能に装着される給紙カセットと、装置本体に開放可能に設けられた開閉部材とを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファクシミリ装置、複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、シートを収納する給紙カセットを、装置本体に、シート給送方向と直交する方向に着脱可能に装着するようにしたものがある。このような画像形成装置では、画像形成時、給紙カセットに収納されたシートをシート給送ローラにより、順次画像形成部へ給送し、画像形成部においてシートへの画像形成を行っている。
【0003】
ところで、このような従来の画像形成装置においては、画像形成部を構成する感光体ドラム、現像部等を一体に備えたプロセスカートリッジ等の交換部品を給紙カセットと同じ方向から着脱可能に装着するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の画像形成装置には、プロセスカートリッジ等の交換、シートの補給等を行うため、装置本体に開閉部材が開閉可能に設けられている。この開閉部材としては、プロセスカートリッジ等の着脱側及び給紙カセットの着脱側と同じ側に開放可能に、かつ開閉軌跡が給紙カセットの着脱軌跡と干渉しないように設けられたものがある(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−308771号公報
【特許文献2】特開2001−18956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来の画像形成装置において、装置の小型化のため、プロセスカートリッジを初めとする交換部品と、給紙カセットとの間隔を小さくする必要がある。一方、交換部品の着脱性(交換性)を損なわないようにするためには、交換部品を着脱する際、開放された状態の開閉部材と着脱される交換部品との距離を大きく保つ必要がある。
【0007】
この場合、交換部品と給紙カセットの間隔を小さくしているため、交換部品と開閉部材の間隔を大きく保つには、給紙カセットの着脱空間と開閉部材の開閉空間を共有する必要が生じる。
【0008】
なお、給紙カセットのシート給送方向下流側端部のシート給送ローラにより送り出されるシートが通過するシート通過領域にはシートをガイドする複数の通紙リブが設けられている。そして、この通紙リブは、給紙カセットを小型化した場合には、給紙カセットから上方に突出するようになる。
【0009】
ここで、このように通紙リブが上方に突出した給紙カセットを引き出した状態で開閉部材を開放すると、開閉部材が通紙リブにぶつかり、通紙リブに傷や打痕が付く場合がある。そして、このように通紙リブに傷や打痕が付くと、シートが斜行したり、ジャムしてしまう可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、開閉部材を開放した際、給紙カセットのシート通過領域に傷が付くのを防ぐことのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シートを収納する給紙カセットを装置本体に着脱可能に装着し、前記給紙カセットに収納されたシートを画像形成部に給送してシートに画像を形成する画像形成装置において、前記装置本体に前記給紙カセットの着脱側と同じ側に開放可能に設けられ、開放された際、前記給紙カセットの引き出し領域内に入り込むように構成された開閉部材と、前記給紙カセットを前記装置本体に着脱する際に、前記給紙カセットの前記画像形成部に給送されるシートが通過するシート通過領域が、開放される前記開閉部材と当接しない位置に前記給紙カセットを移動させるように付勢する付勢機構と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、給紙カセットを着脱する際、給紙カセットを、シート通過領域が開放される開閉部材と当接しない位置に移動させるように付勢することにより、開閉部材を開放した際、給紙カセットのシート通過領域に傷が付くのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す図であり、図1において、100は画像形成装置、100aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)、110はシートに画像を形成する画像形成部である。
【0015】
ここで、画像形成部110は、感光体ドラム1(1a〜1d)等を備え、装置本体100aに着脱可能に装着されたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成するプロセスカートリッジ7(7a〜7d)を備えている。また、画像形成部110は、プロセスカートリッジ7の鉛直下方に配置され、画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する露光装置3、定着手段である定着ローラ対14等を備えている。
【0016】
ここで、各プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1の他、感光体ドラム表面を均一に帯電する帯電手段2(2a〜2d)、感光体ドラム上に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像ユニット4(4a〜4d)を備えている。
【0017】
なお、像担持体としての感光体ドラム1は、その両端部をフランジによって回転自在に支持されており、一方の端部に不図示の駆動モータから駆動力を伝達することにより、図1の矢印に示す時計回り方向に回転駆動される。また、帯電手段2は、ローラ状に形成された導電性ローラで、この導電性ローラを感光体ドラム表面に当接させると共に、不図示の電源によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム表面を一様に帯電させる。
【0018】
現像ユニット4は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを収納したトナー収納部を備えている。また、感光体ドラム表面に隣接し、不図示の駆動部により回転駆動されると共に、図示しない現像バイアス電源により現像バイアス電圧を印加することにより現像を行う現像ローラ24(24a〜24d)と、現像剤塗布ローラ25(25a〜25d)を備えている。
【0019】
また、12は中間転写ベルトユニットであり、この中間転写ベルトユニット12は、駆動ローラ12f及び矢印E方向に張力をかけるテンションローラ12gに張架された中間転写ベルト12eを備えている。そして、この中間転写ベルト12eの内側に各感光ドラム1に対向して一次転写ローラ12a〜12dが配設されている。
【0020】
そして、一次転写ローラ12a〜12dによって中間転写ベルト12eに一次転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト12eに多重転写され、これにより中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
【0021】
また、15は順次中間転写ベルト12eに形成されたフルカラー画像をシートPに転写する2次転写部、20は定着ローラ対14により画像が定着されたシートPを排紙トレイ21に排出する排出手段である排出ローラ対である。
【0022】
なお、5(5a〜5d)はプロセスカートリッジ7に設けられ、中間転写ベルト12eにトナー像を転写した後、感光体ドラム表面に残った転写後トナーを除去するクリーナユニットである。そして、このクリーナユニット5は、感光ドラム1に残った転写後トナーを除去するドラムクリーニングブレード8(8a〜8d)と、廃トナー容器とを有している。
【0023】
13はシート給送装置であり、このシート給送装置13は、シートPを収納する給紙カセット11内からシートPを送り出すシート給送ローラ9と、シート給送ローラ9により送り出されたシートPを搬送する搬送ローラ対10とを有している。
【0024】
次に、このように構成された画像形成装置100の画像形成動作について説明する。
【0025】
画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づき露光装置3はレーザ光を照射し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光ドラム1の表面を順次露光して感光ドラム1に静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
【0026】
例えば、まず感光ドラム1aに、原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を露光装置3から照射し、感光ドラム1a上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像ユニット4aからのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。
【0027】
次に、このトナー像が感光ドラム1aの回転に伴って感光ドラム1aと中間転写ベルト12eとが当接する1次転写部に到来すると、一次転写ローラ12aに印加した1次転写バイアスにより、感光ドラム上のイエロートナー像が中間転写ベルト上に転写される。
【0028】
次に、中間転写ベルト12eのイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラム1b上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト12eに転写される。同様に、中間転写ベルト12eが移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。
【0029】
これにより、中間転写ベルト上にフルカラートナー画像が形成される。なお、トナー像転写後に、感光ドラム1表面に残ったトナーは、クリーナユニット5のクリーニングブレード8によって除去され、除去されたトナーはクリーナユニット5内の廃トナー容器に回収される。
【0030】
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット11に収容されたシートPは、シート給送ローラ9により送り出された後、分離パッド23によって一枚ずつ分離される。なお、このように分離された後、シートPは搬送ローラ10によりレジストローラ17に達し、このレジストローラ17によりタイミングを合わされた後、2次転写部15に搬送される。
【0031】
そして、この2次転写部15において、2次転写ローラ16に印加される2次転写バイアスによって中間転写ベルト上の4色のトナー像がシート上に一括して転写される。なお、シートPへの二次転写の後、中間転写ベルト上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置22によって除去され、除去されたトナーは、装置奥面部に配置された不図示の廃トナー回収容器へと回収される。
【0032】
次に、このようにトナー像が転写されたシートPは、シート上に形成した画像に熱及び圧力を加えて定着させる定着ローラ対14に搬送される。なお、この定着ローラ対14は、ヒータ等の発熱手段を接着したベルトガイド部材14cにガイドされた円筒状の定着ベルト14aと、弾性加圧ローラ14bとにより構成される。
【0033】
ここで、弾性加圧ローラ14bは、定着ベルト14aを挟みベルトガイド部材14cと所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成すると共に、不図示の駆動手段により回転駆動される。なお、弾性加圧ローラ14bが回転すると、これに伴って円筒状の定着ベルト14aが回転し、この際、不図示の内部ヒータにより定着ベルト14aが加熱され、定着ニップ部Nが所定の温度となる。
【0034】
そして、所定の温度となった状態の定着ニップ部Nに未定着トナー画像が形成されたシートPが導入されると、シートPは定着ニップ部Nにおいて画像面が定着ベルト14aの外面に密着しながら定着ベルト14aと一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0035】
ここで、このように定着ニップ部Nを定着ベルト14aと一緒にシートPが挟持搬送されていく過程において、定着ベルト14a内のヒータ熱により加熱されてシート上の未定着トナーが溶融混色し、シートPにフルカラーの画像として定着される。この後、フルカラー画像が定着されたシートPは、定着ローラ対14の下流に設けられた排紙ローラ対20によって排紙トレイ21に排紙される。
【0036】
ところで、本実施の形態において、給紙カセット11は装置本体100aに着脱可能に装着されると共に、図1において、装置本体手前方向へ引き出すことができるよう構成されている。そして、給紙カセット11にシートを補給する際は、まず給紙カセット11を装置本体100aから引き出してシートPをセットし、この後、装置本体100aへ挿入(装着)することでシート補給が完了する。
【0037】
一方、例えばプロセスカートリッジ7(7a〜7d)も、図2に示すように給紙カセット11と同方向に着脱可能となっている。ここで、このようにプロセスカートリッジ7を着脱する際、図2に示すように、装置本体100aの外装の側面に設けられている開閉部材である扉101を開閉するが、この扉101は、図3に示すように給紙カセット11の着脱側と同じ側に開放可能となっている。この扉101は、図示しない下側に設けられているヒンジにより上下に開閉される。
【0038】
この構成において、図2に示すようにプロセスカートリッジ7を着脱する際、プロセスカートリッジ7と扉101との干渉を防ぐため、また操作性を良くするには、プロセスカートリッジ7と扉101と間の間隔を大きくする必要がある。
【0039】
ここで、装置本体100aを小型化すると共に、プロセスカートリッジ7との間隔を大きくするには、図4において、一点鎖線で示す扉101が開いたとき、扉101は給紙カセット11の着脱軌跡内(引き出し領域内)に入り込むようにする必要がある。しかし、このように構成した場合、図3に示すように給紙カセット11を着脱途中で止めた状態において、扉101の開放を行うと、扉101の下端の角部101PがXで示す位置で給紙カセット11と干渉(当接)する。
【0040】
ところで、図5に示すように、給紙カセット11のシート給送方向下流側端部のシート給送ローラにより送り出されるシートが通過するシート通過領域Rには、シート給送方向に延びた複数の通紙リブ11aが突設されている。
【0041】
そして、扉101が開放された際、扉101の下端の角部101pが、この通紙リブ11aに干渉(当接)すると、通紙リブ11aに傷や打痕が付き、シートが斜行したり、ジャムしたりしてしまう可能性がある。
【0042】
そこで、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱操作する際、扉101が開放操作された場合でも、通紙リブ11aに傷等が付かない位置まで給紙カセット11を移動させるよう付勢する付勢機構の一例としてトグル機構を備えている。つまり、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱操作する際、トグル機構により、扉101が開放操作された場合でも、通紙リブ11aに傷等が付かない位置まで給紙カセット11を移動させるようにしている。
【0043】
図6は、このような本実施の形態に係るトグル機構の構成を示す斜視図である。図6において、11cは給紙カセット11の底面に突設されたボスであり、30Aはトグル機構である。
【0044】
トグル機構30Aは、軸30bを支点として装置本体に回動自在に設けられたレバー30と、一端がレバー30に突設されたボス30cに係止され、他端が装置本体に設けられた軸32に係止されているバネ31とを備えている。なお、レバー30の回動端には、給紙カセット11のボス11cを受け入れるための切欠き溝30aが形成されている。
【0045】
ここで、図6は、トグル機構30Aにより給紙カセット11が、扉101の下端の角部101Pが通紙リブと干渉する位置から外れた位置に移動するよう付勢されている状態を示している。このとき、レバー30の回動端に形成された切欠き溝30aには、給紙カセット11のボス11cが入り込んだ状態となっている。
【0046】
次に、この状態から給紙カセット11を矢印方向11oに引き出すと、給紙カセット11に設けられたボス11cと一体にレバー30が軸30bを支点として回動する。なお、このように給紙カセット11を引き出す際、給紙カセット11にはトグル機構30A(のバネ31)により、給紙カセット11を引き込む方向に力が加わっている。このため、給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11はトグル機構30Aにより、図6に示す位置に戻るようになる。
【0047】
次に、給紙カセット11が、通紙リブの中間位置が、扉101が開放された場合、扉101と干渉する図3及び図4で示す位置(以下、干渉位置という)Xに達する位置まで引き出されると、トグル機構30Aは図7の(a)に示す中立状態となる。
【0048】
この後、さらに給紙カセット11を矢印方向11oに引き出すと、トグル機構30Aにより給紙カセット11は、図7の(b)に示す通紙リブが干渉位置Xから外れる位置に達する。なお、この後、給紙カセット11を引き出すと、ボス31cはレバー30の溝30cから離れる。
【0049】
ここで、このように図7の(a)に示すトグル機構30Aが中立状態となった後、給紙カセット11を引き出すと、給紙カセット11にはトグル機構30A(のバネ31)により、給紙カセット11を引き出す方向に力が加わる。このため、給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11はトグル機構30Aにより、図7の(b)に示す通紙リブ11aが干渉位置Xから外れる位置に達する。
【0050】
以上説明したように、図5に示すシート通過領域Rの、矢印に示す給紙カセット引き出し方向下流側部分である前半領域R2の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時、トグル機構30Aは、図6の状態から図7の(a)の状態の間にある。このため、給紙カセット11には矢印11oとは逆の方向である挿入方向に力がかかるようになり、扉101を開放操作する際、誤って給紙カセット11から手を離した場合、給紙カセット11は、トグル機構30Aにより図6に示す位置に戻る。
【0051】
一方、給紙カセット11が、図5に示すシート通過領域Rの、給紙カセット引き出し方向上流側部分である後半領域R1の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時、トグル機構30Aは図7の(a)の状態から図7の(b)に示す状態の間にある。このため、給紙カセット11には矢印11oの引き出す方向に力がかかるようになり、扉101を開放操作する際、誤って給紙カセット11から手を離した場合、給紙カセット11は、トグル機構30Aにより図7の(b)に示す位置に移動する。
【0052】
なお、これまでは給紙カセット11を引き出す場合について説明したが、給紙カセット11を装置本体内に装着する場合も、トグル機構30Aにより同様に作用する。即ち、給紙カセット11を装着する際、シート通過領域Rの後半領域R1の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、トグル機構30Aにより給紙カセット11は引き出し方向に移動するよう付勢される。また、シート通過領域Rの前半領域R2の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、トグル機構30Aにより給紙カセット11は挿入方向(装着方向)に移動するよう付勢される。
【0053】
このように、本実施の形態では、シート通過領域Rの前半領域R2の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、トグル機構30Aにより給紙カセット11を挿入方向に移動させるように付勢している。また、シート通過領域Rの後半領域R1の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、トグル機構30Aにより給紙カセット11を引き出し方向に移動させるように付勢している。
【0054】
つまり、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱する際、トグル機構30Aにより給紙カセット11を、シート通過領域Rが開放される扉101と当接しない位置に移動させるように付勢するようにしている。言い換えれば、給紙カセット11を、扉101を開放した際、扉101が通紙リブ11aと干渉する領域では停止しないように構成している。これにより、扉101を開放した際、給紙カセット11のシート通過領域Rに傷が付くのを防ぐことができる。また、この結果、シートの斜行や、ジャムの発生を防ぐことができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱する際、給紙カセット11に反力が発生するのはシート通過領域Rのみであるので、反力を発生させる領域が少なくてすむ。この結果、トグル機構30Aを小型化でき、これに伴って操作が簡単になると共に、装置本体の小型化が可能になる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0057】
図8は、本実施の形態に係る画像形成装置に設けられた付勢機構の構成を示す側面図である。図8において、46は、給紙カセット11を付勢して通紙リブ11a上に傷や打痕の発生を防ぎたい領域からずれた位置に移動させるための付勢機構である。そして、この付勢機構46は、給紙カセット11の着脱方向と平行な側壁の外面に設けられたカム部45と、装置本体に設けられ、カム部45に弾性的に圧接する押圧部40Aとにより構成されている。
【0058】
ここで、カム部45はシート通過領域Rの前半領域R2及び後半領域R1に対応しているカム面C1,C2を有すると共にシート通過領域Rの中央部が最も高くなるように形成されている。また、カムフォロアーを構成する押圧部40Aは、カム部45に沿って回転するローラ40と、ローラ40を回転自在に保持するホルダ41と、ホルダ41を上下方向に移動可能に保持すると共に、ホルダ41に上下方向の負荷を与えるバネ42を備えている。
【0059】
なお、図8及び図9は、装置本体に給紙カセット11が装着されている状態を示しており、この状態から給紙カセット11を矢印方向11oに引き出すと、ローラ40はカム面C1に沿って上昇しながら移動する。
【0060】
ここで、このように給紙カセット11を引き出す際、給紙カセット11が、図8に示す通紙リブ11aの前半領域R2が扉101との干渉位置Xにある時、押圧部40A(のバネ42)により、カム面C1が押圧される。このため、給紙カセット11には挿入方向に力がかかるようになり、誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は、押圧部40Aの押圧力により図8及び図9に示す位置に戻るようになる。
【0061】
また、この後、引き続き給紙カセット11を引き出し、通紙リブ11aの中間位置が干渉位置Xに達すると、ローラ40はカム面C1とC2の境界に位置する図10の(a)に示す状態となる。
【0062】
この後、さらに給紙カセット11を矢印方向11oに引き出すと、押圧部40A(のバネ42)により、カム面C2が押圧される。このため、給紙カセット11には引き出し方向に力がかかるようになり、誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は押圧部40Aの押圧力により図10の(b)に示す通紙リブの後半領域R1が干渉位置Xから外れる位置に達する。なお、この後、給紙カセット11を引き出すと、ローラ40はカム面C2から離れる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態において、給紙カセット11を引き出す際、給紙カセット11が、通紙リブ11aの前半領域R2が扉101との干渉位置Xにある時、押圧部40Aはカム面C1に作用する。このため、給紙カセット11には矢印11oとは逆の方向である挿入方向に力がかかるようになり、扉101を開放操作する際、誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は、付勢機構46により図8及び図9に示す位置に戻る。
【0064】
一方、給紙カセット11が、通紙リブの後半領域R1が扉101との干渉位置Xにある時、押圧部40Aはカム面C2に作用する。このため、給紙カセット11には矢印11oに示す、引き出す方向に力がかかるようになり、扉101を開放操作する際、誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は、付勢機構46により図10の(b)に示す位置に移動する。
【0065】
なお、これまでは給紙カセット11を引き出す場合について説明したが、給紙カセット11を装置本体内に装着する場合も、付勢機構46により同様に作用する。即ち、給紙カセット11を装着する際、シート通過領域Rの後半領域R1の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、付勢機構46により給紙カセット11を引き出し方向に移動するよう付勢する。また、シート通過領域Rの前半領域R2の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、付勢機構46により給紙カセット11を挿入方向に移動するよう付勢する。
【0066】
このように、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱する際、付勢機構46により給紙カセット11を、シート通過領域Rが開放される扉101と当接しない位置に移動させるように付勢するようにしている。これにより、扉101を開放した際、給紙カセット11のシート通過領域Rに傷が付くのを防ぐことができる。
【0067】
なお、本実施の形態においては、給紙カセット11にカム部45を設け、装置本体に押圧部40Aを設けたが、装置本体と給紙カセットの一方にカム部45を、装置本体と給紙カセットの他方に押圧部40Aを設けるようにすれば良い。
【0068】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0069】
図11は、本実施の形態に係る画像形成装置に設けられた付勢機構の構成を示す斜視図である。図11において、56は給紙カセット11を付勢して通紙リブ上に傷や打痕の発生を防ぎたい領域からずれた位置に移動させるための付勢機構である。この付勢機構56は、給紙カセット11の着脱方向と平行な側壁の外面に設けられたラック55と、装置本体に設けられ、ラック55と噛合するギア(ピニオン)50と、ギア50の回転に伴って伸縮するバネ53とを備えている。
【0070】
なお、本実施の形態において、ラック55はシート通過領域Rに対応して設けられている。また、ギア50には円筒形状51が設けられており、バネ53は、一端が円筒形状51に固定されたワイヤ52の他端に固定されている。そして、ギア50が回転すると、ギア50と一体に回転する円筒形状51にワイヤ52が巻き付き、これに伴ってバネ53が伸びるようになっている。このように本実施の形態において、付勢機構56は、ラック55と、ギア50と、ワイヤ52及びバネ53により構成される蓄力部とにより構成されている。
【0071】
ここで、図12の(a)は、装置本体に給紙カセット11が装着されている状態を示しており、このとき図13の(a)に示すようにギア50はラック55と噛み合っていない。なお、この状態のとき、ワイヤ52はギア50の円筒形状51に巻き付いていないため、ギア50には回転力は加わっていない。
【0072】
一方、この状態の給紙カセット11を引き出すと、既述した図11に及び図13の(b)に示すように、給紙カセット11のラック55にギア50が噛合し、この後、ギア50は反時計回りに回転し、これに伴いワイヤ52が円筒形51に巻き付く。そして、このようにワイヤ52が巻き付くとバネ53が引張られ、ギア50にはバネ53により逆方向の力、即ち給紙カセット11を挿入する方向に逆回転する力がかかるようになる。
【0073】
このため、この状態で誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は図11及び図13の(a)に示す位置に戻るようになる。ここで、図11及び図13の(a)に示す位置は、シート通過領域Rが扉101との干渉位置Xから外れた位置である。
【0074】
このように、本実施の形態においては、給紙カセット11を、扉101を開放した際、扉101が通紙リブと干渉する位置では停止しないように構成している。これにより、扉101を開放した際、給紙カセット11のシート通過領域Rに傷が付くのを防ぐことができる。
【0075】
一方、給紙カセット11を、図12の(b)及び図14の矢印11iに示すように装置本体に装着する際、給紙カセット11を装置本体内に挿入すると、図12の(b)及び図14に示すように給紙カセット11のラック55にギア50が噛合する。さらに、この後、給紙カセット11を挿入すると、ギア50は時計回りに回転し、これに伴いワイヤ52が円筒形51に巻き付く。
【0076】
そして、このようにワイヤ52が巻き付くとバネ53が引張られ、ギア50にはバネ53により逆方向の力、即ち給紙カセット11を引き出す方向に回転する力がかかるようになる。このため、この状態で誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11はラック55にギア50が噛合しない位置に戻るようになる。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱する際、付勢機構56により給紙カセット11を、シート通過領域Rが開放される扉101と当接しない位置に移動させるように付勢するようにしている。
【0078】
言い換えれば、本実施の形態では、ラック55とギア50が噛合した状態においては、着脱動作と逆の方向の力がかかるようになるので、給紙カセット11は、通紙リブ11aが扉101の角部101Pと干渉する位置Xでは停止しないようにしている。これにより、扉101を開放した際、給紙カセット11のシート通過領域Rに傷が付くのを防ぐことができる。
【0079】
なお、これまでの説明においては、シート通過領域R全域を扉101と当接しないようにして全ての通紙リブを保護する構成について述べてきたが、本発明は、これに限らない。例えば、複数のリブのうち一番突出している分離パッド23のシート給送方向下流側に位置するリブ等、領域を限定して保護する構成にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す図。
【図2】上記画像形成装置に着脱可能に装着されたプロセスカートリッジの着脱時の状態を示す斜視図。
【図3】上記画像形成装置に着脱可能に装着された給紙カセットの着脱時及び画像形成装置に開放可能に設けられた扉の開放時の状態を示す斜視図。
【図4】上記給紙カセットの着脱時及び扉の開放時の状態を示す側面図。
【図5】上記給紙カセットの複数の通紙リブが設けられたシート通過領域を説明する斜視図。
【図6】上記画像形成装置に設けられたトグル機構の構成を示す斜視図。
【図7】上記給紙カセットを着脱する際のトグル機構の動作を説明する図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置に設けられた付勢機構の構成を示す側面図。
【図9】上記付勢機構の構成を示す斜視図。
【図10】上記給紙カセットを着脱する際の付勢機構の動作を説明する図。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置に設けられた付勢機構の構成を示す斜視図。
【図12】上記給紙カセットを着脱する際の付勢機構の動作を説明する図。
【図13】上記付勢機構を構成するラックとギアの、給紙カセットを着脱する際の状態を説明する第1の図。
【図14】上記付勢機構を構成するラックとギアの、給紙カセットを着脱する際の状態を説明する第2の図。
【符号の説明】
【0081】
7 プロセスカートリッジ
11 給紙カセット
11a 通紙リブ
30A トグル機構
40A 押圧部
45 カム部
46 付勢機構
50 ギア
52 ワイヤ
53 バネ
55 ラック
56 付勢機構
100 画像形成装置
100a 画像形成装置本体
101 扉
101P 扉の下端の角部
110 画像形成部
P シート
R シート通過領域
R1 シート通過領域の給紙カセット引き出し方向上流側の後半領域
R2 シート通過領域の給紙カセット引き出し方向上流側の前半領域
X 干渉位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に装置本体に着脱可能に装着される給紙カセットと、装置本体に開放可能に設けられた開閉部材とを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファクシミリ装置、複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、シートを収納する給紙カセットを、装置本体に、シート給送方向と直交する方向に着脱可能に装着するようにしたものがある。このような画像形成装置では、画像形成時、給紙カセットに収納されたシートをシート給送ローラにより、順次画像形成部へ給送し、画像形成部においてシートへの画像形成を行っている。
【0003】
ところで、このような従来の画像形成装置においては、画像形成部を構成する感光体ドラム、現像部等を一体に備えたプロセスカートリッジ等の交換部品を給紙カセットと同じ方向から着脱可能に装着するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の画像形成装置には、プロセスカートリッジ等の交換、シートの補給等を行うため、装置本体に開閉部材が開閉可能に設けられている。この開閉部材としては、プロセスカートリッジ等の着脱側及び給紙カセットの着脱側と同じ側に開放可能に、かつ開閉軌跡が給紙カセットの着脱軌跡と干渉しないように設けられたものがある(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−308771号公報
【特許文献2】特開2001−18956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来の画像形成装置において、装置の小型化のため、プロセスカートリッジを初めとする交換部品と、給紙カセットとの間隔を小さくする必要がある。一方、交換部品の着脱性(交換性)を損なわないようにするためには、交換部品を着脱する際、開放された状態の開閉部材と着脱される交換部品との距離を大きく保つ必要がある。
【0007】
この場合、交換部品と給紙カセットの間隔を小さくしているため、交換部品と開閉部材の間隔を大きく保つには、給紙カセットの着脱空間と開閉部材の開閉空間を共有する必要が生じる。
【0008】
なお、給紙カセットのシート給送方向下流側端部のシート給送ローラにより送り出されるシートが通過するシート通過領域にはシートをガイドする複数の通紙リブが設けられている。そして、この通紙リブは、給紙カセットを小型化した場合には、給紙カセットから上方に突出するようになる。
【0009】
ここで、このように通紙リブが上方に突出した給紙カセットを引き出した状態で開閉部材を開放すると、開閉部材が通紙リブにぶつかり、通紙リブに傷や打痕が付く場合がある。そして、このように通紙リブに傷や打痕が付くと、シートが斜行したり、ジャムしてしまう可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、開閉部材を開放した際、給紙カセットのシート通過領域に傷が付くのを防ぐことのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シートを収納する給紙カセットを装置本体に着脱可能に装着し、前記給紙カセットに収納されたシートを画像形成部に給送してシートに画像を形成する画像形成装置において、前記装置本体に前記給紙カセットの着脱側と同じ側に開放可能に設けられ、開放された際、前記給紙カセットの引き出し領域内に入り込むように構成された開閉部材と、前記給紙カセットを前記装置本体に着脱する際に、前記給紙カセットの前記画像形成部に給送されるシートが通過するシート通過領域が、開放される前記開閉部材と当接しない位置に前記給紙カセットを移動させるように付勢する付勢機構と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、給紙カセットを着脱する際、給紙カセットを、シート通過領域が開放される開閉部材と当接しない位置に移動させるように付勢することにより、開閉部材を開放した際、給紙カセットのシート通過領域に傷が付くのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す図であり、図1において、100は画像形成装置、100aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)、110はシートに画像を形成する画像形成部である。
【0015】
ここで、画像形成部110は、感光体ドラム1(1a〜1d)等を備え、装置本体100aに着脱可能に装着されたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成するプロセスカートリッジ7(7a〜7d)を備えている。また、画像形成部110は、プロセスカートリッジ7の鉛直下方に配置され、画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する露光装置3、定着手段である定着ローラ対14等を備えている。
【0016】
ここで、各プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1の他、感光体ドラム表面を均一に帯電する帯電手段2(2a〜2d)、感光体ドラム上に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像ユニット4(4a〜4d)を備えている。
【0017】
なお、像担持体としての感光体ドラム1は、その両端部をフランジによって回転自在に支持されており、一方の端部に不図示の駆動モータから駆動力を伝達することにより、図1の矢印に示す時計回り方向に回転駆動される。また、帯電手段2は、ローラ状に形成された導電性ローラで、この導電性ローラを感光体ドラム表面に当接させると共に、不図示の電源によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム表面を一様に帯電させる。
【0018】
現像ユニット4は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを収納したトナー収納部を備えている。また、感光体ドラム表面に隣接し、不図示の駆動部により回転駆動されると共に、図示しない現像バイアス電源により現像バイアス電圧を印加することにより現像を行う現像ローラ24(24a〜24d)と、現像剤塗布ローラ25(25a〜25d)を備えている。
【0019】
また、12は中間転写ベルトユニットであり、この中間転写ベルトユニット12は、駆動ローラ12f及び矢印E方向に張力をかけるテンションローラ12gに張架された中間転写ベルト12eを備えている。そして、この中間転写ベルト12eの内側に各感光ドラム1に対向して一次転写ローラ12a〜12dが配設されている。
【0020】
そして、一次転写ローラ12a〜12dによって中間転写ベルト12eに一次転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト12eに多重転写され、これにより中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
【0021】
また、15は順次中間転写ベルト12eに形成されたフルカラー画像をシートPに転写する2次転写部、20は定着ローラ対14により画像が定着されたシートPを排紙トレイ21に排出する排出手段である排出ローラ対である。
【0022】
なお、5(5a〜5d)はプロセスカートリッジ7に設けられ、中間転写ベルト12eにトナー像を転写した後、感光体ドラム表面に残った転写後トナーを除去するクリーナユニットである。そして、このクリーナユニット5は、感光ドラム1に残った転写後トナーを除去するドラムクリーニングブレード8(8a〜8d)と、廃トナー容器とを有している。
【0023】
13はシート給送装置であり、このシート給送装置13は、シートPを収納する給紙カセット11内からシートPを送り出すシート給送ローラ9と、シート給送ローラ9により送り出されたシートPを搬送する搬送ローラ対10とを有している。
【0024】
次に、このように構成された画像形成装置100の画像形成動作について説明する。
【0025】
画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づき露光装置3はレーザ光を照射し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光ドラム1の表面を順次露光して感光ドラム1に静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
【0026】
例えば、まず感光ドラム1aに、原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を露光装置3から照射し、感光ドラム1a上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像ユニット4aからのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。
【0027】
次に、このトナー像が感光ドラム1aの回転に伴って感光ドラム1aと中間転写ベルト12eとが当接する1次転写部に到来すると、一次転写ローラ12aに印加した1次転写バイアスにより、感光ドラム上のイエロートナー像が中間転写ベルト上に転写される。
【0028】
次に、中間転写ベルト12eのイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラム1b上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト12eに転写される。同様に、中間転写ベルト12eが移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。
【0029】
これにより、中間転写ベルト上にフルカラートナー画像が形成される。なお、トナー像転写後に、感光ドラム1表面に残ったトナーは、クリーナユニット5のクリーニングブレード8によって除去され、除去されたトナーはクリーナユニット5内の廃トナー容器に回収される。
【0030】
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット11に収容されたシートPは、シート給送ローラ9により送り出された後、分離パッド23によって一枚ずつ分離される。なお、このように分離された後、シートPは搬送ローラ10によりレジストローラ17に達し、このレジストローラ17によりタイミングを合わされた後、2次転写部15に搬送される。
【0031】
そして、この2次転写部15において、2次転写ローラ16に印加される2次転写バイアスによって中間転写ベルト上の4色のトナー像がシート上に一括して転写される。なお、シートPへの二次転写の後、中間転写ベルト上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置22によって除去され、除去されたトナーは、装置奥面部に配置された不図示の廃トナー回収容器へと回収される。
【0032】
次に、このようにトナー像が転写されたシートPは、シート上に形成した画像に熱及び圧力を加えて定着させる定着ローラ対14に搬送される。なお、この定着ローラ対14は、ヒータ等の発熱手段を接着したベルトガイド部材14cにガイドされた円筒状の定着ベルト14aと、弾性加圧ローラ14bとにより構成される。
【0033】
ここで、弾性加圧ローラ14bは、定着ベルト14aを挟みベルトガイド部材14cと所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成すると共に、不図示の駆動手段により回転駆動される。なお、弾性加圧ローラ14bが回転すると、これに伴って円筒状の定着ベルト14aが回転し、この際、不図示の内部ヒータにより定着ベルト14aが加熱され、定着ニップ部Nが所定の温度となる。
【0034】
そして、所定の温度となった状態の定着ニップ部Nに未定着トナー画像が形成されたシートPが導入されると、シートPは定着ニップ部Nにおいて画像面が定着ベルト14aの外面に密着しながら定着ベルト14aと一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0035】
ここで、このように定着ニップ部Nを定着ベルト14aと一緒にシートPが挟持搬送されていく過程において、定着ベルト14a内のヒータ熱により加熱されてシート上の未定着トナーが溶融混色し、シートPにフルカラーの画像として定着される。この後、フルカラー画像が定着されたシートPは、定着ローラ対14の下流に設けられた排紙ローラ対20によって排紙トレイ21に排紙される。
【0036】
ところで、本実施の形態において、給紙カセット11は装置本体100aに着脱可能に装着されると共に、図1において、装置本体手前方向へ引き出すことができるよう構成されている。そして、給紙カセット11にシートを補給する際は、まず給紙カセット11を装置本体100aから引き出してシートPをセットし、この後、装置本体100aへ挿入(装着)することでシート補給が完了する。
【0037】
一方、例えばプロセスカートリッジ7(7a〜7d)も、図2に示すように給紙カセット11と同方向に着脱可能となっている。ここで、このようにプロセスカートリッジ7を着脱する際、図2に示すように、装置本体100aの外装の側面に設けられている開閉部材である扉101を開閉するが、この扉101は、図3に示すように給紙カセット11の着脱側と同じ側に開放可能となっている。この扉101は、図示しない下側に設けられているヒンジにより上下に開閉される。
【0038】
この構成において、図2に示すようにプロセスカートリッジ7を着脱する際、プロセスカートリッジ7と扉101との干渉を防ぐため、また操作性を良くするには、プロセスカートリッジ7と扉101と間の間隔を大きくする必要がある。
【0039】
ここで、装置本体100aを小型化すると共に、プロセスカートリッジ7との間隔を大きくするには、図4において、一点鎖線で示す扉101が開いたとき、扉101は給紙カセット11の着脱軌跡内(引き出し領域内)に入り込むようにする必要がある。しかし、このように構成した場合、図3に示すように給紙カセット11を着脱途中で止めた状態において、扉101の開放を行うと、扉101の下端の角部101PがXで示す位置で給紙カセット11と干渉(当接)する。
【0040】
ところで、図5に示すように、給紙カセット11のシート給送方向下流側端部のシート給送ローラにより送り出されるシートが通過するシート通過領域Rには、シート給送方向に延びた複数の通紙リブ11aが突設されている。
【0041】
そして、扉101が開放された際、扉101の下端の角部101pが、この通紙リブ11aに干渉(当接)すると、通紙リブ11aに傷や打痕が付き、シートが斜行したり、ジャムしたりしてしまう可能性がある。
【0042】
そこで、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱操作する際、扉101が開放操作された場合でも、通紙リブ11aに傷等が付かない位置まで給紙カセット11を移動させるよう付勢する付勢機構の一例としてトグル機構を備えている。つまり、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱操作する際、トグル機構により、扉101が開放操作された場合でも、通紙リブ11aに傷等が付かない位置まで給紙カセット11を移動させるようにしている。
【0043】
図6は、このような本実施の形態に係るトグル機構の構成を示す斜視図である。図6において、11cは給紙カセット11の底面に突設されたボスであり、30Aはトグル機構である。
【0044】
トグル機構30Aは、軸30bを支点として装置本体に回動自在に設けられたレバー30と、一端がレバー30に突設されたボス30cに係止され、他端が装置本体に設けられた軸32に係止されているバネ31とを備えている。なお、レバー30の回動端には、給紙カセット11のボス11cを受け入れるための切欠き溝30aが形成されている。
【0045】
ここで、図6は、トグル機構30Aにより給紙カセット11が、扉101の下端の角部101Pが通紙リブと干渉する位置から外れた位置に移動するよう付勢されている状態を示している。このとき、レバー30の回動端に形成された切欠き溝30aには、給紙カセット11のボス11cが入り込んだ状態となっている。
【0046】
次に、この状態から給紙カセット11を矢印方向11oに引き出すと、給紙カセット11に設けられたボス11cと一体にレバー30が軸30bを支点として回動する。なお、このように給紙カセット11を引き出す際、給紙カセット11にはトグル機構30A(のバネ31)により、給紙カセット11を引き込む方向に力が加わっている。このため、給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11はトグル機構30Aにより、図6に示す位置に戻るようになる。
【0047】
次に、給紙カセット11が、通紙リブの中間位置が、扉101が開放された場合、扉101と干渉する図3及び図4で示す位置(以下、干渉位置という)Xに達する位置まで引き出されると、トグル機構30Aは図7の(a)に示す中立状態となる。
【0048】
この後、さらに給紙カセット11を矢印方向11oに引き出すと、トグル機構30Aにより給紙カセット11は、図7の(b)に示す通紙リブが干渉位置Xから外れる位置に達する。なお、この後、給紙カセット11を引き出すと、ボス31cはレバー30の溝30cから離れる。
【0049】
ここで、このように図7の(a)に示すトグル機構30Aが中立状態となった後、給紙カセット11を引き出すと、給紙カセット11にはトグル機構30A(のバネ31)により、給紙カセット11を引き出す方向に力が加わる。このため、給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11はトグル機構30Aにより、図7の(b)に示す通紙リブ11aが干渉位置Xから外れる位置に達する。
【0050】
以上説明したように、図5に示すシート通過領域Rの、矢印に示す給紙カセット引き出し方向下流側部分である前半領域R2の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時、トグル機構30Aは、図6の状態から図7の(a)の状態の間にある。このため、給紙カセット11には矢印11oとは逆の方向である挿入方向に力がかかるようになり、扉101を開放操作する際、誤って給紙カセット11から手を離した場合、給紙カセット11は、トグル機構30Aにより図6に示す位置に戻る。
【0051】
一方、給紙カセット11が、図5に示すシート通過領域Rの、給紙カセット引き出し方向上流側部分である後半領域R1の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時、トグル機構30Aは図7の(a)の状態から図7の(b)に示す状態の間にある。このため、給紙カセット11には矢印11oの引き出す方向に力がかかるようになり、扉101を開放操作する際、誤って給紙カセット11から手を離した場合、給紙カセット11は、トグル機構30Aにより図7の(b)に示す位置に移動する。
【0052】
なお、これまでは給紙カセット11を引き出す場合について説明したが、給紙カセット11を装置本体内に装着する場合も、トグル機構30Aにより同様に作用する。即ち、給紙カセット11を装着する際、シート通過領域Rの後半領域R1の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、トグル機構30Aにより給紙カセット11は引き出し方向に移動するよう付勢される。また、シート通過領域Rの前半領域R2の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、トグル機構30Aにより給紙カセット11は挿入方向(装着方向)に移動するよう付勢される。
【0053】
このように、本実施の形態では、シート通過領域Rの前半領域R2の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、トグル機構30Aにより給紙カセット11を挿入方向に移動させるように付勢している。また、シート通過領域Rの後半領域R1の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、トグル機構30Aにより給紙カセット11を引き出し方向に移動させるように付勢している。
【0054】
つまり、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱する際、トグル機構30Aにより給紙カセット11を、シート通過領域Rが開放される扉101と当接しない位置に移動させるように付勢するようにしている。言い換えれば、給紙カセット11を、扉101を開放した際、扉101が通紙リブ11aと干渉する領域では停止しないように構成している。これにより、扉101を開放した際、給紙カセット11のシート通過領域Rに傷が付くのを防ぐことができる。また、この結果、シートの斜行や、ジャムの発生を防ぐことができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱する際、給紙カセット11に反力が発生するのはシート通過領域Rのみであるので、反力を発生させる領域が少なくてすむ。この結果、トグル機構30Aを小型化でき、これに伴って操作が簡単になると共に、装置本体の小型化が可能になる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0057】
図8は、本実施の形態に係る画像形成装置に設けられた付勢機構の構成を示す側面図である。図8において、46は、給紙カセット11を付勢して通紙リブ11a上に傷や打痕の発生を防ぎたい領域からずれた位置に移動させるための付勢機構である。そして、この付勢機構46は、給紙カセット11の着脱方向と平行な側壁の外面に設けられたカム部45と、装置本体に設けられ、カム部45に弾性的に圧接する押圧部40Aとにより構成されている。
【0058】
ここで、カム部45はシート通過領域Rの前半領域R2及び後半領域R1に対応しているカム面C1,C2を有すると共にシート通過領域Rの中央部が最も高くなるように形成されている。また、カムフォロアーを構成する押圧部40Aは、カム部45に沿って回転するローラ40と、ローラ40を回転自在に保持するホルダ41と、ホルダ41を上下方向に移動可能に保持すると共に、ホルダ41に上下方向の負荷を与えるバネ42を備えている。
【0059】
なお、図8及び図9は、装置本体に給紙カセット11が装着されている状態を示しており、この状態から給紙カセット11を矢印方向11oに引き出すと、ローラ40はカム面C1に沿って上昇しながら移動する。
【0060】
ここで、このように給紙カセット11を引き出す際、給紙カセット11が、図8に示す通紙リブ11aの前半領域R2が扉101との干渉位置Xにある時、押圧部40A(のバネ42)により、カム面C1が押圧される。このため、給紙カセット11には挿入方向に力がかかるようになり、誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は、押圧部40Aの押圧力により図8及び図9に示す位置に戻るようになる。
【0061】
また、この後、引き続き給紙カセット11を引き出し、通紙リブ11aの中間位置が干渉位置Xに達すると、ローラ40はカム面C1とC2の境界に位置する図10の(a)に示す状態となる。
【0062】
この後、さらに給紙カセット11を矢印方向11oに引き出すと、押圧部40A(のバネ42)により、カム面C2が押圧される。このため、給紙カセット11には引き出し方向に力がかかるようになり、誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は押圧部40Aの押圧力により図10の(b)に示す通紙リブの後半領域R1が干渉位置Xから外れる位置に達する。なお、この後、給紙カセット11を引き出すと、ローラ40はカム面C2から離れる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態において、給紙カセット11を引き出す際、給紙カセット11が、通紙リブ11aの前半領域R2が扉101との干渉位置Xにある時、押圧部40Aはカム面C1に作用する。このため、給紙カセット11には矢印11oとは逆の方向である挿入方向に力がかかるようになり、扉101を開放操作する際、誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は、付勢機構46により図8及び図9に示す位置に戻る。
【0064】
一方、給紙カセット11が、通紙リブの後半領域R1が扉101との干渉位置Xにある時、押圧部40Aはカム面C2に作用する。このため、給紙カセット11には矢印11oに示す、引き出す方向に力がかかるようになり、扉101を開放操作する際、誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は、付勢機構46により図10の(b)に示す位置に移動する。
【0065】
なお、これまでは給紙カセット11を引き出す場合について説明したが、給紙カセット11を装置本体内に装着する場合も、付勢機構46により同様に作用する。即ち、給紙カセット11を装着する際、シート通過領域Rの後半領域R1の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、付勢機構46により給紙カセット11を引き出し方向に移動するよう付勢する。また、シート通過領域Rの前半領域R2の通紙リブ11aが扉101との干渉位置Xにある時には、付勢機構46により給紙カセット11を挿入方向に移動するよう付勢する。
【0066】
このように、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱する際、付勢機構46により給紙カセット11を、シート通過領域Rが開放される扉101と当接しない位置に移動させるように付勢するようにしている。これにより、扉101を開放した際、給紙カセット11のシート通過領域Rに傷が付くのを防ぐことができる。
【0067】
なお、本実施の形態においては、給紙カセット11にカム部45を設け、装置本体に押圧部40Aを設けたが、装置本体と給紙カセットの一方にカム部45を、装置本体と給紙カセットの他方に押圧部40Aを設けるようにすれば良い。
【0068】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0069】
図11は、本実施の形態に係る画像形成装置に設けられた付勢機構の構成を示す斜視図である。図11において、56は給紙カセット11を付勢して通紙リブ上に傷や打痕の発生を防ぎたい領域からずれた位置に移動させるための付勢機構である。この付勢機構56は、給紙カセット11の着脱方向と平行な側壁の外面に設けられたラック55と、装置本体に設けられ、ラック55と噛合するギア(ピニオン)50と、ギア50の回転に伴って伸縮するバネ53とを備えている。
【0070】
なお、本実施の形態において、ラック55はシート通過領域Rに対応して設けられている。また、ギア50には円筒形状51が設けられており、バネ53は、一端が円筒形状51に固定されたワイヤ52の他端に固定されている。そして、ギア50が回転すると、ギア50と一体に回転する円筒形状51にワイヤ52が巻き付き、これに伴ってバネ53が伸びるようになっている。このように本実施の形態において、付勢機構56は、ラック55と、ギア50と、ワイヤ52及びバネ53により構成される蓄力部とにより構成されている。
【0071】
ここで、図12の(a)は、装置本体に給紙カセット11が装着されている状態を示しており、このとき図13の(a)に示すようにギア50はラック55と噛み合っていない。なお、この状態のとき、ワイヤ52はギア50の円筒形状51に巻き付いていないため、ギア50には回転力は加わっていない。
【0072】
一方、この状態の給紙カセット11を引き出すと、既述した図11に及び図13の(b)に示すように、給紙カセット11のラック55にギア50が噛合し、この後、ギア50は反時計回りに回転し、これに伴いワイヤ52が円筒形51に巻き付く。そして、このようにワイヤ52が巻き付くとバネ53が引張られ、ギア50にはバネ53により逆方向の力、即ち給紙カセット11を挿入する方向に逆回転する力がかかるようになる。
【0073】
このため、この状態で誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11は図11及び図13の(a)に示す位置に戻るようになる。ここで、図11及び図13の(a)に示す位置は、シート通過領域Rが扉101との干渉位置Xから外れた位置である。
【0074】
このように、本実施の形態においては、給紙カセット11を、扉101を開放した際、扉101が通紙リブと干渉する位置では停止しないように構成している。これにより、扉101を開放した際、給紙カセット11のシート通過領域Rに傷が付くのを防ぐことができる。
【0075】
一方、給紙カセット11を、図12の(b)及び図14の矢印11iに示すように装置本体に装着する際、給紙カセット11を装置本体内に挿入すると、図12の(b)及び図14に示すように給紙カセット11のラック55にギア50が噛合する。さらに、この後、給紙カセット11を挿入すると、ギア50は時計回りに回転し、これに伴いワイヤ52が円筒形51に巻き付く。
【0076】
そして、このようにワイヤ52が巻き付くとバネ53が引張られ、ギア50にはバネ53により逆方向の力、即ち給紙カセット11を引き出す方向に回転する力がかかるようになる。このため、この状態で誤って給紙カセット11から手を離すと、給紙カセット11はラック55にギア50が噛合しない位置に戻るようになる。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態においては、給紙カセット11を着脱する際、付勢機構56により給紙カセット11を、シート通過領域Rが開放される扉101と当接しない位置に移動させるように付勢するようにしている。
【0078】
言い換えれば、本実施の形態では、ラック55とギア50が噛合した状態においては、着脱動作と逆の方向の力がかかるようになるので、給紙カセット11は、通紙リブ11aが扉101の角部101Pと干渉する位置Xでは停止しないようにしている。これにより、扉101を開放した際、給紙カセット11のシート通過領域Rに傷が付くのを防ぐことができる。
【0079】
なお、これまでの説明においては、シート通過領域R全域を扉101と当接しないようにして全ての通紙リブを保護する構成について述べてきたが、本発明は、これに限らない。例えば、複数のリブのうち一番突出している分離パッド23のシート給送方向下流側に位置するリブ等、領域を限定して保護する構成にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す図。
【図2】上記画像形成装置に着脱可能に装着されたプロセスカートリッジの着脱時の状態を示す斜視図。
【図3】上記画像形成装置に着脱可能に装着された給紙カセットの着脱時及び画像形成装置に開放可能に設けられた扉の開放時の状態を示す斜視図。
【図4】上記給紙カセットの着脱時及び扉の開放時の状態を示す側面図。
【図5】上記給紙カセットの複数の通紙リブが設けられたシート通過領域を説明する斜視図。
【図6】上記画像形成装置に設けられたトグル機構の構成を示す斜視図。
【図7】上記給紙カセットを着脱する際のトグル機構の動作を説明する図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置に設けられた付勢機構の構成を示す側面図。
【図9】上記付勢機構の構成を示す斜視図。
【図10】上記給紙カセットを着脱する際の付勢機構の動作を説明する図。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置に設けられた付勢機構の構成を示す斜視図。
【図12】上記給紙カセットを着脱する際の付勢機構の動作を説明する図。
【図13】上記付勢機構を構成するラックとギアの、給紙カセットを着脱する際の状態を説明する第1の図。
【図14】上記付勢機構を構成するラックとギアの、給紙カセットを着脱する際の状態を説明する第2の図。
【符号の説明】
【0081】
7 プロセスカートリッジ
11 給紙カセット
11a 通紙リブ
30A トグル機構
40A 押圧部
45 カム部
46 付勢機構
50 ギア
52 ワイヤ
53 バネ
55 ラック
56 付勢機構
100 画像形成装置
100a 画像形成装置本体
101 扉
101P 扉の下端の角部
110 画像形成部
P シート
R シート通過領域
R1 シート通過領域の給紙カセット引き出し方向上流側の後半領域
R2 シート通過領域の給紙カセット引き出し方向上流側の前半領域
X 干渉位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収納する給紙カセットを装置本体に着脱可能に装着し、前記給紙カセットに収納されたシートを画像形成部に給送してシートに画像を形成する画像形成装置において、
前記装置本体に前記給紙カセットの着脱側と同じ側に開放可能に設けられ、開放された際、前記給紙カセットの引き出し領域内に入り込むように構成された開閉部材と、
前記給紙カセットを前記装置本体に着脱する際に、前記給紙カセットの前記画像形成部に給送されるシートが通過するシート通過領域が、開放される前記開閉部材と当接しない位置に前記給紙カセットを移動させるように付勢する付勢機構と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記付勢機構は、前記給紙カセットを前記装置本体に着脱する際、前記シート通過領域の引き出し方向下流側部分が開放される前記開閉部材と当接する位置にあるときには前記給紙カセットを装着方向に付勢し、前記シート通過領域の引き出し方向上流側部分が開放される前記開閉部材と当接する位置にあるときには前記給紙カセットを引き出し方向に付勢するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記付勢機構は、前記装置本体と前記給紙カセットとの間に設けられたトグル機構であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記付勢機構は、前記装置本体と前記給紙カセットの一方に設けられ、中央部が高くなる形状を有して引き出し方向に延びるカム部と、前記装置本体と前記給紙カセットの他方に設けられ、前記カム部に弾性的に圧接するカムフォロアーとにより構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢機構は、前記給紙カセットに設けられたラックと、前記装置本体に設けられたピニオンと、前記給紙カセットを前記装置本体に着脱する際の前記ピニオンの回転に伴って前記ピニオンを逆回転させる力が蓄えられる蓄力部とにより構成されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記給紙カセットの前記シート通過領域には、シート給送方向に延びた複数の通紙リブが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
シートを収納する給紙カセットを装置本体に着脱可能に装着し、前記給紙カセットに収納されたシートを画像形成部に給送してシートに画像を形成する画像形成装置において、
前記装置本体に前記給紙カセットの着脱側と同じ側に開放可能に設けられ、開放された際、前記給紙カセットの引き出し領域内に入り込むように構成された開閉部材と、
前記給紙カセットを前記装置本体に着脱する際に、前記給紙カセットの前記画像形成部に給送されるシートが通過するシート通過領域が、開放される前記開閉部材と当接しない位置に前記給紙カセットを移動させるように付勢する付勢機構と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記付勢機構は、前記給紙カセットを前記装置本体に着脱する際、前記シート通過領域の引き出し方向下流側部分が開放される前記開閉部材と当接する位置にあるときには前記給紙カセットを装着方向に付勢し、前記シート通過領域の引き出し方向上流側部分が開放される前記開閉部材と当接する位置にあるときには前記給紙カセットを引き出し方向に付勢するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記付勢機構は、前記装置本体と前記給紙カセットとの間に設けられたトグル機構であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記付勢機構は、前記装置本体と前記給紙カセットの一方に設けられ、中央部が高くなる形状を有して引き出し方向に延びるカム部と、前記装置本体と前記給紙カセットの他方に設けられ、前記カム部に弾性的に圧接するカムフォロアーとにより構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢機構は、前記給紙カセットに設けられたラックと、前記装置本体に設けられたピニオンと、前記給紙カセットを前記装置本体に着脱する際の前記ピニオンの回転に伴って前記ピニオンを逆回転させる力が蓄えられる蓄力部とにより構成されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記給紙カセットの前記シート通過領域には、シート給送方向に延びた複数の通紙リブが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−186860(P2009−186860A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28329(P2008−28329)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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