説明

画像形成装置

【課題】カラー画像の画像形成プロセスにおいて、ブラック現像剤を混色しない状態で回収して使用頻度の高いブラック現像剤のリサイクル効率を高めるとともに、モノクロ画像形成時におけるプリント時間の短縮を図れるカラー画像形成装置を提供する。
【解決手段】YCMの像担持体1Y、1C、1Mで作成されたトナー像は中間転写ベルト6に重ねて転写される。像担持体1Bで作成されたブラックトナー像は記録媒体転写手段15の転写紙搬送ベルト8により搬送される転写紙に直接転写され、その後転写紙には中間転写ベルト6上の重ねトナー像が2次転写ローラ28により転写される。モノクロ画像形成時には、2次転写ローラ28が図示しない接離機構により動作して転写紙搬送ベルト8が中間転写ベルト6から離間し、記録媒体転写手段15のみが動作してブラックトナー像の転写が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関し、詳しくは中間転写体を有し、像担持体から回収したトナーをリサイクルする乾式二成分現像方式のカラー画像形成が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、あらかじめ一様に帯電された潜像担持体(像担持体)上に光学的な画像情報を形成することによって得た静電潜像を、現像装置(以下、「現像手段」ともいう)からのトナーによって可視化し、この可視像を中間転写体上に、あるいは転写紙上に転写、定着することによって画像形成を行っている。
カラー画像形成装置では、複数色のトナー像を像担持体上に形成し、これを中間転写体上に、あるいは転写ベルト(転写材搬送体)で搬送される転写材(記録材)上に重ねることにより、最終的に転写材上にフルカラー画像を形成する。
この種の画像形成装置には、(1)複数色のトナー像の形成を一つあるいは二つの像担持体で順番に行うものと、(2)複数色の各色について像担持体と、像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、像担持体上のトナーをクリーニングするクリーニング装置(以下、「クリーニング手段」ともいう)とを設けたものとがある。
後者のカラー画像形成装置は、通常、中間転写体あるいは転写ベルトに対して、その走行方向に沿って直線上に各色を配置した、いわゆるタンデム方式のものである。
タンデム方式は、複数色のトナー像形成を同時に行えるため、高速化に優れている。
【0003】
ところで、カラー画像形成装置では、白黒のものと比べて使用するトナーの色数が多く、しかも写真原稿の場合のように画像面積率の大きい原稿が出力されることが多いため、省資源・省スペースおよびランニングコスト低減等の点から、トナーのリサイクルが重要な課題となっている。
トナーのリサイクルについて述べると、上記のような電子写真方式のカラー画像形成装置においては、各色に対応する像担持体上のトナー像が直接または間接的に転写材上に重複転写されてカラー画像が形成されるが、各像担持体ではこれに担持されたトナー(トナー像)の一部が転写材に転写されず、像担持体上に残ることが避けられない。この残ったトナーは、各像担持体に備えられたクリーニング手段によって除去・回収される。
【0004】
しかしながら実際には、このトナーのリサイクルに関していくつかの問題点が生じている。その一つは、上流側の色が下流側の色のプロセスに混入して生じる混色の問題である。
トナーの色の数だけ像担持体を設けたタンデム方式の場合、各クリーニング手段では像担持体に対応した色のトナーをクリーニングするので、回収したトナーをその色の現像装置に戻して画像形成に再使用することは容易である。
さらに、各色の画像形成システムが互いに独立しているため、タンデム方式では理想的には混色が起こらないはずであるが、現実にはこの混色は避けられない状況となっている。この混色は、像担持体から転写材への各色のトナー像の転写工程で生じる。
【0005】
上述の混色が起こる過程を、具体的に説明する。
タンデム方式において、転写ベルトで搬送される転写材上に、各色の像担持体からトナー像を重複転写して転写材上にカラー画像を形成する場合を例にとると、2色目以降の像担持体上のトナー(トナー像)を転写材へ転写するとき、転写材上には転写材移動方向上流側で転写された色のトナーが載った状態となっている。
この転写材上の上流色トナーが、下流色の転写時に転写材から像担持体へ逆転写し、この逆転写されたトナーが下流色のクリーニングで回収され、下流色のクリーニング手段で回収されたトナーには上流色が混入し、(例えば、1色目のトナーが2色目の像担持体に逆転写し、1色目のトナーが2色目のクリーニング手段で回収される)混色が生じる。この混色は中間転写体を用いた中間転写方式においても同様に生じる。
このように、従来のカラー画像形成装置では、各色の像担持体からトナーを回収し、この回収トナーをそのまま回収元の像担持体に対応する現像手段にリサイクルすると、作像時間の経過とともに、現像手段中のトナーの色相が混色のない状態から次第に大きく変化してしまうという問題が生じる。
【0006】
このような問題に対処すべく、混色が生じないように中間転写方式のタンデム型の各色配置において、混色しない最上流のブラックの像担持体からの回収トナーをブラック現像装置に回収して再利用したり(特許文献1)、混色が生じたトナーの場合、これを全てブラックトナーに混ぜて再使用したり(特許文献2)、回収トナーの搬送経路を切替え可能として、適宜再利用又は破棄し(特許文献3)、あるいは混色トナー専用の現像装置を設けたり(特許文献4、5)する構成が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−357938号公報
【特許文献2】特許第3366969号公報
【特許文献3】特開2002−365995号公報
【特許文献4】特開2000−35703号公報
【特許文献5】特開2006−30519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
市場におけるカラー画像形成装置の稼動状況をみると、モノクロ画像の占める割合は7〜8割程度であり、フルカラー画像形成時にもブラックトナーが消費されていることを考えると、廃トナー中のブラックトナー比率がかなり高いことがわかる。
このため、特許文献1のように、ブラックトナーだけを他の色のトナーが混色しないようにして回収トナーを再利用したとしても、ほとんどの回収トナーを破棄しないで済むので実用的である。
しかしながら、特許文献1では、タンデム方式の各色配置において、図5に示すように、ブラックに対応する像担持体1B及び現像装置を最上流に配置しているため、転写紙への転写位置Sから最も遠い位置にある。図5において、1Yはイエローに対応する像担持体、1Mはマゼンタに対応する像担持体、1Cはシアンに対応する像担持体、50は中間転写ベルトを示している。
このため、市場で最も稼働率の高いモノクロ画像形成時において、ブラックトナーの顕像化が行われてから転写紙に転写されるまで時間がかかるという問題があった。
また、操作者がプリント実行をしてから実際に転写紙が排出されるまでの待ち時間が長いというだけでなく、モノクロ画像画像形成に必要の無い他の色の各作像装置の空転時間が長いことにより、無駄に空転動作している部品の摩耗スピードを早め、部品寿命を短くしてしまうという不具合があった。
【0009】
特許文献2では、混色トナーをブラック現像装置で再利用するために、回収トナーの量が予め定められた混入量以下に制限するようにしているが、やはりどうしても混色トナーの混入によりブラックの色調が変わってしまうなど画質が劣化することは免れない。
特許文献3では、回収トナーの再利用と破棄をトナー搬送スクリュの回転方向の切替えにより行うものであるが、クリーニング装置4の内部には混色トナーが貯留されており、画素カウントにより各画像毎に使用される各トナー使用量を把握できたとしても、実際はその積分値を扱うことになるので、回収トナー中の混色度合いを正確に推定することは困難である。
特許文献4、5では、混色トナー専用の現像装置、像担持体などを設けて通常の画像形成ユニット数よりもユニットを多く設置しなければならないので、機械の大きさが大きくなるとともに、製造コストの上昇を招いてしまうという不具合があった。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、カラー画像の画像形成プロセスにおいて、ブラック現像剤を混色しない状態で回収して使用頻度の高いブラック現像剤のリサイクル効率を高めるとともに、モノクロ画像形成時におけるプリント時間の短縮を図れるカラー画像形成装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、ブラックを含む各色に対応した複数の像担持体と、各像担持体上の潜像を顕像化するための現像剤が収容される複数の現像装置と、顕像化されたトナー画像を転写するための中間転写体とを有し、転写後にブラックに対応する像担持体上から回収されたブラックトナーをブラックに対応する現像装置に戻して再び利用するようにした画像形成装置において、ブラック以外の色に対応する像担持体及び現像装置は前記中間転写体にトナー画像を転写するように配置され、ブラックに対応する像担持体及び現像装置は、前記中間転写体よりも記録媒体の搬送方向上流側に前記中間転写体とは独立して設けられ、記録媒体に前記ブラックに対応する像担持体上のトナー画像を転写した後に前記中間転写体上のトナー画像を重ねて転写可能な記録媒体転写手段を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の画像形成装置において、前記記録媒体転写手段が、前記ブラックに対応する像担持体上のトナー画像を記録媒体に直接転写する構成を有していることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の画像形成装置において、前記記録媒体転写手段が、無端状の転写搬送ベルトと、該転写搬送ベルトを前記中間転写体に対して接離させる2次転写手段とを有していることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明では、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記中間転写体を前記記録媒体転写手段に対して接離させる手段を有していることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記ブラック以外の色に対応する像担持体が前記中間転写体に接していることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明では、請求項5記載の画像形成装置において、前記中間転写体が無端ベルト状をなすことを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項6記載の画像形成装置において、前記各色に対応した複数の像担持体及び現像装置が、画像形成装置本体に着脱自在な個別のプロセスカートリッジにそれぞれ一体に支持されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記トナーは、円形度が0.92以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明では、請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記トナーは、形状係数SF−1で100〜180の範囲にあり、かつ形状係数SF−2で100〜180の範囲にあることを特徴とする。
請求項10記載の発明では、請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記トナーは、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で定義される分散度が1.05〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明では、請求項1〜10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記トナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲で、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲であって、長軸r1≧短軸r2≧厚さr3の関係を満足することを特徴とする。
請求項12記載の発明では、請求項1〜11のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記トナーは、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋と伸長のうち少なくとも一方の反応をさせるトナーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カラー画像の画像形成プロセスにおいて、ブラック現像剤を混色のない状態でリサイクルできるので、画質の劣化を招くことなく使用頻度の高いブラック現像剤のリサイクル効率を高めることができるとともに、待ち時間の短縮やコストアップの低減に寄与することができる。
また、ブラック画像の転写装置(記録媒体転写手段)に直接転写方式を採用すれば、構成部品を少なくすることができ、更に、露光装置から露光するブラック画像のレーザ書込み像が、YCM画像のレーザ書込み像と同じ方向に書込み可能となり、書込み制御の複雑化を招くことがないので、コスト低減に一層寄与することができる。
また、中間転写ベルトの張力変動が無いので、フルカラー画像形成時の色ずれを高精度に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのカラーデジタル複合機の概略構成図である。カラーデジタル複合機は、図1に示すように、イエロー、シアン、マゼンタ(以下、Y、C、Mと略す)の3つの画像形成ユニット12Y、12C、12Mが、ループ状をなして略水平に延びる中間転写体としての中間転写ベルト6に沿ってベルト移動方向に直列に配置されたタンデム方式である。
ブラックの画像形成ユニット12Bは、前記タンデム配列より転写紙(記録媒体)移動方向の上流位置に独立して設けられており、ブラックの画像形成ユニット12Bのトナー像が転写紙に直接転写されるよう配置されている。
ブラック(B)の画像形成ユニット12Bは、中間転写ベルト6に対するY、C、Mの転写構成とは独立しており、そこで作成されたブラックトナー像は中間転写ベルト6とは異なる記録媒体転写手段15により転写紙に直接転写される。
記録媒体転写手段15は略水平に延びる中間転写ベルト6に対して略垂直に交差するように配置されている。
さらに詳述すると、ブラックの画像形成ユニット12Bは、転写紙の略垂直搬送パスの近傍にこれに沿って配置されており、記録媒体転写手段15は略垂直搬送パスにおける定着装置10の上流側のスペースを利用して配置されている。
【0019】
各画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Bは、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジとしてなる。
それぞれの画像形成ユニット12は、像担持体としての感光体1、帯電装置2、トナーを潜像に供給してトナー像を形成する現像装置3、クリーニング装置4等を備えている。各画像形成ユニット12は各感光体1が中間転写ベルト6の下側の展張面に接するように配置されている。
レーザにより潜像を形成する露光装置5により、各感光体上に静電潜像が形成される。
なお、本実施形態ではクリーニング装置4としてブレードタイプのものを用いたが、本発明はこれに限定される趣旨ではなく、ファーブラシローラ、磁気ブラシクリーニング方式であっても良い。また、露光装置5についてもレーザ方式に限定するものではなく、LED方式などの方式であっても良い。
【0020】
スキャナ16で読み取られた原稿、ファクシミリなどの受信データ、またはコンピュータから送信されるカラー画像情報は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に色分解され、各色の版のデータが形成され、各色の画像形成ユニットの露光装置5に送られる。
均一に帯電された感光体1は、露光装置5からの色別の露光光により画像部を露光され、現像装置3によってトナー像が作られる。感光体1Y、1C、1M上に作られたカラートナー像は、タイミングを合わせて中間転写ベルト6に転写され、色重ねされたトナー像が形成される。
【0021】
中間転写ベルト6は、駆動ローラ17、従動ローラ18、テンションローラ19、20により支持されており、中間転写ベルト6の内側には、各感光体1に対向して1次転写手段としての1次転写ローラ21Y、21C、21Mが設けられている。
従動ローラ18に対向して中間転写ベルト6の外側には、中間転写ベルト6上の残留トナーを除去するクリーニング手段7が設けられている。
感光体1B上に作られたブラックトナー像は、転写搬送ベルトとしての転写紙搬送ベルト8によって搬送される転写紙に直接転写され、その後、中間転写ベルト6上に色重ねされたYCMトナー像が転写紙上に転写される。
故に、転写紙搬送ベルト8はブラックトナー像の転写部では直接転写ベルトとして機能し、中間転写ベルト6上のYCMトナー像の転写部では2次転写ベルトとして機能する。
【0022】
画像形成装置本体の下部には転写紙サイズが異なる給紙トレイ22、23が設けられており、各給紙トレイから図示しない給紙手段により給紙された転写紙Pは、図示しない搬送手段により搬送されてレジストローラ対24に達し、ここでスキューを修正された後レジストローラ対24により所定のタイミングで感光体1Bと転写紙搬送ベルト8の転写部位へ搬送される。
ブラックトナー像とYCMトナー像を重ねて転写された転写紙は、定着装置10によりトナー像を定着され、カラー画像が形成される。定着を終えた転写紙は搬送経路R1を搬送され、排紙ローラ対30により排紙トレイ31にフェイスダウン状態で排出されてスタックされる。両面モードの場合には図示しない切替え爪により搬送経路R2へ案内され、両面ユニット33で反転された後レジストローラ対24へ搬送されて片面コピーと同様の排紙経路を辿る。
【0023】
記録媒体転写手段15は、転写紙搬送ベルト8と、該転写紙搬送ベルト8を支持する駆動ローラ25、転写手段を兼ねる従動ローラ21B、テンションローラ27、及び2次転写手段としての2次転写ローラ28と、転写紙搬送ベルト8上を清掃するクリーニング手段9等を備えている。
2次転写ローラ28は中間転写ベルト6の駆動ローラ17に対向して配置されており、図示しない接離機構により中間転写ベルト6に対して接離可能となっている。
モノクロ画像作成時においては、ブラックの画像データに基づいて露光装置5により、感光体1B上の画像部が露光され、現像装置3Bによってトナー像が作られる。
作成されたブラックトナー像は転写紙搬送ベルト8によって搬送される転写紙上に直接転写され、定着装置10により定着され、モノクロ画像が形成される。
モノクロ画像形成時は、図2に示すように、中間転写ベルト6と転写紙搬送ベルト8の接触部は図示しない上記接離機構により解除されて一点鎖線で示す位置に離間しており、YCMの各画像形成ユニット12、及び中間転写ベルト6は動作しない。
このため、YCMの各画像形成ユニット12、及び中間転写ベルト6の長寿命化を図ることができる、という副次的メリットがある。
【0024】
本実施形態では2次転写ローラ28を変位させる構成としたが、従動ローラ21Bを支点として転写紙搬送ベルト8全体を変位させるようにしてもよい。
中間転写ベルト6に比べて周長が大幅に短い転写紙搬送ベルト8側が接離し、中間転写ベルト6は据え置き可能(転写紙搬送ベルト8と連動しない)となるため、中間転写ベルト6の張力変動がない。
すなわち、色合わせ数の多い中間転写ベルト6を転写紙搬送ベルト8に対して接離する構成とすることもできるが、この場合、色合わせのための位置精度が経時的に低下する虞がある。これに対して本実施形態では中間転写ベルト6をYCMの各感光体1に接したままの構成とすることができる。
このため、中間転写ベルト6のローラ間の位置決め精度を高く設定できるので、ベルト寄りに対する余裕度が向上する。また、ベルト走行が安定化することにより、フルカラー時の色ズレに対しても余裕度を向上させることができる。
なお、従来、モノクロ画像形成時に中間転写ベルトをブラックを除く色の像担持体から離間させる構成も知られている。この方式では中間転写ベルトのみ駆動してブラック以外の色の画像形成ユニットを駆動(空転)する必要はないが、中間転写ベルトを変位させるため上記張力変動の問題は避けられない。
【0025】
中間転写ベルト6を支持する駆動ローラ17を図示しない手段により変位させ、中間転写ベルト6を転写紙搬送ベルト8に対して接離させる構成としてもよい。
この場合、転写紙の搬送姿勢が変化することがないので、転写紙搬送ベルト8〜定着装置10間の転写紙の挙動が不安定となることがない。このため、定着装置10から排出された後の転写紙にシワや画像の乱れが発生するのを防止することができる。
【0026】
ブラックの画像形成ユニット12Bは、YCMの画像形成ユニットから独立して配置されているので、ブラックの作像工程にYCMの逆転写トナーが混入することがない。
このため、感光体1Bより回収されたトナーは、図示しないブラックトナー回収経路でブラックの現像装置3Bへ運ばれ、再利用される。
前記ブラックトナー回収経路の途中において、紙粉除去を行う装置や、トナーを廃棄する経路に切替え可能な装置を設けても良い。
中間転写ベルト6の上部にはトナーバンク32が設けられている。トナーバンク32は、トナータンク32B、32Y、32、C、32Mから構成され、これらのトナータンクはトナー補給パイプ33B、33Y、33C、33Mにより各現像装置3に接続されている。
【0027】
なお、本実施形態ではブラックトナー像を転写紙への直接転写するタイプのものを示したが、これは構成部品を少なくすることと、露光装置5から露光するブラック画像のレーザ書込み像が、YCM画像のレーザ書込み像と同じ方向に書込みができるというメリットがあるためである。
本発明はこれに限定される趣旨ではなく、ブラックに対応する感光体1に形成されたトナー像を中間転写ベルト、中間転写ローラを介して転写紙へ転写する方法であっても良い。ただし、この場合は露光装置5から露光するブラック画像のレーザ書込み像が、YCM画像のレーザ書込み像の鏡像となり、書込み制御が複雑になる。
【0028】
トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤によって構成され、摩擦を低減する潤滑剤がトナー表面に外添されるが、その他に、トナーの帯電性を制御する荷電制御剤、定着装置に対する離型性を向上させる離型剤等を含有し、流動性を付与する外添剤を有してもよい。
結着樹脂としては、エステル樹脂、ビニル系樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなり、特にビニル系樹脂が好ましく、具体的にはポリスチレン、ポリP−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等を用いることができる。
【0029】
着色剤としては、染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15%、好ましくは3〜10%である。
【0030】
荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸化合物、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩化合物、アルキルピリジニウム化合物等を用いることができる。含有量はトナーに対して通常0.1〜5%、好ましくは1〜3%である。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィンワックス、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸高級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル等のエステル系ワックス、アミド系ワックス等を用いることができる。含有量はトナーに対して通常0.5〜10%、好ましくは1〜5%である。
【0031】
また、トナーの形状は、円形度が0.92以上あることが好ましい。円形度SR=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%で定義され、トナーが真球に近いほど100%に近い値となる。従来の画像形成装置において、このようなトナーを使用すると、クリーニング装置4のクリーニングブレード等のクリーニング部材の当接で十分掻き取れない場合が発生する。これはトナーが感光体1上で転がりやすくなることに起因する。この場合、対策としてはクリーニングブレードでより強い力で感光体1に当接させることが考えられるが、感光体1の回転もしくは移動精度に影響を与え、バンディングの原因となる。
これに対し、図示しない塗布手段とトナーとの双方から感光体1表面に潤滑剤を塗布し、感光体1表面の摩擦係数を低減させることで、転写時における転写率を高めて残留するトナーを低減してクリーニングブレードによるクリーニングの負担を減らし、かつ、クリーニングブレードを強い力で当接してもバンディングせずにクリーニングすることが可能となる。
【0032】
この円形度は、乾式粉砕で製造されるトナーでは、熱的又は機械的に球形化処理する。熱的には、例えば、アトマイザーなどに熱気流とともにトナー母体粒子を噴霧することで球形化処理を行うことができる。また、機械的にはボールミル等の混合機に比重の軽いガラス等の混合媒体とともに投入して攪拌することで、球形化処理することができる。ただし、熱的球形化処理では凝集し粒径の大きいトナー母体粒子又は機械的球形化処理では微粉が発生するために再度の分級工程が必要になる。また、水系溶媒中で製造されるトナーでは、溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、形状を制御することができる。
さらに、トナーには、流動性付与剤を添加してもよい。流動性付与剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物の微粒子及びそれら微粒子をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコアルミネートで処理した金属酸化物微粒子である。カップリング剤で疎水化処理されたシリカ、チタニアが好ましい。シリカの1次粒子径が小さいことで、流動性を付与する効果が大きい。また、チタニアはトナー帯電量を制御することができる。これらを組み合わせて添加することがさらに好ましい。
また、トナーに外添される潤滑剤の添加量は、0.1〜2.0%の範囲にあることが好ましい。潤滑剤の添加量が0.1%未満では感光体1に供給される量が少なく感光体1の摩擦係数を低下させるのが困難であり、2.0%を越えると感光体1から帯電ローラ14a等に付着して異常画像の原因となることがある。
【0033】
また、トナーの体積平均粒径Dvは、小さい方が細線再現性を向上させることができるために、大きくとも8μm以下のトナーを用いる。しかし、粒径が小さくなると現像性、クリーニング性が低下するために、小さくとも3μm以上が好ましい。さらに、3μm未満では、キャリア又は現像ローラの表面に現像されにくい微小粒径のトナーが多くなるために、その他のトナーにおけるキャリアまたは現像ローラとの接触・摩擦が不十分となり逆帯電性トナーが多くなり地かぶり等の異常画像を形成するため好ましくない。
また、体積平均粒径Dvと数平均粒径Dnとの比(Dv/Dn)で表される粒径分布は、1.05〜1.40の範囲であることが好ましい。粒径分布をシャープにすることで、トナー帯電量分布が均一にすることができる。Dv/Dnが1.40を超えると、トナーの帯電量分布も広く、逆帯電トナーT1が多くなるために高品位な画像を得るのが困難になる。Dv/Dnが1.05未満では、製造が困難であり、実用的ではない。トナーの粒径は、コールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、測定するトナーの粒径に対応させて測定用穴の大きさが50μmのアパーチャーを選択して用い、50,000個の粒子の粒径の平均を測定することで得られる。
【0034】
また、トナーは、円形度のうち形状係数SF−1が100以上180以下の範囲にあり、形状係数SF−2が100以上180以下の範囲にあることが好ましい。
図3は、トナーの形状を模式的に表した図であり、図3(a)は形状係数SF−1、図3(b)は形状係数SF−2を説明するための図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)…式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4)…式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0035】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナー又は感光体1との接触が点接触になるために、トナー同士の吸着力が弱くなり、その結果流動性が高くなり、また、トナーと感光体1との吸着力が弱くなって、転写率が高くなり、また、逆帯電トナーT1を一時保持装置40で回収しやすくなる。
トナーの形状係数SF−1とSF−2は100以上がよい。また、SF−1とSF−2が大きくなると逆帯電トナーT1が多くなり、また、トナーの帯電量分布が広くなり、一時保持装置40に対する負荷が大きくなる。このために、SF−1は180を超えない方が好ましく、SF−2は180を超えない方が好ましい。
【0036】
さらに、この画像形成装置に用いるトナーは、略球形であってもよい。図4は、トナーの外形形状を示す概略図であり、図4(a)はトナーの外観であり、図4(b)はトナーの断面図である。図4(a)では、X軸がトナーの最も長い軸の長軸r1を、Y軸が次に長い軸の短軸r2を、Z軸に最も短い軸の厚さr3を表し、長軸r1≧短軸r2≧厚さr3の関係を有している。
このトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0で表される略球形の形状を有している。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、不定形状に近づくために帯電量分布が広くなる。
厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、不定形状に近づくために帯電量分布が広くなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、略球形の形状になるために、帯電量分布が狭くなる。
なお、これまでのトナーの大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変え、その場観察しながら測定した。
トナーの形状は、製造方法により制御することができる。例えば、乾式粉砕法によるトナーは、トナー表面も凸凹で、トナー形状が一定しない不定形になっている。この乾式粉砕法トナーであっても、機械的又は熱的処理を加えることで真球に近いトナーにすることができる。懸濁重合法、乳化重合法により液滴を形成してトナーを製造する方法によるトナーは、表面が滑らかで、真球形に近い形状になることが多い。また、溶媒中の反応途中で攪拌して剪断力を加えることで楕円にすることができる。
【0037】
また、このような略球形の形状のトナーとしては、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させるトナーが好ましい。
以下に、トナーの構成材料及び好適な製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0038】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0039】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0040】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0041】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0042】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0043】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0044】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0045】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0046】
なお、ここで、着色剤、帯電制御剤、離型剤、外添剤等は、既述の物質を用いることができる。
【0047】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0048】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0049】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0050】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0051】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0052】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0053】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン、ラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0054】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0055】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0056】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0057】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、帯電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
外添剤、潤滑剤を添加して現像剤を調製する際には、これらを同時に又は別々に添加して混合してもよい。外添剤等の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。混合条件である回転数、転動速度、時間、温度などを変化させて、外添剤の埋め込み、潤滑剤のトナー表面の薄膜形成を防止することが好ましい。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状から紡錘形状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0058】
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合、現像剤中のキャリアとトナーとのトナー濃度は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
さらに、潜像を形成する感光体1と、帯電装置2、現像装置3、クリーニング装置4の中から選択される1以上の装置とが一体に支持されて、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)となっているので、メンテナンスが必要になったりしたときには、そのプロセスカートリッジを交換すればよく、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置概要構成図である。
【図2】記録媒体転写手段の接離動作を示す図である。
【図3】トナーの形状を模式的に表した図であり、(a)は形状係数SF−1を、(b)は形状係数SF−2を説明するための図である。
【図4】本発明に用いるトナーの外形形状を示す概略図であり、(a)はトナーの外観図、(b)はトナーの断面図である。
【図5】従来のタンデム方式の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0060】
1 像担持体としての感光体
3 現像装置
6 中間転写体としての中間転写ベルト
8 転写搬送ベルトとしての転写紙搬送ベルト
12 プロセスカートリッジ
15 記録媒体転写手段
28 2次転写手段としての2次転写ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラックを含む各色に対応した複数の像担持体と、各像担持体上の潜像を顕像化するための現像剤が収容される複数の現像装置と、顕像化されたトナー画像を転写するための中間転写体とを有し、転写後にブラックに対応する像担持体上から回収されたブラックトナーをブラックに対応する現像装置に戻して再び利用するようにした画像形成装置において、
ブラック以外の色に対応する像担持体及び現像装置は前記中間転写体にトナー画像を転写するように配置され、
ブラックに対応する像担持体及び現像装置は、前記中間転写体よりも記録媒体の搬送方向上流側に前記中間転写体とは独立して設けられ、
記録媒体に前記ブラックに対応する像担持体上のトナー画像を転写した後に前記中間転写体上のトナー画像を重ねて転写可能な記録媒体転写手段を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記記録媒体転写手段が、前記ブラックに対応する像担持体上のトナー画像を記録媒体に直接転写する構成を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記記録媒体転写手段が、無端状の転写搬送ベルトと、該転写搬送ベルトを前記中間転写体に対して接離させる2次転写手段とを有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記中間転写体を前記記録媒体転写手段に対して接離させる手段を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記ブラック以外の色に対応する像担持体が前記中間転写体に接していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置において、
前記中間転写体が無端ベルト状をなすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記各色に対応した複数の像担持体及び現像装置が、画像形成装置本体に着脱自在な個別のプロセスカートリッジにそれぞれ一体に支持されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、円形度が0.92以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、形状係数SF−1で100〜180の範囲にあり、かつ形状係数SF−2で100〜180の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で定義される分散度が1.05〜1.40の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲で、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲であって、長軸r1≧短軸r2≧厚さr3の関係を満足することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋と伸長のうち少なくとも一方の反応をさせるトナーであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−198899(P2009−198899A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41719(P2008−41719)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】