説明

画像形成装置

【課題】装置本体に対して、外装カバーとともにシート搬送ユニットを押し込んだ際に、該シート搬送ユニットを装置本体に対して確実に係止させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート搬送ユニット4に、該シート搬送ユニット4を装置本体1に係止するための係止部材17が回動自在に設けられ、外装カバー3の内側に、該外装カバー3を閉じた際に、シート搬送ユニット4の係止部材17に当接して、該係止部材17を装置本体1に係止させる押圧部材32が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等に使用される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置として特許文献1〜3に示される技術が知られている。特許文献1に示される画像形成装置は、図4に示すように、画像形成ユニットA,B,C,Dを有する装置本体1の側部位置に支持軸2により下端部を軸支されて、矢印(ア)−(イ)方向に回動可能な外装カバー3及びシート搬送ユニット4を有するものであって、外側に位置する外装カバー3では搬送経路の切換によりシートを反転し、また、内側に位置するシート搬送ユニット4では、画像形成ユニットA,B,C,Dに対して該シートの搬送処理を行う。
そして、このような画像形成装置では、画像形成の部位でジャムが発生した場合には作業者が手動により外装カバー3及びシート搬送ユニット4を手前に引き出すことにより、図4に矢印(ア)方向で示す外方側に、該外装カバー3、シート搬送ユニット4が回動する。これによってシート搬送ユニット4が開放されて該シート搬送ユニット4内でジャム原因となったシートを外部に取り出すことができる。
【0003】
また、特許文献2に示される画像形成装置は、上述した外装カバー3及びシート搬送ユニット4の開閉機構10を具体的に示す図である。図5〜図7に示すように、外装カバー3には支持軸11によって軸支されかつ図示しない付勢手段によって図中反時計方向に付勢されたレバー12があり、外装カバー3が矢印(イ)方向に押し込まれることで、レバー12の先端の係止部材13が、シート搬送ユニット4に固定された係止ピン14に係止される。
一方、シート搬送ユニット4には支持軸15によって軸支されかつ図示しない付勢手段によって図中反時計方向に付勢されたレバー16があり、シート搬送ユニット4が矢印(イ)方向に押し込まれることで、レバー16の先端の係止部材17が、装置本体1に固定された係止ピン18に係止される。
なお、特許文献2では、外装カバー3及びシート搬送ユニット4を軸支する支持軸は、符号3A、4Aに示すように個別に設けられている。
【0004】
そして、このような画像形成装置では、画像形成処理中に、シート搬送ユニット4にジャムが発生した場合には、まず、図5及び図6に示すように外装カバー3のレバー12を把持して、付勢手段の付勢力に抗して支持軸11を中心して時計方向に回転操作することで、レバー12と係止ピン14との係止状態を解除し、外装カバー3を矢印(ア)方向に開くことができる。
次に、図6及び図7に示すようにシート搬送ユニット4のレバー16を把持して、付勢手段の付勢力に抗して支持軸15を中心して時計方向に回転操作することで、レバー16と係止ピン18との係止状態を解除して、シート搬送ユニット4を矢印(ア)方向に開くことができる。これによって該シート搬送ユニット4内にてジャム原因となったシートを取り除くことができる。
そして、ジャムが解消された後には、シート搬送ユニット4を矢印(イ)方向に押し込むことで、レバー16の先端の係止部材17を、装置本体1側の係止ピン18に係止させ、続いて、外装カバー3を矢印(イ)方向に押し込むことで、レバー12の先端の係止部材13を、シート搬送ユニット4側の係止ピン14に係止させ、これによって、外装カバー3及びシート搬送ユニット4を共に閉じることができる。
【0005】
一方、上述した外装カバー3を閉じた際に装置本体にロックするためのラッチ装置は、特許文献3に示されている。この特許文献3に示されるラッチ装置は、図8に示されるように、開閉扉のレバーに、支持軸20を介してロック用アーム21を設け、装置本体側のピン部材22に係止される該ロック用アーム21の係止部分23に対して電極部材24を配置し、アース線25に接続する。装置本体側に設けるピン部材22は導電体により構成し、該ピン部材22に対して検知装置26の回路を接続する。
そして、ロック用アーム21がピン部材22に正確に係止される状態で、ランプ等の表示部材27に対して、電流が流れない状態となり、ラッチ装置が正常に作動していることを表示する。また、ロック用アーム21がピン部材22から離間すると、ランプの点灯回路に電流が流れ、ラッチ装置が解除されたことを表示する。
【特許文献1】特開2001‐2330号公報
【特許文献2】特開2000‐219438号公報
【特許文献3】特開平6‐138724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び2に示される画像形成装置では、作業者によるシート搬送ユニット4の押し込み力が不足して、シート搬送ユニット4のレバー16が係止部材17に十分に係止されていない状態で、外装カバー3が閉じられてしまい、これによって装置を駆動した場合に、再度、ジャムが発生することがあった。
【0007】
そして、このようなレバーの係止が不十分な状態で装置が駆動されないように特許文献3に示されるラッチ装置の技術が提案されているが、このような特許文献3に示されるラッチ装置は、主に、外装カバー3を対象として設置されるものであり、特許文献2に示されるような、外装カバー3に設けられたレバー12と係止ピン14との係止状態が不完全である場合に、ランプ表示により作業者に報知するようにしている。
しかしながら、シート搬送ユニット4には、レバー16と係止ピン18とが非係止となっていることをランプ表示により報知するシステムが無く、このために、シート搬送ユニット4と装置本体1との係止が不十分であっても、作業者がこれに気づかず、装置を作動させて再びジャムを発生させてしまう不具合もあった。
【0008】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、装置本体に対して、外装カバーとともにシート搬送ユニットを押し込んだ際に、該シート搬送ユニットを装置本体に対して確実に係止させることができる画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。すなわち、本発明は、装置本体に軸支された開閉自在な外装カバーと、外装カバーの内側に開閉自在に設けられてシートを搬送するシート搬送ユニットと、を具備する画像形成装置であって、前記シート搬送ユニットに、該シート搬送ユニットを装置本体に係止させるための係止部材が支点を中心として回動自在に設けられ、前記外装カバーの内側に、該外装カバーを閉じた際に、前記シート搬送ユニットの係止部材を押圧して、該係止部材を装置本体に係止させる押圧部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明においては、前記押圧部材が、前記支点から外れた偏心位置にて係止部材を押圧するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外装カバーを閉じた際に、外装カバーの内側に設けられた押圧部材が、シート搬送ユニットに回動自在に軸支される係止部材を押圧して、該係止部材を装置本体に係止させることから、該シート搬送ユニットを装置本体に対して確実に係止させることができる。これによって従来のように、装置本体に対して、外装カバー及びシート搬送ユニットを装置本体に押し込んだ際に、該シート搬送ユニットが装置本体に対して係止されず、装置駆動時に再びジャムが発生するというトラブルを未然に防止できる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
なお、本実施形態の画像形成装置の説明において、従来の技術の図4〜図7と共通の箇所には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1及び図2に示される本実施形態の画像形成装置は、装置本体1に基端部を軸支されて外方側へ開放可能な外装カバー3と、該装置本体1に基端部を軸支されかつ外装カバー3の内側に設けられてシートを搬送するシート搬送ユニット4とを具備するものであって、外装カバー3、シート搬送ユニット4共に支持軸2により装置本体1に支持されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、シート搬送ユニット4には、該シート搬送ユニット4を装置本体1に係止するための係止部材17が支持軸15を中心として回動自在に設けられている。
この係止部材17は、レバー16(図5〜図7参照、図1では省略)に連動して、支持軸15を中心に時計方向又は反時計方向(外装カバー及びシート搬送ユニット4の開閉方向と同じ方向)に回動される。
また、この係止部材17は、支持軸15に軸支された回転部30と、回転部30の外側(つまり支点から外れた偏心箇所)に位置してその先端部にて装置本体1の係止ピン18を係止する係止片31とを具備するものであって、係止片31の後部は、回転部30の半径方向外方に沿う段部31Aとなっている。
【0015】
一方、外装カバー3の内側には、該外装カバー3を閉じた際に、シート搬送ユニット4の係止部材17に当接して、該係止部材17を装置本体1に係止させる突状の押圧部材32が設けられている。
この押圧部材32は、外装カバー3を閉じた際に符号M1で示す軌跡に沿って移動するものであって、外装カバー3がシート搬送ユニット4に近接した場合に、係止部材17の係止片31の後部に形成された段部31Aに当接して、該段部31Aを矢印(イ)方向に押圧する。そして、該押圧部材32の押圧によって、図2に矢印(ウ)に示すように、該係止部材17を図中時計方向に強制的に回動させ、該係止部材17の先端に位置する係止片31を、装置本体1の係止ピン18に係止させるようにしている。
【0016】
上記のように構成された画像形成装置では、外装カバー3を閉じた際に、外装カバー3の内側に設けられた押圧部材32が、シート搬送ユニット4に回動自在に軸支される係止部材17に当接して、該係止部材17を装置本体1に係止させることから、該シート搬送ユニット4を装置本体1に対して確実に係止させることができる。
これによって従来のように、装置本体1に対して、外装カバー3とともにシート搬送ユニット4を押し込んだ際に、該シート搬送ユニット4が装置本体1に対して係止されず、装置駆動時に再びジャムが発生するというトラブルを未然に防止することが可能となる。
【0017】
また、上記画像形成装置では、外装カバー3の内側に設けられた押圧部材32が、支持軸15から外れた偏心位置にて係止部材17の係止片31に当接することから、該外装カバー3の押圧部材32が、シート搬送ユニット4の係止部材17に当接した際に、支点となる支持軸15を中心として該係止部材17を確実に回動させることができ、該係止部材17による装置本体1の係止ピン18への係止を支障なく行うことができる。
また、従来のラッチ装置のような報知システムによらず、押圧部材32という簡易な構成によって、シート搬送ユニット4を装置本体1に対して確実に係止させることができる。
【0018】
なお、上記実施形態では、レバー16の動作に連動する係止部材17を使用した例を示したが、図5〜図7で示すような、当該係止部材17は、レバー16と一体になった形態のものを使用しても良い。
【0019】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図3に基づき参照して説明する。図3は画像形成装置の上部に設けられ、かつ該画像形成装置の一部を構成する自動原稿送り装置に本発明を適用した例を示している。
図3に示すように、自動原稿送り装置は、原稿トレイ40、原稿トレイ40から供給された原稿を搬送するための搬送路41、搬送路41の途中に設けられて原稿を読み取るための原稿読取り部42、読み取りを完了した原稿を受ける排出トレイ43、図示しない分岐スイッチによって原稿を反転させる反転経路44、45、反転経路44、45を経由した原稿をスイッチバックさせるためのスイッチバック経路46を備える。
【0020】
これらの構成要素は、自動原稿送り装置の装置本体47内に収納されている。この装置本体47は、第1実施形態で述べた画像形成装置の装置本体1上に設けられているものであって、その上部には、側部の支持軸48に軸支されて矢印(エ)−(オ)方向に回動される外装カバー49が設けられている。
なお、図3に示される点線は、外装カバー49が矢印(エ)方向で示す外方側に回動して開放された状態を示している。
【0021】
また、反転経路45及びスイッチバック経路46を形成するローラの一部(符号50で示す)はシート搬送ユニット51に支持されている。
このシート搬送ユニット51は、装置本体47の上部に位置し、かつローラ50を回転自在に保持するユニットフレーム52の基端部が、支持軸53によって装置本体47に軸支されたものであって、原稿搬送時にジャムが生じた場合に、図3に点線で示すように開放されて、ジャムが取り除かれる。
また、シート搬送ユニット51のユニットフレーム52には、係止部材54が設けられており、該シート搬送ユニット51を閉じた際に、該係止部材54が装置本体47側の被係止部材(図示略)に係止されるようになっている。
【0022】
一方、外装カバー49の内側には、該外装カバー49を閉じた際に、シート搬送ユニット51を押圧する押圧部材55が設けられている。
この押圧部材55は、外装カバー49を閉じた際に、符号M2で示す軌跡に沿って移動するものであって、外装カバー49がシート搬送ユニット51に近接した場合に、シート搬送ユニット51のユニットフレーム52に当接して、間接的に該係止部材54を矢印(オ)方向に押圧する。
これによって支点となる支持軸53を中心として該係止部材54を図中反時計方向に強制的に回動させ、該係止部材54を、装置本体47の被係止部材(図示略)係止させるようにしている。
なお、押圧部材55は、支持軸53の中心から外れた偏心位置にてユニットフレーム52に当接して、係止部材54を間接的に押圧することで、装置本体47に係止させる。
【0023】
上記のように構成された画像形成装置の自動原稿送り装置では、外装カバー49を閉じた際に、外装カバー49の内側に設けられた押圧部材55が、シート搬送ユニット51に回動自在に軸支されるユニットフレーム52に当接して、間接的に該係止部材54を押圧することができ、これによって該係止部材54を装置本体47に係止させ、該シート搬送ユニット51を装置本体47に対して確実に係止させることができる。
これによって従来のように、装置本体47に対して、外装カバー49とともにシート搬送ユニット51を押し込んだ際に、該シート搬送ユニット51が装置本体47に対して十分に係止されず、原稿走査時に再びジャムが発生するというトラブルを未然に防止することが可能となる。
【0024】
また、上記自動原稿送り装置では、外装カバー49の内側に設けられた押圧部材55が、支持軸48から外れた偏心位置にてシート搬送ユニット51を押圧することから、支持軸53を中心として該シート搬送ユニット51の係止部材54を確実に回動させることができ、該係止部材54による装置本体47への係止を支障なく行うことができる。
また、従来のラッチ装置のような報知システムによらず、押圧部材55という簡易な構成によって、シート搬送ユニット51を装置本体47に対して確実に係止させることができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0026】
例えば、上記実施形態においては、押圧部材32にて係止部材17を時計方向に強制的に回動させ、該係止部材17の先端に位置する係止片31を、装置本体1の係止ピン18に係止させる構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば係止部材17が、係止ピン18に係止する方向(図2における時計方向)に強く付勢されている場合には、押圧部材32にて係止部材17を強制的に回動させなくても、係止部材17に衝撃を与えるのみで係止部材17が係止ピン18に係止される場合もある。
したがって、このような場合には、外装カバー49を閉めた場合に押圧部材32が係止部材17に衝撃さえ与えれば良いため、例えば押圧部材32が支持軸15に向けて係止部材17を押圧するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態を示す画像形成装置の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示す画像形成装置が備えるシート搬送ユニットの係止部材を示す正面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す画像形成装置の自動原稿送り装置の正面図である。
【図4】本発明の特許文献1に対応した従来の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図5】本発明の特許文献2に対応した従来の画像形成装置の開閉機構を示す図である。
【図6】図5に関連した動作を示す図である。
【図7】図5及び図6に関連した動作を示す図である。
【図8】本発明の特許文献3に対応した従来のラッチ装置を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1……装置本体、3……外装カバー、4……シート搬送ユニット、17……係止部材、32……押圧部材、47……装置本体、49……外装カバー、54……係止部材、55……押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に軸支された開閉自在な外装カバーと、外装カバーの内側に開閉自在に設けられてシートを搬送するシート搬送ユニットと、を具備する画像形成装置であって、
前記シート搬送ユニットには、該シート搬送ユニットを装置本体に係止させるための係止部材が支点を中心として回動自在に設けられ、
前記外装カバーの内側には、該外装カバーを閉じた際に、前記シート搬送ユニットの係止部材を押圧して、該係止部材を装置本体に係止させる押圧部材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記押圧部材が、前記支点から外れた偏心位置にて係止部材を押圧することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−242067(P2009−242067A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91526(P2008−91526)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】