画像形成装置
【課題】無効化したことを容易に把握できるRFIDタグ付き用紙を出力する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】MFP100は,用紙60の挿入を検知し,その検知を契機にRFIDタグ61との交信を試みる。RFIDタグ61を検知した場合には,そのRFIDタグ61に記憶されているデータを無効化する処理を行う。RFIDタグ61を無効化した後は,MFP100に挿入された用紙60に対して,RFIDタグ61を無効化したことを示す画像を印刷する。印刷後は,その用紙60を排紙する。
【解決手段】MFP100は,用紙60の挿入を検知し,その検知を契機にRFIDタグ61との交信を試みる。RFIDタグ61を検知した場合には,そのRFIDタグ61に記憶されているデータを無効化する処理を行う。RFIDタグ61を無効化した後は,MFP100に挿入された用紙60に対して,RFIDタグ61を無効化したことを示す画像を印刷する。印刷後は,その用紙60を排紙する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,RFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の記憶媒体にアクセス可能な画像形成装置に関する。さらに詳細には,用紙に添付された記憶媒体(以下,便宜上「RFIDタグ」と称する)が記憶するデータを無効化する機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,RFIDタグが添付された用紙が提供されている。画像形成装置としては,RFIDタグに記憶された付加情報を読み取る装置を内蔵し,読み取った付加情報に基づく画像を形成するものが提案されている。例えば,特許文献1には,ICチップのデータを読み取り,そのデータが画像として印刷可能な付加情報であれば,付加情報がある旨をユーザに通知し,ユーザからの指示を受けてその付加情報を付した画像を印刷するコピー装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−88584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,RFIDタグが添付された用紙については,廃棄時や用済みとなった際に,RFIDタグに記憶されているデータを無効にすることが望ましい。この点,RFIDタグのデータをユーザの指示に従って消去する機能を設けることが考えられる。しかし,RFIDタグのデータを消去した用紙について,その見かけ上,RFIDタグのデータが消去されているものなのかそうでないものなのかの区別がつかない。そのため,データを消去し忘れて廃棄してしまうことが考えられる。
【0004】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,無効化したことを容易に把握できるRFIDタグ付き用紙を出力する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,用紙に添付された記憶媒体が記憶するデータを無効化する無効化手段と,無効化手段によって無効化処理が実施されたことを示す画像を,その無効化された記憶媒体を添付した用紙上に形成する画像形成手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
本発明の画像形成装置は,無効化処理として,用紙に添付された記憶媒体(例えば,RFIDタグ)に記憶されているデータを無効化する。無効化する手段としては,データを消去する,無効化済みである旨を意味する情報を記憶媒体に書き込む等が適用可能である。そして,無効になった記憶媒体を添付している用紙に対して,無効になったことを示す画像を形成する。無効化処理が実施されたことを示す画像としては,例えば,「無効化済み」等の文字やその旨を意味するマーク,記憶媒体に画像が記憶されているのであればその画像そのもの,記憶媒体に文字データが記憶されているのであればその文字データそのものが該当する。
【0007】
すなわち,本発明の画像形成装置は,記憶媒体に記憶されているデータを無効化する際に,その記憶媒体を添付する用紙上にその記憶媒体が無効化されたことを示す画像が印刷される。このことから,記憶媒体が無効化された状態か否かを,用紙を見るだけで容易に把握できる。
【0008】
また,本発明の画像形成装置の無効化手段は,記憶媒体に記憶されたデータを取得し,その取得したデータを所定の記憶部に記憶し,そのデータを記憶媒体から消去するデータの移動処理を行うとよりよい。すなわち,記憶媒体が記憶するデータを,他の記憶部(装置自身のハードディスクやサーバコンピュータ)に移動させる。これにより,記憶媒体は,データが消去されており,無効化される。一方,記憶媒体に記憶されていたデータは,所定の記憶部に残されている。そのため,その記憶部を参照することで,記憶媒体が無効化された後であってもそのデータを利用できる。なお,記憶部は,ユーザによって予め指定されたところであってもよいし,本画像形成装置が自動的に割り当てたところであってもよい。
【0009】
また,上記の画像形成装置の画像形成手段は,無効化手段が記憶した記憶部のデータを含む画像を形成するとよりよい。記憶部のデータを用紙に印刷することで,記憶媒体に記憶していたデータをどこに記憶してあるかを容易に把握でき,後からの閲覧が容易になる。
【0010】
また,本発明の画像形成装置の画像形成手段は,無効化手段による無効化処理の完了後に,画像形成処理を開始するとよりよい。すなわち,画像形成後に無効化処理を行っても一定の効果は期待できるが,無効化処理が完了した後にその旨を示す画像を形成することで,画像形成された用紙の記憶媒体が無効化されていることが確実になる。これにより,無効化されていないまま画像形成だけされて取り出されてしまう不適切な状況を回避できる。
【0011】
また,本発明の画像形成装置の無効化手段は,データを無効化する処理形態として,少なくともデータの消去処理およびデータの移動処理を含む複数の処理形態が実施可能であり,それらの処理形態の中から1つの処理形態を選択するとよりよい。無効化形態を選択できることで,ユーザの利便性が向上する。
【0012】
また,上記の画像形成装置の無効化手段は,記憶媒体に記憶されたデータの属性に基づいて処理形態を選択するとよりよい。データの処理形態を自動的に選択することで,ユーザの手間なく適切な処理を行うことができる。
【0013】
また,本発明の画像形成装置は,記憶媒体が添付されていない用紙が搬入された場合には,その用紙に対して無効化手段による無効化処理および画像形成手段による画像形成処理を行わないとするとよりよい。これにより,無駄な処理を回避できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,無効化したことを容易に把握できるRFIDタグ付き用紙を出力する画像形成装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,スキャン機能,プリント機能,コピー機能,FAX機能等の複数の機能を有する複合機(MFP)に本発明を適用したものである。
【0016】
[MFPの構成]
本形態のMFP100は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部10(画像形成手段の一例)と,原稿の画像を読み取る画像読取部20とを備えている。画像形成部10には,前面側に,手差しトレイ用の手差し口93が設けられている。印刷の際,手差しトレイを指定し,手差し口93から用紙を1枚ずつ挿入することで,その用紙を手動で装置内に搬入することができる。画像形成部10の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
【0017】
画像読取部20には,前面側に,液晶ディスプレイからなる表示部41,各種のボタン(例えば,スタートキー,ストップキー,テンキーの各ボタン)によって構成されるボタン群42等を備えた操作パネル40が設けられている。この表示部41やボタン群42により,動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0018】
また,MFP100は,RFIDタグが添付された用紙について,そのRFIDタグに記憶されているデータを消去する無効化機能を備えている。無効化機能は,ユーザが操作パネル40を操作し,RFIDタグの無効化を指示することによって動作する。無効化処理の詳細については後述する。
【0019】
[画像形成部の構成]
本形態の画像形成部10は,周知の電子写真方式によって画像を形成するものであり,図2に示すように,画像を形成するプロセス部50と,未定着のトナー像を定着させる定着装置8と,画像形成前の用紙を載置する給紙カセット91と,画像形成後の用紙を載置する排紙トレイ92とを備えている。
【0020】
画像形成部10内には,底部に位置する給紙カセット91に収容された用紙が,給紙ローラ72,レジストローラ73,プロセス部50,定着装置8を通り,排紙ローラ74を介して上部の排紙トレイ92への導かれるように,略S字形状の搬送経路が設けられている。すなわち,画像形成部10は,給紙カセット91に載置されている用紙を1枚ずつ取り出し,その用紙をプロセス部50に搬送し,プロセス部50にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。さらに,トナー像が転写された用紙を定着装置8に搬送し,トナー像をその用紙に熱定着させる。そして,定着後の用紙を排紙トレイ92に排出する。
【0021】
プロセス部50は,感光体ドラム1と,感光体ドラム1の表面を一様に帯電する帯電装置2と,感光体ドラム1の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置3と,静電潜像に対してトナーによる現像を行う現像装置4と,感光体ドラム1上のトナー像を用紙に転写させる転写装置5と,感光体ドラム1上の残留トナーを除去するクリーニングブレード6とを有している。感光体ドラム1,帯電装置2,現像装置4,およびクリーニングブレード6は,プロセスカートリッジとして構成され,装置本体に対して着脱可能になっている。
【0022】
プロセス部50では,感光体ドラム1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。その後,露光装置3からの光により露光され,用紙に形成すべき画像の静電潜像が形成される。次いで,現像装置4を介して,トナーが感光体ドラム1に供給される。これにより,感光体ドラム1上の静電潜像は,トナー像として可視像化される。
【0023】
また,画像形成部10内には,手差し口93から挿入された用紙が,搬入ローラ75,レジストローラ73,プロセス部50,定着装置8を通り,排紙ローラ74を介して上部の排紙トレイ92への導かれる手差し給紙用の搬送経路が設けられている。すなわち,本形態のプリンタ100では,給紙トレイとして,給紙カセット91と手差し口93との2つの選択肢がある。
【0024】
また,画像形成部10は,所定範囲内に存在するRFIDタグを検知し,そのRFIDタグに対してデータの読み出しおよび書き込みを行うことが可能なR/W装置81(無効化手段の一例)を備えている。R/W装置81は,手差しによる搬送経路上,搬入ローラ75とレジストローラ73との間に配置される。
【0025】
[MFPの電気的構成]
続いて,MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図3に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM34と,ASIC35と,ネットワークインタフェース36と,FAXインタフェース37とを備えた制御部30を有している。
【0026】
CPU31は,MFP100における画像読取機能,画像形成機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM(Non Volatile RAM)34は,不揮発性を有する記憶手段であって,各種設定ないし画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0027】
CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,MFP100の各構成要素(例えば,画像形成部10を構成する露光装置の点灯タイミング,用紙の搬送路を構成する各種ローラの駆動モータ(不図示),画像読取部20を構成するイメージセンサユニットの移動用モータ(不図示))を,ASIC35を介して制御する。
【0028】
ネットワークインターフェース36は,インターネット等のネットワークに接続され,PC等の情報処理装置との接続を可能にしている。FAXインターフェース37は,電話回線に接続され,相手先のFAX装置との接続を可能にしている。そして,ネットワークインターフェース36やFAXインターフェース37を介してジョブのやりとりを行うことができる。
【0029】
[MFPの無効化処理]
[第1の形態]
続いて,MFP100にて,RFIDタグ(記憶媒体の一例)が添付された用紙の,RFIDタグに記憶されているデータ(以下,「タグ情報」とする)の無効化を行う際の,無効化処理(無効化手段,画像形成手段の一例)の手順について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,操作パネル40にてRFIDタグの無効が指示されたことを契機に実行される。
【0030】
まず,図5に示すように,表示部41に,無効化処理が開始したことを通知するメッセージを表示する(S101)。メッセージには,給紙トレイの指定や,用紙の配置等が含まれる。なお,通知方法は,メッセージに限らず,例えば音声であってもよい。
【0031】
次に,搬入ローラ75によって,手差し口93に挿入された用紙を検知する(S102)。そして,用紙が挿入されたことを契機に,R/W装置81がRFIDタグとの交信を試みることによってRFIDタグを捜索する(S103)。
【0032】
次に,RFIDタグが検知されたか否か,すなわち用紙にRFIDタグが添付されていたか否かを判断する(S104)。RFIDタグが検知されなかった場合には(S104:NO),S105のデータ消去処理およびS106のタグ情報印刷処理1をバイパスし,当該用紙を排紙して(S107),本処理を終了する。
【0033】
一方,RFIDタグが検知された場合には(S104:YES),そのRFIDタグのタグ情報を消去するデータ消去処理を行う(S105)。図6は,S105のデータ消去処理の手順を示している。
【0034】
まず,搬入ローラ75およびレジストローラ73を停止することで,用紙の搬送を停止する(S201)。次に,RFIDタグにアクセスし,タグ情報を読み取る(S202)。読み取られたタグ情報は,RAM33ないしNVRAM34に一時的に記憶される。
【0035】
その後,RFIDタグに記憶されているタグ情報をRFIDタグから消去する(S203)。これにより,RFIDタグが無効になる。次に,タグ情報の消去が成功したか否かを,RFIDタグと交信することで確認する(S204)。データの消去が成功していない場合には(S204:NO),S203の処理に戻ってデータの消去を再実行する。一方,データの消去に成功した場合には(S204:YES),用紙の搬送を再開する(S205)。
【0036】
図4の無効化処理の説明に戻り,S105でのタグ情報の消去後は,S105のデータ消去処理の際に記憶したタグ情報の内容を印刷するタグ情報印刷処理1を行う(S106)。図7は,S106のタグ情報印刷処理1の手順を示している。
【0037】
まず,S105のデータ消去処理の際に記憶したタグ情報を基に,タグ情報開示用の画像を作成する(S301)。例えば,RFIDタグに画像が記憶されている場合には,その画像をそのまま情報開示用の画像とする。また,画像の他に,画像作成者や作成日時等の属性が記憶されている場合には,その属性と画像とを組み合わせた画像を作成する。また,RFIDタグに複数ページ分の画像が記憶されている場合には,複数の画像を並べて配置した画像,あるいは先頭ページの画像と残りページがあることのメモとを組み合わせた画像を作成する。作成される画像は,タグ情報の内容が認識できるものであればよく,タグ情報に合わせて適宜編集される。
【0038】
その後,作成した画像を,そのRFIDタグが添付されている用紙に印刷する(S302)。印刷後は,RAM33ないしNVRAM34に記憶したタグ情報を削除する(S303)。そして,図4の無効化処理の説明に戻り,当該用紙を排紙トレイ92上に排紙して(S107),本処理を終了する。
【0039】
すなわち,第1の形態の無効化処理では,RFIDタグが添付された用紙をMFP100にて無効化する際に,図8に示すように,RFIDタグ61のタグ情報を用紙60に印刷する。これにより,RFIDタグ61が添付された用紙60について,そのRFIDタグ61が無効化済みであるか否かを容易に視認することができる。また,RFIDタグ61のタグ情報の内容を認識できる画像を印刷するため,RFIDタグ61のタグ情報が消去された後でもその内容を把握できる。
【0040】
[第2の形態]
続いて,タグ情報印刷処理の第2の形態について説明する。第2の形態のタグ情報印刷処理2では,図9に示すように,RFIDタグ61のタグ情報を用紙60に印刷せず,そのタグ情報をMFP100とネットワークを介して接続するサーバ200(記憶部の一例)に記憶する。そして,用紙60には,そのサーバ200のパスを印刷する。この点,タグ情報の内容を用紙60に印刷する第1の形態とは異なる。
【0041】
以下,第2の形態のタグ情報印刷処理2について,図10のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本形態も第1の形態と同様に,S105のデータ消去処理後の処理であり,第1の形態と同様の処理については同じ符号を付している。
【0042】
まず,S105のデータ消去処理の際に記憶したタグ情報を,サーバ200に送信する(S311)。タグ情報の送信先であるサーバ200は,あらかじめMFP100に設定されている。次に,タグ情報の送信が成功したか否かを,サーバ200にアクセスして確認する(S312)。タグ情報の送信が成功していない場合には(S312:NO),S311の処理に戻ってタグ情報の送信を再実行する。
【0043】
一方,タグ情報の送信に成功した場合には(S312:YES),タグ情報の送信先であるサーバ200の情報(以下,「サーバ情報」とする)を記載した画像を作成する(S313)。サーバ情報としては,サーバを認識できる情報であればよく,例えば,サーバ名,保存先のディレクトリ,URL,IPアドレスが適用可能である。そして,そのサーバ情報を含む文字列の画像,あるいはバーコードやQRコード(登録商標)等の特殊画像を作成する。その後,作成した画像を,そのRFIDタグが付されている用紙に印刷する(S302)。印刷後は,RAM33ないしNVRAM34に記憶したタグ情報を削除する(S303)。
【0044】
すなわち,第2の形態の無効化処理では,RFIDタグ61が添付された用紙60をMFP100にて無効化する際に,RFIDタグ61のタグ情報をサーバ200に記録し,そのサーバ情報を用紙60に印刷する。これにより,RFIDタグ61が添付された用紙60について,そのRFIDタグ61が無効化済みであるか否かを容易に視認することができる。さらに,RFIDタグ61のタグ情報が記憶されたサーバ200にアクセスすることで,そのタグ情報を電子データとして再利用することができる。
【0045】
[第3の形態]
続いて,タグ情報印刷処理の第3の形態について説明する。第3の形態のタグ情報印刷処理3では,タグ情報の処理形態として,用紙60への印刷(第1の形態)か,サーバ200への保存(第2の形態)か,あるいはタグ情報を記録しないことを,ユーザに問い合わせて選択させる。
【0046】
以下,第3の形態のタグ情報印刷処理3について,図11のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本形態も第1,第2の形態と同様に,S105のデータ消去処理後の処理であり,第1,第2の形態と同様の処理については同じ符号を付している。
【0047】
まず,図12に示すように,処理形態の選択を問う画面を表示部41に表示し,ユーザに処理形態を問い合わせる(S321)。そして,用紙60への印刷が選択された場合には(S322:YES),第1の形態と同様にタグ情報印刷処理1を実行する(S106)。また,サーバ200への転送が選択された場合には(S324:YES),第2の形態と同様にタグ情報印刷処理2を実行する(S325)。一方,いずれの選択も行われなかった場合には(S324:NO),タグ情報を記録しない,すなわち消去することが選択されたことになり,RAM33ないしNVRAM34に記憶したタグ情報を削除し(S303),本処理を終了する。
【0048】
すなわち,第3の形態の無効化処理では,RFIDタグ61から取得したタグ情報の処理形態を選択可能にしている。そのため,タグ情報の内容やユーザの利用状況に適した運用を図ることができ,利便性が高い。
【0049】
[第4の形態]
続いて,タグ情報印刷処理の第4の形態について説明する。第4の形態のタグ情報印刷処理4では,タグ情報に記憶されている属性データに応じて,タグ情報の処理形態を自動的に選択する。この点,ユーザに問い合わせる第3の形態と異なる。
【0050】
MFP100には,あらかじめタグ情報の属性のうちの少なくとも1つが登録される。本形態では,RFIDタグ61の属性として重要度が記憶されているものとする。そして,MFP100には,属性として重要度が登録されており,重要度の値(大,中,小等)に応じて自動的に処理形態を振り分ける。
【0051】
以下,第4の形態のタグ情報印刷処理4について,図13のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本形態も第1,第2,第3の形態と同様に,S105のデータ消去処理後の処理であり,第1,第2,第3の形態と同様の処理については同じ符号を付している。
【0052】
まず,タグ情報を解析し,MFP100に登録されている属性のデータを抽出する(S331)。そして,その属性の値がXであった場合には(S332:YES),第1の形態と同様にタグ情報印刷処理1を実行する(S106)。また,その属性の値がYであった場合には(S334:YES),第2の形態と同様にタグ情報印刷処理2を実行する(S325)。一方,いずれの値にも該当しなかった場合には(S334:NO),第3の形態と同様にタグ情報印刷処理3を実行する(S336)。
【0053】
すなわち,第4の形態の無効化処理では,タグ情報から特定の属性のデータを抽出し,その属性の値を基にタグ情報の処理形態を自動的に選択している。そのため,ユーザにとって選択する手間がなく,使い勝手がよい。
【0054】
以上詳細に説明したように実施の形態のMFP100は,RFIDタグ61を無効化し,RFIDタグ61を無効化した後は,無効化されたRFIDタグ61を添付する用紙に対して,RFIDタグ61を無効化したことを示す画像,例えばタグ情報の内容を示す画像やタグ情報を保存したサーバ200の位置を示す画像を印刷している。これにより,ユーザは,RFIDタグ61が無効化された状態か否かを,その用紙60を見るだけで容易に把握できる。
【0055】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,プリンタ,コピー機,FAX装置等,画像形成機能を備えるものであれば適用可能である。
【0056】
また,実施の形態では,手差し給紙用の搬送経路上にR/W装置81を配置し,手差し口93からの給紙によって無効化処理を実行しているが,これに限るものではない。例えば,給紙カセット91からの搬送経路上にR/W装置81を配置し,給紙カセット91からの給紙によって無効化処理を実行してもよい。
【0057】
また,実施の形態では,RFIDタグ61に記憶されているタグ情報を,用紙ないしサーバに記録し,完全には消去しない構成としているが,情報の秘匿性の観点からは好ましくない。そこで,RFIDタグ61に記憶されているタグ情報を記録せず,図14に示すように,無効化したことを示すマークないし文字列のみを印刷してもよい。これにより,少なくとも添付されているRFIDタグ61が無効化済みであるか否かを視認することができるとともに,そのタグ情報が流出することを防ぐことができる。
【0058】
また,実施の形態では,タグ情報を無効化する手段として,RFIDタグからそのタグ情報を削除しているが,無効化手段はこれに限るものではない。例えば,RFIDタグのデータとして,無効であるか否かを意味するフラグを記憶し,無効化処理の際にはそのフラグを書き換えるように構成してもよい。そして,そのフラグが無効を意味する状態になっているときは,フラグ以外のデータの読み書きを制限するように構成することで,データの使用を制限することができる。
【0059】
また,実施の形態は,RFIDタグ61のタグ情報を,用紙60に印刷するか,サーバ200に保存するかのいずれか一方の処理形態を行うことにしているが,両方の処理を行ってもよい。すなわち,タグ情報をサーバ200に保存するとともに,そのタグ情報の内容を用紙60に印刷するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態にかかるMFPの外観を示す図である。
【図2】MFPの画像形成部の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態にかかるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1の形態における無効化処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】無効化処理開始時の表示部の表示例を示す図である。
【図6】第1の形態におけるデータ消去処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第1の形態におけるタグ情報印刷処理1の手順を示すフローチャートである。
【図8】第1の形態における無効化処理の概念を示す図である。
【図9】第2の形態における無効化処理の概念を示す図である。
【図10】第2の形態におけるタグ情報印刷処理2の手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の形態におけるタグ情報印刷処理3の手順を示すフローチャートである。
【図12】無効化形態選択時の表示部の表示例を示す図である。
【図13】第4の形態におけるタグ情報印刷処理4の手順を示すフローチャートである。
【図14】無効化したことを示すマークのみを印刷した状態の,用紙の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 画像形成部
20 画像読取部
30 制御部
41 表示部
50 プロセス部
60 用紙
61 RFIDタグ
81 R/W装置
93 手差しトレイ口
100 MFP
【技術分野】
【0001】
本発明は,RFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の記憶媒体にアクセス可能な画像形成装置に関する。さらに詳細には,用紙に添付された記憶媒体(以下,便宜上「RFIDタグ」と称する)が記憶するデータを無効化する機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,RFIDタグが添付された用紙が提供されている。画像形成装置としては,RFIDタグに記憶された付加情報を読み取る装置を内蔵し,読み取った付加情報に基づく画像を形成するものが提案されている。例えば,特許文献1には,ICチップのデータを読み取り,そのデータが画像として印刷可能な付加情報であれば,付加情報がある旨をユーザに通知し,ユーザからの指示を受けてその付加情報を付した画像を印刷するコピー装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−88584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,RFIDタグが添付された用紙については,廃棄時や用済みとなった際に,RFIDタグに記憶されているデータを無効にすることが望ましい。この点,RFIDタグのデータをユーザの指示に従って消去する機能を設けることが考えられる。しかし,RFIDタグのデータを消去した用紙について,その見かけ上,RFIDタグのデータが消去されているものなのかそうでないものなのかの区別がつかない。そのため,データを消去し忘れて廃棄してしまうことが考えられる。
【0004】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,無効化したことを容易に把握できるRFIDタグ付き用紙を出力する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,用紙に添付された記憶媒体が記憶するデータを無効化する無効化手段と,無効化手段によって無効化処理が実施されたことを示す画像を,その無効化された記憶媒体を添付した用紙上に形成する画像形成手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
本発明の画像形成装置は,無効化処理として,用紙に添付された記憶媒体(例えば,RFIDタグ)に記憶されているデータを無効化する。無効化する手段としては,データを消去する,無効化済みである旨を意味する情報を記憶媒体に書き込む等が適用可能である。そして,無効になった記憶媒体を添付している用紙に対して,無効になったことを示す画像を形成する。無効化処理が実施されたことを示す画像としては,例えば,「無効化済み」等の文字やその旨を意味するマーク,記憶媒体に画像が記憶されているのであればその画像そのもの,記憶媒体に文字データが記憶されているのであればその文字データそのものが該当する。
【0007】
すなわち,本発明の画像形成装置は,記憶媒体に記憶されているデータを無効化する際に,その記憶媒体を添付する用紙上にその記憶媒体が無効化されたことを示す画像が印刷される。このことから,記憶媒体が無効化された状態か否かを,用紙を見るだけで容易に把握できる。
【0008】
また,本発明の画像形成装置の無効化手段は,記憶媒体に記憶されたデータを取得し,その取得したデータを所定の記憶部に記憶し,そのデータを記憶媒体から消去するデータの移動処理を行うとよりよい。すなわち,記憶媒体が記憶するデータを,他の記憶部(装置自身のハードディスクやサーバコンピュータ)に移動させる。これにより,記憶媒体は,データが消去されており,無効化される。一方,記憶媒体に記憶されていたデータは,所定の記憶部に残されている。そのため,その記憶部を参照することで,記憶媒体が無効化された後であってもそのデータを利用できる。なお,記憶部は,ユーザによって予め指定されたところであってもよいし,本画像形成装置が自動的に割り当てたところであってもよい。
【0009】
また,上記の画像形成装置の画像形成手段は,無効化手段が記憶した記憶部のデータを含む画像を形成するとよりよい。記憶部のデータを用紙に印刷することで,記憶媒体に記憶していたデータをどこに記憶してあるかを容易に把握でき,後からの閲覧が容易になる。
【0010】
また,本発明の画像形成装置の画像形成手段は,無効化手段による無効化処理の完了後に,画像形成処理を開始するとよりよい。すなわち,画像形成後に無効化処理を行っても一定の効果は期待できるが,無効化処理が完了した後にその旨を示す画像を形成することで,画像形成された用紙の記憶媒体が無効化されていることが確実になる。これにより,無効化されていないまま画像形成だけされて取り出されてしまう不適切な状況を回避できる。
【0011】
また,本発明の画像形成装置の無効化手段は,データを無効化する処理形態として,少なくともデータの消去処理およびデータの移動処理を含む複数の処理形態が実施可能であり,それらの処理形態の中から1つの処理形態を選択するとよりよい。無効化形態を選択できることで,ユーザの利便性が向上する。
【0012】
また,上記の画像形成装置の無効化手段は,記憶媒体に記憶されたデータの属性に基づいて処理形態を選択するとよりよい。データの処理形態を自動的に選択することで,ユーザの手間なく適切な処理を行うことができる。
【0013】
また,本発明の画像形成装置は,記憶媒体が添付されていない用紙が搬入された場合には,その用紙に対して無効化手段による無効化処理および画像形成手段による画像形成処理を行わないとするとよりよい。これにより,無駄な処理を回避できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,無効化したことを容易に把握できるRFIDタグ付き用紙を出力する画像形成装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,スキャン機能,プリント機能,コピー機能,FAX機能等の複数の機能を有する複合機(MFP)に本発明を適用したものである。
【0016】
[MFPの構成]
本形態のMFP100は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部10(画像形成手段の一例)と,原稿の画像を読み取る画像読取部20とを備えている。画像形成部10には,前面側に,手差しトレイ用の手差し口93が設けられている。印刷の際,手差しトレイを指定し,手差し口93から用紙を1枚ずつ挿入することで,その用紙を手動で装置内に搬入することができる。画像形成部10の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
【0017】
画像読取部20には,前面側に,液晶ディスプレイからなる表示部41,各種のボタン(例えば,スタートキー,ストップキー,テンキーの各ボタン)によって構成されるボタン群42等を備えた操作パネル40が設けられている。この表示部41やボタン群42により,動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0018】
また,MFP100は,RFIDタグが添付された用紙について,そのRFIDタグに記憶されているデータを消去する無効化機能を備えている。無効化機能は,ユーザが操作パネル40を操作し,RFIDタグの無効化を指示することによって動作する。無効化処理の詳細については後述する。
【0019】
[画像形成部の構成]
本形態の画像形成部10は,周知の電子写真方式によって画像を形成するものであり,図2に示すように,画像を形成するプロセス部50と,未定着のトナー像を定着させる定着装置8と,画像形成前の用紙を載置する給紙カセット91と,画像形成後の用紙を載置する排紙トレイ92とを備えている。
【0020】
画像形成部10内には,底部に位置する給紙カセット91に収容された用紙が,給紙ローラ72,レジストローラ73,プロセス部50,定着装置8を通り,排紙ローラ74を介して上部の排紙トレイ92への導かれるように,略S字形状の搬送経路が設けられている。すなわち,画像形成部10は,給紙カセット91に載置されている用紙を1枚ずつ取り出し,その用紙をプロセス部50に搬送し,プロセス部50にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。さらに,トナー像が転写された用紙を定着装置8に搬送し,トナー像をその用紙に熱定着させる。そして,定着後の用紙を排紙トレイ92に排出する。
【0021】
プロセス部50は,感光体ドラム1と,感光体ドラム1の表面を一様に帯電する帯電装置2と,感光体ドラム1の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置3と,静電潜像に対してトナーによる現像を行う現像装置4と,感光体ドラム1上のトナー像を用紙に転写させる転写装置5と,感光体ドラム1上の残留トナーを除去するクリーニングブレード6とを有している。感光体ドラム1,帯電装置2,現像装置4,およびクリーニングブレード6は,プロセスカートリッジとして構成され,装置本体に対して着脱可能になっている。
【0022】
プロセス部50では,感光体ドラム1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。その後,露光装置3からの光により露光され,用紙に形成すべき画像の静電潜像が形成される。次いで,現像装置4を介して,トナーが感光体ドラム1に供給される。これにより,感光体ドラム1上の静電潜像は,トナー像として可視像化される。
【0023】
また,画像形成部10内には,手差し口93から挿入された用紙が,搬入ローラ75,レジストローラ73,プロセス部50,定着装置8を通り,排紙ローラ74を介して上部の排紙トレイ92への導かれる手差し給紙用の搬送経路が設けられている。すなわち,本形態のプリンタ100では,給紙トレイとして,給紙カセット91と手差し口93との2つの選択肢がある。
【0024】
また,画像形成部10は,所定範囲内に存在するRFIDタグを検知し,そのRFIDタグに対してデータの読み出しおよび書き込みを行うことが可能なR/W装置81(無効化手段の一例)を備えている。R/W装置81は,手差しによる搬送経路上,搬入ローラ75とレジストローラ73との間に配置される。
【0025】
[MFPの電気的構成]
続いて,MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図3に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM34と,ASIC35と,ネットワークインタフェース36と,FAXインタフェース37とを備えた制御部30を有している。
【0026】
CPU31は,MFP100における画像読取機能,画像形成機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM(Non Volatile RAM)34は,不揮発性を有する記憶手段であって,各種設定ないし画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0027】
CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,MFP100の各構成要素(例えば,画像形成部10を構成する露光装置の点灯タイミング,用紙の搬送路を構成する各種ローラの駆動モータ(不図示),画像読取部20を構成するイメージセンサユニットの移動用モータ(不図示))を,ASIC35を介して制御する。
【0028】
ネットワークインターフェース36は,インターネット等のネットワークに接続され,PC等の情報処理装置との接続を可能にしている。FAXインターフェース37は,電話回線に接続され,相手先のFAX装置との接続を可能にしている。そして,ネットワークインターフェース36やFAXインターフェース37を介してジョブのやりとりを行うことができる。
【0029】
[MFPの無効化処理]
[第1の形態]
続いて,MFP100にて,RFIDタグ(記憶媒体の一例)が添付された用紙の,RFIDタグに記憶されているデータ(以下,「タグ情報」とする)の無効化を行う際の,無効化処理(無効化手段,画像形成手段の一例)の手順について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,操作パネル40にてRFIDタグの無効が指示されたことを契機に実行される。
【0030】
まず,図5に示すように,表示部41に,無効化処理が開始したことを通知するメッセージを表示する(S101)。メッセージには,給紙トレイの指定や,用紙の配置等が含まれる。なお,通知方法は,メッセージに限らず,例えば音声であってもよい。
【0031】
次に,搬入ローラ75によって,手差し口93に挿入された用紙を検知する(S102)。そして,用紙が挿入されたことを契機に,R/W装置81がRFIDタグとの交信を試みることによってRFIDタグを捜索する(S103)。
【0032】
次に,RFIDタグが検知されたか否か,すなわち用紙にRFIDタグが添付されていたか否かを判断する(S104)。RFIDタグが検知されなかった場合には(S104:NO),S105のデータ消去処理およびS106のタグ情報印刷処理1をバイパスし,当該用紙を排紙して(S107),本処理を終了する。
【0033】
一方,RFIDタグが検知された場合には(S104:YES),そのRFIDタグのタグ情報を消去するデータ消去処理を行う(S105)。図6は,S105のデータ消去処理の手順を示している。
【0034】
まず,搬入ローラ75およびレジストローラ73を停止することで,用紙の搬送を停止する(S201)。次に,RFIDタグにアクセスし,タグ情報を読み取る(S202)。読み取られたタグ情報は,RAM33ないしNVRAM34に一時的に記憶される。
【0035】
その後,RFIDタグに記憶されているタグ情報をRFIDタグから消去する(S203)。これにより,RFIDタグが無効になる。次に,タグ情報の消去が成功したか否かを,RFIDタグと交信することで確認する(S204)。データの消去が成功していない場合には(S204:NO),S203の処理に戻ってデータの消去を再実行する。一方,データの消去に成功した場合には(S204:YES),用紙の搬送を再開する(S205)。
【0036】
図4の無効化処理の説明に戻り,S105でのタグ情報の消去後は,S105のデータ消去処理の際に記憶したタグ情報の内容を印刷するタグ情報印刷処理1を行う(S106)。図7は,S106のタグ情報印刷処理1の手順を示している。
【0037】
まず,S105のデータ消去処理の際に記憶したタグ情報を基に,タグ情報開示用の画像を作成する(S301)。例えば,RFIDタグに画像が記憶されている場合には,その画像をそのまま情報開示用の画像とする。また,画像の他に,画像作成者や作成日時等の属性が記憶されている場合には,その属性と画像とを組み合わせた画像を作成する。また,RFIDタグに複数ページ分の画像が記憶されている場合には,複数の画像を並べて配置した画像,あるいは先頭ページの画像と残りページがあることのメモとを組み合わせた画像を作成する。作成される画像は,タグ情報の内容が認識できるものであればよく,タグ情報に合わせて適宜編集される。
【0038】
その後,作成した画像を,そのRFIDタグが添付されている用紙に印刷する(S302)。印刷後は,RAM33ないしNVRAM34に記憶したタグ情報を削除する(S303)。そして,図4の無効化処理の説明に戻り,当該用紙を排紙トレイ92上に排紙して(S107),本処理を終了する。
【0039】
すなわち,第1の形態の無効化処理では,RFIDタグが添付された用紙をMFP100にて無効化する際に,図8に示すように,RFIDタグ61のタグ情報を用紙60に印刷する。これにより,RFIDタグ61が添付された用紙60について,そのRFIDタグ61が無効化済みであるか否かを容易に視認することができる。また,RFIDタグ61のタグ情報の内容を認識できる画像を印刷するため,RFIDタグ61のタグ情報が消去された後でもその内容を把握できる。
【0040】
[第2の形態]
続いて,タグ情報印刷処理の第2の形態について説明する。第2の形態のタグ情報印刷処理2では,図9に示すように,RFIDタグ61のタグ情報を用紙60に印刷せず,そのタグ情報をMFP100とネットワークを介して接続するサーバ200(記憶部の一例)に記憶する。そして,用紙60には,そのサーバ200のパスを印刷する。この点,タグ情報の内容を用紙60に印刷する第1の形態とは異なる。
【0041】
以下,第2の形態のタグ情報印刷処理2について,図10のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本形態も第1の形態と同様に,S105のデータ消去処理後の処理であり,第1の形態と同様の処理については同じ符号を付している。
【0042】
まず,S105のデータ消去処理の際に記憶したタグ情報を,サーバ200に送信する(S311)。タグ情報の送信先であるサーバ200は,あらかじめMFP100に設定されている。次に,タグ情報の送信が成功したか否かを,サーバ200にアクセスして確認する(S312)。タグ情報の送信が成功していない場合には(S312:NO),S311の処理に戻ってタグ情報の送信を再実行する。
【0043】
一方,タグ情報の送信に成功した場合には(S312:YES),タグ情報の送信先であるサーバ200の情報(以下,「サーバ情報」とする)を記載した画像を作成する(S313)。サーバ情報としては,サーバを認識できる情報であればよく,例えば,サーバ名,保存先のディレクトリ,URL,IPアドレスが適用可能である。そして,そのサーバ情報を含む文字列の画像,あるいはバーコードやQRコード(登録商標)等の特殊画像を作成する。その後,作成した画像を,そのRFIDタグが付されている用紙に印刷する(S302)。印刷後は,RAM33ないしNVRAM34に記憶したタグ情報を削除する(S303)。
【0044】
すなわち,第2の形態の無効化処理では,RFIDタグ61が添付された用紙60をMFP100にて無効化する際に,RFIDタグ61のタグ情報をサーバ200に記録し,そのサーバ情報を用紙60に印刷する。これにより,RFIDタグ61が添付された用紙60について,そのRFIDタグ61が無効化済みであるか否かを容易に視認することができる。さらに,RFIDタグ61のタグ情報が記憶されたサーバ200にアクセスすることで,そのタグ情報を電子データとして再利用することができる。
【0045】
[第3の形態]
続いて,タグ情報印刷処理の第3の形態について説明する。第3の形態のタグ情報印刷処理3では,タグ情報の処理形態として,用紙60への印刷(第1の形態)か,サーバ200への保存(第2の形態)か,あるいはタグ情報を記録しないことを,ユーザに問い合わせて選択させる。
【0046】
以下,第3の形態のタグ情報印刷処理3について,図11のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本形態も第1,第2の形態と同様に,S105のデータ消去処理後の処理であり,第1,第2の形態と同様の処理については同じ符号を付している。
【0047】
まず,図12に示すように,処理形態の選択を問う画面を表示部41に表示し,ユーザに処理形態を問い合わせる(S321)。そして,用紙60への印刷が選択された場合には(S322:YES),第1の形態と同様にタグ情報印刷処理1を実行する(S106)。また,サーバ200への転送が選択された場合には(S324:YES),第2の形態と同様にタグ情報印刷処理2を実行する(S325)。一方,いずれの選択も行われなかった場合には(S324:NO),タグ情報を記録しない,すなわち消去することが選択されたことになり,RAM33ないしNVRAM34に記憶したタグ情報を削除し(S303),本処理を終了する。
【0048】
すなわち,第3の形態の無効化処理では,RFIDタグ61から取得したタグ情報の処理形態を選択可能にしている。そのため,タグ情報の内容やユーザの利用状況に適した運用を図ることができ,利便性が高い。
【0049】
[第4の形態]
続いて,タグ情報印刷処理の第4の形態について説明する。第4の形態のタグ情報印刷処理4では,タグ情報に記憶されている属性データに応じて,タグ情報の処理形態を自動的に選択する。この点,ユーザに問い合わせる第3の形態と異なる。
【0050】
MFP100には,あらかじめタグ情報の属性のうちの少なくとも1つが登録される。本形態では,RFIDタグ61の属性として重要度が記憶されているものとする。そして,MFP100には,属性として重要度が登録されており,重要度の値(大,中,小等)に応じて自動的に処理形態を振り分ける。
【0051】
以下,第4の形態のタグ情報印刷処理4について,図13のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本形態も第1,第2,第3の形態と同様に,S105のデータ消去処理後の処理であり,第1,第2,第3の形態と同様の処理については同じ符号を付している。
【0052】
まず,タグ情報を解析し,MFP100に登録されている属性のデータを抽出する(S331)。そして,その属性の値がXであった場合には(S332:YES),第1の形態と同様にタグ情報印刷処理1を実行する(S106)。また,その属性の値がYであった場合には(S334:YES),第2の形態と同様にタグ情報印刷処理2を実行する(S325)。一方,いずれの値にも該当しなかった場合には(S334:NO),第3の形態と同様にタグ情報印刷処理3を実行する(S336)。
【0053】
すなわち,第4の形態の無効化処理では,タグ情報から特定の属性のデータを抽出し,その属性の値を基にタグ情報の処理形態を自動的に選択している。そのため,ユーザにとって選択する手間がなく,使い勝手がよい。
【0054】
以上詳細に説明したように実施の形態のMFP100は,RFIDタグ61を無効化し,RFIDタグ61を無効化した後は,無効化されたRFIDタグ61を添付する用紙に対して,RFIDタグ61を無効化したことを示す画像,例えばタグ情報の内容を示す画像やタグ情報を保存したサーバ200の位置を示す画像を印刷している。これにより,ユーザは,RFIDタグ61が無効化された状態か否かを,その用紙60を見るだけで容易に把握できる。
【0055】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,プリンタ,コピー機,FAX装置等,画像形成機能を備えるものであれば適用可能である。
【0056】
また,実施の形態では,手差し給紙用の搬送経路上にR/W装置81を配置し,手差し口93からの給紙によって無効化処理を実行しているが,これに限るものではない。例えば,給紙カセット91からの搬送経路上にR/W装置81を配置し,給紙カセット91からの給紙によって無効化処理を実行してもよい。
【0057】
また,実施の形態では,RFIDタグ61に記憶されているタグ情報を,用紙ないしサーバに記録し,完全には消去しない構成としているが,情報の秘匿性の観点からは好ましくない。そこで,RFIDタグ61に記憶されているタグ情報を記録せず,図14に示すように,無効化したことを示すマークないし文字列のみを印刷してもよい。これにより,少なくとも添付されているRFIDタグ61が無効化済みであるか否かを視認することができるとともに,そのタグ情報が流出することを防ぐことができる。
【0058】
また,実施の形態では,タグ情報を無効化する手段として,RFIDタグからそのタグ情報を削除しているが,無効化手段はこれに限るものではない。例えば,RFIDタグのデータとして,無効であるか否かを意味するフラグを記憶し,無効化処理の際にはそのフラグを書き換えるように構成してもよい。そして,そのフラグが無効を意味する状態になっているときは,フラグ以外のデータの読み書きを制限するように構成することで,データの使用を制限することができる。
【0059】
また,実施の形態は,RFIDタグ61のタグ情報を,用紙60に印刷するか,サーバ200に保存するかのいずれか一方の処理形態を行うことにしているが,両方の処理を行ってもよい。すなわち,タグ情報をサーバ200に保存するとともに,そのタグ情報の内容を用紙60に印刷するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態にかかるMFPの外観を示す図である。
【図2】MFPの画像形成部の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態にかかるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1の形態における無効化処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】無効化処理開始時の表示部の表示例を示す図である。
【図6】第1の形態におけるデータ消去処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第1の形態におけるタグ情報印刷処理1の手順を示すフローチャートである。
【図8】第1の形態における無効化処理の概念を示す図である。
【図9】第2の形態における無効化処理の概念を示す図である。
【図10】第2の形態におけるタグ情報印刷処理2の手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の形態におけるタグ情報印刷処理3の手順を示すフローチャートである。
【図12】無効化形態選択時の表示部の表示例を示す図である。
【図13】第4の形態におけるタグ情報印刷処理4の手順を示すフローチャートである。
【図14】無効化したことを示すマークのみを印刷した状態の,用紙の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 画像形成部
20 画像読取部
30 制御部
41 表示部
50 プロセス部
60 用紙
61 RFIDタグ
81 R/W装置
93 手差しトレイ口
100 MFP
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に添付された記憶媒体が記憶するデータを無効化する無効化手段と,
前記無効化手段によって無効化処理が実施されたことを示す画像を,その無効化された記憶媒体を添付した用紙上に形成する画像形成手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記無効化手段は,記憶媒体に記憶されたデータを取得し,その取得したデータを所定の記憶部に記憶し,そのデータを記憶媒体から消去するデータの移動処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載する画像形成装置において,
前記画像形成手段は,前記無効化手段が記憶した記憶部のデータを含む画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記画像形成手段は,前記無効化手段による無効化処理の完了後に,画像形成処理を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記無効化手段は,データを無効化する処理形態として,少なくともデータの消去処理およびデータの移動処理を含む複数の処理形態が実施可能であり,それらの処理形態の中から1つの処理形態を選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載する画像形成装置において,
前記無効化手段は,記憶媒体に記憶されたデータの属性に基づいて処理形態を選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
記憶媒体が添付されていない用紙が搬入された場合には,その用紙に対して前記無効化手段による無効化処理および前記画像形成手段による画像形成処理を行わないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
用紙に添付された記憶媒体が記憶するデータを無効化する無効化手段と,
前記無効化手段によって無効化処理が実施されたことを示す画像を,その無効化された記憶媒体を添付した用紙上に形成する画像形成手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記無効化手段は,記憶媒体に記憶されたデータを取得し,その取得したデータを所定の記憶部に記憶し,そのデータを記憶媒体から消去するデータの移動処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載する画像形成装置において,
前記画像形成手段は,前記無効化手段が記憶した記憶部のデータを含む画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記画像形成手段は,前記無効化手段による無効化処理の完了後に,画像形成処理を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記無効化手段は,データを無効化する処理形態として,少なくともデータの消去処理およびデータの移動処理を含む複数の処理形態が実施可能であり,それらの処理形態の中から1つの処理形態を選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載する画像形成装置において,
前記無効化手段は,記憶媒体に記憶されたデータの属性に基づいて処理形態を選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
記憶媒体が添付されていない用紙が搬入された場合には,その用紙に対して前記無効化手段による無効化処理および前記画像形成手段による画像形成処理を行わないことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−117825(P2010−117825A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289646(P2008−289646)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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