説明

画像形成装置

【課題】排紙された用紙の排紙トレイ上でのスタッキング性の向上を図り、装置内部の温度上昇を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙P上に転写されたトナー像を用紙Pに定着させる定着ユニット7と、トナー像が定着されて画像形成が終了した用紙Pを排出する排紙ローラ12bと、用紙Pが排出される排紙トレイ91と、排紙ローラ12bの上部及び下部に設けられて排紙トレイ91上に気流を生成する上部ファン31及び下部ファン32と、上部ファン31及び下部ファン32の回転を制御する回転制御手段300とを備えた画像形成装置100において、回転制御手段300として、排紙トレイ91上に排出される用紙Pの位置に応じて、上部ファン31および下部ファン32の回転を制御する機能を備えることを特徴とするものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に係り、特に、複数の送風ファンを備えて画像形成済みの用紙を整列するようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置において、画像形成が終了した用紙Pは、図5,図6に示すように、排紙ローラ212によって装置外部の排紙トレイ291上に排紙されるようになっている。
【0003】
しかしながら、排紙された用紙Pは、用紙先端P1が排紙トレイ291に接触する。すでに排紙トレイ291上に用紙がある場合、用紙先端P1がその用紙を押すことで、用紙の整合性(スタッキング性)が悪くなる。また、用紙後端P2が側壁291aに接触した状態となり、用紙の整合が乱れる状態となっていた。
【0004】
さらに、排紙される用紙Pは、図示しない定着装置の熱による影響によりカールした状態で排紙トレイ291上に排紙されるため、排紙トレイ291上での用紙の整合性が悪くなるという問題があった。
【0005】
そこで、排紙トレイ291上での用紙Pの用紙整合性を改善するために、従来技術として、図5,図6において2点鎖線で示すように、用紙Pを排紙トレイ291上に排紙する排紙ローラ212の上部と下部に上部ファン131と下部ファン132を設けて、排出される用紙Pに送風することで用紙Pの整合性の向上を図るようにしたものが提案されている(特許文献1を参照)。
【0006】
具体的には、排紙ローラ212の下部に設けた下部ファン132により、排紙ローラ212から排出された用紙Pを装置本体側に吸い寄せ、一方、排紙ローラ212の上部に設けた上部ファン131により、整合面である排紙トレイ291の側壁291aに向かって押し付けるように落下させることで用紙Pの整合性を図っている。
【特許文献1】特開2002−114432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術では、排紙ローラ212の出口側の上部ファン131及び下部ファン132の気流により、整合面である排紙トレイ291の側壁291aに引き寄せ、落下するようにして整合性の向上を図るようにしているが、以下のような問題が生じる。
【0008】
すなわち、図5に示すように、排紙ローラ212から排出中に上部ファン131で用紙Pに気流を発生させると、排紙ローラ212のニップ部を支点に用紙が下方に向かいカール気味になり、用紙先端P1が排紙トレイ291上面に向けて排出される。また、下部ファン132で用紙Pを装置本体側に引き寄せるため、カールした先端部が排紙トレイ291の側壁291a側に引き寄せられて、さらにカール量が大きくなり、整合性が悪くなるという問題が生じる。
【0009】
また、排紙ローラ212から完全に排出された状態で落下しようとしている用紙Pは、上部ファン131及び下部ファン132による気流の渦(乱流)により、余計に整合性が悪くなることがあるという問題も生じる。
【0010】
さらには、上部ファン131は装置内部から排紙トレイ291へ、下部ファン132は、排紙トレイ291から装置内部へと気流を発生させており、装置外部と内部を循環させている。そのため、装置内部の定着装置が発生する熱を装置外部と内部との間で循環させることになるため、装置内部の温度が上昇する可能性がある。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、排紙された用紙の排紙トレイ上でのスタッキング性の向上を図り、装置内部の温度上昇を抑制できる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような問題点を解決するための本発明に係る画像形成装置の構成は、次の通りである。
【0013】
本発明は、記録媒体上に転写されたトナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置と、トナー像が定着されて画像形成が終了した前記記録媒体を排出する排紙手段と、前記記録媒体が排出される排紙トレイと、前記排紙手段の上部及び下部に設けられて排紙トレイ上に気流を生成する上部ファン及び下部ファンと、前記上部ファン及び前記下部ファンの回転を制御する回転制御手段とを備えた画像形成装置において、前記回転制御手段として、前記排紙トレイ上に排出される前記記録媒体の位置に応じて、前記上部ファン及び前記下部ファンの回転を制御する機能を備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明は、前記回転制御手段として、前記排紙手段が前記記録媒体を排出中の時は、前記下部ファンを前記排紙トレイ側に送風するように回転させる機能を備えることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、前記回転制御手段として、前記排紙手段が前記記録媒体を排出し終えた時は、前記下部ファンの回転を停止させ、前記上部ファンを前記排紙トレイ側に送風するように回転させる機能を備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記回転制御手段として、前記記録媒体の厚みに応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、前記回転制御手段として、前記記録媒体のサイズに応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、前記回転制御手段として、前記排紙手段より排紙される記録媒体搬送速度に応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、前記上部ファン及び前記下部ファンを、排出される前記記録媒体の記録媒体排出方向に対して直交する記録媒体幅方向の略中央部に対向する位置に設けることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、前記下部ファンを、記録媒体排出方向に沿って略平行に送風するように設けることが好ましい。
【0021】
また、本発明は、前記上部ファンを、前記排紙手段の出口側に向かい送風するように設けることが好ましい。
【0022】
また、本発明は、前記下部ファンを、前記排紙手段に隣接して配置された前記定着装置近傍に設けることが好ましい。
【0023】
また、本発明は、前記上部ファン及び前記下部ファンを、前記定着装置の熱を前記画像形成装置外部に排気するように配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、記録媒体上に転写されたトナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置と、トナー像が定着されて画像形成が終了した前記記録媒体を排出する排紙手段と、前記記録媒体が排出される排紙トレイと、前記排紙手段の上部及び下部に設けられて排紙トレイ上に気流を生成する上部ファン及び下部ファンと、前記上部ファン及び前記下部ファンの回転を制御する回転制御手段とを備えた画像形成装置において、前記回転制御手段として、前記排紙トレイ上に排出される前記記録媒体の位置に応じて、前記上部ファン及び前記下部ファンの回転を制御する機能を備えることで、前記記録媒体が排紙手段から排出されるまで、または、排出された後で、上部ファンと下部ファンの運転を切り替えることで、前記記録媒体の排紙姿勢を安定させて、前記記録媒体の排紙トレイ上でのスタッキング性の向上を図ることができる。
【0025】
また、本発明によれば、前記回転制御手段として、前記排紙手段が前記記録媒体を排出中の時は、前記下部ファンを前記排紙トレイ側に送風するように回転させる機能を備えることで、記録媒体排出中は下部ファンを回して、その風力で記録媒体先端を持ち上げて、下向きカールにならないようにしてスタッキング性の向上を図ることができる。
【0026】
また、本発明によれば、前記回転制御手段として、前記排紙手段が前記記録媒体を排出し終えた時は、前記下部ファンの回転を停止させ、前記上部ファンを前記排紙トレイ側に送風するように回転させる機能を備えることで、記録媒体後端が排紙ローラを通過した瞬間に、アクチェータによるフォトセンサ信号等の検出手段により検出し、下部ファンを停止して、上部ファンを運転し、その風力で記録媒体後端を下方に落とし、記録媒体後端が排紙トレイの側壁に残らないようにしてスタッキング性の向上を図ることができる。
【0027】
また、本発明によれば、前記回転制御手段として、前記記録媒体の厚みに応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることで、例えば、前記記録媒体の厚みが厚い場合は、薄紙の場合と比べて重くなるため、下部ファンの送風量(回転数)を大きくすることで前記記録媒体の先端を持ち上げ、前記記録媒体の重さを考慮して上部ファンの送風量を小さくすることで、前記記録媒体の整合性を良好にすることができる。
【0028】
また、本発明によれば、前記回転制御手段として、前記記録媒体のサイズに応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることで、例えば、前記記録媒体が大きい場合は、薄紙と比べて重くなるため、下部ファンの送風量(回転数)を大きくすることで前記記録媒体の先端を持ち上げ、前記記録媒体の重さを考慮して上部ファンの送風量を小さくすることで、前記記録媒体の整合性を良好にすることができる。
【0029】
また、本発明によれば、前記回転制御手段として、前記排紙手段より排紙される記録媒体搬送速度に応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることで、例えば、画像形成装置において複数の排紙スピードが設定されている場合、排紙スピードが速いと記録媒体先端がカールしにくくなるため、下部ファンの送風量(回転数)を排紙スピードが低速の時よりも少なくすることで、前記記録媒体の整合性を良好にすることができる。
【0030】
また、本発明によれば、前記上部ファン及び前記下部ファンを、排出される前記記録媒体の記録媒体排出方向に対して直交する記録媒体幅方向の略中央部に対向する位置に設けることで、前記記録媒体の端部に対して送風するよりも、前記記録媒体の中央部へ向けて送風するほうが、前記記録媒体の整合性を効果的に良好にすることができる。
【0031】
また、本発明によれば、前記下部ファンを、記録媒体排出方向に沿って略平行に送風するように設けることで、その風力で記録媒体先端を持ち上げて、下向きカールにならないようにしてスタッキング性の向上を図ることができる。
【0032】
また、本発明によれば、前記上部ファンを、前記排紙手段の出口側に向かい送風するように設けることで、記録媒体後端を下げるようにすることで、記録媒体後端と対向する壁部に記録媒体後端が引っかかることなく、用紙の整合性を良好にすることができる。
【0033】
また、本発明によれば、前記下部ファンを、前記排紙手段に隣接して配置された前記定着装置近傍に設けることで、前記定着装置が発生する熱による装置内の温度上昇を防止することができる。
【0034】
また、本発明によれば、前記上部ファン及び前記下部ファンを、前記定着装置の熱を前記画像形成装置外部に排気するように配置することで、下部ファンと上部ファンにより、前記定着装置が発生する熱による装置内の温度上昇を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図、図2は前記画像形成装置の電気的構成の一部を示すブロック図である。
【0036】
本実施形態は、図1に示すように、用紙(記録媒体)P上に転写されたトナー像を用紙Pに定着させる定着ユニット(定着装置)7と、トナー像が定着されて画像形成が終了した用紙Pを排出する排紙ローラ(排紙手段)12bと、用紙Pが排出される排紙トレイ91と、排紙ローラ12bの上部及び下部に設けられて排紙トレイ91上に気流を生成する上部ファン31及び下部ファン32とを備え、図2に示すように、上部ファン31及び下部ファン32の回転を制御する回転制御手段300とを備えた画像形成装置100において、回転制御手段300として、排紙トレイ91上に排出される用紙Pの位置に応じて、上部ファン31および下部ファン32の回転を制御する機能を備えることを特徴とするものである。
【0037】
まず、本実施形態に係る画像形成装置100の全体構成について説明する。
画像形成装置100は、図1に示すように、外部から伝達された画像データに応じて、所定の用紙(例えば、記録用紙)に対して多色及び単色の画像を形成するもので、装置本体110と、自動原稿処理装置120とにより構成されている。
【0038】
装置本体110は、露光ユニット1、現像装置2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、転写部6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有して構成されている。
【0039】
装置本体110の上部に設けられた画像読取り部90の上側には、原稿が載置される透明ガラスからなるプラテンガラス(原稿載置台)92が設けられ、そのプラテンガラス92の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。
【0040】
自動原稿処理装置120は、プラテンガラス92の上に自動で原稿を搬送する。
また、自動原稿処理装置120は、矢印M方向に回動自在に構成され、プラテンガラス92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0041】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。
従って、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0042】
露光ユニット1は、外部から入力した画像データまたは原稿から読み取って得られた画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3を露光することにより、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム3の表面に形成する画像書込み装置であり、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたLSU(レーザスキャニングユニット)として構成される。また、露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。
【0043】
また、露光ユニット1としては、上述した構成の他に発光素子をアレイ状に並べた、例えば、ELやLED書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0044】
このように構成された露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。
【0045】
現像装置2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。
【0046】
感光体ドラム3は、円筒状を呈し、露光ユニット1の上方に配設され、その表面がクリーナユニット4によりクリーニングされ、クリーニングされた表面が帯電器5により均一に帯電される。
【0047】
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0048】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器を用いても良い。
【0049】
感光体ドラム3の上方に配置されている転写部6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。
【0050】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動するように構成されている。
【0051】
中間転写ベルト61は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成され、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61上に順次重ね合わせて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。
【0052】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。
【0053】
各中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61に対して感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与えるようにされている。詳しくは、中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0054】
中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。尚、本実施形態では、転写電極としてローラ形状の中間転写ローラ64を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0055】
上述したように、各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は中間転写ベルト61上に積層される。積層された画像情報としてのトナー像は、中間転写ベルト61とともに搬送されて、搬送される用紙と中間転写ベルト61との接触位置(2次転写位置,所定位置)に移動し、この接触位置に配置されている転写ローラ10によって用紙上に転写される。
【0056】
この時、中間転写ベルト61と転写ローラ10とは、所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ10にはトナー像を用紙に転写させるための2次転写バイアスが印加される。この2次転写バイアスは、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。
【0057】
さらに、上記所定ニップを定常的に得るために、2次転写位置にて中間転写ベルト61に圧接する転写ローラ10もしくは2次転写位置にて中間転写ベルト61の裏側に圧接する中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0058】
上述した転写工程において、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ10によって用紙上に転写が行われずに中間転写ベルト61に残存したトナーは、次工程で形成されるトナー像に対してトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように構成されている。
【0059】
中間転写ベルトクリーニングユニット65は、中間転写ベルト61が搬送される経路上で、中間転写ベルト搬送方向において転写ローラ10より下流側で感光体ドラム3よりも上流側に設けられている。
【0060】
中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触して中間転写ベルト61の表面をクリーニングするクリーニング部材としてクリーニングブレード65aが具備されている。クリーニングブレード65aが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0061】
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体110の露光ユニット1の下側に設けられている。また、装置本体110の外側部には、外側より用紙を供給可能な手差し給紙カセット82が設けられている。
この手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する用紙を複数枚積載することができる。装置本体110の上方には、印刷済みの用紙をフェイスダウンで集積するための排紙トレイ91が設けられている。
【0062】
また、装置本体110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82の用紙を転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81乃至手差し給紙カセット82から排紙トレイ91に到る用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0063】
搬送ローラ12a〜12dは、用紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って設けられている。尚、搬送ローラ12bは、用紙を排紙トレイ91に排出する排紙ローラとして機能するため、排紙ローラと称する。
【0064】
ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0065】
レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されている用紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端を合わせるタイミングで用紙を転写ローラ10に搬送する機能を有している。すなわち、レジストローラ13によって、搬送される用紙上の所定の位置に中間転写ベルト61上のトナー像が転写されるように整合される。
【0066】
定着ユニット7は、定着ローラ70として1対のヒートローラ71と加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、用紙を挟んで回転搬送するようになっている。
【0067】
ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、対向して配置されて、ヒートローラ71と加圧ローラ72との圧接箇所には、定着ニップ部が形成されている。
【0068】
ヒートローラ71は、所定の定着温度となるように制御部(図示せず)によって温度制御される。この制御部は、ヒートローラ71の周囲に設けられたヒートローラ71の温度と検出する図示しない温度検出器(非接触式のサーミスタ)からの検出信号に基づいてヒートローラ71の表面温度が160〜200℃の範囲となるように制御する。
【0069】
また、ヒートローラ71は、加圧ローラ72とともにトナーを用紙に熱圧着することにより、用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、用紙に対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71には、図1に示すように、ヒートローラ71を外部から定着するための外部定着ベルト73が設けられている。
【0070】
一方、加圧ローラ72も、ヒートローラ71と同様に円筒状の金属製の芯金の周面に弾性層が設けられて構成されている。そして、ヒートローラ71に対して所定の圧力で当接されるようになっている。
【0071】
次に、本実施形態の画像形成装置100における上部ファン31及び下部ファン32の構成について説明する。
【0072】
上部ファン31は、図1に示すように、排紙ローラ12bの上方に配置され、排紙トレイ91側に向かい、すなわち、排紙ローラ12bの出口側に向かい送風するように設けられている。
【0073】
下部ファン32は、排紙ローラ12bの下方で該排紙ローラ12bに隣接して配置された定着ユニット7近傍に配置され、排紙トレイ91側に向かい、すなわち、排紙ローラ12bによる用紙排出方向に沿って略平行に送風するように設けられる。
【0074】
そして、上部ファン31及び下部ファン32は、排紙ローラ12bによる用紙Pの用紙排出方向に対して直交する用紙幅方向の略中央部に対向する位置に設けられる。
【0075】
また、上部ファン31及び下部ファン32は、装置内部から外部に向かい送風するように運転制御されている。すなわち、定着ユニット7の熱を装置外部に排気するように構成されている。
【0076】
次に、本実施形態の画像形成装置100における上部ファン31及び下部ファン32の運転制御について図面を参照して説明する。
図3は本実施形態の画像形成装置において用紙排出中に下部ファンを排紙トレイに向かって送風する状態を示す説明図、図4は前記画像形成装置において排紙ローラから用紙後端が排出された時に上部ファンを排紙出口方向に向かって送風する状態を示す説明図である。
【0077】
本実施形態の画像形成装置100に搭載された上部ファン31及び下部ファン32は、図2に示すように、回転制御手段300に接続されて、回転制御手段300により運転制御される。回転制御手段300は、操作部320により入力指示された上部ファン31及び下部ファン32の運転行程に基づき、CPU310により動作処理が行われる。
【0078】
回転制御手段300は、排紙ローラ12bが用紙Pを排出中の時は、下部ファン32を排紙トレイ91側に送風するように回転させる機能を備えている。
【0079】
この機能により、例えば、図3に示すように、用紙Pを排出中は下部ファン32を運転して、その風力で用紙先端P1を持ち上げて、下向きカールにならないようにしてスタッキング性の向上を図ることができる。
【0080】
また、回転制御手段300は、排紙ローラ12bが用紙Pを排出し終えた時に、下部ファン32の回転を停止させ、上部ファン31を排紙トレイ91側に送風するように回転させる機能を備えている。
【0081】
この機能により、例えば、図4に示すように、用紙後端P2が排紙ローラ12bを通過した瞬間に、図示しないアクチェータによるフォトセンサ信号等の検出手段により検出し、下部ファン32を停止して、上部ファン31を運転し、その風力で用紙後端P2を下方に落とし、用紙後端P2が排紙トレイ91の側壁91aに残らないようにしてスタッキング性の向上を図ることができる。
【0082】
また、回転制御手段300は、用紙Pの厚みに応じて上部ファン31及び下部ファン32の回転数を変化させる機能を備えている。
【0083】
この機能により、例えば、用紙Pの厚みが厚い場合は、薄紙の場合と比べて重くなるため、図3に示すように、下部ファン32の送風量(回転数)を大きくすることで用紙先端P1を持ち上げ、図4に示すように、用紙Pの重さを考慮して上部ファン31の送風量を小さくするように運転制御することで、用紙Pの整合性を良好にすることができる。
【0084】
また、回転制御手段300は、用紙Pのサイズに応じて上部ファン31及び下部ファン32の回転数を変化させる機能を備えている。
【0085】
この機能により、例えば、用紙Pが大きい場合は、薄紙の場合と比べて重くなるため、図3に示すように、下部ファン32の送風量(回転数)を大きくすることで用紙先端P1を持ち上げ、図4に示すように、用紙Pの重さを考慮して上部ファン31の送風量を小さくするように運転制御することで、用紙Pの整合性を良好にすることができる。
【0086】
また、回転制御手段300は、排紙ローラ12bより排紙される用紙搬送速度に応じて上部ファン31及び下部ファン32の回転数を変化させる機能を備えている。
【0087】
この機能により、例えば、画像形成装置100において複数の排紙スピードが設定されている場合、排紙スピードが速いと用紙先端P1がカールしにくくなるため、排紙スピードが低速の時よりも下部ファン32の送風量(回転数)を少なくするように運転制御することで、用紙Pの整合性を良好にすることができる。
【0088】
次に、本実施形態の画像形成装置100の上部ファン31及び下部ファン32による用紙Pの排紙時における作用について図面を参照して説明する。
【0089】
画像形成装置100において、用紙Pが排紙トレイ91に排出される時は、図3に示すように、用紙Pを排出中に下部ファン32を排紙トレイ91に向かって送風することで、用紙Pの整合性を良好にしている。
【0090】
すなわち、下部ファン32の送風により、排出中の用紙先端P1が排紙トレイ91上に垂れ下がらないように持ち上げている。これにより、用紙Pが排紙トレイ91上に排紙される際に、用紙先端P1が先に排出された用紙を押すことにより用紙の整合が乱れることを防止することができる。
【0091】
また、排紙ローラ12bから用紙後端P2が排出された時には、図4に示すように、上部ファン31により排紙ローラ12bの排紙出口方向に向かって送風することで、用紙Pの整合性を良好にしている。
【0092】
すなわち、上部ファン31の送風により、排出された用紙後端P2を下方に向かい押し下げている。これにより、用紙Pが排紙トレイ91上に落下する際に、用紙後端P2が側壁91aに接触することにより用紙Pの整合が乱れることを防止することができる。
【0093】
そして、用紙後端P2が排紙ローラ12bから排出されると、下部ファン32を停止し、上部ファン31を回転させて送風を行う。尚、用紙後端P2が排紙ローラ12bから排出されたことを検知する手段として、排紙ローラ12b近傍に図示しないアクチュエータ(レバー)とフォトセンサが設けられている。
【0094】
用紙Pを検知するフォトセンサは、用紙後端P2がアクチュエータを通過するとフォトセンサがOFF状態となり、用紙Pを排出中は、アクチュエータを押すためフォトセンサがON状態となるようにされている。
【0095】
上部ファン31と下部ファン32のそれぞれのON/OFFの切替タイミングおよび運転時間は、上述した排紙ローラ近傍のアクチュエータ及びフォトセンサ以外に、用紙搬送路Sに複数箇所設置されたアクチュエータとセンサにより、センサがONした時から所定時間(排紙スピードとアクチュエータから排紙ローラ間の距離により決定される時間)経過後としてもよい。すなわち、用紙後端P2が少しでも排紙ローラ12bから排出された時に切り替えればよい。
【0096】
以上のように構成したので、本実施形態によれば、画像形成装置100において、排紙ローラ12bの上部及び下部に排紙トレイ91上に気流を生成する上部ファン31及び下部ファン32を備え、上部ファン31及び下部ファン32の運転を制御する回転制御手段300により、排紙トレイ91上に排出される用紙Pの位置に応じて、上部ファン31および下部ファン32の回転を制御するようにしたので、用紙Pが排紙ローラ12bから排出されるまで、または、排紙ローラ12bから排出された後で、上部ファン31と下部ファン32の運転を切り替えて動作させることで、用紙Pの排紙姿勢を安定させて、用紙Pの排紙トレイ91上でのスタッキング性の向上を図ることができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、上部ファン31及び下部ファン32を、装置内側から外部の排紙トレイ91側に向かい気流を生成するように運転制御しているため、定着ユニット7で発生した熱を外部に排気して装置内の温度上昇を防止することができる。特に、下部ファン32は、定着ユニット7近傍に設けているため、温度上昇の防止に有効である。
【0098】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態において開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0099】
例えば、上述した実施形態では、カラー用の画像形成装置(複合機、プリンタなど)に本発明が適用されているが、印刷後の用紙を装置外部の排紙トレイ等に排出するものであれば、モノクロ用の画像形成装置等のその他の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】前記画像形成装置の電気的構成の一部を示すブロック図である。
【図3】前記画像形成装置において排紙ローラから用紙排出中に下部ファンを排紙トレイに向かって送風する状態を示す説明図である。
【図4】前記画像形成装置において排紙ローラから用紙後端が排出された時に上部ファンを排紙出口方向に向かって送風する状態を示す説明図である。
【図5】従来の画像形成装置において排紙ローラから用紙の先端が排出された時の用紙の状態を示す説明図である。
【図6】従来の画像形成装置において排紙ローラから用紙の後端が排出された時の用紙の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0101】
7 定着ユニット(定着装置)
12b 排紙ローラ(排紙手段)
31 上部ファン
32 下部ファン
91 排紙トレイ
91a 側壁
100 画像形成装置
300 回転制御手段
310 CPU
320 操作部
P 用紙
P1 用紙先端
P2 用紙後端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に転写されたトナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置と、トナー像が定着されて画像形成が終了した前記記録媒体を排出する排紙手段と、前記記録媒体が排出される排紙トレイと、前記排紙手段の上部及び下部に設けられて排紙トレイ上に気流を生成する上部ファン及び下部ファンと、前記上部ファン及び前記下部ファンの回転を制御する回転制御手段とを備えた画像形成装置において、
前記回転制御手段は、前記排紙トレイ上に排出される前記記録媒体の位置に応じて、前記上部ファン及び前記下部ファンの回転を制御する機能を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回転制御手段は、前記排紙手段が前記記録媒体を排出中の時は、前記下部ファンを前記排紙トレイ側に送風するように回転させる機能を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転制御手段は、前記排紙手段が前記記録媒体を排出し終えた時は、前記下部ファンの回転を停止させ、前記上部ファンを前記排紙トレイ側に送風するように回転させる機能を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回転制御手段は、前記記録媒体の厚みに応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転制御手段は、前記記録媒体のサイズに応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回転制御手段は、前記排紙手段より排紙される記録媒体搬送速度に応じて前記上部ファン及び前記下部ファンの回転数を変化させる機能を備えることを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記上部ファン及び前記下部ファンは、排出される前記記録媒体の記録媒体排出方向に対して直交する記録媒体幅方向の略中央部に対向する位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記下部ファンは、記録媒体排出方向に沿って略平行に送風するように設けられることを特徴とする請求項1乃至7のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記上部ファンは、前記排紙手段の出口側に向かい送風するように設けられることを特徴とする請求項1乃至8のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記下部ファンは、前記排紙手段に隣接して配置された前記定着装置近傍に設けられることを特徴とする請求項1乃至9のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記上部ファン及び前記下部ファンは、前記定着装置の熱を前記画像形成装置外部に排気することを特徴とする請求項1乃至10のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−132372(P2010−132372A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307412(P2008−307412)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】