説明

画像形成装置

【課題】封止部材の引き抜き忘れを防止する画像形成装置を得る。
【解決手段】用紙受け部26の引き出し操作で、シール部材102、104が現像装置から引き抜かれるようにする。また、シール部材102、104のつなぎ部102A、104Aが連結され、用紙受け部26に着脱可能なシール集約部材210を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機やプリンタなどの画像形成装置に装着された現像装置は、輸送時の現像剤漏れ対策として、引き抜き式の封止部材で現像剤流出口及び現像剤流入口が封止されている(特許文献1)。
【0003】
この場合、ユーザーは、画像形成装置の使用に先立って封止部材を現像装置より引き抜く必要がある。
【0004】
特許文献2には、画像形成装置に封止部材の開封検知手段と、トナーシール巻き取り手段とを設け、開封検知手段で封止部材が開封されたか否か検知して、開封されていないと判断した場合に、トナーシール巻き取り手段により、封止部材を自動的に巻き取る構成が提案されている。
【0005】
特許文献3には、封止部材を手動で開封する構成で、封止部材の一部を位置決め固定用面板又は外装カバーに固定して、ユーザーが位置決め固定用面板又は外装カバーの開放操作により、現像装置から封止部材が引抜かれる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−122419号公報
【特許文献2】特開平11−231757号公報
【特許文献3】特開2007−193239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、封止部材の引き抜き忘れを防止することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、装置本体に装着された現像装置と、前記現像装置の現像剤流出口又は、前記現像装置の現像剤流入口及び前記現像剤流出口を封止する封止部材と、前記封止部材と記録媒体収容部をつなぎ、記録媒体収容部の引き出し操作で視認可能となるつなぎ部材と、を有する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記つなぎ部材は、前記封止部材が延長され前記記録媒体収容部に連結されたものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記封止部材は、前記記録媒体収容部の引き出し操作で、前記封止部材が前記現像装置から引抜かれる長さとなっている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記記録媒体収容部に着脱可能に取り付けられ、複数の前記つなぎ部材が連結される集約部材を有する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記集約部材に設けられ、前記記録媒体収容部に形成された係止部に着脱可能に係止される被係止部を有する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記集約部材は、これに連結される前記つなぎ部材が前記記録媒体収容部への記録媒体の収容操作を妨害する位置に設けられている。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記封止部材又は前記集約部材に、前記集約部材の取り外しを喚起する表示部が設けられている。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記封止部材の引き抜き方向と、前記記録媒体収容部の引き出し方向を一致させるように、前記現像装置及び前記記録媒体収容部を配置した。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、封止部材の引き抜き忘れを防止できる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、別途つなぎ部材が必要ない。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、記録媒体収容部の引き出し操作で、現像装置から封止部材が引き抜かれる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、複数のつなぎ部材をまとめて画像形成装置から除去できる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、集約部材の着脱が容易である。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザーに封止部材の取り除きを喚起させる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、ユーザーに集約部材の取り外しを喚起させる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、封止部材の引き抜き方向と、記録媒体収納部の引き出し方向が一致していない構成に比べ、封止部材を引抜く際の力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本実施形態に係る現像装置を示す概略構成図である。
【図3】図2に示す現像装置のA−A矢視図である。
【図4】現像装置を含む4つのプロセスカートリッジが装着された画像形成部枠体を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置の概観斜視図である。
【図6】(A)は、第1実施形態に係るシール集約部材の概観斜視図である。(B)は、シール集約部材が取り付けられる途中の用紙受け部の概観斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の作用を示す説明図である。(A)は用紙受け部の引き出し操作前の画像形成装置の状態を示す概観斜視図であり、(B)は用紙受け部の引き出し操作途中の画像形成装置の状態を示す概観斜視図であり、(C)は用紙受け部の引き出し操作後の画像形成装置の状態を示す概観斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置を示す概観斜視図である。
【図9】(A)は、本発明の第2実施形態に係るシール集約部材を示す斜視図である。(B)は、本発明の第2実施形態に係るシール集約部材が取り付けられる途中の用紙受け部の概観斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の作用を示す説明図である。(A)は用紙受け部の引き出し操作前の画像形成装置の状態を示す概観斜視図であり、(B)は用紙受け部の引き出し操作途中の画像形成装置の状態を示す概観斜視図であり、図(C)は用紙受け部の引き出し操作後の画像形成装置の状態を示す概観斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置を示す概観斜視図である。
【図12】(A)は、本発明の第3実施形態に係るシール集約部材を示す斜視図である。(B)は、本発明の第3実施形態に係るシール集約部材が取り付けられる途中の用紙受け部の概観斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の作用を示す説明図である。(A)は用紙受け部の引き出し操作前の画像形成装置の状態を示す概観斜視図であり、(B)は用紙受け部の引き出し操作途中の画像形成装置の状態を示す概観斜視図であり、(C)は用紙受け部の引き出し操作後の画像形成装置の状態を示す概観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(画像形成装置)
まず、画像形成装置の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の全体構成図である。なお、本実施の形態では、全図面を通して、X方向が画像形成装置10の正面、Y方向が画像形成装置10の右側面、Z方向が画像形成装置10の上面となっている。
【0026】
画像形成装置10の装置本体10Aには、画像形成部枠体12が設けられ、この画像形成部枠体12には、4つの色(本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のプロセスカートリッジ14がZ方向に順次配列されている。
【0027】
このプロセスカートリッジ14は、像保持体としての感光体16を有する感光体カートリッジ62と、現像装置64(詳細は後述する)とで構成されており、感光体カートリッジ62は、感光体16と、感光体16の周囲に配設された帯電ロール18、イレーズランプ22、及びクリーニング装置24とで構成されている。
【0028】
また、画像形成装置10の下部には、シート材Pが収納された用紙受け部26が設けられており、用紙受け部26の近傍には、シート材Pをあるタイミングで送り出すピックアップロール28が設けられている。このピックアップロール28によって用紙受け部26から送り出されたシート材Pは、レジストレーションロール32を介して、用紙搬送経路34へ送り出され、後述する搬送装置48へ搬送される。
【0029】
一方、プロセスカートリッジ14の後方には、プロセスカートリッジ14に走査光を照射する露光装置36が配設されている。
【0030】
露光装置36は、筐体38内に半導体レーザ(図示省略)、ポリゴンミラー40、結像レンズ44、及びミラー46が配設されており、半導体レーザからの光はポリゴンミラー40で偏向走査され、結像レンズ44とミラー46を介して感光体16に照射される。これにより、感光体16に、画像情報に応じた静電潜像が形成されるようになっている。
【0031】
また、感光体16に対して用紙搬送経路34を挟んで対向する位置には、搬送装置48が配設されている。搬送装置48は、画像形成装置10の側壁10Bに沿って設けられた一対の張架ロール51、52と、この張架ロール51、52に巻き掛けられた搬送ベルト53とで構成されている。張架ロール52は、図示しないモータによって回転され、搬送ベルト53が移動するようになっている。
【0032】
この搬送ベルト53の裏面の、各色の感光体16に対向する位置には、それぞれ転写ロール54が配設されている。この転写ロール54によって、感光体16上の後述するトナー画像が、搬送ベルト53によって搬送されるシート材Pに転写され、定着装置56で定着される。そして、トナー画像が定着されたシート材Pは、排出ロール58によって排出部60へ排出される。
【0033】
次に、画像形成装置10の画像形成動作について簡単に説明する。
【0034】
図1に示されるように、まず、電圧が印加された帯電ロール18は、感光体16の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電する。帯電された感光体16上の画像部分が予定の露光部電位になるように露光装置36で露光を行ない静電潜像が形成される。
【0035】
すなわち、図示しない制御装置から供給される画像データに基づき、半導体レーザ(図示省略)をオン・オフすることによって画像に対応した静電潜像が感光体16上に形成される。
【0036】
また、現像ロール86には色毎に現像バイアス電圧が電源装置(図示省略)から印加されており、感光体16上の静電潜像は、現像ロール86の位置を通過する時に、静電潜像に現像剤のトナーが電気力によって付着しトナー画像として可視化される。
【0037】
そこで、用紙受け部26に置かれたシート材Pがピックアップロール28によって、用紙搬送経路34に送りだされ、さらに、レジストレーションロール32によってあるタイミングで搬送され、感光体16と転写ロール54との間を通り、トナー画像がシート材Pに転写される。転写されたトナー画像は定着装置56によって定着され、トナー画像が定着されたシート材Pは、排出ロール58によって排出部60へ排出される。
(現像装置)
次に、現像装置64について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る現像装置64を示す概略構成図である。
【0038】
図1及び図2に示すように、現像装置64は、感光体16に対向し且つ感光体16上の静電潜像をトナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤で可視像化させる現像ユニット68と、図示しないトナーカートリッジ内のトナーを現像ユニット68へ流入するトナー補給部70と、で構成されている。
(現像ユニット)
【0039】
現像ユニット68は、筐体72と、該筐体72内でX方向に設けられた現像室84と、この現像室84に隣接して設けられた現像剤収容室96と、で構成されている。
【0040】
筐体72は、感光体16側に向かって開口する感光体側開口部74と、現像室84と現像剤収容室96とをつなぎ、現像剤収容室96から現像室84へ現像剤が供給される縦に開口した現像剤供給口76と、トナー補給部70から現像剤収容室96へトナーが流入される横に開口したトナー流入口78と、が形成されている。
【0041】
現像室84内には、感光体側開口部74から一部が露出するようにして現像剤保持体としての現像ロール86が設けられており、筐体72に回転可能に支持されている。
【0042】
現像ロール86の端部には、図示しないギアが固定されており、モータからの回転力がギアへ伝達され、該ギアを介して現像ロール86が回転するようになっている。現像ロール86は、回転可能とされた導電性を有する円筒状のスリーブ86Aと、固定された円柱状のマグネットロール86Bと、を備えている。
【0043】
現像ロール86のスリーブ86Aと対向して、円柱状の現像剤規制ロール87がスリーブ86Aとの間に隙間をもって固定されており、現像ロール86上の現像剤の量を規制する。これにより、現像ロール86は、現像剤中に含まれた磁性キャリアを磁力で吸着し、表面に現像剤の磁気ブラシを形成し、現像剤規制ロール87によって現像剤の量が規制され、現像剤を感光体16と対向する位置へ搬送する。そして、感光体16上に形成された静電潜像が、現像ロール86上の現像剤によってトナー画像として可視化される。
【0044】
また、現像ロール86の下部には、供給部材としてのパドルホイール100が設けられており、筐体72に回転可能に支持されている。このパドルホイール100は、回転軸100Aの周方向に沿って90°毎に4枚の板状のパドル100Bが回転軸100Aの軸方向に沿って設けられている。回転軸100Aの端部には、図示しないギアが固定されており、図示しないモータからの回転力がギアへ伝達され、該ギアを介してパドルホイール100が回転する。
【0045】
一方、現像剤収容室96内には、現像剤を攪拌搬送する攪拌搬送部材としての攪拌搬送オーガ88、89が配設されている。
【0046】
図3は、図2に示す現像装置64のA−A矢視図である。
【0047】
図3に示されるように、攪拌搬送オーガ88、89は、それぞれ回転軸88A、89Aを備えており、筐体72の側壁72Aにそれぞれ回転可能に支えられている。また、攪拌搬送オーガ88、89の回転軸88A、89Aには、スパイラル羽根88B、89Bが螺旋状に巻き付けられて形成されている。
【0048】
さらに、回転軸88A、89Aの端部には、それぞれ図示しないギアが固定されており、図示しないモータからの回転力がギアへ伝達され、ギアを介して攪拌搬送オーガ88、89がそれぞれ回転する。
【0049】
攪拌搬送オーガ88と攪拌搬送オーガ89の間には仕切壁90が形成されており、この仕切壁90によって現像剤収容室96内は、攪拌搬送オーガ88が配設された領域(第1攪拌路)92と、攪拌搬送オーガ89が配設された領域(第2攪拌路)93とに二分される。
【0050】
仕切壁90の長手方向の両端部には、挿入口94、95が形成されている。この挿入口94、95によって第1攪拌路92と第2攪拌路93とが繋がっており、トナー補給部70から流入されたトナーは、第1攪拌路92へ補給された後、攪拌搬送オーガ88、89の回転によってそれぞれ第1攪拌路92から第2攪拌路93へ攪拌されながら搬送され、第1攪拌路92と第2攪拌路93との間を循環するようになっている。そして、現像剤収容室96内を攪拌搬送された現像剤は、パドルホイール100を介して現像ロール86に供給される構成となっている。
【0051】
現像装置64の右側(図1のY方向)の側壁72Aには、後述するシール部材102、104が挿通される縦型の第1スリット孔80と、横型の第2スリット孔82とが形成されている。
【0052】
以上のような構成において、本実施形態では、画像形成装置10が工場出荷時のままの未使用状態であるので、現像室84内には現像剤が収容されておらず、現像剤収容室内96には現像剤(磁性キャリア)が収容されている。そして、現像剤収容室96及びトナー補給部70、すなわち現像装置64からの現像剤漏れを防止するために、現像剤供給口76を縦にした第1シール部材102で、トナー流入口78を横にした第2シール部材104でそれぞれ封止している。
【0053】
なお、本実施形態において現像剤とは、広義の意味で、磁性キャリア、非磁性トナー又は磁性トナーの一成分、若しくは、非磁性トナー及び磁性キャリアの二成分を含むものとする。
【0054】
図3に示すように、第1シール部材102は、筐体72から第1スリット孔80を通じて縦にして引き出され、第2シール部材104は、筐体72から第2スリット孔82を通じて横にして引き出されている。
【0055】
シール部材102、104は、例えばPETフィルムを素材としている。また、シール部材102、104は、後述する用紙受け部26の引き出し操作によって、シール部材102、104の筐体72内部の部分が現像装置64から引き抜かれる長さとなっており、これらシール部材102、104が現像装置64から引き抜かれることによって現像剤供給口76とトナー流入口78が開封される。
【0056】
ここで、上記「引き抜かれる長さ」は、例えば、用紙受け部26が閉じた状態で、シール部材102、104が用紙受け部26に引っ張られた状態である場合、シール部材102、104の筐体72内部の部分の縦幅が、用紙受け部26の引き出し距離の最大値よりも小さい値であればよい。また、用紙受け部26が閉じた状態で、シール部材102、104が用紙受け部26に引っ張られていない状態(緩んだ状態)である場合、シール部材102、104の筐体72内部の部分の縦幅と、緩み部分との合計値が、用紙受け部26の引き出し距離の最大値よりも小さい値であればよい。
【0057】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10について図面に基づき説明する。
【0058】
図4は、現像装置64を含む4つのプロセスカートリッジ14が装着された画像形成部枠体12を示す斜視図である。
【0059】
画像形成部枠体12のY方向に位置する右側面部12Aには、X方向に傾斜した矩形状の開口部150と、X方向に傾斜した台形の開口部152がそれぞれ4つ形成されている。
【0060】
開口部150の開口縁には、断面が半楕円形状の第1シール当り部154が形成されている。第1シール部材102は、第1スリット孔80から引き出された後、画像形成部枠体12の中で捩じられ、第1シール当り部154にガイドされ画像形成部枠体12の外側へ傾斜した姿勢で引き出されている。
【0061】
一方、開口部152の開口縁には、断面が半楕円形状の第2シール当り部156が形成されている。第2シール部材104は、第2スリット孔82から引き出された後、画像形成部枠体12の中で捩じられ、第2シール当り部156にガイドされ画像形成部枠体12の外側へ傾斜した姿勢で引き出されている。
【0062】
第1シール当り部154及び第2シール当り部156には、第1シール部材102及び第2シール部材104が現像装置64から引き抜かれる際、第1シール部材102及び第2シール部材104が当接する。
【0063】
なお、図4では、説明の便宜のため、各シール部材102、104がY方向へ延伸しているが、図5に示すように、第1シール部材102及び第2シール部材104に引張力を付与して、用紙受け部26を閉じた状態で各シール当り部154、156に当接させるようにしても良い。
【0064】
図5は、第1実施形態に係る画像形成装置10の概観斜視図である。
【0065】
第1実施形態に係る画像形成装置10は、用紙受け部26がX方向に引き出されるように配置されている。また、画像形成部枠体12の正面も、X方向に向くように配置されており、これら用紙受け部26と画像形成部枠体12の間には、画像形成部枠体12を置く板部材200が設けられている。
【0066】
板部材200は、画像形成部枠体12を置いた状態で、画像形成部枠体12の右側面部12Aと画像形成装置10本体の側壁10Bの間に、例えば5cm〜10cm程度の隙間Wを有し、この隙間Wが設けられた部位に位置する板部材200には、板部材開口部202が形成されている。
【0067】
板部材開口部202には、各現像装置64からの8つのシール部材102、104が挿通されている。
【0068】
一方、用紙受け部26には、図6(A)及び(B)に示すように、プラスチック製のシール集約部材210が脱着可能に取り付けられている。
【0069】
図6(A)は、第1実施形態に係るシール集約部材210の概観斜視図である。図6(B)は、シール集約部材210が取り付けられる途中の用紙受け部26の概観斜視図である。
【0070】
シール集約部材210は、長方形状のプレートで、上下に貫通したシール集約用開口部212が8つ設けられており、現像装置64から画像形成部枠体12の開口部150、152を介し、板部材開口部202へ挿通された8つのシール部材102、104の各々が、各シール集約用開口部212に挿通されている。
【0071】
各シール部材102、104の一端部は、各シール挿通用開口部212に挿通された後に、シール集約部材210を介して、各シール部材102、104に接着される。以下、集約部材210につながれたシール部分を、つなぎ部102A、104Aと称す。
【0072】
一方、シール集約部材210の下端部には、スライド式の被係止部214が設けられている。この被係止部214の下端部には、シール集約部材210と平行に延出するフック部214Aが形成されている。
【0073】
ここで、用紙受け部26の引き出し方向(X方向)前方側上面26Aには、窪み部220が設けられており、この窪み部220には、矩形状の係止部222が2つ形成されている。
【0074】
被係止部214は、係止部222に挿入され、フック部214Aが延出する方向へスライドさせることでシール集約部材210が用紙受け部26に着脱可能に係止される。
【0075】
また、8つのシール部材102、104のうち、少なくとも1つのシール部材102、104には、例えば、「シールが連結された集約部材を左にスライドして取り外して下さい」等の注記書きをした、シール集約部材210の取り外しを喚起する表示ラベル224が貼り付けられている。
【0076】
以上のような8つのつなぎ部102A、104Aがつながれたシール集約部材210が、用紙受け部26に形成された係止部222に着脱可能に係止されるため、表示ラベル224で喚起されたユーザーによってシール集約部材210が取り外され、シール部材102、104がまとめて除去される。したがって、特許文献3に記載のようなシール部材102、104の一部が固定された定用面板又は外装カバーを開放した後、一本ずつシール部材102、104を除去する構成と比べ、シール部材102、104を除去する手間が軽減される。
【0077】
次に、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の作用について説明する。
【0078】
図7は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の作用を示す説明図である。図7(A)は用紙受け部26の引き出し操作前の画像形成装置10の状態を示す概観斜視図であり、図7(B)は用紙受け部26の引き出し操作途中の画像形成装置10の状態を示す概観斜視図であり、図7(C)は用紙受け部26の引き出し操作後の画像形成装置10の状態を示す概観斜視図である。
【0079】
図7(A)〜(C)のように、画像形成装置10の設置後、ユーザーが必ず行う行動の一つとして、シート材Pの収容操作の為の用紙受け部26の引き出し操作がある。
【0080】
図7(C)のように、用紙受け部26がX方向に最後まで引き出されると、8つのシール部材102、104が現像装置64から全て引き抜かれる。このように、各シール部材102、104が、画像形成装置10の設置後ユーザーが必ず行う行動の一つである用紙受け部26の引き出し操作で、現像装置64から引き抜かれる長さとなっているため、特許文献3のようなシール部材102、104の一部を、ユーザーが通常開放することのない位置決め固定用面板又は外装カバーに固定する構成と比べ、シール部材102、104が確実に引き抜かれ、シール部材102、104の引き抜き忘れがより防止される。
【0081】
また、固定用面板又は外装カバーの開放操作に比べ、用紙受け部26の引き出し操作の方が、用紙受け部26を長く移動させることができるため、シール部材102、104が現像装置64からより長く引き抜かれる。これにより、図7(C)に示すように現像装置64からシール部材102、104の全部が引き抜かれることになる。
【0082】
さらに、現像装置64から引き抜かれたシール部材102、104(及びつなぎ部102A、104A)は、用紙受け部26内に存在するため、これらが用紙受け部26へのシート材Pの収容操作を妨害することになり、ユーザーにシール部材102、104を取り除くことを喚起し、もってシール部材102、104の引き抜き忘れを防止する。
【0083】
なお、用紙受け部26の引き出し操作によって、シール部材102、104のつなぎ部102A、104Aを視認可能とするだけでもよい。これにより、ユーザーに画像形成装置10から取り外すもの(封止部材)があることを認識させ、もってシール部材102、104の引き抜き忘れが防止される。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と略同一の内容については説明を省略する。
【0084】
図8は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置230を示す概観斜視図である。
【0085】
第2実施形態の画像形成装置230には、現像装置14を含む4つのプロセスカートリッジ14が装着された画像形成部枠体232が搭載されている。
【0086】
この画像形成部枠体232の右側面部232Aには、縦型矩形状の開口部234と横矩形状の開口部236がそれぞれ4つ形成され、第1実施形態に係る画像形成部枠体12に比べ、第1シール当り部154と、第2シール当り部156と、が設けられていない。
【0087】
また、第1シール部材102は、第1スリット孔80から引き出された後、画像形成部枠体232の中で捩じられないまま、右側面部232Aの外側へ開口部234を介して縦にして引き出されている。一方、第2シール部材104は、第2スリット孔82から引き出された後、画像形成部枠体232の中で捩じられないまま、右側面部232Aの外側へ開口部236を介して横にして引き出されている。
【0088】
さらに、画像形成装置230には、X方向に引き出される用紙受け部240が搭載され、用紙受け部240のY方向右側面側の上面240Bには、本第2実施形態に係るシール集約部材300が取り付けられている。
【0089】
図9(A)は、本発明の第2実施形態に係るシール集約部材300を示す斜視図である。 図9(B)は、本発明の第2実施形態に係るシール集約部材300が取り付けられる途中の用紙受け部240の概観斜視図である。
【0090】
このシール集約部材300には、上下に貫通したシール集約用開口部302が8つ設けられており、現像装置64から板部材開口部202へ挿通された8つのシール部材102、104の各々が、各シール集約用開口部302に挿通される。
【0091】
一方、シール集約部材300の両端部には、固定ねじ304が挿通可能なねじ挿通口306が設けられている。
【0092】
ここで、用紙受け部240のY方向右側面側の上面240Bには、窪み部308が設けられており、この窪み部308には、固定ねじ304が挿入可能なねじ穴306が2つ形成されている。
【0093】
固定ねじ304は、ねじ穴306に挿入され固定されることにより、シール集約部材300が用紙受け部240に着脱可能に取り付けられる。
【0094】
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置230の作用について説明する。
【0095】
図10は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置230の作用を示す説明図である。図10(A)は用紙受け部240の引き出し操作前の画像形成装置230の状態を示す概観斜視図であり、図10(B)は用紙受け部240の引き出し操作途中の画像形成装置230の状態を示す概観斜視図であり、図10(C)は用紙受け部240の引き出し操作後の画像形成装置230の状態を示す概観斜視図である。
【0096】
本第2実施形態では、図10(A)〜(C)のように、第1実施態様の作用と同様の作用及び効果が得られる他、シール部材102、104の延伸方向(Y方向)と、用紙受け部240への連結(右側面上端部26B)方向が一致するため、シール部材102、104を用紙受け部240へ連結し易い。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明するが、第1実施形態と略同一の内容については説明を省略する。
【0097】
図11は、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置350を示す概観斜視図である。
【0098】
第3実施形態に係る画像形成装置350では、シール部材102、104の引き抜き方向と、用紙受け部360の引き出し方向を一致させるように、現像装置64及び用紙受け部360を配置している。一例としては、図11に示すように、現像装置64が搭載される画像形成部枠体232の正面がX方向、用紙受け部360の引き出し方向がY方向となるようにする。
【0099】
また、この画像形成装置350には、第2実施形態と同様、画像形成部枠体232が搭載される。
【0100】
さらに、シール集約部材400が用紙受け部360の引き出し方向(Y方向)正面の上端部360Aに取り付けられている。
【0101】
図12(A)は、本発明の第3実施形態に係るシール集約部材400を示す斜視図である。図12(B)は、本発明の第3実施形態に係るシール集約部材400が取り付けられる途中の用紙受け部の概観斜視図である。
【0102】
シール集約部材400には、第1実施形態に係るシール集約部材210に比べ、シール集約部材400の幅方向に、縦形状のシール集約用開口部402と、横形状のシール集約用開口部404とが順に設けられている。
【0103】
縦形状のシール集約用開口部402には、現像装置64の筐体72内部で水平方向縦置きに配置されている第1シール部材102が挿通される。
【0104】
一方、横形状のシール集約用開口部404には、現像装置の筐体72内部で水平方向横置きに配置されている第2シール部材104が挿通される。
【0105】
また、シール集約部材400の下面両端部には、両面テープ408が貼り付けられている。
【0106】
このようなシール集約部材400は、用紙受け部360の正面上端部26Aに設けられた窪み部406に両面テープ408が貼り付けられて、用紙受け部360に着脱可能に取り付けられる。
【0107】
次に、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置350の作用について説明する。
【0108】
図13は、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置350の作用を示す説明図である。図13(A)は用紙受け部360の引き出し操作前の画像形成装置350の状態を示す概観斜視図であり、図13(B)は用紙受け部360の引き出し操作途中の画像形成装置350の状態を示す概観斜視図であり、図13(C)は用紙受け部360の引き出し操作後の画像形成装置350の状態を示す概観斜視図である。
【0109】
本第3実施形態では、図13(A)〜(C)に示すように、第1実施態様の作用と同様の作用及び効果が得られる。
【0110】
また、本第3実施形態では、シール部材102、104の引き抜き方向と、用紙受け部26の引き出し方向が一致している。
【0111】
これにより、シール部材102、104の引き抜き方向と、用紙受け部360の引き出し方向が一致していない第1実施態様及び第2実施態様に比べ、シール部材102、104を引抜く際の力が低減される。
(変形例)
【0112】
なお、本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。
【0113】
例えば、本実施形態では、シール部材102、104と用紙受け部26、240、360に取り付けられたシール集約部材210、300、400とを連結するつなぎ部102A、104Aを、シール部材102、104の延長された部分で構成したが、このつなぎ部102A、104Aは、例えば他のシール部材やひも等の別部材で構成するようにしてもよい。
【0114】
また、本実施形態では、シール部材102、104をシール集約部材210、300又は400につないで間接的に用紙受け部26、240、360に連結する構成としたが、シール部材102、104を直接用紙受け部26、240、360に連結する構成としてもよい。
【0115】
さらに、シール集約部材210、300、400の用紙受け部26、240、360への取り付け位置は、本実施形態に特に限定されるものではなく、例えば、用紙受け部26、240、360の側面部、シート材Pを置く面に取り付ける構成であってもよい。
【0116】
さらにまた、シール集約部材210、300、400の用紙受け部26、240、360への取り付け方法は、本実施態様の方法に限定されるものではなく、シール集約部材210、300、400を用紙受け部26、240、360に着脱可能に取り付ける構成であればどのような態様であってもよい。例えば、シール集約部材210、300、400を用紙受け部26、240、360に接着剤や糊で取り付ける構成であってもよい。
【0117】
また、シール集約部材210、300又は400の形状及び素材、並びに、これに形成されるシール集約用開口部212の形状は、本実施形態に特に限定されるものではない。例えば、シール集約部材210、300又は400の形状は、丸形状、三角形状でもよく、また、シール集約用開口部212には、シール部材102、104毎に設けず、1つの開口部で、8つのシール部材102、104全てを挿通可能な形状としても良い。
【0118】
さらに、本実施形態では、用紙受け部26、240、360の引出し操作で、シール部材102、104が現像装置64から全て引き抜かれる構成としたが、用紙受け部26、240、360の引出し操作で、シール部材102、104が視認可能となるだけの構成、現像装置64内部にあるシール部材102、104の一部が現像装置64外部へ露出する構成、8つのシール部材102、104のうち、一部が引き抜かれる構成であってもよい。
【0119】
さらにまた、本実施形態では、シール部材102、104で現像装置64のトナー流入口78及び現像剤供給口76を封止する構成を説明したが、少なくとも何れか一方を封止する構成であればよい。
【符号の説明】
【0120】
10、230、350 画像形成装置
10A 装置本体
26、240、360 用紙受け部(記録媒体収容部)
64 現像装置
76 現像剤供給口(現像剤流出口)
78 トナー流入口(現像剤流入口)
102 シール部材(封止部材)
102A つなぎ部(つなぎ部材)
104 シール部材(封止部材)
104C つなぎ部(つなぎ部材)
210、300、400 シール集約部材(集約部材)
224 表示ラベル(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に装着された現像装置と、
前記現像装置の現像剤流出口又は、前記現像装置の現像剤流入口及び前記現像剤流出口を封止する封止部材と、
前記封止部材と記録媒体収容部をつなぎ、記録媒体収容部の引き出し操作で視認可能となるつなぎ部材と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記つなぎ部材は、前記封止部材が延長され前記記録媒体収容部に連結されたものである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記封止部材は、前記記録媒体収容部の引き出し操作で、前記封止部材が前記現像装置から引抜かれる長さとなっている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体収容部に着脱可能に取り付けられ、複数の前記つなぎ部材が連結される集約部材を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記集約部材に設けられ、前記記録媒体収容部に形成された係止部に着脱可能に係止される被係止部を有する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記集約部材は、これに連結される前記つなぎ部材が前記記録媒体収容部への記録媒体の収容操作を妨害する位置に設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記封止部材又は前記集約部材に、前記集約部材の取り外しを喚起する表示部が設けられている請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記封止部材の引き抜き方向と、前記記録媒体収容部の引き出し方向を一致させるように、前記現像装置及び前記記録媒体収容部を配置した請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−164705(P2010−164705A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5870(P2009−5870)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】