説明

画像形成装置

【課題】保温を必要とする部材を保温することで、低コストで新たな場所をほとんど必要とせず、熱干渉が生じることのない画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の像担持体11上に現像されたトナー像を無端状の中間転写体61に一次転写して中間転写体61上でトナー像が重ね合わされ、重ね合わされたトナー像を記録媒体に二次転写する画像形成装置1であって、夫々の像担持体11に対向する中間転写体61の内面に接触する半導電性の一次転写部材62と像担持体11の間の電界により像担持体11から中間転写体21に一次転写され、これに対向する中間転写体61の内側の面に接触する半導電性の斥力部材67との電界により中間転写体61から記録媒体に二次転写する二次転写部材63と、を有し、無端状の中間転写体61の内側に発熱体69と、該発熱体の発生する熱を一次転写部材62に伝える伝熱部材68と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター等の電子写真装置などの画像形成装置に関し、詳しくは
タンデム型の画像形成装置で、複数の像担持体から直接トナー像が転写された記録部材を搬送する記録部材搬送部材又は複数の像担持体からトナー像を転写された後記録部材にいっかつで転写する中間転写体の内側に発熱体と伝熱部材を設ける画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー像の転写不良を解消するために、転写環境を整え、高品位の画像を得るために、転写装置を加熱する加熱装置を備えた画像形成装置が提案されている。
特許文献1には、二次転写ローラを保温するための発熱体を有する画像形成装置が開示されている。二次転写ローラを保温する目的は、半導電性の二次転写ローラ抵抗の環境変動を低減して抵抗変動を一定範囲内に維持するためである。また、特許文献1には、本体装置の制御系とは別系統の電源回路に繋がれた制御装置により発熱体による温度を制御することが開示されている。目的は、主電源がオフにされた場合も発熱体に別系統からの電源が確保され保温できることにある。
【0003】
さらに、特許文献2には、自己温度制御付きの面状発熱体を有する画像形成装置が開示されている。発熱体は、特許文献1と同様で、半導電性の転写ローラ抵抗の環境変動を低減して抵抗変動を一定範囲内に維持するためである。特許文献2の画像形成装置では、概略薄い直方体の面状発熱体を丸めて円筒形にして転写ローラ内部に入れている。
さらに、特許文献3には、中間転写ベルト上のトナーを除去するクリーニングブレードに対向する中間転写ベルト内面に接触するクリーニングバックアップローラの内部に加熱ヒータを設けた画像形成装置が開示されている。加熱ヒータは、中間転写ベルト上のトナーを除去するクリーニングブレードと中間転写ベルトを保温することで、両者のヤング率や柔軟性を保持して、良好なクリーニング性を維持することである。
【0004】
以上、特許文献1ないし3に開示されているように、中間転写体及び中間転写体内部や周辺には低温環境下で不具合を生じる部材が複数存在し、夫々保温を必要としており、これら複数の部材に個々に発熱体を設けても良い。
しかし、発熱体の数が多くなり高コストとなり、また、別の部材を保温する発熱体同士が近接することで、設置スペースが不足して、これを補うために画像形成装置が大型化するという不具合が生ずる。あるいは、別の部材を保温する発熱体同士が近接することで、ある部材を保温するための発熱体でない発熱体によりその部材が保温されることになり、過度に温度が上昇する熱干渉という不具合が生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、1個又は保温される部材よりも少ない数の発熱体が発生する熱を伝熱部材により夫々保温を必要とする部材の近傍にまで伝えて、夫々保温を必要とする部材を保温することで、低コストで新たな設置スペースをほとんど必要とせず、熱干渉が生じることのない画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、複数の像担持体上に現像されたトナー像を、無端状の中間転写体に一次転写して中間転写体上でトナー像が重ね合わされ、重ね合わされたトナー像を記録媒体に二次転写する画像形成装置であって、夫々の像担持体に対向する中間転写体の内面に設けられている半導電性の一次転写部材と像担持体の間の電界により夫々の像担持体から中間転写体に一次転写され、これに対向する中間転写体の内側の面に接触する半導電性の対向部材との電界により中間転写体から記録媒体に二次転写する二次転写部材と、を有する画像形成装置において、前記中間転写体の内側に発熱体と、該発熱体の発生する熱を一次転写部材に伝える伝熱部材と、を有することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記複数の像担持体を横方向に並列し、夫々の像担持体に対向する中間転写体の内面に接触する一次転写部材の下方に、発熱体の熱を近接又は接触して伝える伝熱部材が配設されていることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記無端状の中間転写体の内側を閉じて閉空間を形成する遮熱板を設けることを特徴とする。
【0007】
本発明の画像形成装置は、複数の像担持体に対向する中間転写体の内部に位置する半導電性の一次転写部材と、像担持体の間の電界により夫々の像担持体から無端状の中間転写体にトナー像が一次転写されて、中間転写体上で夫々の像担持体からのトナー像が重ね合わされて、中間転写体のトナー像側に記録媒体を挟んで接触する二次転写部材と該二次転写部材に対向して中間転写体のトナー像と反対側に接触する対向部材とを有し、二次転写部材と対向部材との間に電位差を設けることで、中間転写体上の重ね合わされたトナー像を記録媒体に転写する電界を形成する画像形成装置において、前記中間転写体の内側に発熱体と、前記発熱体の発生する熱を対向部材に伝える伝熱部材とを有し、前記二次転写部材の電気抵抗が、前記対向部材の電気抵抗よりも小さいことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記伝熱部材は、前記発熱体の熱を近接又は接触して前記対向部材に伝えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記対向部材が伝熱部材の下方に配設し、該対向部材に近接又は接触させた発熱体を配設することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記中間転写体上のトナーを除去するクリーニング部材とこれに対向する中間転写体内側の面に接触するクリーニングバックアップ部材とを有し、前記伝熱部材は、前記発熱体の発生する熱を近接又は接触して前記クリーニングバックアップ部材に伝えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記クリーニングバックアップ部材が伝熱部材の下方に位置し、該クリーニングバックアップ部材の伝熱部材に近接又は接触した位置に発熱体を有することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記無端状の中間転写体の内側を閉じて閉空間を形成する遮熱板対を設けることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置は、複数の像担持体上に現像されたトナー像を無端状の記録媒体搬送体で搬送される記録媒体にトナー像が重ね合わせて転写する画像形成装置であって、前記記録媒体搬送体の内面に接触する半導電性の転写部材と像担持体の間の電界により夫々の像担持体から記録媒体搬送体に転写される画像形成装置において、前記記録媒体搬送体の内側に発熱体と、該発熱体の発生する熱を転写部材に伝える伝熱部材と、を有することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、複数の像担持体を横方向に並列させ、夫々の像担持体に対向する記録媒体搬送体の内面に接触する半導電性の転写部材の下方に、発熱体の熱を近接又は接触して伝える伝熱部材が配設されていることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、記録媒体搬送体上のトナーを除去するクリーニング部材と、これに対向する記録媒体搬送体内側の面に接触するクリーニングバックアップ部材とを有し、前記伝熱部材は、前記発熱体の発生する熱を近接又は接触して前記クリーニングバックアップ部材に伝えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記無端状の記録媒体搬送体の内側を閉じて閉空間を形成する遮熱板対を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明によれば、1個又は保温される部材よりも少ない数の発熱体が発生する熱を伝熱部材により夫々保温を必要とする部材にまで伝えて、夫々保温を必要とする部材を保温することで、低コストで新たな場所をほとんど必要とせず、熱干渉が生じることのない装置
を提供することが可能となった。また、本発明は、発熱体が発生する熱を漏れて温度の低下するのを防止することができる。
また、本発明は、トナーを積層する中間転写体を備えるカラー画像形成装置だけではなく、記録媒体を搬送する記録体搬送体を有する画像形成装置であれば、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置に4つの作像ユニットが並列配置されて、トナー像を転写される中間転写ベルトを備えている全体概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置を説明するための中間転写ベルト周辺の概略図である。
【図3】遮熱板を設けている転写装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置を説明するための中間転写ベルト周辺の概略図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置を説明するための記録部材の搬送ベルト周辺の概略図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置を説明するための中間転写ベルト周辺の概略図である。
【図7】比較する画像形成装置で、その中間転写ベルト周辺の概略図である。
【図8】従来の画像形成装置で、その中間転写ベルト周辺の概略図である。
【図9】画像形成装置における温度の制御方法を示す模式的概略図である。
【図10】画像形成装置における温度の制御方法を示す模式的概略図である。
【図11】画像形成装置における温度の制御方法を示す模式的概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
本発明の例としてフルカラー画像形成装置で説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置に4つの作像ユニットが並列配置されて、トナー像を転写される中間転写ベルトを備えている全体概略図である。
本発明に係る画像形成装置1は、上の方から、置かれた原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5と、原稿を読み取るスキャナ(読取装置)4、トナー画像を形成する画像形成部3、そして、その下に記録紙等の記録部材を備え、供給する給紙部2が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部3が配置されている。画像形成部3では、その内部の略中央に、プロセスカートリッジとしての作像ユニット10をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つを水平な横方向に並列に並べたタンデム型に配列している。4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの上方には、帯電した各感光体11の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置12が備えられている。また、4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの下方には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトをローラ651、652に掛け回して支持し、回転駆動する中間転写ベルト61を備える転写装置60を配置している。
いずれの作像ユニット10でも同様の構成であるので、この図においては、色の区別に関係ない場合はY、C、M、Kの表示を省略する。各作像ユニット10Y、10C、10M、10Kは、感光体11Y、11C、11M、11Kを有し、各感光体11の周りには、感光体11表面に電荷を与える帯電装置20、感光体11表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置30、感光体11表面に、図示しない潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置、トナー像転写後の感光体11表面のクリーニングをするクリーニングブレードを備えるクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。これで、一つの作像ユニット10を形成している。なお、ここでは、作像ユニット10は、感光体11と、帯電装置20、現像装置40、クリーニング装置20、潤滑剤塗布装置のいずれか1つ以上を一体的に支持されていて、画像形成装置1に着脱可能になっているプロセスカートリッジとして用いている。ただし、作像ユニット10の形態を成していれば良く、ここで例示した帯電装置等に限定するものではない。
【0013】
感光体11は、アモロファスシリコーン、セレン等の金属、または、有機感光体であり、ここでは、有機感光体で説明する。有機感光体11としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体11を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体11を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層9の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度が良好である。
【0014】
帯電装置20は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ21を備える。帯電ローラ21は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。このイオンを放電する帯電ローラ21は、材質としては弾性樹脂ローラを用いている。また、帯電ローラ21は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有することがある。
また、帯電ローラ21は、感光体11に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、例えば、帯電ローラ21の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体11表面に当接させることで、設定することができる。また、帯電ローラ21は、感光体に近接させずに、接触させても良い。ローラ形状であり、感光体11に近接している部分で、放電して、感光体11を帯電させることができる。また、近接させて非接触にすることで、帯電ローラ21の転写残トナーによる汚れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ21には、帯電ローラ21表面に接触してクリーニングする図示しない帯電クリーナローラが設けられている。
現像装置40は、感光体11と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像スリーブが配置されている。現像スリーブの下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブへ汲み上げる機構を併せて有する攪拌・搬送スクリューが備えられている。現像スリーブ1によって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、規制部材によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブに担持される。現像スリーブは、感光体11との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体11に供給する。また、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジが、着脱可能に感光体11上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプやエアーポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置40に必要に応じトナーを供給するようになっている。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジを、特に大容量としておくことも可能である。
クリーニング装置40は、クリーニングブレードが感光体11と当接・離間する機構を備え、画像形成装置本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレードをカウンタ方式で、感光体11に当接し、これによって、感光体11上に残留するトナー、汚れとして付着している記録部材のタルク、カオリン、炭酸カルシウム等の添剤を感光体11から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、廃トナー回収コイル22で、図示しない廃トナー容器に搬送し、貯留する。
【0015】
転写装置60は、トナー像が積層される中間転写ベルト61、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト61に転写・積層させる一次転写ローラ62、積層されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写ローラ63等を備えている。さらに、転写装置60は、二次転写ローラ63に対向する部分で、中間転写ベルト61の内側には、対向部材67を設けている。
中間転写ベルト61を挟んで、各感光体11と対向する位置には、感光体11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に一次転写する一次転写ローラ62がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ62は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、感光体11から中間転写ベルト61側に引き寄せ移行させることで、一次転写する。また、この一次転写ローラ62は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有させ、半導電性にすることが好ましい。一次転写ローラ62の抵抗値が異なっていても転写効率はほとんど変わらないが、画像面積比が異なると転写効率は大きく異なってくるため、安定して転写効率を維持できない。これは、転写ニップ部においてトナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう結果、画像面積比が小さい場合には転写電圧値が低くなって転写に必要な電界が十分得られなくなるためである。特に、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合には転写部に介在するトナーの抵抗値の影響が大きくなるため、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合ほど顕著になる。このように定電流制御を採用する場合には一次転写ローラ62として抵抗値の高いものを使用することが望まれるが、その抵抗値が5×10Ωを越えると電流のリークによってトナー像を乱すおそれが強まる。したがって、一次転写ローラの抵抗値は、1×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものを用いるのが好ましい。トナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう現象は、上述のトナー抵抗によるだけでなく、一次転写ローラ62の中心に設けられている芯金に印加される一次転写電圧と感光体11との電位差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きいために、より大きな電位差の方に転写電流が流れ易いことにもよる。これは、トナー像が感光体11の帯電極性と同じで、感光体11の像露光を受けて感光体電位が除電された個所にトナーが現像されることで感光体11上にトナー像を形成する画像形成装置1の場合に発生する。トナー像の形成されていない個所の感光体電位が高く、トナー像の形成された個所の感光体電位は低いが、転写電位は感光体電位とは逆極性なので、一次転写電圧と感光体電位との差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きくなる。この場合一次転写ローラ62の抵抗値は、望ましくは、5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものが好ましい。5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内では、一次転写ローラ62の低温環境での抵抗上昇があると、上記範囲に入ることが困難となり、二次転写は定電流制御していますので、斥力ローラ67に印加される電圧が上昇し、電流のリークが生じてしまう。そこで、本発明の画像形成層1のように、低温環境下に装置が置かれた場合に、全ての一次転写ローラ62を保温することにより、全ての一次転写ローラ62の抵抗上昇を低減することで、リークの発生を防止することができる。
【0016】
また、中間転写ベルト61に積層されたトナー像は、二次転写ローラ63で記録媒体に二次転写される。二次転写ローラ63には、一次転写ローラ62と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、中間転写ベルト61から、搬送されてきた記録媒体側に引き寄せ移行させることで、二次転写する。
さらに、二次転写ローラ63に対向する中間転写ベルト61の内側には、対向部材67が設けられている。対向部材67に圧力を印加して二次転写ローラ63との距離を近づけることでトナーの転写効率を上げることで、高品位の画像を得ることができる。
また、この対向部材67にトナーと同じ極性の電圧を印加することでトナーに対して斥力を発生させて、斥力部材(以下、「斥力ローラ」と記載する。)67として作用させることができる。この斥力ローラ97に、図示しない電源に接続されており、トナーの電荷の極性とは同じ極性になるように所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。これによって、中間転写ベルト61に積層されたトナー像は、中間転写ベルト61の内側からの斥力による反発で、記録部材9に、トナーを転写させることができる。
さらに、ここでは、二次転写ローラ63と併せて用いることで、さらに、転写効率を上げることができる。この斥力ローラ67と二次転写ローラ63は、図示しない電源に接続されており、各々に対して所定の極性の電圧が印加される。斥力ローラ67と二次転写ローラ63と中間転写ベルト61との接触部が二次転写部であり、中間転写ベルト61上のトナー像が記録部材に転写させることができる。
【0017】
また、中間転写ベルト61には、二次転写後の中間転写ベルト61の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置64が設けられている。クリーニングブレード642が中間転写ベルト61と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレードをカウンタ方式で、中間転写ベルト61に当接し、これによって、中間転写ベルト61上に残留するトナー、汚れとして付着している記録部材の添剤を中間転写ベルト61から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、図示しない容器に貯留する。
さらに、この転写装置60における中間転写ベルト61の内側には、発熱体69と、この発熱体で発生させた熱を一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kに伝える伝熱部材68等とを備えている。これに関しては後述する。
【0018】
さらに、この画像形成装置1には、中間転写ベルト61に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置93が設けられている。潤滑剤塗布装置93は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤932と、固形潤滑剤932に接触して潤滑剤を削り取り、中間転写ベルト61に塗布するブラシローラ931とブラシローラ931で塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレード934を備える。固形潤滑剤932は、直方体状に形成されており、加圧バネ933によってブラシローラ931側に付勢されている。固形潤滑剤932はブラシローラ931によって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネ933で加圧されているために常時ブラシローラ931に当接している。ブラシローラ931は、回転しながら削り取った潤滑剤を中間転写ベルト61表面に塗布する。
なお、同様の機能を有する潤滑剤塗布装置を感光体11に対して配設してもよい。
本実施形態においては、上記ブラシローラ931による潤滑剤塗布位置に対して移動方向の下流側の中間転写ベルト61表面に潤滑剤均し手段としての潤滑剤塗布ブレード934を当接させている。潤滑剤塗布ブレード934は弾性体であるゴムから構成されているものであり、クリーニング手段としての機能も持たせ、中間転写ベルト61の移動方向に対してカウンタ方向に当接してある。上記固形潤滑剤932としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸等の脂肪酸基を有する金属化合物なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0019】
転写装置60の下方には、記録紙上のトナー像を記録紙に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、図示しないが、主に、内部にハロゲンヒータを有する定着ローラと、これに対向し、圧接して配置される加圧ローラとから構成されている。この他に、定着ローラ71の代わりに、図示しないが、内部にハロゲンヒータを有する加熱ローラ及び定着ローラに巻き掛けられた無端の定着ベルトを用いても良い。また、ヒータの代わりにローラに熱を供給する電磁誘導加熱の装置を設けても良い。定着装置70は、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、用紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。
画像形成装置1の最下部には、記録部材等を載置し、転写装置60に向けて記録紙を送り出す給紙装置80が備えられている。
【0020】
ここで、本発明の実施形態に係る画像形成装置では、中間転写ベルト61の内側には、発熱体69と、この発熱体で発生させた熱を一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kに伝える伝熱部材68等とを備えている。
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を説明するための中間転写ベルト周辺の概略図である。
本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、複数の感光体11上に現像されたトナー像を無端状の中間転写ベルト61に一次転写して中間転写ベルト61上でトナー像が重ね合わされ、重ね合わされたトナー像を記録媒体に二次転写する画像形成装置であって、夫々の感光体11に対向する中間転写ベルト61の内面に接触する半導電性の一次転写ローラ62と感光体11の間の電界により夫々の感光体11から中間転写ベルト61に一次転写され、これに対向する中間転写ベルト61の内側の面に接触する半導電性の斥力ローラ67との電界により中間転写ベルト61から記録媒体に二次転写する二次転写ローラ63と、を有する画像形成装置において、無端状の中間転写ベルト61の内側に面状発熱体69体と、面状発熱体69の発生する熱を一次転写部材である一次転写ローラ62に伝える伝熱部材としての伝熱板68とを有する。
面状発熱体(以下、単に「発熱体」と記す。)69は、平板な面状を有することで広い領域で熱を発生させ、画像形成装置1又は中間転写ベルト61の内部に熱を供給することで、内部空間の雰囲気を一定に調整することができる。これによって、転写効率の環境による変動を抑え、一定の転写効率、トナーの転写重量を得ることで高品位の画像を長期に、安定して得ることができる。
ここでは、図2に示すように、伝熱板68は、一次転写ローラ62の下方に延設させる。伝熱板68は、全ての一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kと斥力ローラ67とクリーニングバックアップローラ641の近傍に位置できるように中間転写ベルト61の内部のほぼ全域にわたる大きな部材である。この伝熱板68は、熱伝導性の良い材質を用いるので、中間転写ベルト61の内部をほぼ均一な温度にすることができ、この上方にある一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kの温度も均一にすることができる。さらに、一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kの上方にある感光体11Y、11C、11M、11Kの温度も均一にすることができる。
伝熱板68は、熱伝導性のためには一体物であることが望ましいが、ビス留めや熱伝導性の良い接着材、例えばシリコン系の接着材で接着された構造物でも良い。伝熱板68のほぼ中央に面状発熱体69が配置されており、図9ないし図11の説明個所で後述するように、面状発熱体69の発熱には専用電源を用いても良いし、コンセントから引き込んだ商用電源をそのまま用いても良い。面状発熱体69がビス留めや熱伝導性の良い接着材、例えばシリコン系の接着材により伝熱板68に接触している。さらに、伝熱板68は、一次転写ローラ62に近接又は接触させることで、一次転写ローラ62の温度、また、その周囲の温度、湿度等の環境雰囲気を容易に調整できる。さらに、少ない数の発熱体63が発生する熱を伝熱板68により保温を必要とする一次転写ローラ62にまで伝えることができる。
また、熱は上昇する傾向があり、伝熱板68は、一次転写ローラ62の下方に配設することで、保温の効率を向上させることができる。
このように、面状発熱体69で発生した熱は伝熱板68の面状発熱体69が接触する部分に伝わり、伝熱板68は熱伝導率が良好なので、伝熱板68の全域がほぼ一定の温度になる。保温を必要とする部材は、全ての一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kと斥力ローラ67とクリーニングブレード642と中間転写ベルト61であるが、これら保温を必要とする部材から伝熱板68までの距離はいずれも近く近接させることで、伝熱板68から全ての一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kと斥力ローラ67とクリーニングバックアップローラ641へは、空気や遠赤外線により熱が伝えられる。
【0021】
また、本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、また、中間転写ベルト61の内側を閉じる閉空間を形成するような遮熱板601を設けている。
図3は、遮熱板を設けている転写装置の構成を示す斜視図である。
ここでは、伝熱板68は、中間転写体61の平面の部分全体に近接するように連続した平板で、さらに、斥力ローラ67の方向に向かって鋭角な形状になっている。さらに、発熱体69は、ベルトクリーニング装置64、潤滑剤塗布装置93に近接させて、設けている。
この遮熱板601は、無端状の中間転写ベルト61の両端に配置され、遮熱板601と中間転写ベルト61で囲まれた閉空間を形成する。これによって、発熱体69かた発生した熱は、暖められた空気として閉空間内に長く留まり、閉空間内の雰囲気を一定に調整することができる。さらに、空気の流れが少ないことから、閉空間内で延設された伝熱板68で、一次転写ローラ62に近接させて、一次転写ローラ62の周囲の温度、湿度等の環境雰囲気を容易に調整できる。
このときに、遮熱板601は、中間転写ベルト61を支持するローラ651、652のなかの何れかのローラの両端に配置して、受けてても良い。さらに、この遮熱板601を支持する構造部材として、伝熱板68を利用してもよい。
【0022】
本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、伝熱板68は、さらに、面状発熱体69の発生する熱を斥力ローラ67に伝え、かつ、二次転写ローラ63の電気抵抗が、斥力ローラ67の電気抵抗よりも小さくする。
図4は、本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置を説明するための中間転写ベルト周辺の概略図である。
上述したように、この斥力ローラ67は、トナーと同じ極性の電圧を印加することでトナーに対して斥力を発生させて、かつ、トナーと逆極性の電圧を印加して吸引力を発生させる二次転写ローラ63と併せて用いることで、転写効率を上げることができる。この斥力ローラ67と二次転写ローラ63は、図示しない電源に接続されており、各々に対して所定の極性の電圧が印加される。なお、トナーは、二次転写ローラ63、斥力ローラ67の双方又は何れか一方に所定の電圧を印加して、中間転写ベルト61から記録部材9に転写させることができる。このときに、二次転写ローラ63の電気抵抗を斥力ローラ67の電気抵抗よりも小さくする。
また、図4に示すように、伝熱板68を斥力ローラ67に近接又は接触させる位置に配設している。これによって、斥力ローラ67の温度を制御することが容易になる。また、斥力ローラ67を伝熱板68の下方に配設する。伝熱体68の下方には空気の対流による熱は伝わりにくいので、伝熱体68の下方に位置する斥力ローラ67の近傍に近接させ、又は接触させることで、伝熱体68より温度の高い発熱体69による熱を伝えることで、下方に位置する斥力ローラ67に熱を容易に伝えることができる。
【0023】
また、本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、中間転写ベルト61上のトナーを除去するクリーニングブレード642とこれに対向する中間転写ベルト61内側の面に接触するクリーニングバックアップローラ641とを有し、伝熱板68は、さらに、面状発熱体69の発生する熱を近接又は接触してクリーニングバックアップローラ641に伝える。
クリーニングバックアップローラ641は熱を受けることで、中間転写ベルト61を通して、クリーニングブレード642へ熱が伝えられる。これによって、中間転写ベルト61上のトナーを除去するクリーニングブレード642と中間転写ベルト61を保温することで、両者のヤング率や柔軟性を保持して、良好なクリーニング性を維持することである。
【0024】
本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、複数の感光体11上に現像されたトナー像を無端状の記録媒体搬送ベルト(以下、単に「搬送ベルト」と記す。)66で搬送される記録媒体にトナー像を重ね合わせて転写する画像形成装置1であって、夫々の感光体11に対向する搬送ベルト66の内面に接触する半導電性の転写ローラ16と感光体11の間の電界により夫々の感光体11から搬送ベルト66に転写される画像形成装置1において、前記無端状の搬送ベルト66の内側に面状発熱体69と、面状発熱体69の発生する熱を転写ローラ16に伝える伝熱板68と、を有する。
図5は、本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置を説明するための記録部材9の搬送ベルト周辺の概略図である。この場合にも、図5に示すように、伝熱板68と面状発熱体69を備えている。本実施の形態では、記録紙等の記録部材9は、感光体11とこれに対向する転写ローラ62の間を通って搬送され、
図6は、本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置を説明するための中間転写ベルト周辺の概略図である。
この場合にも、図6に示すように、伝熱板68と面状発熱体69を備えている。しかし、本実施の形態では、支持ローラ653を保温する必要がないので、伝熱板68は、図6に示すように分断した形状であっても良い。
一次転写ローラ62Kを感光体11Kと接触、離間させるための伝熱板68aは、図示しない両端部で一次転写ローラ62Kを感光体11Kに加圧するためのバネを介して一次転写ローラ62Kを支持しており、伝熱板68aが移動または回転することにより、一次転写ローラ62Kが感光体11Kと接触、離間する。そして、この伝熱板68aに発熱体69aが取り付けられている。一次転写ローラ62Y、62C、62Mを感光体11Y、11C、11Mと接触、離間させるための伝熱板68bは、図示しない両端部で一次転写ローラ一次転写ローラ62Y、62C、62Mを感光体11Y、11C、11Mに夫々加圧するためのバネを介して一次転写ローラ62Kを支持しており、伝熱板68bが移動または回転することにより、一次転写ローラ62Y、62C、62Mが感光体11Y、11C、11Mと一括して接触、離間する。
そして、この伝熱板68bに発熱体69bが取り付けられている。カラー画像形成時は、伝熱板68aは一次転写ローラ62Kを感光体11Kに接触させる位置にあり、伝熱板68bも一次転写ローラ62Y、62C、62Mを感光体11Y、11C、11Mに接触させる位置にあり、全ての一次転写ローラが夫々の感光体に中間転写ベルト61を介して接触している。モノカラー形成時は、伝熱板68aは一次転写ローラ62Kを感光体11Kに接触させる位置にあるが、伝熱板68bは一次転写ローラ62Y、62C、62Mを感光体11Y、11C、11Mから離間させる位置にあり、一次転写ローラ62Kだけが二次転写ベルト61を介して感光体11Kに接触しており、K画像だけが形成可能である。画像形成動作などを行っていない待機時は、伝熱板68aは一次転写ローラ62Kを感光体11Kから離間させる位置にあり、伝熱板68bも一次転写ローラ62Y、62C、62Mを感光体11Y、11C、11Mから離間させる位置にあり、全ての一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kが夫々の感光体11Y、11C、11M、11Kから離間して、柔らかい一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kに圧痕が発生するのを防止している。
【0025】
伝熱板68は、銅、アルミニウム及び鉄から選ばれる一種以上を含む金属で形成することが好ましい。伝熱板68の厚さは、0.6〜3mm程度の構造体として通常に使用される厚みでも、金属は熱伝導率が良いので、伝熱板68の温度の均一性は実用的には十分である。伝熱板68はさらに厚くしても良く、厚くするほど、伝熱板68の温度は均一になり保温性も上がる。しかし、伝熱板68を厚くするほど、ヒーターをオンしてから伝熱板68の温度が上昇する立ち上がりが遅くなり、材料や加工のコストが嵩み、また、装置の重量も重くなる。また、面状発熱体69は、耐熱性を有する絶縁性チューブで覆われたニクロム線を蛇行配線してアルミ箔で覆ったもの、カーボン微粉を分散されたゴムや樹脂よりなる中抵抗体を金属などの電極でサンドイッチしたもの、カーボン繊維あるいは金属微粉やカーボン微粉を樹脂に練り込んだ繊維よりなる中抵抗な糸を織って布状にしてこの布の両端などに電極となるように低抵抗な糸を縫い込んだものなどで形成することができる。
一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kは、アクリルニトリルブタジエン(NBR)、エピクロールヒドリン(ECO)及びポリウレタン(PUR)から選ばれる一種以上で形成することが好ましい。斥力ローラ67は、アクリルニトリルブタジエン(NBR)、エピクロールヒドリン(ECO)及びポリウレタン(PUR)から選ばれる一種以上で形成することが好ましい。クリーニングブレード642はポリウレタン(PUR)形成することが好ましい。
本実施の形態では、伝熱板68は厚さ1.6mmのアルミニウム製であり、中間転写ベルト61を支張する駆動ローラ651と従動ローラ652と斥力ローラ67の両端にある軸受けを支持する二つの面板間が捩れず平行度を保つための構造部材となっているので、新たな部品が発生することなく新たなコストも生じない。
【0026】
クリーニングブレード642へは対向するクリーニングバックアップローラ641から中間転写ベルト61を通して熱が伝えられる。さらには、全ての感光体11Y、11C、11M、11Kにも対向する一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kから中間転写ベルト61を通じて熱が伝えられる。また、中間転写ベルト61の内部は半ば閉空間で、伝熱板68は中間転写ベルト61の内部のほぼ全域にわたっているので、中間転写ベルト61の内部全体がほぼ一定温度に保たれて、中間転写ベルト61も場所による温度ムラが少なく保温できる。中間転写ベルト61が大きな装置では伝熱板68も大きくなり、1個の発熱体では保温が足りない部材が生じる場合や、1個の発熱体69では熱量が足りず全ての部材で保温が足りなくなる場合は1個の伝熱板68に二個以上の発熱体を置いても良い。しかし、保温を必要とする部材の数と発熱体69の数が同数となったり、発熱体69の数の方が多くなったりすると本発明の主旨から外れる。
【0027】
面状発熱体69は、特開平3−288174号公報に開示されているような自己温度制御付きの面状発熱体(例えば、セラマック(登録商標))で、特開平9−96971号公報に開示されているように本体装置の制御系とは別系統の電源回路にて、主電源がオフにされた場合や、一定時間以上にわたり装置の使用がない場合に主電源がオフにされた状態になるスリープモードなどになっても、発熱体を作動することができる。特開平3−288174号公報には、面状発熱体は、温度検知素子(例えば、サーミスタ)によって電源を制御することが記載されている。
【0028】
ここで、図2に示す本発明の実施形態に係る画像形成装置と以下の図6及び7に示す画像形成装置とを比較する。
図7は、比較する画像形成装置で、その中間転写ベルト周辺の概略図である。本発明の画像形成装置1と同様に、面状発熱体69を備え、かつ、二次転写ローラ63の下方で一次転写ローラ62K寄りの近傍にも発熱体69を置いている。
図8は、従来の画像形成装置で、その中間転写ベルト周辺の概略図である。本発明の画像形成装置1と異なり、面状発熱体69を備えずに、二次転写ローラ63の下方で一次転写ローラ62K寄りの近傍にも発熱体69を置いている。
本実施の形態は、耐熱性を有する絶縁性チューブで覆われたニクロム線を蛇行配線してアルミ箔で包んだ出力60Wの面状発熱体69を、図2に示す位置に移動したものである。厚さ1.6mmのアルミニウム製の中間転写ベルト61内の構造部材にシリコーン製の接着剤で貼り付けた。そして、各部品の温度が一定になるまで発熱体69に通電し続けたところ、温度が一定になるまで電力を供給し続けて、一定になった各部品の温度と室温との差を記載した。
また、図7及び8では、二次転写ローラ63の下方で一次転写ローラ62K寄りの近傍に置いている。図7及び8に示す画像形成装置1でも同様に、各部品の温度が一定になるまで発熱体に通電し続けたところ、温度が一定になるまで電力を供給し続けて、一定になった各部品の温度と室温との差を記載した。
【0029】
【表1】

【0030】
二次転写電源91は定電流制御で、二次転写ローラ63芯金が接地され、斥力ローラ67の芯金にトナーと同極性のバイアスを印加する、いわゆる斥力方式で実施したが、斥力ローラ67が接地され二次転写ローラ63にトナーと逆極性のバイアスを印加するものであっても良い。
本発明の画像形成装置1における斥力ローラ67は、芯金と、芯金の周りが共重合体の発泡体から構成されている。この発泡体としては、アクリルニトリルブタジエン(NBR)、エピクロールヒドリン(ECO)及びポリウレタン(PUR)から選択される又はこれらの混合物よりなる。実施形態では、アクリルニトリルゴム(NBR)とエピクロールヒドリンゴム(ECO)の共重合体を発泡させた単層からなり、その抵抗値は、表2に示す。
また、本発明の画像形成装置1における二次転写ローラ63は、芯金と、芯金の周りが共重合体から構成されている。この共重合体としては、アクリルニトリルブタジエン(NBR)、エピクロールヒドリン(ECO)及びポリウレタン(PUR)から選択される又はこれらの混合物よりなる。さらに、記録媒体等と接することから、その表面にフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の保護のための表面層を設けても良い。実施形態では、アクリルニトリルゴムブタジエン(NBR)とエピクロールヒドリンゴム(ECO)の共重合体よりなる抵抗層とフッ素系樹脂よりなる表層よりなり、抵抗値は表2に示す。常温23℃50%の抵抗値は斥力ローラ67が7.79logΩ、二次転写ローラ63が6.73logΩで、二次転写ローラ63抵抗が斥力ローラ67抵抗のほぼ1/10である。
【0031】
【表2】

【0032】
また、実施した斥力ローラ67が各測定環境に馴染んでから接地された金属平板の上に置き、ローラ芯金に定電流電源から−50μAを印加して電源電圧を測定して、その電圧およびその電圧と−50μAからオームの法則から計算された抵抗を表2に記載した。電圧は−を示すが表には絶対値で示した。実施した二次転写ローラ63が各測定環境に馴染んでから接地された金属平板の上に置き、ローラ芯金に定電流電源から+50μAを印加して電源電圧を測定して、その電圧およびその電圧と+50μAからオームの法則から計算された抵抗を、記載した。
斥力ローラ67と二次転写ローラ63で芯金に印加する電圧の極性を変えているのは、実際の二次転写時に流れる電流の向きと電流測定における電流の向きを同じにするため。電気抵抗値(Ω)は常用対数(log)で表し、logΩと表示した。装置が10℃15%に置かれて何らの保温しなかった場合は、ローラも二次転写ローラ63も10℃15%のままである。表2に示したように、斥力ローラ67の抵抗は8.19logΩ、二次転写ローラ63の抵抗は6.94logΩとなり、50μAを通電で斥力ローラ67は7.7kV、二次転写ローラ63は0.44kVの電圧になる。二次転写バイアス50μAでの二次転写電圧は斥力ローラ67の電圧7.7kVと二次転写ローラ63の電圧0.44kVを足して8.1kVとなり、中間転写ベルト61の電圧と記録媒体の電圧がさらに加算されるので8.1kVより高くなる。
発熱体の取り付け位置が実施例で保温した場合、斥力ローラ67の温度は19.1℃とほぼ20℃になり空気中の水分量は10℃15%のままなので相対湿度は8%程度になる。二次転写ローラ63は14.6℃とほぼ15℃になり空気中の水分量は10℃15%のままなので相対湿度は11%程度になる。表2に示したように、斥力ローラ67の20℃8%抵抗は7.92logΩ、二次転写ローラ63の15℃11%の抵抗は6.86logΩとなり、50μAを通電で斥力ローラ67は4.2kV、二次転写ローラ63は0.36kVの電圧になる。二次転写バイアス50μAでの二次転写電圧は斥力ローラ67の電圧4.2kVと二次転写ローラ63の電圧0.36kVを足して4.5kVとなり、記録媒体の電圧がさらに加算されるので4.5kVより高くなる。中間転写ベルト61近傍の保温と記録媒体の温湿度は関係ないので記録媒体の電圧は同じなので、保温しなかった場合と比較して二次転写電圧8.1kV−4.5kV=は3.6kV、比率にして3.6kV/8.1kV=44%低くなる。この3.6kV、44%が保温効果である。
【0033】
また、発熱体69の取り付け位置が実施例で保温したが、斥力ローラ67と二次転写ローラ63の抵抗が実施例とは逆だった場合を比較例とする。この場合は表3に示したように、斥力ローラ67の20℃8%における電気抵抗は、6.78(logΩ)、二次転写ローラ63の15℃11%における電気抵抗は、8.07logΩとなり、50μAを通電で斥力ローラ67は0.30kV、二次転写ローラ63は5.9kVの電圧になる。二次転写バイアス50μAでの二次転写電圧は斥力ローラ67の電圧0.30kVと二次転写ローラ63の電圧5.9kVを足して6.2kVとなり、記録媒体の電圧がさらに加算されるので6.2kVより高くなる。中間転写ベルト61近傍の保温と記録媒体の温湿度は関係ないので記録媒体の電圧は同じなので、保温しなかった場合と比較して二次転写電圧8.1kV−6.2kV=は1.9kV比率にして1.9kV/8.1kV=23%低くなる。この1.9kV、23%が保温効果である。
以上のように、上記実施例と上記比較例の比較により、二次転写ローラ63より斥力ローラ67の抵抗を大きくした方が、低温環境下での二次転写電圧の上昇を約2倍低減できる。
【表3】

【0034】
二次転写ローラ63における電気抵抗が高くても保温により二次転写電圧を効率よく低減するためには、中間転写ベルト61の内側だけでなく、従来例のように二次転写ローラ63の近傍にも発熱体69を設ければ良いと考えたのが、表3に示した比較例である。この場合に、2個の発熱体69に各部品の温度が一定になるまで電力を供給し続けて、一定になった各部品の温度と室温との差を表1の比較例の列に示してある。
二次転写ローラ63が+13.0℃、斥力ローラ67が+14.8℃とさらに保温効果は上がる。しかし、一次転写ローラMが+20.9℃、一次転写ローラYが+7.1℃と両者の温度差が13.8℃に大きくなる。実施例は+16.6℃と+5.9℃で両者の温度差が10.6℃となる。
トナーにより差があるが温度が45℃〜55℃と高くなるとトナーが軟化し始めて、トナー詰まりやトナーフィルミングなどが発生し易くなる。比較例の感光体11Mは+20.9℃であり、室温が25℃になると感光体11Mの温度は45℃を超えるようになる。感光体11Mの温度は45℃を超えないように温度制御により発熱体をオフすると今度は、一次転写ローラYの温度が+7.1℃まで上がらなくなり、一次転写ローラ62Yが保温効果不足となる。さらに、一次転写ローラ62Yを温める発熱体を設ければ一次転写ローラ62Yの保温効果不足が解消されるが、発熱体を増やせば増やすほどにはコスト、設置スペース、重量面でさらに不利になる。また、一次転写ローラ62Yを温める発熱体によりさらに感光体11Mの温度が上昇するという不具合が生ずる。
また、クリーニングバックアップローラ221でも、表1では、+11.7℃であり、室温でも、トナーが軟化する温度に達していない。これで、中間転写ベルト61上のトナーを溶融させ、クリーニング不良を生じさせることなく、クリーニングすることができる。また、クリーニングバックアップローラ221が、ほぼ一定の温度にあることで、クリーニング条件の設定範囲が広くなり、長期にわたって安定したクリーニングが可能になる。 したがって、中間転写ベルト61の内側に発熱体69を設けて、中間転写ベルト61の存在による略閉空間の構造を利用して、中間転写ベルト61周囲の部品を略均一に温めるのが最も好ましい。
【0035】
画像形成装置1内を暖めることの副作用として、トナーが作像される経路である現像装置30内や感光体11Y、感光体11C、感光体11M、感光体11K、中間転写ベルト94の温度が上昇し過ぎるとトナーが軟化し始めるので正常な作像ができなくなることが挙げられる。トナーにより差があるが、トナーが92℃以上、場合によっては45℃以上になると、正常な作像ができなくなる。そこで、画像形成装置1における何等かの温度制御が必要となる。
画像形成装置1における温度の制御方法として、例えば図9ないし11に示す制御方法1ないし3が挙げられる。図9ないし11は夫々制御方法1ないし3を示す模式的な概略図である。
図9に示す制御法1において、メインスイッチ94は、機械的機構により、コンセント95側の端子941が端子942と接続されて端子943と切断される状態と、コンセント95側の端子941が端子942と切断されて端子943と接続される状態との2つの状態のどちらかの状態になるように設計されている。そして、コンセント95側の端子941が端子942と接続されて端子943と切断される状態がオン、コンセント95側の端子941が端子942と切断されて端子943と接続される状態がオフと表示されている。
端子942には、画像形成装置1全体を制御する制御盤96に電力を供給する電源971や定着装置70に電力を供給する電源972が接続され、端子943は、保温スイッチ98を介して保温ヒーター99に接続されている。
メインスイッチ94と保温スイッチ98のオフオン毎の画像形成装置1の状態について説明する。メインスイッチ94がオフにされて、保温スイッチ98もオフにされた場合は、装置全体も作動状態にならず、保温ヒーター99も作動しないので、画像形成装置1周囲の温度が低温になった場合は、画像形成装置1内の保温したい部品も保温されない。この状態からメインスイッチ94がオンにされた場合は、画像形成装置1の動作が可能となっても、画像形成装置1内の保温したい部品は低温のままなので、保温したい部品の抵抗上昇などによる画像形成装置1の不具合が発生する。保温スイッチ98は、本発明の目的である画像形成装置1の不具合の解消よりも、保温のために生じる電力を生じさせたくないユーザーが保温をしない選択ができるように設けてある。
【0036】
画像形成装置1全体のメインスイッチ94がオフにされて、保温スイッチ98がオンにされた場合は、保温ヒーター99がコンセント95と接続されて、保温ヒーター99による保温状態となる。そこで、画像形成装置1周囲の温度が低温になった場合も、画像形成装置1内の保温したい部品は保温されている。この状態からメインスイッチ94がオンにされた場合、画像形成装置1の動作が可能となったときに、画像形成装置1内の保温したい部品は保温されているので、保温したい部品の抵抗上昇などによる画像形成装置1の不具合は発生しない。
そして、メインスイッチ94がオンにされると、保温ヒーター99はコンセント95から切断れる。そこで、定着ヒーター68による加熱と保温ヒーター99による加熱とが同時に行われることがないので、画像形成装置1が過剰に温度上昇することが防止される。画像形成装置1が過剰に温度上昇することが防止されるので、トナーの軟化などによる不具合が防止される。図9において、定着温度センサー72、各モーター、各高圧電源、各センサーなど、制御盤96により制御される被制御部品101を示す。
【0037】
図10は画像形成装置における温度の制御方法2を示す模式的な概略図である。図10に示す制御方法2は、保温ヒーター99として自己制御式発熱体102を使用した例である。自己制御式発熱体102とは、ある一定以下の温度では発熱体が発熱するが、一定以上の温度になると発熱体の加熱が行われなくなることによって、温度が一定範囲内に保たれる発熱体を指す。図10に示す制御方法2において、自己制御式発熱体102としては、耐熱性を有する絶縁性チューブで覆われたニクロム線を蛇行配線してアルミニウム箔で包んだ発熱体103と、そのアルミニウム箔に接触させて配置したバイメタル104とを有するものを使用した。発熱体103を構成するニクロム線への電力はバイメタル104を通して供給される。自己制御式発熱体102において、バイメタル104自身の温度が一定以上になるとバイメタル104が切断され、一定温度以下になるとバイメタル104が接触する。そして、バイメタル104は、絶縁性チューブで覆われたニクロム線を包むアルミニウム箔に接触しているので、このアルミニウム箔の温度が一定になるように作用する。
そして、メインスイッチ94とは全く別個に保温スイッチ98を持つ。メインスイッチ94のオンオフに関係なく、保温スイッチ98をオンにすると、発熱体103の温度が一定範囲内に保たれるので、保温したい部品も一定範囲内に保たれる。保温スイッチ98は、本発明の目的である画像形成装置1の不具合の解消よりも、保温のために生じる電力を生じさせたくないユーザーが保温をしない選択ができるように設けてある。
【0038】
図11は画像形成装置における温度の制御方法3を示す模式的な概略図である。図11に示す制御方法3は、メインスイッチ94とは全く別個に保温スイッチ98を持つ例である。すなわち、図11に示すように、保温専用の制御盤105と保温専用の制御盤105に電力を供給する電源973を全体の画像形成装置1とは独自に持ち、メインスイッチ94とは全く別個に保温スイッチ98を持つ。メインスイッチ94のオンオフに関係なく、保温スイッチ98をオンにすると、保温ヒーター99の温度が一定範囲内に保たれるので、保温したい部品も一定範囲内に保たれる。保温スイッチ98は、本発明の目的である画像形成装置1の不具合の解消よりも、保温のために生じる電力を生じさせたくないユーザーが保温をしない選択ができるように設けてある。図11において、106は保温温度センサーである。
【0039】
上記の構成においてフルカラー画像を形成する動作について説明する。
ここで例示した画像形成装置1は、原稿等を自動で搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5,原稿等の画像を読み取るスキャナ部(読取装置)4、画像を形成するための作像ユニットとなるプロセスカートリッジ10等を備える画像形成部3、給紙カセット81等で記録部材を有する給紙部2を備えている。このスキャナ部4は、原稿を載置するためのコンタクトガラス、原稿を予め定めた位置に置くための規制板と光学走査系を有する。光学走査系は、キセノンランプ等の露光ランプ、第1ミラー、第2ミラーと第3ミラー、結像レンズ、フルカラーCCDからなる読取センサ等を有する。コンタクトガラス上の原稿が光学的に走査され、レンズにより読取センサの受光面に結像されて光電変換される。フルカラーの読取センサにより赤(R)、緑(G)及び青(B)の各色に分離された画像信号は、画像処理回路によりA/D変換等された後に、図示しない画像処理部により各種の画像処理が施される。
画像形成装置1では、図示しないスイッチにより画像形成装置1が画像形成動作の準備をする。このときに、発熱体69に通電して発熱させる。画像形成装置1の画像形成動作開始時に発熱体69で発熱させては、中間転写ベルト61の内部に温度等の環境を整えるに時間が必要であり、高品位の画像を得ることができないからである。
【0040】
画像形成動作は、まず、負荷電極性の感光体11に対し、露光装置12のレーザビームにより各感光体11の表面に形成された色毎の静電潜像が形成される。つぎに、現像装置40で、感光体11の帯電極性と同極性(負極性)の所定の色のトナーで現像され、顕像となる反転現像がおこなわれる。このときに、無端状の中間転写ベルト61が、複数のローラ651〜653により支持されて、感光体11Y、11C、11M、11Kの上部に設けられて、各感光体11Y、11C、11M、11Kの現像工程後の一部が接触するように張架、配置されて、走行している。また、中間転写ベルト61には、各感光体11Y、11C、11M、11Kに形成されたトナー画像を1次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kで、中間転写ベルト61上に転写され、トナー画像が重ねられて、未定着の画像が形成される。中間転写ベルト61の外周部には、ローラ641に対向する位置にベルトクリーニング装置64が設けられている。このベルトクリーニング装置64は、中間転写ベルト61の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。さらに、中間転写ベルト61の外周で、対向部材である斥力ローラ67の対向する位置には、2次転写ローラ63が設けてある。中間転写ベルト61と2次転写ローラ63の間に記録部材9を通過させながら、2次転写ローラ63、斥力ローラ67にバイアスを印加することで中間転写ベルト61が担持するトナー画像が記録部材9に転写される。このときに、既に発熱体69は、一次転写ローラ62、二次転写ローラ63、斥力ローラ67を一定の温度にしておくことで、転写での画像の乱れが少なく、かつ、転写ニップ部の広い範囲で転写率が高くすることができ、高品位の画像を記録部材9に転写することができる。2次転写ローラ63に印加される転写電圧の極性は、トナーの極性と逆のプラス極性である。これらの中間転写ベルト61に関連する部材は、中間転写ベルト61とともに転写装置60として一体的に構成してあり、画像形成装置1に対し着脱が可能となっている。
画像形成装置1の下側には記録部材9を供給可能に収納した給紙カセット81を備える給紙装置80が配備されている。この給紙カセット81から、確実に記録部材9の一枚だけが搬送ローラ82によりレジストローラ84に送られる。更に、二次転写ローラ63を通過した記録部材9は、搬送方向下流に備えられた定着装置70まで搬送される。定着後の記録部材9は、排紙ローラ85により、画像形成装置1の外に設けた排紙トレイに排紙、スタックさせる。
本発明の画像形成装置1によって、転写での画像の乱れが少なく、かつ、転写率が高くすることができ、高濃度で、高品位な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 スキャナ部
5 原稿自動搬送装置(ADF)
9 記録部材
10 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
11 感光体
12 露光装置
20 帯電装置
21 帯電ローラ
30 現像装置
31 トナー補給ユニット
32 現像スリーブ
40 クリーニング装置
41 クリーニングブレード
42 回収ローラ
60 転写装置
601 遮熱板
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラ
63 二次転写ローラ
64 ベルトクリーニング装置
641 クリーニングバックアップローラ
642 クリーニングブレード
65 支持ローラ
651 従動ローラ
652 駆動ローラ
653 支持ローラ
66 搬送ベルト
661 転写ローラ
67 斥力ローラ(対向部材)
68 伝熱板(伝熱部材)
69 面状発熱体
70 定着装置
71 定着ヒーター
72 定着温度センサー
80 給紙装置
81 給紙カセット
82 給紙ローラ
83 搬送ローラ
84 レジストローラ
85 排紙ローラ
91 高圧電源
92 テンションローラ
93 潤滑材塗布装置
931 ブラシローラ
932 固体潤滑剤
933 加圧バネ
94 メインスイッチ
941、942、943 端子
95 コンセント
96 制御盤
97 電源
971、972、973 電源
98 保温スイッチ
99 保温ヒーター
101 被制御部品
102 自己制御式発熱体
103 発熱体
104 バイメタル
105 保温専用の制御盤
106 保温温度センサー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開平9−96971号公報
【特許文献2】特開平3−288174号公報
【特許文献3】特許第3214889号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体上に現像されたトナー像を、無端状の中間転写体に一次転写して中間転写体上でトナー像が重ね合わされ、重ね合わされたトナー像を記録媒体に二次転写する画像形成装置であって、
夫々の像担持体に対向する中間転写体の内面に設けられている半導電性の一次転写部材と像担持体の間の電界により夫々の像担持体から中間転写体に一次転写され、
これに対向する中間転写体の内側の面に接触する半導電性の対向部材との電界により中間転写体から記録媒体に二次転写する二次転写部材と、を有する画像形成装置において、
前記中間転写体の内側に発熱体と、
該発熱体の発生する熱を一次転写部材に近接又は接触して伝える伝熱部材と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記複数の像担持体を横方向に並列し、
夫々の像担持体に対向する中間転写体の内面に接触する一次転写部材の下方に、発熱体の熱を伝える伝熱部材が配設されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記無端状の中間転写体の内側を閉じて閉空間を形成する遮熱板を設ける
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
複数の像担持体に対向する中間転写体の内部に位置する半導電性の一次転写部材と、
像担持体の間の電界により夫々の像担持体から無端状の中間転写体にトナー像が一次転写されて、中間転写体上で夫々の像担持体からのトナー像が重ね合わされて、
中間転写体のトナー像側に記録媒体を挟んで接触する二次転写部材と該二次転写部材に対向して中間転写体のトナー像と反対側に接触する対向部材とを有し、
二次転写部材と対向部材との間に電位差を設けることで、中間転写体上の重ね合わされたトナー像を記録媒体に転写する電界を形成する画像形成装置において、
前記中間転写体の内側に発熱体と、
前記発熱体の発生する熱を対向部材に近接又は接触して伝える伝熱部材とを有し、
前記二次転写部材の電気抵抗が、前記対向部材の電気抵抗よりも小さい
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記伝熱部材は、前記発熱体の熱を前記対向部材に伝える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記対向部材が伝熱部材の下方に配設し、
該対向部材に近接又は接触させた発熱体を配設する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記中間転写体上のトナーを除去するクリーニング部材とこれに対向する中間転写体内側の面に接触するクリーニングバックアップ部材とを有し、
前記伝熱部材は、前記発熱体の発生する熱を近接又は接触して前記クリーニングバックアップ部材に伝える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記クリーニングバックアップ部材が伝熱部材の下方に位置し、
該クリーニングバックアップ部材の伝熱部材に近接又は接触した位置に発熱体を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記無端状の中間転写体の内側を閉じて閉空間を形成する遮熱板対を設ける
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
複数の像担持体上に現像されたトナー像を無端状の記録媒体搬送体で搬送される記録媒体にトナー像が重ね合わせて転写する画像形成装置であって、
前記記録媒体搬送体の内面に接触する半導電性の転写部材と像担持体の間の電界により夫々の像担持体から記録媒体搬送体に転写される画像形成装置において、
前記記録媒体搬送体の内側に発熱体と、
該発熱体の発生する熱を転写部材に伝える伝熱部材と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
複数の像担持体を横方向に並列させ、
夫々の像担持体に対向する記録媒体搬送体の内面に接触する半導電性の転写部材の下方に、発熱体の熱を近接又は接触して伝える伝熱部材が配設されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成装置において、
記録媒体搬送体上のトナーを除去するクリーニング部材と、
これに対向する記録媒体搬送体内側の面に接触するクリーニングバックアップ部材とを有し、
前記伝熱部材は、前記発熱体の発生する熱を近接又は接触して前記クリーニングバックアップ部材に伝える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、
前記無端状の記録媒体搬送体の内側を閉じて閉空間を形成する遮熱板対を設ける
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−164934(P2010−164934A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131729(P2009−131729)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】