説明

画像形成装置

【課題】低融点トナーを使用する画像形成装置におけるトナーボトルの効果的冷却とともに、プロセスエリアとトナーボトルエリアとを定着部から熱的に遮断する。
【解決手段】プロセスエリア2の空気を、ファン811で吸引して、第1ダクト部81を流して、転写ベルト3と台板61との間の空間101に吹き出し、流入口821、823、825等を通して、トナーボトルエリア6内に流入させて、排気口へ向けて流すようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーボトル冷却機構を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置、及びこれらの複合機等の、画像形成装置であって、低融点トナーを使用する装置においては、トナーボトルの周辺温度の上昇を抑制するための手段が、従来から、種々採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1の画像形成装置では、トナーボトルを冷却するためのファンを設け、外気を、該ファンによって、吸引して、トナーボトルの上面に流し、これによって、トナーボトルを冷却するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−233292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、低融点トナーを使用する画像形成装置においては、トナーボトルを更に効果的に冷却することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数個のプロセスユニットが横方向に並設されたプロセスエリアと、プロセスエリアの上方に位置し且つプロセスエリアを通過する、転写ベルトと、プロセスエリアの横方向一方側に位置する、転写ベルトクリーナーユニットと、プロセスエリアの横方向他方側に位置する、画像定着部と、転写ベルトの上方において台板上に複数個のトナーボトルが横方向に並設された、トナーボトルエリアと、を装置本体の内部に、備えており、トナーボトルエリアが、下面の上記台板と上面の排紙トレイ面とで区画されており、各トナーボトルが、上記横方向に対して直交する前後方向に沿った形態で、配置されている、画像形成装置において、トナーボトル冷却機構を備えており、該冷却機構が、プロセスエリアの転写ベルトクリーナーユニット側において、プロセスエリアの空気を、ファンで吸引して、転写ベルトクリーナーユニット側から、転写ベルトと上記台板との間の空間に、吹き出す、第1ダクト部と、第1ダクト部から転写ベルトと上記台板との間の空間に吹き出された空気を、トナーボトルエリア内に流入させるように、上記台板に形成された、流入口と、トナーボトルエリア内に流入した空気を、トナーボトルエリアの画像定着部側から排出するように形成された、排気口と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プロセスエリアから吸引された空気が、流入口を通って、トナーボトルエリア内を排気口へ向けて流れるので、トナーボトルを効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の画像形成装置の正面断面略図である。
【図2】図1の装置における冷却機構の作動状態を示す正面断面略図である。
【図3】図2の作動状態を示す平面断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の画像形成装置の正面断面略図である。図2は、図1の装置における冷却機構の作動状態を示す正面断面略図である。図3は、図2の作動状態を示す平面断面略図である。この装置1は、装置本体10の内部に、プロセスエリア2と、転写ベルト3と、転写ベルトクリーナーユニット4と、画像定着部5と、トナーボトルエリア6と、を備えている。
【0010】
プロセスエリア2では、4個のプロセスユニット21、22、23、24が横方向(矢印X方向)に並設されている。プロセスユニット21はイエロー用であり、プロセスユニット22はマゼンタ用であり、プロセスユニット23はシアン用であり、プロセスユニット24はブラック用である。
【0011】
転写ベルト3は、横方向両側に位置するローラ31、32に掛け渡されている。転写ベルト3は、プロセスエリア2の上方に位置し且つプロセスエリア2を通過している。転写ベルト3には、4個のプロセスユニット21、22、23、24によって、4色のトナー像が形成されるようになっている。
【0012】
転写ベルトクリーナーユニット4は、プロセスエリア2の横方向の一方側(図1では左側)に位置している。このユニット4は、転写ベルト3上の使用済みのトナーを、転写ベルト3から除去するようになっている。
【0013】
画像定着部5は、プロセスエリア2の横方向の他方側(図1では右側)に位置している。画像定着部5は、2次転写部51で用紙に転写されたトナー像を、熱によって定着させるようになっている。
【0014】
トナーボトルエリア6は、転写ベルト3の上方に位置している。トナーボトルエリア6は、下面の台板61と上面の排紙トレイ面62とで区画されている。トナーボトルエリア6では、台板61上に4個のトナーボトル63、64、65、66が横方向に並設されている。各トナーボトル63、64、65、66は、図3に示されるように、横方向に対して直交する前後方向(矢印Y方向)に沿った形態で、配置されている。
【0015】
そして、本発明の装置1は、トナーボトル冷却機構を備えている。この冷却機構は、第1ダクト部81と、流入口821〜826と、排気口83と、第2ダクト部84と、を備えている。
【0016】
第1ダクト部81は、プロセスエリア2の転写ベルトクリーナーユニット4側に位置している。第1ダクト部81は、プロセスエリア2の空気を、ファン811で吸引して、ユニット4側から、転写ベルト3と台板61との間の空間101に、吹き出すようになっている。なお、プロセスエリア2の空気は、装置本体10の後板の吸引口(図示せず)から取り入れられるようになっている。
【0017】
流入口821〜826は、第1ダクト部81から空間101に吹き出された空気を、トナーボトルエリア6内に流入させるように、台板61に形成されている。なお、流入口821〜826は、ここでは矩形に形成されているが、円形、楕円形、又はその他の形状に形成されてもよい。
【0018】
具体的には、流入口821、822は、隣接するトナーボトル63、64の間であるボトル間位置60Aに形成されている。流入口821は、前後方向の前側に形成されており、流入口822は、前後方向の略中央に形成されている。流入口821は、流入口822より大きく形成されている。流入口823、824は、隣接するトナーボトル64、65の間であるボトル間位置60Bに形成されている。流入口823は、前後方向の前側に形成されており、流入口824は、前後方向の略中央に形成されている。流入口823は、流入口824より大きく形成されている。流入口825、826は、隣接するトナーボトル65、66の間であるボトル間位置60Cに形成されている。流入口825は、前後方向の前側に形成されており、流入口826は、前後方向の略中央に形成されている。流入口825は、流入口826より大きく形成されている。
【0019】
排気口83は、図3に示されるように、トナーボトルエリア6の上面の排紙トレイ面62の、画像定着部5側に且つ前後方向の後側に、形成されている。排気口83は、トナーボトルエリア6内に流入した空気を、外部に排出するように形成されている。
【0020】
第2ダクト部84は、トナーボトルエリア6内の画像定着部5側に形成されている。第2ダクト部84は、第1ダクト部4から空間101に吹き出された空気を、ファン842によって、下方の開口841から排気口83へ導くように構成されている。開口841は、第2ダクト部84において前後方向の前側に形成されている。
【0021】
上記構成の画像形成装置1において、上記構成の冷却機構は次のように作動する。
【0022】
(1)冷却機構がオンすると、ファン811、842が作動する。ファン811が作動すると、プロセスエリア2の空気が、ファン811によって吸引され、第1ダクト部81を流れて、ユニット4側から空間101に、吹き出される。これにより、プロセスエリア2には、装置本体10の後板の吸引口(図示せず)から、外気が積極的に取り入れられる。したがって、プロセスエリア2は、効果的に冷却される。
【0023】
(2)次に、空間101に吹き出された空気の一部は、流入口821〜826を通って、トナーボトルエリア6内に流入し、トナーボトルエリア6内を排気口83に向けて流れて、排気口83から外部へ排出される。これにより、トナーボトルエリア6内には、空気の流れができ、それによって、トナーボトル63、64、65、66は冷却される。
【0024】
しかも、流入口821、823、825が、前後方向の前側に位置しているので、空間101に吹き出された空気は、前側から、トナーボトルエリア6内に流入し、後側に位置している排気口83に向けて流れる。すなわち、空気は、トナーボトルエリア6内を、前から後へ流れる。また、流入口821が、ユニット4側に位置しているので、空間101に吹き出された空気は、ユニット4側から、トナーボトルエリア6内に流入し、後側に位置している排気口83に向けて流れる。すなわち、空気は、トナーボトルエリア6内を、横方向へ流れる。したがって、トナーボトルエリア6内に流入した空気は、トナーボトルエリア6内を、横方向に且つ平面視斜め方向に且つ上方向に、流れる。それ故、トナーボトルエリア6内において、空気は、略全域を流れる。したがって、トナーボトル63、64、65、66は、効果的に冷却される。
【0025】
また、トナーボトルエリア6内において、空気は、排紙トレイ面62の裏面に沿っても流れるので、排紙トレイ面62とトナーボトル63、64、65、66との間には、所謂エアーカーテンができる。したがって、排紙トレイ面62上に排紙された用紙からトナーボトルエリア6への熱移動が、抑制される。
【0026】
更に、流入口822、824、826も形成されているので、トナーボトルエリア6内に流入する空気量が多くなる。したがって、トナーボトル63、64、65、66は、より効果的に冷却される。なお、流入口822、824、826は、それぞれ、流入口821、823、825より小さいので、トナーボトルエリア6内における上述した空気の流れ方向を妨害しない。
【0027】
(3)一方、空間101に吹き出された空気の残りは、空間101を画像定着部5側に向けて流れ、開口841を通って、第2ダクト部84を流れて、排気口83から外部へ排出される。すなわち、空間101に吹き出された空気が、転写ベルト3に沿って、横方向に流れるので、転写ベルト3は、効果的に冷却される。したがって、画像定着部5の熱がプロセスエリア2へ伝わるのが、抑制される。
【0028】
また、第2ダクト部84においては、開口841から排気口83に向けて、すなわち、前から後に向けて且つ下から上に向けて、すなわち、略全域に渡って、空気が流れるので、画像定着部5とトナーボトルエリア6とは、熱的に遮断される。したがって、画像定着部5の熱がトナーボトルエリア6へ伝わるのが、抑制される。よって、この点からも、トナーボトル63、64、65、66は、効果的に冷却される。
【0029】
以上のように、上記構成の冷却機構によれば、プロセスエリア2を効果的に冷却でき、トナーボトル63、64、65、66を効果的に冷却でき、排紙された用紙からトナーボトルエリア6への熱移動を抑制でき、更に、画像定着部5の熱がプロセスエリア2及びトナーボトルエリア6へ伝わるのを、抑制できる。
【0030】
なお、台板61に形成する流入口は、上述した6個に限らない。また、1個のボトル間位置に形成する流入口は、上述した2個に限らず、3個以上でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の画像形成装置は、特にトナーボトルを効果的に冷却できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0032】
1 画像形成装置 10 装置本体 101 空間 2 プロセスエリア 21、22、23、24 プロセスユニット 3 転写ベルト 4 転写ベルトクリーナーユニット 5 画像定着部 6 トナーボトルエリア 61 台板 62 排紙トレイ面 63、64、65、66 トナーボトル 60A、60B、60C ボトル間位置 81 第1ダクト部 811 ファン 821〜826 流入口 83 排気口 84 第2ダクト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のプロセスユニットが横方向に並設されたプロセスエリアと、
プロセスエリアの上方に位置し且つプロセスエリアを通過する、転写ベルトと、
プロセスエリアの横方向一方側に位置する、転写ベルトクリーナーユニットと、
プロセスエリアの横方向他方側に位置する、画像定着部と、
転写ベルトの上方において台板上に複数個のトナーボトルが横方向に並設された、トナーボトルエリアと、を装置本体の内部に、備えており、
トナーボトルエリアが、下面の上記台板と上面の排紙トレイ面とで区画されており、
各トナーボトルが、上記横方向に対して直交する前後方向に沿った形態で、配置されている、
画像形成装置において、
トナーボトル冷却機構を備えており、
該冷却機構が、
プロセスエリアの転写ベルトクリーナーユニット側において、プロセスエリアの空気を、ファンで吸引して、転写ベルトクリーナーユニット側から、転写ベルトと上記台板との間の空間に、吹き出す、第1ダクト部と、
第1ダクト部から転写ベルトと上記台板との間の空間に吹き出された空気を、トナーボトルエリア内に流入させるように、上記台板に形成された、流入口と、
トナーボトルエリア内に流入した空気を、トナーボトルエリアの画像定着部側から排出するように形成された、排気口と、
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
上記流入口が、隣接するトナーボトルの間であるボトル間位置に形成されており、且つ、少なくとも前側に形成されており、且つ、少なくとも転写ベルトクリーナーユニット側に形成されており、
上記排気口が、後側に形成されている、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記流入口が、少なくとも1つのボトル間位置において、上記前後方向に沿って、複数個形成されており、
前側の上記流入口が、後側の上記流入口より、大きく形成されている、
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナーボトル冷却機構が、
第1ダクト部から転写ベルトと上記台板との間の空間に吹き出された空気を、画像定着部側において下方から上記排気口へ導くように構成された、第2ダクト部を、更に、備えている、
請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−223994(P2010−223994A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68073(P2009−68073)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】