説明

画像形成装置

【課題】 板金フレームと樹脂フレームとを互いに固定してなるフレームを有する画像形成装置において、装置を大型化させることなく線膨張率の相違による寸法差を吸収し、しかも、熱膨張/収縮によって固定具が緩むのも抑制すること。
【解決手段】 樹脂フレーム300の板金フレーム100側側面には、穴320を円環状に囲んで突出した環状当接部327が形成されている。このため、穴320の縁部321は板金フレーム100から浮き上がり、段ネジ420を、段部421が板金フレーム100に当接するまで締め付けた際、頭部423が縁部321に密着または圧接される。このため、その固定箇所近傍の樹脂フレーム300は、板金フレーム100や段ネジ420の頭部423からの摩擦力を受けながらも、大径に構成された穴320の範囲で板金フレーム100に対して相対移動可能になり、線膨張率の相違による寸法差が吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置に関し、詳しくは、その画像形成手段を支持するフレームが、板金フレームと樹脂フレームとを複数の固定箇所で互いに固定して構成された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザプリンタ等の画像形成装置では、画像形成手段を構成する感光体ドラム等を、板金フレームと樹脂フレームとを互いに固定して構成されたフレームによって支持することが考えられている。すなわち、樹脂フレームは複雑な形状の加工が容易なので、設計の自由度を高くすることができる。しかしながら、樹脂フレームは剛性が低い。そこで、この樹脂フレームを剛性の高い板金フレームに複数の固定箇所で固定することによって、樹脂フレームを補強して各部の位置精度を向上させることができるのである。
【0003】
ところが、樹脂フレームと板金フレームとでは線膨張率が異なるため、画像形成装置の温度変化により、上記複数の固定箇所の間で樹脂フレームの寸法と板金フレームの寸法とに差が生じ、両者を互いに固定してなる上記フレームが反る可能性がある。そこで、上記固定箇所の樹脂フレームに板金フレームとは反対側に突出したネジボスを形成し、そのネジボスのネジ穴周囲に板金フレームとは反対側に陥没した凹部を形成することが提案されている。この場合、ネジボスが板金フレームの面に沿った方向に撓み変形可能となり、上記寸法差を吸収することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、線膨張率の相違による寸法差を吸収するための構成としては、ボス部の周囲に環状溝を設けると共に、その環状溝を挟んで対向する外側部とボス部とを変形可能な橋部を介して接続することも提案されている。この場合、橋部が撓み変形することによってボス部が外側部に対して変位可能になり、線膨張率の相違による寸法差を吸収することができる(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2008−9260号公報
【特許文献2】実公昭60−32408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1記載の構成では、樹脂フレームが熱膨張/収縮を繰り返すとネジが挿入方向に変位し、ネジが緩む可能性があった。また、特許文献2に記載のようにボス部の周囲に環状溝と橋部とを設けると、板金フレームと樹脂フレームとの接合面方向に装置が大型化してしまう。そこで、本発明は、板金フレームと樹脂フレームとを互いに固定してなるフレームを有する画像形成装置において、装置を大型化させることなく線膨張率の相違による寸法差を吸収し、しかも、熱膨張/収縮によって固定具が緩むのも抑制することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達するためになされた本発明の画像形成装置は、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、板金フレームと樹脂フレームとを複数の固定箇所で互いに固定して構成され、上記画像形成手段を支持するフレームと、を備え、上記板金フレームと上記樹脂フレームとは、各々の熱膨張/収縮に拘わらず互いに対向する位置に位置決めされる基準点を有すると共に、上記各固定箇所にそれぞれ穿設された各穴に固定具を挿入して互いに固定され、少なくとも1つの上記固定箇所では、上記樹脂フレームに穿設された上記穴は、上記板金フレームとは反対側から上記固定具を挿入され、その固定具及び上記板金フレームに対して上記基準点から近接または離間する方向へ上記樹脂フレームの変位を許可するように少なくとも1方向へ大径に構成され、上記樹脂フレームには、当該穴を囲む環状に上記板金フレーム方向へ突出して上記板金フレームに当接することにより、当該穴の縁部と上記板金フレームとの接触を抑制する環状当接部が形成され、上記固定具には、その固定具の上記穴への挿入量を、上記縁部に当該固定具の頭部が密着または圧接され、かつ、上記縁部を上記板金フレームに圧接しない挿入量に規制する挿入量規制手段が設けられたことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明の画像形成装置では、画像形成手段を支持するフレームは、板金フレームと樹脂フレームとを複数の固定箇所で互いに固定して構成され、その板金フレームと樹脂フレームとは、各々の熱膨張/収縮に拘わらず互いに対向する位置に位置決めされる基準点を有している。そして、少なくとも1つの上記固定箇所では、上記樹脂フレームに穿設され上記板金フレームとは反対側から固定具を挿入される穴が、その固定具及び上記板金フレームに対して上記基準点から近接または離間する方向へ上記樹脂フレームの変位を許可するように少なくとも1方向へ大径に構成されている。このため、上記固定箇所では樹脂フレームが固定具及び板金フレームに対して変位可能となり、樹脂フレームと板金フレームとの線膨張率の相違による寸法差を吸収することができる。
【0008】
また、上記樹脂フレームには、上記固定箇所の穴を囲む環状に上記板金フレーム方向へ突出した環状当接部が形成され、その環状当接部が上記板金フレームに当接することによって、当該穴の縁部と上記板金フレームとの接触が抑制される。更に、上記固定具の上記穴への挿入量は、挿入量規制手段によって、上記縁部に当該固定具の頭部が密着または圧接され、かつ、上記縁部を上記板金フレームに圧接しない挿入量に規制される。
【0009】
このため、挿入規制手段によって規制される挿入量まで上記穴に固定具を挿入した状態では、上記環状当接部によって樹脂フレーム側の穴の縁部を板金フレームから浮かせ、その縁部を固定具の頭部に密着または圧接させることができる。このようにして板金フレームと樹脂フレームとを固定することにより、樹脂フレームの上記1つの固定箇所近傍は、環状当接部を介して板金フレームからの摩擦力を、縁部を介して固定具の頭部からの摩擦力を、それぞれ受けながらも、上記のように大径に構成された穴の範囲で板金フレームに対して相対移動可能になる。
【0010】
従って、本発明では、前述のように線膨張率の相違による寸法差を吸収してフレームの撓みを抑制しつつ適度な強度で板金フレーム,樹脂フレームを固定することができる。また、本発明では、樹脂フレームに環状当接部を設けるだけでよいので、前述のように環状溝や橋部を設ける場合に比べて装置が大型化せず、熱膨張/収縮による固定具の挿入方向への変位も生じ難いので固定具が緩むことも抑制できる。
【0011】
なお、本発明は以下の構成に限定されるものではないが、上記基準点に最も近い上記固定箇所では、上記挿入量規制手段を有さない固定具によって上記樹脂フレームと上記板金フレームとが互いに変位不能に固定されてもよい。すなわち、基準点に最も近い固定箇所では線膨張率の相違による寸法差が最小となる。そこで、このような固定箇所では穴や固定具に一般的な構成を採用することにより、画像形成装置の製造コストを良好に低減することができる。
【0012】
そして、この場合、上記挿入量規制手段が設けられる固定具は、上記挿入量規制手段を有さない固定具に比べて上記頭部が大径に構成され、上記基準点に最も近い上記固定箇所では、上記樹脂フレームの上記固定具が挿入される側に、上記挿入量規制手段を有さない固定具の頭部とは干渉せずにその固定具の挿入を許可し、上記挿入量規制手段が設けられる固定具の頭部とは干渉してその固定具の挿入を阻止する干渉部が形成されてもよい。この場合、上記基準点に最も近い固定箇所における樹脂フレームの穴に上記挿入量規制手段が設けられた固定具を誤って挿入しようとすると、干渉部によってその挿入が阻止される。このため、フレームの組立時に、上記基準点に最も近い固定箇所と他の固定箇所とで作業者が固定具を間違えるのを抑制することができる。従って、フレームの組立作業を効率化することができる。
【0013】
また、上記各画像形成装置において、上記画像形成手段は、複数の色に対応して複数の画像形成部を直列に配列して構成され、上記基準点は、両端の上記画像形成部よりも中央の上記画像形成部に近い位置に設けられてもよい。この場合、上記板金フレームと上記樹脂フレームとは、中央の画像形成部に近い位置に設けられた基準点において、各々の熱膨張/収縮に拘わらず互いに対向する位置に位置決めされる。このため、各色に対応する画像形成部の位置関係をできるだけ正確に維持して色ずれを抑制することができる。
【0014】
また、上記樹脂フレームの上記固定具が挿入される側には、上記各穴周囲に、当該穴から脱落した上記固定具を受け止める受け止め部がそれぞれ形成されてもよい。この場合、フレームの組立時に、板金フレーム,樹脂フレームを鉛直に立てた状態で固定具の挿入作業を行う場合などにも、固定具が作業台まで脱落してしまうのを、受け止め部で固定具を受け止めることによって抑制することができる。このため、フレームの組立作業を効率化することができる。
【0015】
また、上記基準点では、上記板金フレームまたは上記樹脂フレームに穿設された位置決め穴に、上記樹脂フレームまたは上記板金フレームから突設された軸が嵌合してもよい。この場合、位置決め穴に軸が嵌合した構造によって、上記基準点における板金フレームと樹脂フレームとの位置決めを一層正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1.プリンタの全体構成
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された画像形成装置の一例としてのプリンタ1の構成を表す中央断面図である。なお、以下の説明において、方向に言及する場合には、図1に示す方向を基準とする。また、左右方向と幅方向とは、同一方向である。
【0017】
プリンタ1は、ダイレクトタンデムタイプのカラーLEDプリンタである。図1に示すように、プリンタ1の、フレームの一例としての本体ケーシング2内には、感光体の一例としての、4つの感光体ドラム3が、前後方向に沿って直列に配列されている。
【0018】
なお、以下の説明では、4つの感光体ドラム3を、トナー像の各色(ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン)に対応して、感光体ドラム3K(ブラック),感光体ドラム3Y(イエロー),感光体ドラム3M(マゼンタ),感光体ドラム3C(シアン)として必要に応じて区別する。各感光体ドラム3には、スコロトロン型帯電器4、LEDユニット5、及び、現像ローラ6が対向配置されている。
【0019】
感光体ドラム3は、その表面がスコロトロン型帯電器4によって一様に帯電された後、LEDユニット5から照射される光によって露光される。これにより、感光体ドラム3の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。静電潜像は、現像ローラ6に担持されるトナーによって可視像化され、感光体ドラム3の表面上に、現像剤像の一例としてのトナー像が担持される。
【0020】
被記録媒体の一例としての用紙Pは、本体ケーシング2内の給紙カセット7に収容されている。給紙カセット7に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト8に給紙される。搬送ベルト8は、各感光体ドラム3K,3Y,3M,及び3Cと、それらに対向する転写ローラ9との間に配置されている。各感光体ドラム3の表面上のトナー像は、転写ローラ9に印加された転写バイアスによって、搬送ベルト8に搬送される用紙P上に転写され、順次重ね合わされる。
【0021】
4色のトナー像が転写された用紙Pは、定着部10に搬送される。用紙P上に転写されたトナー像は、定着部10で熱定着される。その後、用紙Pは、各種ローラにより、排紙トレイ11に排紙される。
【0022】
2.プロセスカートリッジの構成
次に、図2は、上記感光体ドラム3及び現像ローラ6を備えた画像形成手段の一例としてのプロセスカートリッジ12の構成を表す後左側斜視図である。図3は、現像カートリッジ14の構成を表す左側面図(後述のギヤカバー55装着状態)である。図4は、現像カートリッジ14の構成を表す左側面図(ギヤカバー55離脱状態)である。更に、図5は、現像カートリッジ14を取り外した状態の本体ケーシング2の内部構成を表す後右側斜視図である。
【0023】
プリンタ1は、図1に示すように、各色に対応して、4つのプロセスカートリッジ12を備えている。なお、以下の説明では、4つのプロセスカートリッジ12を、各色に対応して、プロセスカートリッジ12K(ブラック),プロセスカートリッジ12Y(イエロー),プロセスカートリッジ12M(マゼンタ),プロセスカートリッジ12C(シアン)として区別する。
【0024】
各プロセスカートリッジ12は、本体ケーシング2内に着脱自在に装着されており、前後方向に沿って直列に配列されている。すなわち、4つのプロセスカートリッジ12は、本体ケーシング2において、前方から後方に向かって、プロセスカートリッジ12K、プロセスカートリッジ12Y、プロセスカートリッジ12M、及び、プロセスカートリッジ12Cとなるように、順次配置されている。
【0025】
本体ケーシング2の上壁には、トップカバー15がLEDユニット5と一緒に開閉自在に設けられている。トップカバー15の開放により、各プロセスカートリッジ12を、本体ケーシング2に対して着脱させることができる。また、プロセスカートリッジ12は、図1及び図2に示すように、ドラムカートリッジ13と、ドラムカートリッジ13に着脱自在に装着される現像カートリッジ14とを備えている。
(1)ドラムカートリッジ
ドラムカートリッジ13は、ドラムフレーム16と、そのドラムフレーム16に設けられる感光体ドラム3及びスコロトロン型帯電器4とを備えている。ドラムフレーム16は、図2及び図5に示すように、後側下方に配置されるドラム支持部17と、前側上方に配置される現像カートリッジ収容部18とを一体的に備えている。
(1−1)ドラム支持部
ドラム支持部17は、幅方向に沿って延び、後側下方から前側上方に沿って開放される略ボックス形状をなし、天壁19と、天壁19と間隔を隔てて配置される底壁20と、天壁19及び底壁20の幅方向両端部を連結する両側壁21とを備えている。感光体ドラム3は、天壁19と底壁20との間において、幅方向に沿って配置され、両側壁21に回転自在に支持されている(図1参照)。
【0026】
また、左側の側壁21には、図2に示すように、感光体ドラム3を駆動するためのドラム側入力カップリング22が設けられている。ドラム側入力カップリング22は、感光体ドラム3の左側端部に同軸状に配置され、感光体ドラム3に対して相対回転不能に結合されている。また、ドラム側入力カップリング22は、左側の側壁21から左方へ突出するように設けられている。
【0027】
また、左側の側壁21には、ドラム側入力カップリング22を保護するためのカップリングカバー23が設けられている。カップリングカバー23は、略円筒形状をなし、ドラム側入力カップリング22を囲むように、左側の側壁21から左方へ突出するように設けられている。
【0028】
カップリングカバー23では、その前側上方の端面(以下、カバー前上端面24という)が、後側下方の端面(以下、カバー後下端面25という)よりも、左方へ突出するように形成されている。カバー前上端面24は、左側面視において、後側下方が開放される略U字形状に形成されている。カバー後下端面25は、左側面視において、前側上方が開放される略U字形状に形成されている。
【0029】
カバー前上端面24とカバー後下端面25との間には、前側上方から後側下方へ向かうに従って、右方へ傾斜するカバー傾斜端面26が設けられている。カバー傾斜端面26は、ドラム側入力カップリング22を挟むように、間隔を隔ててそれぞれ設けられている。カバー傾斜端面26は、前側下方のカバー傾斜端面26と、後側上方のカバー傾斜端面26とが、カバー前上端面24の両端部とカバー後下端面25の両端部とを、それぞれ連結している。
【0030】
そして、カバー後下端面25の前側下方半分部分、前側下方のカバー傾斜端面26、及び、カバー前上端面24の前側下方半分部分によって区画される半円弧部分の外周縁27は、後側下方から前側上方へ向かって円弧状に湾曲するように傾斜している。更に、スコロトロン型帯電器4(図1参照)は、幅方向に沿って延び、天壁19に支持されている。
(1−2)現像カートリッジ収容部
現像カートリッジ収容部18は、図2及び図5に示すように、現像カートリッジ14が着脱自在に装着されるように、幅方向に間隔を隔てて互いに対向配置される両側壁31と、両側壁31の前側上方端部に沿って架設される前上壁32とを備えている。なお、現像カートリッジ収容部18の両側壁31は、ドラム支持部17の両側壁21と連続して形成されている。
【0031】
左側の側壁31には、その側壁31から、更に一段左方に配置されるカップリング挿通板33が設けられている。カップリング挿通板33は、左側の側壁31と連続して形成されており、左側の側壁31よりも左方において、左側の側壁31と平行して延びる略矩形状に形成されている。カップリング挿通板33は、現像側入力カップリング56(後述)と幅方向において対向配置されている。
【0032】
カップリング挿通板33の前側下方部分は、後側上方部分よりも広く形成されており、その前側下方部分には、現像側出力カップリング79を挿通できるように、側面視略円形の開口部34が形成されている。また、カップリング挿通板33の後側上方部分の上端縁35は後側上方から前側下方へ向かって傾斜している。更に、前上壁32は、両側壁31の間において、両側壁31の前側上方端部に沿って、湾曲するように設けられている。
(2)現像カートリッジ
現像カートリッジ14は、筐体40と、その筐体40に設けられる、現像ローラ6、供給ローラ41、層厚規制ブレード42、及び、アジテータ43とを備えている(図1参照)。
(2−1)筐体
筐体40は、後側下方が開放されるボックス形状に形成されている。筐体40では、図1に示すように、その前側上方の空間が、トナーを収容するトナー収容室44として区画され、その後側下方の空間が、現像ローラ6などが設けられる現像室45として区画されている。
【0033】
トナー収容室44には、トナーが充填されており、アジテータ43が回転自在に設けられている。なお、アジテータ43は、アジテータ軸46と、そのアジテータ軸46から径方向に延びる攪拌羽根47とを備えている。アジテータ43は、アジテータ軸46の両端部が筐体40の両側壁52(図2参照)に回転自在に支持されることにより、筐体40に回転自在に支持されている。
【0034】
現像室45には、現像ローラ6、供給ローラ41及び層厚規制ブレード42が設けられている。現像ローラ6は、筐体40の後側下方から露出するように、筐体40の後側下端部に配置されている。現像ローラ6は、現像ローラ軸48と、その現像ローラ軸48の周りに設けられるゴムローラ49とを備えている。現像ローラ6は、現像ローラ軸48の両端部が、筐体40の両側壁52に回転自在に支持されることにより、筐体40に回転自在に支持されている。
【0035】
供給ローラ41は、現像ローラ6の前側上方に対向配置されている。供給ローラ41は、供給ローラ軸50と、その供給ローラ軸50の周りに設けられるスポンジローラ51とを備えている。供給ローラ41は、供給ローラ軸50の両端部が、筐体40の両側壁52に回転自在に支持されることにより、筐体40に回転自在に支持されている。層厚規制ブレード42は、その基端部が筐体40に支持され、その先端部が現像ローラ6に対して、上側から圧接されている。
(2−2)ギヤ機構部
また、現像カートリッジ14は、図4に示すように、現像ローラ6、供給ローラ41及びアジテータ43を回転させるためのギヤ機構部54と、図3に示すように、そのギヤ機構部54を覆うギヤカバー55とを備えている。
【0036】
すなわち、図3においてギヤカバー55を省略して表す図4に示すように、ギヤ機構部54は、筐体40の左側の側壁52に設けられている。ギヤ機構部54は、現像側入力カップリング56、供給ローラギヤ57、第1中間ギヤ58、現像ローラギヤ59、第2中間ギヤ60、アジテータギヤ61、及び、検出ギヤ62を備えている。
【0037】
現像側入力カップリング56は、現像ローラ軸48とアジテータ軸46との間に配置され、左側の側壁52において回転自在に支持されている。供給ローラギヤ57は、現像側入力カップリング56の下方において現像側入力カップリング56と噛合し、供給ローラ軸50の軸端部に相対回転不能に設けられている。
【0038】
第1中間ギヤ58は、供給ローラギヤ57の後側下方において供給ローラギヤ57と噛合し、左側の側壁52において回転自在に支持されている。現像ローラギヤ59は、第1中間ギヤ58の下方において、第1中間ギヤ58と噛合し、現像ローラ軸48の軸端部に相対回転不能に設けられている。
【0039】
一方、第2中間ギヤ60は、現像側入力カップリング56の後側上方において、現像側入力カップリング56と噛合し、左側の側壁52において回転自在に支持されている。アジテータギヤ61は、第2中間ギヤ60の前側上方において、第2中間ギヤ60と噛合し、アジテータ軸46の軸端部に相対回転不能に設けられている。
【0040】
検出ギヤ62は、アジテータギヤ61の前側上方に配置され、左側の側壁52において回転自在に支持されている。この検出ギヤ62は、図4及び図6に示すように、円板形状の本体部63と、本体部63の右側面に設けられる欠歯ギヤ64と、本体部63から左方へ突出する検出部65とを一体的に備えている。
【0041】
本体部63には、その中心から右方へ突出する略円筒形状の支持筒部66が設けられている。支持筒部66には、左側の側壁52から左方へ突出する支持軸(図示せず)が相対回転可能に挿入される。これによって、検出ギヤ62は、左側の側壁52において回転自在に支持されている。
【0042】
欠歯ギヤ64は、本体部63から右方へ突出する略円筒形状に形成されている。欠歯ギヤ64には、欠歯ギヤ64の外周面に沿って、歯部67及び欠歯部68が区画されている。歯部67は、欠歯ギヤ64の外周面の約2/3に亘って区画されており、欠歯部68は、欠歯ギヤ64の外周面の約1/3に亘って、歯部67のない部分として区画されている。歯部67には、アジテータギヤ61が噛合して、アジテータギヤ61からの駆動力が伝達される。欠歯部68には、アジテータギヤ61が噛合せず、アジテータギヤ61からの駆動力の伝達が遮断される。
【0043】
検出部65は、本体部63の軸芯から左方へ突出する円筒部69と、その円筒部69の左端部から、左方に向かって突出する2つの突起部70とを備えている。各突起部70は、円筒部69の外周面から径方向に延び、その後、左方に向かって突出する略L字形状に形成されている。また、2つの突起部70は、円筒部69に対して鈍角をなすように配置されている。
【0044】
また、突起部70は、検出ギヤ62が回転できる間、すなわち、歯部67がアジテータギヤ61と噛合している間に、当接部85(後述)と当接することができるように、歯部67との相対配置が設定されている。
【0045】
なお、検出ギヤ62では、本体部63の支持筒部66に、コイルバネ(図示せず)を巻回して、常には、歯部67の回転方向下流側端部が、アジテータギヤ61に向かって噛合するように、検出ギヤ62を付勢している。そのため、歯部67とアジテータギヤ61とは、現像カートリッジ14が新品のときから、互いに噛合している。
【0046】
ギヤカバー55は、図3に示すように、ギヤ機構部54を覆うように、現像カートリッジ14の左側の側壁52に設けられている。ギヤカバー55は、現像ローラギヤ59を露出させるように切り欠かれている。ギヤカバー55の下側には、現像側入力カップリング56を露出させるためのギヤカバー開口部71が形成されている。また、ギヤカバー55の上側には、検出ギヤ62を被覆する検出ギヤカバー部72が形成されている。
【0047】
検出ギヤカバー部72は、検出ギヤ62を収容できるように、左方に向かって膨出するように形成されており、その後側下方部分には、検出ギヤ62の回転と共に周方向に移動する突起部70を露出させるための、略矩形状の検出窓73が開口されている。
(2−3)現像カートリッジのドラムカートリッジに対する装着
そして、現像カートリッジ14を、現像カートリッジ収容部18に装着すれば、図1に示すように、現像ローラ6が感光体ドラム3に対して、前側上方から圧接される。また、図2に示すように、現像側入力カップリング56が、カップリング挿通板33の開口部34と幅方向に対向して、現像側出力カップリング79の開口部34を介する現像側入力カップリング56に対する進退が許容される。
【0048】
3.本体ケーシングの構成
本体ケーシング2には、幅方向に、プロセスカートリッジ12を装着できる間隔を隔てて、1対の樹脂フレーム300(図5では、左側の樹脂フレーム300のみ示している)が配置されている。なお、樹脂フレーム300とプロセスカートリッジ12との間には、後述のように板金フレームの一例としての板金フレーム100が配設されるが、図5ではその板金フレーム100を省略している。
【0049】
1対の樹脂フレーム300には、プロセスカートリッジ12の着脱を案内するためのガイド部77が形成されている。ガイド部77は、4つのプロセスカートリッジ12に対応して、前後方向に間隔を隔ててそれぞれ設けられている。各ガイド部77は、前側上方から後側下方へ向かって傾斜するように、樹脂フレーム300から幅方向内方へ向けて突出するリブから形成されている。
【0050】
プロセスカートリッジ12は、ガイド部77及び後述のガイド穴101(図7参照)に案内されて、前側上方から後側下方へ向かう方向(以下、装着方向という)に沿って、本体ケーシング2に装着される。また、プロセスカートリッジ12は、後側下方から前側上方へ向かう方向(以下、離脱方向という)に沿って、本体ケーシング2から離脱される。なお、以下の説明において、着脱方向は、装着方向及び離脱方向の双方向を含む。
(1)ドラム側出力カップリング及び現像側出力カップリング
左側の樹脂フレーム300には、4つのドラム側入力カップリング22に対応して、4つのドラム側出力カップリング78が設けられている(図2参照)。各ドラム側出力カップリング78は、プロセスカートリッジ12の本体ケーシング2に対する装着状態において、各ドラム側入力カップリング22に対して左方から対向するように配置されている。
【0051】
ドラム側出力カップリング78は、図2の矢印で示すように、トップカバー15の閉鎖に連動して、ドラム側入力カップリング22に向けて右方へ進出され、それに嵌合される。また、トップカバー15の開放に連動して、ドラム側入力カップリング22から左方へ退避される。更に、ドラム側出力カップリング78には、本体ケーシング2に設けられるモータ(図示せず)が接続されており、そのモータからの駆動力が伝達される。
【0052】
また、左側の樹脂フレーム300には、4つの現像側入力カップリング56に対応して、4つの現像側出力カップリング79が設けられている(図2参照)。各現像側出力カップリング79は、プロセスカートリッジ12の本体ケーシング2に対する装着状態において、各現像側入力カップリング56に対して左方から対向するように配置されている。
【0053】
現像側出力カップリング79は、図2の矢印で示すように、トップカバー15の閉鎖に連動して、現像側入力カップリング56に向けて右方へ進出され、カップリング挿通板33の開口部34を介して、それに嵌合される。また、トップカバー15の開放に連動して、現像側入力カップリング56から左方へ退避される。更に、現像側出力カップリング79には、本体ケーシング2に設けられるモータ(図示せず)が接続されており、そのモータからの駆動力が伝達される。
【0054】
なお、ドラム側出力カップリング78と現像側出力カップリング79とを上記のように進出/退避させる構成や、それらに上記モータの駆動力を伝達する構成については、後に詳述する。
(2)現像カートリッジに関する情報の伝達検出機構
樹脂フレーム300には、図5及び図6に示すように、揺動部材80と、光センサ81とが設けられている。
(2−1)揺動部材
揺動部材80は、図5に示すように、左側の樹脂フレーム300において、4つのプロセスカートリッジ12に対応して、4つ設けられている。各揺動部材80は、プロセスカートリッジ12の本体ケーシング2に対する装着状態において、各検出ギヤ62に対して左方から対向するように配置されている。揺動部材80は、図6に示すように、揺動軸82と、その揺動軸82に設けられる揺動レバー83とを一体的に備えている。
【0055】
揺動軸82は、丸棒形状をなし、図5に示すように、着脱方向と平行する方向に沿って延びるように配置され、左側の樹脂フレーム300において、回転自在に支持されている。揺動レバー83は、図6に示すように、揺動軸82に取り付けられる取付部84と、取付部84から前側上方に延びる突出する当接部85と、取付部84から後側下方に延びるアーム部86とを備えている。
【0056】
取付部84は、平板形状に形成されており、揺動軸82の軸方向と直交するように配置され、揺動軸82に一体的に取り付けられている。当接部85は、平板形状に形成され、取付部84の上方に配置されており、その右側端部は、取付部84よりも右方へ突出しており、右方に向かって先細くなる略V字形状に形成されている。具体的には、当接部85は、常態(後述)において、右側面視において着脱方向と平行する方向に沿って配置されており、その右側端部には、着脱方向に沿って、互いに角度の異なる2つの端面、すなわち、前上端面91、及び、後下端面92が形成されている。
【0057】
前上端面91は、装着方向上流側から下流側へ向かうに従ってプロセスカートリッジ12に向かって突出するように形成されている。また、前上端面91の後上端縁を区画する稜線部分は、装着時においてプロセスカートリッジ12のカップリングカバー23の外周縁27と接触される装着側接触部93として区画されている。装着側接触部93は、装着方向上流側から下流側へ向かうに従ってプロセスカートリッジ12に向かって突出するように傾斜している。
【0058】
また、後下端面92は、離脱方向上流側から下流側へ向かうに従ってプロセスカートリッジ12に向かって突出するように形成されている。また、後下端面92の後上端縁を区画する稜線部分は、離脱時においてプロセスカートリッジ12のカップリング挿通板33の上端縁35と接触される離脱側接触部94として区画されている。離脱側接触部94は、離脱方向上流側から下流側へ向かうに従ってプロセスカートリッジ12に向かって突出するように傾斜している。
【0059】
アーム部86は、略細長平板形状に形成されており、取付部84の左端部から下方に向かって延びるように、配置されている。アーム部86の下端部には、後方に突出する略矩形状の遮光板87が設けられている。
【0060】
揺動部材80では、揺動軸82に、コイルバネ(図示せず)を巻回して、常には当接部85が、左側の樹脂フレーム300から右方へ突出するように付勢されている。すなわち、当接部85は、常態では、プロセスカートリッジ12の本体ケーシング2に対する着脱軌跡内に配置されている。
(2−2)光センサ
光センサ81は、左側の樹脂フレーム300において、4つの揺動部材80に対応して、4つ設けられている。光センサ81は、具体的には、左側の樹脂フレーム300の右側面に取り付けられた基板(図示せず)に設けられている。光センサ81は、図6に示すように、揺動部材80に対して、左方から対向するように配置されている。
【0061】
光センサ81は、断面視U字形状に形成されており、U字形状の底部が基板に固定されると共に、U字形状の両端部には、発光素子88,受光素子89が、互いに間隔を隔てて対向するように設けられている。
【0062】
光センサ81では、揺動部材80が常態のとき(図6(a)参照)には、発光素子88及び受光素子89の間に遮光板87が配置される。そのため、発光素子88から発光される検出光が、遮光板87によって遮光され、受光素子89での受光が遮断される。一方、揺動部材80が、コイルバネ(図示せず)の付勢力に抗して、当接部85が前側下方へ移動するように揺動したとき(図6(d)参照)には、遮光板87が、発光素子88及び受光素子89の間から退避される。そのため、発光素子88から発光される検出光が、受光素子89において受光される。光センサ81では、このようにして、揺動部材80の揺動を検知する。受光素子89の検出信号は、次のように現像カートリッジ14が新品であるか否かに対応しており、図示省略したCPUに入力され、各種制御に応用される。
【0063】
4.プロセスカートリッジの着脱動作及び現像カートリッジに関する情報の検出動作
次に、新品の現像カートリッジ14が装着されているプロセスカートリッジ12を本体ケーシング2に対して着脱する動作と、装着されたプロセスカートリッジ12に関する情報を検出する動作について説明する。
(1)プロセスカートリッジの本体ケーシングに対する装着動作
トップカバー15(図1参照)を開放してプロセスカートリッジ12を本体ケーシング2に装着すると、その装着途中において、当接部85が、常態ではプロセスカートリッジ12の本体ケーシング2に対する着脱軌跡内に配置されていることから、プロセスカートリッジ12のカップリングカバー23の外周縁27(具体的には、カバー後下端面25の前側下方半分部分によって区画される外周縁27)が、当接部85の装着側接触部93と当接する。
【0064】
すると、当接部85は押圧力を受けて、コイルバネ(図示せず)の付勢力に抗して、揺動軸82を揺動支点として、プロセスカートリッジ12の着脱軌跡内から退避するように、前側下方へ揺動される。これによって、当接部85は、プロセスカートリッジ12の着脱軌跡内から退避され、プロセスカートリッジ12の本体ケーシング2に対する装着が許容される。
【0065】
そして、プロセスカートリッジ12のカップリングカバー23が、当接部85を通過すると、当接部85は、コイルバネ(図示せず)の付勢力により、揺動軸82を揺動支点として、プロセスカートリッジ12の着脱軌跡内へ進出するように、後側上方へ揺動される。これによって、当接部85は、再度常態に配置される。
(2)現像カートリッジに関する情報の伝達検出動作
次に、プロセスカートリッジ12の装着後にトップカバー15が閉鎖されると、次いで、上記CPUの制御により、ウォーミングアップ動作が開始され、アジテータ43が回転されるガラ回し動作が実施される。すなわち、本体ケーシング2に設けられているモータ(図示せず)が駆動され、その駆動力が、ドラム側出力カップリング78及び現像側出力カップリング79に伝達される。
【0066】
すると、その駆動力は、ドラム側出力カップリング78が嵌合されているドラム側入力カップリング22に伝達され、感光体ドラム3が回転される。また、その駆動力は、現像側出力カップリング79が嵌合されている現像側入力カップリング56に伝達され、現像ローラ6、供給ローラ41及びアジテータ43が回転される。
【0067】
すると、現像側入力カップリング56に噛合する供給ローラギヤ57が回転され、供給ローラ41が回転される。また、現像側入力カップリング56に第1中間ギヤ58を介して噛合する現像ローラギヤ59が回転され、現像ローラ6が回転される。また、現像側入力カップリング56に第2中間ギヤ60を介して噛合するアジテータギヤ61が回転され、アジテータ43が回転される。アジテータ43の回転により、トナー収容室44内のトナーが攪拌され流動される。
【0068】
更に、現像側入力カップリング56の回転と共に、その回転駆動力は、アジテータギヤ61に噛合する検出ギヤ62に伝達され、検出ギヤ62は、回転駆動開始から回転駆動停止まで所定駆動量で回転駆動される。
【0069】
すなわち、検出ギヤ62は、図6に示すように、アジテータギヤ61と歯部67とが噛合している間のみ、つまり、歯部67の回転方向上流側端部から回転方向下流側端部までの間のみ、矢印方向に回転される。具体的には、検出ギヤ62は、歯部67に対応して、一方向に約2/3回転した後、停止する。なお、検出ギヤ62は、ストッパ(図示せず)により、その停止状態が維持される。
【0070】
そして、検出ギヤ62の回転が開始されると、図6(b)に示すように、検出ギヤ62の回転と共に、2つの突起部70が前後上下方向に沿って周方向に移動して、先ず、検出ギヤ62の先側の突起部70が、常態にある当接部85に対して、後側上方から前側下方に向かうように当接する。
【0071】
すると、図6(c)に示すように、揺動レバー83が、揺動軸82を揺動支点として、コイルバネ(図示せず)の付勢力に抗して、当接部85が前側下方に、かつ、アーム部86が後側上方に向かうように、前後左右方向に沿って揺動する。すると、光センサ81の発光素子88と受光素子89との間に配置されている遮光板87は、それらの間から退避するように、後側右方へ移動される。
【0072】
そして、更に揺動レバー83が揺動すると、図6(d)に示すように、遮光板87は、発光素子88と受光素子89との間から退避され、それまで遮光板87によって遮光されている検出光が、受光素子89において受光される。
【0073】
その後、先側の突起部70の当接部85に対する当接が解除されると、揺動レバー83は、揺動軸82を揺動支点として、コイルバネ(図示せず)の付勢力によって、当接部85が後側上方に、かつ、アーム部86が前側下方に向かうように揺動して、揺動部材80は、常態に戻される。すると、検出光が遮光板87によって遮光され、検出光の受光素子89での受光が遮断される。
【0074】
検出ギヤ62は、図示しないが、更に、後側の突起部70が、上記と同様に、当接部85に当接して、その当接が解除されるまで回転した後、アジテータギヤ61と歯部67との噛合が解除され、アジテータギヤ61と欠歯部68とが対向することにより、その回転が停止される。これによって、ガラ回し動作を含むウォーミングアップ動作が終了する。
【0075】
そして、このときも、上記と同様に、遮光板87は、発光素子88と受光素子89との間から一旦退避され、検出光が受光素子89において一旦受光されるが、その後、再度、検出光が遮光板87によって遮光され、検出光の受光素子89での受光が遮断される。これによって、現像カートリッジ14が新品である旨の情報が、検出ギヤ62から揺動部材80を介して光センサ81に伝達される。
【0076】
一方、プロセスカートリッジ12を、詰まった用紙Pの除去などにより、一旦離脱させ、再度装着した場合でも、検出ギヤ62は、ストッパ(図示せず)により、欠歯部68とアジテータギヤ61とが対向配置するように、停止状態が維持されている。そのため、プロセスカートリッジ12を再度装着したときにガラ回しが実施されても、検出ギヤ62は回転されず、上記のような情報の検出はなされない。
【0077】
5.プリンタのフレーム構造
(1)フレーム構造の概要
次に、図7の分解斜視図に示すように、左右1対の樹脂フレーム300の内側にはプロセスカートリッジ12を支持する板金フレーム100が固定され、左側の樹脂フレーム300の外側(左側)には、ドラム駆動板金200が固定される。なお、図7では左側の樹脂フレーム300,板金フレーム100のみ示している。また、図示省略したが、右側の樹脂フレーム300の外側(右側)には、ドラム駆動板金200の代わりに、プリンタ1の電気系統が固定される。
【0078】
図7に示すように、左右1対の板金フレーム100はプロセスカートリッジ12を案内して位置決めするガイド穴101をそれぞれ有し、幅方向に延びる4本のフランジ付きパイプ110によって互いに連結されている。また、各板金フレーム100の内側には、前後方向に摺動することによって感光体ドラム3に対する現像ローラ6の圧接/離間を切り替える固定/離間用直動カム120が設けられている。なお、このような固定/離間用直動カム120の構成は、例えば特願2007−340751号,特願2007−340761号,特願2007−340762号に詳しいので参照されたい。
【0079】
また、ドラム駆動板金200には、前述のモータの駆動力を各4個のドラム側出力カップリング78,現像側出力カップリング79に伝達するギヤ列210が、そのドラム側出力カップリング78,現像側出力カップリング79と共に回転可能に支持されている。更に、樹脂フレーム300には、ドラム側出力カップリング78と現像側出力カップリング79とを前述のように進出/退避させる駆動用直動カム220が前後方向に往復直線移動可能に装着される。
(2)駆動用直動カム
次に、この駆動用直動カム220の構成について説明する。図8(A)は、駆動用直動カム220の構成を表す斜視図であり、図8(B),(C)は、その駆動用直動カム220の動作を表す平面図である。
【0080】
図8に示すように、駆動用直動カム220は、前後方向に長く延びる部材であり、樹脂フレーム300(図7参照)に、前後方向に往復直線移動可能に取り付けられている。また、この駆動用直動カム220は、図8に示すように、前後方向に細長い矩形板状の本体部221と、本体部221に一体的に形成された4つの第1カム部222と、本体部221に一体的に形成された4つの第2カム部223とを備えている。
【0081】
本体部221は、樹脂フレーム300と平行に設けられている。本体部221には、4つの現像側出力カップリング79と左右方向に対向する各位置に、4つの挿抜孔224が形成されている。各挿抜孔224は、前後方向に延びる長穴状に形成され、上下方向に現像側出力カップリング79の先端の挿抜を許容する寸法を有している。図8(A),(B)に示すように、駆動用直動カム220が相対的に前方の位置に配置された状態では、各挿抜孔224の後端部に現像側出力カップリング79が対向する。一方、図8(C)に示すように、駆動用直動カム220が相対的に後方の位置に配置された状態では、各挿抜孔224の前端部に現像側出力カップリング79が対向する。
【0082】
第1カム部222は、各挿抜孔224に対応して、本体部221の左側面(樹脂フレーム300に対向する面と反対側の面)に設けられている。第1カム部222は、挿抜孔224の周縁における前側のほぼ半周に沿った側面視略U字状に形成されている。また、第1カム部222は、図8に示すように、前方に向かうに従って本体部221から離れるように傾斜する傾斜部225と、傾斜部225の前端から本体部221と平行をなす平坦部226とを有し、平面視略台形状に形成されている。
【0083】
第2カム部223は、各ドラム側出力カップリング78に対応して、本体部221の左側面の下端部に設けられている。第2カム部223は、図8(B),(C)に示すように、各第1カム部222の後方に、平面視で第1カム部222と重ならないように形成されている。また、第2カム部223は、図8(B),(C)に示すように、前方に向かうに従って本体部221から離れるように傾斜する傾斜部227と、傾斜部227の前端から本体部221と平行をなす平坦部228とを有し、平面視略台形状に形成されている。
【0084】
図8(A),(B)に示すように、各第1カム部222が各現像側出力カップリング79に対して前方に位置している状態では、各現像側出力カップリング79の先端は挿抜孔224の後端部に挿通され、鍔部79aが駆動用直動カム220の本体部221の左側面に当接している。すなわち、各現像側出力カップリング79は、ギヤ列210に対して左右方向に進退可能に設けられ、先端近傍に鍔部79aが設けられると共に、コイルバネ79bによって進出方向(右方向)に付勢されている。このため、上記のように各第1カム部222と各現像側出力カップリング79とが左右方向に重ならない状態では、コイルバネ79bの作用により、鍔部79aが本体部221の左側面に当接する位置まで現像側出力カップリング79が進出する。
【0085】
また、ドラム側出力カップリング78は、ギヤ列210に対して左右方向に進退可能に設けられ、先端近傍に段差面78aが設けられると共に、図示省略したコイルバネによって進出方向(右方向)に付勢されている。上記のように各第1カム部222が各現像側出力カップリング79に対して前方に位置している状態では、段差面78aが駆動用直動カム220の本体部221の左側面に当接し、ドラム側出力カップリング78の先端が本体部221の下方において、本体部221に対して右方に突出している。すなわち、この状態では、ドラム側出力カップリング78,各現像側出力カップリング79は、いずれも右方に進出して、ドラム側入力カップリング22,現像側入力カップリング56に嵌合している。
【0086】
次に、この状態から、駆動用直動カム220が後方に移動されると、各第1カム部222の傾斜部225が各現像側出力カップリング79の鍔部79aに当接し、各第2カム部223の傾斜部227が各ドラム側出力カップリング78の段差面78aに当接する。
【0087】
駆動用直動カム220が後方に更に移動されると、各鍔部79aが各第1カム部222の傾斜部225に乗り上がって、各現像側出力カップリング79は、コイルバネ79bの付勢力に抗して退避方向(左方向)へ移動する。また、各ドラム側出力カップリング78の段差面78aが各第2カム部223の傾斜部227に乗り上がって、各ドラム側出力カップリング78も、コイルバネ(図示せず)の付勢力に抗して退避方向(左方向)へ移動する。
【0088】
そして、図8(C)に示す状態では、鍔部79aが第1カム部222の平坦部226に当接し、現像側出力カップリング79の先端部のみが挿抜孔224の前端部に挿通されている。また、各ドラム側出力カップリング78は、段差面78aが第2カム部223の平坦部228に当接し、ドラム側出力カップリング78の先端部のみが本体部221に対して右方に僅かに突出している。すなわち、各ドラム側出力カップリング78及び各現像側出力カップリング79はいずれも左方へ退避している。
【0089】
また、図8(A)に示すように、駆動用直動カム220は、トップカバー15と一体に揺動するトップカバーアーム230とリンク235を介して接続され、そのトップカバー15の開閉に応じて前後方向に移動する。このため、トップカバー15の開放時には、駆動用直動カム220を後方に移動させて各プロセスカートリッジ12を交換可能にし、トップカバー15の閉鎖時には、駆動用直動カム220を前方に移動させて現像ローラ6,感光体ドラム3等を駆動することができる。なお、図8(B),(C)では、トップカバーアーム230を図示省略した。
(3)フレームの接続構造
(3−1)基準軸に係る構成
次に、左側の樹脂フレーム300の左右側面にドラム駆動板金200,板金フレーム100を接続する構造について説明する。図9の分解斜視図に示すように、ドラム駆動板金200の右側面には、円柱状の2本の基準軸241,242が左右方向に、そのドラム駆動板金200と一体的に立設固定されている。なお、図9では、ドラム側出力カップリング78,現像側出力カップリング79を含むギヤ列210を図示省略した。
【0090】
軸の一例としての基準軸241は、前から3番目の感光体ドラム3M及びそれに対応する転写ローラ9に下方に隣接する位置に立設されている。また、樹脂フレーム300,板金フレーム100には、その基準軸241の外径とほぼ等しい内径を有する位置決め穴の一例としての円形の穴341,141が、その基準軸241が挿通される位置(左右方向に対向する位置)に形成されている。基準軸242は、ドラム駆動板金200の前端かつ上端の、基準軸241から最も離れた周縁部に立設されている。また、樹脂フレーム300,板金フレーム100の上端かつ前端の周縁部には、その基準軸242の外径に対して上下方向にはほぼ等しく前後方向には大径とされた長穴状の穴342,142(図7,図12,図14参照)が、その基準軸242が中心に挿通される位置(左右方向に対向する位置)に形成されている。
【0091】
基準軸241を穴341,141に、基準軸242を穴342,142に、それぞれ挿入することにより、ドラム駆動板金200,樹脂フレーム300,板金フレーム100の三者が互いに位置決めされる。この基準軸241,242の挿入と後述のネジ固定とにより、ドラム駆動板金200,樹脂フレーム300,板金フレーム100の三者は図10に示すように組み立てられる。
【0092】
また、基準軸241,242による上記位置決めにより、図11の断面図に示すように、ドラム側出力カップリング78がドラム側入力カップリング22と、現像側出力カップリング79が現像側入力カップリング56と、それぞれ対向する。なお、図11は、図9のA−A階段断面を一部の部材を省略して描いた断面図である。更に、揺動部材80も、図10に示すように板金フレーム100のガイド穴101に対して所定位置に配置され、そのガイド穴101に装着されるプロセスカートリッジ12の検出ギヤ62に対して前述の位置関係に配置される。
【0093】
また、図10,図11に示すように、左右一対の樹脂フレーム300には給紙カセット7を下方から受ける受け面345が形成され、この受け面345によって給紙カセット7が引き出し可能に支持される。更に、図9,図11に示すように、左側の樹脂フレーム300の左側面には、内面に雌ネジが形成されたネジ穴346が複数形成されている。ドラム駆動板金200には、各ネジ穴346に対向して円形の穴246が穿設され、その穴246を介して各ネジ穴346に一般ネジ410(図11参照)が螺合されることにより、ドラム駆動板金200が樹脂フレーム300に固定される。なお、一般ネジ410に代えてタッピングネジを使用する場合には、ネジ穴346ではなく、単なる円形の穴でよい。
【0094】
また、図9〜図11では図示省略したが、基準軸241,242による上記位置決めにより、駆動用直動カム220はドラム側出力カップリング78,現像側出力カップリング79に対して前述の位置関係に配置される。すなわち、図12に示すように、樹脂フレーム300の左側面には、駆動用直動カム220の本体部221を下方から受けるリブ347が前後方向に形成され、その本体部221に上方から係合するフック348も形成されている。このため、本体部221は、図13に模式的に示すように、リブ347とフック348とによって、樹脂フレーム300に前後方向に往復直線移動可能に取り付けられる。そして、基準軸241,242による上記位置決めによって、本体部221は前述のようにドラム側出力カップリング78,現像側出力カップリング79と対向する。なお、図13では、説明のために各部の構成を模式化して一部の構成を図示省略しており、他の図とは必ずしも整合していない。
(3−2)樹脂フレームと板金フレームとの固定構造
一方、樹脂フレーム300と板金フレーム100とは、挿入量規制手段の一例としての段部421(図11参照)を有することによって挿入量が規制される3本の段ネジ420と、段部を有さない1本の一般ネジ430とを用いて固定される(図9参照)。なお、段ネジ420,一般ネジ430は、共に固定具の一例に相当する。
【0095】
図12は、左側の樹脂フレーム300の構成を表す左側面図であり、図14は、左側の板金フレーム100の構成を表す左側面図である。なお、各図において、前述の基準軸241,242も断面で表した。
【0096】
図9,図12に示すように、一般ネジ430は、樹脂フレーム300における基準軸241の挿入位置(穴341)近傍の下方に挿入され、1本の段ネジ420は、樹脂フレーム300における基準軸242の挿入位置(穴342)近傍の前方に挿入される。もう1本の段ネジ420は、前から1番目の感光体ドラム3K及びそれに対応する転写ローラ9に下方に隣接する位置に挿入され、更にもう1本の段ネジ420は板金フレーム100の後上角部に対向する位置に挿入される。
【0097】
また、図9,図11,図14に示すように、板金フレーム100には、各段ネジ420または一般ネジ430が挿入される位置に、内面に雌ネジが形成されたネジ穴140がそれぞれ形成されている。更に、図14に破線で示したように、樹脂フレーム300には各段ネジ420または一般ネジ430が挿入される位置に、その段ネジ420または一般ネジ430の貫通を許す穴320,330が穿設されている。ここで、穴320の内径は、いずれも段ネジ420の段部421の外径よりも若干大きく構成され、特に、基準軸242の近傍に穿設された穴320aは、前後方向に更に大きい長穴状に構成されている。また、穴330の内径は、一般ネジ430のネジ部432(図15(A)参照)の外径よりも若干大きく構成されている。
【0098】
次に、図15(B)は図12におけるB部拡大図であり、図15(A)はそのD−D線断面図である。また、図16(A)は図12におけるC部拡大図であり、図16(B)はそのE−E線断面図である。図15(A)に示すように、穴330の縁部331は、一般ネジ430の締め付けによりその頭部433と板金フレーム100との間に挟圧され、この固定箇所では樹脂フレーム300は板金フレーム100に対して変位不能に固定される。また、樹脂フレーム300における縁部331の更に外周には、図9,図15に示すように、穴330を中心にした円筒状に少なくとも一般ネジ430の全体の長さよりも大きく左へ突出した受け止め部333が形成されている。更に、その受け止め部333の内壁面には、干渉部の一例としての次のようなリブ335が形成されている。
【0099】
すなわち、図15,図16に示すように、段ネジ420の頭部423は一般ネジ430の頭部433よりも径が大きい。そこで、一般ネジ430が挿入される受け止め部333の内壁面には、その受け止め部333の突出方向(左右方向)に伸びると共に中心に向かって四方から突出したリブ335が次のように形成されている。このリブ335の先端同士の間隔は、一般ネジ430の頭部433とは干渉せずにその一般ネジ430の挿入を許可し、段ネジ420の頭部423とは干渉してその段ネジ420の挿入を阻止する寸法に設定されている。このため、プリンタ1の組立時に、作業者が穴330へ段ネジ420を誤って挿入するのを抑制することができる。
【0100】
一方、図9,図16に示すように、穴320の縁部321の更に外周にも、少なくとも段ネジ420の全体の長さよりも大きく円筒状に左へ突出した受け止め部323が形成されているが、この受け止め部323の内壁面には上記のようなリブは形成されていない。このため、段ネジ420を穴320へ挿入することができる。更に、このように形成された受け止め部333,323により、板金フレーム100,樹脂フレーム300を鉛直に立てた状態で組立作業がなされた場合でも、穴320または330から脱落した段ネジ420または一般ネジ430を受け止めることができる。
【0101】
また、図16(B)に示すように、樹脂フレーム300の右側面(板金フレーム100側側面)には、穴320を受け止め部323とほぼ同様の円環状に囲んで右方向に突出した環状当接部327が形成されている。この環状当接部327が板金フレーム100に当接することにより、穴320の縁部321(穴320の外周と環状当接部327の内周との間の部分)は板金フレーム100から浮き上がる。そして、この環状当接部327の高さは、段部421が板金フレーム100に当接するまで段ネジ420を締め付けた際に、その頭部423が縁部321に密着または圧接され、かつ、縁部321が板金フレーム100に当接しない高さに設定されている。
【0102】
このため、段ネジ420を締め付けた場合、その固定箇所近傍の樹脂フレーム300は、樹脂フレーム300の熱膨張時等には次のように板金フレーム100に対して相対移動可能になる。すなわち、当該固定箇所近傍の樹脂フレーム300は、環状当接部327を介して板金フレーム100からの摩擦力を、縁部321を介して段ネジ420の頭部423からの摩擦力を、それぞれ受けながらも、上記のように大径に構成された穴320の範囲で板金フレーム100に対して相対移動可能になる。なお、図16に示した以外の段ネジ420の固定箇所も、若干形状は異なるものの図16に示したものとほぼ同様に構成されている。
【0103】
6.本実施の形態の効果及びその変形例
このように、本実施の形態のプリンタ1では、基準軸241を穴341,141に、基準軸242を穴342,142に、それぞれ挿入することにより、ドラム駆動板金200,樹脂フレーム300,板金フレーム100の三者の位置精度を確保することができる。このため、ドラム側出力カップリング78がドラム側入力カップリング22に、現像側出力カップリング79が現像側入力カップリング56に、それぞれ確実に嵌合し、感光体ドラム3等の各部を正確に駆動することができる。
【0104】
また、基準軸241は、その基準軸241の半径方向への変位を禁止する大きさの穴341,141に嵌合することによって、板金フレーム100,樹脂フレーム300の熱膨張/収縮に拘わらず両者を互いに対向する位置に位置決めする基準点を構成する。更に、もう一方の基準軸242は、長穴状の穴342,142に挿入されることによって、基準軸241を中心にする回転方向に対して上記三者の位置精度を確保しつつ、板金フレーム100と樹脂フレーム300との線膨張率の相違による寸法差も吸収することができる。
【0105】
しかも、基準軸242はドラム駆動板金200における基準軸241から最も離れた位置に設けられているので、上記回転方向の位置精度を一層良好に確保することができる。また、段ネジ420による固定箇所でも、前述のように板金フレーム100に対して樹脂フレーム300が相対移動可能であるので、線膨張率の相違による寸法差を一層良好に吸収することができる。
【0106】
従って、本実施の形態では、上記三者の位置精度を上記回転方向にも良好に確保しつつ、線膨張率の相違によって高温時に板金フレーム100,樹脂フレーム300等に撓みが生じるのも良好に抑制することができる。しかも、基準軸241は中央の感光体ドラム3Mの近傍(感光体ドラム3Yの近傍や両者の間に設けてもよい)に設けられているので、感光体ドラム3K,3Y,3M,3Cの位置関係をできる限り正確に維持して色ずれを抑制することができる。
【0107】
また、段ネジ420による固定箇所では、一般ネジ430の代わりに段部421を有する段ネジ420を使用し、かつ、環状当接部327を設けただけで、前述のように板金フレーム100に対して樹脂フレーム300を相対移動可能としている。このため、装置が大型化せず、熱膨張/収縮による段ネジ420の挿入方向への変位も生じ難いので段ネジ420の締め付けが緩むことも抑制できる。更に、上記実施の形態では、基準軸241が挿入される穴341,141に最も近い固定箇所では、一般ネジ430によって板金フレーム100に対して樹脂フレーム300を変位不能に固定している。このため、プリンタ1の製造コストを良好に低減することができる。すなわち、このような固定箇所では、線膨張率の相違による寸法差が最小となるので、このような一般的な固定構造を採用して製造コストを低減することができるのである。
【0108】
しかも、この固定箇所では、受け止め部333にリブ335を形成したことにより、段ネジ420を誤って挿入するのが抑制され、各固定箇所では、受け止め部333,323を設けたことによって一般ネジ430,段ネジ420の脱落が抑制される。従って、本実施の形態では、本体ケーシング2の組立作業を極めて良好に効率化することができる。
【0109】
なお、本発明は上記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、環状当接部327は、円環状ではなく多角形の枠状であってもよく、部分的に切れ目を有してもよい。
【0110】
また、挿入量規制手段としては、上記実施の形態のように段ネジ420の段部421に限定されるものではなく、一般ネジ430のネジ部432またはそれよりも大きい頭部を有する一般ネジのネジ部に外嵌されるカラー等であってもよい。更に、本発明は、モノクロのプリンタやインクジェットプリンタにも同様に適用することができ、固定具としては、樹脂の変形によってワンタッチで固定がなされるいわゆるスナップを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明が適用されたプリンタの構成を表す中央断面図である。
【図2】そのプリンタのプロセスカートリッジの構成を表す後左側斜視図である。
【図3】そのプロセスカートリッジの現像カートリッジの構成(ギヤカバー装着時)を表す左側面図である。
【図4】その現像カートリッジの構成(ギヤカバー離脱時)を表す左側面図である。
【図5】その現像カートリッジを取り外した本体ケーシングの内部構成を表す後右側斜視図である。
【図6】その本体ケーシングの揺動部材の動作を表す説明図である。
【図7】上記プリンタの左側のフレーム構造を表す分解斜視図である。
【図8】そのフレームに取り付けられる駆動用直動カムの構成及び動作を表す斜視図及び平面図である。
【図9】そのフレームを構成するドラム駆動板金,樹脂フレーム,板金フレームの接続構造を表す分解斜視図である。
【図10】そのドラム駆動板金,樹脂フレーム,板金フレームの組み立てられた状態を表す視図である。
【図11】その組み立てられたドラム駆動板金,樹脂フレーム,板金フレームの位置関係を表す断面図である。
【図12】左側の樹脂フレームの構成を表す左側面図である。
【図13】上記駆動用直動カムの上記樹脂フレームへの装着状態を模式的に表す説明図である。
【図14】左側の板金フレームの構成を表す左側面図である。
【図15】図12のB部拡大図及びそのD−D断面図である。
【図16】図12のC部拡大図及びそのE−E断面図である。
【符号の説明】
【0112】
1・・・プリンタ 2・・・本体ケーシング 3・・・感光体ドラム
4・・・スコロトロン型帯電器 5・・・LEDユニット 6・・・現像ローラ
9・・・転写ローラ 12・・・プロセスカートリッジ
22・・・ドラム側入力カップリング 56・・・現像側入力カップリング
78・・・ドラム側出力カップリング 79・・・現像側出力カップリング
100・・・板金フレーム 101・・・ガイド穴 140,346・・・ネジ穴
141,142,246,320,330,341,342・・・穴
200・・・ドラム駆動板金 210・・・ギヤ列 220・・・駆動用直動カム
241,242・・・基準軸 300・・・樹脂フレーム
321,331・・・縁部 323,333・・・受け止め部
327・・・環状当接部 335,347・・・リブ 348・・・フック
410,430・・・一般ネジ 420・・・段ネジ 421・・・段部
423,433・・・頭部 430・・・一般ネジ 432・・・ネジ部
P・・・用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
板金フレームと樹脂フレームとを複数の固定箇所で互いに固定して構成され、上記画像形成手段を支持するフレームと、
を備え、
上記板金フレームと上記樹脂フレームとは、各々の熱膨張/収縮に拘わらず互いに対向する位置に位置決めされる基準点を有すると共に、上記各固定箇所にそれぞれ穿設された各穴に固定具を挿入して互いに固定され、
少なくとも1つの上記固定箇所では、
上記樹脂フレームに穿設された上記穴は、上記板金フレームとは反対側から上記固定具を挿入され、その固定具及び上記板金フレームに対して上記基準点から近接または離間する方向へ上記樹脂フレームの変位を許可するように少なくとも1方向へ大径に構成され、
上記樹脂フレームには、当該穴を囲む環状に上記板金フレーム方向へ突出して上記板金フレームに当接することにより、当該穴の縁部と上記板金フレームとの接触を抑制する環状当接部が形成され、
上記固定具には、その固定具の上記穴への挿入量を、上記縁部に当該固定具の頭部が密着または圧接され、かつ、上記縁部を上記板金フレームに圧接しない挿入量に規制する挿入量規制手段が設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記基準点に最も近い上記固定箇所では、
上記挿入量規制手段を有さない固定具によって上記樹脂フレームと上記板金フレームとが互いに変位不能に固定されたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記挿入量規制手段が設けられる固定具は、上記挿入量規制手段を有さない固定具に比べて上記頭部が大径に構成され、
上記基準点に最も近い上記固定箇所では、
上記樹脂フレームの上記固定具が挿入される側に、上記挿入量規制手段を有さない固定具の頭部とは干渉せずにその固定具の挿入を許可し、上記挿入量規制手段が設けられる固定具の頭部とは干渉してその固定具の挿入を阻止する干渉部が形成されたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記画像形成手段は、複数の色に対応して複数の画像形成部を直列に配列して構成され、
上記基準点は、両端の上記画像形成部よりも中央の上記画像形成部に近い位置に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記樹脂フレームの上記固定具が挿入される側には、上記各穴周囲に、当該穴から脱落した上記固定具を受け止める受け止め部がそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
上記基準点では、上記板金フレームまたは上記樹脂フレームに穿設された位置決め穴に、上記樹脂フレームまたは上記板金フレームから突設された軸が嵌合していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−26153(P2010−26153A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186074(P2008−186074)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】