説明

画像形成装置

【課題】可動式操作パネルを備える画像形成装置において、ユーザの操作時に開閉カバーやユーザが該可動式操作パネルに接触することを防止する。
【解決手段】用紙搬送機構11及び用紙搬送機構内部11を露出させるために開閉される開閉カバー18と、操作受付及び機器情報表示の少なくとも一方の機能を備える操作パネルであって、開閉カバー18の可動領域または該可動領域の上方の領域の少なくとも一方に干渉する干渉領域を含む領域で可動する操作パネル20と、開閉カバー18の開閉動作を規制してロックするロック機構50と、操作パネル20の位置を検出するパネル位置検出部40と、パネル位置検出部40によって検出された操作パネル20の位置が前記干渉領域にある場合に、ロック機構50に開閉カバー18を閉状態でロックさせる制御部100と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式の操作パネルを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置には、読取サイズを越える大判の原稿を原稿台にセットして読取りを行う際に、原稿台からはみ出した原稿が操作パネル上に覆い被さり、操作がしづらくなる不具合を解消するために、操作パネルを可動式にしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−143346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、操作パネルを可動式にすることで、新たな不具合も生じる。例えば、ジャム解消操作のために必要箇所の開閉カバーを開放し、用紙搬送機構及び該用紙搬送機構内部を露出させてジャムの原因となっている用紙を取り除く場合に、操作パネルの位置によっては、ユーザの頭上や該開閉カバーの可動域と干渉する位置に該操作パネルが位置し、ユーザの操作の妨げとなることがある。
【0004】
本発明は、可動式操作パネルを備える従来の画像形成装置が有していた上記の問題点を解決するためになされたものであり、ユーザの操作時に前記開閉カバーやユーザが該可動式操作パネルに接触することを防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像形成装置は、用紙搬送機構及び該用紙搬送機構内部を露出させるために開閉される開閉カバーと、操作受付及び機器情報表示の少なくとも一方の機能を備える操作パネルであって、前記開閉カバーの可動領域または該可動領域の上方の領域の少なくとも一方に干渉する干渉領域を含む領域で可動する操作パネルと、前記開閉カバーの開閉動作を規制してロックするロック機構と、前記操作パネルの位置を検出するパネル位置検出部と、前記パネル位置検出部によって検出された前記操作パネルの位置が前記干渉領域にある場合に、前記ロック機構に前記開閉カバーを閉状態でロックさせる制御部と、を備える(請求項1)。
【0006】
この構成によれば、前記パネル位置検出部によって検出された前記操作パネルの位置が前記干渉領域にある場合に、前記制御部は、前記ロック機構に前記開閉カバーを閉状態でロックさせる。そのため、前記パネル位置検出部によって検出された前記操作パネルの位置が前記干渉領域にある場合には、ジャム解消操作等のためにユーザが用紙搬送機構及び該用紙搬送機構内部を露出させようとしても、開閉カバーを開放することができないので、ユーザはジャム解消操作等の操作を行うことができない。したがって、可動式操作パネルの位置がユーザの操作の妨げとなる位置にある場合に、開閉カバーを開放しなければ行えない操作を制限することで、ユーザの操作時に前記開閉カバーやユーザが該可動式操作パネルに接触することを未然に防止できる。
【0007】
上記構成において、前記開閉カバーがロックされている場合に、前記操作パネルの位置が前記干渉領域外に移動されたことを前記パネル位置検出部が検出したときには、前記制御部が、前記ロック機構に前記開閉カバーのロックを解除させることが望ましい(請求項2)。
【0008】
この構成によれば、前記操作パネルの位置が前記干渉領域にあるためユーザが開閉カバーを開放することができない場合にも、前記操作パネルの位置を前記干渉領域外に移動させることで、ユーザは開閉カバーを開放してジャム解消操作等の操作を行うことが可能となる。
【0009】
上記構成において、前記開閉カバーがロックされているか否かをユーザに報知する報知部をさらに備え、前記制御部が前記ロック機構に前記開閉カバーをロックさせている場合に、該開閉カバーがロックされている旨のユーザへの警告を、該制御部が前記報知部に警告させることが望ましい(請求項3)。
【0010】
この構成によれば、前記操作パネルの位置が前記干渉領域にあるため前記開閉カバーがロックされている場合に、該開閉カバーがロックされていることを前記警告によってユーザは知ることができる。したがって、ユーザは事前に操作パネルの位置を変更して該ロックを解除することで、開閉カバーを開放してジャム解消操作等の操作を行うことが可能となる。
【0011】
上記構成において、ジャムの発生および該ジャムの発生位置を検出するジャム検出部をさらに備え、前記制御部は、前記ジャム検出部によってジャムの発生及び該ジャムの発生位置が検出された場合に、該ジャムの発生位置が該ジャム解消のために前記開閉カバーの開放が必要な位置であるか否かを判断し、該ジャムの発生位置が該ジャム解消のためには前記開閉カバーの開放が必要な位置と判断した場合に、前記パネル位置検出部によって検出された前記操作パネルの位置が該開閉カバーの可動領域に対して前記干渉領域にあるときには、前記ロック機構に前記開閉カバーを閉状態でロックさせるようにしてもよい(請求項4)。
【0012】
この構成によれば、ジャムが発生し該ジャムの発生位置がジャム解消操作のために前記開閉カバーの開放が必要な位置にあり、かつ前記操作パネルの位置が該開閉カバーの可動領域に対して前記干渉領域にある場合にのみ、前記開閉カバーが閉状態でロックされる。その場合に、ジャム解消操作のためにユーザが用紙搬送機構及び該用紙搬送機構内部を露出させようとしても、該開閉カバーを開放することができないので、ユーザはジャム解消操作を行うことができない。したがって、ジャム発生時に前記可動式操作パネルの位置がユーザのジャム解消操作の妨げとなる位置にある場合に、開閉カバーを開放しなければ行えないジャム解消操作を制限することで、ジャム解消操作時に前記開閉カバーやユーザが該可動式操作パネルに接触することを未然に防止できる。
【0013】
上記構成において、ジャム発生時に前記開閉カバーがロックされている場合に、該開閉カバーがロックされているためにジャム解消操作ができない旨のユーザへの警告を、前記制御部が前記報知部に警告させることが望ましい(請求項5)。
【0014】
この構成によれば、前記操作パネルの位置が前記干渉領域にあるためユーザが開閉カバーを開放してジャム解消操作を行うことができない場合に、その旨を前記警告によってユーザは知ることができる。したがって、ユーザは事前に操作パネルの位置を変更して該ロックを解除することで、開閉カバーを開放してジャム解消操作を行うことが可能となる。
【0015】
上記構成において、前記報知部に、前記警告内容を音声でユーザに警告させることができる(請求項6)。
【0016】
この構成によればユーザは、開閉パネルを開放してジャム解消操作等の操作を行おうとした場合に、前記開閉カバーがロックされているときには、そのことを機器情報表示を確認する前に知ることができる。したがって、ユーザは事前に操作パネルの位置を変更して、前記ロックを解除することができる。
【0017】
上記構成において、前記報知部に、前記警告内容を視覚情報でユーザに警告させることができる(請求項7)。
【0018】
この構成によればユーザは、前記開閉カバーがロックされている場合に、ジャム解消操作等のために該開閉パネルを開放が必要であることを視覚情報による機器情報表示で知った時点で、該開閉カバーがロックされていることも同時に知ることができる。したがって、ユーザは事前に操作パネルの位置を変更して、前記ロックを解除することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像形成装置によれば、前記操作パネルの位置が前記干渉領域にある場合には、ジャム解消操作等のためにユーザが用紙搬送機構及び該用紙搬送機構内部を露出させようとしても、開閉カバーを開放することができないので、ユーザはジャム解消操作等の開閉カバーを開放しなければ行えない操作を制限される。そのため、前記開閉カバーやユーザが前記操作パネルに接触することを防止できる。したがって、前記可動式操作パネルが破損する可能性を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<実施形態1>
以下、図面に基づいて本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1を示す外観斜視図であり、図2は、その内部構造を説明するための正面断面図である。なお、図1および図2においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0021】
画像形成装置1は、カラー印刷用の複写機として使用されるものであり、図1に示すように、箱形を呈した装置本体10と、この装置本体10の上部に設けられた原稿画像を読み取る画像読取部16と、画像形成処理に対して各種の条件を入力するとともに機器情報を表示する操作パネル20と、を備えた基本構成を有している。
【0022】
図2に示すように、前記装置本体10には、画像読取部16によって読み取られた原稿の画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、この画像形成部12によって形成され、用紙Pに転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙を貯留する用紙貯留部14とが内装されている。装置本体10内の各部への用紙の搬送は、用紙搬送機構11によって行われる。
【0023】
画像形成装置1は、図4の機能ブロック図に示すようにジャム検出部30、ロック機構40、操作パネル位置検出部50、制御部100をさらに備えている。
【0024】
図2に示すように画像読取部16は、装置本体10の上面に開閉可能に設けられた原稿押え161と、装置本体10の上部の筐体内でコンタクトガラス163を介して原稿押え161と対向配置された光学系ユニット162とを備えている。コンタクトガラス163は、載置された原稿の原稿面を読み取るために原稿押え161より若干小さい平面形状に寸法設定されている。原稿押え161は、画像読取部16の一構成要素である筐体の上面の一側辺に設けられた所定の軸回りに正逆回動することで開閉する。
【0025】
光学系ユニット162は、図略の光源や複数のミラー、レンズユニット、さらにはCCD(charge coupled device)等を有している。そして、光源からの光が原稿面で反射され、この反射光がこれらミラーおよびレンズユニットを介して原稿情報としてCCDに入力されるようになっている。CCDに入力されたアナログ量としての原稿情報は、デジタル信号に変換されて所定の記憶装置に記憶される。
【0026】
用紙搬送機構11は、用紙搬送路111、ピックアップローラ112、搬送ローラ対113、排紙搬送路114を備えて構成されている。
【0027】
用紙搬送路111及び排紙搬送路114は、用紙Pが搬送される通路である。搬送ローラ対113は、用紙搬送路111及び排紙搬送路114の適所に設けられたローラ対である。搬送ローラ対113の駆動によって用紙搬送路111及び排紙搬送路114を用紙Pが搬送される。
【0028】
ピックアップローラ112は、用紙トレイ141に貯留された用紙束から用紙Pを1枚ずつ繰り出すためのローラである。用紙トレイ141から繰り出された用紙Pは、搬送ローラ対113の駆動によって画像形成部12へと搬送される。
【0029】
画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙にトナー画像を形成させるものであり、本実施形態では、上流側(図2の紙面の左側)から下流側へ向けて順次配設されたマゼンタ用ユニット12Mと、シアン用ユニット12Cと、イエロー用ユニット12Yと、ブラック用ユニット12Kとが備えられている。
【0030】
各ユニット12M、12C、12Y、12Kには、感光体ドラム121および現像装置122がそれぞれ備えられている。各感光体ドラム121は、図1において反時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置122からトナーの供給を受ける。各現像装置122には、図略のトナーコンテナからトナーがそれぞれ補給される。
【0031】
各感光体ドラム121の直上位置には帯電器123がそれぞれ設けられている。また、帯電器123および現像装置122の上方位置にはユニット毎に露光装置124が設けられている。各感光体ドラム121は、帯電器123によって周面が一様に帯電される。そして、画像読取部16で入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が、各露光装置124から帯電後の各感光体ドラム121の周面へと照射されることにより、各感光体ドラム121の周面にそれぞれ静電潜像が形成される。
【0032】
静電潜像に現像装置122からそれぞれの色のトナーが供給されることにより、感光体ドラム121の周面にトナー像がそれぞれ形成される。
【0033】
感光体ドラム121の下方位置には、当該各感光体ドラム121の周面に当接するように転写ベルト125が設けられている。転写ベルト125は、駆動ローラ125a、従動ローラ125bおよび2次転写対向ローラ125c並びにその他の必要なローラ間に張設された転写ベルト125が設けられている。転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた1次転写ローラ126によって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。
【0034】
転写ベルト125が周回することにより、その表面に対しマゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー像の転写が行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にシアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にイエロー用ユニット12Yの感光体ドラム121によるイエローのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、最後のブラック用ユニット12Kの感光体ドラム121によるブラックのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、これによって転写ベルト125の表面にカラーのトナー像が形成される。この転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像が用紙貯留部14から搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0035】
各感光体ドラム121の図2における右方位置には当該感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去して清浄化するクリーニング装置127がそれぞれ設けられている。クリーニング装置127によって清浄化処理された感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために帯電器123へ向かうことになる。
【0036】
クリーニング装置127で感光体ドラム121の周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収される。
【0037】
用紙貯留部14の右方位置から画像形成部12の下部にかけて用紙搬送路111が形成されている。用紙貯留部14から繰り出された用紙Pは、搬送ローラ対113の駆動で転写ベルト125の下方位置へ向けて搬送される。用紙搬送路111の2次転写対向ローラ125cと対向した位置に、転写ベルト125の表面と当接する2次転写ローラ125dが設けられている。用紙搬送路111を搬送されつつある用紙Pが転写ベルト125と2次転写ローラ125dとに押圧挟持されることによって、転写ベルト125上のトナー像が用紙Pに転写される。
【0038】
定着部13は、画像形成部12で転写された用紙上のトナー像に対し定着処理を施す。定着部13は、内部に加熱源であるハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた加熱ローラ131と、加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、定着ローラ132および加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、定着ベルト133を介して定着ローラ132と対向配置された加圧ローラ134とを備えている。転写処理済の用紙Pが、定着ベルト133と加圧ローラ134との間のニップ部で加熱されつつ押圧挟持されることによって、用紙P上のトナー画像が定着され、用紙P上に安定したカラー画像が形成される。
【0039】
定着処理の完了したカラー画像付の用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って装置本体10の左側壁に設けられた排紙トレイ115へ向けて排出されることになる。
【0040】
用紙貯留部14は、装置本体10の下部に挿脱自在に装着された用紙Pの束を貯留するための用紙トレイ141を有している。なお、図1および図2に示す例では、用紙トレイ141が2段で設けられているが、段数は、3段以上であってもよいし、1段であってもよい。
【0041】
用紙トレイ141に貯留された用紙束からピックアップローラ112の駆動で用紙Pが1枚ずつ繰り出される。繰り出された用紙Pは、用紙搬送路111を通って画像形成部12の2次転写ローラ125dと転写ベルト125との間のニップ部へ向けて送り込まれ、転写ベルト125の表面に形成されているカラーのトナー画像が転写される。転写処理後の用紙Pの動きは、前述のとおりである。
【0042】
装置本体10の右側面には、開閉カバー18が設けられている。開閉カバー18は、用紙搬送機構11及び用紙搬送機構11内部を露出させるために開放するカバーである。用紙搬送機構11でジャムが生じた場合は、開閉カバー18を開放することで、詰まった用紙Pを外部に露出させ、該用紙Pを取り除くことができる。
【0043】
用紙搬送機構11でのジャムの発生及びジャムの発生位置は、ジャム検出部30(図1及び図2には図示せず)によって検出される。
【0044】
操作パネル20は、図1に示すように、装置本体10の上面右前部に支持アーム21に支持されて設置されている。
【0045】
図3は、操作パネル20および支持アーム21の詳細を説明するための三面図である。支持アーム21は、第1アーム211と第2アーム212とからなる。第1アーム211は、装置本体10の上面右前部から上方に向けて突設され、軸を中心に回転可能とされている。第2アーム212の一端は、第1アーム211の上端に第1ジョイント213を介して結合され、他端は前方に突出して操作パネル20との接合部とされている。第2アーム212は、第1ジョイント213を支点に上下に可動とされている。
【0046】
操作パネル20は、第2ジョイント214を介して第2アーム212と結合され、第2ジョイントを支点に上下左右に回転可能とされている。
【0047】
操作パネル20の位置は、第1アーム211の回転角度を検出することによって、パネル位置検出部40(図1及び図2には図示せず)によって検出される。操作パネル20が開閉カバー18の上方に位置する場合には、ロック機構50(図1及び図2には図示せず)によって、開閉カバー18が閉状態でロックされる。
【0048】
操作パネル20の操作面には、左側に表示パネル201が設けられ、表示パネル201の右側にテンキー202が配列されている。テンキー202の右側にはスタートボタン203が設けられている。
【0049】
表示パネル201は、例えばタッチパネル式のLCD(Liquid Crystal Display)であり、各種の入力情報や出力情報を表示したり、表示された処理条件の内で選択したものについてタッチイン操作で入力したりするものである。本実施例では、開閉カバー18が閉状態でロックされている場合には、開閉カバー18が閉状態でロックされている旨のユーザへの警告を表示し、ジャム発生時には、ジャムが発生している旨のユーザへの警告を表示する報知部としても機能している。
【0050】
なお、後述する実施形態2とは異なり、本実施形態では音声での警告は行わず、表示パネル201への表示による視覚情報による警告のみとしてもよい。これは、開閉カバー18が閉状態でロックされていてもプリントには支障はなく、開閉カバー18が閉状態でロックされている旨の音声警告が、ユーザの通常業務の一部であるプリント中になされることは、かえってユーザの業務を妨げることになりかねないためである。
【0051】
テンキー202は、コピー枚数などの主に数量情報を設定するためのものである。スタートボタン203は、画像形成装置1に対する各種の処理条件が設定された状態で押下されるものである。スタートボタン203を押下することによって、設定された処理条件に沿う画像形成処理が実行されることになる。
【0052】
なお、操作パネル20には、表示パネル201、テンキー202、スタートボタン203、の他にも、必要に応じて各種のキーやボタンが設けられる。
【0053】
図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の機能的な構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、用紙搬送機構11、画像形成部12、定着部13、用紙貯留部14、画像読取り部16、開閉カバー18、操作パネル20、ジャム検出部30、パネル位置検出部40、ロック機構50、及び制御部100を備える。なお、図1〜3に図示した説明済の構成については、必要がない限り説明を省略する。
【0054】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、画像形成装置1の全体的な制御を行う。
【0055】
ジャム検出部30は、例えば光学式センサ等からなり、反射する光の強さを読みとることで用紙Pの有無を判別し、用紙Pの滞留時間が所定値を超えた場合にジャムであると判定することでジャムを検出する。用紙搬送路111の、例えばピックアップローラ112や搬送ローラ対113の近傍に前記光学式センサを複数設置することによって、ジャムの発生位置を検出することができる。
【0056】
パネル位置検出部40は、第1アーム211の回転角度を検出することによって、操作パネル20の位置を検出する。図5は、パネル位置検出部40の動作について説明するための模式図である。図5(A)は、画像形成装置1の上面図、図5(B)は、パネル位置検出部40の構成、および開閉カバー18の可動領域の上方から外れた領域に操作パネル20が位置する場合のパネル位置検出部40の動作を説明するための模式図、図5(C)は、開閉カバー18の可動領域の上方の領域(以下、干渉領域という)に操作パネル20が位置する場合のパネル位置検出部40の動作を説明するための模式図である。なお図5において、第1ジョイント213は省略されている。
【0057】
図5(B)に示すように、パネル位置検出部40は、スイッチ400と、ツメ付き円盤404と、を備える。
【0058】
スイッチ400は、例えばヒンジ・レバー型のスイッチであり、スイッチ本体401、スイッチ本体から突設されたレバー402、レバー402を回転自由に固定しレバー403の回転の支軸となるヒンジ403とからなる。
【0059】
ツメ付き円盤404は、第1アーム211が装置本体10に埋設された基部に、第1アーム211と同軸に、かつ固定的に取付けられる。すなわち、ツメ付き円盤404は、第1アーム211と一体に回転する。
【0060】
干渉領域外に操作パネル20が位置する(破線で示す図5(A)のaの位置)場合には、図5(B)に示すように、ツメ付き円盤404とレバー402は接触しない。すなわちレバー402は押されていないのでスイッチ400はオフの状態である。
【0061】
一方、第1アーム211を軸にして操作パネル20が反時計方向に移動され、干渉領域に操作パネル20が位置する(実線で示す図5(A)のbの位置)場合には、図5(C)に示すように、ツメ付き円盤404によってレバー402が押し込まれる。すなわちスイッチ400はオンの状態となる。
【0062】
スイッチ400がオンになった場合は、パネル位置検出部40は、干渉領域に操作パネル20が位置すると判定する。この場合は、制御部100が、ロック50に開閉カバー18を閉状態でロックさせる。
【0063】
この状態から、第1アーム211を軸にして操作パネル20が時計方向に移動され、干渉領域外に操作パネル20が戻された(図5(A)のaの位置)場合には、スイッチ400はオフとなる。
【0064】
スイッチ400がオフになった場合は、パネル位置検出部40は、干渉領域外に操作パネル20が位置すると判定する。この場合は、制御部100が、ロック50に開閉カバー18のロックを解除させる。
【0065】
ロック機構50は、例えば電磁ロックを備え、制御部100からの命令により開閉カバー18を閉状態でロックする。
【0066】
本実施形態に係る画像形成装置1の動作を図6のフローチャートに基づいて以下に説明する。画像形成装置1が起動されると、パネル位置検出部40は、操作パネル20の位置を検出する(ステップS1)。
【0067】
操作パネル20が、干渉領域にある場合は(ステップS1でYES)、制御部100が、ロック機構50に開閉カバー18を閉状態でロックさせる(ステップS2)。このとき表示パネル201には、制御部100の指示により開閉カバー18がロックされている旨の警告が表示される(ステップS3)。
【0068】
開閉カバー18がロックされている旨の警告にユーザが対応して、ユーザが操作パネル20を干渉領域外に移動した場合には(ステップS4でYES)、制御部100は、ロック50に開閉カバー18のロックを解除させ、表示パネル201の警告表示も非表示にさせる(ステップS5)。操作パネル20が干渉領域に移動され、再び干渉領域外に戻される毎に、上記のステップS1からステップS5が繰り返される。
【0069】
<実施形態2>
図7に示すように、本実施形態において画像形成装置1は、スピーカ60(報知部)をさらに備えることが望ましい。その他の構成は、実施形態1と同じである。実施形態1では、干渉領域に操作パネル20が位置する場合は、ジャムの有無にかかわらず、開閉カバー18が閉状態でロックされる。一方、本実施形態では、ジャムが発生し該ジャムの発生位置がジャム解消操作のために開閉カバー18の開放が必要な位置にあり、かつ操作パネル20の位置が開閉カバー18の可動領域に対して干渉領域にある場合にのみ、開閉カバー18が閉状態でロックされる点が実施形態1とは異なる。
【0070】
以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と相違のない点については、必要がない限り説明を省略する。
【0071】
実施形態1では、スイッチ400がオンとなり、干渉領域に操作パネル20が位置するとパネル位置検出部40が判定した場合は、制御部100が、ロック50に開閉カバー18を閉状態でロックさせ、スイッチ400がオフとなり、干渉領域外に操作パネル20が位置するとパネル位置検出部40が判定した場合は、制御部100が、ロック50に開閉カバー18のロックを解除させるようにした。
【0072】
これに対し、本実施形態では、ジャム検出部30と、パネル位置検出部40と、ロック機構50とを、制御部100が以下のように連動させる。
【0073】
制御部100は、ジャム検出部30によってジャムの発生及び該ジャムの発生位置が検出された場合に、該ジャムの発生位置が該ジャム解消のために開閉カバー18の開放が必要な位置であるか否かを判断する。
【0074】
該ジャムの発生位置が、該ジャム解消のために開閉カバー18の開放が必要な位置にあると制御部100が判断した場合に、パネル位置検出部40によって検出された操作パネル20の位置が開閉カバー18の可動領域に対して干渉領域にあるときには(図5(A)のbの位置)、制御部100は、ロック機構50に開閉カバー18を閉状態でロックさせる。
【0075】
スピーカ60は、例えば装置本体10内部に設置され、前述のようにジャム発生時に開閉カバー18がロックされている場合に、開閉カバー18がロックされているためにジャム処理ができない旨のユーザへの警告を、音声で出力する。
【0076】
本実施形態に係る画像形成装置1の動作を図8のフローチャートに基づいて以下に説明する。プリントが開始されると、ジャム検出部30は、ジャム発生の有無をモニタリングする(ステップS101)。
【0077】
ジャムが発生した場合には(ステップS101でYES)、制御部100は、表示パネル201にジャム発生をユーザに知らせるための表示をさせる(ステップS102)。
【0078】
ジャムが発生しない場合には(ステップS101でNO)、定着処理の完了したカラー画像付の用紙Pが、排紙トレイ115から排出されてプリントが終了する(ステップS111)。
【0079】
ステップS102に進んだ場合、制御部100は、ジャム検出部30が特定したジャムの発生位置が、該ジャム解消のために開閉カバー18の開放が必要な位置であるか否かを判断する(ステップS103)。制御部100は、当該判断のために、開閉カバー18等の各カバーについて、ジャム発生位置とジャム解消操作のために当該カバーの開放が必要な位置との関係を記憶している。
【0080】
ジャムの発生位置が、開閉パネル18を開放することでジャム解消操作が可能な位置にあると制御部100が判断した場合には(ステップS103でYES)、パネル位置検出部40は、操作パネル20の位置を検出する(ステップS104)。
【0081】
操作パネル20が、干渉領域にある場合には(ステップS104でYES)、制御部100は、ロック機構50に開閉カバー18を閉状態でロックさせ(ステップS105)、スピーカ60に、開閉カバー18がロックされているためにジャム解消操作ができない旨のユーザへの警告を、音声で出力させる(ステップS106)。操作パネル20が、干渉領域にない場合は(ステップS104でNO)、ステップS109へと進む。
【0082】
開閉カバー18がロックされているためにジャム解消操作ができない旨の音声警告にユーザが対応して、ユーザが操作パネル20を干渉領域外に移動した場合には(ステップS107でYES)、制御部100は、ロック機構50に開閉カバー18のロックを解除させ、スピーカ60の音声警告も中止させる(ステップS108)。
【0083】
ユーザが開閉カバー18を開いて詰まった用紙を取り除き、ジャムが解消された場合には(ステップS109でYES)、制御部100は、ジャム発生をユーザに知らせていた表示を非表示するよう表示パネル201に指示する(ステップS110)。そして、プリントが再開され、定着処理の完了したカラー画像付の用紙Pが、排紙トレイ115から排出されてプリントが終了する(ステップS111)。プリントが終了すると、ステップS101に戻って画像形成装置1は待機状態となる。
【0084】
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることもできる。
【0085】
(1)上記の実施形態においては、開閉カバー18が右側面に設けられているが、用紙搬送機構11の位置に応じて、開閉カバー18を前面に設けてもよい。この場合、パネル位置検出部40は、スイッチ400がオンのときに干渉領域外に操作パネル20が位置すると判定し、スイッチ400がオフのときに干渉領域に操作パネル20が位置すると判定する。すなわち、スイッチ400のオン/オフと操作パネル20の位置との対応が、上記実施形態とは反対になる。
【0086】
(2)上記の実施形態2においては、ジャム発生時に、開閉カバー18がロックされている旨の警告をスピーカ60による音声、ジャムが発生している旨の警告を表示パネル201への表示によって行った。これらの警告は、両方ともスピーカ60による音声によって行ってもよいし、両方とも表示パネル201への表示によって行ってもよい。あるいはスピーカ60による音声と表示パネル201への表示とを組み合わせてもよい。
【0087】
(3)上記の実施形態においては、画像形成装置1としてタンデム式のカラー複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、タンデム式に限定されるものではなく、4サイクル式であってもよいし、モノクロであってもよい。
【0088】
(4)上記の実施形態においては、画像形成装置1として複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置1が複写機であることに限定されるものではなく、コンピュータ等の外部機器から入力される画像情報に基づき印刷処理を施すプリンタであってもよいし、通信回線を介して伝送された画像情報に基づき画像を出力するファクシミリ装置であっても、あるいはこれらの機能を合わせて備える複合機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を説明するための正面断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の操作パネル及び該操作パネルの支持アームの詳細を説明するための三面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る画像形成装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図5】パネル位置検出部の動作について説明するための模式図である。(A)は、画像形成装置の上面図、図5(B)は、パネル位置検出部の構成、及び開閉カバーの可動領域の上方から外れた領域に操作パネルが位置する場合のパネル位置検出部の動作を説明するための模式図、(C)は、開閉カバーの可動領域の上方の領域に操作パネルが位置する場合のパネル位置検出部の動作を説明するための模式図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態2に係る画像形成装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置
10 装置本体
11 用紙搬送機構
111 用紙搬送路
112 ピックアップローラ
113 搬送ローラ対
114 排紙搬送路
18 開閉カバー
20 操作パネル
201 表示パネル(報知部)
21 支持アーム
211 第1アーム
212 第2アーム
30 ジャム検出部
40 パネル位置検出部
400 スイッチ
401 スイッチ本体
402 レバー
403 ヒンジ
404 ツメ付き円盤
50 ロック機構
60 スピーカ(報知部)
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送機構及び該用紙搬送機構内部を露出させるために開閉される開閉カバーと、
操作受付及び機器情報表示の少なくとも一方の機能を備える操作パネルであって、前記開閉カバーの可動領域または該可動領域の上方の領域の少なくとも一方に干渉する干渉領域を含む領域で可動する操作パネルと、
前記開閉カバーの開閉動作を規制してロックするロック機構と、
前記操作パネルの位置を検出するパネル位置検出部と、
前記パネル位置検出部によって検出された前記操作パネルの位置が前記干渉領域にある場合に、前記ロック機構に前記開閉カバーを閉状態でロックさせる制御部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉カバーがロックされている場合に、前記操作パネルの位置が前記干渉領域外に移動されたことを前記パネル位置検出部が検出したときに、前記制御部が、前記ロック機構に前記開閉カバーのロックを解除させる請求項1に記載の画像形成装置
【請求項3】
前記開閉カバーがロックされているか否かをユーザに報知する報知部をさらに備え、
前記制御部が前記ロック機構に前記開閉カバーをロックさせている場合に、該開閉カバーがロックされている旨のユーザへの警告を、該制御部が前記報知部に警告させる請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ジャムの発生および該ジャムの発生位置を検出するジャム検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記ジャム検出部によってジャムの発生及び該ジャムの発生位置が検出された場合に、該ジャムの発生位置が該ジャム解消のために前記開閉カバーの開放が必要な位置であるか否かを判断し、該ジャムの発生位置が該ジャム解消のためには前記開閉カバーの開放が必要な位置と判断した場合に、前記パネル位置検出部によって検出された前記操作パネルの位置が該開閉カバーの可動領域に対して前記干渉領域にあるときには、前記ロック機構に前記開閉カバーを閉状態でロックさせる請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
ジャム発生時に前記開閉カバーがロックされている場合に、該開閉カバーがロックされているためにジャム解消操作ができない旨のユーザへの警告を、前記制御部が前記報知部に警告させる請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記報知部が、前記警告内容を音声でユーザに警告する請求項3〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記報知部が、前記警告内容を視覚情報でユーザに警告する請求項3〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−39391(P2010−39391A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204829(P2008−204829)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】