説明

画像形成装置

【課題】シート積載部が邪魔にならず、定着部の熱を抑えることができ、消費電力を低減させることができ、装置の小型化を図りつつ、剛性の高いシート等の各種シートを使用可能とする。
【解決手段】シート積載トレイ14をプリンタ本体50Aの上部に露出するように配置する。シート積載トレイ14の下方には、カセット15、画像形成部としてのプロセスカートリッジG及び定着装置6が順次配置される。定着装置6の側方には、引込通路Bが配置されている。そして、画像形成部によりシートPにトナー像を形成し、トナー像が形成されたシートPを、一度、定着装置6でトナー像を定着させて引込通路Bに引き込む。そして、シートPをスイッチバックして再度、定着装置6でトナー像を定着させ、トナー像が定着されたシートを、シート積載トレイ14に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に、机に収納されるのに適した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスにおける情報のデジタル化/IT化により文書のデジタル化が急速に進展している。これによりPCやデジタル端末から紙等のシートへの印刷の機会も飛躍的に増加している。またこれによりSOHO(SmallOffice/HomeOffice)と呼ばれるPCなどの情報通信機器を利用して、小さなオフィスや自宅などでビジネスを行っている事業者も増加している。そして、PCやその周辺機器に対して更なる小型化/省スペース化が切望されており、プリンタ等の画像形成装置においてもこの要望は高い。また、オフィスにおいては各種機器を稼動させる電力も従来のオフィスに対して飛躍的に伸びており、機器の省電力化に関しても強い要望がある。
【0003】
そこで、省スペース化ために、キャビネット(袖机)を有する机や脇机等の机に収納される画像形成装置が提案されており(特許文献1〜3参照)、専用台の不要、簡便な操作性を実現している。この種の画像形成装置では、画像形成されたシートが装置本体の一側面に突設されるシート積載部に排出するものである。そして、装置本体の一側面からシートを収納するシート収納部を引き出し可能としている。このように装置本体の一側面にシート積載部及びシート収納部を配置して使い勝手をよくしている。したがって、シート収納部からシート積載部に延びるシート搬送通路は、シート収納部からUターンするUターンパスと、そこから水平に延びる水平パスとで構成され、水平パスに画像形成部及び定着部を順次配置するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−80267号公報
【特許文献2】特開昭61−80268号公報
【特許文献3】特開平5−308476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置では、シート積載部が机の側面から突出してしまうので、大型で見栄えが悪く、また、ユーザがシート積載部にぶつかってしまい、シートがシート積載部から落下して汚損してしまうおそれがある。
【0006】
更に、画像形成装置はオープンスペースでなく閉塞された机内に収納されるので、定着部で発生した熱が机内にこもってしまうのを抑制するために、排熱するためのファン及びダクト等の排熱手段を設ける必要があった。そして、このように排熱手段を設ける場合は、コストアップ、消費電力の増加を回避することが困難であった。
【0007】
更に、画像形成装置は机に収納されるので、装置本体の小型化が必要となる。そこで、単に装置本体を小型化してしまうと、シート搬送通路のUターンパスの曲率半径が小さくなってしまい、厚紙等の剛性の高いシートを使用することが困難となり、使用可能なシートが限定されてしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、シート積載部が邪魔にならず、定着部の熱を抑えることができ、消費電力を低減させることができ、装置の小型化を図りつつ、剛性の高いシート等の各種シートを使用可能な画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、シートにトナー像を形成する画像形成部を備え、前記画像形成部によりシートに形成されたトナー像を定着させて、シートを装置本体から排出する画像形成装置において、前記装置本体の上部に配置され、前記装置本体から排出されたシートを積載するシート積載部と、前記シート積載部と前記画像形成部との間に配置され、シートを収納するシート収納部と、前記画像形成部の下方に配置され、前記画像形成部によりシートに形成されたトナー像を定着させる定着部と、前記定着部の側方に配置され、前記定着部でトナー像が定着されたシートを、スイッチバックするために引き込む引込通路と、を備え、前記シート収納部に収納されているシートを下方に搬送して、前記画像形成部によりシートにトナー像を形成し、トナー像が形成されたシートを、一度、前記定着部でトナー像を定着させて前記引込通路に引き込んだ後、スイッチバックして再度、前記定着部でトナー像を定着させ、トナー像が定着されたシートを、上方に搬送して前記シート積載部に排出する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置本体の上部にシート積載部を配置したので、シート積載部が邪魔にならず、ユーザがシート積載部にぶつかるのを回避することができ、シートの落下を防止することができ、また、装置が小型化して見栄えもよくなる。
【0011】
更に、シートに形成されたトナー像を定着部で二度定着させるようにしたので、定着部の定着温度を低下させることができ、消費電力を低減させることができる。そして、定着部の定着温度を低下させることができるので、別途排熱手段を設けなくても、机内に熱がこもるのを抑制することができる。
【0012】
更に、シートのトナー像を定着部で二度定着させて装置本体上部に配置したシート積載部にシートを排出する構成であるので、シート積載部の下方にシート収納部、画像形成部及び定着部を順次配置することで、装置本体内における各部の収容性が向上する。これにより、装置を小型化することができる。
【0013】
そして、シート収納部から下方に搬送されたシートは、画像形成部を経て定着部で一度目の定着がなされ、定着部の側方に配置された引込通路に引き込まれた後、スイッチバックして定着部で二度目の定着がなされ、上方に搬送されてシート積載部に排出される。従って、シートは曲率半径の小さいUターンパスを通過することがないので、装置を小型化しても、シートに過大なストレスがかかることはない。このように、装置を小型化しつつも、シートには過大なストレスがかかることはないので、剛性の高いシートを含む各種シートを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の一例としてのレーザビームプリンタの概略構成を示す説明図である。また、図2は、机にレーザビームプリンタを収容した状態を示す説明図である。
【0016】
図1及び図2において、50は、画像形成装置としてのレーザビームプリンタ(以下、「プリンタ」という)、50Aは、装置本体としてのプリンタ本体である。図2において、プリンタ本体50Aは、机100の両側に設けられているキャビネット200,201のうち、キャビネット201に収納可能に構成されている。また、机100にはPC等の電子機器とプリンタ50とを接続するためのUSB/IEEE1394等のコネクタ130が設置されている。これにより、PC等の電子機器の接続が容易である。なお、本実施の形態では有線による接続例を示したが、無線設備を設置しても構わない。
【0017】
プリンタ50は、図1に示すように、シートPにトナー像を形成する画像形成部としてのプロセスカートリッジ(以下、「カートリッジ」という)Gを備えている。このカートリッジGは、回転自在に支持される像担持体としての感光体ドラム1と、帯電ローラ2と、現像装置としての現像ローラ4と、クリーニング装置7とを有し、これらが一体にケース10に収納されている。そして、このカートリッジGは、プリンタ本体50Aに対して着脱自在に支持されている。カートリッジGのケース10は、上ケース半体10aと、下ケース半体10bとで構成されている。
【0018】
感光体ドラム1は、駆動手段(不図示)によって矢印R1方向に所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0019】
プリンタ50は、カートリッジGの感光体ドラム1に圧接状態で配置される転写ローラ5を備えており、感光体ドラム1及び転写ローラ5により転写ニップ部Tが形成されている。また、プリンタ50は、感光体ドラム1の表面を露光してその表面に静電潜像を形成する露光部としての露光装置3を備えている。
【0020】
また、プリンタ50は、シートPを給送するシート給送装置9と、給送されたシートPをカートリッジGの感光体ドラム1(すなわち、転写ニップ部T)に搬送する搬送ローラ対8と、を備えている。また、プリンタ50は、シートPに形成されたトナー像を熱定着させる定着部としての定着装置6と、プリンタ本体50Aから排出された定着後のシートPを積載するシート積載部としてのシート積載トレイ14と、を備えている。
【0021】
定着装置6は、ヒータユニット25と不図示の圧縮ばね又は引張ばねにより付勢されている加圧ローラ26とにより構成され、加圧ローラ26の端部には、駆動伝達のためのギア又はプーリが設けられ、加圧ローラ26を回転させてシートPを搬送する。また加圧ローラ26には、不図示のモータが接続される。そして、モータの正転、逆転により定着装置6の加圧ローラ26は正方向、逆方向にシートの搬送方向が制御される。これにより、定着装置6は、シートPを正方向に搬送可能であり、また、シートPをスイッチバックさせて逆方向に搬送可能である。
【0022】
シート給送装置9は、シートPを収納するシート収納部としてのカセット15を有する。カセット15は、略水平に配置されており、カセット15の下部におけるシートPの先端に対応する部分には、シートPを送り出すための開口部15aが形成されている。また、シート給送装置9は、カセット15の開口部15a近傍に配置され、シートPを給送するための半月状の給送ローラ11を有し、カセット15に収納されている最下部のシートPが所定のタイミングで給送される。また、シート給送装置9は、給送ローラ11から給送されたシートPを搬送ローラ対8へ搬送するフィードローラ16と、不図示のトルクリミッタを介してフィードローラ16とは反対方向へ所定のトルクが掛けられているリタードローラ17とを有している。このリタードローラ17は、所定の圧力がフィードローラ16に対して掛けられて回転自在に支持されており、リタードローラ17の逆転トルクにより、シートが複数枚給送された場合でもシートPを1枚ずつ分離搬送することが可能となっている。ここで、リタードローラ17の代わりに、ゴム、エラストマー等の高摩擦部材のパッド部材を、所定の圧力でフィードローラ16に掛ける分離パッドを設けてもよい。
【0023】
なお、プリンタ50は、プリンタ50全体を制御するCPUを有する制御装置39を備えている。この制御装置39は、プリンタ本体50Aに有線若しくは無線接続されたPC又はこれに類する印刷指示装置により印字データが送信されると、各アクチュエータを動作させる。
【0024】
ところで、本実施の形態では、シート積載トレイ14は、プリンタ本体50Aの上部に配置され、シート積載面がプリンタ本体50Aの外部に露出するように配置されている。そして、図2に示すように、プリンタ本体50Aが机100のキャビネット201に収納した際には、シート積載トレイ14が机上に露出する。このように配置することで、シート積載トレイ14が、プリンタ本体50Aの側方に突出することがないので邪魔にならず、ユーザがシート積載トレイ14にぶつかるのを回避することができる。従って、シートPの落下を防止することができ、また、プリンタ50が小型化して見栄えもよくなる。
【0025】
次に、プリンタ50は、図2に示すように、机100に組み込まれるので、プリンタ本体50A内部には、内部で発生した熱がこもりやすい。そして、プリンタ50における一番の発熱源は、定着装置6である。つまり、定着装置6における定着温度を低下させれば、プリンタ本体50Aの内部に熱がこもるのを抑制できるものである。
【0026】
そこで、本実施の形態では、定着装置6の定着温度を、一度でトナー像を定着させる場合よりも低い温度に設定し、定着装置6でシートPに形成されたトナー像を二度定着させて、シート積載トレイ14に排出するように構成している。
【0027】
具体的に説明すると、まず、プリンタ本体50Aの上部に配置されているシート積載トレイ14の直下(下方)には、カセット15が配置されている。このカセット15はプリンタ本体50A内に収納されて引き出し自在に支持されている。このカセット15の一側面には、把手103が取り付けられており、ユーザが把手103を掴んで引き出すことにより、プリンタ本体50Aから側方にスライド可能となっている。そして、カセット15は、プリンタ本体50Aの側面から突出する部分がなく、プリンタ本体50A内に収容されて、コンパクト化が図られている。
【0028】
このカセット15の下方には、カートリッジGが配置されている。つまり、カセット15はシート積載トレイ14とカートリッジGの間に配置されている。そして、カートリッジGの下方には、定着装置6が配置されている。このように、プリンタ本体50A内にカセット15、カートリッジG及び定着装置6が下方に向かって順次配置されている。
【0029】
すなわち、本実施の形態では、定着装置6でシートPのトナー像を二度定着させて、プリンタ本体50Aの上部に配置したシート積載トレイ14にシートを排出する構成である。このような構成であるので、シート積載トレイ14の下方にカセット15、カートリッジG及び定着装置6を順次配置することで、プリンタ本体50A内における各部の収容性が向上する。これにより、装置を小型化することができる。
【0030】
プリンタ50は、カセット15から下方に延びるように形成され、カセット15からカートリッジGを経て定着装置6の一方側にシートPを案内する主搬送通路Aを備えている。この主搬送通路Aは、カセット15から定着装置6にシートPをストレスなく搬送するように、略C形状に湾曲して形成され、その内側にはカートリッジGが配置されている。
【0031】
また、プリンタ50は、定着装置6の他方側であって、側方(すなわち略水平方向)に延びるように形成された引込通路Bを備えている。この引込通路Bは、略水平方向に延びるシートガイド24で形成されている。そして、互いに向かい合うカセット15と引込通路Bとの間には、空間Rが形成される。この空間Rには、露光装置3及び制御装置39が配置され、各機器が狭い空間内にコンパクトに収納され、収納性が向上し、装置を小型化することができる。
【0032】
更に、プリンタ50は、主搬送通路Aと略平行に定着装置6の一方側から上方に延びるように形成され、引込通路Bから定着装置6を通過したシートPを、シート積載トレイ14に案内する排出通路Cを備えている。この排出通路Cは、定着装置6からシート積載トレイ14にシートPをストレスなく搬送するように、主搬送通路Aと同一方向に略C形状に湾曲して形成されている。そして、排出通路Cは、主搬送通路Aの外側に配置されている。
【0033】
ここで、主搬送通路A及び排出通路Cは、一対のガイドで形成されている。そして主搬送通路Aの一方のガイドが、カートリッジGのケース10により構成されている。また、主搬送通路Aを形成する他方のガイド及び排出通路Cを形成する一方のガイドは、一体に構成されたガイド部材20で構成されている。
【0034】
このガイド部材20の下端には、切換部材80が回動自在に設けられており、定着装置6にシートPを案内するための第1の位置と、定着装置6からシートを排出通路Cに案内するための第2の位置とに切換可能となっている。
【0035】
また、排出通路Cを形成する他方のガイドは、プリンタ本体50Aの側壁を構成するガイド部材21で構成され、下端が軸21aで回動可能に支持されている。つまり、ガイド部材21は、軸21aを中心に回動可能に支持されており、ガイド部材21を回動させることで、排出通路Cを開閉することができる。
【0036】
主搬送通路Aにおける搬送ローラ対8と、画像形成部としてのカートリッジGの感光体ドラム1との間には、シート検知センサS1が設けられている。また、定着装置6の一方側(カートリッジGの感光体ドラム1を通過してきたシートPが導入される側)の入口近傍には、検知部としてのシート検知センサS2が設けられている。また、排出通路Cには、搬送ローラ対18及び排出ローラ対13が順次設けられており、排出ローラ対13の近傍には、シート検知センサS3が設けられている。
【0037】
シート検知センサS1及びS3は、不図示のレバー及びフォトインタラプタを有し、シートPの先端がレバーを突き当たり揺動することにより、シートPの先端を検知することができる。なお、シートPへ光線を直接照射し、その反射光の有無を観測してシートの通過を検出するようにしてもよい。
【0038】
シート検知センサS2は、シートPの有無を検知し、この検知結果に基づいて制御装置39により切換部材80の位置及び定着装置6の搬送方向の切換制御を行なっている。
【0039】
なお、プリンタ本体50Aの一側面には、把手131が取り付けられており、ユーザが把手131を掴んで引き出すことにより、プリンタ本体50Aが机100から側方にスライド可能となっている。
【0040】
次に、プリンタ50の動作について説明する。図3は、シートPをシート給送装置9から給送している状態を示す説明図であり、図4は、図3の感光体ドラム1近傍を示す説明図である。
【0041】
プリンタ本体50Aに有線又は無線接続されたPC又はこれに類する印刷指示装置により印字データが送信されると、プリンタ本体50Aに内蔵された制御装置39により各アクチュエータが動作を開始する。
【0042】
カセット15から給送されたシートPは、搬送ローラ対8により搬送され、シート検知センサS1により先端が検知される。このシート検知センサS1の通過タイミングをトリガーとして、画像先端とシートPの先端とが一致するように、露光装置3により感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。そして、シート検知センサS1により先端が検知されたシートPは、搬送ローラ対8により感光体ドラム1と転写ローラ5との転写ニップ部T搬送される。
【0043】
ここで、図4において、L1は、シート検知センサS1と転写ニップ部Tとの間の搬送距離であり、L2は、感光体ドラム1上の露光位置から転写ニップ部Tまでの感光体ドラム1上の周長である。そして、搬送ローラ対8のシート搬送速度をV1、感光体ドラム1外周の周速度をV2、シート検知センサS1をシート先端が通過した時刻を0とすれば、露光開始時刻tは、次の関係式で求まる。
【0044】
【数1】

【0045】
図5は、一度目の定着を行っている定着装置6の近傍を示す説明図である。図6は、二度目の定着を行っている定着装置6の近傍を示す説明図である。
【0046】
次に、感光体ドラム1によりトナー像が形成されたシートPは、図5に示すように、矢印D1方向に回動されて第1の位置に切り換えられている切換部材80を通過し、トナー像が形成された画像形成面を上向きにして定着装置6へ導かれる。
【0047】
このとき、定着装置6の加圧ローラ26は、矢印R2方向に正方向に回転し、シートPを挟持して正方向に搬送しながら、シートP上のトナー像を定着させる。このように一度目のトナー像の定着がなされたシートPは、引込通路Bに引き込まれる。
【0048】
そして、シート検知センサS2によりシートPの後端が検出されると、ヒータユニット25及び加圧ローラ26でシートPを挟持したまま、加圧ローラ26の回転を一旦停止させる。そして、図6に示すように、切換部材80を矢印D2方向に回動させて第2の位置に移動させ、加圧ローラ26を矢印R3方向に逆方向に回転する。これにより、シートPはスイッチバックして、定着装置6により逆方向に搬送されながら二度目のトナー像の定着がなされ、排出通路Cに導かれる。このように、定着装置6からシートPが外れる前にスイッチバックさせるようにしたので、再度、定着装置6で定着させるために、定着装置6にシートを搬送する搬送ローラ対を引込通路Bに配置する必要がない。
【0049】
次いで、再度、定着装置6にてトナー像の定着が施されて排出通路Cに導かれたシートPは、搬送ローラ対18により上方に搬送され、排出ローラ対13によりプリンタ本体50Aから排出され、シート積載トレイ14上に画像形成面を下向きにして積載される。
【0050】
このように、カセット15から給送されたシートPが主搬送通路Aを通過する際には、緩やかに湾曲して搬送されるので、シートPに過大なストレスがかかることはない。また、引込通路BにシートPが引き込まれてスイッチバックして排出通路Cに導かれる際にも、シートPは略水平に案内されるので、過大なストレスがかかることはない。更に、排出通路Cを搬送されるシートPも緩やかに湾曲して搬送され、シート積載トレイ14上に排出されるので、シートPに過大なストレスがかかることはない。このようにシートPは曲率半径の小さいUターンパスを通過することがないので、装置を小型化しても、シートPに過大なストレスがかかることはなく、剛性の高いシートを含む各種シートを使用することができる。
【0051】
そして、シートPに形成されたトナー像を定着装置6で二度定着させるようにしたので、定着装置6の定着温度を低下させることができ、消費電力を低減させることができる。そして、定着装置6の定着温度を低下させることができるので、別途排熱手段を設けなくても、机100内に熱がこもるのを抑制することができる。
【0052】
図7は、シート検知センサS2の構成及び動作を説明するための説明図である。また、図8は、シート検知センサS2、切換部材80の位置及び定着装置6の搬送方向に関するタイミングチャートである。
【0053】
まず、シート検知センサS2の構成について図7を参照しながら説明する。図7(a)に示すように、シート検知センサS2は、定着装置6の入口近傍に配置された入口ガイド27に回動自在に支持されるセンサレバー91と、フォトインタラプタ92とを有する。更に、シート検知センサS2は、センサレバー91をシートPの通過後に初期位置に復帰させるための引張ばね93を有する。
【0054】
センサレバー91は、シートPと接触する接触部91aと、フォトインタラプタ92を遮光するための遮光部91bと、引張ばね93が引っ掛けられるばね掛け部91cとからなる。
【0055】
次に、シート検知センサS2の動作について、図8のタイムチャートに沿って図7を参照しながら説明する。
【0056】
シートPが搬送されていない状態では、センサレバー91の遮光部91bがフォトインタラプタ92を遮光(CLOSE)しており、これによりシート無が検知される。このとき、切換部材80は、図5中矢印D1方向に回動した状態で第1の位置に移動している。そして、定着装置6の加圧ローラ26は、図5中矢印R2方向に回転している。
【0057】
次に、シートPが正方向(図7(b)中D3方向)に搬送され、センサレバー91の接触部91aがシートPの先端及びシート面に押されて、矢印R5方向に回動すると、フォトインタラプタ92の光が透過(OPEN)する。これによりシート有が検知される。このとき、引張ばね93は引き伸ばされ、引張ばね93の復元力により矢印R7方向へのモーメントを受けるため、シートP通過後には、初期位置に復帰する。そして、センサレバー91の遮光部91bがフォトインタラプタ92を遮光(CLOSE)するので、シート無が検知される。これにより、制御装置39は、切換部材80を図6中矢印D2方向に回動して第2の位置に移動させる。
【0058】
次いで、シートPが定着装置6から外れる前に、定着装置6の加圧ローラ26が図6中矢印R3方向に逆方向に回転し、シートPが図7(c)中矢印D4方向に逆方向に搬送される。これにより、センサレバー91が矢印R6方向に回動し、フォトインタラプタ92の光が透過(OPEN)し、シート有が検知される。
【0059】
このとき、引張ばね93は引き伸ばされて、引張ばね93の復元力により矢印R8方向へのモーメントを受けるため、シートP通過後に再び初期位置に復帰する。そして、センサレバー91の遮光部91bがフォトインタラプタ92を遮光(CLOSE)するので、切換部材80が図6中矢印D1方向に回動して第1の位置に移動し、次のシートを待ち受ける。
【0060】
所定枚数のシートの画像形成が終了し、シート検知センサS3(図1)が最終シートの後端を検出すると、各アクチュエータへの駆動が停止し、プリンタ本体50Aは待機状態となる。
【0061】
次に、カートリッジGを入れ換える場合について説明する。図9は、プリンタ50においてカートリッジGを取り出している状態を示す説明図である。
【0062】
プリンタ本体50Aが収納される机100のキャビネット201には、固定レール105が設けられており、プリンタ本体50Aには、固定レール105に沿ってスライドさせるためのコロ104が回動自在に固定されている。これによりプリンタ本体50Aは矢印D11方向にスライド可能となる。このプリンタ本体50Aの引き出し動作と同時に、ガイド部材21は、軸21aを中心に矢印R11方向に回動し、排出通路Cを開放する。これにより、排出通路Cのジャム処理が可能となる。これにより、メンテナンス性が向上する。
【0063】
シート積載トレイ14は、プリンタ本体50Aに開閉自在に支持され、また、カセット15は、プリンタ本体50A内に収納されて略水平方向に引き出し自在に支持されている。
【0064】
そして、シートPを収納したカセット15を、矢印D11方向にスライドさせて引き出すと共に、シート積載トレイ14を開放することで、カートリッジGがアクセス可能に露出する。これにより、ユーザは簡単にカートリッジGを交換(着脱)することが可能である。そして、カートリッジGをプリンタ本体50Aから取り出すことで、主搬送通路Aを開放することができ、主搬送通路Aのジャム処理が可能となる。これにより、メンテナンス性が向上する。
【0065】
なお、机100とプリンタ本体50Aには、それぞれ対向する給電用コネクタ110,111が設けられており、プリンタ本体50Aの引き出し動作時には、プリンタ50への給電をカットするようになっている。
【0066】
なお、上記実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
上記実施の形態では、定着装置6からシートが外れる前にスイッチバックさせる場合について説明したが、これに限定するものではない。引込通路Bに別途、正逆方向に搬送可能な搬送ローラ対を配置し、定着装置6からシートが外れても、再度、定着装置6にシートを搬送可能としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の一例としてのレーザビームプリンタの概略構成を示す説明図である。
【図2】机にレーザビームプリンタを収容した状態を示す説明図である。
【図3】シートをシート給送装置から給送している状態を示す説明図である。
【図4】図3の感光体ドラム近傍を示す説明図である。
【図5】一度目の定着を行っている定着装置の近傍を示す説明図である。
【図6】二度目の定着を行っている定着装置の近傍を示す説明図である。
【図7】シート検知センサの構成及び動作を説明するための説明図である。
【図8】シート検知センサ、切換部材の位置及び定着装置の搬送方向に関するタイミングチャートである。
【図9】プリンタにおいてプロセスカートリッジを取り出している状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
3 露光部(露光装置)
6 定着部(定着装置)
14 シート積載部(シート積載トレイ)
15 シート収納部(カセット)
50 画像形成装置(プリンタ)
50A 装置本体(プリンタ本体)
100 机
A 主搬送通路
B 引込通路
C 排出通路
G 画像形成部(プロセスカートリッジ)
R 空間
S2 検知部(シート検知センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートにトナー像を形成する画像形成部を備え、前記画像形成部によりシートに形成されたトナー像を定着させて、シートを装置本体から排出する画像形成装置において、
前記装置本体の上部に配置され、前記装置本体から排出されたシートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部と前記画像形成部との間に配置され、シートを収納するシート収納部と、
前記画像形成部の下方に配置され、前記画像形成部によりシートに形成されたトナー像を定着させる定着部と、
前記定着部の側方に配置され、前記定着部でトナー像が定着されたシートを、スイッチバックするために引き込む引込通路と、を備え、
前記シート収納部に収納されているシートを下方に搬送して、前記画像形成部によりシートにトナー像を形成し、トナー像が形成されたシートを、一度、前記定着部でトナー像を定着させて前記引込通路に引き込んだ後、スイッチバックして再度、前記定着部でトナー像を定着させ、トナー像が定着されたシートを、上方に搬送して前記シート積載部に排出する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート収納部から下方に延びるように形成され、前記シート収納部から前記画像形成部を経て前記定着部にシートを案内する主搬送通路と、
前記主搬送通路と略平行に前記定着部から上方に延びるように形成され、前記引込通路から前記定着部を通過したシートを、前記シート積載部に案内する排出通路と、を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記主搬送通路及び前記排出通路を同一方向に湾曲して形成すると共に、前記引込通路を略水平に形成し、
前記主搬送通路の湾曲する内側に前記画像形成部が配置され、前記主搬送通路の湾曲する外側に前記排出通路が配置され、
前記主搬送通路を通じて前記画像形成部にてトナー像が形成されたシートを、画像形成面を上向きにして一度、前記定着部でトナー像を定着させて前記引込通路に引き込んだ後、スイッチバックして再度、前記定着部でトナー像を定着させ、トナー像が定着されたシートを、前記排出通路を通じて画像形成面を下向きにして前記シート積載部に排出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、表面にトナー像を担持する像担持体を有し、
前記像担持体の表面を露光して前記像担持体の表面に静電潜像を形成する露光部を備え、
前記シート収納部と前記引込通路とは、互いに向かい合うように配置され、
前記シート収納部と前記引込通路とで挟まれる空間に、前記露光部を配置した、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成部は、前記装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジであり、
前記シート積載部は、前記装置本体に開閉自在に支持され、
前記シート収納部は、前記装置本体に略水平方向に引き出し自在に支持され、
前記プロセスカートリッジの着脱の際に、前記シート積載部を開放すると共に、前記シート収納部を引き出すことで、前記プロセスカートリッジをアクセス可能に露出する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着部は、前記引込通路にシートを送り込む正方向と、前記引込通路からシートを送り出す逆方向とにシートを搬送可能であり、
前記定着部における前記画像形成部を通過してきたシートが導入される入口近傍に、シートの有無を検知する検知部を備え、
前記定着部によりシートを前記正方向に搬送させているときに、前記検知部によりシート無を検知した場合、前記定着部からシートが外れる前に、前記定着部によりシートを前記逆方向に搬送させる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シート積載部が机上に露出するように前記装置本体が机に収納可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−96952(P2010−96952A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267210(P2008−267210)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】