説明

画像形成装置

【課題】未使用状態に近い感光体ドラムに生ずるスリップ痕や、当該感光体ドラムの帯電特性の劣化状態を速やかに解消できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】その回転駆動によって表面にトナー像を形成する感光体ドラム(18)と、この感光体ドラムの表面に接触する接触部材(12)と、用紙出力用の最初のトナー像を表面に形成する前に、接触部材との接触によって感光体ドラムの表面のその全周に亘って刻設され、この感光体ドラムの周方向に沿って延びた溝状の略均一な研磨筋を表面に形成させる研磨筋形成手段(93)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムのトナー像を中間転写体や用紙に出力する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では電子写真方式が用いられており、帯電器が感光体ドラムを予め帯電し、露光部が感光体ドラムの表面に光を照射すると、この表面には静電潜像が形成される。また、現像器はトナーを担持しており、現像バイアス電圧を印加すると、トナーが励起して静電潜像に付着してトナー像が形成される。そして、このトナー像を用紙に、或いは中間転写体を介して用紙に転写して定着させる。
【0003】
ここで、感光体ドラムの表面には、微量のトナーが用紙に転写されずに残ることがあり、次回の画像形成までに除去する必要がある。このため、感光体ドラムの表面をクリーニングブレードで清掃する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、初期ドラム、詳しくは、未使用状態に近い感光体ドラムではスリップ痕が生じ易い。このスリップ痕は、未使用状態に近い感光体ドラムでは、平滑な部分と、中間転写体との摩擦に伴う擦り傷が発生する部分とが存在し、感光体ドラム表面とクリーニングブレードとの負荷の差が大きくなり、感光体ドラムの回転が安定しないために発生する。
【0004】
このスリップ痕は、この感光体ドラムの周方向でみて長さの短い傷であり、この短い傷の帯が感光体ドラムの回転軸線方向に対して略平行に形成される。このスリップ痕とクリーニングブレードとが接触すると、感光体ドラムの駆動ムラになって画像乱れの原因になる。そこで、この文献1には、画像形成中の感光体ドラムと中間転写体との相対速度を変更し、スリップ痕の発生を防止する技術が開示されている。或いは、シリコン化合物を添加し、少ない印字枚数で磨耗し易い性質を有した単層ドラムを選択することも考えられる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−128243号公報
【特許文献2】特開2001−265030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したスリップ痕は、画像形成中の感光体ドラムと中間転写体との相対速度を変更するのみでは不十分である。なぜならば、この画像形成中に、例えば停電の場合や画像形成装置のカバーが開けられた場合の如く、この画像形成装置への電力供給が瞬間的に停止(瞬停)すると、感光体ドラムと中間転写体との慣性力が異なり、これら感光体ドラムや中間転写体の駆動中から駆動停止に至るまでの相対速度が一定にならないため、中間転写体との摩擦に伴う擦り傷が容易に発生するからである。
【0007】
この場合に、感光体ドラムの製造過程で擦り傷を付加するのでは、画像形成装置の製造コストの低廉化を図れない。一方、上述した単層の感光体ドラムを選択しても、初期ドラム、詳しくは、未使用状態に近い感光体ドラムでは帯電特性が劣化する。この現象は、感光体ドラムの表面電位を縦軸、印字枚数を横軸にとれば、帯電から所望の電圧を感光体ドラムに付与しているにも拘わらず、その表面電位がアルファベットの略V字の如くのカーブ形状で現れる(以下、V字現象と称する)。
【0008】
これは、感光体ドラムの表面は、その未使用状態では表面平滑性が高いために磨耗の進行が遅いので付着物が除去されにくい。そして、付着物があることによってさらに磨耗の進行の妨げになって感光体ドラムをさらに削れ難くするからである。
このように、画像形成中の調整では、スリップ痕を依然として回避できない場合があるし、また、初期ドラムの表面電位は著しく低下するので、感光体ドラムの使用開始前の調整が必要になるが、上記従来の技術では、いずれも画像形成中に関する構成であり、この点については格別な配慮がなされていない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、未使用状態に近い感光体ドラムに生ずるスリップ痕や、当該感光体ドラムの帯電特性の劣化状態を速やかに解消できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための第1の発明は、その回転駆動によって表面にトナー像を形成する感光体ドラムと、この感光体ドラムの表面に接触する接触部材と、用紙出力用の最初のトナー像を感光体ドラム表面に形成する前に、接触部材との接触によって感光体ドラムの表面のその全周に亘って刻設され、この感光体ドラムの周方向に沿って延びた溝状の略均一な研磨筋を表面に形成させる研磨筋形成手段とを具備する。
【0011】
本発明は、感光体ドラムの使用開始前にその表面に傷を付けてしまう点に着目したものである。
そして、第1の発明によれば、感光体ドラムの使用開始前、つまり、用紙出力用の最初のトナー像を感光体ドラムの表面に形成する前に、この感光体ドラムの表面には、研磨筋が接触部材との接触によって既に刻設されている。
【0012】
具体的には、研磨筋形成手段が接触部材を用いて研磨筋を形成させ、本発明の研磨筋は、この感光体ドラムの周方向でみて長さの短い上記スリップ痕のような一部分の擦り傷ではなく、その全周に亘って形成されている。そして、この研磨筋は、この感光体ドラムの周方向に沿って延びた溝状で構成されており、且つ、略均一である。
【0013】
このように、感光体ドラムの表面全体に溝状の研磨筋を予め設けておけば、感光体ドラムの使用開始時点から、平滑な表面を有した未使用に近い初期ドラムの状態ではなく、耐刷されて感光体ドラムの表面全体に研磨筋が現れたドラム(以下、全周研磨ドラムと称す。)に近い状態になり、仮に、瞬停などの異常が画像形成装置に発生したとしても、スリップ痕の発生を防止できる。
しかも、研磨筋形成手段が、研磨筋を感光体ドラムの表面に設けて初期ドラムの磨耗を積極的に促進させれば、その帯電特性の劣化状態は速やかに解消するので、所望の表面電位を得ることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明の構成において、研磨筋は、その十点平均粗さRzが0.20×10−6mから3.00×10−6mまでの範囲であって、その凹凸平均間隔Smが1.00×10−6mから500×10−6mまでの範囲であることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、研磨筋形成手段による研磨筋の均一性、詳しくは、その十点平均粗さRzが0.20×10−6mから3.00×10−6mまでの範囲であり、その凹凸平均間隔Smが1.00×10−6mから500×10−6mまでの範囲であれば、上述したスリップ痕が生ずる感光体ドラムの表面にはならず、且つ、V字現象も確実に解消できる。
【0015】
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、研磨筋形成手段は、研磨筋を感光体ドラム表面に刻設させる高硬度の微粒子を接触部材に供給する微粒子供給部を有することを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、高硬度の微粒子によって初期ドラムの磨耗は確実に速くなり、直ちに全周研磨ドラムに近い状態になる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明の構成において、微粒子は、トナー像を現像する現像剤に含まれた研磨剤であり、接触部材は、感光体ドラム表面に対峙した転写面を有し、トナー像をこの転写面で用紙に転写する転写ベルトであり、研磨筋形成手段は、これら転写ベルトと感光体ドラムとの相対速度比を用紙出力用のトナー像を感光体ドラム表面に形成する場合よりも大きくし、研磨筋を形成していることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、第3の発明の作用に加えてさらに、研磨剤を用いた転写ベルトと感光体ドラムとの接触によって研磨筋を形成し、直ちに全周研磨ドラムに近い状態にすれば、画像形成時にこれらの相対速度比を変えて全周研磨ドラムの状態に移行させる必要はなく、この画像形成時の制御が複雑にならずに済む。
【0018】
第5の発明は、第4の発明の構成において、転写ベルトの転写面とのニップ部を形成する転写ローラと、転写面に当接し、トナー像の転写を経たこの転写面を清掃可能なクリーニング部とをさらに備え、研磨筋形成手段は、転写ベルトに対し、この転写面のトナー像を転写ローラに向かわせないバイアス電圧を印加する一方、この転写ローラに対しては、上記転写面のトナー像を転写ローラに向かわせるバイアス電圧と、この転写ローラのトナー像を上記転写面に向かわせるバイアス電圧とを交互に印加することを特徴とする。
【0019】
第5の発明によれば、第4の発明の作用に加えてさらに、用紙への出力時とは逆のバイアス電圧を転写ベルトに印加しており、研磨筋の形成に用いられた研磨剤は、転写ベルトの転写面に保持してクリーニング部で清掃される。
【0020】
また、転写ベルトとのニップ部を形成する転写ローラにも研磨剤が付着するものの、この転写ローラには、研磨剤が転写ベルトから転写ローラに向かうバイアス電圧と、研磨剤が転写ローラから転写ベルトに向かうバイアス電圧とを交互に印加してこの転写ローラに付着した研磨剤を除去し、この研磨剤も転写ベルトを経由してクリーニング部で清掃される。
【0021】
よって、直ちに全周研磨ドラムに近い状態にする他、転写ベルトや転写ローラも清掃されるので、画像形成時、つまり、用紙出力用の最初のトナー像から良好な画像形成を行える。
【0022】
第6の発明は、第3から第5のいずれかの発明の構成において、微粒子は、トナー像を現像する現像剤に含まれた研磨剤であり、接触部材は、感光体ドラム表面に当接し、その回転によってトナー像の転写を経たこの感光体ドラム表面を清掃するクリーニングローラであり、研磨筋形成手段は、これらクリーニングローラと感光体ドラムとの相対速度比を用紙出力用のトナー像を表面に形成する場合よりも大きくし、研磨筋を形成していることを特徴とする。
【0023】
第6の発明によれば、第3から第5の発明の作用に加えてさらに、研磨剤を用いたクリーニングローラと感光体ドラムとの接触によって研磨筋を形成し、直ちに全周研磨ドラムに近い状態にすれば、この場合にも画像形成時にこれらの相対速度比の変更による全周研磨ドラムへの移行が不要になる。
【0024】
第7の発明は、第4から第6のいずれかの発明の構成において、研磨剤は、用紙への出力に使用するトナーの研磨剤よりも高い割合でトナーに添加されていることを特徴とする。
【0025】
第7の発明によれば、第4から第6の発明の作用に加えてさらに、相対速度比の変更の他、研磨剤の添加量を増やせば、より一層速やかに全周研磨ドラムに近い状態になり、画像形成装置に要する起動時間も短くて済む。
【0026】
第8の発明は、第3から第7のいずれかの発明の構成において、微粒子は、トナー像を現像する現像剤に含まれた研磨剤であり、接触部材は、感光体ドラム表面に当接し、トナー像の転写を経たこの感光体ドラム表面を清掃するクリーニングブレードであり、この研磨剤は、用紙への出力に使用するトナーの研磨剤よりも高い割合でトナーに添加されていることを特徴とする。
【0027】
第8の発明によれば、第3から第7の発明の作用に加えてさらに、クリーニングブレードへの研磨剤の添加量を増やせば、この場合にも直ちに全周研磨ドラムに近い状態になる。
【0028】
第9の発明は、第1から第8のいずれかの発明の構成において、感光体ドラムは、その表面に有機系の感光層を有した感光体ドラムであることを特徴とする。
【0029】
第9の発明によれば、第1から第8の発明の作用に加えてさらに、有機系の感光層を有した感光体ドラムを組み合わせることで、有効な研磨作用を発揮することができる。また、有機系の感光層を有した感光体ドラムは安価で大量生産が容易である。しかし、その表面は極めて平滑であり、その表面平滑性が初期ドラムに大きな影響を及ぼす一方、特に削られ易く、その磨耗が全周研磨ドラムに大きな影響を及ぼす懸念があるが、上記研磨筋形成手段を備えれば、この感光体ドラムの特性を長期間に亘って維持可能になり、特に顕著な効果を奏する。
【0030】
第10の発明は、第1から第9のいずれかの発明の構成において、感光体ドラムの表面に接触して帯電させる帯電器をさらに具備することを特徴とする。
第10の発明によれば、第1から第9の発明の作用に加えてさらに、接触帯電式の帯電器は、コロナ放電式の帯電器による場合に比してオゾンや窒素酸化物がほとんど生じないため、これらの生成物の装置外部への放出減による環境負荷の低減や感光体ドラム表面の帯電生成物の付着による画像品質の劣化の抑制ができるものの、初期ドラムの帯電特性が顕著に劣化する。しかし、上述した研磨筋形成手段を備えれば、接触帯電式の帯電器を用いても所望の表面電位を得ることができ、画像形成時における帯電電圧の補正も環境条件の変化を除いて不要になる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、感光体ドラムの使用開始前に傷を積極的に付けているため、未使用状態に近い感光体ドラムに生ずるスリップ痕を防止でき、当該感光体ドラムを全周研磨ドラムの状態へ速やかに移行できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施例のプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のプリンタのコントローラを含めた構成図である。
【図3】図1の画像形成ユニット周辺の断面図である。
【図4】図2のコントローラによる研磨促進制御のタイミングチャートである。
【図5】スリップ痕の説明図である。
【図6】感光体ドラムの表面電位と印字枚数とに関する実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、画像形成装置の一例であるカラー印刷可能なプリンタ1の構造が概略的に示されている。同図に示された断面はプリンタ1の左側面からみたものである。このため、プリンタ1の前面は同図中の右側に、背面は左側にそれぞれ位置する。
【0034】
同図に示されるように、プリンタ1の装置本体2の上方には排紙トレイ36が設けられ、この排紙トレイ36の近傍には、使用者の各種操作に供される複数の操作キーや、各種情報を表示する画面を配置したフロントカバー5が設けられている。
また、この装置本体2の下方には給紙カセット4が配置され、その収容部40には、枚葉の用紙が積層された状態で収納されている。同図でみて収容部40の右上方には給紙ローラ46が設けられる。
【0035】
そして、用紙は、同図において給紙カセット4の右上方に向けて送出され、この送出された用紙は、装置本体2の内部でプリンタ1の前面に沿って上方に向けて搬送される。
また、給紙カセット4は、プリンタ1の前面側、つまり、図1において右方向に向けて引き出し可能に構成されており、この引き出した状態にて、収容部40に新たな用紙を補充したり、用紙を別の種類の用紙に入れ替え可能となる。
【0036】
装置本体2の内部には、給紙カセット4からの用紙搬送方向でみて下流側に搬送ローラ10、レジストローラ14、画像形成部16及び2次転写部30が順番に配置されている。
画像形成部16には4個の画像形成ユニット17が並設され、各ユニット17には感光体ドラム18がそれぞれ設けられている(図1,3)。この感光体ドラム18は回転自在に設置され、図2に示すドラムモータ60によって図1,3の時計回りにそれぞれ駆動する。
【0037】
本実施例の感光体ドラム18は、例えばφ30mmの直径で形成され、その表面に有機系の感光層を有した単層OPCドラムである(OPC:Organic Photoconductor)。
また、この感光体ドラム18と給紙カセット4との間には露光部15が備えられており(図1)、この露光部15からは、レーザ光が各感光体ドラム18に向けてそれぞれ照射される。そして、これら図1,3に示されるように、各感光体ドラム18の周囲の適宜位置には、帯電器20、現像器(微粒子供給部)24、1次転写ローラ13やクリーニング部50がそれぞれ設けられている。
【0038】
この帯電器20は、図3にも示される如く画像形成ユニット17の下部に位置し、感光体ドラム18に接する帯電ローラ21、及び帯電ローラ21の表面を研磨摺擦にて清掃するブラシを備えた摺擦ローラ22を有し、感光体ドラム18の表面を帯電させる。なお、帯電ローラ21は、例えばエピクロルヒドリンゴム製であり、例えばφ12mmの直径で形成されている。
【0039】
また、現像器24は画像形成ユニット17の左方に配置され、感光体ドラム18に対峙する現像ローラ25を有する。この現像ローラ25は図2に示す現像モータ62によって図3の反時計回りに駆動する。
なお、この図3の参照符号26はギャップ規制コロである。当該ギャップ規制コロ26は、現像ローラ25の両端に設けられており、感光体ドラム18に連れ回って現像ローラ25と感光体ドラム18とのギャップを設定する。
【0040】
画像形成部16はゴム製の中間転写ベルト(接触部材)12を有し、当該転写ベルト12は各感光体ドラム18の上方に配置され、図2に示すベルトモータ64によってプリンタ1の前面と背面との間を図1でみて反時計回りに走行する。
また、この中間転写ベルト12と排紙トレイ36との間には4個のトナーコンテナ23が配設されている(図1)。これら各トナーコンテナ23は、プリンタ1の背面側から前面側に向けて、マゼンタ用、シアン用、イエロー用、そして、ブラック用の順に配設され、このブラック用のトナーコンテナの容量が最も大きく構成される。
【0041】
2次転写部30には2次転写ローラ(転写ローラ)31が備えられ、この転写ローラ31は転写ベルト12に対して斜め下方から圧接可能に構成されている。これら転写ベルト12と2次転写ローラ31とは、トナー像を用紙に転写するためのニップ部を形成する。
また、用紙搬送方向でみて2次転写部30の下流側には、定着部32、排出分岐部34及び排紙トレイ36が順番に配置されている。
【0042】
本実施例では、2次転写部30と手差しトレイ3との間に両面印刷搬送路38が形成されている。この両面印刷搬送路38は、排出分岐部34から装置本体2の前面側で分岐して下方に向けて延び、レジストローラ14の上流側に連結している。
ここで、本実施例のトナーには、微量の研磨剤(平均粒子径が100〜1000nmの1次粒子径あるいは凝集体である酸化チタン、シリカ、アルミナなどの高硬度の微粒子)が添加されている。上記のクリーニング部50は、図3に示されるように、感光体ドラム18の回転方向でみて1次転写ローラ13との転写位置の下流側にて、この感光体ドラム18に向けて開口したハウジング51を備えており、このハウジング51の適宜位置に、クリーニングブレード(接触部材)52やトナー回収部80を有している。
【0043】
具体的には、クリーニングブレード52は、ハウジング51の下端に固定される亜鉛鋼板の本体や、この本体に溶着されたポリウレタンゴム製のブレード部からなり、このブレード部のエッジが感光体ドラム18の回転軸線に沿って延びている。そして、当該エッジが感光体ドラム18の回転軸線よりも低い位置にてカウンタ方向で接し、感光体ドラム18の表面に付着した研磨剤を含む残留トナーや放電生成物などを掻き取っている。
【0044】
このクリーニングブレード52によって感光体ドラム18の表面から掻き取られた残留トナー等は、トナー回収部80から回収される。
詳しくは、トナー回収部80は、ハウジング51の底面近傍にスクリュー88を有する。このスクリュー88は、図3でみてクリーニングブレード52の右側に設置されており、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って延び、その先端が図示しない駆動モータに連結されている。そして、この駆動モータが駆動すると、ハウジング51内の残留トナー等は、スクリュー88を経由して回収容器に集められる。
【0045】
一方、上述した中間転写ベルト12はクリーニング部70で清掃される。
本実施例のクリーニング部70は、中間転写ベルト12と2次転写ローラ31との圧接位置とは反対側に設けられている(図1)。
より具体的には、このクリーニング部70は、転写ベルト12の走行方向でみてプリンタ1の背面側に配置されたマゼンタ用の画像形成ユニット17の上流側に設けられ、クリーニングローラやスクレーパ等を有する。
【0046】
当該クリーニングローラは、例えば導電性ナイロンのブラシで形成されており、図示しない駆動モータによって回転し、上記ゴム製の転写ベルト12の転写面に接触して清掃する。
これにより、このクリーニングローラは、転写ベルト12の転写面に付着した研磨剤を含む残留トナーや用紙から出た紙粉などを除去し、この転写ベルト12の転写面を清掃する。また、当該スクレーパはクリーニングローラに接触して掻き取っており、このクリーニングローラから掻き取られたトナーなどは、例えば送りローラを用いて別の回収容器に集められる。
【0047】
ところで、上記感光体ドラム18の表面には、その感光体ドラム18の使用開始前に傷が積極的に付加される。
詳しくは、本実施例の現像器24には、トナーコンテナ23のトナーに含まれる研磨剤とは別個の研磨剤が備えられ、この別個の研磨剤は用紙出力用の最初のトナー像を感光体ドラム18に形成する前に使用される。
【0048】
より具体的には、この現像器24内の別個の研磨剤は、トナーコンテナ23内における用紙出力用のトナーの研磨剤よりも高い割合でトナーに添加されており、感光体ドラム18の使用開始前にドラム18の表面に研磨筋を刻設するために利用される。
なお、この研磨筋の刻設に供される研磨剤は、研磨性に優れている限り、いわゆるトナーの外添剤とは全く異材質の高硬度の微粒子であっても良い。
【0049】
そして、本実施例では、図2に示されたコントローラ90からの駆動信号に基づいて上記研磨筋用の研磨剤を現像器24から感光体ドラム18に供給する。
詳しくは、コントローラ90は、初期状態判定部92や研磨実行部(研磨筋形成手段)93を有する。この初期状態判定部92は、感光体ドラム18の使用開始前であるか否かを判別している。
【0050】
例えば、開梱後のプリンタ1で初めて電源を投入した場合や、新たな画像形成ユニット17に交換した場合に、トナーの帯電安定エージング中であるときなどにおいて、初期状態判定部92は、用紙出力用の最初のトナー像を感光体ドラム18に未だ形成していない未使用の初期ドラム状態である旨を判定し、その判定結果を研磨実行部93に出力する。
【0051】
そして、研磨実行部93は、この未使用の初期ドラムに磨耗促進制御を実行する。
具体的には、本実施例の研磨実行部93は、感光体ドラム18、現像器24、及び中間転写ベルト12に駆動信号を出力する。
より詳しくは、図4に示されるように、まず、各色のドラムモータ60に対し、感光体ドラム18を画像形成時に比して半速で駆動させる信号を出力する。
【0052】
一方、各色の現像モータ62に対しては、現像ローラ25を画像形成時と略同等の全速で駆動させる信号を出力する。また、現像バイアス電圧を、例えば10秒間隔で現像ローラ25に印加し、上記研磨筋用の研磨剤を含んだトナーを感光体ドラム18の表面に、例えば感光体ドラム18の周方向に約30mmの幅で長手方向にほぼ全域のトナー帯を載せる。
さらに、ベルトモータ64に対しては、中間転写ベルト12を画像形成時と略同等の全速で駆動させる信号を出力する。
【0053】
これにより、上記研磨筋用の研磨剤は、半速の感光体ドラム18と全速の中間転写ベルト12との線速差と相俟って、感光体ドラム18の表面を研磨し、この感光体ドラム18の全周に亘って研磨筋を形成させる。
ここで、この感光体ドラム18の表面を研磨している時点には、1次転写ローラ13に対し、感光体ドラム18のトナー像をこの感光体ドラム18から中間転写ベルト12に向かう1次転写バイアスを印加しない。これは、感光体ドラム18を現像器24に備えられた研磨筋用の研磨剤で長期間に亘って研磨可能にするためである。
【0054】
続いて、初期状態判定部92は、未使用の初期ドラムから全周研磨ドラムに移行した旨を擬制できる所定期間に到達するまで、感光体ドラム18の研磨を継続させ、この感光体ドラム18の表面が約1〜2μmほど(1μm=1×10−6m)磨耗される程度、例えば、感光体ドラム18の表面を約120秒間研磨した旨を判定した場合には、その判定結果を研磨実行部93に出力する。
【0055】
この場合の研磨実行部93は、感光体ドラム18、中間転写ベルト12、2次転写部30、及びクリーニング部70に駆動信号を出力して中間転写ベルト12の清掃制御を実行する。
具体的には、図4に示される如く、1次転写ローラ13に対して1次転写バイアス、つまり、感光体ドラム18のトナー像をこの感光体ドラム18から中間転写ベルト12に向かわせるバイアス電圧を印加する。これにより、上記研磨筋用の研磨剤は中間転写ベルト12の転写面に転写される。
【0056】
また、この1次転写バイアスの印加は、中間転写ベルト12の清掃制御の実行中は継続されており、この中間転写ベルト12の転写面に転写された上記研磨筋用の研磨剤は、この転写面から2次転写ローラには転写させない。
一方、2次転写ローラ31に印加する2次転写バイアスは、中間転写ベルト12の転写面のトナー像をこの転写面から2次転写ローラ31に向かわせるバイアス電圧と、2次転写ローラ31のトナー像をこの2次転写ローラから中間転写ベルト12の転写面に向かわせるバイアス電圧とを交互に印加する。
【0057】
これにより、上記研磨筋用の研磨剤が中間転写ベルト12を介して2次転写ローラ31に付着しても、当該研磨剤は、中間転写ベルト12の転写面に転写される。
そして、クリーニング部70に対してクリーニングバイアスを印加すると、中間転写ベルト12に転写されていた上記研磨筋用の研磨剤がクリーニング部70で除去され、上述した別の回収容器に集められる。
【0058】
再び図1に戻り、上記プリンタ1が印刷を行う際は、給紙ローラ46によって給紙カセット4から用紙が1枚ずつ分離して送出される。送出された用紙はレジストローラ14に到達する。このレジストローラ14は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部16で形成されるトナー像との画像転写タイミングを計りながら、用紙を所定の給紙タイミングにて2次転写部30へと送出する。
【0059】
一方、図2の入力ポート91は、印刷の元になる画像データが外部から受信可能に構成されている。この画像データは、文字や符号、図形、記号、線図、模様等の各種の画像がデータ化されたものである。そして、このデータに基づき、コントローラ90では光の照射などを制御する。
詳しくは、各感光体ドラム18に対し、イレーサランプ19が点灯し(図3)、帯電器20が感光体ドラム18の表面をそれぞれ帯電する。
【0060】
次いで、露光部15が感光体ドラム18の表面にレーザ光をそれぞれ照射すると、各感光体ドラム18の表面には静電潜像が作られ、この静電潜像から各色のトナー像が形成される。
各トナー像は中間転写ベルト12に重ね合わされ(1次転写)、2次転写部30にて用紙に2次転写される。なお、感光体ドラム18の表面に残留したトナーはクリーニング部50で除去され、また、転写ベルト12の転写面に残留したトナーは上述したクリーニング部70で除去される。
【0061】
続いて、用紙は未定着トナー像を担持した状態で定着部32に向けて送られ、この定着部32にて加熱及び加圧され、トナー像が定着される。その後、定着部32から送出された用紙は排出ローラ35を介して排紙トレイ36に排出され、高さ方向に積層される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部32から排出された用紙は、排出分岐部34でその搬送方向が切り替えられる。
【0062】
つまり、片面に印刷された用紙は装置本体2内に引き戻され、両面印刷搬送路38に搬送される。続いて、この用紙はレジストローラ14の上流側に向けて送出され、2次転写部30に向けて再び送られる。これにより、用紙の未だ印刷がされていない面にトナー像が転写される。
ところで、上述の初期状態判定部92では、トナーの帯電安定エージング中であるか否かに基づいて初期ドラム状態を判別しているが、必ずしもこの例に限定されるものでなく、例えば、感光体ドラム18の表面電位をモニタしておき、この検出結果に基づいて表面電位が低下する初期ドラムの状態や表面電位が安定する全周研磨ドラムの状態を判別することもできる。
【0063】
以上のように、本発明は、感光体ドラム18の使用開始前に感光体ドラム18の表面に傷を付けてしまう点に着目したものである。
詳しくは、まず、初期ドラム、換言すれば、未使用状態に近い感光体ドラム18では、その表面が平滑であり、スリップ痕が生じ易い。
より具体的には、画像形成中に瞬停すると、中間転写ベルト12との摩擦に伴う擦り傷が容易に発生する。これは、感光体ドラム18と転写ベルト12との慣性力が異なり、これらの駆動中から駆動停止に至るまでの相対速度が一定にならないからである。
【0064】
図5に示されるように、このスリップ痕100は、この感光体ドラム18の周方向(感光体ドラムの進行方向)でみて長さの短い傷である。この傷の長さは中間転写ベルト12との接触量に因る。また、この短い傷の形成範囲は、中間転写ベルト12との接触幅に依存し、この短い傷は、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って並んで形成される。
【0065】
ここで、仮にシリコン化合物を添加し、少ない印字枚数で磨耗し易い性質を有した単層のOPCドラムを選択しても、従前の中間転写ベルト12のみでは、印字枚数が約20,000枚に達するまでは感光体ドラム18の表面、より具体的には、帯電の際に生じたガスに曝され酸化劣化する極表層部分は削れ難い。
【0066】
そして、この初期ドラムでは帯電特性が劣化する。この現象は、図6の●印で示されるように、感光体ドラム18の表面電位を縦軸、印字枚数を横軸にとれば、帯電から所望の電圧を感光体ドラム18に付与しているにも拘わらず、その表面電位がアルファベットの略V字の如くのカーブ形状で現れる(V字現象)。
【0067】
より具体的には、感光体ドラム18の想定される使用期間(耐久保証)の約1/10程度の期間が経過、例えばこの感光体ドラム18の表面がほぼ全周に亘って約1〜2μmほど(1μm=1×10−6m)磨耗するまで、若しくは、印字枚数が約10,000枚に達するまでは表面電位が低下し続けて最小値に達する。これが初期ドラムの特徴である。続いて、この初期ドラムから全周研磨ドラムの状態に移行、つまり、その表面電位は最小値から上昇に転じて例えば印字枚数が約50,000枚に達すると、回復する。
【0068】
ここで、本実施例によれば、感光体ドラム18の使用開始前、つまり、用紙出力用の最初のトナー像をこの感光体ドラム18の表面に形成する前に、感光体ドラム18の表面には研磨筋が中間転写ベルト12との接触によって既に刻設されている。
具体的には、研磨実行部93が磨耗促進制御を中間転写ベルト12に施しており、この磨耗促進制御による研磨筋は、感光体ドラム18の表面の少なくとも通紙幅の内側領域に、この感光体ドラム18の周方向でみて長さの短いスリップ痕100のような一部分の擦り傷ではなく、その全周に亘って形成されている。そして、この研磨筋は、この感光体ドラム18の周方向に沿って延びた溝状で構成されており、且つ、略均一である。
【0069】
このように、感光体ドラム18の表面全体に溝状の研磨筋を予め設けておけば、感光体ドラム18の使用開始時点から、平滑な表面を有した未使用状態に近い初期ドラムの状態ではなく、直ちに全周研磨ドラムに近い状態になり、仮に、瞬停などの異常がプリンタ1に発生したとしても、スリップ痕100の発生を防止できる。
しかも、研磨実行部93が上記V字現象を解消する機能も兼ねている。つまり、研磨実行部93がその研磨筋を感光体ドラム18の表面に設けて初期ドラムの磨耗を積極的に促進させれば、その帯電特性の劣化状態は速やかに解消するので、所望の表面電位を得ることができる。
【0070】
この点について詳述する。感光体ドラム18の周速を全速で168mm/sに設定し、現像器24の位置に設けた表面電位測定器で、感光体ドラム18の表面電位を測定すると、図6の○印で示されるように、印字枚数が約10,000枚に達するまでに感光体ドラム18の磨耗が進み、感光体ドラム18の表面電位が上昇に転ずる。次いで、約20,000枚に達するまでにはその表面電位がさらに上昇し、感光体ドラム18の表面電位の大きな低下を抑制できた。
【0071】
また、この図6の○印で示した初期研磨ありの感光体ドラム18の表面では、その研磨筋を測定すると、その十点平均粗さRzは平均0.5μm、その凹凸平均間隔Smは平均10μmであった。
そして、この研磨筋の十点平均粗さRzが0.20μmから3.00μmまでの範囲であり、その凹凸平均間隔Smが1.00μmから500μmまでの範囲であれば、上述したスリップ痕100が生じ難い感光体ドラム18の表面になり、且つ、V字現象も確実に解消できることが分かった。
【0072】
より詳しくは、十点平均粗さRzや平均間隔Smが当該範囲よりも小さい場合には、ドラム表面が平滑になり、上記の瞬停などによってスリップ痕が発生する。一方、十点平均粗さRzや平均間隔Smが当該範囲よりも大きい場合には、画質が劣化、特に、ハーフトーン画像では擦り傷が目視できてしまう。そこで、これら十点平均粗さRzや平均間隔Smを上述した範囲内に設定している。
【0073】
さらに、例えば研磨剤として高硬度の微粒子を用いれば、未使用に近い初期ドラムの磨耗は確実に速くなり、直ちに全周研磨ドラムに近い状態になる。なお、高硬度の微粒子としては、酸化チタンやアルミナ等の金属酸化物が挙げられる。
さらにまた、この研磨剤を用いた中間転写ベルト12と感光体ドラム18との接触によって研磨筋を形成し、直ちに全周研磨ドラムに近い状態にすれば、画像形成時にこれらの相対速度比を変えて全周研磨ドラムの状態に移行させる必要はなく、この画像形成時の制御が複雑にならずに済む。
【0074】
また、用紙への出力時とは逆のバイアス電圧を、1次転写ローラ13を介して中間転写ベルト12に印加しており、研磨筋の形成に用いられた研磨剤は、中間転写ベルト12の転写面に保持されてクリーニング部70で清掃される。
しかも、中間転写ベルト12とのニップ部を形成する2次転写ローラ31にも当該研磨剤が付着するものの、この2次転写ローラ31には、この研磨剤が中間転写ベルト12から2次転写ローラ31に向かうバイアス電圧と、研磨剤が2次転写ローラ31から中間転写ベルト12に向かうバイアス電圧とを交互に印加してこの2次転写ローラ31に付着した研磨剤を除去しており、この研磨剤も中間転写ベルト12を経由してクリーニング部70で清掃される。
【0075】
よって、上述の直ちに全周研磨ドラムに近い状態にする他、中間転写ベルト12や2次転写ローラ31も清掃されるので、画像形成時、つまり、用紙出力用の最初のトナー像から良好な画像形成を行える。
さらにまた、相対速度比の変更の他、研磨剤の添加量を増やせば、より一層速やかに全周研磨ドラムに近い状態になり、プリンタ1に要する起動時間も短くて済む。
【0076】
また、有機系の感光層を有したOPCドラム18は安価で大量生産が容易である。しかし、その表面は極めて平滑であり、その表面平滑性が初期ドラムに大きな影響を及ぼす一方、特に削られ易く、その磨耗が全周研磨ドラムに大きな影響を及ぼす懸念があるが、研磨実行部93を備えれば、このOPCドラム18の特性を長期間に亘って維持可能になり、特に顕著な効果を奏する。
【0077】
さらに、接触帯電式の帯電器20は、コロナ放電式の帯電器による場合に比してオゾンや窒素酸化物が生じないため、環境負荷の低減や像流れの防止による画像品質の向上を図ることができるものの、初期ドラムの帯電特性が顕著に劣化する。しかし、研磨実行部93を備えれば、接触帯電式の帯電器20を用いても所望の表面電位を得ることができ、画像形成時における帯電電流の補正も不要になる。
【0078】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、この実施例では、中間転写ベルト12を採用したプリンタ1で説明されている。しかし、本発明は、感光体ドラム18のトナー像を用紙に直接に転写する場合にも適用可能であり、本発明の接触部材はクリーニングブレード52や、上記クリーニング部50のハウジング51内に設置可能な図示しないクリーニングローラであっても良い。
【0079】
詳しくは、前者のクリーニングブレード52の場合には、研磨実行部93は感光体ドラム18を全速に設定したまま、現像器24から供給された研磨筋用の研磨剤を用いてクリーニングブレード52で感光体ドラム18の表面に研磨筋を形成すれば良く、この場合にも直ちに全周研磨ドラムに近い状態になる。
また、後者のクリーニングローラの場合には、研磨実行部93は当該クリーニングローラを全速に設定する一方、感光体ドラム18を半速に設定し、上記研磨筋用の研磨剤を用いて感光体ドラム18の表面に研磨筋を形成すれば良い。この場合にも直ちに全周研磨ドラムに近い状態になるし、画像形成時にこれらの相対速度比の変更による全周研磨ドラムへの移行が不要になる。
【0080】
なお、この場合の研磨筋用の研磨剤は、クリーニング部50から回収装置に集められる。
さらに、この実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示しているが、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
【0081】
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、未使用状態に近いドラムに生ずるスリップ痕や、当該感光体ドラムの帯電特性の劣化状態を速やかに解消できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0082】
1 プリンタ(画像形成装置)
12 中間転写ベルト(接触部材)
18 感光体ドラム
20 帯電器
24 現像器(微粒子供給部)
31 2次転写ローラ(転写ローラ)
52 クリーニングブレード(接触部材)
70 クリーニング部
93 研磨実行部(研磨筋形成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その回転駆動によって表面にトナー像を形成する感光体ドラムと、
この感光体ドラムの表面に接触する接触部材と、
用紙出力用の最初のトナー像を前記表面に形成する前に、前記接触部材との接触によって前記表面のその全周に亘って刻設され、この感光体ドラムの周方向に沿って延びた溝状の略均一な研磨筋を前記表面に形成させる研磨筋形成手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記研磨筋は、その十点平均粗さRzが0.20×10−6mから3.00×10−6mまでの範囲であって、その凹凸平均間隔Smが1.00×10−6mから500×10−6mまでの範囲であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記研磨筋形成手段は、前記研磨筋を前記表面に刻設させる高硬度の微粒子を前記接触部材に供給する微粒子供給部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記微粒子は、前記トナー像を現像する現像剤に含まれた研磨剤であり、前記接触部材は、前記表面に対峙した転写面を有し、前記トナー像をこの転写面で用紙に転写する転写ベルトであり、
前記研磨筋形成手段は、これら転写ベルトと感光体ドラムとの相対速度比を用紙出力用のトナー像を前記表面に形成する場合よりも大きくし、前記研磨筋を形成していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記転写ベルトの転写面とのニップ部を形成する転写ローラと、前記転写面に当接し、トナー像の転写を経たこの転写面を清掃可能なクリーニング部とをさらに備え、
前記研磨筋形成手段は、前記転写ベルトに対し、この転写面のトナー像を前記転写ローラに向かわせないバイアス電圧を印加する一方、この転写ローラに対しては、前記転写面のトナー像を当該転写ローラに向かわせるバイアス電圧と、この転写ローラのトナー像を前記転写面に向かわせるバイアス電圧とを交互に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記微粒子は、前記トナー像を現像する現像剤に含まれた研磨剤であり、前記接触部材は、前記表面に当接し、その回転によって前記トナー像の転写を経たこの表面を清掃するクリーニングローラであり、
前記研磨筋形成手段は、これらクリーニングローラと感光体ドラムとの相対速度比を用紙出力用のトナー像を前記表面に形成する場合よりも大きくし、前記研磨筋を形成していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記研磨剤は、用紙への出力に使用するトナーの研磨剤よりも高い割合でトナーに添加されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記微粒子は、前記トナー像を現像する現像剤に含まれた研磨剤であり、前記接触部材は、前記表面に当接し、前記トナー像の転写を経たこの表面を清掃するクリーニングブレードであり、
前記研磨剤は、用紙への出力に使用するトナーの研磨剤よりも高い割合でトナーに添加されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記感光体ドラムは、その表面に有機系の感光層を有した感光体ドラムであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記感光体ドラムの表面に接触して帯電させる帯電器をさらに具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−112819(P2011−112819A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268383(P2009−268383)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】