説明

画像形成装置

【課題】外観品位の低下を防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、載置面S上に載置される本体フレーム200と、本体フレーム200内の上方に設けられた画像形成手段300と、本体フレーム200内の下方に設けられ、画像形成手段300に供給される被記録媒体Pを収納する収納手段390とを備える。本体フレーム200は、画像形成手段300を支持しつつ収容する上部フレーム210と、上部フレーム210より剛性が低く、上部フレーム210を下方から支持するとともに収納手段390を支持しつつ収容する下部フレーム250とからなる。上部フレーム210及び下部フレーム250はカバー部材400に覆われている。上部フレーム210と右側面カバー403との間には、下部フレーム250に拘束されずに右側面カバー403を上部フレーム210に結合する結合手段91〜93が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、載置面上に載置される本体フレームと、本体フレーム内の上方に設けられ、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、本体フレーム内の下方に設けられ、画像形成手段に供給される被記録媒体を収納する収納手段とを備える。
【0003】
本体フレームは、画像形成手段を支持しつつ収容する上部フレームと、収納手段を支持しつつ収容する下部フレームとからなる。上部フレームは、下部フレーム上に設置されている。上部フレーム及び下部フレームはそれぞれ、パイプフレーム、側板、補強板及びステー等が組み合わされてなる筐体である。
【0004】
また、収納手段を支持する下部フレームの剛性は、画像形成手段を支持する上部フレームの剛性より低くされている。これにより、製造コストの低廉化を図るとともに、下部フレームが凹凸のある載置面上に載置されて変形する場合でも、画像形成手段を支持する上部フレームの変形を抑制して画像形成手段の高い位置精度を維持し、画像形成時の画質低下を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−166550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の画像形成装置には、外観品位を良くするために上部フレーム及び下部フレームを覆うカバー部材が設けられるのが一般的である。この場合において、例えば、カバー部材が上部フレームと下部フレームとに結合されていると、上部フレームより剛性が低くされた下部フレームの変形の影響がカバー部材に及び易い。すなわち、下部フレームの変形により、上部フレーム、下部フレーム及びカバー部材の相対位置関係が変動して、上部フレームと下部フレームとに結合されたカバー部材が変形してしまう。その結果、画像形成装置の外観品位が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、外観品位の低下を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、載置面上に載置される本体フレームと、
前記本体フレーム内の上方に設けられ、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記本体フレーム内の下方に設けられ、前記画像形成手段に供給される前記被記録媒体を収納する収納手段とを備える画像形成装置であって、
前記本体フレームは、前記画像形成手段を支持しつつ収容する上部フレームと、前記上部フレームより剛性が低く、前記上部フレームを下方から支持するとともに、前記収納手段を支持しつつ収容する下部フレームとからなり、
前記上部フレーム及び前記下部フレームはカバー部材に覆われ、
前記上部フレームと前記カバー部材との間には、前記下部フレームに拘束されずに前記カバー部材を前記上部フレームに結合する結合手段が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
本発明の画像形成装置では、下部フレームの剛性を上部フレームの剛性より低くすることにより、製造コストの低廉化を図るとともに、下部フレームが凹凸のある載置面上に載置されて変形する場合でも、画像形成手段を支持する上部フレームを変形し難くして画像形成手段の高い位置精度を維持し、画像形成時の画質低下を防止する。
【0010】
さらに、この画像形成装置では、カバー部材が結合手段によって下部フレームに拘束されずに上部フレームに結合されている。このため、下部フレームが変形した場合でも、カバー部材に下部フレームの変形の影響が及び難い。すなわち、下部フレームが変形しても、下部フレームと、上部フレーム及びカバー部材との相対位置関係が変動するだけで、上部フレームとカバー部材との相対位置関係は変動しないので、下部フレームに拘束されずに上部フレームに結合されているカバー部材は変形し難い。
【0011】
したがって、本発明の画像形成装置は外観品位の低下を防止できる。
【0012】
本発明の画像形成装置において、下部フレームとカバー部材との間には、下部フレームとカバー部材との上下方向の相対移動を許容しつつ、下部フレームとカバー部材との他の方向の相対移動を規制する規制機構が設けられていることが望ましい(請求項2)。この構成によれば、下部フレームの変形に伴って、下部フレームに支持される上部フレームが上下方向に移動した場合でも、カバー部材は、規制機構によって下部フレームに対して上下方向に相対移動し、上部フレームの移動に追従できる。また、カバー部材は、規制機構によって下部フレームに対して他の方向に接近又は離反することもない。このため、外観品位の低下を確実に防止できる。
【0013】
本発明の画像形成装置において、規制機構は、下部フレーム及びカバー部材の一方に形成され、上下方向に延びる被案内部と、下部フレーム及びカバー部材の他方に形成され、被案内部を案内する案内部とを有することが望ましい(請求項3)。このような具体的構成である規制機構により、外観品位の低下をより確実に防止できる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、カバー部材は下部フレームに対して開く開口を有し、下部フレームには、開口から少なくとも一部が外部に露出するように取付部材が取り付けられ得る。この場合において、下部フレームとカバー部材との間には、開口の上下動に連動するように取付部材を上下方向に移動させる連動機構が設けられていることが望ましい(請求項4)。この構成によれば、下部フレームの変形に伴って上部フレームとともにカバー部材が上下方向に移動した場合でも、取付部材は、連動機構によって上下方向に移動して開口の上下動に連動できる。このため、開口に対する取付部材の位置ずれが抑制され、外観品位の低下を防止できる。
【0015】
本発明の画像形成装置において、連動機構は、下部フレームと取付部材との上下方向の相対移動を許容しつつ、取付部材を下部フレームに保持する保持機構と、カバー部材に形成され、下部フレームに向かって突出し、取付部材を把持する把持部とを有することが望ましい(請求項5)。この構成によれば、取付部材は、保持機構によって下部フレームに対する上下方向の相対移動が許容される。そして、カバー部材が下部フレームに対して上下方向に移動する場合、取付部材は把持部によってカバー部材に把持されてカバー部材とともに上下方向に移動する。このため、開口に対する取付部材の位置ずれが確実に抑制され、外観品位の低下を確実に防止できる。
【0016】
本発明の画像形成装置において、取付部材は電源スイッチであることが望ましい(請求項6)。電源スイッチと電源コネクタ接続端子とを接続する被覆電線の長さをできるだけ短縮するため、電源スイッチは、電源コネクタ差込口に近い位置に配設されることが多い。また、電源コードの取りまわしのため、電源コネクタを低い位置に配設することが多く、それに伴い、電源スイッチも低い位置に配設されることが多い。このような位置とは、具体的には画像形成装置の側面の下方、すなわち、変形し易い下部フレームの近傍であって、かつユーザが視認し易い位置でもある。そして、この場合、電源スイッチを上記請求項4の構成により開口から一部を露出させることで、開口部に対する電源スイッチの位置ずれを抑制して、画像形成装置の外観品位の低下を確実に防止できる。
【0017】
本発明の画像形成装置において、カバー部材の下端縁は、カバー部材の外表面よりも、収納手段が収容される側に向かって湾曲又は屈曲していることが望ましい(請求項7)。この構成によれば、下部フレームの変形により、カバー部材の下端縁と載置面との間隔が変動しても、その間隔の変動を目立たないようにすることができる。
【0018】
本発明の画像形成装置において、下部フレームは、上下に延びる下部第1側板と、下部第1側板との間に間隔を空けて上下に延び、下部第1側板と対面する下部第2側板と、下部第1側板及び下部第2側板を連結する下部連結部材とを有し、上部フレームは、上下に延びる上部第1側板と、上部第1側板との間に間隔を空けて上下に延び、上部第1側板と対面する上部第2側板と、上部第1側板及び上部第2側板を連結する上部連結部材とを有することが望ましい。また、収納手段は、下部第1側板と下部第2側板とに支持され、画像形成手段は、上部第1側板と上部第2側板とに支持されることが望ましい。さらに、カバー部材は、少なくとも下部第1側板及び下部第2側板並びに上部第1側板及び上部第2側板を覆っていることが望ましい(請求項8)。
【0019】
このような具体的構成によれば、下部第1側板及び下部第2側板の剛性を上部第1側板及び上部第2側板の剛性より低くすることにより、下部フレームの剛性を上部フレームの剛性より低くすることを容易に実現できる。その結果、製造コストの低廉化を確実に図れるとともに、画像形成時の画質低下を確実に防止できる。
【0020】
上記(請求項8)の場合において、下部第1側板と下部第2側板とは樹脂部材であり、上部第1側板と上部第2側板とは金属部材であることが望ましい(請求項9)。この構成によれば、樹脂部材である下部第1側板及び下部第2側板の剛性を金属部材である上部第1側板及び上部第2側板の剛性より低くすることを容易に実現できる。また、この構成の場合、樹脂部材である下部第1側板及び下部第2側板に対して長期に亘り重い負荷が作用し続けることにより、下部第1側板及び下部第2側板にクリープ変形が生じるおそれがある。しかしながら、上述したように、下部フレームを構成する下部第1側板及び下部第2側板のクリープ変形の影響がカバー部材に及び難いので、外観品位の低下を確実に防止できる。
【0021】
本発明の画像形成装置において、結合手段は、上部フレーム及びカバー部材の一方に形成されたネジ穴と、上部フレーム及びカバー部材の他方に形成された貫通穴と、貫通穴に内挿されつつネジ穴と螺合する止めネジとを有することが望ましい(請求項10)。このような具体的構成である結合手段により、カバー部材を上部フレームに確実に結合できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例の画像形成装置の斜視図である。
【図2】実施例の画像形成装置の内部構成を示す斜視図である。
【図3】実施例の画像形成装置の概略断面図である。
【図4】実施例の画像形成装置に係り、画像形成手段及び収納手段の概略構成を示す模式図である。
【図5】実施例の画像形成装置に係り、本体フレームを示す斜視図である。
【図6】実施例の画像形成装置に係り、図3の要部拡大断面図である。
【図7】実施例の画像形成装置に係り、(a)はホルダの上面図であり、(b)はホルダの正面図である。
【図8】実施例の画像形成装置に係り、図6の矢視Z方向から見た要部拡大上面図(部分断面図)である。
【図9】実施例の画像形成装置に係り、図8の矢視Y方向から見た要部拡大側面図である(右側面カバーの開口及び把持部を二点鎖線で示す。)。
【図10】実施例の画像形成装置に係り、図8の矢視Y方向から見た要部拡大側面図である(右側面カバーの開口及び把持部を二点鎖線で示す。)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をレーザプリンタ100として具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
<レーザプリンタの全体構成>
図1に示すように、レーザプリンタ100は、電子写真方式により被記録媒体としての用紙(OHPシート等を含む。)に複数色からなる画像を形成するカラーレーザプリンタである。図1では、紙面左側を装置の前側と規定し、紙面右側を装置の後側と規定する。また、装置を前側から見た場合に左手に来る側(紙面奥側)を左側と規定し、その反対側(紙面手前側)を右側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2〜6、図8〜10に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。
【0025】
図1に示すように、レーザプリンタ100は、良好な外観品位を呈するようにデザインされた樹脂製のカバー部材400により、その外側を覆われている。カバー部材400は、前面カバー401と、左側面カバー402と、右側面カバー403と、後面カバー404と、上面カバー405とを有している。
【0026】
前面カバー401は、通常はレーザプリンタ100の前面を閉鎖しているが、下方に設けられた揺動軸(図示しない。)周りで前方に揺動することにより、レーザプリンタ100の前面を開放するようになっている(図1において、開放状態の前面カバー401を二点鎖線で示す。)。
【0027】
図2及び図3に示すように、レーザプリンタ100は、カバー部材400の内側に本体フレーム200を備えている。本体フレーム200内の上方には、画像形成手段300が設けられている。一方、図3に示すように、本体フレーム200内の下方には、供給トレイ390(本発明の「収納手段」の一例)等が設けられている(図2は、供給トレイ390が取り外された状態を示している。)。本体フレーム200については、後に詳述する。
【0028】
<画像形成手段の構成>
図4に示すように、画像形成手段300は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応した4つの画像形成ユニット320と、駆動ローラ311と従動ローラ312との間に搬送ベルト313を架設してなるベルトユニット310とを備えている。画像形成ユニット320は、ベルトユニット310の上方に位置している。4つの画像形成ユニット320は、プリンタ100の前面側からブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの順で前後方向に並んで配置されている(上記構成を「ダイレクトタンデム方式」という。)。また、この4つの画像形成ユニット320は、引き出しユニット350に設けられた4つの収納部(図示しない。)に、個々に着脱可能に保持されている。なお、引き出しユニット350は、後述する通り、前面カバー401を開放した状態において、装置前方に引き出すことにより、本体フレーム200から取り外し可能に構成されている。
【0029】
各画像形成ユニット320は、円筒ドラム状の感光体ユニット321と、スコロトロン型帯電器322と、現像カートリッジ324とを有して構成されている。感光体ユニット321は、接地された金属製のドラム本体を備え、その表層をポリカーボネート等からなる正帯電性の感光層で被覆することにより構成されている。
【0030】
スコロトロン型帯電器322は、感光体ユニット321の後側斜め上方において、感光体ユニット321と接触しないように所定間隔を隔てて、感光体ユニット321と対向配置されている。このスコロトロン型帯電器322は、タングステン等の帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させることにより、感光体ユニット321の表面を一様に正極性に帯電させる。現像カートリッジ324は、内部にトナー収容室325を備え、その中に収容されたブラック、シアン、マゼンタ、又はイエローの正帯電性非磁性1成分トナーを正に摩擦帯電させた上で現像ローラ326を介して感光体ユニット321に供給する周知のものである。
【0031】
ベルトユニット310は、駆動ローラ311と従動ローラ312との間に搬送ベルト313を架設して構成されている。搬送ベルト313は、複数の画像形成ユニット320を構成する各感光体ユニット321の配列方向に沿って延びており、駆動ローラ311の回転によって、同方向に回転駆動される。さらに、ベルトユニット310は、搬送ベルト313を挟んで各感光体ユニット321と対向する位置に複数の転写ローラ314を備えている。搬送ベルト313上には、供給トレイ390から、用紙Pが給紙ローラ等の各種ローラ(図示しない。)によって供給され、その用紙Pは各感光体ユニット321との対向部を通ってレーザプリンタ100の後方へ搬送される。
【0032】
各画像形成ユニット320の上方には、スキャナユニット330が設けられている。スキャナユニット330は、各色の画像データに対応するレーザ光Lk、Ly、Lm、Lcを発生する半導体レーザやそのレーザ光Lを偏向するポリゴンミラー(いずれも図示しない。)を備え、各感光体ユニット321を走査露光する周知のものである。このため、各感光体ユニット321の表面は、その回転時、先ずスコロトロン型帯電器322により一様に正帯電される。その後、スキャナユニット330からのレーザ光Lk〜Lcの高速走査により露光されて、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ326の回転により、現像ローラ326上に担持され正帯電されているトナーが、感光体ユニット321に対向して接触するときに、感光体ユニット321の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体ユニット321の静電潜像は可視像化され、感光体ユニット321の表面には、露光部分にのみトナーが付着したトナー像が担持される。
【0033】
その後、各感光体ユニット321の表面上に担持されたトナー像は、搬送ベルト313によって搬送される用紙Pが感光体ユニット321と転写ローラ314との間を通るときに、転写ローラ314に定電流制御で印加される負極性の転写バイアスによって、用紙Pに順次転写される。こうしてトナー像が転写された用紙Pは、次いで、ベルトユニット310の後方に配設された定着器340に搬送される。
【0034】
定着器340は、ハロゲンランプ等の熱源を備えて回転駆動される加熱ローラ341と、加熱ローラ341の下方において、加熱ローラ341を押圧するように対向配置され従動回転される加圧ローラ342とを備えている。この定着器340では、4色のトナー像を坦持した用紙Pを加熱ローラ341と加圧ローラ342とが狭持搬送しながら加熱することにより、トナー像を用紙Pに熱定着させる。そして、トナー像が熱定着された用紙Pは、図示省略した各種ローラにより、レーザプリンタ100の上面カバー405に凹設された排出トレイ405T(図1参照。)に排出される。
【0035】
<本体フレームの全体構成>
図3及び図5に示すように、本体フレーム200は、上部フレーム210と、下部フレーム250とからなり、前後方向に開口する枠状体である。上部フレーム210は、左右一対の側壁を構成する上部第1側板210L及び上部第2側板210Rと、上部第1側板210Lと上部第2側板210Rとを連結する上部連結部材270、241、242、243、244とを有している。下部フレーム250は、左右一対の側壁を構成する下部第1側板250L及び下部第2側板250Rと、下部第1側板250Lと下部第2側板250Rとを連結する下部連結部材252、253とを有している。
【0036】
上部第1側板210L及び上部第2側板210Rは鋼板等からなる板金製であり、左右方向で間隔を空けて対面している。具体的には、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rは、その間に画像形成手段300を挟んでその左右両側で互いにほぼ平行に上下方向に立ち上がり、その上下方向と直交する前後方向(ベルト313上で用紙Pを搬送する方向と平行な方向)に延びる平板状に形成されている。さらに、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rは、その外周において、剛性を高めるためその平板部分から直交する方向に折り曲げた折曲縁を有している。
【0037】
下部第1側板250L及び下部第2側板250Rは樹脂製であり、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの下においてそれらと平行に前後方向に延び、それらと前後方向にほぼ同等の長さを有している。具体的には、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rは、同様にほぼ水平方向に延びる上壁261と、その上壁261から下方に間隔をおき、同様にほぼ水平方向に延びる中間壁262と、その中間壁262から下方に間隔をおき、ほぼ水平方向に延びる下壁269と、上壁261、中間壁262及び下壁269を上下方向で連結する側壁263とを一体に有している。下壁269は、中間壁262よりも左右方向外側となる端部が短くなっている。これにより、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rにおいて、下壁269の左右方向外側、かつ中間壁262の下側には、左右方向外側に開く空間が確保されている。図3に示すように、この空間には、後述する通り、左側面カバー402及び右側面カバー403の下端縁402A、403Aが回り込むようになっている。
【0038】
上述した下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの形状は、断面係数を適度に調整して、上部フレーム210及び画像形成手段300等の重量を常態で安定して支持するためのものである。なお、本実施例では、各図を見易くするため、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rに一体成形されたリブを一部省略して図示している。樹脂部材である下部第1側板250L及び下部第2側板250Rに一体成形されるリブの配置や本数を適宜調整ことにより、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの剛性を容易に調整することが可能となっている。その結果、製造コストの低廉化を確実に図れる。
【0039】
図3に示すように、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rは、上壁261の上面に、対応する上部第1側板210L及び上部第2側板210Rを載置状態で支持し、下壁269の下面を載置面Sと対向させる。下壁269の下面には、前後方向の両端近傍にそれぞれ、載置面Sに接する脚264が下向きに凸設されている。なお、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rにおける上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの支持構造については、後に詳述する。
【0040】
図3及び図5に示すように、上部第1側板210Lと上部第2側板210Rとを連結する連結部材270は、スキャナユニット330を支持する板金製のスキャナプレートである。その連結部材270の左右両側の端縁272は、上方に直角に屈曲されて、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの内側面の上端部にそれぞれ、前後方向の複数箇所で止めネジ273(図5参照。)により固定されている。これにより、連結部材270は上部第1側板210L及び上部第2側板210Rを強固に連結する。連結部材270には、前後方向に並ぶ4本のスリット271(図5に、後方の1本のスリット271のみを示す。)が形成されている。各スリット271を介して、連結部材270の上面に載置されるスキャナユニット330から、各感光体ユニット321に対応する位置にレーザ光Lk〜Lcが高速走査される。
【0041】
連結部材241は、スキャナユニット330の前半分を上方から覆う板金製のスキャナカバーである。連結部材241は、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの上端から外側に折り曲げられた折曲縁に止めネジにより固定されている。
【0042】
連結部材242は、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの内側面の前上角部間を連結固定する上側フロントビームである。連結部材243は、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの内側面の後上角部間を連結固定するリアビームである。連結部材244は、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの内側面の前下方部間を連結固定する下側フロントビームである。連結部材242、243、244は、折り曲げ加工された板金製又は強化樹脂製であり、それらの左右両端は、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの内側面に止めネジにより固定されている。フレーム連結部材244は、引き出しユニット350の引き出し動作の妨げにならないように、引き出しユニット350よりも下方に配設されている。
【0043】
連結部材252は、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの下壁269の前方部間を連結固定するフロントビームである。連結部材252は、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの下壁269の後方部間を連結固定するリアビームである。連結部材252、253は、折り曲げ加工された板金製又は強化樹脂製であり、それらの左右両端は、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの下壁269に止めネジにより固定されている。なお、強化樹脂としては、例えば、ガラス繊維、フィラー、その他の添加剤等によって強化した樹脂が用いられる。
【0044】
図3に示すように、上部第1側板210L及び上部第2側板210R及び連結部材241、242、243、244、270により構成される上部フレーム210は、前後方向から見て、引き出しユニット350を囲む枠状体を構成している。また、下部第1側板250L及び下部第2側板250R及び連結部材252、253により構成される下部フレーム250は、上部フレーム210とともに、前後方向から見て供給トレイ390を囲む1つの枠状体を構成している。
【0045】
上部第1側板210L及び上部第2側板210Rには、その互いに対向する内面に沿ってそれぞれ、内側支持板265L、265Rが固定されている。内側支持板265L、265Rの上端面は、前後方向にほぼ直線状に延びるレール部材266として形成され、そのレール部材266の上方には、レール部材266と協働してガイド空間を形成するガイド部材267が上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの内面に固定されている。引き出しユニット350は、レール部材266上に前後摺動可能に支持されている。そして、引き出しユニット350を上部第1側板210L及び上部第2側板210Rに対して前方へ引き出すことにより、引き出しユニット350がレール部材266及びガイド部材267にガイドされて前方に移動し、本体フレーム200から取り外される。逆に、本体フレーム200の手前から、引き出しユニット350を上部第1側板210L及び上部第2側板210Rに向けて後方へ押し込むことにより、引き出しユニット350がレール部材266及びガイド部材267にガイドされて後方に移動し、本体フレーム200に装着される。
【0046】
図2及び図5に示すように、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの前端には、その平板部分から折曲縁の一部にまで達する一対の穴211が形成されている。穴211は、前方に開口するとともに下端が水平方向に延びた形状になっている。また、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの後端側には、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの間に左右方向に架け渡された軸部材220が配設されている。
【0047】
図5に示すように、引き出しユニット350の本体フレーム200内への装着時、引き出しユニット350の前端部から左右方向外側に突出する軸部材351が一対の穴211の下端側に載置される。これにより、引き出しユニット350の前端が上下方向に位置決めされる。それと同時に、引き出しユニット350の後端に形成された切欠部(図示しない。)が軸部材220に係合する。これにより、引き出しユニット350の後端が上下方向及び前後方向に位置決めされる。その結果、複数の感光体ユニット321は、引き出しユニット350の本体フレーム200内への装着状態において、スキャナユニット330に対し所定の間隔でかつ前後方向において所定の位置に高い位置決め精度で配設される。
【0048】
図5に示すように、左側の上部第1側板210L及びその内側の内側支持板265Lには、感光体ユニット321及び現像ローラ326を駆動するための駆動カップリング(図示しない。)が挿通される丸穴213、214が穿設されている。一方、左側の上部第1側板210Lの左右方向外側には、図3に示すように、その各駆動カップリングをモータによって駆動する駆動部500が固定されている。なお、このような駆動カップリング及び駆動部500の構成は、例えば特開2007−101635号公報及び特開2008−9262号公報等により公知であるので詳細な説明は省略する。
【0049】
図2に示すように、右側の内側支持板265Rと対向する引き出しユニット350の側面には、画像形成ユニット320に接続された電気接点(図示しない。)が配置され、右側の内側支持板265Rには、その電気接点と接触する電気接点(図示しない。)や、電源回路及び制御回路を有する制御部600が配設されている。制御部600及び電気接点により、画像形成ユニット320内の各部に給電し、又は制御用の信号を伝達することができる。
【0050】
図3に示すように、ベルトユニット310は、一対の内側支持板265L、265Rの下方部間に橋渡して着脱可能に取り付けられ、この取り付け位置において、各感光体ユニット321と上下方向で対向するようになっている。図示は省略するが、定着器340は、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの後方部間に橋渡して取り付けられている。
【0051】
図3に示すように、用紙Pを収納する供給トレイ390は、下部第1側板250L及び下部第2側板250R間に収容され、その互いに対向する側面に設けられたレール部材268上に前後方向に摺動可能に支持されている。供給トレイ390を下部第1側板250L及び下部第2側板250R間から前方へ引き出した状態では、供給トレイ390に用紙Pを補給することができる。一方、供給トレイ390をベルトユニット31下の所定位置に装着した状態では、供給トレイ390内の用紙Pに公知の給紙ローラが接触して、その用紙Pをベルトユニット31に供給することができる。なお、図示は省略するが、供給トレイ390とベルトユニット31との間に配設される給紙ローラ等の各種ローラは、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの前方部間に橋渡して取り付けられている。給紙ローラ等の各種ローラや定着器340に対して要求される位置決め精度があまり高くない場合には、それらを下部フレーム250に取り付けることも可能である。また、各種ローラをユニット化し、各種ローラが収容されるユニットを上部フレームに取り付けることも可能である。
【0052】
<下部フレームによる上部フレームの支持構造>
図3及び図5に示すように、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの下端縁には、下方へ矩形状に突出する複数個の突出片215L、215Rが形成されている。本実施例では、突出片215L、215Rは、右側の上部第2側板210Rには前後方向に間隔をあけて2個設けられ、左側の上部第1側板210Lには3個設けられている。左側に突出片215Lが多い理由は、上部第1側板210L側に重い駆動部500が取り付けられているからである。
【0053】
上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの下端縁の突出片215L、215R以外の部位は、左右方向内側(ベルトユニット310側)に折り曲げられている。一方、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rにおいて、突出片215L、215Rと対応する位置には、上面を平坦として突出した台部255(図5では、下部第1側板250R側の2箇所の台部255のみ図示し、下部第2側板250L側の3箇所の台部255の図示は省略する。)が形成されている。上部第1側板210L及び上部第2側板210Rは、突出片215L、215Rの下端を各台部255の上面に当接状態に載置される。
【0054】
上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの前後方向の両端に位置する突出片215L、215Rは、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの前後方向に所定の間隔を開けて形成され、その突出片215L、215Rが形成されている位置よりも前後方向の外側において上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの下端と下部第1側板250L及び下部第2側板250Rとの間に隙間を確保している。
【0055】
上部第1側板210L及び上部第2側板210R、連結部材241、242、243、244、270、画像形成手段300(引き出しユニット350、スキャナユニット330定着器340及びベルトユニット310を含む)、駆動部500及び制御部600等の重量は、各突出片215L、215Rから各台部255の上面を介して、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rに作用する。そして、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rは、それらの重量を支持する。下部第1側板250L及び下部第2側板250Rは、各脚264を介して載置面Sに載置されているので、載置面Sの状態に応じて適度に弾性変形可能となっている。
【0056】
図5に示すように、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの前端近傍の下端縁には、円弧部を上にしたU字状の切欠部218(左側の切欠部218のみ示す。)が形成され、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの上記切欠部218との対向位置には、断面が円弧部を上にしたU字状の突起258(右側の突起258のみ示す。)が形成されている。各切欠部218と各突起258との係合によって上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの下部第1側板250L及び下部第2側板250Rに対する前後方向の位置が規定される。
【0057】
図2及び図5に示すように、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rにおける各台部255の近傍には、上方へ突出する複数の取付片256が形成されている。各取付片256には、止めネジ251の挿通孔257が穿設されている。上部第1側板210L及び上部第2側板210Rには、各突出片215L、215Rが各台部255に当接し、かつ切欠部218と突起258とが係合し、各取付片256が上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの外側側面に沿う状態となった場合に、挿通孔穴257と対向する位置に、ネジ穴217(図5参照。)が穿設されている。止めネジ251が挿通孔257をとおってネジ穴217に螺合されることにより、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rに上部第1側板210L及び上部第2側板210Rが固定される。
【0058】
図示は省略するが、止めネジ251はいわゆる段付きネジとして構成され、挿通孔257は、その段部の径よりも上下方向の幅及び前後方向の長さが十分に大きく形成されている。これにより、止めネジ251は、取付片256を上部第1側板210L及び上部第2側板210Rに対して強く押しつけず、前後及び上下方向に相対移動を許容する程度に緩やかに固定している。これにより、突出片215L、215Rと各台部255との当接、及び切欠部218と突起258との係合位置に影響することなく下部第1側板250L及び下部第2側板250Rと上部第1側板210L及び上部第2側板210Rとを固定することができる。
【0059】
上記構成である本体フレーム200を備えるレーザプリンタ100では、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rに上方から衝撃が加わったり、いずれか1つの脚264が載置面Sの凹凸などにより持ち上げられたりした場合、樹脂部材である下部第1側板250L及び下部第2側板250Rが例えば、前後方向で上向きに反るように弾性変形したり、前後方向で下向きに反るように弾性変形したりする可能性がある。また、例えば、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rが捻れるように弾性変形する可能性がある。この際、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの延在部分の上面と、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの下端との間には、隙間が存在するので、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの弾性変形の影響は、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rにはそれ程及ばないようになっている。
【0060】
また、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rから上部第1側板210L及び上部第2側板210Rに撓みや捩りモーメント等が作用したとしても、それらは、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rに対して上下方向に、すなわち、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの面方向に沿って作用する。ここで、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rは板金製であり周縁が折り曲げ加工されている。また、上部第1側板210L及び上部第2側板210Rは、連結部材241、242、243、244、270によって枠状体をなしている。このため、樹脂部材である下部第1側板250L及び下部第2側板250Rを有する下部フレーム250と比較して高い剛性を有している。よって、上部フレーム210は、画像形成手段300の各部、特にスキャナユニット330と引き出しユニット350との間の高い位置精度を維持し、画像形成手段300が画像形成を行う際の画質低下(例えば、カラー画像の色ずれ。)を防止することができる。
【0061】
さらに、樹脂部材である下部第1側板250L及び下部第2側板250Rの線膨張係数と、金属部材である上部第1側板210L及び上部第2側板210Rの線膨張係数とは異なっているため、温度変化による膨張又は収縮の差が生じ得るが、その寸法差を吸収することも可能となっている。
【0062】
<左側面カバー及び右側面カバーの本体フレームに対する結合構造>
実施例のレーザプリンタ100において、仮に、左側面カバー402及び右側面カバー403が上部フレーム210(例えば、上部第1側板210L及び上部第2側板210R。)と下部フレーム250(例えば、下部第1側板250L及び下部第2側板250R。)とに結合されているとすれば、上部フレーム210より剛性が低くされた下部フレーム250の変形の影響が左側面カバー402及び右側面カバー403に及び易い。すなわち、下部フレーム250の変形により、上部フレーム210、下部フレーム250及びカバー左側面カバー402及び右側面カバー403部材の相対位置関係が変動して、上部フレーム210と下部フレーム250とに結合される左側面カバー402及び右側面カバー403が変形してしまう。その結果、レーザプリンタ100の外観品位が低下するおそれがある。
【0063】
この点、レーザプリンタ100では、以下に詳述する結合構造により、左側面カバー402及び右側面カバー403の変形を抑制している。なお、左側面カバー402の本体フレーム200に対する結合構造は、右側面カバー403の本体フレーム200に対する結合構造に対して勝手違いである。このため、右側面カバー403の結合構造について説明し、左側面カバー402の結合構造については、説明及び図示を省略又は簡略する。
【0064】
図1及び図3に示すように、右側面カバー403は、レーザプリンタ100の右側において、前後方向及び上下方向に延在する略平面状の樹脂部材であり、上部第2側板210R及び下部第2側板250Rの外側を覆っている。右側面カバー403には、換気用のスリットや補強用の内面側リブ等が形成されているが、本実施例では図示を省略又は簡略する。
【0065】
図1に示すように、右側面カバー403の前端縁は、閉鎖状態の前面カバー401の右側端縁と付き合わされた状態となっている。右側面カバー403の前端縁上方には、閉鎖状態の前面カバー401に覆われつつ、左右方向中央側に突出する凸片403Eが形成されている。一方、右側面カバー403の後端縁は、後面カバー404の右側端縁と付き合わされた状態となっている。右側面カバー403の後端縁には、後面カバー404に覆われつつ、左右方向中央側に突出する凸片403F、403Gが形成されている。各凸片403E、403F、403Gには、それぞれ前後方向に貫通穴92が貫設されている。
【0066】
図2に示すように、上部第2側板210Rにおける前端側の折曲縁の上方には、ネジ穴91が形成されている。一方、上部第2側板210Rにおける後端側の折曲縁の上方及び下方には、2個のネジ穴91が形成されている。上部第2側板210Rに対して右側面カバー403を図1に示すように装着すると、凸片403Eの貫通穴92は、上部第2側板210Rの前端側のネジ穴91に対して前方から当接する状態となる。一方、凸片403F、Gの各貫通穴92は、上部第2側板210Rの後端側の2個のネジ穴91に対して後方から当接する状態となる。そして、3個の止めネジ93(図2に示す。)がそれぞれ各貫通穴92に内挿されつつ各ネジ穴91と螺合されることにより、右側面カバー403は、下部フレーム250に拘束されることなく、上部第2側板210Rに対して前後3箇所で結合される。この構成によれば、下部フレーム250が変形しても、上部第2側板210Rと右側面カバー403との相対位置関係は変動しない。このため、右側面カバー403が変形し難く、その結果として、レーザプリンタ100の外観品位の低下を防止できる。ここで、ネジ穴91、貫通穴92及び止めネジ93は、本発明の「結合手段」の一例である。
【0067】
図6に拡大して示すように、右側面カバー403の下端縁403Aは、右側面カバー403の左右方向外側を向く外表面よりも、下部第2側板250R側(供給トレイ390側)に向かって湾曲している。より詳しくは、前後方向から見て、下端縁403Aは、角度90°程度の円弧を描いて、下部第2側板250Rの下壁269の左右方向外側、かつ中間壁262の下側に確保された左右方向外側に開く空間に向かって深く回り込んでいる。
【0068】
下端縁403Aの上記円弧の半径は、例えば、20mm〜40mm程度と大きくされている。仮に、右側面カバー403の下端縁が湾曲せず直線的に載置面Sと対面する場合には、ユーザがその下端縁と載置面Sとの間隔を視認し易い。このため、下部フレーム250が変形して、下部フレーム250に支持された上部フレーム210とともに右側面カバー403が上下する場合、上記下端縁と載置面Sとの間隔の変動が目立ち易い。この点、本実施例では、下端縁403Aが下部第2側板250R側に向かって湾曲しているので、下部フレーム250の変形に伴って右側面カバー403が上下する場合でも、下端縁403Aと載置面Sとの間隔の変動を目立たないようになっている。なお、湾曲に限らず、右側面カバー403の外表面よりも、その下端縁403Aが下部第2側板250R側に近づくように屈曲させることでもよい。加えて、右側面カバー403が、その前後方向に沿って、裾がしぼられるような形状としてもよい。
【0069】
図1及び図6に示すように、下端縁403Aの最先端から上方に向けて、すなわち、中間壁262の裏面に向けて、柱状リブである被案内部71が前後方向に複数本並ぶように凸設されている。一方、図6に示すように、中間壁262の裏面において、各被案内部71に対応する複数箇所には、被案内部71を左右方向両側から挟みつつ下方に突出する一対の柱状リブである案内部72が凸設されている。
【0070】
各被案内部71と中間壁262の裏面との間には、各被案内部71が上下方向に数mm程度移動することを許容する隙間が確保されている。また、各被案内部71と各案内部72との間には、左右方向に僅かな隙間が確保されて、左右方向の相対移動が規制されている。このような被案内部71及び案内部72により、右側面カバー403は、下部フレーム250に対して上下方向の相対移動が許容される一方、左右方向の相対移動が規制される。これにより、下部フレーム250の変形に伴って、下部フレーム250に支持される上部フレーム210が上下方向に移動した場合でも、右側面カバー403は、下部フレーム250に対して上下方向に相対移動し、上部フレーム210の移動に追従できる。また、右側面カバー403は、下部フレーム250に対して左右方向に接近又は離反することもない。このため、レーザプリンタ100の外観品位の低下を確実に防止できる。
【0071】
ここで、被案内部71及び案内部72は、本発明の「規制機構」の一例である。なお、被案内部71及び案内部72の形状は、上記形状に限定されない。例えば、案内部72は、被案内部71を内挿する穴であってもよい。
【0072】
図1に示すように、右側面カバー403の後端部下方には、矩形状に開口する電源コネクタ差込口403Cが形成されており、電源コネクタ差込口403C内に電源コネクタ接続端子69が配設されている。電源コネクタ接続端子69は、図2に示すように、下部第2側板250Rの後面に形成された切り欠き部250Aに嵌合された上で下部第2側板250Rにネジ止め固定されることにより、電源コネクタ差込口403Cに対して位置決めされる。
【0073】
また、右側面カバー403の後部下方には、矩形状の開口403Bが形成されており、開口403Bから電源スイッチ60(本発明の「取付部材」の一例。)がその可動部を外部に露出させるように配設されている。電源スイッチ60は、以下に詳述する通り、開口403Bに対する位置ずれを抑制しつつ、下部第2側板250Rに取り付けられている。
【0074】
図6に示すように、電源スイッチ60は、2本の被覆電線が接続された周知の汎用部品である。本実施例では、その汎用部品である電源スイッチ60に樹脂製のホルダ61を外挿し、ホルダ61を介して電源スイッチ60を下部第2側板250Rに取り付けるようにしている。この構成により、電源スイッチ60の組み付け作業が容易化されている。
【0075】
図7(a)及び(b)に示すように、ホルダ61単体は矩形断面の略筒状体である。なお、ホルダ61単体の正面側、背面側、上面側及び背面側を図7中に図示する。ホルダ61の下壁には、長手方向(正面側から背面側に向かう方向)に延びるスリット61Aが形成されている。電源スイッチ60にホルダ61を外挿する際、スリット61Aを介して被覆電線をホルダ61内に導くことができるので、電源スイッチ60の被覆電線と電源コネクタ接続端子69とを予め接続することができ、製造工程が簡略化されている。
【0076】
ホルダ61の上壁における長手方向の中央付近には、上方に衝立状に立ち上がる衝立部61Bが形成され、その中央には上下方向に長い長孔61Cが貫設されている。また、ホルダ61の両側壁の背面側端面には、一対の係合爪部61Dがさらに背面側に向けて突設されている。
【0077】
一方、図2に示すように、下部第2側板250Rの後方の左右方向外側を向く面には、ホルダ61を介して電源スイッチ60を保持する保持機構81が設けられている。図6、図8及び図9により詳しく示すように、保持機構81は、上方の角柱部81Aと、角柱部81Aの先端に凸設された円柱凸部81Bと、角柱部81Aより下方に位置し、かつ互いに前後方向に間隔を有する一対の被係合部81Cと、各被係合部81Cより下方に位置し、かつ互いに前後方向に間隔を有する一対の角柱部81Dと、各角柱部81Dより下方、かつ角柱部81Aの真下に位置する異物進入防止リブ81Eとを有している。角柱部81A、円柱凸部81B、各被係合部81C、各角柱部81D及び異物進入防止リブ81Eはそれぞれ、左右方向外側に向かって突出している。
【0078】
ホルダ61を保持機構81に取り付けた状態では、角柱部81Aと衝立部61Bとが当接し、円柱凸部81Bが長孔61Cに内挿される。また、各被係合部81Cと各係合爪部61Dとが係合し、各角柱部81Dとホルダ61の下壁側の後端面とが当接する。これにより、下部第2側板250Rに対するホルダ61の前後方向及び左右方向の位置決めがなされる。その一方、角柱部81A、円柱凸部81B、各被係合部81C及び各角柱部81Dは、ホルダ61側のそれぞれの当接箇所及び係合箇所が上下方向に滑ることにより、例えば、図10に示すように、下部第2側板250Rに対するホルダ61の上下方向の相対移動を許容するようになっている。図10は、図9の状態に対して、ホルダ61が上方に移動した状態を示している。図示は省略するが、図9の状態に対して、ホルダ61が下方に移動する場合も同様である。
【0079】
一方、右側面カバー403の左右方向内側を向く面には、図6、図8及び図9に示すように、下部第2側板250Rに向かって突出する把持部82が形成されている。把持部82は、開口403Bの上方及び下方に複数個設けられている。上方の各把持部82と下方の各把持部82との間隔は、ホルダ61の上面と下面との間隔より僅かに大きくされている。そして、ホルダ61を保持機構81に取り付けた状態で、右側面カバー403を上部第2側板210Rに組み付けると、各把持部82がホルダ61を上下方向から把持するようになっている。これにより、開口403Bに対するホルダ61の上下方向の位置決めがなされる。保持機構81及び把持部82は、本発明の「連動機構」の一例である。
【0080】
下部フレーム250の変形に伴って、右側面カバー403が下部第2側板250Rに対して上下方向に移動する場合、図9及び図10に示すように、電源スイッチ60及びホルダ61は把持部82によって右側面カバー403に把持されて右側面カバー403とともに上下方向に移動する(図9及び図10において紙面手前に位置する把持部82を二点鎖線で示す。)。この際、保持機構81は、下部第2側板250Rと、電源スイッチ60及びホルダ61との上下方向の相対移動を許容しつつ、電源スイッチ60及びホルダ61を下部第2側板250Rに保持する。これにより、開口403B(図9及び図10において紙面手前に位置する開口403Bを二点鎖線で示す。)に対する電源スイッチ60の位置ずれが確実に抑制されるので、開口403Bの周囲と電源スイッチ60との間に隙間ができることを防止し、レーザプリンタ100の外観品位の低下を確実に防止できる。
【0081】
なお、図6、図8〜図10に示すように、ホルダ61が保持機構81に保持され、かつ把持部82に把持された状態では、ホルダ61が右側面カバー403とともに上下方向に移動しても、常に異物進入防止リブ81Eがスリット61A内に位置するようになっている。このため、開口403Bからスリット61Aに沿って針金等の細い異物が進入することを確実に防止できる。なお、異物進入防止リブ81Eは、電源スイッチ60以外の取り付け部材(例えば、USBポート等。)であっても、開口403Bと連通し得るスリットを有するものに採用されることにより、そのスリットを介して異物が進入することを防止できる。
【0082】
<作用効果>
実施例のレーザプリンタ100において、上部フレーム210と右側面カバー403(左側面カバー402も同様。)との間には、下部フレーム250に拘束されずに右側面カバー403を上部フレーム210に結合する結合手段(すなわち、上部第2側板210Rに設けられた各ネジ穴91、右側面カバー403に設けられた各貫通穴92及び各貫通穴92に内挿されつつ各ネジ穴91と螺合する各止めネジ93。)が設けられている。
【0083】
このため、上部フレーム210に上方から衝撃が加わったり、下部フレーム250が凹凸のある載置面Sに載置されたりして下部フレーム250が変形した場合でも、右側面カバー403に下部フレーム250の変形の影響が及び難い。すなわち、下部フレーム250を構成する下部第2側板250Rが変形しても、下部フレーム250と、上部フレーム210及び右側面カバー403との相対位置関係が変動するだけで、上部フレーム210と右側面カバー403との相対位置関係は変動しない。このため、下部第2側板250Rに拘束されずに上部第2側板210Rに結合されている右側面カバー403は変形し難い。説明は省略したが、左側面カバー402も同様に変形し難い。
【0084】
したがって、実施例のレーザプリンタ100によれば、下部フレーム250の変形を原因とする装置全体の外観品位の低下を防止できる。
【0085】
また、このレーザプリンタ100において、下部第1側板250Lと下部第2側板250Rとは樹脂部材であり、上部第1側板210Lと上部第2側板210Rとは金属部材である。このため、樹脂部材である下部第1側板250L及び下部第2側板250Rに対して長期に亘り重い負荷が作用し続けることにより、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rにクリープ変形が生じるおそれがある。この場合、例えば、下部フレーム250に支持される上部フレーム210の載置面Sからの高さが定常的に1〜2mm程度下方に変位した状態となり得る。しかしながら、上述したように、下部第1側板250L及び下部第2側板250Rのクリープ変形の影響が左側面カバー402及び右側面カバー403に及び難いので、外観品位の低下を確実に防止できる。
【0086】
また、このレーザプリンタ100では、取付部材の一例としての電源スイッチ60を有する。そして、電源コードの取り回しのため低い位置に配設された電源コネクタ接続端子69と、電源スイッチ60とを接続する被覆電線の長さをできるだけ短縮するように、かつユーザが操作し易いように、電源スイッチ60を電源コネクタ接続端子69に近い位置である右側面カバー403の下方、すなわち、変形し易い下部フレーム250の近傍であって、かつユーザが視認し易い位置に配設している。ここで、仮に、右側面カバー403に形成された開口403から一部を露出させる電源スイッチ60が、開口403に対して位置ずれしてしまうと外観品位が低下してしまうが、本実施例では連動機構としての保持機構81及び把持部82により、その位置ずれを抑制できる。このため、外観品位の低下を確実に防止できる。
【0087】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0088】
例えば、取付部材としては、入力や設定切替等を行う操作スイッチ、LEDや液晶等の表示部、コンセント、USBポート、各種コネクタ接続口、その他の各種インターフェース(画像形成装置の外部と装置内部との間に介在して、各種の伝達作業を仲介するもの。)を採用することができる。
【0089】
また、上部フレーム210及び下部フレーム250の構成も上記実施例に限定されず、例えば、上部第1側板210Lと上部第2側板250Lとが上面側又は背面側で「コ」字状に連結された一体部品となっていてもよい。また、下部第1側板250Lと下部第2側板250Rとが下面側又は背面側で「コ」字状に連結された一体部品となっていてもよい。
【0090】
さらに、左側面カバー402及び右側面カバー403の本体フレーム200に対する結合構造と同様の結合構造を前面カバー及び後面カバー(固定カバーであることが前提。)に採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
100…画像形成装置(レーザプリンタ)、S…載置面
300…画像形成手段、390…収納手段(供給トレイ)、P…被記録媒体(用紙)
200…本体フレーム、210…上部フレーム、250…下部フレーム
400…カバー部材、401…前面カバー、402…左側面カバー
403…右側面カバー、404…後面カバー、405…上面カバー
91、92、93…結合手段(91…ネジ穴、92…貫通穴、93…止めネジ)
71、72…規制機構(71…被案内部、72…案内部)
403B…開口、60…取付部材(電源スイッチ)
81、82…連動機構(81…保持機構、82…把持部)
402A、403A…カバー部材(左側面カバー、右側面カバー)の下端縁
250L…下部第1側板、250R…下部第2側板、252、253…下部連結部材
210L…上部第1側板、210R…上部第2側板
241、242、243、244、270…上部連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面上に載置される本体フレームと、
前記本体フレーム内の上方に設けられ、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記本体フレーム内の下方に設けられ、前記画像形成手段に供給される前記被記録媒体を収納する収納手段とを備える画像形成装置であって、
前記本体フレームは、前記画像形成手段を支持しつつ収容する上部フレームと、前記上部フレームより剛性が低く、前記上部フレームを下方から支持するとともに、前記収納手段を支持しつつ収容する下部フレームとからなり、
前記上部フレーム及び前記下部フレームはカバー部材に覆われ、
前記上部フレームと前記カバー部材との間には、前記下部フレームに拘束されずに前記カバー部材を前記上部フレームに結合する結合手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記下部フレームと前記カバー部材との間には、前記下部フレームと前記カバー部材との上下方向の相対移動を許容しつつ、前記下部フレームと前記カバー部材との他の方向の相対移動を規制する規制機構が設けられている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制機構は、前記下部フレーム及び前記カバー部材の一方に形成され、上下方向に延びる被案内部と、前記下部フレーム及び前記カバー部材の他方に形成され、前記被案内部を案内する案内部とを有する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カバー部材は前記下部フレームに対して開く開口を有し、
前記下部フレームには、前記開口から少なくとも一部が外部に露出するように取付部材が取り付けられ、
前記下部フレームと前記カバー部材との間には、前記開口の上下動に連動するように前記取付部材を上下方向に移動させる連動機構が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記連動機構は、前記下部フレームと前記取付部材との上下方向の相対移動を許容しつつ、前記取付部材を前記下部フレームに保持する保持機構と、
前記カバー部材に形成され、前記下部フレームに向かって突出し、前記取付部材を把持する把持部とを有する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取付部材は電源スイッチであることを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カバー部材の下端縁は、前記カバー部材の外表面よりも、前記収納手段が収容される側に向かって湾曲又は屈曲していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記下部フレームは、上下に延びる下部第1側板と、前記下部第1側板との間に間隔を空けて上下に延び、前記下部第1側板と対面する下部第2側板と、前記下部第1側板及び前記下部第2側板を連結する下部連結部材とを有し、
前記上部フレームは、上下に延びる上部第1側板と、前記上部第1側板との間に間隔を空けて上下に延び、前記上部第1側板と対面する上部第2側板と、前記上部第1側板及び前記上部第2側板を連結する上部連結部材とを有し、
前記収納手段は、前記下部第1側板と前記下部第2側板とに支持され、
前記画像形成手段は、前記上部第1側板と前記上部第2側板とに支持され、
前記カバー部材は、少なくとも前記下部第1側板及び前記下部第2側板並びに前記上部第1側板及び前記上部第2側板を覆っている請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記下部第1側板と前記下部第2側板とは樹脂部材であり、
前記上部第1側板と前記上部第2側板とは金属部材である請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記結合手段は、前記上部フレーム及び前記カバー部材の一方に形成されたネジ穴と、前記上部フレーム及び前記カバー部材の他方に形成された貫通穴と、前記貫通穴に内挿されつつ前記ネジ穴と螺合する止めネジとを有する請求項1乃至9のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−112943(P2011−112943A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270368(P2009−270368)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】