説明

画像形成装置

【課題】 複数の画像圧縮部を備え、所定の領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像圧縮を並列に実行する画像形成装置において、消費電力が増加する。
【解決手段】 複数の画像圧縮部を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像圧縮を並列に実行する画像形成装置であって、
前記複数の画像圧縮部のうち、第1の画像圧縮部で処理された画像圧縮データサイズが予め定めた値よりも小さいか否かを判定する判定手段、前記複数の画像圧縮部のうち、第2の画像圧縮部への電力供給を遮断する遮断手段を備え、
前記遮断手段は、前記判定手段で第1の画像圧縮部での画像圧縮データサイズが予め定めた値よりも小さいと判定された場合に、前記第2の画像圧縮部への電力供給を遮断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像データに画像圧縮を施して出力する画像形成装置に関し、特に、単一の画像データに対して複数の画像圧縮を並列に実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CPUの高速化、ICメモリやハードディスクの大容量化に伴い、モノクロだけでなくカラーの画像データを処理できる画像形成装置が存在している。しかしながら、1ページ全体の画像データ(例えば、用紙サイズがA4、解像度が600dpi、1画素あたりRGB各8bitの画像データ)は、データ量がかなり大きい。そこで、一般的に、画像形成装置は、画像データに対して何らかの圧縮処理を施した形で機器内に記憶する。
【0003】
上記の画像圧縮を適用すれば、画像形成装置は、1ページ全体の画像データを圧縮(圧縮)してから記憶し、記憶した画像データを伸張(復号化)してから必要な処理を実行できるので、圧縮後の1ページ全体の画像データを記憶するだけの容量を備えればよい。しかしながら、実際には、例えば、画像データを90度回転させたい場合に、1ページ全体の画像データをページ単位で圧縮していると、一度伸張してからでないと90度回転させることができない。そこで、この問題を解決するために、1ページの画像データをタイルと呼ばれる矩形単位(例えば、32画素×32画素)に分割する技術が提案されている。これにより、タイル単位で画像データを圧縮しておけば、タイル単位で画像圧縮データを伸張してから必要な処理を実行でき、画像圧縮のためのメモリ容量を節約することができる。
【0004】
また、近年、上記の画像圧縮を適用する上で、予め複数の画像圧縮方法を備え、画像データの種別に適した画像圧縮方法を選択的に用いて画像圧縮する技術が提案されている。
【0005】
例えば、[特許文献1]では、文字領域の画像データに対しては可逆圧縮方法、写真(自然画)領域の画像データに対しては非可逆圧縮方法を選択的に適用する。これにより、従来以上に高画質かつ小容量の画像データを生成し機器内に記憶することができる。
【0006】
一方で、上記のような画像圧縮部で消費電力を削減する技術もまた提案されている。
【0007】
例えば、[特許文献2]では、画像データの画像圧縮部において、ブロック毎に参照画像データと次に圧縮する原画像データとの差分(=必要な画像処理量)を取り、差分の大小に応じて圧縮処理エレメントの動作周波数を上下させることで、消費電力を削減する。
【0008】
また、例えば、[特許文献3]では、画像データの画像表示部において、常時表示部分と点滅表示部分をメモリに記憶し、一定時間継続して画像データが変化しない場合に、画像生成部の一部又は全部への電力供給を遮断することで、消費電力を削減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−50096号公報
【特許文献2】特開平9−9251号公報
【特許文献3】特開平6−59653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、予め複数の画像圧縮方法を備え、それぞれの画像データに適した画像圧縮方法を選択的に用いて画像圧縮する技術を用いれば、従来以上に高画質かつ小容量の画像データを生成できる。しかしながら、上記アルゴリズムにより画像圧縮方法の選択を実現する回路は、単一の入力画像データに対して複数の画像圧縮処理部を並列に動作させ、各画像圧縮処理部の出力結果を比較する必要がある。これに伴い、最終的な出力データとして選択されない画像圧縮部に対しても、画像圧縮を実行するための電力を供給し続けなければならないため、当該画像処理部における消費電力が増加してしまう課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は以下の構成・手段を備える。
【0012】
複数の画像圧縮部(301)を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像圧縮を並列に実行する画像形成装置(100)であって、
前記複数の画像圧縮部のうち、第1の画像圧縮部で処理された画像データサイズが予め定めた値よりも小さいか否かを判定する判定手段(406)、前記複数の画像圧縮部のうち、第2の画像圧縮部の消費電力を低減する低消費電力モード設定手段を備え、
前記低消費電力モード設定手段は、前記判定手段で第1の画像圧縮部(404)での画像圧縮データサイズが予め定めた値よりも小さいと判定された場合に、前記第2の画像圧縮部(405)を低消費電力モードに設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、複数の画像圧縮部を備え、所定の領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像圧縮を並列に実行する画像形成装置である。第1の画像圧縮部での画像圧縮データサイズが予め定めた値よりも小さいと判定された場合に、第2の画像圧縮部へのクロック供給を遮断、又は電源をオフすることで、当該画像処理部における消費電力を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における画像形成装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における画像形成装置のスキャン部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における画像形成装置のタイル生成部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図6】従来例の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態における画像形成装置の画像伸張部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図8】従来例の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図(概念図)である。
【図9】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図(概念図)である。
【図10】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図(概念図)である。
【図11】本発明の実施形態における画像形成装置のタイル単位の画像圧縮処理時間を説明する概念図である。
【図12】本発明の実施形態における画像形成装置に入力されるページ画像データの例である。
【図13】本発明の実施形態における画像形成装置に入力されたページ画像データに対するタイル生成処理を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本発明に関する第1の実施の形態を、図1〜図9、図11〜図13を用いて説明する。
【0017】
<システム構成>
図1は、本発明の第1の実施形態における画像形成装置100の構成例を示したブロック図である。
【0018】
画像形成装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、FAX機能などの異なる複数の機能を実現可能な複合機(MFP)を想定している。また、CPU200、ROM201、RAM202、HDD203、ネットワークコントローラ204、データバス205、操作表示部206、スキャン部207、208、エンジン部209、210、及び、画像処理部211で構成される。
【0019】
中央演算処理装置CPU200は、画像形成装置100における画像データの転送、及び、画像処理の実行を制御する制御部である。CPU200は、ROM201に予め記憶されたプログラムを順次実行して、画像形成装置100を制御する。
【0020】
不揮発性メモリROM201は、画像形成装置100の制御手段を記述したプログラムを保持する記憶部である。
【0021】
揮発性メモリRAM202は、画像処理装置100の機能を実現するために、制御手段を記述したプログラムや画像データを一時的に記憶する記憶部である。特に、RAM202は、画像処理部211におけるタイル生成部300、画像圧縮部301、画像伸張部302のそれぞれが画像処理を実行する際に、画像データを一時的に記憶する。なお、本発明の実施形態において、RAM202と画像処理部211を分離して位置づけているが、本発明の請求範囲は、上記メモリ構成に限定されるものではなく、例えば、画像処理部211内部にSRAM等を用いた記憶部を備えるメモリ構成であっても良い。
【0022】
ハードディスク203は、画像処理装置100の機能を実現するために、制御手段を記述したプログラムや画像データを記憶する記憶部である。特に、ハードディスク203は、画像圧縮部301によって圧縮された、圧縮処理後の画像データを記憶する。なお、本発明の実施形態において、ハードディスク203を圧縮処理後の画像データの記憶部として位置づけているが、本発明の請求の範囲は、特に上記メモリデバイスに限定するものではなく、フラッシュメモリ等の他のメモリデバイスであっても構わない。
【0023】
ネットワークコントローラ204は、インターネットやLANなどのネットワークに接続され、画像形成装置100と外部機器との間で画像データの送受信を行う処理部である。
【0024】
データバス205は、画像形成装置100における各処理部を電気的に接続する電気信号線の集合である。データバス205は、CPU200から入力される制御信号に従い、ネットワークコントローラ204、スキャン部207、208、エンジン部209、210、画像処理部211、RAM202、HDD203の各処理部の間で画像データを転送する。
【0025】
操作表示部206は、ユーザの指示を入力させるタッチパネル、ボタン、スイッチ類、CPU200からの処理結果や選択事項を表示する液晶表示パネル等から構成される。
【0026】
スキャンコントローラ207は、スキャンデバイス208を制御して、電気的な画像信号を取り込む。
【0027】
スキャンデバイス208は、原稿画像を光学的に読み取って電気的な画像信号に変換する処理部である。スキャンデバイス208は、密着型イメージセンサ、読取駆動部、読取点灯制御部、等で構成される。スキャンデバイス208は、読取駆動部によって駆動される密着型イメージセンサによって原稿全体がスキャンされる際、読取点灯制御部によって密着型イメージセンサ内部のLEDを点灯制御する。同時に、スキャンデバイス208は、密着型イメージセンサ内部のフォトセンサが原稿画像を光学的に読み取って、電気的な画像信号に変換する。
【0028】
エンジンコントローラ209は、CPU200、画像処理部211で画像処理された電気的な画像信号を取り込み、エンジンデバイス210に出力し、制御する。
【0029】
エンジンデバイス210は、電気的な画像信号に基づき、記録紙上にトナーやインクを用いた可視像として印字する処理部である。エンジンデバイス210は、レーザービームプリンタやインクジェットプリンタで構成される。
【0030】
画像処理部211は、スキャン系画像処理、通信系画像処理、プリント系画像処理を行う処理部である。ここで、本発明の実施形態における画像処理部211は、少なくとも、タイル生成部300、画像圧縮部301、画像伸張部302の各処理部を備える。スキャン系画像処理は、スキャンコントローラ207から受信した画像データを高精細な画像データに変換するための画像処理であり、シェーディング補正、ガンマ処理、2値化処理、中間調処理、RGBtoCMYK色変換処理、等を実行する。プリント系画像処理は、画像データを記録解像度に合わせて解像度変換するための画像処理であり、変倍処理、スムージング補正、濃度補正、等を実行する。通信系画像処理は、画像データを画像形成装置100内で記憶可能な容量及び通信性能に合わせて変換するための画像処理であり、タイル生成処理、画像圧縮処理、画像伸張処理、解像度変換、色変換処理、等を実行する。ここで、タイル生成部300は、1ページの画像データを、タイルと呼ばれる矩形単位(例えば、32画素×32画素)に分割する。また、画像圧縮部301は、タイル生成部300で分割されたタイル単位の画像データに対して、予め複数の画像圧縮方法を備え、それぞれの画像データに適した画像圧縮方法を選択的に適用する。具体的には、まずタイル単位の画像データを可逆圧縮方法で圧縮する。ことのき、可逆圧縮画像データサイズが予め定めた値よりも小さい場合は、可逆圧縮画像画像データを出力する。可逆圧縮方法で圧縮された画像データサイズが予め定めた値よりも大きい場合は、タイル単位の画像データを非可逆圧縮方法で圧縮し、可逆圧縮画像画像データと非可逆圧縮画像画像データのうちデータサイズが小さい方を出力する。また、画像伸張部302は、画像圧縮部301で圧縮されたタイル単位の画像データに対して、予め複数の画像伸張方法を備え、画像圧縮部301で選択的に適用された画像圧縮方法に対応する画像伸張方法を適用して、非圧縮の画像データを生成する。
【0031】
<装置動作>
図2〜図9、図11〜図12を用いて、本発明の実施形態における画像形成装置100の制御手順を説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施形態における画像形成装置100のスキャンコントローラ207の制御手順を説明するフローチャートである。図は、本発明の実施形態における画像形成装置100に入力されるページ画像データの例である。
【0033】
(S100)
画像形成装置100は、スキャンコントローラ207、スキャンデバイス208において、図12に示した例のようなページ単位の画像データを読み取り、RAM206に転送して保持する。ここで、スキャンデバイス208は、主走査幅X方向に画素データを1画素ずつ順番に読み取り、主走査幅X方向の1ラインを読み終えたら、続けて副走査幅Y方向の次ラインの画素データを1画素ずつ順番に読み取る。
【0034】
(S101)
画像形成装置100は、スキャンコントローラ207において、図13に示したバンドと呼ばれる主走査幅X×タイル幅(例えば、32画素)分の画像データがRAM202上に保持されたか否かを検知する。ここで、RAM202上に1バンド分の画像データが保持されたならば(Yes)、ステップS102に遷移し、保持されていなければ(No)、ステップS100に遷移する。
【0035】
(S102)
画像形成装置100は、スキャンコントローラ207から、データバス205を介して電気的に接続されたタイル生成部300に対して、RAM202上に1バンド分の画像データが保持されたことを通知する。
【0036】
(S103)
画像形成装置100は、スキャンコントローラ207において、データバス205を介して電気的に接続されたタイル生成部300から、RAM202上の1バンド分の画像データのタイル生成処理が終了したことを通知されたか否かを検知する。ここで、RAM202上の1バンド分の画像データのタイル生成処理が終了したならば(Yes)、ステップS104に遷移し、終了していなければ(No)、再びステップS103に遷移する。
【0037】
(S104)
画像形成装置100は、スキャンコントローラ207において、図12に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅X×副走査幅Yの画像データの全画素データの読み取りが終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅X×副走査幅Yの全画素データの読み取りが終了したならば(Yes)、スキャン動作を終了し、終了していなければ(No)、ステップS100に遷移してスキャン動作を継続する。
【0038】
図3は、本発明の実施形態における画像形成装置100のタイル生成部300の制御手順を説明するフローチャートである。図13は、本発明の実施形態における画像形成装置100に入力されたページ画像データに対するタイル生成処理を説明する概念図である。
【0039】
(S200)
画像形成装置100は、タイル生成部300において、データバス206を介して電気的に接続されたスキャンコントローラ207から、RAM202上に1バンド分の画像データが保持されたことを通知されたか否かを検知する。ここで、RAM202上に1バンド分の画像データが保持されたならば(Yes)、ステップS201に遷移し、保持されていなければ(No)、再びステップS200に遷移する。
【0040】
(S201)
画像形成装置100は、タイル生成部300において、図13に示した例のようなRAM202上の1バンド分の画像データから、タイル単位(例えば、32画素×32画素)の画素データを1画素ずつ順番に読み取り、RAM202に転送して保持する。ここで、タイル生成部300は、図13の矢印で示したようにタイル単位の主走査幅X方向の画素データを1画素ずつ順番に読み取り、主走査幅X方向のタイル幅を読み終えたら、続けて副走査幅Y方向の次ラインの画素データを1画素ずつ順番に読み取る。
【0041】
(S202)
画像形成装置100は、タイル生成部300において、図13に示したタイルと呼ばれる主走査幅X方向のタイル幅×副走査方向のタイル幅(例えば、32画素×32画素)分の画像データがRAM202上に保持されたか否かを検知する。ここで、RAM202上に1タイル分の画像データが保持されたならば(Yes)、ステップS203に遷移し、保持されていなければ(No)、ステップS201に遷移する。
【0042】
(S203)
画像形成装置100は、タイル生成部300において、ページ画像データ内における当該タイル画像データの位置情報(座標)を、当該タイル画像データのヘッダ情報として付加し、RAM202上に書き込む。ここで、タイル画像データの位置情報(座標)は、例えば、画像データを90度回転させたい場合に、タイル画像データのそれぞれを90度回転すると共に、タイル画像データのそれぞれの位置を適宜変更して読み出すために必要な情報である。
【0043】
(S204)
画像形成装置100は、タイル生成部300において、図13に示した例のようなRAM202上の1バンド分の画像データから、タイル単位の画像データとして全て取得したか否かを検知する。ここで、タイル単位の画像データとして全て取得したならば(Yes)、ステップS205に遷移し、取得していなければ(No)、ステップS201に遷移する。
【0044】
(S205)
画像形成装置100は、タイル生成部300から、データバス205を介して電気的に接続されたスキャンコントローラ207に対して、RAM202上の1バンド分の画像データのタイル生成処理が終了したことを通知する。
【0045】
(S206)
画像形成装置100は、タイル生成部300において、図12に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅X×副走査幅Yの画像データの全画素データのタイル生成処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅X×副走査幅Yの全画素データのタイル生成処理が終了したならば(Yes)、タイル生成処理を終了し、終了していなければ(No)、ステップS200に遷移してタイル生成処理を継続する。
【0046】
図6は、従来例の実施形態における画像形成装置100の画像圧縮部300の制御手順を説明するフローチャートである。図8は、従来例の実施形態における画像形成装置100の画像圧縮部の動作を説明するブロック図(概念図)である。
【0047】
(S400)
画像形成装置100は、画像圧縮部301において、図8に示した入力データ制御部400を経由してタイル画像データを読み取り、画像バッファ401a〜401bに保持する。
【0048】
(S401)
画像形成装置100は、画像圧縮部301において、図8に示した複数の画像圧縮方法402〜403を備え、複数の画像圧縮方法を同時並列に適用する。例えば、画像バッファ401a〜401bに保持したタイル単位の画像データに対しては、可逆圧縮処理部402と非可逆圧縮処理部403を同時並列に適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ401c〜401dに保持する。
【0049】
(S402)
画像形成装置100は、画像圧縮部301における、図8に示した出力データ選択部で、画像バッファ401c〜401dに保持された圧縮処理後の画像データの容量を比較し、容量の少ない方を選択的に採用して、容量の多い方を破棄する。すなわち、例えば、可逆圧縮処理部404による圧縮処理後の画像データの容量が550Byte、非可逆圧縮処理部405による圧縮処理後の画像データの容量が450Byteであったならば、非可逆圧縮処理部405の出力を採用する。ここで、画像圧縮部301は、選択したいずれか一方の圧縮処理後の画像データを、出力データ制御部408を経由してハードディスクHDD203に格納する。
【0050】
(S403)
画像形成装置100は、画像圧縮部301において、図12に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅X×副走査幅Yの画像データの全画素データの画像圧縮処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅X×副走査幅Yの全画素データの画像圧縮処理が終了したならば(Yes)、画像圧縮処理を終了し、終了していなければ(No)、ステップS400に遷移して画像圧縮処理を継続する。
【0051】
図4は、本発明の実施形態における画像形成装置100の画像圧縮部300の制御手順を説明するフローチャートである。図9は、本発明の実施形態における画像形成装置100の画像圧縮部300の動作を説明するブロック図(概念図)である。
【0052】
(S300)
画像形成装置100は、画像圧縮部301において、図9に示した入力データ制御部400を経由してタイル画像データを読み取り、画像バッファ401a〜401bに保持する。
【0053】
(S301)
画像形成装置100は、画像圧縮部301における、図9に示した動作回路選択部402で、可逆圧縮処理部(可逆画像エンコーダ)に画像バッファ401aのタイル画像データを入力する。
【0054】
(S302)
画像形成装置100は、画像圧縮部301における、図9に示した判定部で、画像バッファ401cの圧縮画像データサイズが予め定めた値よりも小さいか否か判定する。画像バッファ401cの圧縮画像データサイズが予め定めた値よりも小さいと判定した場合、ステップS306に遷移する。画像バッファ401cの圧縮画像データサイズが予め定めた値よりも大きいと判定した場合、ステップS304に遷移する。
【0055】
(S304)
非可逆圧縮処理部(非可逆画像エンコーダ)405への電力供給を遮断する。
【0056】
(S305)
画像形成装置100は、画像圧縮部301における、図9に示した動作回路選択部402で、非可逆圧縮処理部(非可逆画像エンコーダ)に画像バッファ401bのタイル画像データを入力する。
【0057】
(S306)
画像形成装置100は、画像圧縮部302における、図9に示した出力データ選択部407で、画像バッファ401d〜401eに保持された圧縮処理後の画像データの容量を比較し、容量の少ない方を選択的に採用して、容量の多い方を破棄する。ただし、電力供給の遮断により、圧縮処理後の画像データとして有効な画像データが生成されていない場合には、これを選択対象としない。例えば、可逆圧縮処理部404による圧縮処理後の画像データの容量が250Byteであったのに対し、非可逆圧縮処理部405による圧縮処理後の画像データとして有効な画像データが生成されていなければ、可逆圧縮処理部404の出力を採用する。同様に、例えば、可逆圧縮処理部404による圧縮処理後の画像データの容量が550Byte、非可逆圧縮処理部405による圧縮処理後の画像データの容量が450Byteであったならば、非可逆圧縮処理部405の出力を採用する。上記の選択は、他のタイル画像データについても同様である。ここで、画像圧縮部302は、選択したいずれか一方の圧縮処理後の画像データを、出力データ制御部408を経由してハードディスクHDD203に格納する。
【0058】
(S307)
画像形成装置100は、画像圧縮部302において、図12及び図13に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅X×副走査幅Yの画像データの全画素データの画像圧縮処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅X×副走査幅Yの全画素データの画像圧縮処理が終了したならば(Yes)、画像圧縮処理を終了し、終了していなければ(No)、ステップS300に遷移して画像圧縮処理を継続する。
【0059】
図7は、本発明の実施形態における画像形成装置100の画像伸張部303の制御手順を説明するフローチャートである。
【0060】
(S500)
画像形成装置100は、画像伸張部302において、圧縮処理後のタイル画像データを読み取り、画像バッファ(非図示)に保持する。
【0061】
(S501)
画像形成装置100は、画像伸張部302において、図8に示した複数の画像圧縮方法404〜405の逆変換に相当する複数の画像伸張方法を備え、複数の画像伸張方法のうちいずれか1つを適用し、伸張処理後の画像データを画像バッファに保持する。例えば、非可逆圧縮処理(非可逆エンコーダ)を用いて圧縮された圧縮処理後のタイル画像データに対しては、非可逆伸張処理部(非可逆画像デコーダ)を適用する。同様に、例えば、可逆圧縮処理(可逆エンコーダ)を用いて圧縮された圧縮処理後のタイル画像データに対しては、可逆伸張処理部(可逆画像デコーダ)を適用する。
【0062】
(S502)
画像形成装置100は、画像圧縮部301において、画像バッファ(非図示)に保持された圧縮処理後の画像データを、ハードディスクHDD203に格納する。
【0063】
(S503)
画像形成装置100は、画像圧縮部301において、図12及び図13に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅X×副走査幅Yの画像データの全画素データの画像伸張処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅X×副走査幅Yの全画素データの画像伸張処理が終了したならば(Yes)、画像伸張処理を終了し、終了していなければ(No)、ステップS500に遷移して画像伸張処理を継続する。
【0064】
図11は、従来の実施形態と本発明の実施形態における、画像形成装置100での複数の画像圧縮部301によるタイル単位の画像圧縮処理時間を説明する概念図である。従来の実施例では、画像バッファ401a〜401bに保持したタイル単位の画像データに対して、可逆圧縮処理部(可逆画像エンコーダ)402と非可逆圧縮処理部(非可逆画像エンコーダ)403を同時並列に適用する。一方、本発明の実施例では、まず画像バッファ401aに保持した画像データに対して、可逆圧縮処理部402を適用する。次に、第1判定部406で圧縮画像データが規定値よりも大きいと判定された場合、画像バッファ401bに保持した画像データに対して、非可逆圧縮処理部403を適用する。よって、1タイルあたりのレイテンシは従来の実施例の方が小さい。しかし、実使用では複数タイルをパイプライン処理するので、図11に示すように、従来の実施例と本発明の実施例と比較してスループットは同等である。
【0065】
なお、本発明の実施形態においては、複数の画像圧縮部301を対象として説明したが、本発明の請求の範囲は、特に上記例に限定するものではない。すなわち、単一の画像データに対して複数の画像処理を同時並列に動作させる画像処理部であれば、画像圧縮以外の異なる画像処理であっても同様である。
【0066】
なお、本発明の実施形態においては、動作回路選択部409が有する遮断手段403を用いて電源供給を遮断する旨を説明したが、本発明の請求の範囲は、特に上記遮断の実現方法に関して手段を問わない。この実現方法としては、例えば、電源供給部から画像圧縮部301内の可逆画像圧縮部404、及び、非可逆画像圧縮部405に電気的に接続された動作クロック信号のうち、いずれか一方をマスクしてクロック供給を停止する方法であっても良い。また、この別の実現方法としては、例えば、電源供給部から画像圧縮部301内の可逆画像圧縮部404、及び、非可逆画像圧縮部405に供給される電源系統そのものを予め分離しておき、いずれか一方の電源系統を停止する方法であっても良い。
【0067】
(第2の実施形態)
本発明に関する第2の実施の形態を、図10を用いて説明する。
【0068】
<システム構成>
図10に、本発明に関する第2の実施の形態の画像圧縮処理部を示す。本発明に関する第2の実施の形態において、画象圧縮処理部以外の画像形成装置のシステム構成は第1の実施形態と同様である。
【0069】
<装置動作>
図5、図10を用いて、本発明の実施形態における画像形成装置100の制御手順を説明する。
【0070】
図5は、本発明の実施形態における画像形成装置100の画像圧縮部300の制御手順を説明するフローチャートである。図10は、本発明の実施形態における画像形成装置100の画像圧縮部300の動作を説明するブロック図(概念図)である。
【0071】
(S300)
画像形成装置100は、画像圧縮部301において、図9に示した入力データ制御部400を経由してタイル画像データを読み取り、画像バッファ401a〜401bに保持する。
【0072】
(S301)
画像形成装置100は、画像圧縮部301における、図9に示した動作回路選択部402で、可逆圧縮処理部(可逆画像エンコーダ)に画像バッファ401aのタイル画像データを入力する。
【0073】
(S302)
画像形成装置100は、画像圧縮部301における、図9に示した判定部で、画像バッファ401cの圧縮画像データサイズが予め定めた値よりも小さいか否か判定する。画像バッファ401cの圧縮画像データサイズが予め定めた値よりも小さいと判定した場合、ステップS306に遷移する。画像バッファ401cの圧縮画像データサイズが予め定めた値よりも大きいと判定した場合、ステップS304に遷移する。
【0074】
(S304)
非可逆圧縮処理部(非可逆画像エンコーダ)405への電力供給を遮断する。
【0075】
(S306)
画像形成装置100は、画像圧縮部302における、図10に示した出力データ選択部407で、画像バッファ401dに保持された可逆圧縮処理後の画像データを出力する。ここで、画像圧縮部302は、可逆圧縮処理後の画像データを、出力データ制御部408を経由してハードディスクHDD203に格納する。
【0076】
(S305)
画像形成装置100は、画像圧縮部301における、図10に示した動作回路選択部402で、非可逆圧縮処理部(非可逆画像エンコーダ)に画像バッファ401bのタイル画像データを入力する。
【0077】
(S308)
画像形成装置100は、画像圧縮部302における、図10に示した出力データ選択部407で、画像バッファ401eに保持された非可逆圧縮処理後の画像データを出力する。ここで、画像圧縮部302は、非可逆圧縮処理後の画像データを、出力データ制御部408を経由してハードディスクHDD203に格納する。
【0078】
(S307)
画像形成装置100は、画像圧縮部302において、図12及び図13に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅X×副走査幅Yの画像データの全画素データの画像圧縮処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅X×副走査幅Yの全画素データの画像圧縮処理が終了したならば(Yes)、画像圧縮処理を終了し、終了していなければ(No)、ステップS300に遷移して画像圧縮処理を継続する。
【符号の説明】
【0079】
100 画像形成装置
101 ネットワーク
200 CPU
201 ROM
202 RAM
203 ハードディスク(HDD)
204 ネットワークコントローラ
205 データバス
206 操作表示部
207 スキャンコントローラ
208 スキャンデバイス
209 エンジンコントローラ
210 エンジンデバイス
211 画像処理部
300 タイル生成部
301 画像圧縮部
302 画像伸張部
400 入力データ制御部
401a〜401d 画像データバッファ
402 動作回路選択部
403 遮断手段
404 画像圧縮処理部(可逆画像エンコーダ)
405 画像圧縮処理部(非可逆画像エンコーダ)
406 判定部
407 出力データ選択部
408 出力データ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像圧縮部(301)を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像圧縮を並列に実行する画像形成装置(100)であって、
複数の画像圧縮部のうち、第1の画像圧縮部で処理された画像データサイズが予め定めた値よりも小さいか否かを判定する判定手段(406)、前記複数の画像圧縮部のうち、第2の画像圧縮部の消費電力を低減する低消費電力モード設定手段を備え、
前記遮断手段(403)は、前記判定手段で第1の画像圧縮部(404)での画像圧縮データサイズが予め定めた値よりも小さいと判定された場合に、前記第1の画像圧縮部での画像圧縮データを出力データとして、前記第2の画像圧縮部(405)を低消費電力モードに設定する。前記判定手段で前記第1の画像圧縮部での画像圧縮データサイズが予め定めた規定値より大きいと判定された場合に、入力される単一の画像データに対して前記第2の画像圧縮部を用いて画像圧縮を施行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
複数の画像データのうち、サイズの小さい方を選択する出力データ選択部(407)を備え、
前記判定手段によって、前記第1の画像圧縮部での画像圧縮データサイズが予め定めた値より大きいと判定された場合に、前記出力データ選択部は、前記第1の画像圧縮部で処理された画像圧縮データサイズと、前記第2の画像圧縮部で処理された画像圧縮データサイズのうち、小さい方を選択、出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記判定手段によって、前記第1の画像圧縮部での画像圧縮データサイズが予め定めた値より大きいと判定された場合に、前記第2の画像圧縮部で処理された画像圧縮データを出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の画像処理装置であって、
前記第1の画像圧縮部(404)では可逆圧縮処理を、前記第2の画像圧縮部(405)では非可逆圧縮処理を施行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記低消費電力モードは、前記第2の画像圧縮部の画像圧縮部へのクロック供給を停止することで以って、消費電力を低減することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記消費電力モードは、前記第2の画像圧縮部の画像圧縮部に対応する予め電源分離された電源をオフ状態に切り替えることで以って、消費電力を低減することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−120080(P2011−120080A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276641(P2009−276641)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】