説明

画像形成装置

【課題】複数の書込ユニットを備えることによるコストアップを低減し生産性の向上を図る。
【解決手段】画像形成面が移動する像担持体と、像担持体の主走査方向において複数に分割された書込領域のそれぞれに対応する位置に配置され、且つ、それぞれが像担持体の画像形成面の移動方向において互いに画像形成対象用紙の副走査方向の長さ以上に離間して配置された複数の書込ユニットと、複数の書込ユニットのそれぞれに画像データを出力する一つの画像処理部と、像担持体の画像形成面の移動に同期して、画像処理部から画像データが出力される書込ユニットを切り替える制御部と、を備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置が画像形成可能な用紙のサイズ以上の画像データを形成する場合、画像データを画像形成可能な用紙のサイズに基づいて複数に分割し、分割された画像データ毎に用紙に画像を形成し、画像形成された用紙を組み合わせて出力する方法が用いられている。
【0003】
また、中間転写方式の画像形成装置において、中間転写体でのトナー像の転写位置よりも定着器側に、中間転写体の周長より大サイズの用紙を画像形成する際の用紙の退避部を設け、大サイズの用紙への画像形成時には、転写位置と退避部との間を連結可能とする画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−352746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、用紙の副走査方向に関しては、画像形成装置が画像形成可能な最大サイズの用紙以上の用紙に画像形成を行うことはできるが、主走査方向に関しては、当該最大サイズの用紙の主走査方向の長さ以上の用紙に画像形成を行うことができない。また、特許文献1では、退避部を設けることで用紙搬送経路が複雑となり、生産性が低下するという問題が生じる。
【0006】
更に、POD(Print On Demand)市場では、主走査方向の長さがA3以上の用紙に画像形成する機能を備えた画像形成装置が求められているが、画像データに基づいて静電潜像を書き込む書込ユニットが有するレンズ等の光学部材精度の制約により、A3以上の書込ユニットを構成することは困難である。そこで、A3の書込ユニットを主走査方向に複数配列して主走査方向においてA3以上の画像を形成する画像形成装置が検討されているが、書込ユニット毎に当該書込ユニットに入力する画像データを処理する画像処理部が必要となり、コストアップが免れないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、上記問題に鑑みて、複数の書込ユニットを備えた画像形成装置において、複数の書込ユニットを備えることによるコストアップを低減し、生産性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、画像形成面が移動する像担持体と、前記像担持体の主走査方向において複数に分割された書込領域のそれぞれに対応する位置に配置され、且つ、それぞれが前記像担持体の画像形成面の移動方向において互いに画像形成対象用紙の副走査方向の長さ以上に離間して配置された複数の書込ユニットと、前記複数の書込ユニットのそれぞれに画像データを出力する一つの画像処理部と、前記像担持体の画像形成面の移動に同期して、前記画像処理部から画像データが出力される前記書込ユニットを切り替える制御部と、を備える画像形成装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体の画像形成面の移動方向において、前記複数の書込ユニットよりも下流に前記像担持体に形成されたトナー像を用紙に転写する転写位置を設ける。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記主走査方向における書込ユニットの配置位置の順番に応じて前記画像データを出力させる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さと、前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さと、に基づいて、前記画像データを分割して複数の分割画像データを前記画像処理部に生成させ、前記像担持体の画像形成面の移動に同期して、前記画像処理部から分割画像データが出力される書込ユニットを切り替える。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが、前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以上の場合、前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以下に前記画像データを分割する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記画像データには、当該画像データに基づいて画像が形成される用紙のサイズを含むタグ情報が付されており、前記制御部は、前記タグ情報に含まれる用紙のサイズに基づいて、前記画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さを取得する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが、前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ未満の場合、前記画像データを前記複数の書込ユニットのうちいずれか一つの書込ユニットに出力させる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記書込ユニット毎に形成される予め設定されたパッチ画像の位置情報を検出する検出部を備え、前記制御部は、前記検出部から検出された前記書込ユニット毎のパッチ画像の位置情報に基づいて、前記書込ユニットによる画像形成位置を調整する。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記用紙を用紙サイズ毎に格納する複数の給紙トレイを有する給紙部を備え、前記給紙トレイは、前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さに応じて用紙が格納される領域を区切る区切部材を有する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、複数の書込ユニットに対して一つの画像処理部から画像データを供給することができ、画像形成装置の構成を簡素化することができるため、複数の書込ユニットを備えた画像形成装置において、複数の書込ユニットを備えることによるコストアップを低減でき、生産性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、複数の書込ユニットにより形成されたトナー像を一括して用紙に転写でき、また、用紙上に転写されたトナー像を1回で定着させることができるため、用紙搬送経路を単純化することができ、生産性を向上できる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、主走査方向における書込ユニットの配置位置の順番に応じて画像データを出力する書込ユニットを切り替えることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、複数の書込ユニットにより画像が形成される画像データであっても、一つの画像処理部から分割画像データを各書込ユニットそれぞれに出力して画像を形成することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4と同様の効果を得られるのは勿論のこと、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以上の場合に、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以下に画像データを分割して、複数の分割画像データを得ることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5と同様の効果を得られるのは勿論のこと、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さをタグ情報から取得することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、請求項4から6のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ未満の場合には、複数の書込ユニットのいずれか一つの書込ユニットに画像データを出力させることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から7のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、検出部から検出された書込ユニット毎のパッチ画像の位置情報に基づいて、書込ユニットによる画像形成位置を調整することができ、書込ユニット間での画像ズレを防止でき、画質の向上を図ることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1から8のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さに応じて用紙が格納される領域を区切る区切部材を有する給紙トレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】(A)は、A2の用紙が格納されている給紙トレイの上面概略図の例、(B)は、A3の用紙が格納されている給紙トレイの上面概略図の例である。
【図3】画像形成部の概略側面構成図の例である。
【図4】図3に示す画像形成部の概略上面図の例である。
【図5】3つの書込ユニットを備えた画像形成部の概略側面構成図の例である。
【図6】中間転写方式の画像形成部の概略断面構成図の例である。
【図7】画像形成処理のフローチャートである。
【図8】(A)は、感光体ドラムの画像形成面上に形成されたパッチ画像の例を示す図であり、(B)は、パッチ画像の拡大図である。
【図9】(A)は、画像メモリに記憶された画像データ及びVV信号の例を示す図であり、(B)は、PVV信号と、分割VV信号及び分割画像データと、VV1信号及び分割画像データと、VV2信号及び分割画像データと、の例を示す図である。
【図10】画像データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図を参照して本実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における画像形成装置1の概略構成図を示す。
図1に示すように、画像形成装置1は、本体制御部10と、画像読取部20と、操作表示部30と、プリント部40と、プリンタコントローラ50等を備えて構成される。
【0028】
本体制御部10は、制御部110、不揮発メモリ121、DB(DataBase)122、画像メモリ130、画像処理部140等を備え、各部は制御部110によって制御されている。
【0029】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、ROM又は不揮発メモリ121、DB122に格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラム、各種データの中から指定されたプログラムやデータを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置1の各部を集中制御する。例えば、制御部110は、操作表示部30やプリンタコントローラ50を介して接続された外部装置2から入力される指示信号に従って、コピーモード、プリンタモード、スキャナモードを切り替え、複写、プリント、画像データの読取等の制御を行う。
【0030】
また、制御部110は、ROM又は不揮発メモリ121から本実施の形態に係る画像形成処理プログラムや必要な各種データを読み出し、当該プログラム及び各種データとの協働により、画像形成処理を制御する。
【0031】
本実施の形態における画像形成処理では、像担持体(例えば、感光体ドラム)の画像形成面の移動に同期して、画像処理部140から画像データが出力される書込ユニットの切り替えが行われる。更に、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さと、各書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さと、に基づいて、画像データが複数に分割されて複数の分割画像データが生成される。そして、当該分割画像データ毎に出力する書込ユニットが書込ユニット制御部により切り替えられる。書込ユニットに出力された画像データ又は分割画像データによりトナー像が像担持体に形成され、当該トナー像が用紙に転写、定着処理されることにより画像が形成された用紙(出力物)が得られ、当該出力物がプリント部40からが排出される。
【0032】
不揮発メモリ121は、画像形成に係る各種処理プログラム及びデータの他、本実施の形態に係る画像形成処理プログラムや、画像形成処理で生成される各種データ、各種プログラムで処理されたデータ等を記憶する。また、不揮発メモリ121は、各ジョブのジョブデータを記憶する。
【0033】
ジョブデータは、ジョブチケット、複数のページチケット等が含まれて構成されている。ジョブチケットには、ジョブデータを実行する際の出力条件が規定されている。出力条件としては、例えば、画像を形成する用紙の種類、画像の倍率、出力部数等である。
各ページチケットには、各ページの画像データと、当該画像データに付された当該像データの出力条件を規定するタグ情報と、が含まれている。出力条件としては、画像データに基づいて画像が形成される用紙のサイズ、画像データのサイズ、画像データの倍率や角度等が規定されている。
【0034】
DB122は、HDD(Hard Disk Drive)等の書き込み可能な不揮発性の記憶媒体で構成されている。
【0035】
画像メモリ130は、HDD(Hard Disk Drive)、DRAM(Dynamic RAM)等により構成され、画像データを読み書き可能に記憶する。画像メモリ130は、制御部110からの指示により、画像読取部20又はプリンタコントローラ50から入力された各ジョブの各ページの画像データを記憶して保存したり、画像メモリ130に記憶されている画像データを読み出して画像処理部140に出力する。
【0036】
画像処理部140は、A/D変換部141、読取画像処理部142、メモリ制御部143、出力画像処理部144、書込ユニット制御部145等を備えて構成されており、複数の書込ユニットのそれぞれに画像データを出力する。
【0037】
A/D変換部141は、画像読取部20から入力されたアナログの画像信号をデジタルの画像データに変換し、当該画像データを読取画像処理部142に出力する。
【0038】
読取画像処理部142は、A/D変換部141から入力された画像データに対して、色変換処理、シェーディング補正処理、輝度−濃度変換処理、領域判別処理、フィルタ処理等の各種処理を行い、処理済みの画像データをメモリ制御部143に出力する。
【0039】
メモリ制御部143は、制御部110からの指示に従って、読取画像処理部142から入力された画像データ、又は、プリンタコントローラ50から入力された画像データを圧縮して画像メモリ130に出力したり、画像メモリ130から圧縮した画像データを読み出して、当該画像データを伸長して出力画像処理部144に出力したりする。
【0040】
また、メモリ制御部143は、出力画像処理部144からPVV信号が入力されると、PVV信号に基づいてVV(Vertical Valid:垂直画像有効領域)信号、HV(Horizontal Valid:水平画像有効領域)信号を生成し、生成したVV信号、HV信号を画像データと共に出力画像処理部144に出力する。
【0041】
PVV信号とは、プリント部40内での書込基準のタイミングを示す信号である。
VV信号とは、画像データの画像領域全体の有効信号を示す信号である。
HV信号とは、画像データに基づいて形成される画像の主走査方向の幅に基づいて生成され、主走査方向の1ライン分の有効信号を示す信号である。
【0042】
更に、本実施の形態におけるメモリ制御部143は、制御部110からの指示に従って、画像メモリ130から読み出した画像データを主走査方向において複数に分割し、複数の分割画像データを生成すると共に、VV信号及びHV信号を複数に分割する。そしてメモリ制御部143は、各分割画像データと分割したVV信号及びHV信号とを出力画像処理部144に出力する。
【0043】
出力画像処理部144は、メモリ制御部143から入力された画像データ又は分割画像データ毎に、ガンマ処理等の各処理を行う。そして出力画像処理部144は、処理済みの画像データ又は分割画像データを、メモリ制御部143から入力されたVV信号及びHV信号と共に書込ユニット制御部145に出力する。
【0044】
また、出力画像処理部144は、後述するプリント制御部400から入力されるトリガ信号が入力されると、トリガ信号に応じてプリント部40とのタイミング制御処理を行って、PVV信号を生成し、生成したPVV信号をメモリ制御部143に出力する。
【0045】
書込ユニット制御部145は、制御部110からの指示に従って、画像データ又は分割画像データと、VV信号及びHV信号とが出力される書込ユニットを切り替える。
【0046】
画像読取部20は、CCD、画像読取制御部、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り部や読取部等から構成される。画像読取制御部は、制御部110からの指示に基づいて自動原稿送り部、読取部等を制御して、複数の原稿の画像を読み取る。読み取られたアナログの画像信号は、画像処理部140に出力される。ここで、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む意である。
【0047】
操作表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)等から構成される表示部と、LCDを覆うように設けられたタッチパネル、その他操作キー等の入力部と、操作表示制御部とから構成される。操作表示部30は、タッチパネル又は操作キー等の入力部から入力される操作信号を制御部110に出力する。また、操作表示部30は、操作表示制御部により制御部110から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種画面や各種処理結果等を表示部に表示する。
【0048】
プリント部40は、入力されたプリントデータに基づいて、電子写真方式の画像形成処理を行うものであり、給紙部41、給紙搬送部42、画像形成部43、定着部、搬出部等のプリント出力に係る各部やプリント制御部400を備えて構成される。
【0049】
給紙部41は、複数の給紙トレイを備える。各給紙トレイには、用紙の種類(紙種、坪量、用紙サイズ、用紙の画像形成方向)毎に予め識別された用紙が格納されており、用紙の最上部から一枚ずつ給紙搬送部に向けて搬送される。
【0050】
用紙の画像形成方向とは、画像形成部43において主走査方向と一致する方向が用紙の長辺か短辺であるかを示すものである。例えば、A4サイズの用紙の場合には、主走査方向と一致する方向が用紙の長辺の場合にはA4R、短辺の場合には単にA4と称されることが多い。
【0051】
本実施の形態における給紙トレイは、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さに応じて用紙が格納される領域を区切る区切部材を有する。
図2に、A2の用紙Pが格納可能な給紙トレイ41aの上面概略図の例を示す。
図2(A)に示す給紙トレイ41aは、用紙搬送方向(副走査方向)YとA2の用紙Pの長辺とが直交する方向にA2の用紙Pが格納されている。
【0052】
図2(A)に示す給紙トレイ41aに、A3の用紙を格納する際には、図2(B)に示すように、給紙トレイ41a内の用紙が格納される領域が、区切部材41bにより用紙搬送方向(副走査方向Y)と直交する方向において2つに区切られる。区切部材41bは、給紙トレイ41a内の用紙が格納される領域を、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ、例えば、本実施の形態ではA3の用紙の短辺の長さに応じて区切るものである。
区切部材41bにより2つに区切られた各領域に、A3の用紙が副走査方向Yにおいて用紙の短辺が直交する方向に格納される。
【0053】
このように、用紙が格納されることで、各書込ユニットへの用紙の搬送経路を単純化することができ、生産性を向上させることができる
【0054】
給紙搬送部42は、給紙トレイから搬送された用紙を、複数の中間ローラ、レジストローラ等を経て画像形成部43の転写位置へ搬送する。
【0055】
図3に、本実施の形態における画像形成部43の概略側面構成図の例を示し、図4に、図3に示す画像形成部43の概略上面図の例を示す。
図3に示すように、画像形成部43は、画像形成面が移動する像担持体としての感光体ドラム430、帯電装置431、複数の書込ユニット(第1書込ユニット432a、第2書込ユニット432b)、現像装置433、転写ローラ434、クリーニング装置435等を備える。
【0056】
図4に示すように、感光体ドラム430の主走査方向Xの長さLxは、A2の用紙の長辺La2に対応する長さを有している。また、第1書込ユニット432a及び第2書込ユニット432bは、感光体ドラム430の主走査方向Xにおいて複数に分割された静電潜像が書き込まれる書込領域のそれぞれに対応する位置に配置されている。第1書込ユニット432a及び第2書込ユニット432bのそれぞれ書込領域の主走査方向の長さは、図4では、A3の用紙の短辺の長さSa3に対応する長さを有している。
そのため、第1書込ユニット432a及び第2書込ユニット432bにより、主走査方向XにA2の用紙の長辺の長さLa2の静電潜像の形成が実現される。
従って、図3、4に示す画像形成部43を備える画像形成装置1では、画像形成可能な最大の用紙のサイズは、A2となっている。
【0057】
図3に示すように、第1書込ユニット432aと第2書込ユニット432bとは、感光体ドラム430の画像形成面上の移動方向Zにおいて、互いに画像形成対象用紙の副走査方向の長さ以上に離間した位置に設けられている。本実施の形態では、感光体ドラム430の画像形成面上において、第1書込ユニット432aによる静電潜像の書込位置と第2書込ユニット432bによる静電潜像の書込位置との距離Lzが、該画像形成部43で画像形成可能な最大サイズの用紙の副走査方向Yの長さ(Sa2)以上となっている。また、図4に示すように、第1書込ユニット432aと第2書込ユニット432bとは、感光体ドラム430の画像形成面上の主走査方向Xにおいて互いの端部が重なる位置に設けられている。
【0058】
画像形成部43では、帯電装置431により帯電された感光体ドラム430の画像形成面に、第1書込ユニット432a及び/又は第2書込ユニット432bに入力された画像データ又は分割画像データに応じた光が照射され静電潜像が書き込まれる。そして、静電潜像が書き込まれた感光体ドラム430の画像形成面に、帯電したトナーが現像装置433により付着されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
現像装置433により感光体ドラム430上に形成されたトナー像は、感光体ドラム430の画像形成面の移動方向Zにおいて、第1書込ユニット432a及び第2書込ユニット432bよりも下流側に設けられた転写位置に配置された転写ローラ434により用紙Pに転写される。用紙にトナーが転写された後、クリーニング装置435により、感光体ドラム430の画像形成面の残留電荷や残留トナー等が除去される。
【0059】
一方、トナー像を担持した用紙Pは、定着部に送られる。
定着部により、用紙Pに転写されたトナー像が熱定着され、用紙P上に画像が形成される。搬出部は、定着処理された用紙を、排紙ローラ等により挟持して排紙トレイ上に排出する。
【0060】
なお、図3に示す現像装置433は、感光体ドラム430の画像形成面の移動方向Zにおいて、第1書込ユニット432a及び第2書込ユニット432bよりも下流側に設けられ、第1書込ユニット432a及び第2書込ユニット432bによりそれぞれ形成された静電潜像にトナーを一括して付着させるものとしているが、これに限らない。例えば、第1書込ユニット432aの下流側と、第2書込ユニット432bの下流側とにそれぞれ現像装置を設け、各書込ユニットにより形成された静電潜像にトナーを付着させる構成としてもよい。
【0061】
更に、図3、4に示す複数の書込ユニット(第1書込ユニット432a、第2書込ユニット432b)は、主走査方向において書込領域の長さが同一であるが、これに限らない。例えば、第1書込ユニット432aの書込領域の主走査方向の長さをA3の用紙の短辺の長さLa3に対応する長さとし、第2書込ユニット432bの書込領域の主走査方向の長さをA4の用紙の短辺の長さに対応する長さとしてもよい。
【0062】
更に、図3、4では、書込ユニットが2つである場合の例を示したが、3つ以上備えて構成してもよい。
図5に、3つの書込ユニットを備えた画像形成部43の概略側面構成図の例を示す。
なお、図5に示す画像形成部43は、図3に示す感光体ドラム430に替えて感光体ベルト436を像担持体とし、第1、2書込ユニット432a、432bに替えて3つの書込ユニット(第1〜3書込ユニット432c1〜432c3)とを備えたものであり、帯電装置、現像装置、転写ローラ、クリーニング装置の図示及び説明は省略する。
【0063】
感光体ベルト436は、主走査方向の長さがA2の用紙の長辺に対応する長さを有し、複数のローラ436aに懸架され回転可能に支持された半導電性エンドレスベルトであり、ローラの回転に伴って回動する。
【0064】
図5に示すように、第1〜3書込ユニット432c1〜432c3は、感光体ベルト436の画像形成面の移動方向Z2において、互いに画像形成対象用紙の副走査方向の長さ以上に離間した位置に設けられている。例えば、感光体ベルト436の画像形成面において、第1書込ユニット432c1による静電潜像の書込位置と第2書込ユニット432c2による静電潜像の書込位置との距離Lz1と、第2書込ユニット432c2による静電潜像の書込位置と第3書込ユニット432c3による静電潜像の書込位置との距離Lz2とが、該画像形成部43で画像形成可能な最大サイズの用紙の副走査方向Yの長さ以上となっている。
【0065】
また、第1〜3書込ユニット432c1〜432c3は、感光体ベルト436の画像形成面の主走査方向Xにおいて、図3に示す第1書込ユニット432a及び第2書込ユニット432bと同様に、互いの端部が重なる位置に設けられている(不図示)。
【0066】
更に、画像形成部43は、中間転写方式を用いたものであってもよい。
図6に、中間転写方式の画像形成部43の概略断面構成図の例を示す。
図6に示す画像形成部43は、第1画像形成部43a、第2画像形成部43bと、中間転写ベルト43cと、二次転写ローラ43dと、クリーニング部43eとを備えて構成されている。
【0067】
図6に示す中間転写ベルト43cは、主走査方向Xの長さがA2の用紙の長辺に対応する長さを有しており、回動する画像形成面上にトナー像が形成される像担持体の機能を実現する。
また、第1画像形成部43a及び第2画像形成部43bは、中間転写ベルト43cの主走査方向において、複数に分割されたトナー像の転写領域それぞれに対応する位置に配置されている。第1画像形成部43a及び第2画像形成部43bの転写領域の主走査方向の長さは、中間転写ベルト43cにトナー像を転写可能な主走査方向Xの長さは、A3の用紙の短辺の長さに対応する長さを有しており、第1画像形成部43a及び第2画像形成部43bにより、主走査方向XにA2の用紙の長辺の長さのトナー像の形成が実現される。
従って、図6に示す画像形成部43を備える画像形成装置1では、最大のA2の用紙に画像形成可能な構成となっている。
【0068】
第1画像形成部43aと第2画像形成部43bとは、中間転写ベルト43cの画像形成面の移動方向Z3において、互いに画像形成対象用紙の副走査方向の長さ以上に離間した位置に設けられている。例えば、中間転写ベルト43cの画像形成面上において、第1画像形成部43aによるトナー像の転写位置と第2画像形成部43bによるトナー像の転写位置との距離Lz3が、該画像形成部43でトナー像を転写可能な最大サイズの用紙の副走査方向Yの長さ以上となっている。
また、第1画像形成部43aと第2画像形成部43bとは、中間転写ベルト43cの画像形成面上の主走査方向Xにおいて、互いの第1書込ユニット432aと第2書込ユニット432bとの端部が重なる位置に設けられている。
【0069】
図6に示すように、第1画像形成部43aは、感光体ドラム430、帯電装置431、第1書込ユニット432a、現像装置433、一次転写ローラ434a、クリーニング装置435等を備える。
【0070】
第1画像形成部43aでは、帯電装置431により帯電された感光体ドラム430の画像形成面に、第1書込ユニット432aに入力された画像データ又は分割画像データに応じた光が照射され静電潜像が書き込まれる。そして、静電潜像が書き込まれた感光体ドラム430の画像形成面に、帯電したトナーが現像装置433により付着されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。現像装置433により感光体ドラム430上に形成されたトナー像は、感光体ドラム430の画像形成面の移動方向において第1書込ユニット432aよりも下流側に設けられた一次転写位置に配置された一次転写ローラ434aにより中間転写ベルト43cに転写される。
【0071】
第2画像形成部43bは、第1画像形成部43aの第1書込ユニット432aを第2書込ユニット432bに替えた構成であり、一次転写ローラ434bにより中間転写ベルト43cに形成されたトナー像を転写する。
【0072】
中間転写ベルト43cは、複数のローラに懸架され回転可能に支持された半導電性エンドレスベルトであり、駆動ローラ等のローラの回転に伴って駆動され回動する。
この中間転写ベルト43cは、第1、2画像形成部43a、43bの一次転写ローラ434a、434bによりそれぞれの感光体ドラムに圧着される。これにより各感光体ドラムの画像形成面に現像された各トナー像が、各一次転写位置で中間転写ベルト43cに一次転写される。そして、中間転写ベルト43cに転写された各トナー像は、二次転写ローラ43dによる二次転写位置で用紙Pに一括転写される。
中間転写ベルト43cは、二次転写ローラ43dにより用紙Pにトナー像を二次転写した後、用紙Pを曲率及び静電的に分離して、クリーニング部43eにより残留トナーが除去される。
【0073】
一方、トナー像を担持した用紙Pは、定着部に送られ、定着部により、用紙Pに転写されたトナー像が熱定着され、画像が形成されることとなる。
【0074】
プリンタコントローラ50は、画像形成装置1をネットワークプリンタとして使用する場合に、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されるPC(Personal Computer)等の外部装置から画像形成装置1に送信されるジョブの管理及び制御を行う。プリンタコントローラ50は、外部装置2からプリント対象のデータを受信し、当該データをジョブデータとして制御部110へ出力する。
【0075】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図7に、本実施の形態における画像形成処理のフローチャートを示す。
図7に示すフローチャートは、制御部110と各部との協働によって実行される処理であり、ジョブ単位で実行されるものである。なお、図7に示すフローチャートでは、図3、図4に示す画像形成部43を備えた画像形成装置1で実行されるものとする。
【0076】
制御部110は、ジョブを構成する各ページの画像データに付されているタブ情報に含まれる用紙のサイズに基づいて、各ページの画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さを取得し、ジョブデータ内に、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さがA3用紙の短辺の長さ(書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ)以上となるページの画像データがあるか否かを判別する(ステップS1)。
【0077】
A3用紙の短辺の長さ以上となるページの画像データがある場合(ステップS1;YES)、制御部110は、書込位置調整処理を実行する(ステップS2)。
【0078】
図8を参照して、書込位置調整処理について説明する。
制御部110は、図8(A)に示すように、感光体ドラム430の画像形成面上に、第1書込ユニット432aと第2書込ユニット432bとの端部が重複する所定位置(破線部分)を中心に、それぞれ予め設定された静電潜像(パッチ潜像)を書き込ませ、当該パッチ潜像にトナーを付着させて各パッチ画像Pa、Pbを形成させる。
【0079】
パッチ画像としては、例えば、図8(B)に示すように、主走査方向Xに並行な直線(第1直線Pa1、Pb1)と、当該主走査方向Xに並行な直線と45度の角度を成す直線(第2直線Pa2、Pb2)とを含む画像を用いることができる。この場合、パッチ画像Pa、Pbは、二等辺三角形の短辺に相当する第1直線Pa1、Pb1と、二等辺三角形の長辺に相当する第2直線Pa2、Pb2と、により構成される。
【0080】
感光体ドラム430に形成された各パッチ画像は、現像装置433の下流に設けられた検出部により、書込ユニット毎に形成された各パッチ画像の位置情報が検出される。
検出部は、1dot以上の分解能を有するセンサであり、各パッチ画像において、図8(B)に示すB,C,Dのdot数を位置情報として検出するものである。
【0081】
図8(B)に示すBは、第1書込ユニット432aにより形成されたパッチ画像の第1直線Pa1の部分と、第2書込ユニット432bにより形成されたパッチ画像の第1直線Pb1の部分との間のdot数(ライン数)である。
【0082】
図8(B)に示すCは、第1書込ユニット432aにより形成されたパッチ画像の第1直線Pa1と所定位置(破線部分)とが交わる位置(第1直線Pa1の中点)から第1直線Pa1の端部までのdot数である。
なお、第1直線Pa1の中点と第2直線Pa2の中点との間のdot数は、第1直線Pa1の中点から第1直線Pa1の端部までのdot数と等しくなる。これは、第1直線Pa1が所定位置を中心に左右対称に形成され、且つ、二等辺三角形の短辺に相当し、また、第2直線Pa2が二等辺三角形の長辺に相当するためである。
【0083】
図8(B)に示すDは、第2書込ユニット432bにより形成されたパッチ画像の第1直線Pb1と所定位置(破線部分)とが交わる位置(第1直線Pb1の中点)から第1直線Pb1の端部までのdot数である。
なお、第1直線Pb1の中点と第2直線Pb2の中点との間のdot数は、第1直線Pb1の中点から第1直線Pb1の端部までのdot数と等しくなる。これは、第1直線Pb1が所定位置を中心に左右対称に形成され、且つ、二等辺三角形の短辺に相当し、また、第2直線Pb2が二等辺三角形の長辺に相当するためである。
【0084】
制御部110は、検出部から検出されたBのdot数が予め設定されたdot数と等しいか否かを判別する。Bのdot数が予め設定されたdot数と等しい場合、制御部110は、第1書込ユニットと第2書込ユニットとの副走査方向の書込位置のズレがないと判別する。一方、Bのdot数が予め設定されたdot数でない場合、制御部110は、第1書込ユニットと第2書込ユニットとの副走査方向の書込位置のズレがあると判別し、予め設定されたdot数と検出されたBのdot数との差分値に基づいて、副走査方向の書込位置のズレを調整する。
【0085】
また、制御部110は、Cのdot数とDのdot数とが等しいか否かを判別する。
Cのdot数とDのdot数とが等しい場合、制御部110は、第1書込ユニットと第2書込ユニットとの主走査方向の書込位置のズレがないと判別する。一方、Cのdot数とDのdot数とが等しくない場合、制御部110は、第1書込ユニットと第2書込ユニットとの主走査方向の書込位置のズレがあると判別し、Cのdot数とDのdot数との差分値に基づいて、主走査方向の書込位置のズレを調整する。
【0086】
図7のフローチャートに戻り、制御部110は、書込位置調整処理を実行した後(ステップS2後)、ジョブデータの各ページの画像データと、当該画像データに対するVV信号及びHV信号を画像メモリに記憶させる(ステップS3)。
【0087】
制御部110は、以後、ページ単位で画像メモリから画像データを読み出し、各処理を実行させる。まず、メモリ制御部143に出力画像処理部144からPVV信号が入力されると(ステップS4)、メモリ制御部143により、主走査方向の長さがA3用紙の短辺の長さ(書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ)以下となるように読み出した画像データが分割されると共に、読み出した画像データのVV信号及びHV信号がA3以下の領域となるように分割される(本実施の形態では、2つに分割される)。そして、分割された画像データ(2つの分割画像データ)と分割されたVV信号及びHV信号とが、出力画像処理部144に出力される(ステップS5)。
【0088】
出力画像処理部144では、入力された分割画像データ毎に各種画像処理が施される。出力画像処理部144において各種画像処理が施された各分割画像データと、分割されたVV信号及びHV信号とは、書込ユニット制御部145に出力される。
【0089】
書込ユニット制御部145では、入力された2つの分割画像データのうち、一方の分割画像データと分割されたVV信号及びHV信号との出力先が、主走査方向Xにおける書込ユニットの配置位置の順番に応じて一方の書込ユニット(例えば、第1書込ユニット)に設定される。第1書込ユニットにより、入力された分割画像データと分割されたVV信号及びHV信号とに基づいて感光体ドラム上に静電潜像が書き込まれる(ステップS6)。
【0090】
また、書込ユニット制御部145では、第1書込ユニットよる静電潜像の書き込みが終了すると、他方の分割画像データと分割されたVV信号及びHV信号との出力先が、他方の書込ユニット(例えば、第2書込ユニット)に切り替えられる。第2書込ユニットにより、入力された分割画像データと分割されたVV信号及びHV信号とに基づいて感光体ドラム上に静電潜像が書き込まれる(ステップS7)。
【0091】
そして、第1書込ユニット及び第2書込ユニットにより静電潜像が書き込まれた感光体ドラムの画像形成面に、現像装置によってトナーが付着されトナー像が形成される。その後、感光体ドラムの画像形成面に形成されたトナー像は、転写位置で用紙に転写される。
定着部により用紙に転写されたトナー像が定着され、1ページ分の画像が形成された用紙が出力される。
【0092】
制御部110は、ジョブデータの全ページの画像形成が終了したか否かを判別し(ステップS8)、全ページの画像形成が終了していない場合(ステップS8;NO)、ステップS4の処理に戻る。全ページの画像形成が終了した場合(ステップS8;YES)、制御部110は、画像形成処理を終了する。
【0093】
一方、ジョブデータの全ページの画像データが、画像データに基づいて画像が形成される書込領域の主走査方向の長さがA3の短辺の長さ(書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ)未満である場合(ステップS1;NO)、制御部110は、ジョブデータの各ページの画像データを画像メモリに記憶させる(ステップS9)。
【0094】
制御部110は、以後、ページ単位で画像メモリから画像データを読み出し、各処理を実行させる。まず、出力画像処理部144からメモリ制御部143にPVV信号が入力されると(ステップS10)、メモリ制御部143により、1ページ分の画像データが読み出され、読み出した画像データのVV信号及びHV信号とが、出力画像処理部144に出力される(ステップS11)。
【0095】
出力画像処理部144では、入力された画像データに各種画像処理が施される。出力画像処理部144において各種画像処理が施された画像データと、VV信号及びHV信号とは、書込ユニット制御部145に出力される。
【0096】
書込ユニット制御部145では、入力された画像データとVV信号及びHV信号との出力先が、一方の書込ユニット(例えば、第1書込ユニット)に設定される。第1書込ユニットにより、入力された画像データとVV信号及びHV信号とに基づいて感光体ドラム上に静電潜像が書き込まれる(ステップS12)。
【0097】
そして、第1書込ユニットにより静電潜像が書き込まれた感光体ドラムの画像形成面に、現像装置によってトナーが付着されトナー像が形成される。その後、感光体ドラムの画像形成面に形成されたトナー像は、転写位置で用紙に転写される。定着部により用紙に転写されたトナー像が定着され、1ページ分の画像が形成された用紙が出力される。
【0098】
制御部110は、ジョブデータの全ページの画像形成が終了したか否かを判別し(ステップS13)、全ページの画像形成が終了した場合(ステップS13;YES)、画像形成処理を終了する。
【0099】
全ページの画像形成が終了していない場合(ステップS13;NO)、制御部110は、出力画像処理部144からメモリ制御部143にPVV信号が入力されると(ステップS14)、メモリ制御部143により、1ページ分の画像データが読み出され、読み出した画像データのVV信号及びHV信号とが、出力画像処理部144に出力される(ステップS15)。
【0100】
出力画像処理部144では、入力された画像データに各種画像処理が施される。出力画像処理部144において各種画像処理が施された画像データと、VV信号及びHV信号とは、書込ユニット制御部145に出力される。
【0101】
書込ユニット制御部145では、入力された画像データとVV信号及びHV信号との出力先が切り替えられ、他方の書込ユニット(例えば、第2書込ユニット)に設定される。第2書込ユニットにより、入力された画像データとVV信号及びHV信号とに基づいて感光体ドラム上に静電潜像が書き込まれる(ステップS16)。
【0102】
そして、第2書込ユニットにより静電潜像が書き込まれた感光体ドラムの画像形成面に、現像装置によってトナーが付着されトナー像が形成される。その後、感光体ドラムの画像形成面に形成されたトナー像は、転写位置で用紙に転写される。定着部により用紙に転写されたトナー像が定着され、1ページ分の画像が形成された用紙が出力される。
【0103】
制御部110は、ジョブデータの全ページの画像形成が終了したか否かを判別し(ステップS17)、全ページの画像形成が終了していない場合(ステップS17;NO)、ステップS10の処理に戻る。全ページの画像形成が終了した場合(ステップS17;YES)、制御部110は、画像形成処理を終了する。
【0104】
図9、図10を用いて、ステップS3〜7での処理の例を説明する。
図9に、所定ページの画像データと当該画像データのVV信号との例を示し、図10に、画像データの例を示す。
【0105】
図9(A)には、ステップS3において画像メモリに記憶された、ジョブデータの所定ページの画像データと当該画像データのVV信号との例を示す。このページの画像データDは、図10に示すようなA2の用紙サイズに対応するものであり、主走査方向Xの長さがA2の長辺の長さとなっている。
【0106】
図9(B)には、メモリ制御部143に入力されたPVV信号と、メモリ制御部143により出力画像処理部144に出力されたVV信号(分割VV信号)及び分割画像データと、第1書込ユニットに入力される分割VV信号(VV1信号)及び分割画像データD1と、第2書込ユニットに入力される分割VV信号(VV2信号)及び分割画像データD2と、の例を示す。
【0107】
メモリ制御部143にPVV信号が入力されると、図10に示すように、読み出した画像データDが主走査方向の長さが書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ(本実施の形態では、A3用紙の短辺の長さ)以下となる2つの分割画像データD1、D2に分割される。また、図9(B)に示すように、読み出された画像データのVV信号がA3以下の領域となる分割VV信号に分割される。
【0108】
書込ユニット制御部145では、主走査方向Xにおける書込ユニットの配置位置の順番として、静電潜像の書込開始位置に最も近い位置の順番の第1書込ユニットに、分割VV信号(VV1信号)と第1書込ユニットの書込位置に対応する分割画像データD1が出力される。
【0109】
そして、第1書込ユニットでの分割画像データD1に基づく静電潜像の書き込みが終了すると、第2書込ユニットに、分割VV信号(VV2信号)と第2書込ユニットの書込位置に対応する分割画像データD2とが出力され、第2書込ユニットでの分割画像データD2に基づく静電潜像の書き込みが行われることとなる。
【0110】
なお、ステップS5では、読み出した画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さがA3の短辺の長さ(書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ)未満である場合には、画像データ及びVV信号は分割されず、どちらか一方の書込ユニットに画像データ及びVV信号が出力される。
【0111】
以上のように、本実施の形態によれば、像担持体(感光体ドラム、感光体ベルト、中間転写ベルト等)の画像形成面の移動に同期して、一つの画像処理部140から画像データが出力される書込ユニットを切り替えることができる。そのため、複数の書込ユニットに対して一つの画像処理部140から画像データを供給することができ、画像形成装置1の構成を簡素化することができるため、複数の書込ユニットを備えた画像形成装置1において、複数の書込ユニットを備えることによるコストアップを低減でき、生産性の向上を図ることができる。
【0112】
更に、複数の書込ユニットよりも下流に像担持体に形成されたトナー像が用紙に転写される転写位置が設けられることにより、複数の書込ユニットにより形成されたトナー像を一括して用紙に転写でき、また、用紙上に転写されたトナー像を1回で定着させることができるため、用紙搬送経路を単純化することができ、生産性を向上できる。更に、用紙への転写回数が1回で済むことから書込ユニット間での画像ズレを防止でき、また、用紙への定着回数が1回で済むことから、用紙の伸縮に伴う画像劣化を防止できる。
【0113】
また、主走査方向における書込ユニットの配置位置の順番に応じて画像データを出力する書込ユニットを切り替えることができる。
【0114】
また、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さと書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さとに基づいて、画像データを分割して複数の分割画像データを生成し、当該分割画像データ毎に出力する書込ユニットを切り替えて出力することができる。そのため、複数の書込ユニットにより画像が形成される画像データであっても、一つの画像処理部から分割画像データを各書込ユニットそれぞれに出力して一つの画像を形成することができる。
【0115】
また、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さをタグ情報から取得することができ、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以上の場合に、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以下に画像データを分割して、複数の分割画像データを得ることができる。そのため、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以上である場合でも、一つの画像処理部から分割画像データを各書込ユニットそれぞれに出力して、一つの画像を形成することができるので、画像形成装置の構成を簡素化できる。
【0116】
また、画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ未満の場合には、複数の書込ユニットのいずれか一つの書込ユニットに画像データを出力させることができる。
【0117】
更に、検出部から検出された書込ユニット毎のパッチ画像の位置情報に基づいて、書込ユニットによる画像形成位置を調整することができるため、書込ユニット間での画像ズレを防止でき、画質の向上を図ることができる。
【0118】
更に、書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さに応じて用紙が格納される領域を区切る区切部材を有する給紙トレイを提供できるため、用紙搬送経路の単純化を図ることができ、生産性を向上できる。
【0119】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、不揮発メモリ121を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0120】
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 画像形成装置
10 本体制御部
20 画像読取部
30 操作表示部
40 プリント部
41 給紙部
41a 給紙トレイ
41b 区切部材
42 給紙搬送部
43 画像形成部
43a 第1画像形成部
43b 第2画像形成部
43c 中間転写ベルト
43d 二次転写ローラ
43e クリーニング部
50 プリンタコントローラ
110 制御部
121 不揮発メモリ
122 DB
130 画像メモリ
140 画像処理部
141 A/D変換部
142 読取画像処理部
143 メモリ制御部
144 出力画像処理部
145 書込ユニット制御部
400 プリント制御部
430 感光体ドラム
431 帯電装置
432a 第1書込ユニット
432b 第2書込ユニット
432c1〜432c3 第1〜3書込ユニット
433 現像装置
434 転写ローラ
434a、434b 一次転写ローラ
435 クリーニング装置
436 感光体ベルト
436a ローラ
P 用紙
X 主走査方向
Y 副走査方向、用紙搬送方向
Z、Z2、Z3 移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成面が移動する像担持体と、
前記像担持体の主走査方向において複数に分割された書込領域のそれぞれに対応する位置に配置され、且つ、それぞれが前記像担持体の画像形成面の移動方向において互いに画像形成対象用紙の副走査方向の長さ以上に離間して配置された複数の書込ユニットと、
前記複数の書込ユニットのそれぞれに画像データを出力する一つの画像処理部と、
前記像担持体の画像形成面の移動に同期して、前記画像処理部から画像データが出力される前記書込ユニットを切り替える制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体の画像形成面の移動方向において、前記複数の書込ユニットよりも下流に前記像担持体に形成されたトナー像を用紙に転写する転写位置を設ける、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記主走査方向における書込ユニットの配置位置の順番に応じて前記画像データを出力させる、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さと、前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さと、に基づいて、前記画像データを分割して複数の分割画像データを前記画像処理部に生成させ、前記像担持体の画像形成面の移動に同期して、前記画像処理部から分割画像データが出力される書込ユニットを切り替える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが、前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以上の場合、
前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ以下に前記画像データを分割する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像データには、当該画像データに基づいて画像が形成される用紙のサイズを含むタグ情報が付されており、
前記制御部は、
前記タグ情報に含まれる用紙のサイズに基づいて、前記画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さを取得する、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記画像データに基づいて画像が形成される用紙の主走査方向の長さが、前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さ未満の場合、
前記画像データを前記複数の書込ユニットのうちいずれか一つの書込ユニットに出力させる、
請求項4から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記書込ユニット毎に形成される予め設定されたパッチ画像の位置情報を検出する検出部を備え、
前記制御部は、
前記検出部から検出された前記書込ユニット毎のパッチ画像の位置情報に基づいて、前記書込ユニットによる画像形成位置を調整する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記用紙を用紙サイズ毎に格納する複数の給紙トレイを有する給紙部を備え、
前記給紙トレイは、
前記書込ユニットに対応する書込領域の主走査方向の長さに応じて用紙が格納される領域を区切る区切部材を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−128318(P2011−128318A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285832(P2009−285832)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】