説明

画像形成装置

【課題】原稿の読み取りを開始した後にもコピーやスキャンやファクシミリなどの画像処理の処理条件の設定が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿を読み取るスキャナ部と、前記スキャナ部による原稿の読み取りを制御する読取制御部と、画像処理の処理条件を設定する設定情報を、前記スキャナ部が前記原稿の読み取りを開始した後に取得する設定情報取得部と、前記スキャナ部よって前記原稿を読み取って生成される画像データを記憶領域に記憶させ、前記設定情報取得部が前記設定情報を取得した後に、前記記憶領域に記憶させた画像データを前記記憶領域から読み出す記憶制御部と、前記記憶制御部によって読み出された画像データに対して、前記設定情報によって設定される処理条件に基づいて画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部によって画像処理された画像データを出力する出力部と、を備える画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コピーなどの画像処理を行うための画像読み取り処理の開始後にコピーなどの画像処理の処理条件を設定可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置におけるコピーによる画像形成処理では、コピー処理のさまざまな処理条件の設定は、コピーを開始する前に行われている。具体的には、原稿をスキャナの原稿載置台に置いて、操作パネルを操作して、カラー/モノクロの設定や、割り付け印刷(Nin1印刷)の設定や、読み取り解像度の設定などを行った上で、コピーの開始を指示するボタンを押して、原稿の読み取りを開始し、コピーを行っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、コピーを開始した後に、コピーの処理条件の設定を変更したい場合には、処理条件の設定を変更する操作を行った後、もう一度原稿の読み取り処理を行う必要があった。
【0004】
また、コピーだけでなく、スキャンや、ファクシミリの送信の場合も同様であり、処理条件の設定を行って、原稿の読み取り処理を開始した後に、スキャンやファクシミリの処理条件を変更したい場合には、設定を変更する操作を行って、もう一度原稿を読み取る処理を行っていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、原稿の読み取りを開始した後にもコピーやスキャンやファクシミリなどの画像処理の処理条件の設定が可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像形成装置は、スキャナ部と、読取制御部と、設定情報取得部と、記憶制御部と、画像処理部と、出力部と、を持つ。スキャナ部は、原稿を読み取る。読取制御部は、前記スキャナ部による原稿の読み取りを制御する。設定情報取得部は、画像処理の処理条件を設定する設定情報を、前記スキャナ部が前記原稿の読み取りを開始した後に取得する。記憶制御部は、前記スキャナ部よって前記原稿を読み取って生成される画像データを記憶領域に記憶させ、前記設定情報取得部が前記設定情報を取得した後に、前記記憶領域に記憶させた画像データを前記記憶領域から読み出す。画像処理部は、前記記憶制御部によって読み出された画像データに対して、前記設定情報によって設定される処理条件に基づいて画像処理を行う。出力部は、前記画像処理部によって画像処理された画像データを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】画像形成装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置によるコピー処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、画像形成装置1の構成を説明するブロック図である。
【0010】
画像形成装置1は、MFP(Multi Function Peripheral)である。画像形成装置1は制御部2と、補助記憶装置8と、通信インターフェース(通信I/F)10と、操作パネル14と、スキャナ部16と、プリンタ部18と、ファクシミリコントロールユニット(FCU)20と、を備える。これらの画像形成装置1の各コンポーネントは、バス30を介して接続される。
【0011】
制御部2は、プロセッサ4と、メモリ6と、オペレーティングシステム(Operating System、OS)により機能する。
【0012】
プロセッサ4は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)である。
【0013】
メモリ6は、例えば、半導体メモリである。メモリ6は、プロセッサ4の制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)6aと、プロセッサ4に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)6bを備える。
【0014】
制御部2は、ROM6aあるいは補助記憶装置8に格納された制御プログラム等に基づいて、通信I/F10、操作パネル14、スキャナ部16、プリンタ部18、FCU20などを制御する。制御部2はさらに、さまざまな画像処理機能を有してもよい。なお、制御部2は、画像形成装置1が備える機能の一部又は全部を実現するASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んでもよい。
【0015】
補助記憶装置8は、アプリケーションプログラムおよびOSを記憶する。アプリケーションプログラムは、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、ネットワークファイル機能といった画像形成装置1が有する機能を実行するプログラムを含む。
【0016】
補助記憶装置8は、スキャナ部16で原稿を読み取って生成した画像データや、通信I/F10およびネットワーク130を介して接続されるその他の外部の機器から取得したデータ等を記憶する。
【0017】
補助記憶装置8としては、たとえば、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置、光学式記憶装置、半導体記憶装置(フラッシュ・メモリ等)またはこれら記憶装置の任意の組合せでもよい。
【0018】
また、補助記憶装置8には、コピー処理の際に、スキャナ16によって読み取った画像を一時的に記憶するページメモリ81が形成される
【0019】
通信I/F10は、ネットワーク130を介して外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F10は、たとえば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE1284等の適切な無線通信または有線通信によりネットワーク130を介して外部機器と接続する。通信I/F10は、バッファを含み、ネットワーク130を介して受信したデータの一部あるいは全部を一時的にバッファへ保持する。
【0020】
制御部2は、通信I/F10を介して外部記憶装置50やネットワーク130を介して接続されるPC(Personal Computer)などのその他外部機器と通信する。
【0021】
操作パネル14は、タッチパネル式の表示部14aと各種の操作キー14bとを備える。表示部14aは、たとえば、モノクロ/カラー設定、用紙サイズ、コピー枚数、印刷濃度設定、あるいは仕上げ(綴じ、折り)等の印刷条件に関する指示項目を表示する。操作キー14bは、たとえば、テンキー、リセットキー、ストップキー、スタートキー等を備える。ユーザは、各種処理や表示部14aに表示された項目に対する指示を、表示部14aまたは操作キー14bから入力して指示することができる。
【0022】
スキャナ部16は、原稿を読み取る。スキャナ部16は、原稿を画像として読み取る内蔵された走査読取ユニットと、原稿載置台と、読取位置へ原稿を搬送する自動原稿送り装置と、を備える。スキャナ部16の走査読取ユニットは、原稿載置台あるいは自動原稿送り装置にセットされた原稿を読み取る。
【0023】
プリンタ部18は、スキャナ部16で読み取った原稿の画像データに対応する画像や、ネットワーク130を介して外部のPCなどのクライアントから送られてきたデータに対応する画像を、用紙カセットから供給される用紙の上に形成する。
【0024】
ファクシミリコントロールユニット(FCU)20は、画像形成装置1におけるファクシミリの送信処理及び受信処理を制御する。
【0025】
以上が、本実施形態の画像形成装置の構成である。なお、プリンタ部18やFCU20や、スキャン処理のためにスキャナ部16によって読み取られた画像データを画像形成装置の内部あるいは外部の記憶領域に記憶させる機能が、出力部に該当する。
【0026】
次に、コピーのために原稿を読み取りを開始した後に、コピーの処理条件を設定する、あるいは処理条件の変更を可能にするための本実施形態の画像形成装置1における処理について説明する。図2は、画像形成装置1の機能を示す機能ブロック図である。
【0027】
なお、本実施形態において、特に明示しない限り、「コピー」処理は、スキャナ部16で原稿を読み取って、読み取った画像データに基づき用紙に対して画像を形成する処理を意味する。
【0028】
また、本実施形態において、特に明示しない限り、「スキャン」処理は、スキャナ部16で原稿を読み取って、画像データを生成し、生成した画像データを、画像形成装置1の補助記憶装置8や通信I/F10やネットワーク130を介して接続される外部の記憶領域に記憶する処理を意味する。
【0029】
また、本実施形態において、特に明示しない限り、「ファクシミリ」処理は、スキャナ部16で原稿を読み取って画像データを生成し、FCU20により、生成した画像データを電話回線を通じて出力する処理である。
【0030】
本実施形態の画像形成装置1は、設定情報取得部200と、読取制御部202と、画像処理部204と、圧縮部206と、記憶制御部208と、伸長部としての第1伸張部210と、出力処理用伸張部としての第2伸張部212と、画像形成処理制御部214と、を備える。
【0031】
設定情報取得部200は、コピー処理などの画像処理の処理条件を示す設定情報を取得する。設定情報としては、例えば、モノクロ/カラーの設定、印字する用紙のサイズである用紙サイズ、読み取り解像度、1枚の用紙に複数ページを印刷する割付印刷の設定(Nin1設定)などの情報が含まれる。また、本実施形態の画像形成装置1は、原稿の読み取り開始後に、上記のような設定が可能である。原稿の読み取り開始後にコピーの処理条件を示す設定情報の入力がされた場合に、設定情報取得部200は、同様にその設定情報を取得する。なお、原稿の読み取り開始後とは、少なくとも、原稿の読み取り開始のトリガーとなる操作入力を取得した後であればよい。例えば、コピーであれば、コピースタートのボタンの押下などの操作入力を、画像形成装置1が取得した後である。
【0032】
また、画像形成装置1において、コピー処理の処理条件の入力を、原稿読取前と原稿読取開始後のどちらのタイミングでも可能とする場合には、原稿の読み取りを開始する前に、原稿読み取り開始後に処理条件の設定をするのかどうかを指定しておく必要である。そのため、ユーザが処理条件の設定を原稿読取開始後に行いたい場合には、原稿読取開始後に処理条件の入力を行うモードを選択する操作入力をさせて、操作入力取得部200は、その操作入力を取得する。この操作入力が取得された場合には、画像形成装置1の各機能ブロックは、処理条件の入力が後から入力されることを前提として、画像データに対するそれぞれの処理を行うことができる。なお、原稿読取開始後にコピーなどの処理条件の設定を行うモードの選択は、操作パネル14の表示部14aに、モードの選択画面を表示して、ユーザが画面でモードを選択すればよい。
【0033】
なお、画像形成装置1において、全てのコピー処理について、原稿の読み取り開始後に処理条件を入力する方式を標準の設定とする場合には、上記モードの選択は不要である。この場合は、全てのコピー処理に対して、原稿の読み取り処理の後、処理条件が設定されるまで待機し、処理条件の入力がされた場合には、入力された処理条件に従って画像処理を行えばよい。
【0034】
読取制御部202は、コピー処理のためにスキャナ部16を制御して、原稿のスキャン処理を実行させ、スキャナ部16によって読み取られた画像データを取得する。
【0035】
また、本実施形態では、読取制御部202は、原稿の読み取り開始後にコピーなどの処理条件が設定されるモードが選択された場合、あるいは、読取開始後に処理条件の入力がされることが標準の設定である場合に、原稿を読み取った後でも、その読み取って生成される画像データに対して、設定された処理条件に基づく画像処理ができるように、原稿の読み取りを実行させる。すなわち、読み取り開始後にどのような処理条件が入力されても、その処理条件に従ったコピー処理ができるような条件で、原稿の読み取りを行わせる。
【0036】
例えば、読取制御部202は、コピー処理を行う場合に、最終的に出力される画像がモノクロかカラーかに関わらず、一律にカラーで原稿の読み取りを行わせる。カラー画像を取得しておけば、原稿の読み取り後にカラーコピーの設定がされてもカラーでの印字が可能であるし、モノクロコピーの設定がされてもモノクロ画像に変換してモノクロでの印字が可能になる。
【0037】
また、例えば、解像度の変更を可能とするために、読取制御部202は、設定可能とする解像度のうち、最大の解像度で原稿を読み取らせる。例えば、原稿読み取り後の解像度の設定で、設定可能な解像度を600dpiとする場合には、600dpiの解像度で原稿の読み取りを行わせる。例えば、300dpiで読み取ってしまうと、解像度が600dpiに設定されても、その設定による処理が実行できないためである。
【0038】
このように、読取制御部204は、少なくとも、原稿の読み取り開始後に設定可能とする処理条件に応じた画像処理が可能なように、スキャナ部16による読み取りを行わせる。
【0039】
画像処理部204は、コピー処理を、設定された処理条件で行うために、生成した画像データに対して、画像処理を行う。具体的には、画像処理部204は、原稿の読み取りを開始する前に、予めコピーやスキャンなどの画像処理の処理条件の設定がされている場合には、その処理条件に基づいて画像処理を行う。さらに、本実施形態の画像処理部204は、原稿の読み取りを開始した後に、コピーなどの処理条件を設定する操作入力がされた場合に、設定された処理条件に基づき、原稿の読み取り処理により生成され、一時的にページメモリ81に記憶された画像データを読み出して、読み出した画像データに対して画像処理を行う。
【0040】
画像処理部204は、具体的には、設定情報におけるモノクロ/カラーの設定や、解像度の設定に対応する、必要な画像処理である、例えば、γ補正、色変換、主副走査変倍、画像分離、加工、エリア処理、階調補正処理などの画像処理を行う。そして、画像処理部204は、画像処理を行った画像データを圧縮部206に出力する。なお、画像処理が不要な場合は、画像処理部204は、何も処理を行わず画像データを圧縮部206に出力する。
【0041】
圧縮部206は、画像処理部204を経由した画像データを、プリンタ部18での画像形成処理を実行するまで、あるいは、原稿の読み取り開始後に設定された処理条件に基づく画像処理を実行するまで、一時的にページメモリ81に記憶するために、画像データを圧縮する。
【0042】
記憶制御部208は、圧縮部202において圧縮された画像データを、一時的にページメモリ81に記憶させる。また、記憶制御部208は、ページメモリ81に記憶された画像データについて画像形成処理を行うために、ページメモリ81から読み出す。読み出された画像データは、第2伸張部208に出力される。
【0043】
さらに、本実施形態の記憶制御部208は、原稿の読み取り後にコピーなどの処理条件の設定がされた場合に、ページメモリ81からその処理条件が設定された画像データをページメモリ81から読み出す。この場合には、読み出された画像データは、第1伸張部210に出力される。
【0044】
第1伸張部210は、スキャナ部16による原稿の読み取り処理の後に、処理条件の入力がされ、その処理条件に基づいて画像処理する場合に、記憶制御部208によってページメモリ81から読み出された、圧縮された画像データを、画像処理部204における画像処理を実行するために伸張する。第1伸張部210によって伸張された画像データは、画像処理部204において、入力された処理条件に従って、画像処理がされる。
【0045】
第2伸張部212は、ページメモリ81に一時的に圧縮された記憶された画像データを、プリンタ部18において画像形成処理するために、伸張する。
【0046】
画像形成処理制御部214は、第2伸張部212によって伸張された画像データに基づき、プリンタ部18による画像形成処理を制御する。
【0047】
以上が、本実施形態の画像形成装置1が備える機能ブロックである。以上の機能によれば、コピーのための原稿の読み取りを開始した後に設定される処理条件に基づいて、画像処理を行い、コピー処理を行うことができる。
【0048】
次に、本実施形態の画像形成装置1におけるコピー処理の流れを説明する。図3は、本実施形態の画像形成装置によるコピー処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
まず、コピー処理のための原稿の読み取りの前に、設定情報取得部200が、コピー処理の処理条件を原稿読み取り後に設定するモードを選択する操作入力を、操作パネル14から取得する(Act101)。
【0050】
次に、スキャナ部16による原稿の読み取りを行う(Act102)。原稿の読み取りは、原稿読取開始後に設定を可能とする処理条件での画像処理が可能な画像データが得られるように、読取制御部202がスキャナ部16を制御する。
【0051】
次に、圧縮部206が、スキャナ部16によって得られた画像データを圧縮する(Act103)。
【0052】
次に、記憶制御部208は、圧縮部206によって圧縮された画像データをページメモリ81に一時的に記憶する(Act104)。
【0053】
次に、ユーザが操作パネル14を操作して、コピーの処理条件を入力すると、設定情報取得部200は、入力された処理条件を示す設定情報を取得する(Act105)。
【0054】
次に、記憶制御部208は、設定情報取得部200が、コピーの処理条件を示す設定情報を取得すると、その処理条件に基づく画像処理を行うために、ページメモリ81に一時的に記憶した画像データを再度読み出す(Act106)。
【0055】
次に、第1伸張部210は、記憶制御部208が読み出した圧縮されている画像データを伸張する処理を行う(Act107)。
【0056】
次に、画像処理部204は、第1伸張部210によって伸張された画像データに対して、Act105において設定情報取得部200が取得した設定情報に基づいて、画像処理を行う(Act108)。
【0057】
次に、圧縮部206は、コピーの処理条件を示す設定情報に基づいて画像処理された画像データを、再度ページメモリ81に記憶させるために圧縮する(Act109)
【0058】
次に、記憶制御部208は、圧縮された画像データをページメモリ81に一時的に記憶させる(Act110)。
【0059】
記憶制御部208は、プリンタ部18の稼働状況などに基づいて、コピー処理の対象の画像データを用紙に画像形成可能な状態になった場合に、ページメモリ81からコピー対象の画像データを読み出す(Act111)。
【0060】
第2伸張部212は、用紙への画像形成処理を実行するために、記憶制御部208が読み出した圧縮されている画像データを伸張する(Act112)。
【0061】
次に、画像形成処理制御部214は、第2伸張部212が伸張した画像データに基づき、プリンタ部18に画像形成処理を実行させる(Act113)。
【0062】
以上が、本実施形態の画像形成装置1によるコピー処理の流れである。
【0063】
なお、図3のフローチャートでは、(Act101)において、コピー処理の処理条件を原稿読み取り開始後に設定するモードを選択する操作入力を取得するとして説明したが、画像形成装置1において、原稿読み取り後にコピー処理の処理条件を取得することが標準の設定となっている場合には、原稿読み取り開始後に処理条件を設定するモードの選択を取得する処理は省略できる。この場合は、原稿の読み取り開始後にコピーの処理条件が設定されることを前提として、Act102から処理を開始すればよい。
【0064】
また、図3のフローチャートでは、設定情報の取得(Act105)が、原稿の読み取り処理(Act102)、画像データの圧縮処理(Act103)、およびページメモリ81への記憶処理(Act104)の後であるとして示しているが、これに限られない。スキャナ部16による原稿の読み取り開始を指示する操作入力がされた後であれば、読み取り処理や圧縮処理や記憶処理と並行して行ってもよい。
【0065】
以上説明した本実施形態では、圧縮部206は、1回目のAct103での圧縮処理と、2回目のAct109での圧縮処理と、を同様の圧縮方法でに圧縮するとして説明したが、これに限られない。
【0066】
例えば、読み取り後に処理条件が入力されて、その処理条件に基づく画像処理が、その圧縮処理後に行われる画像データについては、できるだけ、画像劣化の少ない圧縮方法(例えば、可逆的な圧縮方式や劣化の少ない圧縮方式)で圧縮してもよい。画像劣化の少ない圧縮をしておくことで、設定された画像処理を実行する前に画像が劣化してしまうことが抑制できるためである。
【0067】
この場合は、設定情報取得部200が、原稿読み取り開始後にコピーの処理条件を設定するモードを選択する操作入力を取得した場合に、圧縮部206に対して、画像の劣化の少ない圧縮方法で圧縮するよう指示を出して、圧縮部206が指示に従って、画像劣化の少ない、例えば可逆圧縮方式により画像データを圧縮すればよい。
【0068】
また、本実施形態においては、原稿読取開始後にコピーの処理条件を設定するモードが選択された場合に、原稿読取開始後の処理条件の設定に基づく画像処理を行うとして説明したが、これに限られない。例えば、上記モードの選択がされていない場合であっても、コピー処理における印字処理を開始する前に、ユーザに対して処理条件の変更をするかどうかの確認を行ってもよい。例えば、操作パネル14の表示部14aに、画像処理の条件を変更する必要があるかどうかを確認する確認画面を表示することができる。そして、コピーなどの画像処理の処理条件を変更する必要がある場合には、処理条件の設定の操作入力を可能とし、処理条件を設定するユーザの操作入力に応じて、設定情報取得部200が設定情報を取得する。そして、本実施形態の画像形成装置1の各機能が、取得した設定情報に基づいて、画像処理を行うことで、原稿の読み取り後に設定された処理条件でコピー処理を実行することができる。
【0069】
また、本実施形態においては、コピー処理について説明したが、コピー処理だけでなく、原稿を読み取って画像データとして出力するスキャン処理や、原稿を読み取って得られる画像データを電話回線を通じて出力するファクシミリ処理などの処理にも応用可能である。
【0070】
具体的には、スキャン処理であれば、スキャナ部16によって原稿を読み取って生成した画像データを、圧縮部206によって圧縮し、記憶制御部208によって、一時的にページメモリ81に記憶する。そして、設定情報取得部200が、スキャン処理の処理条件を示す設定情報を取得した場合に、記憶制御部208が画像データを読み出して、伸長部がデータを伸張し、画像処理部204が、設定情報に基づいて画像処理を行う。そして、不図示の出力部などが、設定された処理条件に従って画像処理された画像データを、例えば、画像形成装置1の補助記憶装置8や、ネットワークを介して接続される外部の記憶領域などに出力して記憶させる。以上のような処理により、スキャン機能においても、原稿の読み取り開始後に入力されるスキャン処理の処理条件に基づいて、スキャン処理を行うことができる。
【0071】
ファクシミリ処理の場合についても、スキャナ部16によって原稿を読み取って生成した画像データを、圧縮部206が圧縮し、記憶制御部208が、一時的にページメモリ81に画像データを記憶する。そして、設定情報取得部200が、スキャン処理の処理条件を示す設定情報を取得した場合に、記憶制御部208が画像データを読み出して、伸張部がデータを伸張し、画像処理部204が、設定情報に基づいて画像処理を行う。そして、FCU20が画像処理がされた画像データを、ファクシミリ機能により所定の宛先に出力する。以上のような処理により、ファクシミリ機能においても、原稿の読み取り開始後に入力される、ファクシミリ処理の処理条件に基づいて、ファクシミリ処理を行うことができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置 2 制御部 4 プロセッサ 6 メモリ
10 通信インターフェース(通信I/F) 14 操作パネル
16 スキャナ部 18 プリンタ部
200 設定情報取得部 202 読取制御部
204 画像処理部 206 圧縮部 208 記憶制御部
210 第1伸張部 第2伸張部212
214 画像形成処理制御部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取るスキャナ部と、
前記スキャナ部による原稿の読み取りを制御する読取制御部と、
画像処理の処理条件を設定する設定情報を、前記スキャナ部が前記原稿の読み取りを開始した後に取得する設定情報取得部と、
前記スキャナ部によって前記原稿を読み取って生成される画像データを記憶領域に記憶させ、前記設定情報取得部が前記設定情報を取得した後に、前記記憶領域に記憶させた画像データを前記記憶領域から読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された画像データに対して、前記設定情報によって設定される処理条件に基づいて画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部によって画像処理された画像データを出力する出力部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記読取制御部は、前記原稿の読み取り開始後において設定可能とする前記処理条件での画像処理を実現可能な画像データを生成するための読取条件で、前記スキャナ部に前記原稿を読み取らせる画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置において、
前記スキャナ部によって生成される前記画像データを圧縮する圧縮部をさらに備え、
前記記憶制御部は、前記圧縮部によって圧縮された前記画像データを前記記憶領域に記憶させる画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記画像処理を行うために、前記記憶制御部によって前記記憶領域から読み出される、前記圧縮された前記画像データを伸張する伸張部をさらに備え、
前記画像処理部は、前記伸張部によって伸張された画像データに対して前記画像処理を行う画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置において、
圧縮された画像データを、前記出力部によって出力するために伸張する出力処理用伸張部をさらに備え、
前記圧縮部は、前記伸張部によって伸長され、前記画像処理部によって画像処理された画像データを再度圧縮し、
前記記憶制御部は、再度圧縮された画像データを前記記憶領域に記憶させるとともに、前記出力部によって前記画像データを出力するために、前記圧縮された画像データを前記記憶領域から読み出し、
前記出力処理用伸張部は、前記出力部によって前記画像データを出力するために前記記憶領域から読み出された圧縮された画像データを伸張する画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置において、
前記圧縮部は、前記スキャナ部によって生成される前記画像データを最初に圧縮する場合に、前記画像データを再度圧縮する場合よりも、画像データの劣化が少ない圧縮方式で圧縮する画像処理装置。
【請求項7】
スキャナ部による原稿の読み取りを制御し、
画像処理の処理条件を設定する設定情報を、前記原稿の読み取りを開始した後に取得し、
前記原稿を読み取って生成される画像データを記憶領域に記憶させ、前記設定情報を取得した後に、前記記憶領域に記憶させた画像データを前記記憶領域から読み出し、
前記読み出された画像データに対して、前記設定情報によって設定される処理条件に基づいて画像処理を行い、
前記画像処理された画像データを出力する画像処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−166789(P2011−166789A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27851(P2011−27851)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】