説明

画像形成装置

【課題】高い精度で画像濃度の制御を行い、経時での使用においても、濃度ムラや画像濃度の低下が発生するのを防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数のローラ65のうち少なくとも一つのローラ65は、パターンの通過位置を含む中間転写ベルト61上の領域に対向する第一部分65fと、パターンの通過位置を含まない中間転写ベルト61上の領域であって中間転写ベルト61に当接する第二部分65gとからなり、第一部分65fのローラ径が第二部分65gのローラ径よりも小さく、少なくとも第二部分65gの表面がゴム層65bから成り、検知センサ90は、少なくとも一つのローラ65よりも中間転写ベルト61移動方向すぐ上流側にあるローラ65が中間転写ベルト61と当接し終わる位置から、すぐ下流側にあるローラ65が中間転写ベルト61と当接し始める位置までの間で、中間転写ベルト61に対向する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置に係り、詳しくは中間転写体を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体に形成された静電潜像が現像されて得られるトナー像を記録シートに転写する転写行程が実行される。
転写行程では、モノクロ画像を転写する場合のように、感光体から直接シートにトナー像を転写する場合がある。その他に、中間転写体を用いるフルカラー画像を転写する場合のように、感光体上に形成された色分解毎の色のトナー像を中間転写体に順次転写し(1次転写)、中間転写体上に重畳転写された各色のトナー像をシートに対して一括転写(2次転写)する場合がある。
近年は、モノクロ画像でも、フルカラー画像でも高精細な画像が求められている。その画質を保つ一つの手段として、中間転写体上のトナー濃度を検知して、現像装置のトナー濃度、現像条件を制御して画像の濃度制御を行っている。また、フルカラー画像では、特に、色重ねにおける高精細な画像のために、中間転写体上のパターンを読み取り、主走査方向、副走査方向の色ずれを制御している場合が多い。
したがって、トナー濃度を読み取る場合に、検知面の状態が検知精度に大きく影響する。例えば、センサ検知面での中間転写体が膨らんでいたり傷が入っていたりすると検知誤差となる。
とくに、複数の潜像担持体毎に可視像処理された画像を、各潜像担持体と対向しながら移移動可能な単一のベルトを用いた中間転写体に順次転写する1次転写行程が実行され、重畳転写された画像を記録シートに一括転写し、転写後、前記中間転写体をクリーニングするクリーニング装置を備えた転写装置において、ベルト上のトナー濃度やパターンを読み取るための検知手段によって検知する際に、ベルトのばたつきや、波うちによって検知出力が安定しないという問題がある。さらに、検知位置を中間転写体がローラに巻きついている位置とすることがよくある。この場合に、中間転写体の裏面にゴミや、ベルト裏面の突起があった場合に、その面が膨らみ、検知出力に異常がでるという新たに問題がある。
【0003】
したがって、中間転写体上のトナー濃度を精度良く読み取るために、例えば、特許文献1では、「転写手段により前記中間転写ベルト上に転写された基準画像のトナー量及び色ずれ量の少なくとも1つを検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて濃度及び色ずれの少なくとも1つを補正する補正手段と、前記中間転写ベルトに内接し、軸方向中央には外径が略一定である平坦部が形成され、且つ当該平坦部から外側に向かって外径が小さくなる検知用支持ローラと、が設けられ、前記検知手段は、前記中間転写ベルトの転写面における、前記検知用支持ローラの前記平坦部が内接する部分の反対面側で前記基準画像を検知する」画像形成装置が開示されている。しかし、中間転写ベルトがローラと対向しているが、ローラが滑りやすい金属製であり、検知精度を向上させることは困難である。
また、特許文献2では、「中間転写体上の前記可視像パターンの位置を検知するレジスト検知手段及び前記中間転写体上の前記可視像パターンの濃度を検知する濃度検知手段の少なくともいずれか一方と、を備えた画像形成装置において、前記レジスト検知手段及び前記濃度検知手段は、前記可視像パターンを検知する第1の位置と、前記第1の位置に対して前記中間転写体から離れる第2の位置と、に移動可能である」画像形成装置が開示されている。また、特許文献3では、「回転駆動される駆動ローラ、及び従動回転可能な従動ローラによって張架される無端状のベルト部材と、該ベルト部材の表面に形成された可視像を検知する像検知手段とを有し、画像形成装置の像担持体に担持される可視像を、該駆動ローラの回転駆動に伴って無端移動せしめている無端状のベルト部材、あるいは該ベルト部材の表面に保持している記録部材に転写する転写装置において、上記像検知手段を、上記ベルト部材の周方向の全領域のうち、上記従動ローラに対する駆け回し位置にある領域に対向させて配設するとともに、該従動ローラの回転速度を検知する回転速度検知手段を設けた」転写装置が開示されている。しかし、いずれも、検知するための対向ローラとして従動ローラを設定しており、検知精度を向上させることは困難である。
【0004】
また、特許文献4では、「画像形成装置の、上記転写紙を上記感光体に沿って移動させる搬送ベルト;および、該搬送ベルトを支持するロ−ラ;を備える搬送ベルトユニットにおいて、前記搬送ベルト上の転写位置確認用の顕像転写領域に対向する、前記ロ−ラの周面のロ−ラ径を、転写位置確認用の顕像転写領域の外に対向する周面のロ−ラ径よりも小さくした」搬送ベルトユニットが開示されている。また、特許文献5では、「前記像担持体から前記転写ベルトに転写された検知マークを前記光センサによって検知する画像形成装置において、前記検知マークが形成される転写ベルトの領域をマーク形成領域とし、その他の転写ベルトの領域をマーク非形成領域としたとき、前記マーク形成領域に対向する各支持ローラ周面の径が、前記マーク非形成領域に対向する各支持ローラ周面の径よりも小さく設定されていると共に、径を小さく設定された支持ローラ部分を小径部と称することにしたとき、前記光センサが対向配置された支持ローラの小径部の径が、光センサの対向配置されていない支持ローラの小径部の径よりも大きく設定されている」画像形成装置が開示されている。しかし、いずれも、検知精度を向上させることは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、高い精度で画像濃度の制御を行い、経時での使用においても、濃度ムラや画像濃度の低下が発生するのを防止できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、複数のローラに張架されて無端移動するベルト状の中間転写体と、該中間転写体上のパターンを読取る検知手段を備えた画像形成装置であって、前記複数のローラのうち少なくとも一つのローラは、パターンの通過位置を含む前記中間転写体上の領域に対向する第一部分と、パターンの通過位置を含まない前記中間転写体上の領域であって中間転写体に当接する第二部分とからなり、第一部分のローラ径が第二部分のローラ径よりも小さく、少なくとも第二部分の表面が弾性部材から成り、前記検知手段は、前記少なくとも一つのローラよりも前記中間転写体移動方向すぐ上流側にあるローラが前記中間転写体と当接し終わる位置から、すぐ下流側にあるローラが前記中間転写体と当接し始める位置までの間で、前記中間転写体に対向して前記パターンを読み取ることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記少なくとも一つのローラは、中心部分に芯部材を有し、該芯部材上の前記第二部分のみに設けられた前記弾性部材とを備えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記少なくとも一つのローラは、前記中間転写体を駆動する駆動ローラであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記第一部分と前記第二部分との境界におけるローラの段差の方向が、ローラの半径方向であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記第一部分のローラ径が前記第二部分のローラ径よりも1mm以上小さいことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記検知手段が検知する検知面は、前記少なくとも一つのローラの軸方向からみたときに、前記少なくとも一つのローラのローラが巻きついている位置、もしくは、巻きつき開始位置よりも中間転写体の上流側0.5mm以内の位置にあることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記パターンは、トナー濃度のパターンであって、潜像担持体上で形成された後に中間転写体上に転写されるトナー像のパターンであることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記パターンは、レジスト位置合わせ制御用のパターンであって、潜像担持体上で形成された後に中間転写体上に転写されるトナー像のパターンであり、検知手段は正反射光を読み取ることでパターンを検知することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記中間転写体が、潜像担持体上で形成されたトナー像を表面に担持して無端移動する中間転写体であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記検知センサが、正反射光受光素子と拡散反射光受光素子とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のローラの製造方法は、潜像担持体上で形成されたトナー像を表面に担持して無端移動するベルト状の中間転写体と、前記中間転写体を張架する複数のローラと、前記中間転写体に対向して前記中間転写体上のパターンを読取る検知手段と、を備えた画像形成装置に用いられる前記複数のローラのうち少なくとも一つのローラの製造方法であって、ローラ回転軸周りに芯部材を形成し、さらに該芯部材上に弾性部材を形成し、芯部材の周方向に沿って弾性部材に対して切込みを入れて、前記検知手段のパターン読取り位置を含む前記中間転写体上の領域に対向する部分の前記弾性部材を取り除いて成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置では、中間転写ベルトの裏面にゴミまたは突起があるローラがあっても、検知面で中間転写ベルトのふくらみを作ることなく検知に影響がでないようにすることができる。さらに、ローラのうち、第一部分より大径の第二部分の表面を弾性部材で構成することにより、ベルトにキズや折れ跡が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像形成方法を実施する画像形成装置の一実施形態であって、被転写体として中間転写ベルトを用いる構成を示す概略図である。
【図2】検知センサの各タイプにおける構成を示す図である。
【図3】検知センサの各タイプにおける構成を示す図である。
【図4】検知センサの各タイプにおける構成を示す図である。
【図5】トナー付着量が少ない中間転写ベルトからの反射光の状態を説明するための模式図である。
【図6】黒トナーのトナー付着量と検知センサの正反射出力特性との関係を示すグラフである。
【図7】カラートナーでトナー付着量が多い中間転写ベルトからの反射光の状態を説明するための模式図である。
【図8】カラートナーのトナー付着量と正反射出力特性を有する検知センサの出力との関係を示すグラフである。
【図9】カラートナーのトナー付着量と拡散反射出力特性を有する検知センサの出力との関係を示すグラフである。
【図10】カラートナーでトナー付着量が多い中間転写ベルトからの拡散反射光を検知する検知センサの状態を説明するための模式図である。
【図11】カラートナーでトナー付着量が多い中間転写ベルトからの正反射光と拡散反射光を検知する検知センサの状態を説明するための模式図である。
【図12】検知センサが、中間転写ベルト上のパターンを読み取る状態を説明する図である。
【図13】従来の駆動ローラの構成を示す図である。
【図14】本発明の画像形成装置に用いる駆動ローラの構成を示す図である。
【図15】本発明の画像形成装置に用いる駆動ローラの構造を示す図である。
【図16】本発明の画像形成装置における検知センサが中間転写ベルト上のパターンを読み取る状態を説明する図である。
【図17】本発明の画像形成装置における検知センサを配置されている転写装置の構成を示す図である。
【図18】本発明の画像形成装置に用いる駆動ローラの製造方法を説明する図である。
【図19】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図20】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図21】本発明の画像形成装置に用いる制御装置の一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明の画像形成方法を実施する画像形成装置の一実施形態であって、被転写体として中間転写ベルトを用いる構成を示す概略図である。図1には中間転写ベルトを有した代表的なタンデム型画像形成装置を一例に挙げており、本発明は以下の構成のみに捉われるものではない。
本発明の例として、図1に基づいてフルカラー画像形成装置で説明する。
本発明の画像形成方法の実施に係る画像形成装置1は、上の方から、置かれた原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5と、原稿を読み取るスキャナ(読取装置)4、トナー画像を形成する画像形成部3、そして、その下に記録紙等の記録媒体6を備え、供給する給紙部2が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部3が配置されている。画像形成部3では、その内部の略中央に、プロセスカートリッジとしての作像ユニット10をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つを水平な横方向に並列に並べたタンデム型に配列している。
4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの上方には、帯電した各感光体11の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置12が備えられている。また、4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの下方には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトをローラ651、652、653に掛け回して支持し、回転駆動する中間転写ベルト61を備える転写装置60を配置している。
いずれの作像ユニット10でも同様の構成であるので、この図においては、色の区別に関係ない場合はY、C、M、Kの表示を省略する。各作像ユニット10Y、10C、10M、10Kは、感光体11Y、11C、11M、11Kを有し、各感光体11の周りには、感光体11表面に電荷を与える帯電装置20、感光体11表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置30、感光体11表面に、図示しない潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置、トナー像転写後の感光体11表面のクリーニングをするクリーニングブレードを備えるクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。これで、一つの作像ユニット10を形成している。
【0012】
感光体11は、アモロファスシリコーン、セレン等の金属、または、有機感光体であり、ここでは、有機感光体で説明する。有機感光体11としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体11を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体11を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層9の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
【0013】
帯電装置20は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ21を備える。帯電ローラは、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。このイオンを放電する帯電ローラ21は、材質としては弾性樹脂ローラを用いている。また、帯電ローラ21は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有することがある。
また、帯電ローラ21は、感光体11に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、例えば、帯電ローラ21の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体11表面に当接させることで、設定することができる。また、帯電ローラ21は、感光体に近接させずに、接触させても良い。ローラ形状であり、感光体11に近接している部分で、放電して、感光体11を帯電させることができる。また、近接させて非接触にすることで、帯電ローラ21の転写残トナーによる汚れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ21には、帯電ローラ21表面に接触してクリーニングする図示しない帯電クリーナローラが設けられている。
現像装置40は、感光体11と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像スリーブが配置されている。現像スリーブの下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブへ汲み上げる機構を併せて有する攪拌・搬送スクリューが備えられている。現像スリーブによって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤は、規制部材によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブに担持される。現像スリーブは、感光体11との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体11に供給する。また、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジが、着脱可能に感光体11上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプやエアーポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置40に必要に応じトナーを供給するようになっている。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジを、特に大容量としておくことも可能である。
【0014】
クリーニング装置40は、クリーニングブレード及びそのブレードを保持するホルダー等で構成され、感光体11に対してそのブレード部材を圧接させることにより、感光体11から残留トナーを除去する。また、クリーニングブレードが感光体11と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレードをカウンタ方式で、感光体11に当接し、これによって、感光体11上に残留するトナー、汚れとして付着している記録部材のタルク、カオリン、炭酸カルシウム等の添剤を感光体11から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、図示しない廃トナー回収コイルで、図示しない廃トナー容器に搬送し、貯留する。
クリーニング装置40によりクリーニングされて感光体11から取り除かれたトナーは、トナー搬送部材によって、サービスマンなどにより回収されるか、あるいはリサイクルトナーとして現像装置などに運ばれ現像に使用される。
【0015】
転写装置60は、トナー像が積層される中間転写ベルト61、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト61に転写・積層させる一次転写ローラ62、積層されたトナー像を記録媒体6に転写する二次転写ローラ63等を備えている。さらに、転写装置60は、二次転写ローラ63に対向する部分で、中間転写ベルト61の内側には、対向部材となる支持ローラ653が対向するように設けている。
中間転写ベルト61を挟んで、各感光体11と対向する位置には、感光体11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に一次転写する一次転写ローラ62がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ62は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、感光体11から中間転写ベルト61側に引き寄せ移行させることで、一次転写する。また、この一次転写ローラ62は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有させ、半導電性にすることが好ましい。一次転写ローラ62の抵抗値が異なっていても転写効率はほとんど変わらないが、画像面積比が異なると転写効率は大きく異なってくるため、安定して転写効率を維持できない。これは、転写ニップ部においてトナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう結果、画像面積比が小さい場合には転写電圧値が低くなって転写に必要な電界が十分得られなくなるためである。特に、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合には転写部に介在するトナーの抵抗値の影響が大きくなるため、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合ほど顕著になる。このように定電流制御を採用する場合には一次転写ローラ62として抵抗値の高いものを使用することが望まれるが、その抵抗値が5×10Ωを越えると電流のリークによってトナー像を乱すおそれが強まる。したがって、一次転写ローラの抵抗値は、1×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものを用いるのが好ましい。トナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう現象は、上述のトナー抵抗によるだけでなく、一次転写ローラ62の中心に設けられている芯金に印加される一次転写電圧と感光体11との電位差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きいために、より大きな電位差の方に転写電流が流れ易いことにもよる。これは、トナー像が感光体11の帯電極性と同じで、感光体11の像露光を受けて感光体電位が除電された個所にトナーが現像されることで感光体11上にトナー像を形成する画像形成装置1の場合に発生する。トナー像の形成されていない個所の感光体電位が高く、トナー像の形成された個所の感光体電位は低いが、転写電位は感光体電位とは逆極性なので、一次転写電圧と感光体電位との差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きくなる。この場合一次転写ローラ62の抵抗値は、望ましくは、5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものが好ましい。
【0016】
また、中間転写ベルト61に積層されたトナー像は、二次転写ローラ63で記録部材に二次転写される。二次転写ローラ63には、一次転写ローラ62と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、中間転写ベルト61から、搬送されてきた記録部材側に引き寄せ移行させることで、二次転写する。
二次転写ローラ63は、金属よりなる円筒状の芯金と、この芯金の外周面に形成された弾性層と、この弾性層の外周面に形成された樹脂材料からなる表面層とから構成されている。
芯金を構成する金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。芯金の上に形成される弾性層には一般的にゴム材料が使用されゴム層65bとなっている。これは、二次転写ローラ63を変形させて二次転写ニップ部を確保のために二次転写ローラ63には弾性機能が要求されることに起因するものであり、JIS−A硬度で70[°]以下が望ましい。
また、二次転写ローラ63のクリーニング手段としてクリーニングブレード22を使用しているため、弾性層が柔らかすぎると、クリーニングブレード22の当接状態が不安定となり適正なクリーニング角度が得られなくなる。よって、弾性層の硬度としてはJIS−A40[°]以上が望ましい。
また、二次転写ローラ63が絶縁体ではトナー画像を記録体に転写するという機能が果たしえないため、導電機能を付与された発泡樹脂剤で、厚さは2mm〜10mmであることが好ましい。導電機能を付与する材料としては、カーボンブラックが分散されたEPDMやSiゴム、またイオン導電機能を有するNBR、ウレタンゴム等を使用してもよい。
弾性層に用いられる発泡樹脂剤の多くがトナーに対し化学的親和性が高く、摩擦係数が大きいため、クリーニングブレード22が接触している表面層に必要な機能としては、低摩擦係数、トナー離型性が必要となることから、二次転写ローラ63の表面層は、フッ素樹脂系樹脂に抵抗制御材を加えて抵抗調整し用いられる。
さらに、二次転写ローラ63は、中間転写ベルト10と接触して回転していることから、中間転写ベルト10と二次転写ローラ63との間に微小な線速差が発生すると中間転写ベルト10の駆動に影響を与えてしまう。よって、中間転写ベルト10とのすべり性が二次転写ローラ63の表面層には要求されるため、表面層の最表面の摩擦係数0.4以下になるように設定することが望ましい。
また、中間転写ベルト61には、二次転写後の中間転写ベルト61の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置64が設けられている。
また、支持ローラ653が中間転写ベルト61と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。
【0017】
さらに、この画像形成装置1には、中間転写ベルト61に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置67が設けられている。潤滑剤塗布装置67は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤と、固形潤滑剤に接触して潤滑剤を削り取り、中間転写ベルト61に塗布するブラシローラとブラシローラで塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレードを備える。固形潤滑剤は、直方体状に形成されており、加圧バネによってブラシローラ側に付勢されている。固形潤滑剤はブラシローラによって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネで加圧されているために常時ブラシローラに当接している。ブラシローラは、回転しながら削り取った潤滑剤を中間転写ベルト61表面に塗布する。
なお、同様の機能を有する潤滑剤塗布装置を感光体11に対して配設してもよい。
本実施形態においては、上記ブラシローラによる潤滑剤塗布位置に対して移動方向の下流側の中間転写ベルト61表面に潤滑剤均し手段としての不図示の潤滑剤塗布ブレードを当接させている。潤滑剤塗布ブレードは弾性体であるゴムから構成されているものであり、クリーニング手段としての機能も持たせ、中間転写ベルト61の移動方向に対してカウンタ方向に当接してある。上記固形潤滑剤としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸等の脂肪酸基を有する金属化合物なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0018】
中間転写ベルト61はPVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を10〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じ該中間転写ベルト61の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、
PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
中間転写ベルト61の製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。
中間転写ベルト61の体積抵抗率が上述した範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招くため好ましくない。また、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト61の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率および表面抵抗率が前記範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。したがって、本発明における中間転写ベルト61の体積抵抗率および表面抵抗率は前記範囲内でなければならない。
なお、体積抵抗率および表面抵抗率の測定は高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm,リング電極内径11mm)を接続し、中間転写ベルト61の表裏に100V(表面抵抗率は500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
【0019】
転写装置60の下方には、記録紙上のトナー像を記録紙に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、図示しないが、主に、内部にハロゲンヒータを有する定着ローラ71と、これに対向し、圧接して配置される加圧ローラ72とから構成されている。定着装置70は、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、記録媒体の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。
【0020】
また、両面コピーモードが選択されているときには、片面に画像を定着した記録媒体6を切換爪851により記録媒体反転装置89側に搬送し、この反転路87の内に、所定の配置した複数の搬送ローラや図示しないガイド部材によって、あらかじめ所定に形成した反転搬送路87上を往復移動させて、記録媒体面の上下向きを反転させてから、再度、切換爪852で切り替えて、画像形成のための搬送路に復帰させ、この搬送路上を搬送されて再び転写位置30へ導かれ、今度は記録媒体6の裏面に画像を転写し定着した後に、排紙ローラ85によって排紙トレイ86上に最終的に排出される。
このときに、記録媒体6が1枚の時には、記録媒体6面の上下向きを反転させてから、記録媒体反転搬送装置89の再搬送路87を通過して、再度レジストローラ84で、作像ユニット10によって画像が形成されるのを待って、転写ローラ63で記録媒体6上に画像が形成される。今度は、記録媒体6の裏面に画像を転写し定着した後に、排紙ローラ48によって排紙トレイ86上に最終的に排出される。
記録媒体6が複数枚ある時には、記録媒体反転搬送装置89内の記録媒体反転収納装置88に設定枚数の片面にトナー像が形成された記録媒体6を一端収納されて、次ぎに、そこから、給紙ローラ82で給紙され、分離ローラ81で1枚づつに分離されて、再度レジストローラ84で、作像ユニット10によって画像が形成されるのを待って、記録媒体6上に画像が形成される。今度は記録媒体6の裏面に画像を転写し定着した後に、排紙ローラ85によって排紙トレイ86上に最終的に排出される。
【0021】
また、本発明の画像形成装置1は、中間転写ベルト61上に転写されたトナー像のトナー付着量を検知するための検知センサ90が設けられている。
このトナー付着量の検知に用いる検知センサ90にはいくつか種類がある。検知センサ90は、発光部として発光素子(LED)91と受光部として受光素子(フォトダイオード(PD)又はフォトトランジスタ(PTr))92とを基台93に組み合わせている。そして、発光素子91からセンサ光94が発光され、それを受光素子92で受光している。
図2ないし図4は、検知センサの各タイプにおける構成を示す図である。
図2に示すように、一つには(1)正反射光のみを検知する正反射受光素子921を備えるタイプがある。また、図3に示すように、もう一つには(2)拡散反射光のみを検知する拡散反射受光素子922を備えるタイプがある。また、図4に示すように、もう一つには(3)正反射受光素子921と拡散反射受光素子922との両者を検知するタイプの3つのタイプが知られている。
以下にこれら3つのタイプのセンサが持つ特徴について簡単に述べる。
タイプ(1)の正反射型の光センサは、検知物体の凸凹状態によって出力が変わる特性を持つセンサであり、このタイプは、これまでモノクロ機のトナー付着量を検知する検知センサ90として広く使われてきた。
【0022】
この検知センサ90を使って黒トナーを検知した時の出力特性と、カラートナーを検知した時の出力特性を順に説明する。
図5は、トナー付着量が少ない中間転写ベルトからの反射光の状態を説明するための模式図である。図5に示すように、中間転写ベルト61の表面に当たる検知対象面にトナーが全くのっていない平滑な状態では、発光素子91より照射されたセンサ光94の多くは正反射するために、正反射光を受光する正反射受光素子921に入る光が多く、高い出力値が得られる。
図6は、黒トナーのトナー付着量と検知センサの正反射出力特性との関係を示すグラフである。
この状態からトナー付着量を徐々に増やしていくに従い、黒トナーの場合、照射したセンサ光94はトナー表面で散乱するか、もしくはほとんど吸収されてしまうため、トナー付着量に対する正反射光出力特性は図6に示すように、変曲点を持たない単調減少カーブとなる。
そして、トナーがある一定以上付着し、もうこれ以上トナー層表面の凹凸状態が変化しない状態となると、出力は飽和しほぼ一定値を示すようになる。
正反射光からトナー付着量を求める場合には、中間転写ベルト61の表面の地肌部のつるつる具合と、トナーパッチ部のざらざら具合との比、すなわち、鏡面光沢度の比が、トナー付着量に対し一義な関係を持つために、下記式(1)より正規化することができ、これとトナー付着量との対応関係をあらかじめ実験により調べておくことにより、トナー付着量を算出することができるようになる。
【0023】
【数1】

但し、上に述べた通り、トナー層表面の凹凸状態が一定となると出力が飽和してしまうため、いわゆるベタ画像のトナー付着量を検知することはできない。そのために、図6に示す黒トナーのトナー付着量と検知センサの正反射出力特性との関係では、トナー付着量が0から0.4(mg/cm)の範囲くらいしか検知することができない。
【0024】
図7は、カラートナーでトナー付着量が多い中間転写ベルトからの反射光の状態を説明するための模式図である。
図8は、カラートナーのトナー付着量と正反射出力特性を有する検知センサの出力との関係を示すグラフである。
これに対し、カラートナーの場合には、図7に示すように、トナー付着量を徐々に増やしていくに従い、照射したセンサ光94は、トナー表面で拡散するため、純粋な正反射光成分は、黒トナーと同様、減少特性を持つが、トナーに一旦吸収された後、再び放射される光(拡散反射光成分)は、トナー付着量の増加に従い増加特性を有する。このために、トナー付着量に対する正反射光出力特性は、図8に示すように、トナー付着量が低付着量域では単調減少であるが、トナー付着量が中〜高付着量域では単調増加に転じるような変曲点を持つ特性カーブとなる。このような変曲点を有する場合には、0から変曲点までしか、トナー付着量を正確に検知することができない。
そのために、タイプ(1)の検知センサ90でカラートナー検知をする場合、検知可能なトナー付着量範囲は、黒トナーのそれよりも狭くなってしまう。
【0025】
図9は、カラートナーのトナー付着量と拡散反射出力特性を有する検知センサの出力との関係を示すグラフである。
図10は、カラートナーでトナー付着量が多い中間転写ベルトからの拡散反射光を検知する検知センサの状態を説明するための模式図である。
このようなカラートナーをタイプ(1)の正反射光受光素子921で検知した場合の欠点を克服するために、カラートナーのトナー付着量の検知には、図9に示すように、付着量に対し単調増加特性を持つ拡散反射光を検知する拡散反射光受光素子922(タイプ(2))が使われるようになってきた。
この拡散反射光受光素子922の使いこなしの難しさは、センサ感度校正の難しさにある。
正反射光受光素子921の場合には、センサ出力から付着量に変換するには、中間転写ベルト61の地肌部出力との比を取れば、これがトナー付着量と一義な関係を持つため、簡単にトナー付着量を求めることができたが、拡散反射光の場合には、中間転写ベルト61の地肌部の出力はほぼゼロであるため、このような比計算によってトナー付着量を求めることはできず、拡散反射光出力そのものをあらかじめ定めた絶対的な値に校正しなければならない。
しかしながら、この拡散反射光出力は、発光素子(LED)91の温度変化や、発光素子(LED)91の光減衰による経時的な光量低下、センサ検知窓の汚れによる出力低下の影響により変動するものであるため、この補正(感度校正)がうまく行えないと初期的には正確なトナー付着量検知ができたとしても、経時的には検知誤差が大きくなる可能性があると言う欠点を有する。
【0026】
図11は、カラートナーでトナー付着量が多い中間転写ベルトからの正反射光と拡散反射光を検知する検知センサの状態を説明するための模式図である。
図11に示すように、正反射光出力と拡散反射光出力の2出力を持つタイプ(3)の検知センサ90は、これら2方式における欠点を克服する方式であり、次に示すような光センサの補正(校正)制御を行って、拡散反射光を受光する受光素子(以下、拡散反射受光素子)921の出力値から、トナーパッチの濃度(トナー付着量)を求めている。すなわち、まず、各トナーパッチを検知したときの正反射受光素子の出力値と拡散反射受光素子922の出力値とから、感度補正係数αを算出する。次に、感度補正係数αを用いて正反射受光素子921の出力値を正反射光成分と拡散反射光成分とに成分分解する。次に、感光体11、中間転写ベルト61の表面を検知したときの出力値(地肌部出力値)と正反射成分との比をとり、正反射成分を0〜1までの正規化値β(n)へ変換する。
次に、拡散反射受光素子922の出力値に正規化値を乗算した値を用いて、拡散反射受光素子922の出力値から感光体11、中間転写ベルト61の表面からの拡散反射光成分を除去して、トナーからの拡散反射光成分を抽出する。次に、正規化値β(n)と、拡散反射光成分を用いて、拡散反射受光素子922の出力値の感度補正を行うための感度補正係数ηを算出する。そして、拡散反射受光素子922の出力値から抽出したトナーからの拡散反射光成分に前記感度補正係数ηを乗算して、拡散反射受光素子の出力値を補正(校正)する。そして、この感度補正係数ηで補正(校正)した拡散反射受光素子922の出力値からトナー付着量を一義的に求める。
温度変化、経時劣化などによる発光素子91や受光素子92の特性変化などによる受光素子92の出力値が変動しても、感度補正係数α、感度補正係数ηで受光素子92の出力値を補正(校正)することで、受光素子92の出力値とトナー付着量との関係を一義的な関係に修正することができる。これにより、経時にわたり検知センサ90で良好なトナー付着量の検知を行うことができる。
【0027】
本発明の画像形成装置1では、光を捕らえてトナー付着量を検知する検知センサ90を備え、かつ、その検知センサ90が、受光素子92として正反射光受光素子921と拡散反射光受光素子922とを備える。
さらに、中間転写ベルト61上のパターンを読み取る。読み取るパターンは、矩形形状のパッチでも、複数配列したパッチでも良い。
中間転写ベルト61は、複数のローラ65に張架されている。図1に示すように、そのローラ65は、それぞれ、従動ローラ651、駆動ローラ652、支持ローラ653として機能している。
検知センサ90が、中間転写ベルト61上のパターンを読み取る場合に、中間転写ベルト61の振れ、変位が少ないようにするために、ローラ65の近傍で検知することが好ましい。その場合、ローラ65としては、特に、駆動ローラ652が良い。
【0028】
図12は、検知センサが、中間転写ベルト上のパターンを読み取る状態を説明する図である。
中間転写ベルト61がローラ65にまきついていない部分でパッチ等を検知する場合、中間転写ベルト61のばたつきや波うちによって中間転写ベルト61の地肌部の出力の変動が大きくなる。よって中間転写ベルト61がローラにまきついている部分で検知することになるが、その場合にまた副作用が発生する。図12(a)に示すように、ローラ65まきつき位置から離れた部分では、中間転写ベルト61の波うちやばたつきが生ずることがある。
中間転写ベルト61のばたつきや表面の凹凸等の要因で出力レベルがばらつく例を(b)に示す。ばらつきの幅が1V程度になる場合があり、検値誤差が大きい。これを防ぐため、検知面の径を細くしていない従来のローラがまきつく位置またはその近傍で検知をおこなったときの出力レベルを示したのが(c)である。この場合はばらつきの幅が小さい。(c)の区間Xの部分のように、中間転写ベルト61のばたつきや表面の凹凸等の要因による出力レベルのばらつきの幅を小さく出来る。この区間ではトナー付着量の検知精度が高くなる。
しかし、(c)では、中間転写ベルト61のばたつきや表面の凹凸の要因ではなく、中間転写ベルト61の裏面の突起、ゴミ、または、ローラ65の突起、ゴミ等によって、矢印で示すように突然の出力変動が生ずることがある。この突然の出力変動は検知精度に影響する。
とくに、位置合わせ制御用のパターンを正反射光で検知する場合には検知面でのLED等の発光素子91のスポット径が小さければ小さいほど高精度に位置合わせ制御をすることができる。しかしその場合にスポット径が小さいためにm検知センサ90のセンサヘッドから検知面までの距離やあおり角度への感度が高くなり、ちょっとした中間転写ベルト61のふくらみ、波うちも誤差として出力してしまう。
【0029】
このばらつきの原因としては、中間転写ベルト61のばたつきや表面の凹凸等だけではなく、中間転写ベルト61の裏面にゴミや突起物があった場合にローラ65にまきついている部分で中間転写ベルト61が局所的にふくらみ、それにより検知センサ90までの距離が変動、またはあおり角度が変動し出力に誤差が生じる。図12に示すように、ローラ65にまきついている部分で検知することでばらつきの幅は小さくなるが、ごみや突起により突然出力が1V以上変動することがある。
図13は、従来の駆動ローラの構成を示す図である。
従来の駆動ローラ652では、金属製の回転軸に、金属製の芯金、または、金属製のスリーブで構成されていた。よって、従来機種では金属ローラ65をセンサ対向ローラとして検知し、検知面の部分のみ径を細くして中間転写ベルト61とローラ65に隙間を設けることでゴミや突起物がある場合にも中間転写ベルト61が膨らまないようにする。
この構成ならば、中間転写ベルト61の裏面の突起、ゴミ、または、駆動ローラ652の突起、ゴミ等によって突然の出力変動が生ずることはなくなり、図12(d)のように検知時間全域で出力レベルが安定し、トナー付着量の検知精度を高くできる。
しかし、駆動ローラ652が金属ローラである場合はグリップ力を確保するためにゴムローラである場合よりも中間転写ベルト61に対するテンションを強くする必要がある。テンションが強い場合には中間転写ベルト61が駆動ローラ652に押し当てられる力が強くなり径を細くしている部分の両端部にてキズ、折れ跡が付きやすくなる。この実施形態では、テンションは、ゴムローラである場合には1〜1.5N/cmと設定することが多い。金属ローラの場合には最低で2N/cm以上必要となる。しかしながら、この場合にさらにまた副作用が発生する。径を細くしている部分の両端部にて中間転写ベルト61にキズがつかないようになめらかな曲線又はテーパー状とするなどしているが、テンションが大きいために、それでも中間転写ベルト61にキズまたは折れ跡がつくことがある。これは中間転写ベルト61テンションによって中間転写ベルト61がローラ65に押し当てられている力によって端部で中間転写ベルト61にキズや折れ跡がつくことがある。
また、ローラ65上のごみや突起により出力が変動するのを抑えるために、隙間65cを設けても、テーパ状の面65e又は段差で中間転写ベルト61が傷つくことがある。
【0030】
(溝の深さの説明)
図14は、本発明の画像形成装置に用いる駆動ローラの構成を示す図である。
さらに、その駆動ローラ652は、パターンの通過位置を含む中間転写ベルト61の領域に対向する第一部分65fと、パターンの通過位置を含まない中間転写ベルト61の領域であって中間転写ベルト61に当接する第二部分65gとを有する。
図14のようにベルト幅方向に3個設けられた検知センサ90で検知されるパッチ等のある検知面を含む領域である第一部分65fのローラ径を、中間転写ベルト61に当接する領域である第二部分65gよりも細くしている。駆動ローラ652は、芯金65aの上の第二部分65gのみに厚さ0.5mmのゴム層65bを設けた構成である。
第一部分65fは幅は10mmで、ゴム層65bが無い。第一部分65fは第二部分652よりもゴム層65bが無い分だけ細い、すなわち1mmだけ径が細い。この実施形態では、ゴム層65bの深さ0.5mmとしているがこれに限定するものではない。深さは0.5mm以上であると効果的である。中間転写ベルト61のPIベルトは、厚み0.05〜0.1mmの範囲が好ましく、裏面にできる突起は加工方法によるが大きいものでは最大で0.2mmのものもある。0.5mmの深さがあれば突起による影響を回避できる。ごみについては0.5mm以上のごみが入った場合にはもっと深さが必要である。金属の芯金65aの表面にゴムをまきつけているゴム層65bの厚みは、0.5mmとしているがそれに限定するものではない。
検知面を含む領域である第一部分65fの径をそれ以外より細くすることで、中間転写ベルト61と駆動ローラ652の間に隙間65cを作る。それにより、中間転写ベルト61の裏面にゴミまたは突起がある場合に検知面を含む領域である第一部分65fで中間転写ベルト61のふくらみを作ることなく検知に影響がでないようにすることができる。
また、従来金属ローラの径を細くした場合には細い部分の端部(両端の角の部分)にてベルトにキズや折れ跡が入っていたが、ゴム(弾性部材)とすることでやわらかくキズや折れ跡防止の効果がある。
【0031】
図15は、本発明の画像形成装置に用いる駆動ローラの構造を示す図である。
(a)、(b)に示すように、第一部分65fはゴム層65bを設けている。(a)は、駆動ローラ652の芯金65aの部分に一様に、ゴム層65bを形成し、その一部分を切り取ることで、第一部分65fを形成している。また、(b)は、駆動ローラ652の芯金65aの一部分を切り取り溝を形成しておいて、その上に、一様に、ゴム層65bを形成して第一部分65fを形成している。どちらの形態であっても良いし、第一部分65fにゴム層65bがないものであってもよい。
また、ここに用いられる駆動ローラ652は、ローラ径は、大きい部分でφ16mm以上であればよい。中間転写ベルト61に用いられるのは、多くの場合にポリイミド(PI)を使用する場合に長期間放置されたときにローラ巻きつけ部にて生じる巻きグセがφ16以上であれば画像にスジがでることはない。
ただし、長期間放置時に、ベルトテンションを解除する構成がある場合にはφ16mm以下としてもよい。または、ベルトテンション1N/cm以上の場合にはφ16mm以上としている。芯金はアルミの押し出し材としている。金属であれば、特に。アルミニウムに限定することはない。その表面に、ゴム層65bとしてエチレンプロピレンゴムを厚み0.5mmで巻きつけている。
【0032】
(センサ位置の説明)
図16は、本発明の画像形成装置における検知センサが中間転写ベルト上のパターンを読み取る状態を説明する図である。
(a)に、ローラ65として駆動ローラ652の部分の構成を模式的にしめす。
(b)に、巻き付きに対する位置(mm)とピークツーピークの出力値変動(V)との関係を示している。巻き付きに対する位置は、巻き付きの位置を0mmとして、下流側を(−)側に、上流側を(+)側とした。したがって、−1mmは、駆動ローラ652に巻き付いている位置を示している。
したがって、ここに示すように、+0.5mmより出力変動値が急激に低下し、それ以降では、出力変動値が目標値の0.5V以下になっていることがわかる。
この結果から、(a)に示すように、駆動ローラ652の軸方向からみて駆動ローラ652の第二部分65gが巻きついている範囲(図中P)、もしくは、駆動ローラ652の軸方向(図で紙面直交方向)からみて中間転写ベルト61が駆動ローラ652に巻き付くまきつき位置よりも0.5mm上流の位置よりも下流側の中間転写ベルト61上の範囲(図中Q)に検知センサ90を配置すると効果的である。
特に、中間転写ベルト61の波うちやばたつきの無い図中Pの範囲に検知センサ90を配置するのが最も効果的である。
駆動ローラ652の軸方向からみたときに、駆動ローラ652が巻きつく位置、もしくは、該巻きつき位置よりも中間転写ベルト61の上流側0.5mm以内の位置にあると、例えば中間転写ベルト61のばたつきや波うちで表面が変位して、検知センサ90との距離が変動しても、出力電圧のピークツーピークが設計目標値以内に収めることができる。
【0033】
図17は、本発明の画像形成装置における検知センサを配置されている転写装置の構成を示す図である。
図17に示す転写部の構成では、中間転写ベルト61は張力を有した状態で駆動ローラ652を含む複数のローラ65に掛け渡される。複数の感光体11で形成されたトナー像が中間転写ベルト61の上で担持された状態で、中間転写ベルト61が駆動ローラ652から駆動力を得て、矢印方向に、駆動されて走行する。中間転写ベルト61上のトナーは、斥力ローラ654とこれに対向する不図示の二次転写ローラ63との間に形成された接触面(ニップ部)で、この接触面にタイミングを併せて進入した紙などの記録媒体6に転写される。斥力ローラ654の下流には、中間転写ベルト61上の残トナー除去等を行う不図示のベルトクリーニング装置64が設けられ、さらに中間転写ベルト61のおもて側から中間転写ベルト61にテンションを与えるためのテンションローラ653が設けられている。感光体11の一部(図では左側の4つ)は、ベルト裏側で感光体11に対向する一次転写ローラ62が離間することで、中間転写ベルト61から離間可能である。
【0034】
この実施形態では、画像形成装置1は、感光体11・バックアップローラ656・駆動ローラ652がベルト走行方向に並んでいて、検知センサ90は、バックアップローラ656と駆動ローラ652との間の位置で中間転写ベルト61に上方から対向する。
検知センサ90は、駆動ローラ652から張力を受ける位置で中間転写ベルト61に対向している。溝を切った駆動ローラ652と検知センサ90との位置関係について、検知センサ90を、駆動ローラ652よりもベルト移動方向すぐ上流側にあるローラ(バックアップローラ)656が中間転写ベルト61と当接し終わる位置から、すぐ下流側にあるローラが、ここでは斥力ローラ654であるが、中間転写ベルト61と当接し始める位置までの間で、中間転写ベルト61に対向するよう配置すればよい。このように配置すれば駆動ローラ652の溝によって、中間転写ベルト61にふくらみを作る不具合が低減でき、少なくともベルト面にふくらみを作ることなく検知に影響がでないようにすることができる。
なお、中間転写ベルト61にふくらみを作る不具合の低減とは別に、上述のように中間転写ベルト61のばたつきや波うちによる出力レベル変動を考慮して、図16(a)のPもしくはQの範囲内に検知センサ90を配置すれば、検知への影響をより一層防止できるので好ましい。
【0035】
検知センサ90は、複数の感光体11で形成されたトナー濃度制御用または位置合わせ制御用のトナーパターンを読取る。
中間転写ベルト61のベルト幅方向(主走査方向)におけるトナー画像の位置ずれ制御等のために、検知センサ90及びトナーパターンは、ベルト幅方向に複数設けると良い。本実施例では3つの検知センサ90と配置し、それらに対応する各位置にトナーパターンを形成する。ここで、検知センサ90はバックアップローラ656を挟んで感光体11よりも下流側にある構成なので、上述の感光体離間の有無によって検知センサ90と中間転写ベルト61との位置関係に影響することが無い。
本実施形態では駆動ローラ652の巻きつき開始位置から下流2mm(2mm巻きついた位置)に検知センサ90を設けている。この場合、中間転写ベルト61の波うち、ばたつきがないため、検知センサ90と中間転写ベルト61との位置関係を保つことができ、パターンの検知が精度よくおこなえる。
駆動ローラ652は駆動力を中間転写ベルト61へ確実に伝えるために、駆動ローラ652へのベルト巻きつき領域で十分な摩擦力(グリップ力)を確保する必要がある。したがってベルトテンションを強くする必要がある。テンションが強い場合には、駆動ローラ652による中間転写ベルト61への押し当て力が強くなり、駆動ローラ652上の溝両端の角部で傷や折れ跡がつきやすくなる。本実施形態では駆動ローラ652の表面の第二部分65gを弾性部材にすることにより、小さなテンションでもグリップ力を確保することができ、テンションを小さくすることで傷や折れ跡が防止できる。さらに、中間転写ベルト61との接触部分を弾性部材(ゴム)で構成して軟らかくすることによりさらに傷や折れ跡防止の効果が期待できる。
以上の構成によれば、駆動ローラ652の駆動力による中間転写ベルト61の張りにより検知センサ90と中間転写ベルト61との位置関係を保つことができる。また、ベルトテンション減少により傷などが防止できる。さらに、ゴム部材で中間転写ベルト61に接触するのでさらに傷防止できる。
【0036】
(実施例のローラの製造方法の説明)
図18は、本発明の画像形成装置に用いる駆動ローラの製造方法を説明する図である。
図18(a)に示すように、ベルト幅方向に略同一径の芯部材である金属の芯金65aを形成し、さらに芯部材上に弾性部材であるゴム層65bを形成する。
そしてゴムカット用のカッターや旋盤等を用いて、芯金65aの周方向に沿って、溝部の両端の位置でゴム層65bに対して切込みを入れる。そして、ゴム層65bのうちで、検知センサ90の読取り位置を含む中間転写ベルト61上の領域に対向する部分、すなわち溝部となる部分を取り除いて隙間65cを成形する。
従来例に示すローラを製造するためには少なくとも左右のテーパ面と溝面それぞれを周面に沿って形成する必要がある。少なくとも角度の異なる3通りの切込みを形成する過程を要し手間がかかる、またテーパ面は切込み方向が斜めであるため加工が容易ではないという問題があった。またローラの強度確保等のために均一な金属部材で形成したローラを削る作業は容易ではなかった。
この製法ならば、両端に切込みをいれた部分のゴム層65bを除去するだけで芯金65aとゴム層65bの境界が溝面となるので、切込みにより溝面を形成する手間が省ける。芯金65aとゴム層65bの境界に達する位置までカッターで切込み、芯金65a達した時点で切込みを停止すればよく、単一部材に対して切込みを入れる場合のように切込み深さを詳細に設定する手間がない。これは、ゴムローラの径を細くする場合、一般的にゴムを削る場合にはローラを回転させながら削り取りたい体積を削っていくため時間がかかる。しかし、芯金65aの表面にゴム層65bを設けて、そのゴムをカットする加工方法であればカッターのような歯をゴム層65bに入れて一回転するだけで径を細くすることができるため加工が簡単にできる。
また、実施形態では両端の切込みは芯金65aの半径方向と同一の方向に切込みを入れる。駆動ローラ652に垂直な方向(ベルト幅方向と直交方向)にカットするだけで作ることができ、周方向に沿って駆動ローラ652もしくはカッターを回転させてカットする作業が安定し、容易に加工できる効果がある。
【0037】
(変形例)
例えば、図15に示すように同一径の芯金65a上にゴム層65bを設け、ベルト幅方向でゴム層65bの厚みに差をつけた形状のローラとしてもよい。また、ベルト幅方向で径に差をつけた形状の芯金65aを形成したものにゴム層65bの薄層を形成した駆動ローラ652としてもよい。
中間転写ベルト61を有する転写装置60のレイアウト上の制約がある場合、駆動ローラ652以外のローラ65に溝を設けて、その上流側または下流側に検知センサ90を配置しても良い。
単一のローラ65に隙間65cを設けるだけでなく、中間転写ベルト61に当接する複数のローラ65または全てのローラ65に隙間65cを設けてもよい。二次転写位置で対向する斥力ローラ654の以外の全てのローラに隙間65cを設けても良い。
隙間65cの端部でゴム層65bをテーパ状としてもよい。感光体11から記録媒体6へと直接転写をおこなう直接転写方式の構成で、搬送ベルト66のローラにこれらの構成を設けても良い。ベルト形状の感光体(感光体ベルト)を支持するローラにこれらの構成を設けてもよい。
パターンはトナー像ではなく、例えば、中間転写ベルト61上の画像形成領域外に常時設けられたパターンであってもよい。パターンは位置合わせや濃度制御用のものに限らず、中間転写ベルト61の走行方向または幅方向のポジションを検知するためにベルト端部に設けられたマーク等であってもよい。
【0038】
尚、本実施例に用いたトナーは重合法によって生成された重合トナーである。
更に本実施例に用いるトナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図19、20は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
【0039】
一般的に、トナーの粒径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であるとされているが、逆に、転写性やクリーニング性に対しては不利となる。
また、トナー粒径は体積平均粒径で4〜10μmの範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合には現像時に地汚れの原因となったり、流動性が悪化し、さらに凝集しやすくなるので中抜けが発生しやすくなる。
逆に、これよりも大粒径の場合にはトナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像を得ることができない。本実例では、トナー粒径の体積平均粒径6.5μmのものを用いた。
体積平均粒径が4.0μm未満であると、二成分現像剤として使用した場合に、現像装置内での長期の攪拌によって磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として使用した場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させたりする現象が生じやすくなる。
一方、トナーの体積平均粒径が10.0μmを超えると、高解像度で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中においてトナーの収支が行われた場合に、トナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。
また、体積平均粒径Dvと個数平均径(Dn)との比Dv/Dnが1.40を超えると、帯電量分布が広くなり、解像力も低下するため好ましくない。トナーの体積平均粒径Dvと個数平均径(Dn)との比Dv/Dnは、主として、水相粘度、油相粘度、樹脂微粒子の特性、添加量等を調整することによりコントロールすることができる。また、DvおよびDnは例えば樹脂微粒子の特性、添加量等を調整することによりコントロールすることができる。
【0040】
トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定することができる。
測定方法は以下の通りである。先ず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩を、0.1〜5ml加え、これに供試試料を2〜20mg加え、電解液中に懸濁させて、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行った。調整したサンプルを前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記試料中のトナー粒子の体積及び個数をチャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出した。このとき、電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製したもので、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用した。
【0041】
画像形成動作は、まず、負荷電極性の感光体11に対し、露光装置12のレーザビームにより各感光体11の表面に形成された色毎の静電潜像が形成される。次に、現像装置40で、感光体11の帯電極性と同極性(負極性)の所定の色のトナーで現像され、顕像となる反転現像がおこなわれる。このときに、無端状の中間転写ベルト61が、複数のローラ651〜653により支持されて、感光体11Y、11C、11M、11Kの上部に設けられて、各感光体11Y、11C、11M、11Kの現像工程後の一部が接触するように張架、配置されて、走行している。また、中間転写ベルト61には、各感光体11Y、11C、11M、11Kに形成されたトナー画像を1次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kで、中間転写ベルト61上に転写され、トナー画像が重ねられて、未定着の画像が形成される。中間転写ベルト61の外周部には、クリーニングバックアップローラ655に対向する位置にベルトクリーニング装置64が設けられている。このベルトクリーニング装置64は、中間転写ベルト61の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。さらに、中間転写ベルト61の外周で、支持ローラ653の対向する位置には、二次転写ローラ63が設けてある。中間転写ベルト61と2次転写ローラ63の間に記録媒体6を通過させながら、二次転写ローラ63にバイアスを印加することで中間転写ベルト61が担持するトナー画像が記録媒体6に転写される。二次転写ローラ63に印加される転写電圧の極性は、トナーの極性と逆のプラス極性である。これらの中間転写ベルト61に関連する部材は、中間転写ベルト61とともに転写装置60として一体的に構成してあり、画像形成装置1に対し着脱が可能となっている。
また、図21は、本発明の画像形成装置に用いる制御装置の一実施形態のブロック図である。
図21に示すように、感光体11Y、11C、11M、11Kには、それぞれ帯電装置20の感光体11の周回方向の下流であって、現像装置30の上流に電位センサ99を設けている。画像形成を行う前に、予め、この電位センサ99で感光体11の電位を検知する。次ぎに、検知センサ90で、中間転写ベルト61上のパッチ状のパターンで、トナー付着量を検知する。この電位センサ99の帯電電位、検知センサ90のトナー付着量のデータが画像形成装置1が備える制御装置101で処理され、実際の画像形成に対して、帯電装置20の帯電バイアス、露光装置12の光強度、現像装置30の現像バイアス等の制御を行いながら、画像形成動作を行う。
画像形成装置1の下側には記録媒体6を供給可能に収納した給紙カセット81を備える給紙装置80が配備されている。この給紙カセット81から、確実に記録媒体6の一枚だけが搬送ローラ82によりレジストローラ84に送られる。さらに、二次転写ローラ63を通過した記録媒体6は、搬送方向下流に備えられた定着装置70まで搬送される。定着後の記録媒体6は、排紙ローラ85により、画像形成装置1の外に設けた排紙トレイに排紙、スタックさせる。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 スキャナ部
401 コンタクトガラス
5 原稿自動搬送装置(ADF)
9 記録部材
10 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
11 感光体
12 露光装置
13 除電装置
20 帯電装置
21 帯電ローラ
30 現像装置
40 クリーニング装置
60 転写装置
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラ
63 二次転写ローラ
64 ベルトクリーニング装置
641 クリーニングバックアップローラ
642 回転部材
65 ローラ
651 従動ローラ
652 駆動ローラ
653 支持/テンションローラ
654 斥力ローラ
655 ベルトクリーニング対向ローラ
656 バックアップローラ
65a 芯金
65b ゴム層
65c 隙間
65d 回転軸
65e テーパー面
65f 第一部分
65g 第二部分
66 搬送ベルト
67 潤滑剤塗布装置
70 定着装置
80 給紙カセット
81 分離ローラ
82 給紙ローラ
83 搬送ローラ
84 レジストローラ
85 排紙ローラ
851、852 切換爪
86 排紙トレイ
87、871、872 反転搬送路
88 記録媒体収納装置
89 記録媒体反転搬送装置
90 検知センサ
91 発光素子
92 受光素子
921 正反射光受光素子
922 拡散反射光受光素子
93 基台
94 センサ光
99 電位センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2008−241958
【特許文献2】特開2001−34032
【特許文献3】特開2009−8741
【特許文献4】特開平10―104898
【特許文献2】特開2005−181874

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに張架されて無端移動するベルト状の中間転写体と、
該中間転写体上のパターンを読取る検知手段を備えた画像形成装置であって、
前記複数のローラのうち少なくとも一つのローラは、
パターンの通過位置を含む前記中間転写体上の領域に対向する第一部分と、
パターンの通過位置を含まない前記中間転写体上の領域であって中間転写体に当接する第二部分とからなり、
第一部分のローラ径が第二部分のローラ径よりも小さく、
少なくとも第二部分の表面が弾性部材から成り、
前記検知手段は、前記少なくとも一つのローラよりも前記中間転写体移動方向すぐ上流側にあるローラが前記中間転写体と当接し終わる位置から、すぐ下流側にあるローラが前記中間転写体と当接し始める位置までの間で、前記中間転写体に対向して前記パターンを読み取る
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つのローラは、中心部分に芯部材を有し、
該芯部材上の前記第二部分のみに設けられた前記弾性部材とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのローラは、
前記中間転写体を駆動する駆動ローラである
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置
【請求項4】
前記第一部分と前記第二部分との境界におけるローラの段差の方向が、ローラの半径方向である
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一部分のローラ径が前記第二部分のローラ径よりも1mm以上小さい
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段が検知する検知面は、
前記少なくとも一つのローラの軸方向からみたときに、前記少なくとも一つのローラのローラが巻きついている位置、もしくは、巻きつき開始位置よりも中間転写体の上流側0.5mm以内の位置にある
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記パターンは、トナー濃度のパターンであって、潜像担持体上で形成された後に中間転写体上に転写されるトナー像のパターンである
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記パターンは、レジスト位置合わせ制御用のパターンであって、
潜像担持体上で形成された後に中間転写体上に転写されるトナー像のパターンであり、検知手段は正反射光を読み取ることでパターンを検知する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記中間転写体が、潜像担持体上で形成されたトナー像を表面に担持して無端移動する中間転写体である
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記検知センサが、正反射光受光素子と拡散反射光受光素子とを備える
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
潜像担持体上で形成されたトナー像を表面に担持して無端移動するベルト状の中間転写体と、
前記中間転写体を張架する複数のローラと、
前記中間転写体に対向して前記中間転写体上のパターンを読取る検知手段と、を備えた画像形成装置に用いられる前記複数のローラのうち少なくとも一つのローラの製造方法であって、
ローラ回転軸周りに芯部材を形成し、さらに該芯部材上に弾性部材を形成し、
芯部材の周方向に沿って弾性部材に対して切込みを入れて、前記検知手段のパターン読取り位置を含む前記中間転写体上の領域に対向する部分の前記弾性部材を取り除いて成形する
ことを特徴とするローラの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2011−175060(P2011−175060A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38320(P2010−38320)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】