説明

画像形成装置

【課題】廃トナー収容器の着脱用の開口部と同じ側に手差し用の給紙ローラを設ける場合に、廃トナー収容器を筐体に対して容易に着脱可能にすることを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラー複合機1)は、各感光体(感光ドラム71A)上のトナーが転写される無端状の中間転写ベルト91と、中間転写ベルト91上のトナーを記録シートに転写させる2次転写ローラ93と、記録シート(用紙P)を2次転写ローラ93に向けて搬送する第1給紙ローラ42と、中間転写ベルト91の感光体が面する側とは反対側に配置される廃トナー収容器200と、第1給紙ローラ42から2次転写ローラ93までの第1搬送経路410に合流し、かつ、一側面(前面21)側から他側面(後面25)側に延びる手差し用の第2搬送経路420とを備えている。この第2搬送経路420は、中間転写ベルト91と廃トナー収容器200との間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の感光体からトナー像が転写される中間転写ベルトと、中間転写ベルト上に付着したトナー等の付着物を回収する廃トナー収容器とを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中間転写ベルトの下方に廃トナー収容器が配置され、この廃トナー収容器が、画像形成装置の筐体の側壁に形成された開口部から着脱可能となる画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。そして、この画像形成装置では、中間転写ベルト上のトナー像を用紙に転写させる2次転写ローラと、筐体の下部に配置された給紙トレイ内の用紙を上方の中間転写ベルトと2次転写ローラとの間に送り出す給紙ローラとが、筐体の開口部とは反対側に配置されている。すなわち、給紙トレイから2次転写ローラまでの搬送路が、筐体の開口部とは反対側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−140144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の構成において用紙を手で筐体内に差し込むための手差し口を設ける場合には、操作の利便性を考えて、廃トナー収容器が着脱可能な開口部と同じ側に手差し口を設けることが望まれる。この場合、手差し口から差し込んだ用紙を開口部とは反対側の搬送路へ搬送するために、手差し用の給紙ローラを開口部近傍に設ける必要がある。
【0005】
しかし、このように手差し用の給紙ローラを開口部近傍に設けると、廃トナー収容器を取り出す際に手差し用の給紙ローラが邪魔になるといった問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、廃トナー収容器の着脱のための開口部と同じ側に手差し用の給紙ローラを設ける場合であっても、廃トナー収容器を筐体に対して容易に着脱することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、開口部が一側面に形成された筐体と、前記開口部を開閉するカバーと、前記筐体に収容される複数の感光体と、前記複数の感光体に対向し、内部に配置される複数の1次転写手段によって各感光体上のトナーが転写される無端状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトのうち前記開口部とは反対側に配置され、前記中間転写ベルト上のトナーを記録シートに転写させる2次転写ローラと、前記筐体の前記一側面とは反対側の他側面側に設けられ、記録シートを前記2次転写ローラに向けて搬送する第1給紙ローラと、前記複数の感光体のうち前記中間転写ベルトの移動方向の最上流側の感光体と前記2次転写ローラとの間に配置され、前記中間転写ベルト上に付着したトナーを除去するクリーニング装置と、前記開口部を通して前記筐体に着脱可能であり、前記中間転写ベルトの前記感光体が面する側とは反対側に配置され、内部にトナーを収容可能な廃トナー収容器と、前記クリーニング装置に連結されるとともに前記廃トナー収容器が着脱可能であり、前記クリーニング装置で除去したトナーを前記廃トナー収容器に搬送する連結部材と、を備える画像形成装置であって、前記第1給紙ローラから前記2次転写ローラまでの第1搬送経路に合流し、かつ、前記一側面側から前記他側面側に延びる手差し用の第2搬送経路が、前記中間転写ベルトと前記廃トナー収容器との間に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、中間転写ベルトと廃トナー収容器との間に第2搬送経路を設けたので、第2搬送経路用の給紙ローラを中間転写ベルトとカバーとの間のスペース(廃トナー収容器の着脱に邪魔にならない位置)に配置することができる。そのため、廃トナー収容器の着脱時に第2搬送経路用の給紙ローラが邪魔にならず、廃トナー収容器を筐体に対して容易に着脱することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、廃トナー収容器の着脱用の開口部と同じ側に手差し用の給紙ローラを設ける場合であっても、廃トナー収容器を筐体に対して容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】カラー複合機の概略構成を示す断面図である。
【図2】筐体からドロワを引き出した状態を示す断面図である。
【図3】筐体から廃トナー収容器を取り外した状態を示す断面図である。
【図4】中間転写ベルト、クリーニング装置、連結部材および廃トナー収容器を示す断面図(a)と上面図(b)である。
【図5】各連結部を示す断面図であり、装着前の状態を示す断面図(a)と、装着後の状態を示す断面図(b)である。
【図6】廃トナー収容器を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<カラー複合機の全体構成>
次に、本発明の実施形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラー複合機の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明する。
【0012】
ここで、以下の説明において、方向は、カラー複合機を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前(手前)」側、紙面に向かって左側を「後(奥)」側とし、紙面に向かって手前側を「左」側、紙面に向かって奥側を「右」側とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下」方向とする。また、断面図については、図面の見易さを考慮して、特に必要な箇所にのみハッチングを施すこととする。
【0013】
図1に示すように、カラー複合機1は、筐体2と、筐体2の上方に設けられたフラットベッドスキャナ3とを備えている。また、カラー複合機1は、筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部4と、供給された用紙Pに画像を形成する画像形成部5とを備えている。
【0014】
筐体2の前面21(一側面)には、後述する保持部材の一例としてのドロワ80を筐体2内に着脱するための第1開口部21A(図2参照)と、廃トナー収容器200を筐体2内に着脱するための第2開口部21B(図3参照)とが設けられている。そして、第1開口部21Aおよび第2開口部21Bは、それぞれ、下端A1,B1を支点として回動可能な第1フロントカバー22Aおよびカバーの一例としての第2フロントカバー22Bによって開閉されるようになっている。
【0015】
フラットベッドスキャナ3は、公知の構成を有する原稿読取装置であり、複写の際には、原稿に光を照射して画像を読み取ることで画像データを生成する。
【0016】
給紙部4は、筐体2内の下部に設けられ、第2フロントカバー22Bに形成された開口(符号略)を通して筐体2に着脱可能に装着される給紙トレイ41と、給紙トレイ41の後部上方(他側面側)に設けられた第1給紙ローラ42と、分離ローラ43と、搬送ローラ44とを主に備えている。給紙トレイ41内の用紙Pは、第1給紙ローラ42で送り出され、分離ローラ43で一枚ずつ分離されて搬送ローラ44で上方へ送られ、画像形成部5(中間転写ベルト91と2次転写ローラ93の間)に供給される。
【0017】
画像形成部5は、露光ユニット6と、感光体ユニット7と、ベルトユニット9と、定着ユニット10とから主に構成されている。
【0018】
露光ユニット6は、筐体2内の上方に配置され、図示しないレーザ発光部やレンズ、符号を省略して示すポリゴンミラーや複数の反射鏡などを備えている。露光ユニット6では、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応させてレーザ発光部からのレーザ光が、図の2点鎖線で示す経路を通って、感光体ユニット7の感光ドラム71Aの表面上に高速走査にて照射される。
【0019】
感光体ユニット7は、露光ユニット6の下方(露光ユニット6とベルトユニット9との間)に配置され、前後方向に沿って配列される4つ(複数)のプロセスカートリッジ70と、各プロセスカートリッジ70を着脱可能に支持するドロワ80とを備えている。
【0020】
プロセスカートリッジ70は、下部に配置されたドラムカートリッジ71と、ドラムカートリッジ71に上方から着脱可能に連結される現像カートリッジ72とを備えている。
【0021】
ドラムカートリッジ71は、感光体の一例としての感光ドラム71Aや、符号を省略して示す帯電器等を備えている。そして、複数のドラムカートリッジ71が前後方向に配列されることで、各感光ドラム71Aが前後方向に一列に配列されるようになっている。
【0022】
現像カートリッジ72は、符号を省略して示す現像ローラ、供給ローラ、トナー収容室等を備えている。現像カートリッジ72のトナー収容室内には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の非磁性一成分のトナー(図示省略)が収容されている。
【0023】
ドロワ80は、複数のプロセスカートリッジ70を着脱可能に保持する本体フレーム81と、本体フレーム81の前面に回動可能に取り付けられる略コ字状の取っ手部82とを備えている。そして、ドロワ80は、筐体2に対して前後方向(感光ドラム71Aの配列方向)に移動可能に設けられることで、筐体2の第1開口部21Aから外部に引き出し可能となっている(図2参照)。詳しくは、ドロワ80は、筐体2に収容された第1の位置(図1の位置)と、第1開口部21A(第2開口部21Bとは別に形成された開口)から筐体2外に引き出された第2の位置(図2の位置)とに移動可能に設けられている。
【0024】
以上のように構成される感光体ユニット7では、感光ドラム71Aの表面が、帯電器により一様に正帯電された後、露光ユニット6からのレーザ光の高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0025】
現像カートリッジ72内のトナーは、供給ローラおよび現像ローラによって、感光ドラム71Aの静電潜像に供給される。そして、トナーは、感光ドラム71Aの表面上で選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。
【0026】
ベルトユニット9は、感光体ユニット7の下方に配置され、中間転写ベルト91、1次転写手段の一例としての4つの1次転写ローラ92、2次転写ローラ93、駆動ローラ94および2つの従動ローラ95,96を備えている。詳しく述べると、従動ローラ96は筺体2の後側(他側面側)寄りに配置され、上下方向において従動ローラ95と重なる位置に配置されている。また、このベルトユニット9の周囲には、後で詳述するクリーニング装置100や廃トナー収容器200が設けられている。
【0027】
中間転写ベルト91は、無端状のベルトであり、3つのローラ94,95,96によって側面視楔形に張られ、駆動ローラ94によって図示時計回りに回転可能となっている。詳しくは、中間転写ベルト91は、図4(a)に示すように、複数の感光ドラム71Aおよびクリーニング装置100に対向して水平方向に延びる第1面911と、第1面911の前側(一側面側)から斜め下方向に延びる第2面912と、第1面911の後側(他側面側)から斜め下方向に延びて第2面912に繋がる第3面913とを有するように側面視楔形に張られている。詳しく述べると、第2面912は、筺体2の後側(他側面側)付近から、筺体2の前側(一側面側)付近まで、上方に傾斜するように延びている。
【0028】
そして、図1に示すように、第1給紙ローラ42側から送られてくる用紙Pが、中間転写ベルト91の第3面913に当接するように、中間転写ベルト91や第1給紙ローラ42や用紙ガイド(符号略)などの位置が設定されている。すなわち、用紙Pが第3面913に当接した後、第3面913に沿って移動して2次転写ローラ93と中間転写ベルト91との間に搬送されるので、2次転写ローラ93付近で用紙Pが第3面913から離れて搬送されることによる第3面913と用紙Pとの間での放電が抑制されるようになっている。
【0029】
各1次転写ローラ92は、中間転写ベルト91の内周面に接し、各感光ドラム71Aとの間で中間転写ベルト91を挟持するように各感光ドラム71Aと対向して配置されている。2次転写ローラ93は、中間転写ベルト91の後側(第2開口部21Bとは反対側)に配置され、従動ローラ95との間で中間転写ベルト91を挟持するように配置されている。そして、1次転写ローラ92および2次転写ローラ93には、転写時に転写バイアスが印加されるようになっている。
【0030】
そして、このようなベルトユニット9では、各感光ドラム71A上に形成されたトナー像が、転写バイアスが印加された各1次転写ローラ92の作用により中間転写ベルト91上に順次重ね合わせて転写される。中間転写ベルト91上に転写された各色のトナー像は、用紙Pが中間転写ベルト91と2次転写ローラ93の間を通過するときに、転写バイアスが印加された2次転写ローラ93の作用により用紙P上に転写される。
【0031】
定着ユニット10は、2次転写ローラ93の上方に配置され、加熱ローラ11と、加熱ローラ11と対向配置されて加熱ローラ11を押圧する加圧ローラ12とを主に備えている。
【0032】
トナー像が転写された用紙Pは、定着ユニット10に搬送され、加熱ローラ11と加圧ローラ12との間を通過することでトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、排紙ローラ(符号略)によって筐体2外に排出され、排紙トレイ23上に蓄積される。
【0033】
<廃トナー収容器周りの構造>
次に、本発明の特徴部分となる廃トナー収容器200周りの構造について詳細に説明する。
【0034】
図4(a)に示すように、クリーニング装置100は、中間転写ベルト91上に付着したトナー等の付着物を除去する装置であり、複数の感光ドラム71Aのうち中間転写ベルト91の移動方向の最上流側の感光ドラム711と2次転写ローラ93との間に配置されている。具体的に、クリーニング装置100は、クリーニングローラ110と、回収ローラ120と、軸方向搬送部材の一例としてのオーガ130と、これらを収容するケース140とを備えている。
【0035】
クリーニングローラ110は、中間転写ベルト91の外周面に接触して回転することで中間転写ベルト91上に付着したトナー等の付着物を回収している。具体的には、クリーニングローラ110は、中間転写ベルト91の内周面に配置されたバックアップローラ111との間に所定のバイアスが印加されることで付着物を回収している。
【0036】
回収ローラ120は、クリーニングローラ110に摺接するローラであり、クリーニングローラ110上に付着した付着物を回収している。そして、回収ローラ120上の付着物は、当該回収ローラ120の後側に摺接するように配置されたブレード(符号略)によって削り取られて、オーガ130を収容するオーガ収容室141内に入り込むようになっている。
【0037】
オーガ130は、左右方向に延びる軸周りに螺旋状の羽を有する部材であり、回転することで、図4(b)に示すように、右側(感光ドラム71Aの軸方向の一端)に向けてトナーを搬送している。そして、オーガ130で搬送されたトナーは、連結部材300を介して廃トナー収容器200に送られるようになっている。
【0038】
連結部材300は、クリーニング装置100に連結されるとともに廃トナー収容器200が着脱可能であり、クリーニング装置100で除去したトナーを廃トナー収容器200に搬送するように構成されている。具体的に、連結部材300は、中間転写ベルト91の右側(軸方向の一端側)に形成される中間転写ベルト91と筐体2との隙間2Aを通って廃トナー収容器200に連結される中空円柱状の本体部310と、図5(a)に示すように、本体部310内に回転可能に設けられ、軸方向にトナー等を搬送可能なバネオーガ320とを備えている。
【0039】
そして、本体部310の前端部は、廃トナー収容器200の連結部230に連結可能な連結部330となっている。各連結部230,330は、前後方向(廃トナー収容器200の装着方向)において対向するように設けられている。
【0040】
各連結部230,330は、廃トナー収容器200の装着方向に進退可能な蓋231,331と、当該蓋231,331によって開閉される孔232,332と、当該孔232,332を塞ぐ閉位置に蓋231,331を付勢する付勢部材の一例としてのコイルバネ233,333と、廃トナー収容器200の連結部材300への装着時に蓋231,331をコイルバネ233,333の付勢力に抗して押す壁部234,334とを備えている。
【0041】
具体的に、連結部材300側の蓋331は、円筒状に形成されており、本体部310の外周面に対して前後に移動可能に設けられている。廃トナー収容器200側の蓋231は、有底円筒状に形成されており、その開口を廃トナー収容器200の前面に形成された穴235内に向けた状態で、当該穴235内に前後に移動可能に設けられている。また、連結部材300側の孔332は、本体部310の外周壁311の下部に形成され、廃トナー収容器200側の孔232は、穴235の内周面を形成する内周壁236の下部に形成されている。そして、各孔232,332は、廃トナー収容器200を連結部材300へ装着した際に、合致する位置にそれぞれ形成されている。
【0042】
連結部材300側のコイルバネ333は、蓋331と、本体部310の外周面から突出するように形成されたフランジ部312との間に設けられている。廃トナー収容器200側のコイルバネ233は、蓋231と、穴235の底面との間に設けられている。また、連結部材300側の壁部334は、本体部310の前端面を形成する壁であって、蓋331の径方向内側に配置されている。廃トナー収容器200側の壁部234は、蓋231(穴235)の周囲を囲むように配置されている。
【0043】
そのため、廃トナー収容器200を連結部材300へ装着する際には、蓋331が、蓋231の周囲を囲む壁部234でコイルバネ333の付勢力に抗して後方に押され、蓋231が、蓋331の径方向内側にある壁部334でコイルバネ233の付勢力に抗して前方に押されるようになっている。これにより、図5(b)に示すように、連結部材300の孔332と、廃トナー収容器200の孔232が合致して、連結部材300から廃トナー収容器200にトナー等が搬送されるようになっている。
【0044】
また、各連結部230,330は、図4(b)に示すように、後述する第2搬送経路420で搬送される用紙Pの幅よりも外側に設けられている。
【0045】
図3に示すように、廃トナー収容器200は、内部にトナーを収容可能な容器であり、第2開口部21Bを通して筐体2に着脱可能となっている。廃トナー収容器200は、中間転写ベルト91の下側(感光ドラム71Aが面する側とは反対側)の位置に配置されている(図1参照)。
【0046】
図4(a)に示すように、廃トナー収容器200は、中間転写ベルト91の第2面912に沿うように対向する上面210(対向面)と、中間転写ベルト91の第1面911に対して平行となる下面220(平行面)とを有する側面視楔形に形成されている(図6参照)。詳しく述べると、上面210は、筺体2の後側(他側面側)から、筺体2の前側(一側面側)に向かって、上方に傾斜するように延びている。廃トナー収容器200の前側端部は、駆動ローラ94付近まで延設されており、第2フロントカバー22Bと略平行(略鉛直方向)に設けられている。図6に示すように、廃トナー収容器200の後面には、前述した連結部230が設けられている。
【0047】
また、廃トナー収容器200の左右両側面のそれぞれには、一対のガイドピン250が左右方向外側に突出するように設けられている(一方のみ図示)。そして、各ガイドピン250が、図3に示すように、筐体2の左右側壁に設けられたガイド溝24内に入り込むことで、廃トナー収容器200が連結部材300と連結する位置まで案内されるようになっている。なお、ガイド溝24は、後方(廃トナー収容器200の装着方向前方)に向かうにつれて徐々に幅狭となるように形成されている。
【0048】
また、図6に示すように、廃トナー収容器200の上面210には、上方に突出する複数のリブ270が形成されている。各リブ270は、後述する第2搬送経路420と対向するように配置されて、第2搬送経路420の一部を形成しており、第2搬送経路420内で搬送される用紙Pを案内する搬送ガイドとして機能している。
【0049】
さらに、廃トナー収容器200の上面210の前部には、後述する第2給紙ローラ423(図3参照)との干渉を防止するための逃げ部211が形成されている。また、図3に示すように、廃トナー収容器200の前面には、ユーザによって把持されるコ字状の取っ手部280が設けられている。
【0050】
そして、図2に示すように、廃トナー収容器200と中間転写ベルト91との間には、第2搬送経路420が配置されている。第2搬送経路420は、筐体2の前面21(一側面)側から後面25(他側面)側に延びる手差し用の搬送経路であり、第1給紙ローラ42から2次転写ローラ93までの第1搬送経路410に合流するように設けられている。
【0051】
具体的に、第2搬送経路420は、第2フロントカバー22Bに形成される手差し口421と、手差し口421から第1給紙ローラ42付近まで延び、用紙Pが通るスペースが空くように上下に離れて適宜設けられる搬送ガイド422と、搬送ガイド422内の用紙Pを第1搬送経路410(第1給紙ローラ42)まで搬送するための第2給紙ローラ423および搬送ローラ424を備えている。
【0052】
第2給紙ローラ423は、第2搬送経路420のうち廃トナー収容器200よりも前側の位置であって、中間転写ベルト91(傾斜した第2面912)と水平方向から見て重なるように配置されている。すなわち、第2給紙ローラ423は、上下方向において中間転写ベルト91の下部(下側の従動ローラ96周りの部位)と略同じ位置であって、前後方向において中間転写ベルト91と第2フロントカバー22Bとの間の位置に配置されている。これにより、第2給紙ローラ423を給紙トレイ41近傍に設ける構造に比べ、廃トナー収容器200の上面210に浅めの逃げ部211を形成するだけで、廃トナー収容器200を水平方向に移動させて簡単に交換させることが可能となっている。
【0053】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
中間転写ベルト91と廃トナー収容器200との間に第2搬送経路420を設けたので、第2搬送経路420用の第2給紙ローラ423を中間転写ベルト91と第2フロントカバー22Bとの間のスペース(廃トナー収容器200の着脱に邪魔にならない位置)に配置することができる。そのため、廃トナー収容器200の着脱時に第2給紙ローラ423が邪魔にならず、廃トナー収容器200を筐体2に対して容易に着脱することができる。
【0054】
廃トナー収容器200の上面210に形成したリブ270が、第2搬送経路420内の用紙Pを案内する搬送ガイドとなるので、廃トナー収容器200を取り外すことで、第2搬送経路420を下方に開口させることができる。そのため、第2搬送経路420内で用紙Pが詰まった場合には、廃トナー収容器200を取り外すことで、詰まった用紙Pを簡単に取り出すことができる。また、詰まった用紙Pを取り出すときに、中間転写ベルト91に触ってしまうと、印字不良の原因となってしまうが、第2搬送経路420によって、中間転写ベルト91に直接触れることができない構造となっている。
【0055】
ドロワ80を第2開口部21Bと同じ側に形成された第1開口部21Aから引き出し可能としたので、廃トナー収容器200の着脱や手差し給紙と同じ側からプロセスカートリッジ70の交換を行うことができ、操作の利便性をより向上させることができる。
【0056】
クリーニング装置100で回収したトナー等をオーガ130によって右側に送った後、中間転写ベルト91の右側に形成された隙間2Aを通る連結部材300によって廃トナー収容器200に送るので、クリーニング装置100から最短距離でトナー等を廃トナー収容器200に送ることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0057】
各連結部230,330が、廃トナー収容器200の装着方向において対向するように設けられているので、各連結部が左右方向で対向するものに比べ、構造を簡易化することができる。
【0058】
各連結部230,330が、第2搬送経路420で搬送される用紙Pの幅よりも外側に設けられているので、各連結部230,330からトナーがこぼれても、用紙Pが汚れるのを抑制できる。
【0059】
各連結部230,330を着脱させると、各蓋231,331が連動して動いて孔232,332が自動的に開閉されるので、例えば廃トナー収容器の装着後に別に設けた操作部材により蓋を開閉させる構造に比べ、操作の利便性を向上させることができる。また、蓋がない構造に比べ、各連結部230,330からのトナー漏れを抑えることができる。
【0060】
第1給紙ローラ42側から送られてくる用紙Pが、中間転写ベルト91と2次転写ローラ93との間に突入する前に、中間転写ベルト91の第3面913に当接するので、第3面913と用紙Pとの間での放電を抑制することができる。
【0061】
楔形の中間転写ベルト91と楔形の廃トナー収容器200とを合わせて全体として長方形状とすることができるので、無駄なスペースを無くして筐体2を上下に小型化することができる。
【0062】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、ドロワ80の着脱用の第1開口部21Aと、廃トナー収容器200の着脱用の第2開口部21Bとを別々に形成し、それぞれの開口部21A,21Bにカバー22A,22Bを設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ドロワと廃トナー収容器の両方の着脱用となる1つの開口部を形成し、この開口部に1つのカバーを設けるように構成してもよい。
【0063】
前記実施形態では、一側面を前面21としたが、本発明はこれに限定されず、例えば左右のどちらかの側面であってもよい。
前記実施形態では、感光体として感光ドラム71Aを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
【0064】
なお、クリーニング装置や連結部材などの構造は、適宜変更可能であり、例えば、前記実施形態に係るクリーニング装置100から回収ローラ120を除いてクリーニング装置を構成してもよいし、前記実施形態に係る連結部材300からバネオーガ320を除いて連結部材を構成してもよい。また、各連結部として、例えば、孔が形成される面に沿ってスライドする蓋を有する構造を採用してもよい。
【0065】
前記実施形態では、軸方向搬送部材として螺旋状の羽を有するオーガ130を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばバネオーガなどであってもよい。
【0066】
前記実施形態では、カラー複合機1に本発明を適用したが、その他の画像形成装置、例えば複写機やカラープリンタなどに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0067】
前記実施形態では、1次転写手段として1次転写ローラ92を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば導電性ブラシや導電性板バネなど、転写バイアスが印加されるものであればよい。
【符号の説明】
【0068】
1 カラー複合機
2 筐体
21 前面
21B 第2開口部
22B 第2フロントカバー
25 後面
42 第1給紙ローラ
71A 感光ドラム
91 中間転写ベルト
92 1次転写ローラ
93 2次転写ローラ
100 クリーニング装置
200 廃トナー収容器
300 連結部材
410 第1搬送経路
420 第2搬送経路
423 第2給紙ローラ
P 用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が一側面に形成された筐体と、
前記開口部を開閉するカバーと、
前記筐体に収容される複数の感光体と、
前記複数の感光体に対向し、内部に配置される複数の1次転写手段によって各感光体上のトナーが転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトのうち前記開口部とは反対側に配置され、前記中間転写ベルト上のトナーを記録シートに転写させる2次転写ローラと、
前記筐体の前記一側面とは反対側の他側面側に設けられ、記録シートを前記2次転写ローラに向けて搬送する第1給紙ローラと、
前記複数の感光体のうち前記中間転写ベルトの移動方向の最上流側の感光体と前記2次転写ローラとの間に配置され、前記中間転写ベルト上に付着したトナーを除去するクリーニング装置と、
前記開口部を通して前記筐体に着脱可能であり、前記中間転写ベルトの前記感光体が面する側とは反対側に配置され、内部にトナーを収容可能な廃トナー収容器と、
前記クリーニング装置に連結されるとともに前記廃トナー収容器が着脱可能であり、前記クリーニング装置で除去したトナーを前記廃トナー収容器に搬送する連結部材と、を備える画像形成装置であって、
前記第1給紙ローラから前記2次転写ローラまでの第1搬送経路に合流し、かつ、前記一側面側から前記他側面側に延びる手差し用の第2搬送経路が、前記中間転写ベルトと前記廃トナー収容器との間に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記廃トナー収容器における前記第2搬送経路と対向する部位は、前記記録シートを案内する搬送ガイドであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の感光体を保持し、前記筐体に収容された第1の位置と、前記開口部または前記一側面のうち前記開口部とは別に形成された開口から前記筐体外に引き出された第2の位置とに移動可能に設けられた保持部材を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング装置は、前記感光体の軸方向の一端に向けてトナーを搬送する軸方向搬送部材を備え、
前記連結部材は、前記軸方向の一端側に形成される前記中間転写ベルトと前記筐体との隙間を通って前記廃トナー収容器に連結され、前記軸方向搬送部材で軸方向の一端に搬送されてきたトナーを前記廃トナー収容器に搬送することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記廃トナー収容器および前記連結部材には、互いに連結可能な連結部が設けられ、
各連結部が、前記連結部材に対する前記廃トナー収容器の装着方向において対向するように設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記各連結部は、前記第2搬送経路で搬送される記録シートの幅よりも外側に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記各連結部は、
前記装着方向に進退可能な蓋と、
当該蓋によって開閉される孔と、
当該孔を塞ぐ閉位置に前記蓋を付勢する付勢部材と、
前記廃トナー収容器の前記連結部材への装着時に前記蓋を前記付勢部材の付勢力に抗して押す壁部とを備えていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間転写ベルトは、
前記複数の感光体および前記クリーニング装置に対向して水平方向に延びる第1面と、
前記第1面の前記一側面側から斜め下方向に延びる第2面と、
前記第1面の前記他側面側から斜め下方向に延びて前記第2面に繋がる第3面とを有するように側面視楔形に張られており、
前記第1給紙ローラ側から送られてくる記録シートは前記第3面に当接するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記廃トナー収容器は、前記第2面に沿うように対向する対向面と、前記第1面に対して平行となる平行面とを有する側面視楔形に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
筐体と、
前記筐体に収容される複数の感光体と、
前記複数の感光体に対向し、内部に配置される複数の1次転写手段によって各感光体上のトナーが転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルト上のトナーを記録シートに転写させる2次転写ローラと、
記録シートを前記2次転写ローラに向けて搬送する第1給紙ローラと、
前記中間転写ベルト上に付着したトナーを回収する廃トナー収容器と、を備え、
前記第1給紙ローラから前記2次転写ローラまでの第1搬送経路に合流する手差し用の第2搬送経路が設けられ、
前記第2搬送経路の一部が、前記廃トナー収容器で形成されていることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−209432(P2011−209432A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75628(P2010−75628)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】