説明

画像形成装置

【課題】ユーザーの待ち時間を増加させることなく、基準シフト量を適切に補正することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】補正シフト量(V1_ref、V2_ref)を補正する補正処理(S10〜S15)にて、今回比較値Vtを、前回比較値Vt"に対して閾値V_diffを加算又は減算した値に補正する処理、及び、基準シフト量を、読取出力Vt’と補正後の今回比較値Vtとの差分と同じ値に補正する処理を実施するように、制御部を構成した。これにより、線速を変化させながら読取出力Vt’を取得する処理を実施することなく、基準シフト量を適切に補正するので、ユーザーの待ち時間の増加を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像手段内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段による検知結果に基づいて、現像手段に対するトナーの補給を制御する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置内に収容したトナーと磁性キャリアとを含有する現像剤によって潜像を現像する画像形成装置においては、現像に伴ってトナーを消費する現像剤のトナー濃度(重量%)を、次のようにして制御するのが一般的である。即ち、透磁率センサ等からなるトナー濃度センサからの出力値と、所定の出力目標値とを比較した結果に基づいて、トナー補給装置を駆動して、現像装置内に適量のトナーを補給することで、現像剤のトナー濃度を回復させるのである。
【0003】
かかる構成においては、現像剤のトナー濃度が一定であっても、現像剤中のトナーの嵩密度が変化すると、トナー濃度センサからの出力値(以下、センサ出力値という)が変化する。トナーの嵩密度を変化させる要因の一つとしては、動作速度モードの切り換えが挙げられる。具体的には、画像形成装置の中には、各機器を標準速度で駆動する標準モードの他に、各機器を低速駆動する低速モードや、高速駆動する高速モードなどの非標準モードを、ユーザーからの命令に基づいて切り替えて実行するものがある。この種の画像形成装置では、動作速度モードの切り換えによって現像装置内での現像剤の撹拌速度が変化するが、それに応じて現像剤中のトナーの嵩密度が変化する。このため、動作速度モードが切り替わると、現像剤のトナー濃度とセンサ出力値との関係を示すアルゴリズムが変化する。にもかかわらず、標準モード用のアルゴリズムによってトナー濃度を把握すると、把握結果と実際のトナー濃度との間に大きな誤差が生じてしまう。
【0004】
この誤差を低減する方法の1つとして、動作速度モードの変化に伴う現像剤の撹拌速度の変化量に基づいて、センサ出力値を補正する方法が挙げられる。具体的には、動作速度モードが変化すると、センサ出力値は、そのときの現像剤の撹拌速度の変化量に応じた分(基準シフト量)だけシフトする。このため、その基準シフト量を予め調べておき、動作速度モードを変化させたときに、センサ出力値を基準シフト量の加算又は減算によって補正するのである。
【0005】
ところが、センサ出力値の適切な基準シフト量は、経時的に変化してしまう。具体的には、流動性などといったトナーの物性が経時的に変化すると、それに応じて基準シフト量の適正値も変化する。そして、トナーの物性は、環境の変化、ストレスによるトナー粒子表面上での外添剤の状態変化、ストレスによる磁性キャリアのトナー帯電能力の変化などにより、経時的に変化してしまう。よって、センサ出力値の適切な基準シフト量は、経時的に変化してしまうのである。
【0006】
そこで、特許文献1に記載の画像形成装置においては、非標準モードである低速モードや超低速モードにおける基準シフト量を、次のようにして定期的に補正するようになっている。即ち、この画像形成装置は、現像剤のトナー濃度とセンサ出力値との関係を示すアルゴリズムとして、標準モードでの実験に基づいて構築したものを記憶している。標準モードにおいては、そのアルゴリズムに基づいてトナー濃度を正確に把握して、現像剤のトナー濃度を適切に調整することができる。動作速度モードが標準モードから低速モードや超低速モードに切り替わると、低速モード用の基準シフト量や超低速モード用の基準シフト量を減じることで、センサ出力値を補正する。そして、補正後出力値と、前回の低速モードや超低速モードで記憶しておいた補正後出力値との差分を算出する。基準シフト量がそのときのトナーの物性に見合ったものでなくなると、前述の差分が閾値を超える。そこで、差分が閾値を超える場合には、後にシフト量補正処理を実行するために、処理実行フラグをセットする。そして、今回の低速モードや超低速モードにおいては、補正前の基準シフト量を用いてセンサ出力値を補正するが、その後、シフト量補正処理を実行して、低速モード用の基準シフト量と、超低速モード用の基準シフト量とをそれぞれ補正する。シフト量補正処理においては、まず、標準モードにおけるセンサ出力値を取得した後、低速モード、超低速モードでそれぞれセンサ出力値を取得する。そして、標準モードと低速モードとのセンサ出力値の差を、補正後の低速モード用の基準シフト量として記憶する。また、標準モードと超低速モードとのセンサ出力値の差を、補正後の超低速モード用の基準シフト量として記憶する。これにより、低速モード用の基準シフト量や、超低速モード用の基準シフト量を、それぞれトナーの物性に見合った適切な値に補正することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような基準シフト量の補正は、装置設置直後の初回運転時などでは、基準シフト量を正確に適正値に補正する上で有効である。しかし、その後の定常運転時には、動作速度モードを順次変化させていくシフト量補正処理の実施によってユーザーの待ち時間を増加させることによるデメリットが目立ってくる。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、定常運転時において、動作速度モードを順次変化させていくシフト量補正処理の実施によってユーザーの待ち時間を増加させることなく、基準シフト量を適切に補正することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、剤収容部に収容しているトナー及び磁性キャリアを含有する現像剤を撹拌手段によって撹拌しながら、該現像剤を用いて前記潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、前記剤収容部に収容されている現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、前記現像手段にトナーを補給するトナー補給手段と、前記撹拌手段を標準速度で駆動しながら画像を形成する標準画像形成動作の実施中には、前記トナー濃度検知手段からの出力値をそのまま所定の出力目標値と比較する比較値として採用し、比較結果に基づいて前記トナー補給手段の駆動を制御する一方で、前記撹拌手段を標準速度とは異なる速度で駆動しながら画像を形成する非標準画像形成動作の実施中には、前記出力値に所定の基準シフト量を加算又は減算した値を、前記出力目標値と比較する比較値として採用し、比較結果に基づいて前記トナー補給手段の駆動を制御する補給制御手段と、前記標準画像形成動作の実施後に、前記非標準画像形成動作の実施を求める命令がなされ、且つ、該命令よりも前の直近の前記標準画像形成動作で採用された前記比較値である前回比較値と、今回の非標準画像形成動作で採用する前記比較値である今回比較値との差分が所定の閾値を超える場合に、前記基準シフト量を補正するための補正処理を実施する補正手段とを備える画像形成装置において、前記補正処理にて、前記前回比較値に対して前記閾値を加算又は減算した値と、前記出力値との差分と同じ値に、前記基準シフト量を補正する処理を実施するように、前記補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記補正処理にて、前記出力値に対して補正前の前記基準シフト量を加算又は減算した値から、前記前回比較値を減じた値がゼロよりも大きい場合には、前記前回比較値に対して前記閾値を加算した値と、前記出力値との差分と同じ値に、前記基準シフト量を補正する一方で、前記出力値に対して補正前の前記基準シフト量を加算又は減算した値から、前記前回比較値を減じた値がゼロよりも小さい場合には、前記前回比較値から前記閾値を減算した値と、前記出力値との差分と同じ値に、前記基準シフト量を補正する前記補正処理を実施するように、前記補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、少なくとも、前記潜像担持体、潜像形成手段及び現像手段からなる作像手段の作像能力を把握するための作像能力把握処理と、該作像能力把握処理で把握した作像能力に基づいて、前記出力目標値を補正する処理を実施するように、前記補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、前記閾値として、前記出力目標値を補正する処理における前記出力目標値の補正量よりも小さな値を採用するように、前記補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3又は4の画像形成装置において、前記出力目標値を補正した場合には、その補正量に応じた値に、前記閾値を補正する処理を実施するように、前記補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、互いに異なる色のトナーによって潜像を現像する複数の前記現像手段を設け、それぞれの現像手段について、トナーの補給を制御するように前記補給制御手段を構成し、且つ、それぞれの現像手段について、前記補正御を実施するように前記補正手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、次に説明する理由により、動作速度モードを順次変化させていくシフト量補正処理の実施によってユーザーの待ち時間を増加させることなく、基準シフト量を適切に補正することができる。即ち、例えば、互いに所定の時間間隔をあけて、低速モード(非標準画像形成動作)と、標準モード(標準画像形成動作)と、低速モードとが順に行われたとする。それらのモードのうち、標準モードでは、トナー濃度検知手段からの出力値を基準シフト量に基づいて補正する必要がないので、基準シフト量がトナーの物性に見合っているか否かにかかわらず、現像剤のトナー濃度が目標濃度とほぼ同等の濃度に調整される。また、2回目の低速モードが開始された直後は、まだ現像剤のトナーが消費されていないので、現像剤のトナー濃度がほぼ目標濃度になっている。標準モードを終了した時点から、2回目の低速モードを開始する直前までの期間に、トナーの物性が全く変化しなかった場合には、標準モードにおいて使用した比較値である前回比較値と、2回目の低速モードにおける比較値である今回比較値との差は、ゼロになる。トナーの物性が全く変わらない場合、2回目の低速モードにおける出力値そのものは、前回比較値に対して標準モードと低速モードとの速度差に応じた差をもっているが、その出力値に低速モード用の基準シフト量を加減した今回比較値は、標準モードのときの出力値である前回比較値と同じ値になるからである。これに対し、前回比較値と、低速モードにおける今回比較値との差が所定の閾値を超えた場合には、前回の標準モードを終了した時点から、2回目の低速モードを開始する直前までの期間に、トナーの物性が大きく変化し、それによって低速モード用の基準シフト量の不適切化が起こっている。このため、低速モード用の基準シフト量を補正する補正処理の実施が必要になる。このとき、補正しない状態の基準シフト量では、トナー濃度検知手段からの出力値をその基準シフト量の分だけシフトさせた今回比較値が適切な値からずれることになる。本発明では、補正処理において、前述の差が閾値を超えた場合には、前回比較値を閾値の分だけシフトさせた値を、今回比較値の適正値であると仮定する(以下、仮定適正値という)。そして、その仮定適正値と、トナー濃度センサからの出力値との差分と同じ値に、基準シフト量を補正する。閾値を大きく設定し過ぎると、補正後の基準シフト量は過剰に大きな値になってしまうが、閾値をある程度小さな値に設定しておけば、補正後の基準シフト量を過剰な値にすることはない。但し、補正後の基準シフト量が適正量よりも不足気味になる可能性はある。不足気味になった場合、以降の画像形成動において、標準モードから低速モードへのモード移行が再び発生した時点で、基準シフト量の補正の必要性が再び検出されて、不足分の全て又は一部を補う補正が行われることになる。従って、たとえ初回の補正で基準シフト量を適正量から不足させたとしても、その後の補正で、基準シフト量を適正量に補正していくことができる。以上のように、本発明では、補正処理において、動作速度モードを順次変化させる従来のシフト量補正用制御を実行することなく基準シフト量を適切に補正することが可能なので、同シフト量補正用制御の実施によるユーザーの待ち時間の増加を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタにおけるYトナー像を生成するためのプロセスユニットの構成を示す拡大概略図。
【図3】同プロセスユニットの外観を示す斜視図。
【図4】同プリンタの電気回路の一部を示すブロック図。
【図5】同プリンタにおけるY用のトナーボトルを示す斜視図。
【図6】同トナーボトルをボトル部とホルダー部とに分解した状態を示す斜視図。
【図7】同プリンタのトナー補給装置を示す斜視図。
【図8】同トナー補給装置に装着された状態のトナーボトルと、その周囲構成とを示す概略構成図。
【図9】同プリンタの制御部によって実施される作像性能調整処理の処理フローを示すフローチャート。
【図10】中間転写ベルト上に形成されたパッチパターンを示す模式図。
【図11】標準モードにおける読取出力Vt’と現像剤のトナー濃度との関係の一例を示すグラフ。
【図12】トナー濃度が一定であるという条件のもとで測定される、読取出力Vt’とプロセス線速との関係の一例を示すグラフ。
【図13】制御部によって実施される比較値算定処理の制御フローを示すフローチャート。
【図14】制御部によって実施されるシフト量補正処理の制御フローを示すフローチャート。
【図15】閾値V_diffが出力目標値Vtrefよりも大きい場合におけるセンサ出力の挙動を説明する模式図。
【図16】閾値V_diffが出力目標値Vtrefよりも小さい場合におけるセンサ出力の挙動を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す。)用の4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、C、M、Kのトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0013】
図2は、Yトナー像を生成するためのプロセスユニット1Yの構成を示す概略図である。また、図3は、プロセスユニット1Yの外観を示す斜視図である。これらの図において、プロセスユニット1Yは、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。感光体ユニット2Y及び現像ユニット7Yは、図3に示すように、プロセスユニット1Yとして一体的にプリンタ本体に対して着脱可能に構成されている。ただし、プリンタ本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを図示しない感光体ユニットに対して着脱することができる。
【0014】
感光体ユニット2Yは、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、図示しない除電装置、帯電装置5Yなどを有している。帯電手段としての帯電装置5Yは、図示しない駆動手段によって図2中時計回り方向に回転駆動する感光体3Yの表面を帯電ローラ6Yにより一様帯電させる。具体的には、図3において、反時計回りに回転駆動する帯電ローラ6Yに対して図示しない電源から帯電バイアスを印加し、その帯電ローラ6Yを感光体3Yに近接又は接触させることで、感光体3Yを一様帯電させる。なお、帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシ等の他の帯電部材を近接又は接触させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャのように、チャージャ方式によって感光体3Yを一様帯電させるものを用いてもよい。帯電装置5Yによって一様帯電した感光体3Yの表面は、後述する潜像形成手段としての光書込ユニット20から発せられるレーザー光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
【0015】
現像手段としての現像ユニット7Yは、図2に示すように、現像剤搬送手段としての第1搬送スクリュウ8Yが配設された第1剤収容室9Yを有している。また、トナー濃度検出手段としての透磁率センサからなるトナー濃度センサ10Y、現像剤搬送手段としての第2搬送スクリュウ11Y、現像剤担持体としての現像ロール12Y、現像剤規制部材としてのドクターブレード13Yなどが配設された第2剤収容室14Yも有している。循環経路を形成しているこれら2つの剤収容室内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる二成分現像剤である図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ8Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、第1剤収容室9Y内のY現像剤を図2中における図紙面に直交する方向の手前側へ搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1搬送スクリュウ8Yの上方に固定されたトナー濃度センサ10Yによって、第1剤収容室9Yにおけるトナー補給口17Yに対向する箇所(以下「補給位置」という。)よりも現像剤循環方向下流側に位置する所定の検出箇所を通過するY現像剤のトナー濃度が検知される。そして、第1搬送スクリュウ8Yにより第1剤収容室9Yの端部まで搬送されたY現像剤は、連通口18Yを経て第2剤収容室14Y内に進入する。
【0016】
第2剤収容室14Y内の第2搬送スクリュウ11Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、Y現像剤を図3中の奥側へ搬送する。このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ11Yの図3中上方には、現像ロール12Yが第2搬送スクリュウ11Yと平行な姿勢で配設されている。この現像ロール12Yは、図3中反時計回り方向に回転駆動する非磁性スリーブからなる現像スリーブ15Y内に固定配置されたマグネットローラ16Yを内包した構成となっている。第2搬送スクリュウ11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの発する磁力によって現像スリーブ15Yの表面に汲み上げられる。そして、現像スリーブ15Yの表面と所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像スリーブ15Yの回転に伴って第2搬送スクリュウ11Y上に戻される。そして、第2搬送スクリュウ11Yにより第2剤収容室14Yの端部まで搬送されたY現像剤は、連通口19Yを経て第1剤収容室9Y内に戻る。このようにして、Y現像剤は現像ユニット内を循環搬送される。
【0017】
図4は、本プリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。トナー濃度センサ10YによるY現像剤のトナー濃度の検出結果は、電気信号として図示しない制御部100に送られる。この制御部100は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)、データ記憶手段であるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成され、各種の演算処理や、制御プログラムの実行を行うことができる。制御部100は、RAMの中にトナー濃度センサ10Yからの出力電圧の目標値であるY用の目標電圧Vtrefや、他の現像ユニット7C,7M,7Kに搭載された各トナー濃度センサ10C,10M,10Kからの出力電圧の目標値であるC,M,K用の目標電圧Vtrefのデータをそれぞれ格納している。Y用の現像ユニット7Yについては、トナー濃度センサ10Yからの出力電圧の値とY用の目標電圧Vtrefを比較し、比較結果に応じた量のYトナーをY用の現像ユニットに補給するように、トナー補給装置70を駆動する。これにより、現像に伴うYトナーの消費によってYトナー濃度が低下したY現像剤に対し、適量のYトナーが供給される。このため、第2剤収容室14Y内のY現像剤のトナー濃度は目標トナー濃度範囲内に維持される。他色用の現像ユニット7C,7M,7K内における現像剤についても同様である。
【0018】
先に示した図1において、感光体3Y上に形成されたYトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト41に中間転写される。感光体ユニット2Yのドラムクリーニング装置4Yは、中間転写工程を経た後の感光体3Yの表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体3Yの表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色用のプロセスユニット1C,1M,1Kにおいても、同様にして感光体3C,3M,3K上にCトナー像、Mトナー像、Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト41上に中間転写される。
【0019】
プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kの下方には、光書込ユニット20が配設されている。光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lを、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kの感光体3Y,3C,3M,3Kに照射する。これにより、感光体3Y,3C,3M,3K上には、それぞれY用、C用、M用、K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザー光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,3C,3M,3Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LEDアレイを採用したものを用いてもよい。
【0020】
光書込ユニット20の下方には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これらの給紙カセット内には、それぞれ、記録材である記録紙Pが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙Pには、第1給紙ローラ31a及び第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動すると、第1給紙カセット31内の一番上の記録紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動すると、第2給紙カセット32内の一番上の記録紙Pが給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。また、給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、搬送ローラ対34から送られてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0021】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kの図中上方には、中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動させる転写ユニット40が配設されている。転写ユニット40は、中間転写ベルト41のほか、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,45C,45M,45K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これらのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動する。4つの1次転写ローラ45Y,45C,45M,45Kは、このように無端移動する中間転写ベルト41を感光体3Y,3C,3M,3Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の内周面にトナーとは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY用、C用、M用、K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、その外周面に感光体3Y,3C,3M,3K上の各色トナー像が重なり合うように1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0022】
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで2次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で記録紙Pに一括2次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0023】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させており、これによってベルト上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
【0024】
なお、転写ユニット40の第1ブラケット43は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ48の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。本実施形態のプリンタは、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第1ブラケット43を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY用、C用、M用の1次転写ローラ45Y,45C,45Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY用、C用、M用の感光体3Y,3C,3Mから離間させる。そして、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Kのうち、K用のプロセスユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY用、C用、M用のプロセスユニットを無駄に駆動させることによるそれらプロセスユニットの消耗を回避することができる。
【0025】
2次転写ニップの図中上方には、定着手段としての定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62とを備えている。定着ベルトユニット62は、定着ベルト64、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト64を加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63の掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
【0026】
定着ベルト64のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ63に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ61に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が約140℃に維持される。2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が記録紙Pに定着する。
【0027】
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
【0028】
転写ユニット40の上方には、Yトナー、Cトナー、Mトナー、Kトナーをそれぞれ収容する4つのトナー収容器であるトナーボトル72Y,72C,72M,72Kが配設されている。トナーボトル72Y,72C,72M,72K内の各色トナーは、トナー補給装置70により、それぞれ、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kの現像ユニット7Y,7C,7M,7Kに適宜供給される。トナーボトル72Y,72C,72M,72Kは、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
【0029】
図5は、Y用のトナーボトル72Yを示す斜視図である。同図において、Y用のトナーボトル72Yは、粉体としての図示しないYトナーを収容する粉体収容部たるボトル状のボトル部73Yと、粉体排出部たる円筒状のホルダー部74Yとを備えている。ホルダー部74Yは、図6に示すように、ボトル状のボトル部73Yの頭部に係合して、ボトル部73Yを回転自在に保持する。ボトル部73Yの内周面には、容器の外側から内側に向けて突出するスクリュウ状の螺旋突起がボトル軸線方向に延在するように形成されている。
【0030】
図7は、本プリンタにおけるトナー補給装置を示す斜視図である。同図において、トナー補給手段としてのトナー補給装置は、4つのトナーボトル72K,Y,C,Mを載置するボトル載置台95、それぞれのボトル部を個別に回転駆動するボトル駆動部96などを備えている。ボトル載置台95上にセットされたトナーボトル72K,Y,C,Mは、それぞれホルダー部をボトル駆動部96に係合させている。図中矢印X1で示すように、ボトル駆動部96に係合しているトナーボトル72Mをボトル載置台95上でボトル駆動部96から遠ざける方向にスライド移動させると、トナーボトル72Mのホルダー部74Mがボトル駆動部96から外れる。このようにして、トナー補給装置からトナーボトル72Mを取り外すことができる。また、トナーボトル72Mが装着されていない状態のトナー補給装置において、図中矢印X2で示すように、ボトル載置台95上でトナーボトル72Mをボトル駆動部96に近づける方向にスライド移動させると、トナーボトル72Mのホルダー部74Mがボトル駆動部96に係合する。このようにして、トナー補給装置にトナーボトル72Mを装着することができる。他色用のトナーボトル72K,Y,Cについても、同様の操作を行うことでトナー補給装置に脱着することができる。
【0031】
トナーボトル72Y,C,M,Kのボトル部73K,Y,C,Mの頭部外周面には、それぞれ図示しないギヤ部が形成されているが、このギヤ部はホルダー部74K,Y,C,Mに覆い隠されている。但し、ホルダー部74K,Y,C,Mの周面の一部には、ギヤ部を部分的に露出させるための図示しない切り欠きが形成されおり、ギヤ部はこの切り欠きから自らの一部を露出させている。トナーボトル72K,Y,C,Mのホルダー部74K,Y,C,Mがボトル駆動部96に係合すると、ボトル駆動部96に設けられた図示しないK,Y,C,M用のボトル原動ギヤが、前述の切り欠きを介してボトル部73K,Y,C,Mのギヤ部に噛み合う。そして、ボトル駆動部96のK,Y,C,M用のボトル原動ギヤが図示しない駆動系によって回転駆動することで、ボトル部73K,Y,C,Mがホルダー部74K,Y,C,M上で回転駆動される。
【0032】
先に示した図5において、ボトル部73Yがこのようにしてホルダー部74Y上で回転せしめられると、ボトル部73Y内のYトナーが上述のスクリュウ状の螺旋突起に沿ってボトル底側からボトル頭部側に向けて移動する。そして、粉体を収容する収容体たるボトル部73Yの先端に設けられた図示しないボトル開口を通って、円筒状のホルダー部74Y内に流入する。
【0033】
図8は、図示しないトナー補給装置に装着された状態のトナーボトルと、その周囲構成とを示す概略構成図である。同図において、トナーボトルは、ホルダー部74Yの箇所で破断した横断面が示されている。上述したように、このホルダー部74Yには、ホルダー部74Yよりも図中奥側に存在している図示しないボトル部が回転駆動することで、ボトル部内のYトナーが送り込まれてくる。トナーボトルのホルダー部74Yは、トナー補給装置のホッパ部76Yに係合している。このホッパ部76Yは、図紙面に直交する方向に扁平な形状に構成され、同図においては、中間転写ベルト41の手前側に位置している。ホルダー部74Yの底に形成されているトナー排出口75Yと、トナー補給装置のホッパ部76Yに形成されているトナー受入口とは、互いに連通している。トナーボトルのボトル部からホルダー部74Yに送り込まれたYトナーは、自重によってホッパ部76Y内に落とし込まれる。ホッパ部内では、回転可能な回転軸部材77Yに固定された可撓性に富んだ押圧フィルム78Yが回転軸部材77Yとともに回転する。ホッパ部76Yの内壁には、ホッパ部内におけるトナーの有無を検知する圧電素子からなるトナー検知センサ82が固定されている。PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等からなる押圧フィルム78Yは、その回転に伴ってYトナーをトナー検知センサ82の検知面に向けて押圧する。これにより、トナー検知センサ82がホッパ部76Y内のトナーを良好に検知することが可能になる。トナーボトルのボトル部の回転駆動制御は、このトナー検知センサ82がYトナーを良好に検知するようになるように行われる。よって、ボトル部内にトナーが十分に存在している限り、ボトル部からホルダー部74Yを介してホッパ部76Y内に十分量のYトナーが落とし込まれて、ホッパ部76Y内は十分量のトナーで満たされる。この状態から、ボトル部を頻繁に回転させているにもかかわらず、トナー検知センサ82によってYトナーが検知され難くなる状態に変化すると、図示しない制御部は、ボトル部内のYトナーが残り僅かであるとみなして、「トナーニアエンド」の警報をユーザーに報知する。
【0034】
ホッパ部76Yの下部には、横搬送管79Yが接続されており、ホッパ部76Y内のYトナーは、自重によってテーパーを滑り落ちでこの横搬送管79Y内に落とし込まれる。横搬送管79Y内には、トナー補給スクリュウ80Yが配設されており、その回転駆動に伴って、Yトナーを横搬送管79Yの長手方向に沿って横搬送する。
【0035】
横搬送管79Yの長手方向の一端部には、落下案内管81Yが鉛直方向に延在する姿勢で接続されている。この落下案内管81Yの下端は、現像ユニット7Yの第1剤収容室9Yのトナー補給口17Yに接続されている。横搬送管79Y内のトナー補給スクリュウ80Yが回転すると、横搬送管79Yの長手方向の一端部まで搬送されたYトナーが、落下案内管81Yとトナー補給口17Yとを通じて現像ユニット7Yの第1剤収容室9Y内に落下する。これにより、第1剤収容室9Y内にYトナーが補給される。他色(C,M,K)においても、同様にしてトナーが補給される。
【0036】
本プリンタの制御部(100)は、プリンタの電源投入直後、ユーザーからのプリント命令を長時間待機した後のプリントジョブを開始する際、及び所定枚数のプリントを実施する毎に、作像性能調整処理を実施するようになっている。
【0037】
図9は、制御部によって実施される作像性能調整処理の処理フローを示すフローチャートである。この作像性能調整処理が実行される前提として、本プリンタは、各色の感光体、あるいは中間転写ベルト上に形成されたトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を、反射光量に基づいて検知する反射型フォトセンサからなる光学センサを備えている。そして、作像性能調整処理では、まず、この光学センサの校正を行う(S1)。具体的には、光学センサの発光素子から発した光を、トナー像のない無垢の部材表面上で反射させ、その反射光を受光する光学センサの受光素子からの出力電圧が所定の電圧になるように、発光素子の発光量(LED電流)を調整する。なお、無垢の部材表面とは、感光体の表面上のトナー像に対するトナー付着量を検知するように光学センサを配設した場合には、感光体表面のことを指す。また、中間転写ベルトの表面上のトナー像に対するトナー付着量を検知するように光学センサを配設した場合には、中間転写ベルト表面のことを指す。本プリンタでは、図10に示すように、各色についてそれぞれ、互いに単位面積あたりのトナー付着量が異なる5つのパッチトナー像を中間転写ベルト上に形成するので、パッチパターンは20個のパッチトナー像を具備するものになる。このパッチパターンを構成する20個のパッチトナー像に対するトナー付着量を、ベルトに対向させて配設した光学センサによって検知する。
【0038】
光学センサの校正を終えると、次に、所定のパッチパターンを形成する(S2)。具体的には、予め定められた形状の複数のパッチ状潜像を互いに異なる光書込強度で感光体に形成し、それらパッチ状潜像の電位を電位センサによって検知する。そして、それらパッチ状潜像を互いに異なる現像バイアス(現像ロールへの印加電圧)の条件で現像して所定のパッチトナー像を複数具備するパッチパターンを形成する。
【0039】
このようにしてパッチパターンを形成したら、次に、パッチパターン内の各パッチトナー像の表面上での反射光量を光学センサによって検知しながら(S3)、検知結果を順次、単位面積あたりのトナー付着量のデータに変換していく(S4)。なお、K,C,M,Yのパッチトナー像のうち、Kについては正反射光量のみ検知するのに対し、C,M,Yについては正反射光量と拡散反射光量との両方を検知している。
【0040】
各パッチトナー像に対するトナー付着量を求めたら、次に、その結果に基づいて現像γ(現像性能)を求める(S5)。具体的には、各パッチトナー像について、それぞれ潜像電位と現像バイアスとの電位差である現像ポテンシャルを算出した後、それぞれの現像ポテンシャルと、対応するパッチトナー像に対するトナー付着量との関係を示す直線近似式(傾きを現像γと呼び、x切片を現像開始電圧と呼ぶ)を最小二乗法によって求める。なお、直線近似の代わりに、2次近似曲線を求めてもよい。この場合、現像γについては、目標付着量を得る点における微分値とする。
【0041】
次に、この直線近似式において、狙いのトナー付着量を得るのに必要な現像ポテンシャルを特定した後、この現像ポテンシャルを実現し得る現像バイアスを算出する(S6)。具体的には、「現像バイアス[−V]=現像ポテンシャル−潜像電位[V]」という式に基づいて、現像バイアスを算出する。潜像電位は、−50[V]程度であるので、現像ポテンシャルから潜像電位を減じてプラス、マイナスの符号を逆転させた値になる。
【0042】
現像バイアスを算出したら、次に、感光体の一様帯電電位と、光書込ユニットの光書込強度とを算出する(S7)。一様帯電電位については、「一様帯電電位[V]=現像バイアス[−V]−200[V]」という式を用いる。この−200[V]という数値は、地肌汚れ防止のために現像バイアスをトナーの帯電極性側に所定量だけオフセットさせて設定する地肌ポテンシャルである。また、光書込強度については、感光体の一様帯電電位に応じた変換を実行する所定の変換式に基づいて、80〜120[%]の範囲で算出する。なお、以降のプリントジョブにおいては、算出した、現像バイアス、一様帯電電位、及び光書込強度の組合せを用いる。
【0043】
次に、トナー濃度の制御目標値である目標電圧Vtrefを補正する(S8)。具体的には、トナー付着量に基づいて算出した現像γ(以下、作像時現像γという)と、目標現像γとを比較し、作像時現像γが目標現像γよりも高かった場合には、目標電圧Vtrefをより大きな値に補正する(トナー濃度の目標値をより低くする)。作像時現像γが目標現像γよりも高かった場合には、それまでは目標現像γよりも高い現像γで作像を行っていたことになる。このような場合、以降のプリントジョブでは、それまでよりも現像γを低くすることになるので、それに合わせてトナー濃度の目標値も低くしなければならないからである。逆に、作像時現像γが目標現像γよりも低かった場合には、目標電圧Vtrefをより小さな値に補正する(トナー濃度の目標値をより高くする)。
【0044】
以上のような作像性能調整処理を実施することで、作像能力を安定化させることができる。なお、本プリンタにおいては、各感光体や中間転写ベルトなどを標準線速である205[mm/s]で駆動する標準モードの他、115[mm/s]の線速で駆動する低速モードや、77[mm/s]の線速で駆動する超低速モードを、ユーザーからの命令によって適宜実施するようになっている。作像性能調整処理については、各機器を標準線速で駆動した状態で行う。
【0045】
次に、トナー濃度センサについて説明する。
先に図4に示したトナー濃度センサ10Y,M,C,Kは、何れも透磁率センサからなるものである。トナー濃度センサ10Y,M,C,Kや、光学センサ110は、図示しないA/D変換器を介してI/Oボード111に接続されている。制御部100は、CPU100a、RAM100b、ROM100c等からなり、I/Oボード111を介してトナー補給装置70に制御信号を伝達する。RAM100bにはI/O111ボードから読み取ったセンサ出力値である読取出力Vt’を一時保存するVt’レジスタ、上述の出力目標値Vrefを記憶するVrefレジスタ、光学センサ110からの出力値である出力Vsを記憶するVsレジスタ等が設けられている。また、ROM100cには、トナー濃度制御プログラムや、後述する補正処理用のプログラムが記憶されている。
【0046】
図11は、標準モードにおける、トナー濃度センサからの読取出力Vt’と、現像剤のトナー濃度との関係の一例を示すグラフである。図示のように、読取出力Vt’とトナー濃度との関係は、一次関数のグラフで示すことができる。透磁率センサからの出力値である読取出力Vt’が小さくなるほど、現像剤のトナー濃度が高いことを示す。このような一次関数のグラフが成立することから、読取出力Vt’を出力目標値Vtrefに到達させるようにトナー補給量を制御することで、トナー濃度を目標濃度にすることができる。
【0047】
図12は、トナー濃度が9[wt%]で一定に保たれているという条件のもとで測定される、読取出力Vt’とプロセス線速との関係の一例を示している。同図において、プロセス線速が標準速度である205[mm/s]に設定されているときの読取出力Vt’は1.4[V]であるが、超低速モードの線速である77[mm/s]に設定されているときの読取出力Vt’は約2.5[V]まで上昇している。このように、同じトナー濃度の現像剤を被検対象にしているにもかかわらず、読取出力Vt’がプロセス線速に応じて大きく変化してしまうと、低速モードや超低速モードにおいて、トナー濃度を正確に把握することができなくなってしまう。
【0048】
図12に示したように、例えば超低速モードであれば、読取出力Vt’から1.1[V]を減ずることで、超低速モードにおける読取出力Vt’を、標準モードにおける読取出力Vt’に変換することができる。その1.1[V]というシフト量は、超低速モードの場合における基準シフト量であるが、低速モードなど、他の非標準モードにおいても、そのプロセス線速に見合った基準シフト量が存在する。また、図示の例では、非標準モードとして、標準モードよりもプロセス線速の遅いモードの例しか示していないが、標準モードよりもプロセス線速の速いモードでは、そのモードに見合った基準シフト量を読取出力Vt’に加算すればよい。
【0049】
そこで、本プリンタでは、低速モードにおいて、出力目標値と比較するための比較値Vtとして、読取出力Vt’から低速モード用基準シフト量V1_refを減じた値を採用することで、比較値Vtを低速モードの線速に見合った値にしている。また、超低速モードにおいて、出力目標値と比較するための比較値Vtとして、読取出力Vt’から超低速モード用基準シフト量V2_refを減じた値を採用することで、比較値Vtを超低速モードの線速に見合った値にしている。
【0050】
図13は、制御部によって実施される比較値算定処理の制御フローを示すフローチャートである。制御部は、トナー濃度を把握するために読取出力Vt’を取得すると(ステップ1:以下、ステップをSと記す)、次に、動作速度モードについて標準モードであるか否かを判定する(S2)。そして、標準モードである場合には(S2でY)、比較値Vtの値として、読取出力Vt’と同じ値を採用する(S3)。標準モードでは、基準シフト量に基づく読取出力Vt’の必要がないからである。一方、標準モードでない場合には(S2でN)、次に、標準モードから非標準モードへの切り換えがあったか否かを判定する(S4)。ここで、例えば、標準モードの画像形成動作が終了した後、複数頁に渡る連続出力を行う非標準モードの画像形成命令があったとする。この場合には、その非標準モードのそれぞれの記録紙に対応する複数のジョブにおいて、「切り換えがあった」と判定される。標準モードから非標準モードへの切り換えがなかった場合には(S4でN)、前回の画像形成命令に係る非標準モードと、今回の画像形成命令に係る非標準モードとの間に、標準モードを介在させていないことになり、トナー濃度を目標濃度あたりに適切に調整できているか否かわからない。よって、この場合、制御部は、基準シフト量の適否を判定することなく、読取出力Vt’から低速モード用基準シフト量V1_refあるいは超低速モード用基準シフト量V2_refを減じた値を、比較値Vtとして採用する。そして、それら基準シフト量を補正することなく、制御フローをリターンさせる。
【0051】
一方、標準モードから非標準モードへの切り換えがあった場合には(S4でY)、互いにある程度の時間間隔をおいてなされる非標準モードと非標準モードとの間に、標準モードを介在させていることになり、トナー濃度は目標濃度あたりに適切に調整できている。そこで、この場合、制御部は、基準シフト量の適否を判定して必要に応じて基準シフト量を補正するためのシフト量補正処理を実行する。
【0052】
図14は、制御部によって実施されるシフト量補正処理の制御フローを示すフローチャートである。制御部は、シフト量補正処理を開始すると、まず、前回比較値Vt"を取得する(S1)。この前回比較値Vt"は、今回の非標準モードの実行命令がなされる前の直近の標準モードで採用した比較値と同じ値である。前回比較値Vt"を取得すると、これから実施する非標準モードについて、超低速モードであるか否かを判断する(S2)。そして、超低速モードでない場合(S2でN)、即ち、低速モードである場合には、次の数1の式によって比較値差分Aを求める(S3)。また、超低速モードである場合(S2でY)には、次の数2の式によって比較値差分Aを求める(S4)。なお、数1の式における括弧内の計算の解は、次の数3に示すように、低速モードにおける今回比較値Vtである。また、数2の式における括弧内の計算の解は、次の数4に示すように、超低速モードにおける今回比較値Vtである。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【0053】
制御部は、S3又はS4の工程で比較値差分Aを算出すると、それについて、所定の閾値V_diffよりも大きいか否かを判定する(S5)。ここで、閾値よりも大きくない場合(S5でN)には、前回の非標準モード(低速モードであれば前回の低速モード、超低速モードであれば前回の超低速モード)から、今回の非標準モードに至るまでの期間に、トナーの物性がそれほど変化せず、基準シフト量が適切な値に維持されていることになる。そこで、この場合、カウント値をゼロにリセットした後(S6)、今回比較値Vtとして、通常通り、読取出力Vt’から基準シフト量を減じたものを採用する(S7〜S9)。
【0054】
一方、比較値差分Aと前回比較値Vt"との差分について、所定の閾値V_diffよりも大きい場合(S5でY)には、前回の非標準モードから今回の非標準モードに至るまでの期間に、トナーの物性が大きく変化して、基準シフト量が適切な値になっている可能性が高い。そこで、この場合、前述の差分が閾値V_diffよりも大きくなったという現象が5回以上連続したか否かを判定する(S10〜S11)。5回以上連続していない場合(S11でN)、前述の差分が閾値V_diffよりも大きくなった理由が、ノイズを拾ったり、現像剤の撹拌不十分な箇所を検知したなどに起因する突発的なものである可能性がある。そこで、5回以上連続していない場合には、前述の差分が閾値V_diffよりも大きくならなかった場合と同様の処理を行う(S7〜S9)。これに対し、5回以上連続した場合(S11でY)には、S12〜S17の処理を実施して、基準シフト量を補正する。
【0055】
具体的には、比較値差分Aが0よりも大きい場合には、前回比較値Vt"に前述の閾値V_diffを加算した値に、今回比較値Vtを補正する(S13)。また、比較値差分Aが0よりも大きい場合には、前回比較値Vt"から前述の閾値V_diffを減算した値に、今回比較値Vtを補正する(S14)。そして、基準シフト量(V1_refやV2_ref)を、読取出力Vt’から補正後の今回比較値Vt"を減じた値に補正する(S15〜S17)。このように、比較値差分Aが0よりも大きい場合には、今回比較値Vtについて、前回比較値Vt"を閾値V_diffの分だけシフトさせた値と同じであるとみなす。そして、その値と、読取出力Vt’との差分と同じ値に、基準シフト量を補正する。閾値V_diffをある程度小さな値に設定しておけば、このときの補正量が過剰になることはない。補正量を不足させる可能性はあるが、その場合、以降において、標準モードから非標準モードへのモード移行が再び発生した時点で、基準シフト量の補正の必要性を再び検出して、不足分の全て又は一部を補う補正を行うことになる。従って、たとえ初回の補正で補正量を不足させたとしても、その後の補正で、基準シフト量を適切な値にすることができる。以上のように、動作速度モードを順次変化させる必要のある従来のシフト量補正用制御フローを実行することなく基準シフト量を適切に補正することで、その実行によるユーザーの待ち時間の増加を解消する。よって、ユーザーの待ち時間を増加させることなく、基準シフト量を適切に補正することができる。本発明者らが、図1と同様の構成のプリンタ試験機を用いて実験を行ったところ、図14に示したフローで基準シフト量(V1_ref、V2_ref)を補正することで、基準シフト量の不適切化によって生ずるトナーの過剰補給や、トナー補給量不足を、大幅に改善することができた。
【0056】
上述したように、標準モードにおいては、作像性能調整処理によって出力目標値Vtrefが補正されることがある。本プリンタでは、次の表1に示すように、前述の閾値V_diffを、出力目標値Vtrefの補正量よりも小さく設定している。
【表1】

【0057】
閾値V_diffをこのように設定した理由は、次の通りである。即ち、上述の作像能力調整処理において、現像γが比較的高くなっていると判断された場合には、図15に示すように、出力目標値Vtrefがそれまでよりも大きい値に補正される。これにより、その後のトナー濃度は、それまでよりも低い値に維持されて、現像γがそれまでよりも低減されるようになる。ところが、このようにして出力目標値Vtrefを補正すると、その後の非標準モードにおいて、基準シフト量(V1_refやV2_ref)が適正値よりも大きくなり過ぎるので、基準シフト量がより小さい値に補正される。このとき、その補正量が出力目標値Vtrefの補正量よりも大きいと、今回比較値Vtが出力目標値Vtrefを上回って(図中の下向きの矢印が図中の上向きの矢印よりも大きくなる結果)、トナー濃度が目標よりも低いと判断されて、トナー補給がなされてしまうおそれがある。そこで、前述の閾値V_diffを、出力目標値Vtrefの補正量よりも小さく設定している。すると、図16に示すように、今回比較値Vtが出力目標値Vtrefを必ず下回るようになる。よって、閾値V_diffを、出力目標値Vtrefの補正量よりも大きく設定したことに起因するトナー濃度の過多の発生を回避することができる。
【0058】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した実施例のプリンタについて説明する。実施例に係るプリンタの作像性能調整処理における現像γと、目標出力値Vtrefとの関係を次の表2に示す。なお、閾値V_diffは、作像調整処理において採用されるものではなく、その後の非標準モード時に採用されるものであるが、表2では便宜上、閾値V_diffも一緒に示している。
【表2】

【0059】
表2に示すように、実施例に係るプリンタでは、作像性能調整処理にて測定した現像γに応じて、出力目標値Vtrefの補正量を異ならせるようにしている。これにより、作像性能を、より現像γに見合ったものに調整することができる。そして、本プリンタでは、前述の補正量よりも閾値を大きくしないように、補正量に応じた閾値を選択するようになっている。かかる構成では、現像γに応じて出力目標値Vtrefの補正量を異ならせても、閾値をその補正量よりも小さく維持して、閾値V_diffを、出力目標値Vtrefの補正量よりも大きく設定したことに起因するトナー濃度の過多の発生を回避することができる。
【0060】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、基準シフト量を補正する補正処理(図14のS10〜S15)にて、読取出力Vt’に対して補正前の基準シフト量を減算した値から、前回比較値Vt"を減じた値である比較値差分Aがゼロよりも大きい場合には、前回比較値Vt"に対して閾値V_diffを加算した値と、読取出力Vt’との差分と同じ値に、基準シフト量を補正する。この一方で、読取出力Vt’に対して補正前の基準シフト量を減算した値から、前回比較値Vt"を減じた値がゼロよりも小さい場合には、前回比較値Vt"から閾値V_diffを減算した値と、読取出力Vt’との差分と同じ値に、基準シフト量を補正する。かかる構成では、比較値差分Aをゼロよりも大きくするようなトナーの物性変化が起きた場合には、前回比較値Vt"に閾値V_diffを加算することで基準シフト量をより大きくしてその適正化を図る一方で、比較値差分Aをゼロよりも小さくするようなトナーの物性変化が起きた場合には、前回比較値Vt"から閾値V_diffを減じることで基準シフト量をより小さくしてその適正化を図ることができる。
【0061】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、感光体、光書込ユニット20及び現像ユニットからなる作像手段の作像能力を把握する作像能力把握処理としての作像性能調整処理と、それで把握した作像能力である現像γに基づいて、出力目標値Vtrefを補正する処理を実施するように、補正手段たる制御部100を構成している。かかる構成では、現像γが変化しても、それに応じて出力目標値Vtrefを補正して、画質の安定化を図ることができる。
【0062】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、閾値V_diffとして、出力目標値Vterefを補正する処理における出力目標値Vtrefの補正量よりも小さな値を採用するように、制御部100を構成している。かかる構成では、既に説明したように、閾値V_diffを、出力目標値Vtrefの補正量よりも大きく設定したことに起因するトナー濃度の過多の発生を回避することができる。
【0063】
また、実施例に係るプリンタにおいては、出力目標値Vtrefを補正した場合には、その補正量に応じた値に、閾値v_diffを補正する処理を実施するように、制御部100を構成している(表2)。かかる構成では、現像γに応じて出力目標値Vtrefの補正量を異ならせても、閾値をその補正量よりも小さく維持して、閾値V_diffを、出力目標値Vtrefの補正量よりも大きく設定したことに起因するトナー濃度の過多の発生を回避することができる。
【符号の説明】
【0064】
3Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
7Y:現像ユニット(現像手段)
8Y:第1搬送スクリュウ(撹拌手段)
10Y,M,C,K:トナー濃度センサ(トナー濃度検知手段)
11Y:第2搬送スクリュウ(撹拌手段)
20:光書込ユニット(潜像形成手段)
70:トナー補給装置(トナー補給手段)
100:制御部(補給制御手段、補正手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2007−57621号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体と、
該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
剤収容部に収容しているトナー及び磁性キャリアを含有する現像剤を撹拌手段によって撹拌しながら、該現像剤を用いて前記潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、
前記剤収容部に収容されている現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、
前記現像手段にトナーを補給するトナー補給手段と、
前記撹拌手段を標準速度で駆動しながら画像を形成する標準画像形成動作の実施中には、前記トナー濃度検知手段からの出力値をそのまま所定の出力目標値と比較する比較値として採用し、比較結果に基づいて前記トナー補給手段の駆動を制御する一方で、前記撹拌手段を標準速度とは異なる速度で駆動しながら画像を形成する非標準画像形成動作の実施中には、前記出力値に所定の基準シフト量を加算又は減算した値を、前記出力目標値と比較する比較値として採用し、比較結果に基づいて前記トナー補給手段の駆動を制御する補給制御手段と、
前記標準画像形成動作の実施後に、前記非標準画像形成動作の実施を求める命令がなされ、且つ、該命令よりも前の直近の前記標準画像形成動作で採用された前記比較値である前回比較値と、今回の非標準画像形成動作で採用する前記比較値である今回比較値との差分が所定の閾値を超える場合に、前記基準シフト量を補正するための補正処理を実施する補正手段とを備える画像形成装置において、
前記補正処理にて、前記前回比較値に対して前記閾値を加算又は減算した値と、前記出力値との差分と同じ値に、前記基準シフト量を補正する処理を実施するように、前記補正手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記補正処理にて、前記出力値に対して補正前の前記基準シフト量を加算又は減算した値から、前記前回比較値を減じた値がゼロよりも大きい場合には、前記前回比較値に対して前記閾値を加算した値と、前記出力値との差分と同じ値に、前記基準シフト量を補正する一方で、前記出力値に対して補正前の前記基準シフト量を加算又は減算した値から、前記前回比較値を減じた値がゼロよりも小さい場合には、前記前回比較値から前記閾値を減算した値と、前記出力値との差分と同じ値に、前記基準シフト量を補正する前記補正処理を実施するように、前記補正手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
少なくとも、前記潜像担持体、潜像形成手段及び現像手段からなる作像手段の作像能力を把握するための作像能力把握処理と、該作像能力把握処理で把握した作像能力に基づいて、前記出力目標値を補正する処理を実施するように、前記補正手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
前記閾値として、前記出力目標値を補正する処理における前記出力目標値の補正量よりも小さな値を採用するように、前記補正手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4の画像形成装置において、
前記出力目標値を補正した場合には、その補正量に応じた値に、前記閾値を補正する処理を実施するように、前記補正手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、
互いに異なる色のトナーによって潜像を現像する複数の前記現像手段を設け、それぞれの現像手段について、トナーの補給を制御するように前記補給制御手段を構成し、且つ、それぞれの現像手段について、前記補正御を実施するように前記補正手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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