説明

画像形成装置

【課題】写真画質及び白黒文字画像の鮮鋭性(MTF)を向上させ、かつ消費電力を低減させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、透明色のそれぞれに対応する5つの感光体ドラム(2030K、2030M、2030Y、2030C、2030T)と、ブラックの潜像を形成する光走査装置2010Kと、ブラックを除く4色の各潜像を形成する光走査装置2010Aなどを備えている。そして、光走査装置2010Aは、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて光束を偏向するポリゴンミラーを有し、光走査装置2010Kの光源は、32個の発光部を有する面発光レーザアレイを含み、光走査装置2010Aの各光源は、いずれも4個の発光部を有するLDアレイを含んでいる。この場合、光走査装置2010Kは、副走査方向に関して、光走査装置2010Aの8倍の密度で画像を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、更に詳しくは、多色のカラー画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を用いるプリンタや複写機等の画像形成装置は、カラー印刷画像の品位向上がめざましく、一般オフィス用途だけではなく、従来はオフセット印刷方式を用いる画像形成装置(印刷機)で印刷されていたチラシやダイレクトメールなどの比較的印刷部数の少ない軽印刷分野の一部にも用いられるようになってきた。
【0003】
従来、一般オフィス用途では、常用色(基本色)すなわちシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の4色を用いたカラー画像出力で十分満足できる画像が得られていた。また、白黒の文字画像についても、600dpi程度の画像で十分満足されていた。
【0004】
しかしながら、この一般オフィス用途のプリンタを上記軽印刷分野に持ち込んだところ、写真画質や文字画像の滑らかさが不十分であった。そこで、写真画質については光沢を調整するための透明色トナーや、画像の粒状度を改善するための薄色トナー(ライトマゼンタやライトブラックなど)などの補助色を用いることが提案された。
【0005】
カラーの画像形成装置としては、色毎に設けられた複数の感光体を転写媒体(中間転写ベルトなど)に対向して並設している、所謂タンデム型の画像形成装置が主に用いられている。
【0006】
タンデム型の画像形成装置では、各感光体に形成される色毎に異なる画像が、走行している転写媒体に順次転写されて重ね合わされ、カラー画像が形成される。
【0007】
このようなタンデム型の画像形成装置は、各感光体に対して同様な構成の露光装置をそれぞれ備えている。この露光装置としてはレーザ光を用いたレーザ露光装置が多く用いられている。
【0008】
レーザ露光装置は、レーザ光源から射出されたレーザ光を、ポリゴンミラーなどの偏向手段で偏向し、感光体を走査露光する。
【0009】
そして、写真画質を向上させるため、基本色用の露光装置に、補助色用の露光装置を追加した画像形成装置が提案された(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜特許文献4に開示されている画像形成装置では、軽印刷分野で要求されている写真画質と白黒文字画像の鮮鋭性(MTF)の両方を満足させるのは困難であった。
【0011】
また、近年、環境対策の観点から、画像形成装置に対する低消費電力(省エネルギー)化への要求が高まってきた。
【0012】
特許文献1〜特許文献4に開示されている画像形成装置では、補助色に対応する画像形成ステーションが増設された機器構成となり、増設された装置分、消費電力が増加していた。
【0013】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その目的は、写真画質及び白黒文字画像の鮮鋭性(MTF)を向上させ、かつ消費電力を低減させることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本色及び前記4色以外の少なくとも1つの補助色のそれぞれに対応する複数の像担持体と、前記複数の色に対応する複数の光源を有し前記複数の像担持体に像を形成する露光装置とを備える画像形成装置において、前記露光装置は、ブラックの像を形成する第1の露光装置と、前記ブラックを除く色の各像を形成する第2の露光装置と;を備え、前記第2の露光装置は、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて光束を偏向する少なくとも1つの光偏向器を有し、前記第1の露光装置の光源における発光部の数は、前記第2の露光装置の各光源における発光部の数よりも多いことを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
これによれば、写真画質及び白黒文字画像の鮮鋭性(MTF)を向上させ、かつ消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を示す図である。
【図2】図1における光走査装置2010Kを説明するための図(その1)である。
【図3】図1における光走査装置2010Kを説明するための図(その2)である。
【図4】面発光レーザアレイを説明するための図である。
【図5】面発光レーザアレイにおける複数の発光部の配列を説明するための図である。
【図6】光走査装置2010Kにおける折り返しミラーの傾斜姿勢を説明するための図である。
【図7】図1における光走査装置2010Aを説明するための図(その1)である。
【図8】図1における光走査装置2010Aを説明するための図(その2)である。
【図9】図1における光走査装置2010Aを説明するための図(その3)である。
【図10】図1における光走査装置2010Aを説明するための図(その4)である。
【図11】光走査装置2010Aにおける折り返しミラーの傾斜姿勢を説明するための図(その1)である。
【図12】光走査装置2010Aにおける折り返しミラーの傾斜姿勢を説明するための図(その2)である。
【図13】図13(A)は、光走査装置2010Kによって描かれる潜像の解像度を説明するための図であり、図13(B)は、光走査装置2010Aによって描かれる潜像の解像度を説明するための図である。
【図14】光走査装置2010Kでの露光エネルギの和を説明するための図である。
【図15】光走査装置2010Aでの露光エネルギの和を説明するための図である。
【図16】光走査装置2010Kの変形例1を説明するための図である。
【図17】光走査装置2010Aの変形例1を説明するための図(その1)である。
【図18】光走査装置2010Aの変形例1を説明するための図(その2)である。
【図19】光走査装置2010Kの変形例2を説明するための図である。
【図20】光走査装置2010Aの変形例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図15に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0018】
このカラープリンタ2000は、4つの基本色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)と透明色とを重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、2つの光走査装置(2010A、2010K)、5つの感光体ドラム(2030K、2030M、2030Y、2030C、2030T)、5つのクリーニングユニット(2031K、2031M、2031C、2031Y、2031T)、5つの帯電装置(2032K、2032M、2032C、2032Y、2032T)、5つの現像装置(2033K、2033M、2033C、2033Y、2033T)、転写ベルト2040、定着装置2050、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0019】
なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、各感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0020】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0021】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
【0022】
感光体ドラム2030Kの表面近傍には、感光体ドラム2030Kの回転方向に沿って、帯電装置2032K、現像装置2033K、クリーニングユニット2031Kが配置されている。
【0023】
感光体ドラム2030K、帯電装置2032K、現像装置2033K、及びクリーニングユニット2031Kは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0024】
感光体ドラム2030Cの表面近傍には、感光体ドラム2030Cの回転方向に沿って、帯電装置2032C、現像装置2033C、クリーニングユニット2031Cが配置されている。
【0025】
感光体ドラム2030C、帯電装置2032C、現像装置2033C、及びクリーニングユニット2031Cは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0026】
感光体ドラム2030Mの表面近傍には、感光体ドラム2030Mの回転方向に沿って、帯電装置2032M、現像装置2033M、クリーニングユニット2031Mが配置されている。
【0027】
感光体ドラム2030M、帯電装置2032M、現像装置2033M、及びクリーニングユニット2031Mは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0028】
感光体ドラム2030Yの表面近傍には、感光体ドラム2030Yの回転方向に沿って、帯電装置2032Y、現像装置2033Y、クリーニングユニット2031Yが配置されている。
【0029】
感光体ドラム2030Y、帯電装置2032Y、現像装置2033Y、及びクリーニングユニット2031Yは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0030】
感光体ドラム2030Tの表面近傍には、感光体ドラム2030Tの回転方向に沿って、帯電装置2032T、現像装置2033T、クリーニングユニット2031Tが配置されている。
【0031】
感光体ドラム2030T、帯電装置2032T、現像装置2033T、及びクリーニングユニット2031Tは、組として使用され、透明色の画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Tステーション」ともいう)を構成する。
【0032】
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0033】
光走査装置2010Kは、プリンタ制御装置2090からのブラック画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030Kの表面に照射する。これにより、感光体ドラム2030Kの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム2030Kの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム2030Kの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。なお、光走査装置2010Kの構成については後述する。
【0034】
光走査装置2010Aは、プリンタ制御装置2090からのシアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報、及び透明色が付加される色の画像情報に基づいて各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。光走査装置2010Aの構成については後述する。
【0035】
各現像装置は、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。なお、以下では、便宜上、トナーが付着した像を「トナー画像」という。
【0036】
各トナー画像は、対応する感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0037】
各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされる。
【0038】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ(不図示)が配置されており、該給紙コロは、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2041との間隙に向けて送り出す。
【0039】
そして、転写ベルト2040上で重ね合わされたトナー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
【0040】
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
【0041】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去、回収する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0042】
次に、前記光走査装置2010Kの構成について説明する。
【0043】
光走査装置2010Kは、一例として図2及び図3に示されるように、光源2200K、カップリングレンズ2201K、開口板2202K、シリンドリカルレンズ2204K、ポリゴンミラー2104K、走査レンズ2105K、2枚の折り返しミラー(2106K、2108K)、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
【0044】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0045】
光源2200Kは、一例として図4に示されるように、同一基板上に2次元配列された32個の発光部を有する面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を含んでいる。該面発光レーザアレイの32個の発光部は、一例として図5に示されるように、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔(図5では「c」)となるように配列されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
【0046】
図2に戻り、カップリングレンズ2201Kは、光源2200Kから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0047】
開口板2202Kは、開口部を有し、カップリングレンズ2201Kを介した光束を整形する。
【0048】
シリンドリカルレンズ2204Kは、開口板2202Kの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Kの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0049】
カップリングレンズ2201Kと開口板2202Kとシリンドリカルレンズ2204Kとからなる光学系は、Kステーションの偏向器前光学系である。
【0050】
ポリゴンミラー2104Kは、Z軸に平行な軸まわりに回転する4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。
【0051】
走査レンズ2105Kは、光束を感光体ドラム2030K近傍に集光する光学的パワー、及びポリゴンミラー2104Kの回転に伴って、感光体ドラム2030K面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するような光学的パワーを有している。
【0052】
走査レンズ2105Kは、ポリゴンミラー2104Kの−X側に配置され、ポリゴンミラー2104Kで偏向された光束の光路上に配置されている。
【0053】
折り返しミラー2106Kは、走査レンズ2105Kを介した光束の光路上に配置され、折り返しミラー2108Kは、折り返しミラー2106Kを介した光束の光路上に配置されている。
【0054】
そこで、ポリゴンミラー2104Kで偏向されたシリンドリカルレンズ2204Kからの光束は、走査レンズ2105K、折り返しミラー2106K及び折り返しミラー2108Kを介して、感光体ドラム2030Kに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Kの回転に伴って感光体ドラム2030Kの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030K上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Kでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Kの回転方向が、感光体ドラム2030Kでの「副走査方向」である。
【0055】
ここでは、走査レンズ2105Kと2枚の折り返しミラー(2106K、2108K)とからKステーションの走査光学系が構成されている。
【0056】
ここで、Z軸方向に対する折り返しミラーにおける入射側の面の法線方向を考える。そして、該法線方向がZ軸方向に対して時計回りに傾斜している折り返しミラーを、傾斜姿勢が「+」の折り返しミラーと定義し、逆に、反時計回りに傾斜している折り返しミラーを、傾斜姿勢が「−」の折り返しミラーと定義する。
【0057】
ここでは、図6に示されるように、折り返しミラー2106Kは、傾斜姿勢が「+」の折り返しミラーであり、折り返しミラー2108Kは、傾斜姿勢が「−」の折り返しミラーである。
【0058】
次に、前記光走査装置2010Aの構成について説明する。
【0059】
光走査装置2010Aは、一例として図7〜図10に示されるように、4つの光源(2200C、2200M、2200Y、2200T)、4つのカップリングレンズ(2201C、2201M、2201Y、2201T)、4つの開口板(2202C、2202M、2202Y、2202T)、4つのシリンドリカルレンズ(2204C、2204M、2204Y、2204T)、ポリゴンミラー2104A、4つの走査レンズ(2105C、2105M、2105Y、2105T)、6枚の折り返しミラー(2106C、2106M、2106Y、2106T、2108M、2108Y)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
【0060】
各光源は、4個の発光部を有するLD(Laser Diode)アレイを含んでいる。該LDアレイの4個の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔となるように配置されている。
【0061】
カップリングレンズ2201Cは、光源2200Cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0062】
カップリングレンズ2201Mは、光源2200Mから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0063】
カップリングレンズ2201Yは、光源2200Yから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0064】
カップリングレンズ2201Tは、光源2200Tから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0065】
開口板2202Cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201Cを介した光束を整形する。
【0066】
開口板2202Mは、開口部を有し、カップリングレンズ2201Mを介した光束を整形する。
【0067】
開口板2202Yは、開口部を有し、カップリングレンズ2201Yを介した光束を整形する。
【0068】
開口板2202Tは、開口部を有し、カップリングレンズ2201Tを介した光束を整形する。
【0069】
シリンドリカルレンズ2204Cは、開口板2202Cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0070】
シリンドリカルレンズ2204Mは、開口板2202Mの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0071】
シリンドリカルレンズ2204Yは、開口板2202Yの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0072】
シリンドリカルレンズ2204Tは、開口板2202Tの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0073】
カップリングレンズ2201Cと開口板2202Cとシリンドリカルレンズ2204Cとからなる光学系は、Cステーションの偏向器前光学系である。
【0074】
カップリングレンズ2201Mと開口板2202Mとシリンドリカルレンズ2204Mとからなる光学系は、Mステーションの偏向器前光学系である。
【0075】
カップリングレンズ2201Yと開口板2202Yとシリンドリカルレンズ2204Yとからなる光学系は、Yステーションの偏向器前光学系である。
【0076】
カップリングレンズ2201Tと開口板2202Tとシリンドリカルレンズ2204Tとからなる光学系は、Tステーションの偏向器前光学系である。
【0077】
ポリゴンミラー2104Aは、Z軸に平行な軸まわりに回転する2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204Mからの光束及びシリンドリカルレンズ2204Yからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204Cからの光束及びシリンドリカルレンズ2204Tからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。
【0078】
また、シリンドリカルレンズ2204C及びシリンドリカルレンズ2204Mからの各光束はポリゴンミラー2104Aの−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204Y及びシリンドリカルレンズ2204Tからの各光束はポリゴンミラー2104Aの+X側に偏向される。
【0079】
各走査レンズはそれぞれ、光束を対応する感光体ドラム近傍に集光する光学的パワー、及びポリゴンミラー2104Aの回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するような光学的パワーを有している。
【0080】
走査レンズ2105C及び走査レンズ2105Mは、ポリゴンミラー2104Aの−X側に配置され、走査レンズ2105T及び走査レンズ2105Yは、ポリゴンミラー2104Aの+X側に配置されている。
【0081】
そして、走査レンズ2105Cと走査レンズ2105MはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105Mは1段目の4面鏡に対向し、走査レンズ2105Cは2段目の4面鏡に対向している。また、走査レンズ2105Tと走査レンズ2105YはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105Tは2段目の4面鏡に対向し、走査レンズ2105Yは1段目の4面鏡に対向している。
【0082】
そこで、ポリゴンミラー2104Aで偏向されたシリンドリカルレンズ2204Cからの光束は、走査レンズ2105C、折り返しミラー2106Cを介して、感光体ドラム2030Cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Aの回転に伴って感光体ドラム2030Cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030C上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Cの回転方向が、感光体ドラム2030Cでの「副走査方向」である。
【0083】
また、ポリゴンミラー2104Aで偏向されたシリンドリカルレンズ2204Mからの光束は、走査レンズ2105M、折り返しミラー2106M及び折り返しミラー2108Mを介して、感光体ドラム2030Mに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Aの回転に伴って感光体ドラム2030Mの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030M上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Mでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Mの回転方向が、感光体ドラム2030Mでの「副走査方向」である。
【0084】
また、ポリゴンミラー2104Aで偏向されたシリンドリカルレンズ2204Yからの光束は、走査レンズ2105Y、折り返しミラー2106Y及び折り返しミラー2108Yを介して、感光体ドラム2030Yに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Aの回転に伴って感光体ドラム2030Yの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030Y上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Yでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Yの回転方向が、感光体ドラム2030Yでの「副走査方向」である。
【0085】
また、ポリゴンミラー2104Aで偏向されたシリンドリカルレンズ2204Tからの光束は、走査レンズ2105T、折り返しミラー2106Tを介して、感光体ドラム2030Tに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Aの回転に伴って感光体ドラム2030Tの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030T上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Tでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Tの回転方向が、感光体ドラム2030Tでの「副走査方向」である。
【0086】
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104Aから各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
【0087】
ポリゴンミラー2104Aと各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。ここでは、走査レンズ2105Cと折り返しミラー2106CとからCステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105Mと2枚の折り返しミラー(2106M、2108M)とからMステーションの走査光学系が構成されている。そして、走査レンズ2105Yと2枚の折り返しミラー(2106Y、2108Y)とからYステーションの走査光学系が構成されている。さらに、走査レンズ2105Tと折り返しミラー2106TとからTステーションの走査光学系が構成されている。
【0088】
そして、図11に示されるように、折り返しミラー2106Mは、傾斜姿勢が「+」の折り返しミラーであり、折り返しミラー2108Mは、傾斜姿勢が「−」の折り返しミラーである。すなわち、Mステーションにおける折り返しミラーの傾斜姿勢は、Kステーションにおける折り返しミラーの傾斜姿勢と同じである。
【0089】
また、図12に示されるように、折り返しミラー2106Yは、傾斜姿勢が「−」の折り返しミラーであり、折り返しミラー2108Yは、傾斜姿勢が「+」の折り返しミラーである。すなわち、Yステーションにおける折り返しミラーの傾斜姿勢は、Kステーションにおける折り返しミラーの傾斜姿勢と逆である。
【0090】
また、折り返しミラー2106Cは、傾斜姿勢が「+」の折り返しミラーであり、折り返しミラー2106Tは、傾斜姿勢が「−」の折り返しミラーである。
【0091】
そして、光走査装置2010Kは、図13(A)に示されるように、副走査方向に関して、画素密度が4800dpiの潜像を描き、光走査装置2010Aは、図13(B)に示されるように、副走査方向に関して、画素密度が600dpiの潜像を描く。
【0092】
ところで、光走査領域の大きさが同じで、1ビームあたりの光量が同じであれば、光走査装置2010Aでの露光エネルギの和を1とすると、光走査装置2010Kでの露光エネルギの和は8となる(図14及び図15参照)。
【0093】
そこで、光走査装置2010K及び光走査装置2010Aの両方を同時に稼働させるときには、光走査装置2010Kでの1ビームあたりの光強度を、光走査装置2010Aでの1ビームあたりの光強度の約1/8倍として、光走査装置2010Kでの露光エネルギの和と、光走査装置2010Aでの露光エネルギの和を略同一としている。これにより、ブラック画像とカラー画像の濃度とを合わせることができる。なお、光走査装置2010Kのみを稼働させ、高速で画像形成するときには、カラー画像が含まれるときよりも1ビームあたりの光強度を大きくする。
【0094】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るカラープリンタ2000では、光走査装置2010Kによって本発明の画像形成装置における第1の露光装置が構成され、光走査装置2010Aによって第2の露光装置が構成されている。
【0095】
以上、説明したように、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、透明色のそれぞれに対応する5つの感光体ドラム(2030K、2030M、2030Y、2030C、2030T)と、ブラックの潜像を形成する光走査装置2010Kと、ブラックを除く4色の各潜像を形成する光走査装置2010Aなどを備えている。
【0096】
そして、光走査装置2010Kの光源2200Kは、32個の発光部を有する面発光レーザアレイを含み、光走査装置2010Aの光源2200C、光源2200M、光源2200Y、及び光源2200Tは、いずれも4個の発光部を有するLDアレイを含んでいる。
【0097】
この場合、光走査装置2010Kは、副走査方向に関して、光走査装置2010Aの8倍の画素密度で画像を形成することができる。そして、従来の端面発光型の半導体レーザに比べて発光部の数を飛躍的に多くすることができる面発光レーザアレイの長所を最大限に活かすことができる。
【0098】
ところで、カラープリンタが主流になった現在でも、文書は主に白黒画像で作成される。そこで、文字の「はらい」や「はね」などに見られるギザギザ、すなわちジャギーの低減が求められている。カラープリンタ2000では、光走査装置2010Kによって描かれる潜像の副走査方向の画素密度を4800dpiとし、光走査装置2010Aによって描かれる潜像の副走査方向の画素密度を600dpiとしている。この場合は、カラー画像は従来どおりの画質を保ちつつ、白黒文字画像は滑らかな書体を再現することができる。
【0099】
また、透明色トナーを使う従来の画像形成装置では、基本色用の光走査装置に透明色用の光走査装置を付加する方式が主流であったが、カラープリンタ2000では、ブラック用の光走査装置を別体にしている。これにより、白黒画像を大量に印刷する際に、副走査方向の画素密度を下げても構わないユーザにも対応することができる。例えば、光走査装置2010Kによって描かれる潜像の副走査方向の画素密度を1200dpiまで下げ、感光体ドラム2030Kの回転速度及び転写ベルト2040の走行速度を4倍に上げると、副走査方向の画素密度は若干下がるが、高速での画像形成が可能になる。このとき、ポリゴンミラー2104Aは停止状態であり、ポリゴンミラー2104Kのみが稼働している。そして、稼働しているポリゴンミラー2104Kは一段構成であるため、二段構成のポリゴンミラーを稼働させる場合に比べて、消費電力を少なくすることができる。
【0100】
また、5つの画像形成ステーションのうちTステーションが、最も最後に転写ベルト2040にトナー像が転写される位置にあるため、重畳された基本色のトナー像の一番上に透明色トナーを載せることができる。この場合は、画像の光沢度管理を最も有利に実行することができる。
【0101】
また、光走査装置2010Kにおける2枚の折り返しミラー(2106K、2108K)の傾斜姿勢は、光走査装置2010AにおけるMステーション用の2枚の折り返しミラー(2106M、2108M)の傾斜姿勢と同じである。この場合は、光走査装置2010Kにおけるポリゴンミラー2104Kの発熱による2枚の折り返しミラー(2106K、2108K)の位置ずれ、及び光走査装置2010Aにおけるポリゴンミラー2104Aの発熱による2枚の折り返しミラー(2106M、2108M)の位置ずれは、互いに同じ方向への位置ずれとなるため、ブラック画像とマゼンタ画像の色ずれを抑えることができる。
【0102】
また、光走査装置2010AにおけるCステーション用の折り返しミラーは1枚構成であり、光走査装置2010Kにおける折り返しミラーの構成とは異なっているが、ポリゴンミラー2104Aの発熱による折り返しミラー2106Cの位置ずれ、及びポリゴンミラー2104Kの発熱による折り返しミラー2106Kの位置ずれは、互いに同じ方向への位置ずれとなるため、ブラック画像とシアン画像の色ずれを抑えることができる。
【0103】
一方、ポリゴンミラー2104Aの発熱による2枚の折り返しミラー(2106Y、2108Y)の位置ずれの方向は、ポリゴンミラー2104Kの発熱による2枚の折り返しミラー(2106K、2108K)の位置ずれの方向と反対である。また、ポリゴンミラー2104Aの発熱による折り返しミラー2106Tの位置ずれの方向は、ポリゴンミラー2104Kの発熱による折り返しミラー2106Kの位置ずれの方向と反対である。しかしながら、イエローや透明色の色ずれは、マゼンタ及びシアンの色ずれに比べて、一般に肉眼では認識されにくいと言われている。
【0104】
そこで、カラープリンタ2000では、出力画像全体としての色ずれを小さくすることができる。
【0105】
なお、上記実施形態では、副走査方向に関して、光走査装置2010Kが4800dpiの画素密度で潜像を描き、光走査装置2010Aが600dpiの画素密度で潜像を描く場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光走査装置2010Aが1200dpiの画素密度で潜像を描いても良い。要するに、光走査装置2010Kで描かれる潜像の副走査方向における画素密度を、光走査装置2010Aで描かれる潜像の副走査方向における画素密度よりも高くすることが可能であれば良い。
【0106】
また、上記実施形態では、光走査装置2010Aで描かれる潜像の副走査方向における画素密度が、4つの感光体ドラム(2030C、2030M、2030Y、2030T)で同じ場合について、説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム2030Tに描かれる潜像の副走査方向における画素密度が、他の3つの感光体ドラムに描かれる潜像の副走査方向における画素密度よりも低くても良い。この場合は、4つの光源(2200C、2200M、2200Y、2200T)のうち、光源2200Tのみが他の3つの光源とは異なる光源が用いられることとなる。
【0107】
また、上記実施形態では、光走査装置2010Kの光源が32個の発光部を有し、光走査装置2010Aの各光源が4個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。光走査装置2010Kの光源における発光部数が、光走査装置2010Aの各光源における発光部数よりも多ければ良い。
【0108】
また、上記実施形態では、光走査装置2010Kの走査レンズと光走査装置2010Aの各走査レンズとが同じ場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光走査装置2010Kの走査光学系が2枚の走査レンズを有していても良い。この場合は、感光体ドラム2030K上に形成される光スポットのスポット径をより小さくすることができ、文字の鮮鋭性をさらに向上させることができる。すなわち、感光体ドラム2030K上に形成される光スポットのスポット径は、他の感光体ドラム上に形成される光スポットのスポット径よりも小さくすることができる。
【0109】
また、上記実施形態において、前記光走査装置2010Kに代えて、一例として図16に示される光走査装置2010Kを用い、前記光走査装置2010Aに代えて、一例として図17に示される光走査装置2010Aを用いても良い。
【0110】
この光走査装置2010Kでは、ポリゴンミラー2104Kに入射した光束は、ポリゴンミラー2104Kの+X側に偏向され、走査レンズ2105K、及び2枚の折り返しミラー(2106K、2108K)を介して、感光体ドラム2030Kの表面に集光される。
【0111】
すなわち、光走査装置2010Kでは、折り返しミラー2106Kの傾斜姿勢は「−」であり、折り返しミラー2108Kの傾斜姿勢は「+」である。
【0112】
光走査装置2010Aでは、ポリゴンミラー2104Aに入射する各光束を斜入射とし、ポリゴンミラー2104Aを一段構成としている。
【0113】
この場合、X軸方向に関して、ポリゴンミラーで偏向された光束の進行方向を、光走査装置2010Kと光走査装置2010Aとで同じとしている。これにより、ポリゴンミラーの発熱による折り返しミラーの位置ずれの方向が、全ての画像形成ステーションで同じ方向となる。
【0114】
また、ポリゴンミラーに光束が斜入射するとき、斜入射角が大きいほど波面収差が大きくなり、感光体ドラム表面に形成される光スポットを絞り込むのが困難になる。そこで、光走査装置2010Aでは、基本色よりも大きな波面収差が許容される透明色に対応する光束を、斜入射角が最も大きい光束としている。
【0115】
このとき、光走査装置2010Aでは、ポリゴンミラーに光束を斜入射させるため、4つの光源(2200C、2200M、2200Y、2200T)は、Z軸方向に関して互いに異なる位置に配置される。そして、透明色に対応する光束は、基本色に対応する光束よりも大きな波面収差が許容されるため、Z軸方向に関して、光源2200Tが最も+Z側に配置されている。すなわち、Z軸方向に関して、4つの光源が、走査レンズ2105の中心を基準にして配置されるときは、光源2200Tを、最も+Z側あるいは最も−Z側に配置すると良い(図18参照)。
【0116】
ところで、斜入射に起因する波面収差を補正するためには、特殊な走査レンズが必要になる。しかしながら、光走査装置2010Aでは、シアン、マゼンタ、イエローに対応する光束の斜入射を小さくすることができるため、高価な特殊な走査レンズは不要である。すなわち、高コスト化を招くことなく、所望の画像品質を維持することができる。
【0117】
また、上記実施形態において、前記光走査装置2010Kに代えて、一例として図19に示される光走査装置2010Kを用いても良い。
【0118】
この光走査装置2010Kでは、光源2200Kとして、LEDアレイを用いている点に特徴を有している。そして、前記偏向器前光学系、ポリゴンミラー2104K、及び走査光学系に代えて、ロッドレンズアレイを用いている。この場合は、ブラック用の光走査装置を小型化することができる。
【0119】
また、上記実施形態において、前記光走査装置2010Aに代えて、一例として図20に示される光走査装置2010A31及び光走査装置2010A32を用いても良い。
【0120】
この場合は、光学ハウジングのZ軸方向に関する長さを短くすることができる。すなわち、光学ハウジングの薄型化を図ることができる。
【0121】
このとき、X軸方向に関して、ポリゴンミラーで偏向された光束の進行方向が、Kステーション、Cステーション、及びMステーションで同じであることが好ましい。
【0122】
すなわち、(1)補助色に対応する光束は、必ずイエローに対応する光束、マゼンタに対応する光束及びシアンに対応する光束のいずれかとポリゴンミラーを共有し、補助色のための電力消費量の増加を最小限に抑える、(2)ブラックに対応する光束を射出する光源の発光部数を多くして、カラー画像を形成するときと同じプロセス速度であっても、白黒文字画像における副走査対応方向に関する画素密度を高くする、(3)Kステーションによって形成される画像の画質向上を優先し、専用の光学系を設けたり、斜入射光学系では最も収差補正しやすい光経路を使うことで、光スポット径や走査線曲がりなどの光学性能を他色のステーションよりも高める、(4)補助色画像の光学性能や画素密度は、出力画像の画質への影響が比較的低いので、補助色に対応する光束を射出する光源の発光部数を、基本色に対応する光束を射出する光源の発光部数よりも少なくする。
【0123】
また、高速で文字画像の出力を行ないたいユーザのために、「白黒印刷モード」を設け、多少、副走査対応方向における画素密度が低下するが、ポリゴンミラーの回転数を数倍上げて高速印刷するために、ブラックの潜像を形成する光走査装置の走査制御装置は、ユーザの要求に応じてポリゴンミラーの回転速度を制御する。
【0124】
また、上記実施形態では、補助色が透明色の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、ライトブラックなどの淡い色であっても良い。
【0125】
また、上記実施形態では、補助色が1色の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、補助色が、上記透明色に加えて、淡い色を含む複数の色であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0126】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、写真画質及び白黒文字画像の鮮鋭性(MTF)を向上させ、かつ消費電力を低減させるのに適している。
【符号の説明】
【0127】
2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010A…光走査装置(第1の露光装置)、2010A…光走査装置(第1の露光装置)、2010K…光走査装置(第1の露光装置)、2010K…光走査装置(第1の露光装置)、2010K…光走査装置(第1の露光装置、ライン露光装置)、2030C…感光体ドラム(像担持体)、2030K…感光体ドラム(像担持体)、2030M…感光体ドラム(像担持体)、2030T…感光体ドラム(像担持体)、2030Y…感光体ドラム(像担持体)、2040…転写ベルト(中間転写ベルト)、2104A…ポリゴンミラー(光偏向器)、2104K…ポリゴンミラー(光偏向器)、2106C…折り返しミラー、2106K…折り返しミラー、2106M…折り返しミラー、2106T…折り返しミラー、2106Y…折り返しミラー、2108K…折り返しミラー、2108M…折り返しミラー、2108Y…折り返しミラー、2200C…光源(レーザ光源)、2200K…光源(レーザ光源、面発光レーザアレイ)、2200M…光源(レーザ光源)、2200T…光源(レーザ光源)、2200Y…光源(レーザ光源)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0128】
【特許文献1】特開2007−316313号公報
【特許文献2】特開2007−171493号公報
【特許文献3】特開2007−171498号公報
【特許文献4】特許第3472399号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本色及び前記4色以外の少なくとも1つの補助色のそれぞれに対応する複数の像担持体と、前記複数の色に対応する複数の光源を有し前記複数の像担持体に像を形成する露光装置とを備える画像形成装置において、
前記露光装置は、ブラックの像を形成する第1の露光装置と、前記ブラックを除く色の各像を形成する第2の露光装置と;を備え、
前記第2の露光装置は、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて光束を偏向する少なくとも1つの光偏向器を有し、
前記第1の露光装置の光源における発光部の数は、前記第2の露光装置の各光源における発光部の数よりも多いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
副走査方向に関して、前記ブラックに対応する像担持体に形成される像の画素密度は、他の像担持体に形成される各像の画素密度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
副走査方向に関して、前記補助色に対応する像担持体に形成される像の画素密度は、他の像担持体に形成される各像の画素密度よりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の露光装置における1つの発光部から射出される光束の光強度は、前記第2の露光装置における1つの発光部から射出される光束の光強度よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ブラックに対応する像担持体上に形成される光スポットのスポット径は、他の像担持体上に形成される光スポットのスポット径よりも小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の像担持体からの画像が重ねられて転写され、該転写された画像を記録媒体に転写する中間転写ベルトを備え、
前記補助色に対応する像担持体からの画像が、他の像担持体からの画像よりも、最も遅く前記中間転写ベルトに転写されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の露光装置では、複数の光束は、前記少なくとも1つの光偏向器の回転軸に直交する面に対して傾斜した方向から前記少なくとも1つの光偏向器の偏向反射面に入射し、前記補助色に対応する光束の傾斜角が、他の光束の傾斜角よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の露光装置は、複数の発光部を有するレーザ光源と、該レーザ光源からの光束を偏向する光偏向器と、該光偏向器で偏向された光束を対応する像担持体上に集光する走査光学系とを含む光走査装置であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記レーザ光源は、面発光レーザアレイであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1の露光装置は、複数の発光部が一次元配列された光源と、該光源からの複数の光束の光路上に配置され、該複数の光束を対応する像担持体上に個別に集光するレンズアレイとを含むライン露光装置であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1の露光装置及び前記第2の露光装置は、光源からの光束を対応する像担持体に導く複数の折り返しミラーを有し、
前記シアンに対応する光束の光路上に配置された複数の折り返しミラー、及び前記マゼンタに対応する光束の光路上に配置された複数の折り返しミラーの少なくとも一方は、回転軸方向に対する傾斜姿勢が、前記ブラックに対応する光束の光路上に配置された複数の折り返しミラーと、同じであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの補助色は、透明色、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、ライトブラックのうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−253020(P2011−253020A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126392(P2010−126392)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】