説明

画像形成装置

【課題】長期間に亘って画像ボケの発生を防止できるようにし、且つ副作用が生じないようにする。
【解決手段】画像形成装置本体内に、像担持体である感光体ドラム1と、コロナ放電によってその表面を帯電させ、その感光体ドラム1に近接して帯電電位を制御するグリッド23を有する帯電チャージャ2とを備えている。その帯電チャージャ2の長手方向である感光体ドラム1の主走査方向に沿ってヒータ8を配置し、そのヒータ8は、帯電チャージャ2のグリッド23と感光体ドラム1のグリッド23と対向する部位とにそれぞれ非接触で近接し、主走査方向に少なくとも画像形成領域以上の長さを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はファクシミリ、プリンタ、複写機等として適用される電子写真印刷方式の画像形成装置に関し、特にコロナ放電を利用して帯電を行う帯電チャージャを像担持体に対向して配置した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真印刷方式の画像形成装置は、感光体の周囲に帯電、露光、現像、転写、清掃、除電等の各手段を配して構成する。そして、感光体表面をコロナ放電により一様に帯電させ、印刷すべき文字等に対応した露光を行うことにより静電潜像を形成させ、それを現像剤であるトナーで現像する。その後、トナー像上に用紙を供給し、用紙裏面からのコロナ放電により感光体上のトナー像を用紙上に転写させる。そのトナー像を転写させた用紙を加熱することによりトナー像を用紙に定着させて印刷を完了する。転写が済んだ感光体表面は、清掃、除電して、次の画像形成の工程を同様に繰り返す。
【0003】
このような構成の画像形成装置において、コロナ放電プロセスを行うユニットである帯電チャージャの放電によって発せられる、窒素酸化物(NOx)や硝酸アンモニウム(SONH)が感光体表面に付着したり、感光体内部に浸透することにより、しばしば異常画像が発生することがある。
【0004】
その異常画像の発生理由について図6によって説明する。感光体1(模式的に平板状に示している)の表面に近接対向して帯電チャージャ2が設けられており、その放電ワイヤ21が放電したときに発生する放電生成物Sが感光体1の表面に塗布されているステアリン酸亜鉛などの潤滑剤1aに付着する。その付着した放電生成物Sbは空気中の湿気を吸うことによって低抵抗になる。そのため、感光体1の表面を帯電させても電荷が流れて所望の表面電位を維持することができなくなる。これによりいわゆる「画像ボケ」と呼ばれる白抜け画像が発生する。
【0005】
さらに帯電チャージャ2を長い間使用し続けると、そのケーシング22やグリッド23、放電ワイヤ21自体にも放電生成物Sが付着してそれが蓄積されるようになる。蓄積が進行すると放電プロセスを行わない非作像中でもこれらの蓄積された放電生成物Sが感光体1へ放出される。特に感光体1が停止している画像形成装置の休止又は放置中にこの現象が起こり、感光体1の帯電チャージャ2の直下の位置に集中的に放電生成物Sが放出されるため、画像形成装置放置直後の朝一番の画像にひどい画像ボケが発生しやすい。
【0006】
このような画像ボケの対策として、後述する従来技術のように、加熱により主に湿気の除去を行うことによって、放電生成物の低抵抗化を防止することが以前より行われている。しかしながら除湿を行っても、帯電チャージャ2の各部への放電生成物Sの蓄積が進むと,感光体1へ放出される放電生成物が著しく増加するため、湿度が高くない場合(50%以下程度)でも画像ボケが発生することがしばしば起こる。
【0007】
このような帯電チャージャ2の各部に付着する放電生成物の蓄積を防止する方法として、帯電チャージャ2を加熱することにより放電生成物Sを揮発させて、大気へ放出させる方法がある。ただし蓄積を防止するに足る量を揮発させるためには、帯電チャージャ2の温度を少なくとも10度以上上昇させるだけの熱量を加える必要がある。同様に帯電チャージャ2の直下部の感光体1に付着して浸透した放電生成物Saを揮発させるためにも相当量の熱量が必要となる。
【0008】
例えば、特許文献1に記載されている画像形成装置によれば、感光体ドラムを帯電する帯電器のグリッドメッシュ上に電熱線を配設し、その電熱線の発熱によってグリッドメッシュを加熱することによって、グリッドメッシュに付着したNOx等の帯電生成物が分解して気化され、画像ボケを防止するようにしている。
【0009】
しかし、この手段の問題点として下記の点が挙げられる。
(a)帯電器のグリッドメッシュと感光体とのギャップ管理が難しい。
感光体表面を所望の帯電電位に制御するためには、感光体と帯電器のグリッドメッシュとの距離を高精度に管理する必要があるが、グリッドメッシュに電熱線が付いた構成であると、電熱線の重みによってグリッドメッシュが変形あるいは移動してしまい、精度良くギャップ管理を行うことが困難になる。
【0010】
(b) グリッドメッシュに印加される高電圧が電熱線を介してリークしてしまうことに対する防止策が難しい。
グリッドメッシュには作像中は数百Vの高電圧が印加されているが、電熱線が接触しているとこの電圧により電熱線へ漏電する恐れがある。グリッドメッシュと電熱線との間に絶縁物を挟む等の手段が考えられるが、そうすると、更に重くなることでグリッドメッシュのギャップ管理を行なうことが難しくなる。
【0011】
また、特許文献2に記載の画像形成装置では、感光体の周囲に加熱手段を配置し、装置が停止または休止状態から画像形成動作に移行する際に、停止または休止状態において帯電器と対向していた感光体表面の部位を、加熱手段の位置まで移動させて加熱することによって、画像ボケを防止することが提案されている。
しかし、この手段の問題点として下記の点が挙げられる。
作像前に感光体表面の帯電器と対向していた部位を加熱手段の位置まで移動してから加熱して放電生成物を揮発させた後、作像を開始させるまでに相当の時間を要するため、画像形成装置の立ち上がり時間を長く設定する必要が生じ、生産性の効率を低下させてしまう。
【0012】
また、特許文献3では、コロナ帯電器と感光ドラムとの間を開放・遮蔽し得る扉状ヒータを備え、その扉状ヒータに発熱し得る発熱部を配設することによって、コロナ帯電器に対向する感光体表面部を集中して加熱し、画像ボケを防止するものが提案されている。
しかし、この手段の問題点として下記の点が挙げられる。
感光体とコロナ帯電器とのギャップは実際には1〜3mm程度で非常に狭く、扉状ヒータをその間に滑り込ませるだけの薄いヒータを開発することが事実上困難である。また、その狭いギャップに滑り込ませるだけの高精度な機構が必要となるため、装置の複雑化、高価格化が懸念される。
【0013】
さらに、特許文献4に記載の画像形成装置では、コロナ帯電器にはそれぞれ分岐ダクトが連結され、その分岐ダクトには主ダクトが連結されている。そして、主ダクトには送風ファンが配置されるとともに、送風ファンの下流側にヒータ24が配置されている。そして、感光体ドラムの表面を帯電させる前に、送風ファンを駆動するとともにヒータを選択的に駆動することによって、感光体付近の湿気を除去し、画像ボケを防止させる。
【0014】
また、特許文献5に記載の画像形成装置では、温湿度センサに中間転写ヒータを連動させ、機内湿度が所定値以上になると中間転写ヒータを作動させ、その熱で機内を低湿に保ち、画像ボケを防止するようにしている。
【0015】
しかし、これらの手段にも次の問題点が挙げられる。
上記特許文献4、5に記載の手段では、感光体付近の湿気を除去する効果はあるが、帯電チャージャに蓄積された放電生成物や感光体に付着して浸透した放電生成物を揮発させるに足るだけの熱量を感光体や帯電チャージャに与えることができない。そのため帯電チャージャの使用が進むと完全に画像ボケを防止することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した従来の各技術はそれぞれに効果が期待されるが、下記のような課題が残るものである。
(1)ヒータ搭載によって、帯電チャージャのグリッドから感光体(像担持体)までのギャップ精度を悪くさせないこと。
(2) 帯電チャージャにかかっている高電圧がヒータを通じてリークしないようにすること。
【0017】
(3)帯電チャージャ、特にそのグリッドと帯電チャージャ直下部の感光体表面の両方とも十分に加熱(10℃以上)できる熱量を与えることができること。
(4)スペース的に無理が生じない構成であること。
【0018】
この発明は上記の課題を鑑み、画像形成装置において、帯電チャージャに蓄積された放電生成物及び像担持体(感光体)に付着して浸透した放電生成物を簡単な構成で揮発・除去し、経時的に長期間亘って画像ボケの発生を防止できるようにし、且つグリッドから像担持体表面までのギャップ精度を悪くしたり、帯電チャージャに印加される電圧(電流)がリークするような副作用が生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は、画像形成装置本体内に、像担持体と、コロナ放電によってその像担持体の表面を帯電させ、その該像担持体に近接して帯電電位を制御するグリッドを有する帯電チャージャとを備えた画像形成装置において、上記の目的を達成するため次のように構成したものである。
【0020】
すなわち、上記帯電チャージャの長手方向である像担持体の主走査方向に沿って配置され、上記帯電チャージャのグリッドと上記像担持体の該グリッドと対向する部位とにそれぞれ非接触で近接するヒータを設け、そのヒータが上記主走査方向に少なくとも画像形成領域以上の長さを有していることを特徴とする。
上記ヒータは、上記帯電チャージャの少なくともグリッドと、上記像担持体の少なくとも該グリッドと対向する部位とを、10℃以上暖めることができる発熱量と配置になっているのが望ましい。
【0021】
上記帯電チャージャが、上記画像形成装置本体に設けられたレールに挿抜可能に支持されている場合には、上記ヒータを上記レールに一体に固着し、上記帯電チャージャとは電気的に非導通に設置するとよい。
あるいは、上記画像形成装置本体内に上記帯電チャージャ付近を換気するためのダクトを備えている場合には、上記ヒータをそのダクトに一体に固着し、上記帯電チャージャとは電気的に非導通に設置するとよい。
【0022】
あるいはまた、上記像担持体と帯電チャージャとを含む画像形成プロセス部が枠体内に設けられ、ユニットとして一体化されたプロセスカートリッジを具備している場合には、上記ヒータを上記画像形成装置本体側に設置し、上記プロセスカートリッジの上記枠体における、上記ヒータに対応し上記帯電チャージャと感光体部の上記部位とに近接する位置に開口部を形成するとよい。
【0023】
これらの画像形成装置において、画像形成用のメイン電源とは別に上記ヒータに通電するためのヒータ用電源を有し、画像形成動作が終了して上記メイン電源が切られた後、上記ヒータ用電源によって上記ヒータに通電して該ヒータを発熱させるようにするのが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
この発明による画像形成装置は、帯電チャージャ、特にそのグリッドと像担持体における該グリッドと対向する部位との両方を、共通のヒータによって十分に加熱することができ、それによって放電生成物を揮発させ、画像ボケを確実に防止することができる。
しかも、ヒータの設置によって、グリッドから像担持体表面までのギャップ精度を悪くしたり、帯電チャージャに印加される電圧(電流)がヒータを通じてリークするような副作用が生じる恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明による画像形成装置の第1実施例における作像プロセス部の構成を感光体ドラムの回転軸方向から見た図である。
【図2】その第1実施例の作用効果を説明するための説明図である。
【図3】この発明による画像形成装置の第2実施例の要部のみを図1と同じ方向から見た図である。
【0026】
【図4】この発明による画像形成装置の第3実施例の要部のみを図1と同じ方向から見た図である。
【図5】この発明による画像形成装置の作像プロセス部をプロセスカートリッジにした第4実施例を図1と同じ方向から見た図である。
【図6】従来の画像形成装置における問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔第1実施例〕
図1は、この発明による画像形成装置の第1実施例における作像プロセス部の構成を感光体ドラムの回転軸方向から見た図である。便宜上、前述した図6の各部と対応する部分には同一の符号を付している。
【0028】
この図1に示す画像形成装置の作像プロセス部は、像担持体である感光体ドラム1と、その周囲に配設された帯電チャージャ2、現像器4、一次転写ローラ5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布部7、及びヒータ8からなる。感光体ドラム1と一次転写ローラ5との間に中間転写ベルト9を挟持している。
【0029】
感光体ドラム1は紙面に垂直な方向に回転軸を有し、図示しない駆動機構によって図1中の矢示A方向に回転し、その表面がまず帯電チャージャ2によるコロナ放電により一様に帯電される。帯電チャージャ2は、感光体ドラム1の軸方向(後述する主走査方向)に延びるチャンネル型の金属製ケーシング22内に同方向に延びる放電ワイヤ21が絶縁して張設されており、ケーシング22の感光体ドラム1と対向する開口部には、帯電電位を制御するワイヤ状または網状のグリッド23が絶縁して設けられている。
【0030】
この帯電チャージャ2の放電ワイヤ21には図示していない高圧電源から数kVの負の高電圧が印加され、感光体ドラム1との間にコロナ放電によって数百μAに電流が流れ、
感光体表面の感光層を一様に帯電させる。グリッド23には数百Vの負電圧が印加され、帯電量を制御する。
【0031】
そして、感光体ドラム1の帯電された感光層が露光位置まで回転すると、図示していない書き込み装置から印刷すべき画像に対応したレーザ光3を感光体ドラム1の表面に照射して、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
このとき、レーザ光3が感光体ドラム1の表面を走査する方向が主走査方向であり、感光体ドラム1の軸方向に沿う方向である。そして、感光体ドラム1の表面が移動する方向が副走査方向であり、主走査方向と副走査方向は、走査面である感光体ドラム1の表面上で互いに直交する。
【0032】
その後、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像を現像器4によりトナーで現像する。感光体ドラム1の表面には潤滑剤塗布部7によって潤滑剤1a(図2参照)が塗布されている。そして、この感光体ドラム1上のトナー像を一次転写ローラ5によって中間転写ベルト5上に転写し、図示していない2次転写部において転写紙(用紙)に転写する。
転写が済んだ感光体ドラム1の表面から、クリーニング装置6のブレード6aにより残留トナーや紙紛等を除去し、潤滑剤塗布部7によって潤滑剤を塗布して次の作像に備える。
【0033】
この実施例1では、ヒータ8を帯電チャージャ2の長手方向(図1で紙面に垂直な方向)である感光体ドラム1の主走査方向に沿って配置し、帯電チャージャ2のグリッド23と感光体ドラム1のグリッド23と対向する部位との両方に近接した位置に傾斜して配置している。そのヒータ8は、上記主走査方向に少なくとも画像形成領域以上の長さを有している。また、近接とは1mm以上100mm以下程度の距離であり、帯電チャージャ2のグリッド23に印加される数百Vの高電圧がヒータ8へリークしないように、ヒータ8は帯電チャージャ2と感光体ドラム1のいずれにも非接触である。
【0034】
そして、ヒータ8は、帯電チャージャ2の少なくともグリッド23およびそのグリッドに対向した感光体ドラム1の表面部位を10℃以上暖めるのに十分な熱量を与えることが可能な発熱量と位置にするのが望ましい。
【0035】
画像形成装置が稼動を終了して画像形成用のメイン電源が切られた後、これに連動してヒータ8の加熱が行なわれる。ヒータ用電源はメイン電源とは別に設けており、メイン電源が切られた後、そのヒータ用電源によってヒータ8に通電してヒータ8を発熱させる。
そのヒータ用電源は、メイン電源によって充電される二次電池やコンデンサ等によって構成することができる。
あるいは、メイン電源をヒータ用電源にも共用して、電源スイッチがOFFになってもすぐにメイン電源をOFFにせず、ヒータ8に一定時間通電して発熱させた後、OFFにするようにしてもよい。
【0036】
ヒータ8の加熱による作用効果を図2によって説明する。ヒータ8の加熱(熱線の方向を図2に直線矢印で示す)により、帯電チャージャ2の各部(ケーシング22、グリット23、放電ワイヤ21)およびグリット23に対向する感光体ドラム1の表面付近の部位1bの温度が上昇する。この実施例ではヒータ1から帯電チャージャ2およびの感光体ドラム1までの各距離は10mm程度の位置にあり、ヒータ8は70℃まで上昇し、帯電チャージャ2及び感光体ドラム1の当該部位1bは50℃まで上昇する。図2において、この温度に上昇する部分をハッチングを施して示す。
【0037】
帯電チャージャ2及び感光体ドラム1の部位1bがこの温度まで上昇すると、放電生成物Sの揮発が著しく進行して、図2に曲線矢印で示すように大気へ放出される。帯電チャージャ2が寿命近くまで使用されたものにおいても、メイン電源がOFFになった時に定期的にヒータ8によって放電生成物Sの揮発を行なうので、異常画像に至るまでの放電生成物の蓄積が起こることはない。
【0038】
また感光体ドラム1に対しても放電生成物が感光体内部に浸透しても、ヒータ8の加熱による温度上昇によって著しく揮発が進行するため、画像ボケの発生を防止できる。
ヒータ8は帯電チャージャ2に対しても感光体ドラム1に対しても非接触であるため、それぞれに印加された電圧が漏電する心配は無い。また帯電チャージャ2のグリッド23と感光体ドラム1の表面との間のギャップ精度の管理に対しても、影響を与えることは無い。
【0039】
さらに、画像ボケが発生する感光体1の部位1bや帯電チャージャ2のグリッド23に非常に近い位置にヒータ8を設置しているため、これらを十分に加熱することができる。これにより放電生成物の揮発を著しく進行させ、経時的に悪化する画像ボケを効果的に防止することができる。
【0040】
ヒータ8としては、セメント抵抗、電熱線、液体加熱ヒータ、空気加熱ヒータ、シート状ヒータ、ソリッド状ヒータ等種々の材料及び形態のものを使用することができる。
また、帯電チャージャ2に対して上述した各実施例とは副走査方向の反対側(図1〜図5では左側)にヒータを設置してもよい。あるいは、帯電チャージャ2に対して副走査方向の両側にそれぞれヒータを設置してもよい。
【0041】
〔第2実施例〕
次に、この発明による画像形成装置の第2実施例を図3によって説明する。
ヒータ8の設置に際しては帯電チャージャ2及び感光体ドラム1に近接した位置にする必要がある。しかしながら、この位置は画像形成プロセスとして必要な部品が密集して配設されているためスペース的に余裕がないところである。
【0042】
そこで、この第2実施例では図3に示すように、画像形成装置本体内に帯電チャージャ2を挿抜するために本体側にレール10が設けられている場合には、そのレール10に一体にヒータ設置部10aを延設して、そのヒータ設置部10aにヒータ8を固定して設けることができる。
このようにすれば、新規にヒータ設置部材を設けるスペースを確保する必要がなく、無理なくヒータ8を設置することができる。ヒータ8と帯電チャージャ2および感光体ドラム1の加熱が必要な部位との位置関係など、その他の構成および作用効果は第1実施例と同じである。
【0043】
〔第3実施例〕
次に、この発明による画像形成装置の第3実施例を図4によって説明する。
この第3実施例では図4に示すように、前記画像形成装置本体内に帯電チャージャ2の放電によって発生されるオゾンを排気するためにダクト11が設けられている場合には、そのダクト11に一体にヒータ設置部11aを設け、そこにヒータ8を固定して設けることができる。このように構成しても、上述した第2実施例と同様の効果を得ることができる。この第3実施例においても、ヒータ8と帯電チャージャ2および感光体ドラム1の加熱が必要な部位との位置関係など、その他の構成および作用効果は第1実施例と同じである。
【0044】
〔第4実施例〕
この発明による画像形成装置の第4実例について、図5によって説明する。この図5においても、便宜上図1の各部と対応する部には同一の符号を付している。
近年、図5に示すように、枠体31内に感光体ドラム1、帯電チャージャ2、現像部1
4クリーニング装置16等が一体に構成されるプロセスカートリッジと呼ばれる、作像プロセス部が一体である構成が、電子写真方式の画像形成装置に一般的に用いられるようになってきている。このプロセスカートリッジ30の利点は、ほぼ同等な寿命である消耗品を一度に交換することができるため、簡易な交換性を維持することがきることである。
【0045】
この第4実施例は、作像プロセス部にこのプロセスカートリッジ30を用いた画像形成装置にこの発明を適用したものである。
この実施例では、画像形成装置の本体40の一部にヒータ設置部41を形成し、そこにヒータ8を固定して設ける。一方、プロセスカートリッジ30の枠体31には本体40に設置固定されたヒータ8と対応し、帯電チャージャ2と感光体ドラム1のグリッド23と対向する部位とに近接する位置に開口部31aが形成されている。プロセスカートリッジ30を画像形成装置本体に装着した状態において、この開口部31aを通してヒータ8によって、内部の帯電チャージャ2および感光体ドラム1の加熱が必要な部位を加熱する。
【0046】
このように構成することによって、プロセスカートリッジ30を用いた画像形成装置においても、無理なくこの発明を実施することができる。それによって、帯電チャージャ2と感光体ドラム1の加熱が必要な部位に十分な熱量を与えることができ、画像ボケを防止することができる。
この第4実施例においても、ヒータ8と帯電チャージャ2および感光体ドラム1の加熱が必要な部位との位置関係など、その他の構成および作用効果は第1実施例と同じである。
【0047】
〔変更実施例〕
上述した各実施例は、この発明を中間転写ベルトと一次転写部及び二次転写部を備えた、タンデム型カラー画像形成装置のような画像形成装置に適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、感光体ドラムの表面に形成したトナー像を転写紙に直接転写する方式の画像形成装置にも、この発明を同様に適用できる。
また、電子写真プロセスによってトナー像を形成する像担持体は、感光体ドラムに限らず、感光体ベルトであってもよい。
その他、この発明は実施例に限定されることなく、種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、ファクシミリ、プリンタ、複写機等として使用される電子写真印刷方式の各種画像形成装置に関し、特にコロナ放電を利用して帯電を行う帯電チャージャを像担持体に対向して配置した画像形成装置に適用することにより、放電生成物を揮発させ、画像ボケを確実に防止することができる。しかも、ヒータの設置によって、帯電チャージャのグリッドから像担持体表面までのギャップ精度を悪くしたり、帯電チャージャに印加される電圧(電流)がヒータを通じてリークするような副作用が生じる恐れがなくなる。
【符号の説明】
【0049】
1:感光体ドラム(像担持体) 1a:潤滑剤
1b:感光体ドラムの表面付近の帯電チャージャに対向する部位
2:帯電チャージャ 3:レーザ光 4:現像器 5:一次転写ローラ
6:クリーニング装置 6a:ブレード 7:潤滑剤塗布部
8:ヒータ 9:中間転写ベルト 10:レール 10a:ヒータ設置部
11:ダクト 11a:ヒータ設置部 14:現像部
16:クリーニング部 21:放電ワイヤ 22:ケーシング
23:グリッド 30:プロセスカートリッジ
31:プロセスカートリッジの枠体 31a:開口部
40:本体 41:ヒータ設置部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2008−310019号公報
【特許文献2】特開2008−310006号公報
【特許文献3】特開2008−46297号公報
【特許文献4】特開2005−275344号公報
【特許文献5】特開2001−109359号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体内に、像担持体と、コロナ放電によって該像担持体の表面を帯電させ、該像担持体に近接して帯電電位を制御するグリッドを有する帯電チャージャとを備えた画像形成装置において、
前記帯電チャージャの長手方向である像担持体の主走査方向に沿って配置され、前記帯電チャージャの前記グリッドと前記像担持体の該グリッドと対向する部位とにそれぞれ非接触で近接するヒータを設け、該ヒータが前記主走査方向に少なくとも画像形成領域以上の長さを有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ヒータは、前記帯電チャージャの少なくとも前記グリッドと、前記像担持体の少なくとも該グリッドと対向する部位とを、10℃以上暖めることができる発熱量と配置になっていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記帯電チャージャは、前記画像形成装置本体に設けられたレールに挿抜可能に支持されており、
前記ヒータは、前記レールに一体に固着され、前記帯電チャージャとは電気的に非導通に設置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置本体内に前記帯電チャージャ付近を換気するためのダクトを備え、
前記ヒータは、前記ダクトに一体に固着され、前記帯電チャージャとは電気的に非導通に設置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記像担持体と前記帯電チャージャとを含む画像形成プロセス部が枠体内に設けられ、ユニットとして一体化されたプロセスカートリッジを具備し、
前記ヒータは前記画像形成装置本体側に設置され、前記プロセスカートリッジの前記枠体における、前記ヒータに対応し前記帯電チャージャと前記感光体部の前記部位とに近接する位置に開口部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
画像形成用のメイン電源とは別に前記ヒータに通電するためのヒータ用電源を有し、
画像形成動作が終了して前記メイン電源が切られた後、前記ヒータ用電源によって前記ヒータに通電して該ヒータを発熱させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−53440(P2011−53440A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202280(P2009−202280)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】