説明

画像形成装置

【課題】トナーの入れ換えの際に生じるトナー製造ロットばらつき等によるトナー特性値の変化に依存せず、常に安定且つ正確なトナー付着量検知を行う画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体上に複数の基準パターンの静電潜像を形成し、複数の基準パターンの静電潜像を現像して、像担持体上に複数の基準パターンの可視像を形成する現像手段と、トナー容器を収容するトナー容器収容体を備え、現像手段にトナーを補給するトナー補給手段と、トナー容器に設けられ、トナー容器内に含まれるトナーのトナー特性情報を記憶する記憶手段と、像担持体上に形成された複数の基準パターンの可視像の反射光量を検知する光検出手段と、光検出手段の検知結果に基づいてトナー付着量を算出する演算手段と、を有する。演算手段は、トナー容器の保有するデータが更新された際に、トナー特性情報に基づいて、トナー付着量の換算式を変更してトナー付着量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出器によりトナー付着量を測定する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置では、画像濃度センサにてパッチパターンのトナー付着量を検知し、この検知結果に基づいてトナー濃度制御をすることがある。ところが、上記画像濃度センサは、センサ発光部の光量変化や、飛散したトナーや粉塵等がセンサ面に付着して汚れてしまうこと等により、正確にトナー付着量を検知できないおそれがあるという課題があった。
【0003】
そこで、トナー像が形成されていない状態の像担持体上や転写体上をパッチパターン検知前に予め検知し、その後パッチパターンを検知した時にトナー像が形成されていない状態の検知結果とパッチパターンの検知結果とに基づいてトナー付着量を算出し、センサ発光部光量の変化やセンサ面の汚れを補正する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、トナー像が形成されていない状態を検知してから長時間放置後にパッチパターンを検知すると、センサ発光部の光量が変化しているために、トナー付着量の算出結果と実際のトナー付着量の誤差が大きくなってしまうという課題があった。
【0004】
上記課題を解決するために、実際の使用状態に即した基準パターンを作成し、トナー付着量の誤差を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献2乃至特許文献4)。
【0005】
例えば、上記特許文献2記載の技術では、まず、基準パターンとして黒色トナーによりトナー付着量の異なる複数の黒色トナー用基準パターンを作成し、黒色トナー用基準パターンで正反射した反射光を正反射センサにより検出して、正反射センサのセンサ出力と現像バイアス電位との直線近似式を求める。次に、正反射センサにより検出された反射光の光量に基づき黒色トナー用基準パターンのトナー付着量を算出し、算出されたトナー付着量と現像バイアス電位との直線近似式を求める。そして、正反射センサのセンサ出力と現像バイアス電位との直線近似式と、トナー付着量と現像バイアス電位との直線近似式とにより、トナー付着量に対して正反射センサによる検出結果が直線性(リニアリティ)を確保できなくなる領域での目標トナー付着量に対応する現像バイアス電位を算出して画像補正を行う。
【0006】
また、上記特許文献3記載の技術では、まず、中速で作成された基準パターンで正反射した反射光を濃度検出センサにより検出して、濃度検出センサにより検出された反射光の光量に基づきトナー付着量を算出して中速の濃度補正テーブルを作成する。そして、高速で繰返し画像形成される時に、プロセス速度に応じて濃度補正テーブルを作成し、高速の濃度補正テーブルに基づき中速の濃度補正テーブルを換算して中速の濃度補正テーブルを補正する。
【0007】
また、上記特許文献4記載の技術では、まず、転写搬送ベルトのトナー像転写面に濃度検出センサにより検出可能な基準位置マークを形成し、トナー像転写面の全周に渡り濃度検出センサによりトナー像転写面の反射光量を検出して、トナー像が転写される下地データとして保存する。そして、トナー像転写面に基準位置マークと非同期の位置にプロコンのための補正用テストパターンを形成し、濃度検出センサにより検出された補正用テストパターンの反射光量と下地データに基づきトナー付着量を補正する。
【0008】
さらに、上記課題を解決する他の技術として、ベタ部のみならずハイライト部においても安定した画像濃度を長期に渡って得るための技術が提案されている(例えば、特許文献5)。上記特許文献5記載の補正方法では、まず、複数の基準パターンの潜像電位とトナー付着量の検出結果とから現像ポテンシャルとトナー付着量との直線近似式を求める。そして、求めた直線近似式の傾きである現像ガンマと現像開始電圧とを算出し、現像ガンマから目標帯電電位及び目標露光部電位を定め、目標帯電電位及び該目標露光部電位と現像ガンマと現像開始電圧とから目標現像バイアス電位を定めて作像条件を補正する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1乃至5には、トナーの入れ換えの際等に生じるトナーの製造ばらつきによるトナー特性値の変化や、それに伴うトナー付着量の検出値の変化への影響は考慮されていない。つまり、上記特許文献1乃至5に記載の技術では、トナーの入れ換えの際等に生じるトナー製造ロットバラツキによるトナー特性値の変化やそれに伴うトナー濃度検知センサへの影響によるトナー付着量の検出の検知誤差を十分に抑制できないという課題があった。
【0010】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、上記課題を解決し、トナーの入れ換えの際に生じるトナー製造ロットばらつき等によるトナー特性値の変化に依存せず、常に安定且つ正確なトナー付着量検知を行う画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、像担持体上に複数の基準パターンの静電潜像を形成し、複数の基準パターンの静電潜像を現像して、像担持体上に複数の基準パターンの可視像を形成する現像手段と、トナー容器を収容するトナー容器収容体を備え、現像手段にトナーを補給するトナー補給手段と、トナー容器に設けられ、トナー容器内に含まれるトナーのトナー特性情報を記憶する記憶手段と、像担持体上に形成された複数の基準パターンの可視像の反射光量を検知する光検出手段と、光検出手段の検知結果に基づいてトナー付着量を算出する演算手段と、を有し、演算手段は、トナー容器の保有するデータが更新された際に、トナー特性情報に基づいて、トナー付着量の換算式を変更してトナー付着量を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トナー入れ替え時等のトナー特性の変化に伴うトナー付着量検知誤差を防止し、高精度のトナー付着量制御が可能な画像形成装置を提供することができる。さらに、適正な画像濃度が安定して得られる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体概略構成例を示す図である。
【図2】本実施形態体に係る画像形成装置の現像装置にトナーを補給するトナー補給機構例を示す斜視図である。
【図3】本実施形態体に係る画像形成装置のトナー容器例を示す斜視図である。
【図4】基準パターン例を示す図である。
【図5】トナー付着量とセンサ出力値の関係例を示す図である。
【図6】体積平均粒径の異なるトナーのトナー付着量とセンサ出力との関係例を示すグラフである。
【図7】形状係数の異なるトナーのトナー付着量とセンサ出力との関係例を示すグラフである。
【図8】形状係数を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図9】円形度の異なるトナーのトナー付着量とセンサ出力との関係例を示すグラフである。
【図10】凝集度の異なるトナーのトナー付着量とセンサ出力との関係例を示すグラフである。
【図11】本実施形態に係る画像形成装置におけるトナー付着量の算出制御系の概略構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態の例について、図面を用いて詳細に説明する。尚、本実施系では、画像形成装置としてタンデム型のカラー画像形成装置を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。以下では、タンデム型のカラー画像形成装置として、特に複数の感光体が並行配設されたタンデム型のカラーレーザ複写機(以下、単に「複写機CM」という)に本発明を適用した場合を例に挙げて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る複写機CMの全体概略構成例を示す。本実施形態に係る複写機CMは、プリンタ部100、これを載置する給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ300、スキャナ300の上に固定された原稿自動搬送装置400等を備えている。
【0016】
<画像形成処理>
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y、18M、18C、18Kを有する画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY、M、C、Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。画像形成ユニット20は、上記プロセスカートリッジ18Y、18M、18C、18Kの他に、光書き込みユニット21、中間転写ユニット17、2次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25等を有している。
【0017】
光書き込みユニット21は、図示してない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。プロセスカートリッジ18Y、18M、18C、18Kは、ドラム状の感光体1、帯電器、現像装置4、ドラムクリーニング装置、除電器などを有している。
【0018】
以下、本実施形態に係る複写機CMが備えるイエロー用のプロセスカートリッジ18Yについて説明する。
【0019】
帯電手段である帯電器によって感光体1Yの表面が一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書き込みユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。これにより、感光体1Yの表面のうち、レーザ光に照射された照射部(露光部)の表面の電位が減衰する。この表面の電位の減衰により、感光体1Y表面にイエロー用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は、現像手段である現像装置4Yによって現像されてトナー像となる。イエロー用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に1次転写される。1次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
【0020】
イエロー用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Yは除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M、18C、18Kについても同様である。
【0021】
次に、本実施形態に係る複写機CMが備える中間転写ユニット17について説明する。中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110、ベルトクリーニング装置90等を有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、2次転写バックアップローラ16、4つの1次転写バイアスローラ62Y、62M、62C、62K等も有している。
【0022】
中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示してないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動させられる。4つの1次転写バイアスローラ62Y、62M、62C、62Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示してない電源から1次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y、1M、1C、1Kに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、1次転写電界が形成される。例えば、感光体1Yとこれに対向する1次転写バイアスローラ62Yとの間に、1次転写電界が形成される。
【0023】
上述したように感光体1Y上に形成されたトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に1次転写される。このYトナー像の上には、感光体1M、1C、1K上に形成されたM、C、Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像である4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0024】
中間転写ベルト110上に重ね合わせて転写された4色トナー像は、後述の2次転写ニップで図示してない記録媒体である転写紙等に2次転写される。2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟みこむベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0025】
次に、本実施形態に係る複写機CMが備える2次転写装置22について説明する。中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している2次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくともいずれか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動させられる。
【0026】
2本の張架ローラ23のうち、図1の右側に配設された第1の張架ローラ23は、中間転写ユニット17の2次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込む。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、2次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する2次転写ニップが形成されている。そして、第1の張架ローラ23には、トナーと逆極性の2次転写バイアスが図示してない電源によって印加される。この2次転写バイアスにより、2次転写ニップには、中間転写ユニット17が有する中間転写ベルト110上の4色のトナー像をベルト側から第1の張架ローラ23側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成される。
【0027】
後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色のトナー像に同期するように2次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この2次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色のトナー像が2次転写される。尚、このように第1の張架ローラ23に2次転写バイアスを印加する2次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0028】
本実施形態に係る複写機CMの本体の下部に設けられた給紙装置200には、内部に記録媒体である複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配置されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙が給紙路46に向けて送り出される。
【0029】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、給紙路46内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙はレジストローラ対49のローラ間に挟まれる。
【0030】
他方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。レジストローラ対49はローラ間に挟み込んだ転写紙を2次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、2次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。つまり、4色トナー像が転写紙上に2次転写されて、例えば白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って2次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0031】
本実施形態に係る複写機CMが備える定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動させるベルトユニットと、上記ベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ここで、定着ベルト26を張架する2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧するローラを第1のローラとする。
【0032】
ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される第1のローラは、内部に図示してない熱源を有しており、この熱源の発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着する。
【0033】
定着装置25内で定着処理された転写紙は、複写機CM本体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の2次転写ニップに戻される。
【0034】
複写機CMは、上述したように2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面にすべての感光体1Y、1M、1C、1Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示してない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面を感光体1Y、1M、1Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y、1M、1C、1Kのうち、感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y、M、Cについては、感光体1だけでなく、現像装置4も駆動を停止させることで、感光体1や現像装置4の各部材及び現像装置4内の現像剤の不要な消耗を防止することができる。
【0035】
<画像読取処理>
図示してない原稿のコピーを行う際には、例えば、シート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上にセットされる。ただし、その原稿が本状に綴じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。原稿をコンタクトガラス32上にセットした後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0036】
このようにして原稿がセットされた後、図示してないコピースタートスイッチ等が押下されると、スキャナ300による原稿読み取り動作がスタートする。ただし、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読み取り動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。
【0037】
原稿読み取り動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射し、結像レンズ35を通過した後、読み取りセンサ36に入射する。読み取りセンサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0038】
このような原稿読み取り動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y、18M、18C、18K内の各機器や、中間転写ユニット17、2次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読み取りセンサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書き込みユニット21が駆動制御されて、各感光体1Y、1M、1C、1K上にY、M、C、Kトナー像が形成される。これらのトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0039】
また、原稿読み取り動作を開始すると、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転させられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて反転給紙路46に侵入した後、搬送ローラ対47によって2次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51から給紙が行われるようにしてもよい。
【0040】
本実施形態に係る複写機CMは、図示しないが、複写機CM内の各機器の制御を司るCPU等から構成される制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等から構成される操作表示部と、を備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作等により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、例えば、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとしては、ダイレクト排出モード、反転排出モード、及び反転でカール排出モードを例として挙げることができる。
【0041】
<補給機構>
図2は、本実施形態体に係る画像形成装置の現像装置にトナーを補給するトナー補給機構例を示す斜視図である。図3は、図2に示すトナー補給機構のトナー容器例を示す斜視図である。図2に示すトナー補給機構150において、上記図1で示したような各色の作像ユニットであるプロセスカートリッジ18毎に設けられた各現像装置4へ補給するトナーを収納したトナー収納手段としてのトナー容器141は、本実施形態では図2の左下から右上に向かって、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4つが複写機CMの本体に設けられたセット部(図示せず)にセットされて配置されている。
【0042】
各色トナー容器141から各現像装置4へトナーを補給する機構は同一であるので、図2で一番手前に位置するブラック用のトナー容器に符号141を付して代表して説明する。
【0043】
トナー容器141をセットするセット部には、容器141内に挿入されるノズル90が図示していない機枠に設けられており、ノズル142と粉体ポンプ70とがトナー補給チューブ143で接続されている。トナー容器141をセット部へセットすることにより、ノズル先端がトナー容器141の下部に装着されている取り付け部材101の弁室内に挿入され、トナー容器141内と粉体ポンプ70が連通する。
【0044】
上記粉体ポンプ70は、駆動モータ71により回転駆動される駆動シャフト72に装着された駆動シャフトギヤ73から連絡ギヤ74を介して駆動される。粉体ポンプ70としては周知の構成のモーノポンプを採用することが可能である。粉体ポンプ70により移送されたトナーは、いったんサブホッパ75に収納され、サブホッパ75下部のトナー補給口76より現像装置4へトナーが供給される。
【0045】
図19において斜視図で示すトナー容器141は、袋状のトナー収容体144と取り付け部材101(排出用部材)とで構成されている。トナー収納体144は、例えば軟包材と呼ばれる厚さ50〜300μm程度のフィルム状の樹脂を溶着して袋状に形成したもの又は成形樹脂等で形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
また、記憶手段145にはトナー容器固有のID情報が記録されている。この固有情報としては、例えば、トナーの製造年月日や製造ロットなど、トナー容器に入っているトナー固有の情報が記録されている。また記憶手段145は、IDチップやバーコードなど、本体側の読み取り装置と連携し自動読み込みが可能でるものが好ましい。トナーの入れ換え時に、セットされたトナーの特性値情報を取得する記憶手段145をIDチップとすることによって画像形成装置本体側が非接触で情報を読み取ることが可能となり、手入力での煩雑さや入力エラーを防ぐことが可能となる。
【0047】
<トナー付着量算出方法>
以下に、本実施形態における光検出センサを用いたトナー付着量算出方法について、図4を用いて説明する。図4は、基準パターン例を示す。画像データに応じた画像の濃淡を再現するためには、画像データの濃淡を再現した基準パターンを作成する必要がある。濃淡を再現する方法としては、パルス幅変調(PWM)方式、パワー変調方式及び面積階調方式(dithering)等がある。図4では、面積階調方式にて16階調の基準パターンを作成した場合の例を示している。本実施形態では、濃淡を再現する方法として面積階調方式を採用した場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0048】
上記図4に示すような基準パターンを作成した後、光検出センサにて図4に示す基準パターンのトナー付着量検出値をそれぞれ求める。そして、図4に示す基準パターンのトナー付着量を測定することにより、センサ出力値とトナー付着量の関係が得られる。図5は、トナー付着量とセンサ出力値の関係例を示している。尚、図5では、拡散反射光出力電圧値とトナー付着量の関係を例に挙げて示しているが、これに限定されるものではない。上記図5に示すセンサ出力値とトナー付着量の関係よりセンサ出力からトナー付着量を算出する換算式が導かれ、換算式を用いることにより、センサ出力値からトナー付着量を算出することが可能となる。実際の画像形成装置内においては、図5より求められる換算式を予め記憶装置に記録しておき、調整動作を行う毎に、基準パターンのセンサ検出値を読み込み、次に記憶装置に記録してあるセンサ出力とトナー付着量の換算式を用いることで、トナー付着量を算出することができる。
【0049】
<トナー特性情報>
以下に、種々のトナー特性情報のトナー特性値とセンサ出力の関係について説明する。尚、以下では具体的な数値例を挙げてトナー特性値とセンサ出力の関係について説明するが、これに限定されるものではない。
【0050】
(体積平均粒径)
上述したトナー付着量算出方法と同様の手順にて、トナー体積平均粒径が4μm、6μmの2種のトナーを用いてトナー付着量とセンサ出力の関係を調べた。結果を図6に示す。図6に示すように、トナー体積平均粒径が異なるとトナー付着量とセンサ出力値の関係式が異なることが分かる。
【0051】
(形状係数)
上述したトナー付着量算出方法と同様の手順にて、トナー形状係数SF−1が110と150の2種のトナーを用いてトナー付着量とセンサ出力の関係を調べた。結果を図7に示す。図7に示すように、形状係数が異なるとトナー付着量とセンサ出力値の関係式が異なることが分かる。
【0052】
図8は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は100〜180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0053】
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
【0054】
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入し、当該トナーの粒子100個について解析して計算することができる。
【0055】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなる。また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率が高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0056】
(円形度)
上述したトナー付着量算出方法と同様の手順にて、トナー円形度の0.92と0.99の2種のトナーを用いてトナー付着量とセンサ出力の関係式を求めた。結果を図9に示す。図9に示すように、円形度が異なるとトナー付着量とセンサ出力値の関係式が異なることが分かる。
【0057】
ここで、本実施形態において好適に用いられるトナー円形度について説明する。本実施形態で用いるトナーは、平均円形度が0.93〜1.00であることが好ましい。本実施形態では、下記式(2)より得られた値を円形度と定義する。この円形度は、トナー粒子の凹凸度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。尚、下記式(2)において、L0は粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。
【0058】
円形度A=L0/L・・・(2)
【0059】
平均円形度が0.93〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体との接触面積が小さいために転写性に優れる。トナー粒子に角がないため、現像装置内での現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像が発生しない。ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないと、転写で転写媒体に圧接する際に、その圧力がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体、帯電部材等の表面を傷つけたり、磨耗させたりしない。
【0060】
次に、円形度の測定方法について説明する。尚、以下に示す円形度の測定方法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0061】
円形度は、例えば、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。具体的な測定方法としては、例えば、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
【0062】
(凝集度)
次に、上述したトナー付着量算出方法と同様の手順にて、トナー凝集度が20%と60%の2種のトナーを用いてトナー付着量とセンサ出力の関係式を求めた。結果を下記図10に示す。図10に示すように、トナーの凝集度が異なるとトナー付着量とセンサ出力値の関係式が異なることが分かる。
【0063】
ここで、凝集度の測定方法は以下の通りに行うことができる。測定装置は、例えば、ホソカワミクロン社(製)のパウダーテスターを使用し、振動台の上に、以下の手順で附属部品をセットする。
【0064】
(イ)バイブロシュート
(ロ)パッキン
(ハ)スペースリング
(ニ)フルイ(3種類)上>中>下
(ホ)オサエバー
【0065】
次に、ノブナットで固定し、振動台を作動させる。測定条件は以下のとおりである。
【0066】
フルイ目開き(上)75μm
フルイ目開き(中)45μm
フルイ目開き(下)22μm
振巾目盛1mm
試料採取量2g
振動時間15秒
【0067】
測定後、以下に示す計算から凝集度を求める。
【0068】
上段のフルイに残った粉体の重量%×1…(a)
中段のフルイに残った粉体の重量%×0.6…(b)
下段のフルイに残った粉体の重量%×0.2…(c)
上記3つの計算値の合計をもって、劣化後凝集度(%)とする。
すなわち、凝集値(%)=(a)+(b)+(c)
【0069】
以上の結果より、トナー特性値が異なるとセンサ出力値とトナー付着量の関係も異なる。つまり、トナーの特性値にあわせてトナー付着量算出に用いる換算式を変更する必要がある。
【0070】
<トナー付着量算出制御>
次に、トナー特性値を考慮したトナー付着量算出制御について説明する。図11は、トナー特性値の変更に伴うトナー付着量の算出制御系の概略構成例を示すブロック図である。
【0071】
図11に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、現像装置4にトナーを補給するトナー補給機構150を備えている。トナー補給機構150は、トナー容器141を収容するトナー容器収容体を有している。またトナー容器141には、トナー容器内に含まれるトナー特性情報の書き込み及び読み出しが可能な前述の記憶手段145が設けられている。
【0072】
本実施形態に係る画像形成装置は、記憶手段145に対してデータを書き込み及び読み出し(以下、単に記憶という)させるデータ処理装置(本体制御装置)154を備える。そして、トナー容器141の保有するデータが更新された際に、記憶手段145からのトナー特性情報を取得する。
【0073】
また、本実施形態に係る画像形成装置は光検出センサ500からの検出値を読み込み、トナー付着量を算出する演算装置800を有している。上記トナー容器141から得られたトナー特性情報よりトナー付着量換算式を読み取り、その換算式に基づいて光検出センサ500から得られた検出値をトナー付着量へ変換する。これにより、トナー付着量を算出することができる。
【0074】
以上のように、本実施形態では、トナー容器の入れ替わりに伴い、トナー特性情報を更新し、トナー付着量換算式を適宜更新する構成としている。
【0075】
本実施形態により、トナー入れ替え時のトナー特性の変化に伴うトナー付着量検知誤差を防止し、高精度のトナー付着量制御が可能となる。さらに、適正な画像濃度を安定して得ることが可能となる。
【0076】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した画像形成装置に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
4 現像装置
141 トナー容器
144 トナー容器収容体
145 記憶手段
150 トナー補給機構
151 センサ制御手段
154 データ処理装置
500 光検出センサ
800 演算装置
CM 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2004−219629号公報
【特許文献2】特開2007−286461号公報
【特許文献3】特開2007−286460号公報
【特許文献4】特開2007−292855号公報
【特許文献5】特開2005−024612号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に複数の基準パターンの静電潜像を形成し、前記複数の基準パターンの静電潜像を現像して、像担持体上に複数の基準パターンの可視像を形成する現像手段と、
トナー容器を収容するトナー容器収容体を備え、前記現像手段にトナーを補給するトナー補給手段と、
前記トナー容器に設けられ、前記トナー容器内に含まれるトナーのトナー特性情報を記憶する記憶手段と、
前記像担持体上に形成された複数の基準パターンの可視像の反射光量を検知する光検出手段と、
前記光検出手段の検知結果に基づいてトナー付着量を算出する演算手段と、を有し、
前記演算手段は、前記トナー容器の保有するデータが更新された際に、前記トナー特性情報に基づいて、前記トナー付着量の換算式を変更してトナー付着量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶手段に対してデータを記憶させるデータ処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー特性情報は、トナーの体積平均粒径情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー特性情報は、トナーの形状係数情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー特性情報は、トナーの円形度情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー特性情報は、トナーの凝集度情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、IDチップであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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