説明

画像形成装置

【課題】媒体搬送方向で隣り合うドットが同じノズル列のノズルで形成されてドットの合一化による画像劣化を生じる。
【解決手段】同色の液滴を吐出する2つのノズル列112A、112Bが千鳥配置された記録ヘッド102を有し、搬送ベルト131を架けまわしたローラ133、132の軸端の一方にはローラ133、132を軸方向に往復移動させる振動発生機構135、135が設けられ、他方には弾性部材136、136が設けられて、搬送ベルト131を介して用紙100を記録ヘッド102に対してノズル列方向に往復移動可能とし、画像形成を行なうときに、用紙100と記録ヘッド102を相対的にノズル列方向に振動させ、用紙100の用紙搬送方向に形成された同色のドット列は隣接するドットが異なるノズル列112A、112Bから吐出された液滴にて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する液体吐出ヘッドを記録ヘッドに備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
液体吐出方式の画像形成装置にあっては、高解像度化(高密度化)と生産性(印刷速度)の向上を図るために、記録ヘッドの隣接したノズルから吐出された液滴(画素)の密度が高まり、更に吐出タイミング(時間差)も短くなってきている。そのため、用紙上に着弾した隣接ドットを形成する液滴同士が合一化し易くなっている。隣接する液滴が合一化すると、結果として大きな液滴を着弾させたと同様になり、特にインク滲みが顕著になることから、画素密度を低下させ、フェザーリングやブリーディング等の画像の解像度を低下させばかりではなく、インク浸透深さが深くなることによる画像濃度の低下と画像裏抜け(裏抜け濃度の高濃度化)の助長などの画像劣化が生じる原因となる。
【0005】
この場合、シリアル型画像形成装置にあっては、マルチスキャンを行って主走査方向の隣接する画素の滴吐出タイミングをずらしたり、副走査方向でインターレース方式で吐出させることにより副走査方向の隣接する画素の滴吐出タイミングをずらすなどの構成を採用することで、隣接画素の液滴同士が合一することが行なわれている。
【0006】
なお、本件発明に係わる技術として、例えば特許文献1にはライン型インクジェットヘッドを微小移動量移動させてノズル間ピッチの1/2の解像度で印字を行うようにしたものが開示されている。
【0007】
また、ヘッドのノズル列方向への振動ないし移動に関しては特許文献2ないし4に開示されているようなもの知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−310049号公報
【特許文献2】特開2009−18491号公報
【特許文献3】特開2005−104037号公報
【特許文献4】特開2006−76024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したようなノズル列方向への振動では、同じノズルから吐出される液滴の着弾点をずらすことにより、白スジを目立たなくしたり、ノズル配列密度よりも解像度を上げることは可能になる。
【0010】
しかしながら、単純な振動印字では被記録媒体搬送方向に隣接するドットは同じノズル列から吐出されるため、吐出タイミングに差を設けることができない。すなわち、例えばノズルA1で印字されたドットDa1の被記録媒体搬送方向の隣には、例えばノズルA1と同じノズル列で、ノズルA1と隣接するノズルA2から吐出されたドットDa2が形成されるが、このドットDa1とドットDa2の形成タイミングはノズルA1で連続してドットDa1、Da2を形成した場合と全く同じである。したがって、このような連続印字を行っても被記録媒体搬送方向の隣接ドットを形成する液滴同士の合一化を防ぐことはできない。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ノズル数を増やす等の液体吐出ヘッドの大型化をすることなく隣接ドットの合一化に伴う画像品質の劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズル列を有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドのノズル列方向と直交する方向に被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記被記録媒体と前記液体吐出ヘッドとを相対的にノズル列方向に振動させる振動発生手段と、を備え、
同色の液滴を吐出するノズル列を複数列配置し、
画像形成を行なうときに、前記被記録媒体と前記液体吐出ヘッドを相対的にノズル列方向に振動させ、被記録媒体搬送方向に形成された同色のドット列は隣接するドットが異なるノズル列から吐出された液滴にて形成される
構成とした。
【0013】
ここで、前記同色の液滴を吐出する複数のノズル列は互いに被記録媒体搬送方向に対して重ならないように配置されている構成とできる。
【0014】
また、前記振動の振幅を変化させる手段を備えている構成とできる。
【0015】
また、前記搬送手段が前記液体吐出ヘッドの被記録媒体搬送方向上流側及び下流側に配置されたローラ部材有し、前記ローラ部材の軸端の一方に前記振動発生手段を、他方に弾性部材を備えている構成とできる。
【0016】
また、前記搬送手段が前記液体吐出ヘッドの被記録媒体搬送方向上流側及び下流側に配置されたローラ部材を有し、前記ローラ部材の軸端の両方に前記振動発生手段を備えている構成とできる。
【0017】
また、前記ローラ部材が前記被記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトが架け回されたローラ部材である構成とできる。
【0018】
また、前記搬送手段が前記被記録媒体を巻き付ける回転体であり、前記回転体の軸端の少なくとも一方に前記振動発生手段を備えている構成とできる。
【0019】
また、前記振動発生手段は、電歪素子又は超磁歪素子を備えている構成とできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る画像形成装置によれば、同色の液滴を吐出するノズル列を複数列配置し、画像形成を行なうときに、被記録媒体と液体吐出ヘッドを相対的にノズル列方向に振動させ、被記録媒体搬送方向に形成された同色のドット列は隣接するドットが異なるノズル列から吐出された液滴にて形成される構成としたので、例えば通常の千鳥配置のノズル列を有する液体吐出ヘッドを使用しても被記録媒体搬送方向の隣接ドットを異なるノズル列からの液滴で形成することができ、液体吐出ヘッドを大型化することなく隣接ドットの合一化に伴う画像品質の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の正面説明図である。
【図2】同装置の搬送ユニットの平面説明図である。
【図3】記録ヘッドの底面説明図である。
【図4】同装置の制御部の概要を説明するブロック説明図である。
【図5】同実施形態の作用説明に供する説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る搬送ユニットの平面説明図である。
【図7】同じく正面説明図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る搬送ユニットの平面説明図である。
【図9】同じく正面説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態の説明に供する正面説明図である。
【図11】同実施形態の作用説明に供する説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態の作用説明に供する説明図である。
【図13】同実施形態の他の例の説明に供する説明図である。
【図14】同じく不吐出ノズルの補完制御の説明に供するフロー図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係る画像形成装置の平面説明図である。
【図16】同じく正面説明図である。
【図17】本発明の第7実施形態に係る画像形成装置の平面説明図である。
【図18】本発明の第6、第7実施形態の作用説明に供する説明図である。
【図19】本発明の第6、第7実施形態の他の作用説明に供する説明図である。
【図20】本発明の第8実施形態に係る画像形成装置の平面説明図である。
【図21】本発明の第9実施形態に係る画像形成装置の平面説明図である。
【図22】本発明の第8実施形態の作用説明に供する駆動波形の説明図である。
【図23】本発明の第9実施形態の作用説明に供する駆動波形の説明図である。
【図24】本発明の第8実施形態の作用説明に供する他の駆動波形の説明図である。
【図25】本発明の第10実施形態の作用説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の正面説明図、図2は同じく搬送ユニット平面説明図、図3は記録ヘッドの底面説明図である。
この画像形成装置は、被記録媒体である用紙100に液滴を吐出して画像を形成する画像形成手段としての記録ヘッドユニット101と、用紙100を搬送する搬送手段である搬送ユニット103と、用紙100を収容する給紙トレイ104などを備えている。
【0023】
記録ヘッドユニット101は、液滴を吐出する複数のノズルを用紙幅相当分の長さに配列したノズル列を有するライン型液体吐出ヘッドから構成され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を記録ヘッド102y、102m、102c、102k(以下、色を区別しないときは「記録ヘッド102」という。)を備えている。
【0024】
1つの記録ヘッド102は、図3に示すように、同じ色の液滴を吐出する複数のノズル111を配列した2つのノズル列112A、112Bを有し、ノズル列112A、112Bはノズル111を千鳥配置することで、同色の液滴を吐出するノズル列を複数列互いに被記録媒体搬送方向に対して重ならないように配置している。なお、ノズル111の配列方向(ノズル配列方向)を「ノズル列方向」という。また、ノズル102のノズル列方向の配列ピッチは所要の解像度が得られるピッチとしている。
【0025】
搬送ユニット103は、用紙100を吸着して搬送する無端状ベルトである搬送ベルト131を備え、搬送ベルト131は搬送ローラ132とテンションローラ133との間に掛け渡されて周回するように構成している。この搬送ベルト131に対する用紙100の保持は、例えば静電吸着、空気の吸引による吸着などを行う構成とすることやその他の公知の搬送手段を用いることができる。また、ローラ対による搬送手段を用いることもできる。
【0026】
給紙トレイ104に収容された用紙100は、搬送を解除する実線図示側と搬送を行う破線図示の間で揺動可能なピックアップローラ141により一枚ずつ分離され、下流に搬送する給紙ローラ142aと分離ローラ142bで構成されている給紙部142に搬送され、給紙部142で一枚に分離された用紙100は、搬送経路144を経由して中間搬送ローラ対145に送られ、中間搬送ローラ対145により搬送経路146から搬送経路147を経由して、搬送ローラ148を経て、搬送ユニット103の搬送ベルト131まで搬送される。
【0027】
そして、搬送ベルト131の周回移動で搬送されて記録ヘッドユニット101の各記録ヘッド102から各色の液滴が吐出されて画像が形成され、その後図示しない排紙トレイに排出される。
【0028】
次に、搬送ユニット103の詳細について図2を参照して説明する。なお、図2は同搬送ユニットの平面説明図である。
搬送ベルト131を駆動する搬送ローラ132とテンションローラ133には、一方の軸端132a、133aに各ローラ132、133を軸方向に振動させる振動発生手段としての振動発生機構135を設け、他方の軸端132b、133bに弾性部材として弾性カップリング136を設け、それぞれ本体フレーム137にベアリングなどの保持部材138にて回転自在に保持している。
【0029】
ここで、振動発生機構135を構成するアクチュエータとしては、ピエゾ素子などの電歪素子、磁力により振動を発生させる超磁歪素子、ソレノイドなどを用いることができる。なお、ここでは搬送ローラ132とテンションローラ133を振動させているが、記録ヘッドユニット101と用紙100とをノズル列方向に相対的に振動できればよく、例えば記録ヘッドユニット101自体を振動させてもよい。
【0030】
次に、制御部の概要について図4のブロック説明図を参照して説明する。
この制御部500は、この画像形成装置全体の制御を司る本発明における振動を制御する振動制御手段を兼ねるマイクロコンピュータ、画像メモリ、通信インタフェースなどで構成した主制御部(システムコントローラ)501を備えている。主制御部501は、外部の情報処理装置(ホスト側)などから転送される画像データ及び各種コマンド情報に基づいて用紙に画像を形成するために、印刷制御部502に印刷用データを送出する。
【0031】
印刷制御部502は、主制御部501からの受領する印刷データ信号に基づいて、記録ヘッドユニット101の各ヘッド102から液滴を吐出させるための圧力発生手段を駆動するためのデータを生成し、このデータの転送及び転送の確定などに必要な各種信号などをヘッドドライバ503に転送するとともに、駆動波形データ格納手段である記憶部、駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器や電流増幅器等で構成される駆動波形生成部、ヘッドドライバ503に与える駆動波形を選択する選択手段を含み、1の駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ503に出力して、各記録ヘッド102を駆動制御する。
【0032】
また、主制御部501は、モータドライバ504を介して、搬送ベルト131を周回移動させる用紙送りモータ505を駆動制御する。
【0033】
また、主制御部501は、画像形成時にドライバ508を介して振動発生機構135のアクチュエータを駆動制御し、搬送ベルト131をノズル配列方向に往復移動(振動)させる
【0034】
また、主制御部501には各種センサからなるセンサ群506からの検出信号が入力され、また、操作部507との間で各種情報の入出力及び表示情報のやり取りを行う。
【0035】
次に、このように構成した実施形態の作用について説明する。
まず、振動発生機構135で振動を生じさせると、搬送ローラ132及びテンションローラ133が共に軸方向(ノズル列方向)に振動する。このとき、両ローラ132、133の振動の周期と振幅を合わせるように、振動の同期をとることで、搬送ベルト131と用紙100がローラ132、133と同じ周期及び振幅で記録ヘッド102に対して相対的にノズル列方向に振動する。
【0036】
ここで、用紙のノズル列方向への振動の周期を駆動周期の2倍、振幅をノズルピッチPの1/4(MAX−MINがノズルピッチPの1/2:図5参照)とし、さらにノズル列間距離を2nドット(nは自然数)分、離間することによって、図5(a)に示すように、ノズル列112Aで形成するドットとDAとノズル列112Bで形成するドットDBとはノズル列方向位置を同じにして形成することができ、用紙搬送方向において隣接するドットDAとDBを異なるノズル列112A、112Bで形成することができる。なお、振動を与えないでノズル列112A、112Bでドットを形成した場合には同図(b)に示すようになる。
【0037】
なお、ここでは、2つのノズル列がノズルピッチPの1/2ずれて配置される構成で示しているが、2つのノズル列のノズル位置が被記録媒体搬送方向に並んだ構成でもよい。このような場合は、ノズル列間距離を(2n+1)ドット(nは自然数)分、離間すれば前記の場合と同様にノズル列方向への振動の周期を駆動周期の2倍、振幅をノズルピッチPの1/4とすることで同様の画像形成ができる。
【0038】
このように、同色の液滴を吐出するノズル列を複数列配置し、画像形成を行なうときに、被記録媒体と液体吐出ヘッドを相対的にノズル列方向に振動させ、被記録媒体搬送方向に形成された同色のドット列は隣接するドットが異なるノズル列から吐出された液滴にて形成する構成としたので、例えば通常の千鳥配置のノズル列を有する液体吐出ヘッドを使用しても被記録媒体搬送方向の隣接ドットを異なるノズル列からの液滴で形成することができ、ノズル列が2倍必要になり液体吐出ヘッドを大型化するようなこともなく、隣接ドットの合一化に伴う画像品質の劣化を防止することができる。
【0039】
詳細に説明すると、振動を発生させないときには、ノズル列112A、112Bによって形成されるドットDA、DBの配置は図5(b)に示すようになる。つまり、搬送方向は同じノズルから吐出されたインク滴からできるドットが連続して並び、同一ノズルからのインク滴はヘッド駆動周波数(通常数十kHz)間隔で吐出されるため、着弾とほぼ同時にインク滴同士が合一してしまい、インク滴の合一により、ビーディングの発生や、画像濃度の低下、裏抜け濃度の悪化などを招くことになる。
【0040】
これに対し、振動を発生させた場合には、ノズル列112A、112Bによって形成されるドットDA、DBの配置は、図5(a)に示すように、用紙100のノズル列方向への移動量分ずれることになる。これにより、同一ノズルからのドット間距離が離れるため、インク滴の合一が生じなくなり、画像濃度の向上、裏抜け濃度の低下、ビーディングの抑制を図ることができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は同実施形態の説明に供する搬送ユニットの平面説明図、図7は同じく正面説明図である。
ここでは、搬送ユニット203は、記録ヘッドユニット101の用紙搬送方向上流側及び下流側に配置した搬送ローラ232、233を備え、搬送方向に連続用紙200にテンションをかけながら搬送する。紙搬送用ローラ232、233の一方の軸端には前記実施形態と同様に振動発生機構135が、他方の軸端に弾性カップリング136が備えられている。
【0042】
振動発生機構135、135によって2本のローラ232、233の振動を同期させることで、ローラ間でテンションがはられた用紙200全体を搬送方向と直交方向(ノズル配列方向)に往復振動させることができる。
【0043】
次に、本発明の第3実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、図8は同実施形態の説明に供する搬送ユニットの平面説明図、図9は同じく正面説明図である。
ここでは、用紙100を搬送する搬送ユニットとして、表面に用紙100を担持して回転するドラム状の回転体303を備えている。回転体303の一方の軸端には前記実施形態と同様に振動発生機構135が、他方の軸端に弾性カップリング136が備えられている。
【0044】
振動発生機構135によって回転体303を振動させることで、用紙100を搬送方向と直交方向(ノズル配列方向)に往復振動させることができる。
【0045】
なお、上記各実施形態において、振動発生機構135を軸端の両方に配置することもできる。また、振動発生機構135の駆動制御に関しては後述する。
【0046】
次に、本発明の第4実施形態について図10を参照して説明する。なお、図10は同実施形態の説明に供する模式的正面説明図である。
ここでは、2つの記録ヘッドユニット101A、101Bを備え、記録ヘッドユニット101A、101Bの記録ヘッド122、123は1列のノズル列を有し、記録ヘッドユニット101Aの記録ヘッド122のノズル列と記録ヘッドユニット101Bの記録ヘッド123のノズル列とは1/2ノズルピッチ分ノズル列方向にずらして配置している。なお、搬送ユニット103は前記第1実施形態と同様な構成である。
【0047】
ここで、用紙のノズル列方向への振動の周期を駆動周期の2倍、振幅をノズルピッチPの1/4(MAX−MINがノズルピッチPの1/2:図11参照)とし、さらにノズル列間距離を2nドット(nは自然数)分、離間することによって、図11(a)に示すように、用紙搬送方向で隣接するドットDAは記録ヘッドユニット101Aで、ドットDBは記録ヘッドユニット101Bで形成されるので、前記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。なお、図11(b)には振動させない場合のドット配置を示している。
【0048】
なお、ここでは、2つのノズル列がノズルピッチPの1/2ずれて配置される構成で示しているが、2つのノズル列のノズル位置が被記録媒体搬送方向に並んだ構成でもよい。このような場合は、ノズル列間距離を(2n+1)ドット(nは自然数)分、離間すれば前記の場合と同様にノズル列方向への振動の周期を駆動周期の2倍、振幅をノズルピッチPの1/4とすることで同様の画像形成ができる。
【0049】
次に、本発明の第5実施形態について図12を用いて説明する。
図12(a)は、前記第4実施形態における記録ヘッド101Aが形成した画像を示している。なお、ここで記録ヘッド101Bは記録ヘッド101Aから被記録媒体搬送方向に大きく離間した構成としており、図12(a)にはまだ記録ヘッド101Bの画像は形成されていない状態を示している。
【0050】
ここで、図12(b)は黒矢印のノズルが不吐出となった場合の記録ヘッド101Aが形成した画像を示している(不吐出のノズルで形成されるべきドット位置を「不吐出ドット」として白丸で示している。)。この場合、この後に記録ヘッド101Bの画像が形成されると、図12(c)のように、搬送方向の同一線上には他のノズルから形成されたドットが形成されるため、白スジが目立ちにくくなる。しかし、さらに不吐出ノズル(抜けノズル)を検出して、図12(d)に示すように、ノズル抜けを生じているノズルに隣接するノズルからはドットD(この例ではドットDA、DB)よりも相対的に大きなドットDl(ヘッド101Bで形成するがドットDBとは濃淡を変えて図示する。)を形成する大きな滴を吐出させることによって、更に白スジを目立たなくすることもできる。
【0051】
このような処理は、被記録媒体搬送方向に隣接するドットを異なるノズル列で打つことにより初めて可能となる。すなわち、被記録媒体搬送方向の隣接するノズルを時間差をもって打てることにより、最初のノズル列による吐出不良を検出し、後から不良ノズル間に大きなドットD1を打ち込むことができる。なお、不吐出ノズルの検知手段としては、ノズル配列方向に沿ってCCDなどの撮像素子を配置したものやノズル列方向に沿って照射されるレーザー光を用いるものなど公知のもので構成できる。
【0052】
また、ここで、大きなドットD1の打ち込みに変えて、振動の振幅を変更する処理を行うこともできる。具体的には、不吐出検知を行った場合に振幅を大きくすると、不吐出ノズルで記録する位置は互いに離間することとなり、白抜けが目立たなくなる。通常のノズルピッチPの1/4(MAX−MINがノズルピッチPの1/2)の振幅の振動では、不吐出位置は図12(c)のように斜めにジグザグの配置となる。しかし、振幅をノズルピッチPの3/4(MAX-MINがノズルピッチPの3/2)に変更すると図13のように不吐出位置が離間し、ほとんど不吐出箇所が認識できなくなる。
【0053】
また、ここで複数のノズル列を互いに被記録媒体搬送方向に対して重ならないように配置させておくことで、浸透性の良い被記録媒体などで隣接ドットのインクの合一が起こりにくい場合には振動を停止し、振幅0で記録を行うことも可能となる(被記録媒体搬送方向に並んで配置されている場合には、ノズルの間のドットが形成できないため、振動なしではベタを埋めることができない)。このようにすることで、振動不要な場合には振動を停止し、無用な電力の消費を抑えることができる。
【0054】
ここで、不吐出ノズルの検知から当該ノズルを補完して画像形成する制御の一例について図14を参照して説明する。
まず、不吐出検知を実行し、抜けノズルがあれば、抜けノズルXnを特定し、ノズルXnのドットデータの滴サイズを判別し、ノズルXnのドットデータの滴サイズが小滴であれば、ノズルXnに隣接するノズルXn−1又はXn+1のドットデータを中滴に変更し、ノズルXnのドットデータの滴サイズが中滴であれば、ノズルXnに隣接するノズルXn−1又はXn+1のドットデータを大滴に変更し、ノズルXnのドットデータの滴サイズが大滴であれば、ノズルXnに隣接するノズルXn−1又はXn+1のドットデータを中滴に変更する。
【0055】
そして、搬送ユニットの振動を開始し、用紙の搬送を開始して用紙を搬送しながら画像形成を行って排紙する。その後、次データがあれば、不吐出検知を行うか否かを判別し、不吐出検知を行わないときには、同様にして搬送ユニットの振動と画像形成を行い、不吐出検知を行うときにはノズル回復動作を行った後不吐出検知を行う。
【0056】
ここでは、記録動作前に不吐出検知を実施しているが、最初のノズル列での画像形成の吐出時に不吐出検知を行い、2列目のノズル列による吐出動作に滴サイズ変更を反映してもよい。このような場合は、両者のノズル列間は離間していることが好ましい。
【0057】
また、このような処理は記録動作前処理が不要で、作業効率を大きく改善できるが、反面2列目のノズル列の不吐出については補正できないという問題がある。これを改善するためには、2列目だけ記録動作前確認を行う処理を行うことや、2列目の不吐出検知結果を速やかにフィードバックし、2枚目以降の被記録媒体では最初のノズル列の滴サイズ変更を行うことが有効である。このような場合でも全ノズルを不吐出検知後に記録動作を開始する場合に比べれば生産効率は大きく改善する。
【0058】
なお、このような構成は第1ないし第3実施形態の構成において同様に適用することができる。
【0059】
また、前記各実施形態において、ノズル列は2列に限るものではなく、例えば3列以上のノズルから吐出されたドットを組み合わせて被記録媒体搬送方向に配列させても同様の効果を得ることができる。
【0060】
次に、本発明の第6実施形態について図15及び図16を参照して説明する。なお、図15は同実施形態に係る画像形成装置の平面説明図、図16は同じく正面説明図である。
この画像形成装置は、単葉の同一サイズの被記録媒体1を給紙バンク2に積層し、印刷命令に応じて最上位から1枚ずつピックアップローラ3によりピックアップされた後、分離ローラ対4を通過することにより確実に1枚ずつ分離され、搬送ローラ対5を通過し、レジストローラ対6へと被記録媒体1の先端は到達するが、その際レジストローラ対6の回転は停止状態になっており、レジストローラ対6のニップ位置の上流側で被記録媒体1の先端が接したことをレジストレジスト前7で検知すると、搬送ローラ対5の搬送も一時停止し、ループを描いた状態の被記録媒体1の先端のレジストレーションが行われる。
【0061】
その後、再度レジストローラ対6は起動し、レジストセンサ後8を通過することで、所定位置に被記録媒体1の先端が到達したことが検知される。
【0062】
さらに、搬送ローラ対9を通過した後、ガイド板10、11で案内された被記録媒体1は、モータ17とそのモータプーリ15により発生する回転トルクがタイミングベルト16と駆動ローラ13の軸部13−3に取り付けられた駆動ローラ14と、従動ローラ18とに張架される搬送ベルト12の搬送力と、従動ローラ18と、その上側に対向して配置されている前拍車19とにより被記録媒体1はスリップすることなく搬送することができ、被記録媒体1の先端がヘッドセンサ前25を通過したタイミングを検出することにより、所定の被記録媒体1の所望の位置に正確にライン型液体吐出ヘッドから構成される記録ヘッド(ユニット)23を通過することによりインク滴の画像形成を行われる。
【0063】
なお、搬送ベルト12を挟んで、記録ヘッド23のノズル面に対向して配置されている印写受皿24に、適宜印刷タイミングの合間を見てヘッド23内に溜まった不安定状態のインクを吐出させて受け止める容器になっており、搬送ベルト12はパターン化されている穴が開放されているため、その穴が所定のヘッド23のノズルを通過する際に吐出するため、搬送ベルト12をインクで汚損することはない。
【0064】
さらに被記録媒体1が搬送されると、搬送ベルト12の下側に配置された、ヘッド23より上流側に配置された吸引ファン21と、下流側に配置された吸引ファン22の負圧により被記録媒体1がより一層搬送力を与えられ、駆動ローラ13と、その上側に対向して配置されている拍車後20とにより被記録媒体1はスリップすることなく排紙部26へと排紙される。
【0065】
なお、搬送ベルト12の材質は、被記録媒体1との相対的な滑りスリップを防ぐため、極力摩擦係数の高い材質が好まれ、一般的には加硫ゴムが用いられるが、それに限らず成型エラストマや、高分子材料からなるシートをベルト状に加工した物などが用いられる。
【0066】
また、搬送ローラ対9のコロ31は軸部32に対して軸線方向に自由度を持たせているが、軸部32にはコロ31の両側に止輪29が固定されて取り付けられており、それとコロ31との間に圧縮されたばね30があり、コロ31はそのばね圧により中立した位置にある。この様な個々のコロ31にばね30と止輪29を設けずとも、軸部32に固定されたコロとを一体に軸線方向に自由度を持たせ、ばねで中立位置に留めさせる方式であってもよい。
【0067】
また、搬送ローラ対9にはトルク伝達する機構を図示していないが、ローラ対9の少なくとも一方には被記録媒体1の搬送速度に同期させた角速度でトルク伝達を行っており、軸部32に対してコロ31の軸接触部には図示していないワンウェークラッチを内装させることにより、必ずしも軸部32とコロ31が一体でなく軸線方向に自由度を持たせ、所定の方向に被記録媒体1を搬送させるトルク伝達が行える構造であってもよい。
【0068】
また、拍車前19と拍車後20は、軸部32に対して軸線方向に自由度を持たせているが、軸部32には拍車前19や、拍車後20の両側に止輪29が固定されて取り付けられており、それ拍車前19や、拍車後20との間に圧縮されたばね30があり、拍車前19や、拍車後20はそのばね圧により中立した位置にある。この様な個々の拍車前19や、拍車後20にばね30と止輪29を設けずとも、軸部32に固定され拍車前19や、拍車後20とを一体に軸線方向に自由度を持たせばねで中立位置にとどめさせる方式であってもよい。
【0069】
そして、被記録媒体1を記録ヘッド23に対してノズル列方向(媒体搬送方向と直交する方向)に往復移動(振動)させる振動発生手段としての超磁歪素子からなる超磁歪アクチュエータ35、37を備えている。
【0070】
すなわち、駆動ローラ13と従動ローラ18の軸端部には駆動ローラとの接合部13−1、従動ローラ18の接合部18−1が設けられ、それぞれの接合部13−1、18−1はアクチェータ35、アクチェータ37と接続されている。各々のアクチェータ35、37を駆動するドライバ39、ドライバ41は同時に同一方向に同タイミングでアクチェータ35、37を駆動する。なお、アクチェータ35、アクチェータ37は、夫々のドライバ39、ドライバ41に送信される信号電流波形信号に応じて磁歪素子の歪み伸縮量が変化する。
【0071】
つまり、超磁歪素子方式のアクチェータでは、コイルに流れる電流値に応じて中心部にある超磁歪素子アクチェータが歪む量が決定し、また電流方向により伸縮も可能なため、任意な量の伸縮が可能なアクチェータであり、その周波数応答は後述のソレノイド方式より高い大域まで追随できるとされている。
【0072】
次に、本発明の第7実施形態について図17を参照して説明する。なお、図17は同実施形態に係る画像形成装置の平面説明図である。
ここでは、前記第6実施形態の画像形成装置において、被記録媒体1を記録ヘッド23に対してノズル列方向(媒体搬送方向と直交する方向)に往復移動(振動)させる振動発生手段としてのソレノイド43、45を備えている。
【0073】
すなわち、駆動ローラ13と従動ローラ18の軸端部には接合部13−1、従動ローラの接合部18−1が設けられ、それぞれの軸にはプランジャ部13−5、プランジャ部18−5と直結し、ソレノイド43、ソレノイド44が設けられている。各々のソレノイド43、44を駆動するドライバ45、ドライバ46は同時に同一方向に同タイミングで駆動する。
【0074】
ソレノイド方式ではコイルに流れる電流によりプランジャが図示符号は示していないが、コイルにて生じた磁界をプランジャに効率よくループさせるために円錐台形状の凹面を持ったベースがあって、対向する面にあるプランジャ部13−5や、プランジャ部18−5の先端の円錐台形の凸部が吸引される力が生じ、電流を流さない場合には図示しない圧縮ばねの作用により、離間する方向に力が生じる動作を行うため、電流波形によりローラ部13−4、18−4を往復動作させることができる。
【0075】
なお、アクチュエータとしては、上述したソレノイド方式のアクチェータ、図示しないがパルス信号に応じて発振するピエゾ型アクチェータであってもよいが、高い周波数に応答し、振幅を精度良く制御できるものとして、コイルに流す電流に応じて伸縮する量を制御できる前述した超磁歪アクチェータが好ましい。
【0076】
上述した第6、第7実施形態において、アクチェータの駆動に応じて駆動ローラ13と従動ローラ18は軸方向に動くことでそれに張架された搬送ベルト12も一体となって軸方向に動くことになり、それに伴い前述の軸線方向に自由度を持たせている拍車前19と拍車後20も動くことになり、それらにニップされた被記録媒体1も往復移動する。さらに、被記録媒体1も後端側上流側にニップされている前述の軸線方向に自由度を持たせている搬送ローラ対29も同様に追従して動くことになる。
【0077】
なお、駆動ローラ13の軸部13−3の動きに対して、プーリ14は軸線方向に動かさないことから、プーリ14には軸線方向には自由に摺動し、トルク伝達は行えるワンウェークラッチ部14−1を内装してもよい。
【0078】
そこで、上述した第6、第7実施形態の作用について図18及び図19をも参照して説明する。
ここでは、図18及び図19に示すように、記録ヘッド23はノズルnz1〜nz9が1列に配列されたノズル列を有しているものとする。また、図示のし易さを考慮し、「複数のノズル列」のうちの1つのノズル列にのみ着目し、このノズル列による画像のみを表記している。
まず、被記録媒体1をノズル配列方向で振動させない(往復移動させない)場合には、図18(a)に示すように、ノズルnz1〜nz9から吐出されたインク滴によって時系列L1からL7まで画像形成を行った状態の被記録媒体1の主副走査搬送軌跡に従って画像は形成される。このときの時系列L1〜L7における被記録媒体1の搬送方向の奇跡は個々の矢印ベクトルで示したとおり一直線上に配列される。したがって、記録ヘッド23のノズルnz1〜nz9から吐出されたインク滴の配列も主走査方向の振幅が無く直線状に配列されている状態となる。
【0079】
これに対し、上記第6実施形態に示すように、軸の片側のアクチェータだけで伸縮動作が可能な超磁歪素子方式アクチェータを採用した場合、図18(b)に示すようになる。
つまり、時系列L1〜L7までの被記録媒体1の搬送方向の奇跡は個々の矢印ベクトルで示したとおり一直線上に配列しているが、ノズル配列方向では軌跡L1では図示のヘッド23のノズル位置より下側に被記録媒体1をノズル配列方向に移動させた際に印写し、軌跡L2では図示の記録ヘッド23のノズル位置より上側に被記録媒体1をノズル配列方向に搬送移動させた際に印写し、軌跡L3以降はこの一連の動作が繰り返される。
【0080】
この動作により、ノズル配列方向に搬送させた量はノズルnz1に隣接するノズルnz2までのノズルピッチの1/2としている。したがって、振幅がノズルピッチの1/4で、それぞれ上方向に+1/4から下方向に−1/4の間で往復動作を行っていることになる。
【0081】
なお、この動作は、軸の片側のアクチェータだけで伸縮動作が可能な超磁歪素子方式アクチェータを採用した場合に実行できる動作であるが、後述するように、回転軸を軸線方向に可動させるアクチュエータが両側軸端部に独立して備えられ、個別に駆動できるようにした場合には、ソレノイド方式であっても、両端のそれぞれのソレノイドを交互に動作させることにより同様の動作を行うことができる。
【0082】
また、上記第6、第7実施形態において、図19に示すような動作を行うこともできる。
つまり、軌跡L1の初期状態のノズル列方向には移動していない状態から軌跡L2に移動する間に、記録ヘッド23のノズル位置より上側に被記録媒体1を搬送移動させた際に印写し、軌跡L3で再び軌跡L1と同様の初期位置に戻し印写し、以降はこの一連の動作を繰り返す。
【0083】
この動作では、ノズル列方向に移動させる量はノズルピッチの1/2としている。したがって、動作範囲がノズルピッチの1/2で、初期状態から一方向(図で上方向)に+1/2の間で往復動作を行う。なお、この動作例は、前述した図12(b)と同様な動作である。
【0084】
次に、本発明の第8実施形態について図20を参照して説明する。なお、図20は同実施形態に係る画像形成装置の平面説明図である。
ここでは、駆動ローラ13と従動ローラ18の両軸端部には円錐形状の駆動ローラのピボット(先端を円錐形とする軸受方式のピボット)13−1、ピボット13−2、従動ローラのピボット18−1、ピボット18−2が設けられ、それぞれのピボット13−1、13−2、18−1、18−2の先端に軸線方向に接触した位置に円錐形状に凹んだ形状でその頂点部に接するように、超磁歪アクチェータ35〜38が設置されている。各々のアクチェータ35〜38を駆動するドライバ39〜42は独立したタイミングで駆動することができる。
【0085】
なお、軸端部のピボットと円錐形状に凹んだ形状のアクチェータ形状にした理由は、駆動ローラ13と従動ローラ18の両軸端部が回転するのに対し、アクチェータは回転させると二次的な弊害磨耗や、動作不良の誘発が懸念されるため、固定させる必要があることから、相対的な接触付加を極力抑える必要がある。この場合、軸芯で点接触させる方式としてピボット軸受け方式を採用しているが、これに限るものではなく、回転トルクは伝達することなく、軸線方向の動作だけ伝達する構造であれば方式は限定されない。
【0086】
次に、本発明の第9実施形態について図21を参照して説明する。なお、図21は同実施形態に係る画像形成装置の平面説明図である。
ここでは、駆動ローラ13と従動ローラ18の両軸端部にはそれぞれソレノイド43〜46を設けるとともに、各々のソレノイド47〜50を備えている。
【0087】
次に、上記第8実施形態における振動発生手段のアクチュエータを駆動する駆動波形について図22を参照して説明する。
まず、図22(a)の駆動波形では、超磁歪アクチュエータを両軸端に用いて、その駆動波形として電流値の増減に応じた所望のストロークを決定するとき、その電流値をIaとIbの2値で示し、ともに電流方向は同じとしている。
【0088】
つまり、時点t1までは、超磁歪アクチェータ35、37に流す電流値がIaと低くなっていることから超磁歪アクチュエータ35、37は短くなり、超磁歪アクチェータ36、38に流す電流値はIbと高くなっていることから、超磁歪アクチュエータ36、38は長くなる。このように、軸両端からプッシュ・プル動作を行うことで、確実にローラ部13−4と、ローラ部18−4とが瞬時に軸線方向(ノズル配列方向)に動作することにより、搬送ベルト12と被記録媒体1も確実に移動する。
【0089】
その後、時点t1から時点t2の間に超磁歪アクチェータ35、37に流す電流値をIaからIbへ、また超磁歪アクチェータ36、38に流す電流値はIbからIaへと同時に切り替わり、時点t3までその状態を保ち、その間で少なくとも1ライン分の印写を行う。
【0090】
更に時点t3から時点t4の間で再び超磁歪アクチェータ35、37に流す電流値がIbからIaへ、また超磁歪アクチェータ36、38に流す電流値はIaらIbへと同時に切り替わり、次のラインを印写するまでその状態を保つ。
【0091】
このサイクルを順次繰り返すことで印写を行うたびに被記録媒体は媒体搬送方向に搬送されると同時にノズル配列方向に定周期の振動を繰り返す動作を行う。
【0092】
まず、図22(b)の駆動波形では、超磁歪アクチュエータを両軸端に用いて、その駆動波形として電流値の増減に応じた所望のストロークを決定するとき、電流方向は逆電流値を+Icと−Icの2値で互いに電流方向が逆になるようしている。
【0093】
すなわち、初期状態から時点t1までは、超磁歪アクチェータ35、37に流す電流値が0、超磁歪アクチェータ36、38に流す電流値も0となっていることで、すべてのアクチェータ35〜38が初期通電していない状態になっている。
【0094】
その後、時点t1から時点t2の間に超磁歪アクチェータ35、37に流す電流値が0から+Icへ、また超磁歪アクチェータ36、38に流す電流値は0から−Icへと同時に切り換え、時点t3までその状態を保ちその間で少なくとも1ライン分の印写を行う。
【0095】
そして、時点t2から時点t3までは、超磁歪アクチェータ35、37に流す電流値が+Icの方向に流れること超磁歪アクチュエータ35、37は長くなり、超磁歪アクチェータ36、38に流す電流値が−Icとなることから超磁歪アクチュエータ36、38は短くなることから、軸両端からプッシュ・プル動作し、確実にローラ部13−4と、ローラ部18−4とが瞬時に軸線主走査方向に動作することにより、ベルト12と被記録媒体1も確実に移動することになる。
【0096】
なお、電流値の絶対値を|+Ic|=|−Ic|とすることで、超磁歪素子の動作ストロークも等しくなり、軸両端からプッシュ・プル動作し、確実にローラ部13−4と、ローラ部18−4とが瞬時に軸線主走査方向に動作することにより、ベルト12と被記録媒体1も確実に動作することになる。
【0097】
さらに、時点t3から時点t4の間で再び超磁歪アクチェータ35、37に流す電流値が+Icから0へ、また超磁歪アクチェータ36、38に流す電流値は−Icから0へと同時に切り替わり、全てのアクチェータ35〜38が初期の中立状態に戻ることにより位置が定まる。その後、この中立状態は時点t5まで続き、この間で少なくとも1ライン分の印写を行う。
【0098】
なお、時点t5は前記時点t1と同じ動作でそれ以降も印字動作が終了するまで同一周期で繰り返され、このサイクルを順次繰り返すことで印写を行うたびに被記録媒体は媒体搬送方向に搬送されると同時にノズル配列方向に定周期の振動を繰り返す動作を行う。
【0099】
次に、上記第9実施形態における振動発生手段のアクチュエータを駆動する駆動波形について図23を参照して説明する。
この駆動波形では、ソレノイドを両軸端に用いた場合で、電流値Idを流すことにより所定のストロークを決定するとき、電流値を0とIdの2値として、対向する両端軸に備えられた各ソレノイドを交互に0とIdを切り替えて電流を流すものである。
【0100】
すなわち、初期状態から時点t1までは、ソレノイド43、45に流す電流値が0、ソレノイド44、46に流す電流値も0となっていることで、すべてのソレノイド43〜46が初期通電していないので中立位置の状態になっている。
【0101】
その後、時点t1から時点t2の間にソレノイド43、45に流す電流値が0からIdへ、またソレノイド44、46に流す電流値は0のままになることで、時点t2にはソレノイド43、45が磁力で吸引されることにより、図21で上側に移動することになり、時点t2から時点t3までは、両端軸のうち片側のソレノイド43、45だけが電流値がIdで流れることから片側のみでプル動作し、このときのソレノイド44、46は通電していないため離間する方向に移動し、確実にローラ部13−4と、ローラ部18−4とが瞬時に軸線方向(ノズル列方向)に移動することにより、ベルト12と被記録媒体1も確実に移動することになる。
【0102】
そして、時点t2から時点t3の間にその状態を保ちその間で少なくとも1ライン分の印写を行う。
【0103】
さらに、時点t3から時点t4の間でソレノイド43、45は電流値を0へと下げることで図示しない圧縮ばねの復元力により初期状態の中立位置へと戻ることにより位置が定まる。その後この中立状態は時点t5まで続く。
【0104】
そして、時点t5では時点t1とは逆側の両端軸のうち片側のソレノイド44、46だけが電流値がIdとなって片側のみでプル動作し、このときのソレノイド43、45は通電していないため離間する方向に移動し、確実にローラ部13−4と、ローラ部18−4とが瞬時に軸線方向に移動することにより、時点t6までにベルト12と被記録媒体1も確実に移動することになる。
【0105】
その後、時点t6から時点t7の間にその状態を保ちその間で少なくとも1ライン分の印写を行う。
【0106】
さらに、時点t7から時点t8の間でソレノイド44、46は電流値を0へと下げることで図示しない圧縮ばねの復元力により初期状態の中立位置へと戻ることにより位置が定まる。その後この中立状態は時点t9まで続く。
【0107】
なお、時点t9は前記時点t1と同じ動作でそれ以降も印字動作が終了するまで同一周期で繰り返され、このサイクルを順次繰り返すことで印写を行うたびに被記録媒体は媒体搬送方向に搬送されると同時にノズル列方向に定周期の振動を繰り返す動作を行う。
【0108】
次に、上記第8実施形態における振動発生手段のアクチュエータを駆動する駆動波形の他の例について図24を参照して説明する。
ここでは、アクチュエータ35〜38を所定のタイミングと速度プロファイルで駆動制御するようにしている。
【0109】
すなわち、時点t1から時点t2の間に超磁歪アクチェータ36、38に流す電流値が0から+Icへ切り替わろうとしているにもかかわらず、まだ超磁歪アクチェータ35、37に流す電流値は0のままで、時点t1aまでの遅延時間分持たせてから−Icへと切り換え、時点t3までには全ての超磁歪アクチェータ35〜38が動作を完了する。
【0110】
このように、両端軸の超磁歪アクチュエータの動作開始のタイミングを僅かにずらすことにより、両端のストローク中に生じている遊び分を取り除くことで、時点t2までの間に余分なガタがない状態で動作させるため残留振動を低減させる効果が期待される。その後時点t2から時点t3までに少なくとも1ライン分の印写を行いその間の動作は前記と同様のため省略する。
【0111】
更に、時点t3から時点t4の間で再び超磁歪アクチェータB36と、超磁歪アクチェータD38に流す電流値が+Icから0へと切り替わろうとしている途中の時点t3'で超磁歪アクチェータA35と、超磁歪アクチェータC37とに流す電流値は−Icから0へと既に切り替わりが完了させてしまう。
【0112】
この様に、両端軸の超磁歪素子の動作完了のタイミングを僅かにずらすことにより、両端のストローク中に生じている遊び分を取り除くことで、時点t4までの間に余分なガタがない状態で動作させるため残留振動を低減させる効果が期待される。
【0113】
その後、時点t4から時点t5までの動作は前記図22(b)と同様のため省略する。
【0114】
次に、本発明の第10実施形態について図25を参照して説明する。
ここでは、被記録媒体先端が到達したことを検知する先端検知手段としてのセンサヘッド前27の検知信号に基づいて振動動作を開始するようにしている。
すなわち、時点t1で、センサヘッド前27が被記録媒体1の先端を検知し、時点t2まで経過してからアクチェータ(振動発生手段)が動作を開始するが、それまでの間は待機状態として、往復移動動作を行わない。
【0115】
そして、時点t3に到達すると、被記録媒体1の先端が記録ヘッド23の記録位置に到達し、然るべき画像のインク滴の吐出を開始する。
【0116】
時点t4でセンサヘッド前27が被記録媒体1の後端を検知するが、前記ヘッド23の位置では被記録媒体1の後端が到達する前なので、印刷動作とアクチェータ動作は継続しているが、時点t5で被記録媒体1の後端がヘッド23の記録位置を通過する位置か、僅かにそれよりも手前の位置で印刷動作を終了させる。被記録媒体1の後端が通過後も印刷動作を行ってしまうと、搬送ベルト12へ直接インク滴を吐出させ汚損させてしまうためある程度の印刷範囲の余白後端マージを持たせている。
【0117】
その後、時点t6でアクチェータ動作も停止終了させるが、図示していないが、少なくとも被記録媒体が完全に記録ヘッド23のインク吐出副走査位置から離脱するまではアクチェータ動作は続けられている。
【符号の説明】
【0118】
1 被記録媒体
12 搬送ベルト
13 ローラ
18 ローラ
35、36、37、38 超磁歪アクチュエータ(振動発生手段)
43、44、45、46 ソレノイド(振動発生手段)
100 被記録媒体(用紙)
101 記録ヘッドユニット
102 記録ヘッド
103 搬送ユニット
131 搬送ベルト
132 ローラ
133 ローラ
135 振動発生機構(振動発生手段)
136 弾性部材(弾性カップリング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズル列を有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドのノズル列方向と直交する方向に被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記被記録媒体と前記液体吐出ヘッドとを相対的にノズル列方向に振動させる振動発生手段と、を備え、
同色の液滴を吐出するノズル列を複数列配置し、
画像形成を行なうときに、前記被記録媒体と前記液体吐出ヘッドを相対的にノズル列方向に振動させ、被記録媒体搬送方向に形成された同色のドット列は隣接するドットが異なるノズル列から吐出された液滴にて形成される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記同色の液滴を吐出する複数のノズル列は互いに被記録媒体搬送方向に対して重ならないように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記振動の振幅を変化させる手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送手段が前記液体吐出ヘッドの被記録媒体搬送方向上流側及び下流側に配置されたローラ部材有し、前記ローラ部材の軸端の一方に前記振動発生手段を、他方に弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送手段が前記液体吐出ヘッドの被記録媒体搬送方向上流側及び下流側に配置されたローラ部材を有し、前記ローラ部材の軸端の両方に前記振動発生手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ローラ部材が前記被記録媒体を吸着して搬送する搬送ベルトが架け回されたローラ部材であることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送手段が前記被記録媒体を巻き付ける回転体であり、前記回転体の軸端の少なくとも一方に前記振動発生手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記振動発生手段は、電歪素子又は超磁歪素子を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−62822(P2011−62822A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212928(P2009−212928)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】