説明

画像形成装置

【課題】定着部クリーニングモードで用いることができる記録材の種類が多い画像形成装置の提供。
【解決手段】記録材にカラートナー画像を形成する画像形成装置であって、記録材にトナー画像を形成する画像形成部SY,SC,SM,SKと、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着部20と、前記定着部をクリーニングするクリーニングモードと、を有し、前記クリーニングモードが設定されると、前記画像形成部が記録材Pに所定のトナー画像Tpを形成し、その後、前記定着部が所定のトナー画像を記録材に加熱定着することによって、前記定着部で加熱されつつ搬送されて前記定着部をクリーニングするためのクリーニングシートCPが形成される画像形成装置において、記録材に形成される所定のトナー画像の単位面積あたりのトナー量は、記録材の材質に関わる種類に応じて異なることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材上にカラー画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の複写機やプリンタ等の画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラムや中間転写体が担持するトナー画像を転写手段により記録材に転写する。そしてその記録材を定着装置(定着器)により加熱及び加圧することにより未定着のトナー画像を記録材に加熱定着している。上記の定着装置では、画像形成装置の使用に伴い少なからず未定着トナー画像のトナーや記録材としての記録紙の紙紛などが定着装置の有する定着ローラや加圧ローラなどの構成ローラの外周面(表面)に付着し構成ローラ表面が汚れる。これは記録材や構成ローラの帯電に起因する静電オフセット、定着過多または定着不足による熱的オフセット、記録材ジャム処理時の未定着トナーの構成ローラ表面への付着、表面強度の低い記録材からの紙紛の脱落、などこれら原因によって発生するものである。こうした構成ローラ表面の汚れは、構成ローラ表面での蓄積限界を超えるとニップ部で記録材上へ吐出され、記録材上の画像を汚損することとなる。また構成ローラ表面の汚れをきっかけとして、記録材が構成ローラ表面に巻付きやすくなり、定着装置でのジャムや構成ローラの破損を引き起こす恐れがある。こうした問題を解決するため、本出願人は構成ローラ表面の汚れをクリーニングできるようにした画像形成装置を提案している(特許文献1)。この画像形成装置では、クリーニング専用のトナー画像を形成させた記録材をクリーニングシートとして作成する。そしてそのクリーニングシートのトナー画像がクリーニング対象となる構成ローラ表面と接触するようにクリーニングシートをニップ部に導入(通紙)させることによって、構成ローラ表面の汚れをクリーニングする。また上記の定着装置において、炭酸カルシウムを含有する記録材をニップ部に連続して通紙(導入)した場合、炭酸カルシウムが加圧ローラの外周面(表面)に付着し加熱定着後のトナー画像に光沢度ムラが発生することがある。そこで、特許文献2には、記録材の両面にフルカラープリントを行なうことにより、加圧ローラ表面に付着した炭酸カルシウムを除去する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2651232号公報
【特許文献2】特開平10−111619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のクリーニング専用のトナー画像が形成される記録材の種類は画像形成装置の使用者によって任意に選択されるが、記録材の種類によってはクリーニング専用のトナー画像の形成に適さないものもある。例えば坪量の大きく紙厚の厚い記録材やラフな表面の記録材では、トナー画像のトナーの記録材への定着不良を起こす恐れがある。また坪量の小さく紙厚の薄い記録材や所謂コシの弱い記録材では、定着装置の構成ローラに対して、記録材が巻付く恐れがある。更にコート紙・光沢紙・ラベル紙などの特殊用紙では、トナー画像のトナーの定着不良と構成ローラ表面への記録材巻付きを発生するリスクがある。本発明の目的は、定着部クリーニングモードで用いることができる記録材の種類が多い画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の構成は、記録材にカラートナー画像を形成する画像形成装置であって、記録材にトナー画像を形成する画像形成部と、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着部と、前記定着部をクリーニングするクリーニングモードと、を有し、前記クリーニングモードが設定されると、前記画像形成部が記録材に所定のトナー画像を形成し、その後、前記定着部が所定のトナー画像を記録材に加熱定着することによって、前記定着部で加熱されつつ搬送されて前記定着部をクリーニングするためのクリーニングシートが形成される画像形成装置において、記録材に形成される前記所定のトナー画像の単位面積当たりのトナー量は、記録材の材質に関わる種類に応じて異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、定着部クリーニングモードで用いることができる記録材の種類が多い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の一例の構成模式図
【図2】(a)は実施例1に係る画像形成装置の定着装置の横断側面模式図、(b)はクリーニングシートの一例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施例1]画像形成装置例:図1は実施例1に係る画像形成装置の一例の構成模式図である。この画像形成装置は、電子写真方式を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像を重ね合わせることでフルカラー画像を得る、フルカラーレーザープリンタである。本実施例1に示す画像形成装置は、記録材Pを搬送する搬送手段30と、略直線状に上下方向に配列されている4つの画像形成部SY,SC,SM,SKと、を有している。本実施例1では4つの画像形成部を纏めて画像形成部と称する。また画像形成装置は、定着装置(定着部)20と、制御手段としての制御部100と、画像形成用の画像信号を形成するビデオコントローラ101と、を有している。制御部100は、ROMやRAMなどのメモリとCPUとからなっている。メモリには、記録材P上に画像を形成するための画像形成制御シーケンスや、定着装置20をクリーニングするためのクリーニング制御シーケンスなどが記憶されている。4つの画像形成部SY,SC,SM,SKのうち、SYはイエロー(以下、Yと略記する)色の画像を形成するイエロー画像形成部である。SCはシアン(以下、Cと略記する)色の画像を形成するシアン画像形成部である。SMはマゼンタ(以下、Mと略記する)色の画像を形成するマゼンタ画像形成部である。SKはブラック(以下、Kと略記する)色の画像を形成するブラック画像形成部である。各画像形成部SY,SC,SM,SKは、ドラム型の像担持体としての電子写真感光体(以下、感光体ドラムと記す)1Y,1C,1M,1Kと、帯電手段としての帯電ローラ3Y,3C,3M,3Kを有している。また各画像形成部SY,SC,SM,SKは、現像手段としての現像装置2Y,2C,2M,2Kと、クリーニング手段としてのクリーニング器4Y,4C,4M,4Kを有している。感光体ドラム1Yと帯電ローラ3Yと現像装置2Yとクリーニング器4Yは、1つのフレーム(枠体)に収納されてイエローカートリッジYCとして構成されている。感光体ドラム1Cと帯電ローラ3Cと現像装置2Cとクリーニング器4Cは、1つのフレーム(枠体)に収納されてシアンカートリッジCCとして構成されている。感光体ドラム1Mと帯電ローラ3Mと現像装置2Mとクリーニング器4Mは、1つのフレーム(枠体)に収納されてマゼンタカートリッジMCとして構成されている。感光体ドラム1Kと帯電ローラ3Kと現像装置2Kとクリーニング器4Kは、1つのフレーム(枠体)に収納されてブラックカートリッジKCとして構成されている。そしてイエローカートリッジYCの現像装置2Yにはイエロートナーが、シアンカートリッジCCの現像装置2Cにはシアントナーが、それぞれ、収納されている。マゼンタカートリッジMCの現像装置2Mにはマゼンタトナーが、ブラックカートリッジKCの現像装置2Kにはブラックトナーが、それぞれ収納されている。5は露光手段としてのレーザー走査露光装置(以下、露光装置と記す)である。この露光装置5は、各カートリッジYC,CC,MC,KCと対応して設けられ、対応する各カートリッジYC,CC,MC,KCの感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに露光を行なうことによって各感光体ドラムの外周面(表面)に静電潜像を形成する。6はエンドレスベルト状の像担持体としての中間転写ベルト(中間転写体)である。中間転写ベルト6は、4つの画像形成部SY,SC,SM,SKの配列方向に沿って設けられている。この中間転写ベルト6は、駆動ローラ7とテンションローラ8と2次転写対向ローラ14の3つのローラに張架されている。そしてこの中間転写ベルト6は、駆動ローラ7の駆動により各画像形成SY,SC,SM,SKの感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに沿って矢印方向に周回移動する。中間転写ベルト6の外周面(表面)に感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面のトナー像を転写する1次転写手段として、1次転写ローラ9Y,9C,9M,9Kを用いている。1次転写ローラ9Y,9C,9M,9Kは、中間転写ベルト6を挟んで感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと対向するように配設されている。15は中間転写ベルト6用のクリーニング手段としての回収ローラ15である。回収ローラ15は、2次転写対向ローラ14とイエロー画像形成部SYとの間において中間転写ベルト6と対向するように設けられている。搬送手段30は、繰出しローラ11と、レジストローラ12と、排出ローラ24と、反転ローラ26と、反転搬送路27などを有する。反転搬送路27は、後述するクリーニングシートCPを定着装置20へ搬送するための搬送路であって、クリーニングシートの表裏を反転させその状態にクリーニングシートをレジストローラ12に搬送するようになっている。28は反転搬送路27に沿って設けられた搬送ローラである。ビデオコントローラ101は、ホストコンピュータ等の外部装置(不図示)から画像データを受信すると、制御部100にプリント信号を送信するとともに受信した画像データをビットマップデータに変換するように構成されている。
【0009】
プリント信号を受信した制御部100は画像形成制御シーケンスを実行する。画像形成制御シーケンスが実行されると、まず感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを矢印方向に回転する。そしてこの感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面を帯電ローラ3Y,3C,3M,3Kにより所定の極性・電位に一様に帯電する。本実施例1では感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面は負極性に帯電される。そしてこの感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面の帯電面に対し露光装置5よりビットマップデータに依存した画像パターン信号に応じて生成されたレーザー光を走査露光する。これにより感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面の帯電面に画像パターン信号に応じた静電潜像が形成される。現像装置2Y,2C,2M,2Kは、それぞれ現像バイアス電源(不図示)より現像ローラ21Y,21C,21M,21Kに印加される現像バイアスを、帯電電位と潜像(露光部)電位の間の適切な値に設定する。これにより負極性に帯電されたトナーが露光部に付着し感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの表面上に単色のトナー画像が形成される。各現像装置2Y,2C,2M,2Kによって感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面に現像された単色トナー画像は、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの回転と同期して、略等速で回転する中間転写ベルト6の外周面(表面)へ転写される。即ち、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと対応する1次転写ローラ9Y,9C,9M,9Kに対して、第1の転写バイアス電源(不図示)より、トナーと逆極性の正極性の転写バイアスが印加される。これにより感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと中間転写ベルト6との間の1次転写部で感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面から各色のトナー画像が中間転写ベルト6表面に重なるように1次転写される。これによって中間転写ベルト6表面にカラートナー画像が担持される。トナー画像の1次転写後に感光体ドラム1Y,1C,1M,1K表面に残った転写残トナーは、クリーニング器4Y,4C,4M,4Kに設けられているクリーニング部材(不図示)により除去される。そしてそのクリーニング部材によって除去された転写残トナーは、クリーニング器4Y,4C,4M,4Kの有する廃トナー容器(不図示)に回収される。本実施例1においてはクリーニング部材として、ウレタンブレードにより作製したクリーニングブレードを用いている。上記のように、帯電ローラによる帯電工程と、露光装置による露光工程と、現像装置による現像工程と、1次転写ローラ9による1次転写工程を、中間転写ベルト6の回転に同調して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して行う。これによって、中間転写ベルト6表面に各色のトナー画像を順次重ねて形成していく。即ち、中間転写ベルト6は、記録材Pに形成すべきカラー画像の未定着トナー像を担持する。一方、記録材供給部となる記録材カセット10にセットされている記録材Pは、記録材カセット10から繰出しローラ11により1枚ずつ繰出される。この記録材Pは、レジストローラ12の直後に設けられているトップセンサS1により記録材Pの記録材搬送方向の先端が検知される。レジストローラ12は、トップセンサS1による記録材先端の検知に応じて中間転写ベルト6表面の画像位置とタイミングを合わせ記録材Pを中間転写ベルト6と2次転写手段としての2次転写ローラ13との間の2次転写部に搬送する。この2次転写部は、2次転写ローラ13を2次転写対向ローラ14と対向する位置で中間転写ベルト6表面に接触させるように配置することによって、中間転写ベルト6と2次転写ローラ13との間に形成されている。本実施例1の画像形成装置における記録材Pの搬送速度は180mm/秒である。中間転写ベルト6表面上に担持されたカラートナー画像は、2次転写ローラ13に第2の転写バイアス電源(不図示)よりトナーと逆極性のバイアスが印加されることによって、記録材P上に一括転写(2次転写)され担持される。記録材P上のカラートナー画像は、定着部(定着手段)としての定着装置20のニップ部(定着ニップ部)Nに導入されこのニップ部で熱と圧力を受けることによって、記録材P上に加熱定着される。定着装置20のニップ部Nを出た記録材Pは排出ローラ24により排出トレイ25上に排出される。カラートナー画像の転写後に中間転写ベルト6表面に残った転写残トナーは、第3の転写バイアス電源(不図示)より正極性のバイアスを印加された回収ローラ15の外周面(表面)に静電回収され蓄積される。さらに所定のページ分の2次転写動作終了後に画像形成動作を中断させ回収ローラ15に第3の転写バイアス電源より負極性のバイアスが印加される。これにより、回収ローラ15表面に蓄積されている転写残トナーは回収ローラ15表面から中間転写ベルト6表面に静電放出される。このとき同時にイエロー画像形成部SYの感光体ドラム1Yと中間転写ベルト6との間の1次転写部に、中間転写ベルト6表面の転写残トナーが中間転写ベルト6表面から感光体ドラム1Y表面へ逆転写されるような電界を形成する。例えば感光体ドラム1Y表面を−100Vとし、1次転写ローラ9Yに第1の転写バイアス電源より−300Vの転写バイアスを印加して、中間転写ベルト6表面の転写残トナーを感光体ドラム1Y表面へ逆転写させる。感光体ドラム1Y表面へ逆転写された転写残トナーは最終的には感光体ドラム1Y表面からクリーニング器4Yのクリーニング部材によって除去され、廃トナー容器に回収される。
【0010】
定着装置(定着部):図2の(a)は定着装置の横断側面模式図である。この定着装置20は熱ローラ方式の定着装置である。以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。定着装置20は、加熱部材としてのハロゲンランプ21と、回転部材としての定着ローラ22及び加圧ローラ23と、を有する。ハロゲンランプ21と、定着ローラ(定着用回転部材)22と、加圧ローラ(加圧用回転部材)23は何れも長手方向に細長い部材である。定着ローラ22は、アルミニウムやステンレス製の円筒状の中空芯金22aを有する。この中空芯金22aの外周面上にはシリコーンゴム等を薄肉に形成した弾性層22bが形成されている。さらにその弾性層22bの外周面上には離型性に優れた性能を示すポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシテトラフルオロエチレン共重合体(PFA)よりなる離型層22cが形成されている。この定着ローラ22は、中空芯金22aの長手方向両端部が装置フレーム(不図示)に回転自在に支持されている。定着ローラ22の中空芯金22aの内部にはハロゲンランプ21が配設されている。このハロゲンランプ21は、ハロゲンランプ21の長手方向両端部が装置フレームに支持されている。このハロゲンランプ21に対して不図示の電源から通電してハロゲンランプ21を発熱させ、ハロゲンランプ21の輻射熱により中空芯金22aの内部から中空芯金22a、弾性層22b、離型層22cを介して定着ローラ22の外周面(表面)を加熱する。加圧ローラ23は、アルミニウムやステンレス製の丸軸状の芯金23aを有する。この芯金23aの外周面上にはシリコーンゴムや発泡シリコーンゴム等を厚肉に形成した弾性層23bが形成されている。さらにその弾性層23bの外周面上には最外層としてPTFEやPFAよりなる離型層23cが形成されている。この加圧ローラ23は、定着ローラ22の下方で定着ローラ22と平行に配置され芯金23aの長手方向両端部が装置フレームに回転自在に支持されている。そして加圧ローラ23は、加圧ローラ23の芯金23aの長手方向両端部が加圧バネなどの加圧部材(不図示)により定着ローラ22側に付勢され、加圧ローラ23の外周面(表面)が定着ローラ22表面と加圧状態に接触している。そして加圧部材による付勢力により弾性層23bが定着ローラ22表面の長手方向に沿って弾性変形することによって、加圧ローラ23表面と定着ローラ22表面との間に所定幅のニップ部Nを形成している。
【0011】
定着装置の加熱定着動作:制御部100は、プリント信号の入力に応じて加圧ローラ23の芯金23aの一端部に設けられている駆動ギア(不図示)を、駆動源としての定着モータM(図2の(a))により回転駆動し加圧ローラ23を矢印方向へ回転する。この加圧ローラ23の回転によりニップ部Nにおいて加圧ローラ23表面と定着ローラ22表面との摩擦力により定着ローラ22に回転力が作用する。この回転力により定着ローラ22は加圧ローラ23の回転に追従して矢印方向へ加圧ローラ23と略同じ周速度で回転する。また制御部100は、通電制御手段としてのトライアック(不図示)をオンする。これにより電源(不図示)からハロゲンランプ21に対して通電される。ハロゲンランプ21は通電されることにより輻射熱を発し定着ローラ22の中空芯金22aを加熱する。この中空芯金22aの熱が弾性層22bを通じて離型層22cに伝わることによって定着ローラ22表面は昇温する。この定着ローラ22表面の温度は定着ローラ22表面と接触又は非接触となるように配されたサーミスタ等の温度検知部材Sにより検知される。制御部100は温度検知部材Sの出力信号(温度検知信号)を取り込み、この出力信号に基づいてトライアックによりハロゲンランプ21に通電する電力を制御することによって定着ローラ22表面の温度を所定の定着温度(目標温度)に維持する。本実施例1では定着温度を190℃に維持するようにしてある。定着ローラ22の表面温度が定着温度に維持され、かつ加圧ローラ23の回転による定着ローラ22の回転周速度が定常化した状態において、未定着のカラートナー画像Tを担持する記録材Pがニップ部Nに導入される。そしてこの記録材Pがニップ部Nで定着ローラ22表面と加圧ローラ23表面とにより挟持搬送されこの搬送過程で定着ローラ22表面の熱とニップ部Nの圧力を受けることによってカラートナー画像Tは記録材P上に加熱定着される。
【0012】
クリーニングモードの説明:制御部100は、外部装置又は画像形成装置の操作パネル(不図示)などからクリーニングモードの指示を受ける(クリーニングモードが設定される)と、クリーニング制御シーケンスを実行する。クリーニング制御シーケンスが実行されると、まずROMに記憶されているクリーニング用画像パターンを展開する。そして上述の画像形成動作(通常の画像形成動作)と同じ動作により、記録材P上にクリーニング専用の所定のトナー画像を形成し、クリーニングシートを作成する。以下、クリーニング専用のトナー画像を、通常の画像形成動作により形成される通常のトナー画像と区別するため、トナー画像パターンと記す。即ち、画像形成部に設けられている4つの画像形成部のうち所定の1つ以上の画像形成部を用いて、以下の工程を中間転写ベルト6の回転に同調して行なわせる。即ち、帯電ローラによる帯電工程と、露光装置による露光工程と、現像装置による現像工程と、一次転写ローラ9による一次転写工程を、中間転写ベルト6の回転に同調して行なわせる。これによって、中間転写ベルト6表面には所定の1つの画像形成部のトナー画像が形成される。または中間転写ベルト6表面には所定の1つ以上の画像形成部の各色のトナー画像が順次重ねて形成される。これにより中間転写ベルト6表面上には1色以上のトナーを用いてクリーニングに用いる未定着のトナー画像パターンが担持される。一方、記録材カセット10からは繰出しローラ11により記録材Pが1枚繰出される。この記録材Pは、レジストローラ12によりトップセンサS1による記録材Pの記録材搬送方向先端の検知に応じて中間転写ベルト6表面の画像位置とタイミングが合わされ2次転写部に搬送される。そして2次転写ローラ13は第2の転写バイアス電源より転写バイアスが印加されることにより中間転写ベルト6表面の未定着のトナー画像パターンが記録材P上に転写され担持される。図2の(b)は記録材上に担持された未定着のトナー画像パターンを表わす説明図である。また制御部100は、トライアックをオンしハロゲンランプ21に通電し定着ローラ22表面を定着温度に加熱するとともに、定着モータMを駆動し加圧ローラ23を回転させ定着ローラ22を回転させる。そして未定着のトナー画像パターンTp(図2の(b))を担持する記録材Pは定着装置20のニップ部Nに導入されニップ部Nで定着ローラ22表面と加圧ローラ23表面とによって挟持搬送される。これによりトナー画像パターンTpは記録材P上に加熱定着され、記録材P上にトナー画像パターンTpが形成される。そしてニップ部Nを出た記録材Pは排出ローラ24により排出トレイ25上に排出される。この記録材P即ちトナー画像パターンTpを形成したクリーニングシートCPを用いて定着装置20をクリーニングする場合には、次のようにして行う。即ち、クリーニングシートCPのトナー画像パターンTpがクリーニング対象となる定着ローラ22表面と接触するように搬送手段(給送ローラ11と、レジストローラ12など)により定着装置20のニップ部Nに搬送させる。或いはクリーニングシートCPのトナー画像パターンTpがクリーニング対象とする加圧ローラ23表面と接触するようにクリーニングシートCPを搬送手段(給送ローラ11と、レジストローラ12など)により定着装置20のニップ部Nに搬送させる。
【0013】
本実施例1の画像形成装置では、トナー画像パターンTpを形成し一度画像形成装置外に排出させたクリーニングシートCPを画像形成装置の使用者により記録材カセット10に再セットし、繰出しローラ11より繰出す。ここで、定着ローラ22をクリーニング対象とするときには、トナー画像パターンTpを下に向け記録材カセット10にクリーニングシートCPをセットする。加圧ローラ23をクリーニング対象とするときには、トナー画像パターンTpを上に向け記録材カセット10にクリーニングシートCPをセットする。クリーニングシートCPのセット方法は、搬送手段の構成によって異なるため、使用者がトナー画像パターンTpを下と上のどちらに向けてクリーニングシートCPを再セットすればよいか判断できるようにする必要がある。そのためには、トナー画像パターンTpと共にクリーニングシートCP上にセット方向の情報を印字して示すことが望ましい。また定着ローラ22をクリーニング対象とする場合には、排出トレイ25の近傍に設けられている反転ローラ26を用いてトナー画像パターンTpを上に向けクリーニングシートCPを搬送手段の反転搬送路27に導入する。そしてこの反転搬送路27でクリーニングシートCPを表裏反転させ、搬送手段(レジストローラ12など)によりニップ部Nに搬送させるようにしてもよい。また加圧ローラ23をクリーニング対象とする場合には、排出トレイ25の近傍に設けられている反転ローラ26を用いてトナー画像パターンTpを下に向けクリーニングシートCPを搬送手段の反転搬送路27に導入する。そしてこの反転搬送路27でクリーニングシートCPを表裏反転させ、搬送手段(レジストローラ12など)によりニップ部Nに搬送させるようにしてもよい。なお、クリーニングシートCPを搬送する場合には、上述した画像形成部によるクリーニングシートCPへの画像形成は行われない。
【0014】
熱ローラ方式の定着装置では、一般的に、内部に加熱用のハロゲンヒータ21を備えた定着ローラ22に対して、加圧ローラ23の表面温度は相対的に低くなるため、加圧ローラ23表面にトナーや紙粉の汚れが発生しやすい。そこで、トナー画像パターンTpが加圧ローラ23表面と接触するようにクリーニングシートCPをニップ部Nに導入させることにより、加圧ローラ23表面の汚れを定着済みのトナー画像パターンTpの粘着性を利用してクリーニングすることができる。トナー画像パターンTpを形成したクリーニングシートCPをニップ部Nに導入させることによって定着ローラ22表面或いは加圧ローラ23表面をクリーニングできる理由として、以下の2つの理由が考えられる。1つは、クリーニングシートCPのトナー画像パターンTpはニップ部Nで挟持搬送されている間に再加熱されて溶融し、この溶融したトナー画像パターンTpの粘性によって紙粉などを吸着するためと考えられる。他の1つは、溶融したトナー画像パターンTpは汚れトナーと親和性がよいので、汚れトナーを吸着しやすいためと考えられる。従って、トナー画像パターンTpがクリーニング対象の定着ローラ22表面或いは加圧ローラ23表面と接触するようにクリーニングシートCPをニップ部Nに搬送することにより、定着ローラ22表面或いは加圧ローラ23表面をクリーニングすることができる。つまり、クリーニングシート上のトナー画像パターンがクリーニング対象とする回転部材表面と接触するようにクリーニングシートを搬送することにより回転部材表面をクリーニングすることができる。トナー画像パターンTpは、図2の(b)に示すようなベタ塗り画像である。ベタ塗り画像の記録材搬送方向の長さLは、クリーニングの対象となる回転部材即ち定着ローラ22或いは加圧ローラ23の1周分以上に設定される。本実施例1では、ベタ塗り画像の記録材搬送方向の長さLは加圧ローラ23の1周分以上の長さに設定されている。これはクリーニング対象の加圧ローラ23の表面上に、ベタ塗り画像によってクリーニングできない非クリーニング域を残さないためである。またベタ塗り画像の記録材搬送方向と直交する幅方向の長さWは、搬送される記録材Pの記録材搬送方向と直交する幅よりも狭い範囲で、搬送される記録材Pに印字可能な最大範囲に設定する。これはクリーニング対象の加圧ローラ23の長手方向に対して、可能な限り広い範囲でクリーニングを行うためである。
【0015】
ここで、従来のカラー画像形成装置は、記録材の種類にかかわらずトナー画像パターンにおける単位面積あたりのトナー量は一定にしている。本実施例1の画像形成装置は、記録材P上に形成される未定着のトナー画像パターンTpの単位面積あたりのトナー量を、記録材Pの種類に応じて変更する。トナー画像パターンの面積(L×W)が一定であれば、単位面積あたりのトナー量を変更すると、トナー画像パターンのトナー総量が変わる。『トナー画像パターンTpのトナー総量』とは、例えば図2の(b)のようなクリーニングシートCPの場合、トナー画像パターンTpの形成されている範囲内(面積(L×W))での、記録材P上に担持される未定着トナーの全量を指すものである。
【0016】
クリーニングシートCPに形成されるトナー画像パターンTpは、定着ローラ22表面または加圧ローラ23表面の紙粉及び汚れトナーを吸着しやすいよう、図2の(b)のようなベタ塗り画像である。またトナー画像パターンTpの単位面積あたりのトナー量を多くするほど、クリーニング効果は大きい。しかしながら、こうしたベタ塗り画像で、かつトナー量の多いトナー画像パターンTpを形成したとき、2色以上のトナーを用いる場合には、記録材の種類によって、次のような問題を発生する。即ち、坪量の大きい記録材や表面のラフな記録材では、記録材上のトナー画像パターンを形成する際に、トナー量が多いため定着不良を起こしやすい。一方、坪量の小さな記録材や所謂コシの弱い記録材、またOHT用紙など変形しやすい記録材では、次のような現象が起こる。即ち、クリーニングシートとして定着装置へ搬送する際に、トナー画像パターンのトナーと定着ローラ22表面または加圧ローラ23表面の汚れトナーとの吸着力に記録材Pのコシが勝てず、定着ローラ22の表面または加圧ローラ23へ巻付きやすくなる。クリーニングモードに用いられる記録材Pは画像形成装置の使用者によって任意に選択されるが、その選択された記録材Pの種類によって上記のような問題を発生させる恐れがある。こうした問題の発生を防ぐために、クリーニングシートを作成するための記録材の種類を制限することはユーザビリティ上好ましくない。さらにトナー画像パターンの単位面積あたりのトナー量を常に低く抑えれば、上記問題の発生を防止できるが、常にクリーニング効果の低いクリーニングモードとなってしまう。
【0017】
そこで、本実施例1の画像形成装置は、記録材P上に形成される未定着のトナー画像パターンTpの単位面積あたりのトナー量を、記録材Pの種類に応じて変更する。本実施例1において、記録材Pの種類とは、上述のように記録材Pの坪量(≒厚み)、記録材Pの表面性、記録材Pを構成する材料など、主に記録材Pの材質に関わる事項であって、記録材Pのサイズなどに関わるものでない。また記録材Pの種類情報は、クリーニングモードの指示を行う外部装置から得ることが出来る。即ち、制御部100は、外部装置からクリーニングモードの指示を行うときに指定される記録材の種類を種類情報として取り込み、この種類情報に基づいてトナー画像パターンTpの単位面積あたりのトナー量を求める処理を行う。また記録材Pの種類情報は、画像形成装置の操作パネル(不図示)に記録材の種類を入力する項目を設け、この操作パネルから得るようにしてもよい。即ち、制御部100は、操作パネルから入力された記録材の種類を種類情報として取り込み、この種類情報に基づいてトナー画像パターンTpの単位面積あたりのトナー量を求める処理を行う。また記録材Pの種類情報は、画像形成装置に記録材Pの種類を判別する記録材検知部材としての記録材センサ(不図示)を設け、この記録材センサから得るようにしてもよい。即ち、制御部100は、記録材センサからの出力信号を種類情報として取り込み、この種類情報に基づいてトナー画像パターンTpの単位面積あたりのトナー量を求める処理を行う。即ち、本実施例1では、上記の外部装置、操作パネルまたは記録材センサを、記録材Pの種類を区別する記録材種別手段として用いている。
【0018】
以下に、クリーニングモードにおけるトナー量変更制御の一例を説明する。制御部100は、表1のようなテーブルを格納している。そして記録材Pの種類情報を得ると、表1のテーブルに従って記録材P上に形成するトナー画像パターンのトナー総量を変更する。なお、本実施例1の画像形成装置に用いられるトナーの真比重は1.1であり、クリーニングシートCPに形成されるトナー画像パターンTpは図2の(b)の通りで、L=8cm、W=20cmとしている。記録材の種類に拘わらずトナー画像パターンTpの面積が一定なので、トナー総量が異なるということは単位面積あたりのトナー量が異なることに相当する。
【0019】
【表1】

【0020】
表1に示すように、普通紙において坪量50g/m未満の場合、巻付きの発生リスクが高いため、クリーニングシートCPとしての使用を禁止する。普通紙で坪量50g/m以上70g/m未満の場合はトナー総量を144mgとする。普通紙で坪量70g/m以上100g/m未満の場合はトナー総量を252mgとする。普通紙で坪量100g/m以上150g/m未満の場合はトナー総量を144mgとする。普通紙で坪量150g/m以上200g/m未満の場合はトナー総量を72mgとする。つまり坪量に応じてトナー総量を変化させる。普通紙で坪量200g/m以上の場合には、クリーニングシートCP作成時に定着不良を発生するリスクが高いため、クリーニングシートCPとしての使用を禁止する。光沢紙は、坪量にかかわらずトナー総量を144mgとする。またラフ紙においては、紙表面の粗さのため、定着不良を発生するリスクの高い一方、クリーニング効果も低いため、クリーニングシートCPとしての使用を禁止する。ラベル紙やOHT用紙では、定着不良と巻付きの両者を発生するリスクが高く、クリーニングシートCPとしての使用を禁止する。
【0021】
また本実施例1の画像形成装置は、表1に示すトナー総量を実現するため、4色備えられた現像装置のうち、1色以上4色以下の現像装置を用いて、トナー画像パターンTpを形成する。即ち、本実施例1の画像形成装置のように、4色の現像装置を備える場合、トナー総量を少なく設定する際には1色の現像装置にてトナー画像パターンTpを形成し、トナー総量を多く設定する際には2色以上の現像装置にてトナー画像パターンTpを形成する。これにより、トナー総量の設定幅を大きくすることができ、記録材Pの種類に応じたトナー総量の設定を最適化しやすくなる。本実施例1に示す設定例としては、表1に示すように、トナー画像パターンTpの層トナー総量を少なく(72mg)設定する、坪量150g/m以上200g/m未満の普通紙では、1色のトナー色でトナー画像パターンTpを形成する。本実施例1ではブラックトナーのみ72mg用いてトナー画像パターンTpを形成する。トナー画像パターンTpのトナー総量を144mgに設定する場合、即ち、坪量50g/m以上70g/m未満または坪量100g/m以上150g/m未満の普通紙を用いる場合では、2色のトナー色でトナー画像パターンTpを形成する。または光沢紙を用いる場合では、2色のトナー色でトナー画像パターンTpを形成する。本実施例1ではブラックとマゼンタの2色のトナーをそれぞれ72mg用いてトナー画像パターンTpを形成する。トナー画像パターンTpのトナー総量を多く(252mg)設定する、坪量70g/m以上100g/m未満の普通紙では、4色のトナー色でトナー画像パターンTpを形成する。本実施例1ではブラックとマゼンタとシアンの3色の各色を72mgにイエローを36mgそれぞれ用いトナー画像パターンTpを形成する。また本実施例1では、トナー画像パターンTpを形成するトナー色を表1に示すトナー色に固定としているが、クリーニングモードの動作毎に使用するトナー色を変更してもかまわない。また現像装置のトナー残量に応じて、使用するトナー色を可変としてもよい。さらに記録材Pの種類に応じて、トナー総量を所定の値に設定する手段としては、ビデオコントローラ101にて画像データをビットマップデータに変換する際に、通常の画像形成時と異なるクリーニングモード専用のデータ変換を行なわせる。そしてこのクリーニングモード専用のデータ変換に基づいて所定のトナー色を用い記録材Pの種類に合わせたトナー総量に調整すればよい。
【0022】
[実証検討]:本実施例1の画像形成装置を用いて通紙耐久を10000ページ行った後、クリーニングモードに用いる記録材Pの種類を変えてクリーニングを行った際の結果を表2に示す。通紙耐久に用いた記録材PはOnHig HuiDong紙(OnHig社製)である。そしてトナー画像パターンTpが加圧ローラ23表面と接触するようにニップ部NにクリーニングシートCPを通紙し加圧ローラ23表面のクリーニングを行っている。クリーニングシートCPの通紙回数は1回である。
・(評価1)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるXerox社製Business4200(坪量75g/m)とし、トナー画像パターンは、表1に従って4色のトナーの組み合わせにてトナー総量を252mgとした。
・(比較例1−1)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるXerox社製Business4200(坪量75g/m)とし、トナー画像パターンは、マゼンタ及びブラックトナーをそれぞれ72mgに設定しトナー総量を144mgとした。
・(比較例1−2)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるXerox社製Business4200(坪量75g/m)とし、トナー画像パターンは、ブラックトナーのみにてトナー総量を72mgとした。
・(評価2)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるBoise社製X−9(坪量62g/m)とし、トナー画像パターンは、表1に従ってブラック及びマゼンタトナーの組み合わせにてトナー総量を144mgとした。
・(比較例2−1)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるBoise社製X−9(坪量62g/m)とし、トナー画像パターンは、ブラックトナーのみにてトナー総量を72mgとした。
・(比較例2−2)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるBoise社製X−9(坪量62g/m)とする。そしてトナー画像パターンは、ブラック・マゼンタ・シアントナーをそれぞれ72mg、イエロートナーを36mgに設定しトナー総量を252mgとした。
・(評価3)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるXerox社製Business4200(坪量163g/m)とし、トナー画像パターンは、表1に従ってブラックトナーのみにてトナー総量を72mgとした。
・(比較例3−1)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるXerox社製Business4200(坪量163g/m)とし、トナー画像パターンは、ブラック及びマゼンタトナーをそれぞれ72mgに設定しトナー総量を144mgとした。
・(比較例3−2)クリーニングに用いる記録材Pは、普通紙であるXerox社製Business4200(坪量163g/m)とする。そしてトナー画像パターンは、ブラック・マゼンタ・シアントナーをそれぞれ72mg、イエロートナーを36mgに設定しトナー総量を252mgとした。
・(評価4)クリーニングに用いる記録材Pは、光沢紙であるHewlett−Packard社製HP Presentaion Paper(坪量130g/m)とする。そしてトナー画像パターンは、表1に従ってブラック及びマゼンタトナーの組み合わせにてトナー総量を144mgとした。
・(比較例4−1)クリーニングに用いる記録材Pは、光沢紙であるHewlett−Packard社製HP Presentaion Paper(坪量130g/m)とし、トナー画像パターンは、ブラックトナーのみにてトナー総量を72mgとした。
・(比較例4−2)クリーニングに用いる記録材Pは、光沢紙であるHewlett−Packard社製HP Presentaion Paper(坪量130g/m)とする。そしてトナー画像パターンは、ブラック・マゼンタ・シアントナーをそれぞれ72mg、イエロートナーを36mgに設定しトナー総量を252mgとした。
・(比較例5−1)本実施例1の画像形成装置は、クリーニングに用いる記録材PをOHTとした場合、クリーニングモード動作を行わないが、比較例としてクリーニングに用いる記録材Pを、OHTである3M社製CG3700をとする。そしてトナー画像パターンは、ブラックトナーのみにてトナー総量を72mgとした。
・(比較例5−2)比較例5−1同様、比較例としてクリーニングに用いる記録材Pを、OHTである3M社製CG3700とする。そしてトナー画像パターンは、トナー画像パターンは、ブラック・マゼンタ・シアントナーをそれぞれ72mg、イエロートナーを36mgに設定しトナー総量を252mgとした。
・(比較例6−1)本実施例1の画像形成装置は、クリーニングに用いる記録材Pを表面の凹凸の大きいラフ紙とした場合、クリーニングモード動作を行わない。比較例としてクリーニングに用いる記録材Pを、ラフ紙であるFOX RIVER PAPER社製25%Cotton Bond(坪量90g/m)をとし、トナー画像パターンは、ブラックトナーのみにてトナー総量を72mgとした。
・(比較例6−2)比較例6−1同様、比較例としてクリーニングに用いる記録材Pを、ラフ紙であるFOX RIVER PAPER社製25%Cotton Bond(坪量90g/m)をとする。そしてトナー画像パターンは、トナー画像パターンは、ブラック・マゼンタ・シアントナーをそれぞれ72mg、イエロートナーを36mgに設定しトナー総量を252mgとした。
【0023】
【表2】

【0024】
表2に示すように、クリーニングシートCPとして用いる記録材PをBussiness4200(坪量75g/m)とする場合、本実施例1に係る評価1の条件では、加圧ローラ23表面上のトナー汚れを除去できている。一方、トナー総量の少ない比較例1−1の条件ではトナー汚れを完全に除去できず、またさらにトナー総量の少ない比較例1−2の条件ではさらにクリーニング効果は小さい。クリーニングシートCPとして用いる記録材PをX−9(坪量62g/m)とする場合、本実施例1に係る評価2の条件では、加圧ローラ23表面上のトナー汚れを完全に除去できないものの、巻付きなどの弊害を発生しない。一方、トナー総量の少ない比較例2−1の条件では、評価2の条件に比べクリーニング効果が小さい。一方、トナー総量の多い比較例2−2の条件では、クリーニング動作時に加圧ローラ23へクリーニングシートCPが巻付いてしまった。
これはX−9(坪量62g/m)の坪量が小さいため、いわゆる紙のコシが弱い。このため、クリーニングシートCP上のトナー画像パターンTpのトナーと加圧ローラ23表面上の汚れトナーの溶融・密着により、記録材Pは加圧ローラ23表面から分離できなくなるためである。クリーニングシートCPとして用いる記録材PをBussiness4200(坪量163g/m)とする場合、本実施例1に係る評価3の条件では、クリーニング効果は小さいものの、クリーニングシート作成時に定着不良などの弊害を発生しない。一方、トナー総量の多い比較例3−1の条件では、トナー画像パターンTpのトナーと加圧ローラ23表面上の汚れトナーが十分に融着できないため、クリーニング効果はほとんどない。さらにトナー総量の多い比較例3−2の条件では、クリーニングシートCP作成時に定着不良を発生してしまう。クリーニングシートCPとして用いる記録材Pを光沢紙であるHP Presentaion Paper(坪量130g/m)とする場合は下記の通りである。本実施例1に係る評価4の条件では、加圧ローラ23表面上のトナー汚れを完全に除去できないものの、巻付きなどの弊害を発生しない。一方、トナー総量の少ない比較例4−1の条件では、評価4の条件に比べクリーニング効果が小さい。一方、トナー総量の多い比較例4−2の条件では、クリーニング動作時に加圧ローラ23表面にクリーニングシートCPが巻付いてしまった。これは一般的に光沢紙のコシが弱いためと、表面が平滑である光沢紙上に形成されたクリーニング画像パターンTpのトナー面も平滑となって、加圧ローラ23表面上の汚れトナーとの密着力が強くなるためである。次に比較例として、クリーニングシートCPとして用いる記録材PをOHTであるCG3700とする場合は下記の通りである。比較例5−1の条件ではトナー総量が少ないので、クリーニングシートの作成に問題ないものの、クリーニング動作時に加圧ローラ23表面にクリーニングシートCPが巻付いてしまった。これは一般的にOHTシートのコシが普通紙に比べ弱いためである。また比較例5−2の条件ではトナー総量が多いので、クリーニングシートCP作成時に定着不良を発生してしまう。これはOHTシートの熱容量が普通紙に比べ大きいためである。さらに比較例として、クリーニングシートCPとして用いる記録材Pをいわゆるラフ紙に分類される25%Cotton Bondとする場合は下記の通りである。比較例6−1の条件ではトナー総量が少ないので、クリーニングシートの作成とクリーニング動作に問題はないものの、クリーニング後の加圧ローラ23表面上のトナー汚れは、クリーニング前と比べほとんど変化なかった。これは表面の凹凸の大きいラフ紙ではクリーニングシートCP上のトナー画像パターンTpのトナー表面の凹凸も大きくなり、加圧ローラ23表面上の汚れトナーと密着できないためである。また比較例6−2の条件ではトナー総量が多いため、クリーニングシートCP作成時に定着不良を発生してしまう。これは表面の凹凸の大きいラフ紙では、定着ローラ22表面に密着できず、凹部のトナーを溶融できないためである。
【0025】
本実施例1の画像形成装置は、記録材Pの坪量、記録材Pの表面性、記録材Pの材料など記録材Pの材質に関わる種類に応じて、クリーニングシートCPのトナー画像パターンTpのトナー総量を変更している。これによりトナー画像パターンTpを記録材Pに加熱定着する際の定着不良の発生と記録材Pの加圧ローラ23への巻付きの発生を低減できるので、クリーニングモードに用いることができる記録材の種類を増やすことができる。
【0026】
[実施例2]:本実施例2に示す画像形成装置は、クリーニングモード時に、記録材Pの種類に応じて、クリーニングシートCPを定着装置20に通紙(導入)する回数を変更する制御を、実施例1の画像形成装置に追加したものである。そしてこの制御を追加した点を除き、実施例1の画像形成装置と同じ構成としてある。本実施例2では、実施例1の画像形成装置と同じ部材・部分には同一符号を付して再度の説明を省略する。実施例1の画像形成装置において、実施例1に係る評価2や評価3の条件では、記録材Pの加圧ローラ23への巻付きや定着不良の発生を低減できるが、加圧ローラ23表面上のトナー汚れを更に除去することが望まれる。そこで本実施例2の画像形成装置は、クリーニングモード時に、記録材の種類に応じて、記録材上に形成されるトナー画像パターンのトナー総量を変更するだけでなく、クリーニングシートを定着装置に通紙させる回数(定着部をクリーニングする回数)も変更する。即ち、下記の表3のように、表1のテーブルに通紙回数のパラメータを追加したテーブルに従い、クリーニング動作を行う。
【0027】
【表3】

【0028】
クリーニングシートCPを定着装置20のニップ部Nに対し複数回通紙する場合、通紙回数を画像形成装置の使用者に知らせるのが望ましい。そこで、定着装置20へのクリーニングシートCPの通紙回数を画像形成装置の使用者に知らせる方法として、クリーニングモードの指示を行う外部装置又は画像形成装置の操作パネルに表示させる。またはトナー画像パターンTpと共にクリーニングシートCP上に通紙回数を印字して示すなどの方法がある。クリーニングシートCPを定着装置20に複数回通紙させる場合には、クリーニングシートCPを記録材カセット10にセットし、搬送手段(給送ローラ11と、レジストローラ12など)により定着装置20のニップ部Nに搬送させる。或いは排出トレイ25の近傍に設けられている反転ローラ26を用いて反転搬送路27からクリーニングシートCPを導入し、反転搬送路27でクリーニングシートCPを表裏反転させ、搬送手段(搬送レジストローラ12など)によりニップ部Nに搬送させる。表3に従えば本実施例2では、加圧ローラ23表面上のトナー汚れと記録材Pの種類が実施例1の評価2と同一条件でも、クリーニングシートCPが定着装置20へ2回通紙されることになるので、加圧ローラ23の汚れトナーをより多く除去することができる。また加圧ローラ23表面上のトナー汚れと記録材Pの種類が実施例1の評価3と同一条件でも、クリーニングシートCPが定着装置20へ3回通紙されることになるので、加圧ローラ23の汚れトナーをより多く除去することができる。
【0029】
本実施例2の画像形成装置は、記録材Pの材質に関わる種類に応じて、クリーニングシートCPのトナー画像パターンTpのトナー総量の変更とクリーニングシートCPの定着装置20への通紙回数を変更している。これによりトナー画像パターンTpを加熱定着する際の定着不良の発生と記録材Pの加圧ローラ23への巻付きの発生を低減できるとともに加圧ローラの汚れトナーをより多く除去できる。
【符号の説明】
【0030】
SY:イエロー画像形成部、SC:シアン画像形成部、SM:マゼンタ画像形成部、SK:ブラック画像形成部、20:定着装置、CP:クリーニングシート、P:記録材、Tp:トナー画像パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材にカラートナー画像を形成する画像形成装置であって、記録材にトナー画像を形成する画像形成部と、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着部と、前記定着部をクリーニングするクリーニングモードと、を有し、前記クリーニングモードが設定されると、前記画像形成部が記録材に所定のトナー画像を形成し、その後、前記定着部が所定のトナー画像を記録材に加熱定着することによって、前記定着部で加熱されつつ搬送されて前記定着部をクリーニングするためのクリーニングシートが形成される画像形成装置において、記録材に形成される前記所定のトナー画像の単位面積あたりのトナー量は、記録材の材質に関わる種類に応じて異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着部をクリーニングシートでクリーニングする回数は、記録材の材質に関わる種類に応じて異なることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−75796(P2011−75796A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226658(P2009−226658)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】