説明

画像形成装置

【課題】開閉扉に備えられたトレイに用紙が積載されている状態においても、開閉扉の回転時に当該開閉扉の下側への撓みを抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、画像形成装置100の搬送路の一部を開放する開閉扉200と、画像形成装置100と開閉扉200とを係合する係合部222と、を備える。開閉扉200は、垂直方向に配置された回転軸210、回転軸210を中心に開閉扉200を回転させるための把手部220および用紙を積載するための排紙トレイ93を有する。把手部220は、係合部222と係合可能な被係合部221を有し、下方から上方に移動することで係合部222との係合が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に回転可能な開閉扉を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においてジャム等が発生すると、開閉扉を開けてジャムした用紙を取り除く必要がある。従来の画像形成装置においては、開閉扉を開ける際に使用する把手部と手差しトレイ等に設けられた把手部とが近傍に位置している場合があるため、相互に誤って操作される場合があった。
【0003】
そこで、上記のような場合においても、相互に誤って操作されることを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−173125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、画像形成装置においてジャム等が発生すると、開閉扉を開ける必要がある。この場合、垂直方向に配置された軸を中心に水平方向に回転させて開閉扉を開けて搬送路を開放する。また、当該開閉扉に給紙トレイや排紙トレイが備えられている場合があり、このトレイ上に用紙が積載されている場合がある。この場合に開閉扉を回転させると、トレイに積載された用紙の重量によって開閉扉が下側に撓み、開閉扉を回転させるときに当該開閉扉の下側に設けられた開閉扉と接触することがあった。この問題は、特許文献1等の従来技術では解決できないものである。
【0006】
そこで本発明の目的は、上記課題に鑑み、開閉扉に備えられたトレイに用紙が積載されている状態においても、開閉扉の回転時に当該開閉扉の下側への撓みを抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、画像形成装置本体の搬送路の一部を開放する開閉扉と、画像形成装置本体と開閉扉とを係合する係合部と、を備える。開閉扉は、垂直方向に配置された回転軸、前記回転軸を中心に前記開閉扉を回転させるための把手部および用紙を積載するためのトレイを有する。把手部は、前記係合部と係合可能な被係合部を有し、下方から上方に移動することで前記係合部との係合が解除される。
【0008】
下方から上方に移動するとは、垂直方向への移動だけでなく、水平方向以外の、例えば斜め上方への移動をも含む概念である。この構成により、開閉扉に対して上向きの力が加わる。
【0009】
この構成では、ユーザが開閉扉を回転させる際、自然にユーザが開閉扉の重量の一部を支えることになる。したがって、開閉扉に備えられたトレイに用紙が積載されている状態においても、開閉扉の回転時に当該開閉扉の下側への撓みを抑制できる。よって、開閉扉の下側に設けられた開閉扉が開放されているときであっても、開閉扉同士が接触することがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明における画像形成装置は、開閉扉に備えられたトレイに用紙が積載されている状態においても、開閉扉の回転時に当該開閉扉の下側への撓みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の開閉扉の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の開閉扉の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の把手部を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の開閉扉の回転時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る用紙搬送装置を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【0014】
画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色または単色の画像を形成するものである。画像形成装置100は、原稿処理装置120、給紙部80、画像形成部110および排紙部90から構成されている。
【0015】
原稿処理装置120は、原稿載置台121、原稿搬送装置122および原稿読取部123を有する。原稿載置台121は、透明ガラスからなり、原稿が載置可能な構成となっている。原稿搬送装置122は、原稿トレイに積載された原稿を1枚ずつ搬送する。また、原稿搬送装置122は、矢印124方向に回動自在に構成され、原稿載置台121の上を開放することにより原稿載置台121に原稿を置くことができるようになっている。原稿読取部123は、原稿搬送装置121で搬送中の原稿または原稿載置台122に載置された原稿を読み取る。
【0016】
給紙部80は、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、ピックアップローラ83およびピックアップローラ84が設けられている。給紙カセット81は、定形シートを蓄積しておくためのトレイである。手差し給紙カセット82は、不定形シートを載置することができるトレイである。ピックアップローラ83は、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。同様にピックアップローラ84は、手差し給紙カセット82の端部近傍に設けられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。
【0017】
画像形成部110は、画像形成ステーション31,32,33,34、露光ユニット30、中間転写ベルトユニット50および定着ユニット70から構成されている。画像形成ステーション31,32,33,34は、それぞれ感光体ドラム10、帯電器20、現像器40およびクリーナユニット60が設けられており、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。本実施形態では、画像形成ステーション31について説明する。
【0018】
感光体ドラム10は、画像形成時に回転し、現像剤像を担持するためのものである。感光体ドラム10の周囲には、回転方向上流から帯電器20、露光ユニット30、現像器40、中間転写ベルトユニット50、クリーナユニット60の順に配置されている。定着ユニット70は、搬送路101上において画像形成部110の最も下流に位置する。
【0019】
帯電器20は、感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0020】
露光ユニット30は、帯電された感光体ドラム10を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。露光ユニット30は、レーザ射出部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット30は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム10に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。露光ユニット30としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書き込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0021】
現像器40は、感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナーにより顕像化するものである。
【0022】
中間転写ベルトユニット50は、中間転写ベルト51、中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53、中間転写ローラ54および中間転写ベルトクリーニングユニット55を備えている。
【0023】
中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53および中間転写ローラ54は、中間転写ベルト51を張架して回転駆動させる。また、中間転写ローラ54は、感光体ドラム10のトナー像を、中間転写ベルト51上に転写するための転写バイアスを与える。
【0024】
中間転写ベルト51は、感光体ドラム10に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム10に形成されたトナー像を中間転写ベルト51に転写することによって、中間転写ベルト51上にトナー像を形成する機能を有している。中間転写ベルト51は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0025】
感光体ドラム10から中間転写ベルト51へのトナー像の転写は、中間転写ベルト51の裏側に接触している中間転写ローラ54によって行われる。中間転写ローラ54には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ54は、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト51に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0026】
上述のように感光体ドラム10上で顕像化された静電像は中間転写ベルト51で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト51の回転によって、用紙と中間転写ベルト51との接触位置に配置される転写ローラ56によって用紙上に転写される。
【0027】
このとき、中間転写ベルト51と転写ローラ56は所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ56にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ56は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ56もしくは中間転写ベルト駆動ローラ52のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0028】
また、上記のように、感光体ドラム10に接触することにより中間転写ベルト51に付着したトナーもしくは転写ローラ56によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト51上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット55によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット55には、中間転写ベルト51に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト51は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ53で支持されている。
【0029】
クリーナユニット60は、現像・画像転写後における感光体ドラム10上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0030】
定着ユニット70は、ヒートローラ71および加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写されたトナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。またヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0031】
排紙部90は、排紙トレイ91および排紙ローラ92を有する。定着ユニット70を通過した用紙は、排紙ローラ92を経て排紙トレイ91に排出される。排紙トレイ91は、印刷済みのシートを集積するためのトレイである。
【0032】
また、排紙部90は、排紙トレイ93をさらに有する。定着ユニット70を通過した用紙は、排紙ローラ92に一旦保持される。その後排紙ローラ92が逆回転し、搬送路94を通って排紙トレイ93に排紙される。
【0033】
また、両面印字要求のときは、上記のように片面印字が終了し定着ユニット70を通過したシートの後端が排紙ローラ92で把持されたときに、排紙ローラ92が逆回転することによってシートを搬送ローラ102,103に導く。そしてその後レジストローラ104を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
【0034】
図2および図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の開閉扉の構成を示す図である。
【0035】
開閉扉200は、回転軸210、把手部220および排紙トレイ93を有する。回転軸210は、垂直方向に配置され、開閉扉200を支持する。把手部220は、回転軸210を中心に開閉扉200を回転させるための部位である。排紙トレイ93は、上述のように、排紙された用紙を積載するための部位である。
【0036】
回転軸210は、フレーム211およびヒンジ212を備える。フレーム211は、開閉扉200の回転時に開閉扉200本体を支持可能な部材であれば特に限定されないが、本実施形態では金属で構成される。ヒンジ212は、開閉扉200の回転時に開閉扉200本体を安定して支持するため、開閉扉200に対して略中央部に設けられている。
【0037】
把手部220は、ユーザが開閉扉200を回転させる際に使用する部位である。把手部220は、上下に回動可能に構成される。把手部220は、図4に示すように、画像形成装置100に設けられた係合部222と係合可能な被係合部221を有する。把手部220は、バネ223によって下方向に回動する力が加えられており、その結果係合部222と被係合部221とが係合している。この状態では、画像形成装置100本体と開閉扉200とがロックされているため、開閉扉200が回転しないようになっている。この係合状態を解除するためには、把手部220が上方向に回動しなければならない。把手部220が上方向に回動すると、図4(B)に示すように係合部222と被係合部221との係合が解除されるため、開閉扉200が回転可能な状態になる。
【0038】
また、把手部220は、図1および図2に示すように、画像形成装置100の前面近傍に配置される。したがって、ユーザが開閉扉200を開閉させる際の操作性を向上させることができる。
【0039】
また、把手部220は、図2および図3に示すように、トレイ93の近傍に配置される。特に、把手部220は、トレイ93の下方近傍に配置される。したがって、トレイ93に用紙が積載されている状態においても、安定して開閉扉200を開閉させることができ、かつ、用紙が開閉扉200の開閉時にユーザの腕や手が用紙と接触することを防止することができる。
【0040】
さらに、把手部220は、図2に示すように長軸方向が水平に向くように配置されている。したがって、ユーザが開閉扉200を回転させようとする際には、手のひらが上に向くような形で把手部220を掴む。そして、ユーザの指の力で把手部220を上方向に回動させることにより、係合部222と被係合部221との係合が解除され、開閉扉200が回転可能な状態となる。このとき、開閉扉200には全体的に上向きの力が加えられた状態となる。また、把手部220が上述のように配置されているため、開閉扉200の回転時、つまりユーザが把手部220を掴んでいる時は常に開閉扉200には上向きの力が加えられた状態となる。すなわち、ユーザは、開閉扉200の回転時には自然に開閉扉200の重量の一部を支えることになる。
【0041】
したがって、開閉扉200の下側に配置された開閉扉300が開放状態にある場合においても、開閉扉200の回転時には下方への撓みが抑制される。よって、図5に示すように、開閉扉200の回転時に、開閉扉200の下側に設けられた開閉扉300が開放されている場合にも、開閉扉200と開閉扉300とが接触することがない。図5では、開閉扉200と開閉扉300との位置関係がわかるように排紙トレイ93を省略している。
【0042】
なお、本実施形態では開閉扉200に排紙トレイ93が備えられているが、排紙トレイ93の代わりに手差し給紙トレイが備えられていてもよい。
【0043】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
93−排紙トレイ
100−画像形成装置
200−開閉扉
210−回転軸
220−把手部
221−被係合部
222−係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の搬送路の一部を開放する開閉扉と、
前記画像形成装置本体と前記開閉扉とを係合する係合部と、
を備え、
前記開閉扉は、垂直方向に配置された回転軸、前記回転軸を中心に前記開閉扉を回転させるための把手部および用紙を積載するためのトレイを有し、
前記把手部は、前記係合部と係合可能な被係合部を有し、下方から上方に移動することで前記係合部との係合が解除される画像形成装置。
【請求項2】
前記把手部は、前記画像形成装置本体の前面近傍に配置される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記把手部は、前記トレイの近傍に配置される請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記把手部は、前記トレイの下方に配置される請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記把手部は、長軸方向が水平に向くように配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−7841(P2011−7841A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148448(P2009−148448)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】