説明

画像形成装置

【課題】 用紙を安定的に搬送することにより、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 弾性ローラ17のうち軸方向中央から軸方向両端側に至る所定範囲に外径寸法が一定となるフラットローラ部17Eを設け、このフラットローラ部17Eを挟んで軸方向両端側に軸方向端部側に向かうほど外径寸法が縮小するテーパローラ部17Fを設ける。そして、フラットローラ部17Eは外径寸法が一定であるので、フラットローラ部17Eでの周速は軸方向によらず同一の周速となり、かつ、用紙の搬送速度は、フラットローラ部17Eの周速に大きく支配されるので、製品毎に用紙の搬送速度が大きくばらついてしまうことを抑制できる。したがって、画像形成を開始するタイミングが設計上の開始タイミングと大きくずれてしまうことを防止できるので、用紙に形成される画像が搬送方向に伸縮する等の不具合の発生を抑制し、良好な画像形成を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、金属製のローラ及びゴム製のローラにてレジストローラを構成するとともに、ゴム製のローラについては、軸方向中央から軸方向両端部側に向かうほど外径寸法が小さくなるクラウニンングを施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−91617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、記録シートの搬送速度は、駆動ローラであるゴム製ローラの周速で決定されるが、特許文献1に記載の発明では、軸方向において外径寸法(直径寸法)が変化していることに加えて、軸方向中央と軸方向端部側とではゴム製ローラの変形量が製品毎に異なる可能性が高いことから、製品毎に記録シートの搬送速度が大きく異なり、搬送速度のバラツキが大きくなり易いという問題がある。
【0005】
そして、搬送速度のバラツキが大きくなると、設計上の用紙搬送速度に対して実際の用紙搬送速度にずれが生じ、画像形成を開始するタイミングが設計上の開始タイミングと大きくずれてしまうので、記録シートに形成される画像が搬送方向に伸縮する等の不具合が発生し、良好な画像形成を行うことができなくなる。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、記録シートを安定的に搬送することにより、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、記録シートに画像を形成する画像形成手段(5)と、記録シートに接触して回転することにより記録シートに搬送力を付与するとともに、記録シートと接触する外周面が弾性体にて構成された弾性ローラ(17)と、弾性ローラ(17)と対向配置され、記録シートと接触する外周面が剛体にて構成された剛体ローラ(19)と、弾性ローラ(17)及び剛体ローラ(19)のうちいずれか一方のローラ(17)を他方のローラ(19)に押し付ける押圧力を軸方向端部側に作用させる押圧手段(17D)とを備え、押圧手段(17D)から押圧力を受ける一方のローラ(17)は、他方のローラ(19)側に変位可能に支持されており、さらに、弾性ローラ(17)のうち軸方向中央から軸方向両端側に至る所定範囲には、外径寸法が一定となるフラットローラ部(17E)が設けられ、かつ、弾性ローラ(17)のうちフラットローラ部(17E)を挟んで軸方向両端側には、軸方向端部側に向かうほど外径寸法が縮小するテーパローラ部(17F)が設けられていることを特徴とする。
【0008】
これにより、本発明に係る弾性ローラ(17)は、軸方向中央部に設けられたフラットローラ部(17E)の外径寸法が最大となり、軸方向端部に向かうほど外径寸法が縮小するテーパローラ部(17F)を有するエンドレリーフが施されたローラとなる。
【0009】
そして、一方のローラ(17)に押圧手段(17D)により押圧力が作用すると、弾性ローラ(17)の軸中心線と剛体ローラ(19)の軸中心線とは、その軸方向中央が最も離間するように弓なりに撓み変形する。
【0010】
このため仮に、弾性ローラ(17)の外径寸法が軸方向全域において同一寸法であると、弾性ローラ(17)と剛体ローラとの接触面圧は、軸方向中央において最も小さくなり、軸方向端部側に向かうほど大きくなるような偏分布となるので、記録シートをその幅方向全域で均等に挟持することができない。
【0011】
特に、幅寸法が小さい記録シート(例えば、A6サイズ)では、接触面圧の最も小さくなる軸方向中央部分によって挟持された状態で搬送されるので、搬送力が不足して安定的に搬送することができない可能性がある。
【0012】
因みに、幅方向とは、記録シートの搬送方向及び厚み方向と直交する方向であり、本発明では、記録シートは弾性ローラ(17)等が回転することにより搬送されるので、幅方向と軸方向とが一致する。
【0013】
これに対して、本発明では、撓み量が最も大きくなる軸方向中央部に外径寸法が最大となるフラットローラ部(17E)が設定されているので、弾性ローラ(17)及び剛体ローラ(19)の軸中心線が離間するように弓なりに撓み変形しても、軸方向中央部において接触面圧が低下することを防止できる。延いては、接触面圧を軸方向において略均一とすることが可能となる。
【0014】
しかも、フラットローラ部(17E)は外径寸法が一定であるので、フラットローラ部(17E)での周速は軸方向によらず同一の周速となり、かつ、記録シートの搬送速度は、フラットローラ部(17E)の周速に大きく支配されるので、製品毎に記録シートの搬送速度が大きくばらついてしまうことを抑制できる。
【0015】
このため、画像形成を開始するタイミングが設計上の開始タイミングと大きくずれてしまうことを防止できるので、記録シートに形成される画像が搬送方向に伸縮する等の不具合の発生を抑制し、良好な画像形成を行うことができる。
【0016】
また、本発明においても弾性ローラ(17)の軸中心線と剛体ローラ(19)の軸中心線とは、軸方向中央が最も離間するように弓なりに撓み変形するものの、軸方向中央から軸方向両端側に至る所定範囲にフラットローラ部(17E)が設けられているので、フラットローラ部(17E)の軸方向両端における接触面圧は、軸方向中央における接触面圧より僅かに大きくなる。
【0017】
一方、特許文献1に記載の発明のごとく、軸方向中央から軸方向両端部側に向かうほど外径寸法が小さくなり、フラットローラ部(17E)が設定されていないゴム製ローラでは、軸方向中央の接触面圧が最も大きくなり易いので、特許文献1に記載の発明では、実質的に、軸方向(幅方向)中央のみの1カ所で主に記録シートが挟持された状態となる。
【0018】
このため、特許文献1に記載の発明では、搬送される記録シートが容易に斜行してしまう可能性が非常に高いのに対して、本発明では、記録シートが主に接触面圧の僅かに高いフラットローラ部(17E)の軸方向両端側の2カ所にて挟持されることとなるので、記録シートの斜行を抑制しつつ、安定的に記録シートを搬送することができる。
【0019】
以上のように、本発明では、記録シートを安定的に搬送することができるので、良好な画像形成を行うことができる。
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る弾性ローラ17に押圧力Fが作用したときの弾性ローラ17及び剛体ローラ19を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る弾性ローラ17に押圧力Fが作用していないときの弾性ローラ17及び剛体ローラ19を示す図である。
【図4】弾性ローラ17及び剛体ローラ19の変形状態を示す図である。
【図5】弾性ローラ17の軸方向における接触面圧の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施形態は電子写真方式の画像形成装置に本発明に係る画像形成装置を適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
1.画像形成装置の概略構成
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、プロセスカートリッジ7、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0022】
なお、本実施形態に係る画像形成装置1は、ダイレクトタンデム方式の画像形成装置であるため、用紙の搬送方向(本実施形態では、前後方向)に沿って直列に複数個(本実施形態では、4個)のプロセスカートリッジ7が配設されている。
【0023】
具体的には、用紙の搬送方向上流側から順に、ブラック用のプロセスカートリッジ7K、イエロー用のプロセスカートリッジ7Y、マゼンタ用のプロセスカートリッジ7M、シアン用のプロセスカートリッジ7Cである。
【0024】
また、各プロセスカートリッジ7K〜7Cは、収納されている現像剤の色が異なるのみで、その構造等は略同一であり、具体的には、各プロセスカートリッジ7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光ドラム7A、及び感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されている。なお、図1においては、紙面の都合上、シアン用のプロセスカートリッジ7Cのみに感光ドラム7A及び帯電器7Bの符号を付した。
【0025】
そして、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像を形成した後、電荷を帯びた現像剤を感光ドラム7Aに供給すると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0026】
また、用紙を搬送する転写ベルト13を挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ15が設けられており、この転写ローラ15には、感光ドラム7Aに担持された現像剤像を用紙に転写させるための電圧が印加されている。
【0027】
また、定着器11は、転写ベルト13より用紙の搬送方向下流側に配設されて用紙を下流側に搬送しながら加熱する加熱ローラ11A、及び用紙を加熱ローラ11Aに押し付けながら用紙の移動と共に従動回転する加圧ローラ11B等から構成されている。
【0028】
そして、感光ドラム7Aに担持されていた現像剤像が、転写ベルト13により搬送される用紙に転写されると、その現像剤像が転写された用紙は定着器11に搬送され、定着器11にて現像剤像が用紙に溶着(定着)する。
【0029】
また、転写ベルト13より用紙の搬送方向上流側、つまり画像形成部5の入口側には、画像形成部5に突入する用紙の斜行を矯正するとともに、画像形成部5に突入する用紙の突入タイミングを調整するための一対のレジストローラ17、19が設けられており、これら一対のレジストローラ17、19は、用紙を挟持するように厚み両側から用紙に接触する。
【0030】
つまり、レジストローラ17、19は、その回転を停止又は逆転させて用紙の搬送を堰き止めるようにして用紙の斜行を矯正した後、再び、所定のタイミングで正転して転写ベルト13(画像形成部5)に向けて用紙の突入を開始させる。
【0031】
そして、画像形成部5は、この突入開始タイミングを基準として用紙への画像形成を開始する。なお、用紙は、画像形成部5の幅方向中心に用紙の幅方向中心を合わせて搬送される、いわゆるセンター基準にて搬送される。
【0032】
2.レジストローラの構造
一対のレジストローラは、図2に示すように、弾性ローラ17及び剛体ローラ19にて構成されている。
【0033】
そして、弾性ローラ17は、快削鋼鋼材(SUM)等の金属製の芯金軸17Aの外周面に、弾性変形可能であって高い摩擦係数を有する材料(例えば、ゴム)からなるローラ部17Bを固着(接着)して構成されたものであり、ローラ部17Bの外周面が用紙に接触して回転することにより用紙に搬送力を付与する。
【0034】
なお、弾性ローラ17のうちローラ部17Bが用紙に接触することから、以下、特に断りをした場合を除き、弾性ローラ17とは、弾性ローラ17のローラ部17Bを意味する。
【0035】
また、弾性ローラ17(芯金軸17A)は、その長手方向両端側に配設された軸受17Cを介して装置本体の一部をなすフレーム(図示せず。)に回転可能に支持されており、これら軸受17Cは、剛体ローラ19の軸方向と直交する方向に変位可能にフレームに組み付けられている。このため、弾性ローラ17は、剛体ローラ19に対して近接又は離間する向きに変位することができる。
【0036】
そして、一対の軸受17Cは、バネ17D等の弾性手段により剛体ローラ19側に向けて常に押圧されているので、弾性ローラ17の軸方向端部側には、弾性ローラ17を剛体ローラ19に押し付ける押圧力Fが常に作用した状態となる。したがって、押圧力Fが消失すると、図3に示すように、弾性変形していたローラ部17Bが復元し、弾性ローラ17(ローラ部17B)は、エンドレリーフが施されたローラとなる。
【0037】
すなわち、弾性ローラ17(ローラ部17B)のうち軸方向中央から軸方向両端側に至る所定範囲には、図3に示すように、外径寸法が一定となるフラットローラ部17Eが設けられ、かつ、弾性ローラ17(ローラ部17B)のうちフラットローラ部17Eを挟んで軸方向両端側には、軸方向端部側に向かうほど外径寸法が縮小するテーパローラ部17Fが設けられている。
【0038】
そして、フラットローラ部17Eの軸方向寸法W1は、一対のレジストローラ17、19にて搬送可能な最小サイズの用紙幅の1/2以上であって、搬送可能な最大サイズの用紙幅より小さい所定の寸法となっている。
【0039】
因みに、幅方向とは、用紙の搬送方向及び厚み方向と直交する方向であり、本実施形態では、用紙は弾性ローラ17等が回転することにより搬送されるので、幅方向と軸方向とが一致する。また、搬送可能な最小サイズ及び最大サイズとは、画像形成装置1の取扱説明書や給紙トレイ21(図1参照)又は手差しトレイ(図示せず。)の載置面に記載された画像形成装置1の製造者が指定した用紙サイズをいう。
【0040】
そして、本実施形態では、搬送可能な最小サイズはA6サイズ(105ミリ×148ミリ)であり、搬送可能な最大サイズはリーガルサイズ(8.5インチ×14インチ)であることから、フラットローラ部17Eの軸方向寸法W1を、A6サイズの用紙幅の約50%〜115%とすることにより、A6サイズの用紙幅の1/2以上、かつ、リーガルサイズの用紙幅の1/2以下となるようにしている。
【0041】
また、剛体ローラ19は、弾性ローラ17と対向配置され、かつ、快削鋼鋼材(SUM)等の金属製の芯金軸19Aの外周面のうち用紙と接触する部位に、金属(本実施形態では、アルミニウム)等の弾性変形しない剛体のローラ部19Bを設けたローラである。
【0042】
なお、剛性ローラ19のうちローラ部19Bが用紙に接触することから、以下、特に断りをした場合を除き、剛体ローラ19とは、剛体ローラ19のローラ部19Bを意味する。
【0043】
そして、剛体ローラ19(ローラ部19B)の軸方向寸法W3は、弾性ローラ17(ローラ部17B)の軸方向寸法W2より大きく設定されているとともに、剛体ローラ19(ローラ部19B)は、軸方向全域に亘って外径寸法が一定となるフラットローラにて構成されている。
【0044】
また、剛体ローラ19(芯金軸19A)は、その長手方向両端側に配設された軸受19Cを介してフレームに回転可能に支持されており、これら軸受19Cは、不動状態でフレームに組み付けられている。
【0045】
このため、弾性ローラ17がバネ17Dにより剛体ローラ19側に押圧されると、図2に示すように、弾性ローラ17のフラットローラ部17E及びテーパローラ部17Fが弾性変形し、弾性ローラ17(ローラ部17B)が軸方向全域で剛体ローラ19(ローラ部19B)と接触した状態となる。
【0046】
また、弾性ローラ17は、用紙のうち画像が形成される面(表面)と反対側の面(裏面)に接触して回転し、一方、剛体ローラ19は用紙の表面に接触して回転する。そこで、本実施形態では、画像形成部5に突入する用紙の表面に付着した紙粉等の異物を剛体ローラ19(ローラ部19B)により回収している。
【0047】
すなわち、剛体ローラ19のうち用紙と接触する部分、つまりローラ部19Bの外周面にフッ素皮膜を設けるとともに、このフッ素皮膜が設けられた外周面にスポンジ等の弾性変形可能な材料からなる紙粉除去パッド19D(図1参照)を接触させている。なお、本実施形態では、紙粉除去パッド19Dは、剛体ローラ19(ローラ部19B)の軸方向全域において剛体ローラ19(ローラ部19B)と摺接する。
【0048】
そして、紙粉除去パッド19Dはフレーム等に固定されているため、剛体ローラ19が回転すると、紙粉除去パッド19Dと剛体ローラ19(ローラ部19B)の外周面とが擦れ合うことにより、剛体ローラ19が静電気を帯び、用紙に付着している紙粉等が剛体ローラ19に吸引され、その後、剛体ローラ19に吸引された紙粉等は、紙粉除去パッド19Dにて剛体ローラ19から除去・回収される。
【0049】
3.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、図3に示すように、弾性ローラ17のうち軸方向中央から軸方向両端側に至る所定範囲には、外径寸法が一定となるフラットローラ部17Eが設けられ、かつ、このフラットローラ部17Eを挟んで軸方向両端側には、軸方向端部側に向かうほど外径寸法が縮小するテーパローラ部17Fが設けられていることを特徴としている。
【0050】
そして、弾性ローラ17にバネ17Dよる押圧力Fが作用すると、図4に示すように、弾性ローラ17の軸中心線L1と剛体ローラ19の軸中心線L2とは、その軸方向中央が最も離間するように弓なりに撓み変形する。因みに、図4では、弾性ローラ17及び剛体ローラ19の撓み変形を誇張して記載されており、現実の変形量は微少である。
【0051】
このため仮に、弾性ローラ17の外径寸法が軸方向全域において同一寸法であると、弾性ローラ17と剛体ローラとの接触面圧は、軸方向中央において最も小さくなり、軸方向端部側に向かうほど大きくなるような偏分布となるので、用紙をその幅方向全域で均等に挟持することができない。
【0052】
特に、本実施形態に係る画像形成装置1においては、幅寸法が小さい用紙(例えば、A6サイズ)が接触面圧の最も小さくなる軸方向中央部分によって搬送されることとなるので、搬送力が不足して安定的に搬送することができないおそれがある。
【0053】
これに対して、本実施形態では、撓み量が最も大きくなる軸方向中央部に外径寸法が最大となるフラットローラ部17Eが設定されているので、弾性ローラ17及び剛体ローラ19の軸中心線L1、L2が離間するように弓なりに撓み変形しても、軸方向中央部において接触面圧が低下することを防止できる。
【0054】
つまり、フラットローラ部17Eの外径寸法及びテーパローラ部17Fのテーパ率(テーパ角)は、弾性ローラ17に押圧力Fが作用したときに、軸方向全域で弾性ローラ17(ローラ部17B)が剛体ローラ19と接触するように設定されている。
【0055】
このため、本実施形態では、接触面圧を軸方向において略均一とすることができるので、弾性ローラ17及び剛体ローラ19にて用紙を幅方向全域で良好に挟持することが可能となる。
【0056】
しかも、フラットローラ部17Eは外径寸法が一定であるので、フラットローラ部17Eでの周速は軸方向によらず同一の周速となり、かつ、フラットローラ部17Eにおける平均接触面圧がテーパローラ部17Fにおける平均接触面圧より大きくなり(図5参照)、用紙の搬送速度は、フラットローラ部17Eの周速に大きく支配されるので、製品毎に用紙の搬送速度が大きくばらついてしまうことを抑制できる。
【0057】
このため、設計上の用紙搬送速度に対する実際の用紙搬送速度のずれ量が小さくなり、画像形成を開始するタイミングが設計上の開始タイミングと大きくずれてしまうことを防止できるので、用紙に形成される画像が搬送方向に伸縮する等の不具合の発生を抑制し、良好な画像形成を行うことができる。
【0058】
また、本実施形態においても弾性ローラ17の軸中心線L1と剛体ローラ19の軸中心線L2とは、軸方向中央が最も離間するように弓なりに撓み変形するものの、軸方向中央から軸方向両端側に至る所定範囲にフラットローラ部17Eが設けられているので、図5に示すように、フラットローラ部17Eの軸方向両端における接触面圧は、軸方向中央における接触面圧より僅かに大きくなる。
【0059】
一方、特許文献1に記載の実施形態のごとく、軸方向中央から軸方向両端部側に向かうほど外径寸法が小さくなり、フラットローラ部17Eが設定されていないゴム製ローラでは、軸方向中央の接触面圧が最も大きくなり易いので、特許文献1に記載の実施形態では、実質的に、軸方向(幅方向)中央のみの1カ所で主に用紙が挟持された状態となる。
【0060】
このため、特許文献1に記載の実施形態では、搬送される用紙が容易に斜行してしまう可能性が非常に高いのに対して、本実施形態では、用紙を主にフラットローラ部17Eの軸方向両端近傍(図5のA点近傍)、つまり軸方向において2点にて用紙を挟持することとなるので、用紙の斜行を抑制しつつ、安定的に用紙を搬送することができる。
【0061】
以上のように、本実施形態では、用紙を安定的に搬送することができるので、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態では、フラットローラ部17Eの軸方向寸法W1は、搬送可能な最小サイズの用紙幅の1/2以上であることを特徴とするので、本実施形態では、フラットローラ部17Eが最小サイズの用紙に幅方向全域で接触することとなる。このため、小さな用紙であっても安定的に搬送することができる。
【0062】
なお、フラットローラ部17Eの軸方向寸法W1を、搬送可能な最小サイズの用紙幅の約105%〜約115%として、搬送可能な最小サイズの用紙幅よりも大きくすれば、最小サイズの用紙をより安定的に搬送することが可能となる。
【0063】
ところで、上述したように、弾性ローラ17にバネ17Dにより押圧力Fが作用すると、弾性ローラ17の軸中心線L1と剛体ローラ19の軸中心線L2とは、軸方向中央が最も離間するように弓なりに撓み変形するので(図4参照)、接触面圧の分布を略均一とするには、軸方向両端側にテーパローラ部17Fを設ける必要がある。
【0064】
しかし、フラットローラ部17Eの軸方向寸法W1が大きく、テーパローラ部17Fの軸方向寸法W4が過度に小さい場合には、実質的に、弾性ローラ17の外径寸法を軸方向全域において同一寸法とした場合と同一となるので、用紙と弾性ローラ17とが接触する範囲において、接触面圧の分布を略均一とすることはできない。
【0065】
このため、用紙と弾性ローラ17とが接触する範囲において、接触面圧の分布を略均一とするには、テーパローラ部17Fの軸方向寸法W4を大きくする必要があるので、一対のレジストローラ17、19の軸方向寸法W2、W3の大型化を招く。
【0066】
これに対して、本実施形態では、フラットローラ部17Eの軸方向寸法W1は、搬送可能な最大サイズの用紙幅より小さいことを特徴としているので、一対のレジストローラ17、19の軸方向寸法W2、W3の大型化を抑制しながら、用紙と弾性ローラ17とが接触する範囲において接触面圧の分布を略均一とすることが可能となる。
【0067】
また、本実施形態では、剛体ローラ19の軸方向寸法W3は、弾性ローラ17の軸方向寸法W2より大きく、さらに、剛体ローラ19は、軸方向全域に亘って外径寸法が一定であることを特徴とする。
【0068】
これにより、本実施形態では、剛体ローラ19にエンドレリーフを施す場合に比べて剛体ローラ19の製造原価を抑制することができるので、画像形成装置1の製造原価上昇を抑制しつつ、良好な画像形成が可能な画像形成装置を得ることができる。
【0069】
また、剛体ローラ19に用紙の表面に付着・発生した紙粉等の異物を除去する異物除去機能を発揮させる場合には、剛体ローラ19の外径寸法を軸方向全域に亘って一定とすることが望ましく、本実施形態では、剛体ローラ19を軸方向全域に亘って外径寸法を同一としたので、異物除去機能を効果的に発揮させることができる。
【0070】
つまり、仮に剛体ローラ19にエンドレリーフが施されていると、剛体ローラ19と紙粉除去パッド19Dとを安定的に摺接させることが難しいので、異物除去機能を効果的に発揮させることが難しい。これに対して、本実施形態では、剛体ローラ19の外径寸法が軸方向全域に亘って同一であるので、異物除去機能を効果的に発揮させることができ得る。
【0071】
また、本実施形態では、一対のレジストローラ17、19が画像形成部5の入口側に配設されているとともに、剛体ローラ19は用紙の表面に接触して回転し、かつ、剛体ローラ19の表面に付着した異物を除去する紙粉除去パッド19Dを備えていることを特徴とするので、剛体ローラ19に異物除去機能を発揮させることができる。
【0072】
ところで、仮に、剛体ローラ19が弾性ローラ17側に変位可能であるとすると、剛体ローラ19が用紙の厚み変化に応じて変位するので、剛体ローラ19と紙粉除去パッド19Dとを安定的に摺接させることが難しい。
【0073】
つまり、剛体ローラ19が弾性ローラ17側に変位可能な場合において、剛体ローラ19と紙粉除去パッド19Dとを安定的に摺接させるには、剛体ローラ19の変位に連動して紙粉除去パッド19Dも変位させる必要があるので、このような場合には、剛体ローラ19の表面に付着した紙粉等の異物を適切に除去することが非常に難しい。
【0074】
これに対して、本実施形態では、バネ17Dは弾性ローラ17の軸方向両端側に押圧力Fを作用させ、弾性ローラ17が剛体ローラ19側に変位可能となり、かつ、剛体ローラ19は不動となるので、剛体ローラ19の表面に付着した紙粉等を容易に除去することができ得る。
【0075】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、画像形成部5が特許請求の範囲に記載された画像形成手段に相当し、バネ17Dが特許請求の範囲に記載された押圧手段に相当し、紙粉除去パッド19Dが特許請求の範囲に記載された異物除去手段に相当する。
【0076】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、画像形成勢手段としてタンデム型の電子写真方式を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばモノクロの電子写真方式、又はインクジェット方式等であってよい。
【0077】
また、上述の実施形態では、レジストローラ17、19に本発明に係る弾性ローラ17及び剛体ローラ19を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、定着器11から排出された用紙を排紙トレイ25(図1参照)に導く一対の中間ローラ23(図1参照)に適用してもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、押圧手段としてコイルバネ状の弾性手段を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、捻りコイルバネ、板バネ又はゴム等のその他弾性手段にて押圧手段を構成してもよい。
【0079】
また、上述の実施形態に係る剛体ローラ19は、紙粉取り機能を有するものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、上述の実施形態では、弾性ローラ17が剛体ローラ19に対して変位する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、剛体ローラ19を弾性ローラ17に対して変位可能とした構成としてもよい。
【0080】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0081】
1…画像形成装置、5…画像形成部、7…プロセスカートリッジ、9…露光器、
11…定着器、17…弾性ローラ、17A…芯金軸、17B…ローラ部、
17C…軸受、17D…バネ、17E…フラットローラ部、
17F…テーパローラ部、19…剛体ローラ、19A…芯金軸、
19B…ローラ部、19C…軸受、19D…紙粉除去パッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成手段と、
記録シートに接触して回転することにより記録シートに搬送力を付与するとともに、記録シートと接触する外周面が弾性体にて構成された弾性ローラと、
前記弾性ローラと対向配置され、記録シートと接触する外周面が剛体にて構成された剛体ローラと、
前記弾性ローラ及び前記剛体ローラのうちいずれか一方のローラを他方のローラに押し付ける押圧力を軸方向端部側に作用させる押圧手段とを備え、
前記押圧手段から押圧力を受ける前記一方のローラは、前記他方のローラ側に変位可能に支持されており、
さらに、前記弾性ローラのうち軸方向中央から軸方向両端側に至る所定範囲には、外径寸法が一定となるフラットローラ部が設けられ、かつ、前記弾性ローラのうち前記フラットローラ部を挟んで軸方向両端側には、軸方向端部側に向かうほど外径寸法が縮小するテーパローラ部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記フラットローラ部の軸方向寸法は、前記弾性ローラ及び前記剛体ローラにて搬送可能な最小サイズのシート幅の1/2以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フラットローラ部の軸方向寸法は、前記弾性ローラ及び前記剛体ローラにて搬送可能な最大サイズのシート幅より小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記フラットローラ部の軸方向寸法は、前記弾性ローラ及び前記剛体ローラにて搬送可能な最大サイズのシート幅の1/2以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記剛体ローラの軸方向寸法は、前記弾性ローラの軸方向寸法より大きく、
さらに、前記剛体ローラは、軸方向全域に亘って外径寸法が一定であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記弾性ローラ及び前記剛体ローラは、前記画像形成手段の入口側に配設され、
前記剛体ローラは、記録シートのうち画像が形成される面に接触して回転し、
さらに、前記剛体ローラの表面に付着した異物を除去する異物除去手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記弾性ローラ及び前記剛体ローラは、前記画像形成手段に突入する記録シートの姿勢を矯正する矯正機能、及び前記画像形成手段に突入する記録シートのタイミングを調整するタイミング調整機能のうち少なくとも一方の機能を発揮するレジストローラであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記押圧手段は、前記弾性ローラの軸方向両端側に前記押圧力を作用させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記弾性ローラは、前記押圧手段により押圧された状態においては、軸方向全域で前記剛体ローラと接触していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−111605(P2012−111605A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262459(P2010−262459)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】