説明

画像形成装置

【課題】ヒータへの不要な通電を防止し、低消費電力で駆動し得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】両面画像形成装置であって、制御部は、第1面が上側の媒体の先端が画像定着部に到達した時点で該画像定着部の温度が第1定着温度T1になるよう発熱部へ通電を行い、該第1面への加熱定着処理の途中で該画像定着部の温度が第2定着温度T2になるよう該発熱部へ通電を行い、該画像定着部を所定時間該第2定着温度T2に保つべく該発熱部への通電を行った後、該発熱部への通電を遮断すると共に該画像定着部の余熱を用いて該媒体の搬送方向後端部分の定着処理を続行させ、該媒体が反転機構により反転され、第2面が上側になった媒体へ加熱定着処理を行うべく該発熱部への通電を再開するまで、該発熱部への通電を遮断することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブに基づくトナー像を印刷媒体上に形成し、かつヒータへの通電を制御し、通電により該ヒータが発する熱を用いて該トナー像を該媒体に定着させる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、例えば特許文献1に開示されているように、両面印刷機構を有する電子写真装置が提案されている。上記装置では、両面印刷を行う場合、先ず用紙の第1面(表面)上に印刷ジョブの第1ページ目に対応するトナー像を形成する。そして、上記装置では、トナー像を形成すると、加熱ローラ(内部に所定温度まで熱されたヒータを配設)を用いて熱により上記第1面上に該トナー像を定着させる。
【0003】
次に、上記装置では、該第1面に対する定着処理を終えた用紙を排出ローラを用いて排出口方向に搬送し、所定時間経過すると該ローラの駆動を停止し、その後、該用紙を再び装置内に引き込むべく、該ローラを逆方向に回転させる。ここで、加熱ローラと排出ローラとの間には、用紙の排出を検知するための排出センサが配設されており、上記装置は、該センサからの出力に基づいて、排出ローラの回転を制御している。
【0004】
そして、上記装置では、上記用紙を引き込むと、上記機構の反転部を用いて該用紙の上下面を反転させ、該反転した用紙の第2面(裏面)上に印刷ジョブの第2ページ目に対応するトナー像を形成する。その後、上記装置では、トナー像を形成すると、加熱ローラを用いて上記第2面上に該トナー像を定着させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−151425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の装置では、通常、用紙の第1面上に形成されたトナー像に対する定着処理を終え、該用紙の後端が排出センサに検出されてから所定時間が経過すると、該装置の消費電力を削減すべく、上記ヒータへの通電を遮断または投入電力を下げる制御を行う。しかしながら、上記装置では、用紙への定着処理を終えているにも関わらず、その後の一定時間の間、ヒータへの不要な通電が継続されており、低消費電力化が不十分であるという問題があった。
【0007】
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、ヒータへの不要な通電を防止し、低消費電力で駆動し得る画像形成装置を提供することにある。
【0008】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
<構成>
本発明の画像形成装置は、媒体の両面に複数ページから成る画像データに基づく印刷処理を行うべく、給紙部から給紙された媒体を検知する媒体検知部と、媒体検知部の検知結果に基づいて該媒体の第1面上に画像データに基づく現像剤像を形成する画像形成部と、該第1面上に形成された現像剤像を加熱定着する画像定着部と、画像定着部の温度を検知する温度センサと、画像定着を終えた該媒体の第2面に印刷処理をすべく該媒体を反転させ画像形成部に搬送する反転機構とを備える画像形成装置であって、温度センサの検知結果と、媒体に現像剤像を定着するために必要な画像定着部の温度である第1定着温度及び該第1定着温度より高温の第2定着温度を含む複数の設定温度値とを比較して該画像定着部の発熱部への通電を制御する制御部を備え、制御部は、媒体検知部の検知結果に基づき、第1面が上側の媒体の先端が画像定着部に到達した時点で該画像定着部の温度が第1定着温度になるよう発熱部へ通電を行い、該第1面への加熱定着処理の途中で該画像定着部の温度が第2定着温度になるよう該発熱部へ通電を行い、該画像定着部を所定時間該第2定着温度に保つべく該発熱部への通電を行った後、該発熱部への通電を遮断すると共に該画像定着部の余熱を用いて該媒体の搬送方向後端部分の定着処理を続行させ、該媒体が反転機構により反転され、第2面が上側になった媒体へ加熱定着処理を行うべく該発熱部への通電を再開するまで、該発熱部への通電を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御部が、媒体検知部の検知結果に基づき、第1面が上側の媒体の先端が画像定着部に到達した時点で該画像定着部の温度が第1定着温度になるよう発熱部へ通電を行い、該第1面への加熱定着処理の途中で該画像定着部の温度が第2定着温度になるよう該発熱部へ通電を行い、該画像定着部を所定時間該第2定着温度に保つべく該発熱部への通電を制御した後、該発熱部への通電を遮断すると共に該画像定着部の余熱を用いて該媒体の搬送方向後端部分の定着処理を続行させ、該媒体が反転機構により反転され、第2面が上側になった媒体へ加熱定着処理を行うべく該発熱部への通電を再開するまで、該発熱部への通電を遮断するので、ヒータへの不要な通電を防止するだけでなく、余熱を用いて定着処理を行うので、通電時間を短縮することができ、これにより、低消費電力で駆動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施例1の画像形成装置100の両面印刷処理時の動作と加熱ローラの表面温度の推移とを示すタイムチャートである。
【図2】本発明に係る実施例1及び2の画像形成装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係る実施例1の画像形成装置100の制御構成を示す図である。
【図4】本発明に係る実施例1のROM106の構成を示す図である。
【図5】本発明に係る実施例1の通電制御データ生成部109の構成を示す図である。
【図6】本発明に係る実施例1の定着温度判定グラフの一例を示す図である。
【図7】本発明に係る実施例1の余熱定着時間判定グラフの一例を示す図である。
【図8】本発明に係る実施例1の加熱ローラ表面下降温度差とヒータ再加熱時間との関係を示す図である。
【図9】本発明に係る実施例1及び2における用紙のパラメータ表の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの両面印刷処理時の動作と加熱ローラの表面温度の推移とを示すタイムチャートである。
【図11】本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの概略構成図である。
【図12】本発明に係る実施例2のROM106aの構成を示す図である。
【図13】本発明に係る実施例2の通電制御データ生成部109aの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
<実施例1の構成>
図2は、本発明に係る実施例1及び2の画像形成装置の概略図である。
画像形成装置100の下部には、図2に示すように、用紙1が積載保持されている給紙カセット2が着脱可能に装着されている。
本実施例では、画像形成装置100は、1つの給紙カセット2を有する構成となっているが、本発明はこれに限らず、複数の給紙カセットを有する構成にも適用可能である。
【0013】
給紙カセット2の繰り出し側には、該カセット内に積載されている用紙1を、上から1枚ずつ順に繰り出すための給紙ローラ3が配設されている。
給紙ローラ3は、給紙カセット2に積載されている最上部の用紙1に圧接するように配置されている。この、給紙ローラ3には、該ローラを回転駆動するための図示しない直流モータが接続されている。
そして、給紙ローラ3は、印刷制御部110(図3参照)の制御に基づいて上記直流モータが駆動すると、回転を開始し、給紙カセット2内から用紙1を繰り出す。給紙ローラ3により繰り出された用紙1は、搬送経路Aに給紙される。
【0014】
給紙ローラ3の前方には、図示しない給紙センサが配設されている。この給紙センサは、給紙ローラ3により給紙カセット2から用紙1が給紙されたことを検知するために用いるセンサである。そして、給紙センサは、用紙1の先端を検知すると、制御部101を介して印刷制御部110へ給紙検知信号の出力を開始する(給紙センサON)。また、給紙センサは、用紙1の後端が該センサを通過し終えると、上記信号の出力を停止する(給紙センサOFF)。
【0015】
そして、上記給紙センサの後方には、用紙厚検出センサ4が配設されている。この用紙厚検出センサ4は、給紙ローラ3により給紙された用紙の厚さを検出するために用いるセンサである。
ここで、用紙厚検出センサ4は、例えば光学式反射型変位センサであり、検知領域に光を照射するLEDと、検知領域から反射光を集光するレンズと、集光された反射光の重心の位置を検出する位置検出素子と、検出された該位置に基づいて用紙1の厚さを演算する演算部と、用紙1が無い場合の集光された反射光の重心の位置を規定位置として記憶するメモリとから構成される。
【0016】
上記演算部は、上記位置検出素子において、該素子の中央から集光された反射光の重心までの長さが、LEDから反射位置までの距離に対応して変化することを利用して用紙1の厚さを演算する部分である。
即ち、演算部は、搬送経路A上に用紙1が無い場合の上記長さと、用紙1がある場合の上記長さとの差(用紙1の厚さ)を演算する。
演算部が上記用紙1の厚さを演算すると、用紙厚検出センサ4は、該演算結果を示す用紙厚情報を制御部101へ出力する。
本実施例では、用紙1の厚さを検出するために、用紙厚検出センサ4を用いる構成にしたが、これに限らず、例えば、画像形成装置100に該センサを設けず、該装置の操作者が用紙1を給紙カセット2にセットするときに、該装置が有する図示しない入力部から該セットした用紙1の厚さ(及びサイズ)を入力し、図示しない記憶部に記憶させる構成にしてもよい。
【0017】
用紙厚検出センサ4を通過した用紙1の先端は、停止しているレジストローラ対5の両ローラ間の圧接部(ニップ)に突き当たる。この動作により、用紙1の斜行は補正される。
ここで、レジストローラ対5の前方には、図示しない入口センサが配設されている。この入口センサは、印刷制御部110がレジストローラ対5を回転駆動させるタイミングを検知するためのセンサである。
そして、入口センサは、用紙1の先端を検知すると、制御部101を介して印刷制御部110へ入口検知信号の出力を開始する(入口センサON)。また、入口センサは、用紙1の後端が該センサを通過し終えると、上記信号の出力を停止する(入口センサOFF)。
【0018】
印刷制御部110は、上記給紙検知信号を受信後、上記入口検知信号を受けると、上記用紙1の斜行補正が終了したタイミングにおいて、直流モータを駆動して、レジストローラ対5を回転させる。従って、用紙1は、回転を開始したレジストローラ対5により、搬送経路Bに沿って後方に配設された書き出しセンサ6へ向けて搬送される。
【0019】
書き出しセンサ6は、図2に示す画像形成ユニット7の感光ドラム71上に形成された現像剤像を用紙1上に形成するために、該ドラム上の現像剤像の開始位置と、用紙1の現像剤像の書き出し開始位置とを合わせるために用いるセンサである。
そして、書き出しセンサ6は、レジストローラ対5から搬送された用紙1の先端を検知すると、制御部101を介して印刷制御部110へ書き出し検知信号の出力を開始する(書き出しセンサON)。また、書き出しセンサ6は、用紙1の後端が該センサを通過し終えると、上記信号の出力を停止する(書き出しセンサOFF)。
【0020】
画像形成ユニット7は、黒色の現像剤像を形成するための機構である。この画像形成ユニット7は、図2に示すように、黒色の現像剤であるトナーを収容するトナー貯蔵部72から供給された黒色のトナーを用いて感光ドラム71上に現像剤像を形成する。
【0021】
印刷制御部110は、上記書き出し検知信号を受けると、画像形成ユニット7の露光器73に露光を指示する。
【0022】
露光器73は、例えば配列したLED(Light Emitting Diode)から成り、上記露光の指示に基づいて発光し、帯電ローラ74により帯電された感光ドラム71の表面に画像メモリ105(図3参照)に記憶された画像データ(1ページ目)に基づく静電潜像を形成する。
【0023】
感光ドラム71の表面に静電潜像が形成されると、トナー貯蔵部72から供給された黒色のトナーは、印刷制御部110の制御により、供給ローラ75を介して現像ローラ76の表面に付着し、その後、図示しない層形成ブレードにより均一の厚さに形成され、該ドラム上の該静電潜像に現像される。これにより、感光ドラム71の表面には、静電潜像に応じた黒色の現像剤像が形成される。
本実施例では、画像形成ユニット7は、モノクロ印刷を行うべく黒色の現像剤像のみを形成する構成にしたが、これに限らず、カラー印刷を行うべく、シアン色、マゼンダ色、イエロー色の現像剤像をも形成する構成にしてもよい。
【0024】
感光ドラム71と対向する位置には、転写ローラ8が配設されている。この転写ローラ8は、感光ドラム71上に形成された現像剤像を用紙1に転写するための機構である。
【0025】
画像形成ユニット7と、転写ローラ8とは、印刷制御部110の制御により、同期して駆動される。レジストローラ対5の回転に伴い搬送される用紙1は、先ず、感光ドラム71及び転写ローラ8間に搬送される。その際、転写ローラ8には、印刷制御部110の制御により転写電圧が印加されるので、感光ドラム71の表面に形成された黒色の現像剤像は、用紙1の第1面(表面)に転写される。
黒色の現像剤像が転写された用紙1は、感光ドラム71及び転写ローラ8の回転に伴い、画像定着ユニット9方向へ搬送される。
【0026】
尚、感光ドラム71の表面に残留する転写残トナー(現像剤)は、例えば図示しないクリーニングブレードによって掻き取り除去され、図示しない廃トナー収容室に回収される。
【0027】
画像定着ユニット9は、用紙1上に転写された現像剤像を該用紙1に定着するための機構である。この画像定着ユニット9は、図2に示すように、加熱ローラ91と、該加熱ローラ91と圧接して配設される加圧ローラ92とから構成される。加熱ローラ91の内部には、図2に示すように、該ローラを加熱するためのヒータ911が配設されている。また、加熱ローラ91表面の近傍には、図2に示すように、該ローラの表面温度を検出するためのサーミスタ10が配設されている。サーミスタ10は、加熱ローラ91の表面の温度を検出する毎に、制御部101に表面温度検出信号を出力する。
制御部101による、ヒータ911を加熱するための該ヒータへの通電の制御については、後で詳細に説明を行う。
【0028】
現像剤像が転写された用紙1は、加熱ローラ91と、加圧ローラ92とに挟まれて加熱、加圧されながら搬送される。これにより、用紙1には、転写された現像剤像が定着される。その後、用紙1は、搬送経路Bに沿って後方に配された排出センサ11へ向けて搬送される。
【0029】
搬送経路Bの出口には、図2に示すように、排出センサ11が配設されている。この排出センサ11は、印刷制御部110が図示しない排出モータを制御して排出ローラ対12を正方向に回転、回転を停止、逆方向に回転させるタイミングを検知するために用いるセンサである。
そして、排出センサ11は、用紙1の先端を検知すると、制御部101を介して印刷制御部110へ排出検知信号の出力を開始する(排出センサON)。また、排出センサ11は、用紙1の後端が該センサを通過し終えると、上記信号の出力を停止する(排出センサOFF)。
【0030】
印刷制御部110は、上記排出検知信号を受けると、上記排出モータの駆動を制御し、排出ローラ対12を正方向に回転させる。従って、用紙1は、回転を開始した排出ローラ対12により、搬送経路Cに沿って排出口14へ搬送される。このとき、反転経路切替レバー13は、印刷制御部110の後述する制御に基づいて、図2に示す実線の定位置に位置する。
【0031】
そして、印刷制御部110は、両面印刷処理時において、用紙1の第1面に対する印刷処理終了後に上記排出検知信号を受け、ROM106に予め設定された所定時間が経過すると、上記排出モータの駆動を停止すべく制御する。排出モータが駆動を停止すると、排出ローラ対12は、回転を停止する。この時、用紙1は、該用紙の一部(先端)が排出口14から排出され、かつ排出ローラ対12に挟持された状態で停止する。
【0032】
そして、印刷制御部110は、排出ローラ対12の回転を停止させ、ROM106に予め設定された、例えば1秒に満たない短時間が経過すると、上記排出モータを制御して、排出ローラ対12を逆方向に回転させる。これにより、排出ローラ対12に挟持されて停止していた用紙1は、再び反転経路切替レバー13方向に搬送される。このとき、反転経路切替レバー13は、印刷制御部110の制御に基づき、図2に示すように、上方向(点線の位置)に回動している。
【0033】
反転経路切替レバー13は、両面印刷処理時において、第1面に対する印刷処理済みの用紙1を第2面(反対面)が上側になるよう反転させるべく、反転経路Dに搬送するための機構である。
この反転経路切替レバー13は、図示しないソレノイド等の動力源と接続されており、印刷制御部110の制御に基づいて回動可能である。
そして、反転経路切替レバー13は、用紙1が反転経路Dを沿って搬送される場合を除き、印刷制御部110の制御により、図2に示すような実線の位置(下方向に回動した状態を示す定位置)にある。これにより、加熱ローラ91及び加圧ローラ92の回転に基づき搬送される用紙1は、搬送経路C方向へ搬送される。
【0034】
一方、反転経路切替レバー13は、用紙1を反転経路Dに沿って搬送させる場合には、印刷制御部110の制御により、図2に示すように、点線で示す上方向に回動する。これにより、排出ローラ対12の逆回転によりスイッチバックして再び引き込まれた用紙1は、反転経路D方向へ搬送される。
この反転経路切替レバー13は、上方向に回転してから所定時間が経過すると、印刷制御部110の制御に基づき、下方向に回転して定位置に戻る。
【0035】
上記した反転経路切替レバー13と、図2に示す反転経路D、E、Fと、反転経路Eに沿って配設されている図示しない複数の搬送ローラ対とは、両面印刷時に用いられ、第1面(表面)側の印刷処理を終えた用紙1を、第2面(裏面)側が上側になるよう反転させるための機構である。上記複数の搬送ローラ対には、各ローラ対を回転させるための直流モータが接続されている。
【0036】
反転経路Dと反転経路Eとの接続部には、該反転経路Dから反転経路Eに向けて搬送される用紙1を検知するための図示しない反転入口センサが配設されている。この反転入口センサは、用紙1の先端を検知すると、制御部101を介して印刷制御部110へ反転入口検知信号を出力する(反転入口センサON)。そして、反転入口センサは、用紙1の後端が該センサを通過後に、上記信号の出力を終了する(反転入口センサOFF)。
【0037】
印刷制御部110は、上記反転入口検知信号を受けると、上記直流モータを制御して反転経路Eに沿って配設される各搬送ローラ対を回転させる。従って、用紙1は、先ず、回転を開始した各搬送ローラ対により、反転経路Eに沿って後方に配設された図示しない反転給紙センサ方向へ搬送される。
【0038】
上記反転給紙センサは、反転経路Eに沿って用紙1が給紙(搬送)されていることを検知するために用いるセンサである。この反転給紙センサは、用紙1の先端を検知すると、制御部101を介して印刷制御部110へ反転給紙検知信号の出力を開始する(反転給紙センサON)。この反転給紙センサは、用紙1の後端が該センサを通過し終えると、上記信号の出力を終了する(反転給紙センサOFF)。
【0039】
反転給紙センサを通過した用紙1は、上記各搬送ローラ対の回転により、反転経路F方向へ向けて搬送される。その後、反転経路Fに沿って搬送される用紙1は、レジストローラ対5を経て、再び搬送経路B方向に搬送される。
【0040】
搬送経路B方向に搬送され、再び上記入口センサに先端を検知された用紙1は、第2面が上側、つまり、既に印刷済みの第1面が下側になっている。その後、第2面が上側の用紙1が画像形成ユニット7及び画像定着ユニット9を通過することで、該用紙1の第2面は、上記第1面と同様に印刷処理される。これにより、用紙1の第2面には、画像メモリ105に記憶された画像データ(2ページ目)に基づき形成された現像剤像が加熱定着される。第2面側の印刷処理が終了した用紙1は、定位置になる反転経路切替レバー13を通過し、排出センサ11方向に搬送される。
【0041】
排出センサ11が搬送経路C方向に搬送された両面印刷済みの用紙1の先端を検知すると(排出センサON)、印刷制御部110は、上記排出モータを制御して排出ローラ対12を正方向に回転させる。従って、両面印刷済みの用紙1は、回転を開始した排出ローラ対12により、搬送経路Cに沿って排出口14へ向けて搬送される。
【0042】
排出口14へ向けて搬送された上記用紙1は、排出ローラ対12の正方向への回転に基づき、排出口14から排出される。ここで、印刷制御部110は、ROM106に予め設定した所定時間(用紙1の後端が排出ローラ対12を通過し終えるまでにかかる時間)が経過すると、排出モータを制御して排出ローラ対12の回転を停止させる。その後、上記用紙1は、排出口14から装置外に排出されて排出スタッカ15上に積載される。
画像形成装置100は、画像メモリ105に3ページ目以降の画像データが記憶されている場合には、第2面が上側の用紙1を排出し終える前に、該用紙に対する画像形成処理に引き続き、第1面が上側の次の用紙1に対する画像形成処理を行う。
その後、画像形成装置100は、画像メモリ105に記憶されている画像データの各ページに基づいて、順次両面印刷処理を行う。
そして、画像形成装置100は、最後のページの画像データに基づく印刷処理を終えると、印刷ジョブ待機状態に移行する。
【0043】
画像形成装置100の装置本体には、図2に示すように、温度センサ16が配設されている。この温度センサ16は、画像形成装置100が配設される環境を示すバロメータとしての「気温」を検出するために用いられる。ここで、「気温」とは、画像形成装置100の近傍の外気温(装置外部周囲温度)である。
温度センサ16は、後述する制御部101を介した設置環境情報取得部1093(図5参照)からの指示を受けると、現在の気温を検出し、該検出結果を示す気温信号を制御部101に出力する。
制御部101は、上記気温信号を受けると、該信号を気温情報としてRAM107に記憶する。
【0044】
図3は、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の制御構成を示すブロック図である。
以下に、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の特徴となる制御構成について説明する。
画像形成装置100は、該装置が有する上記各部を制御するための構成として、図3に示すように、装置全体を制御する制御部101と、図示しないネットワークを介して接続されている図示しない上位装置と通信を行うためのI/F(Inter Face)部102と、入力表示部103と、画像読取部104と、画像メモリ105と、ROM(Read Only Memory)106と、RAM(Random Access Memory)107と、装置各部を駆動するための電源電圧を供給するための電源部108と、通電制御データ生成部109と、印刷制御部110とを備える。
【0045】
画像形成装置100の装置本体に配設された図示しない電源スイッチがユーザの操作によりONにされると、制御部101は、印刷制御部110に初期駆動を指示すると共に、加熱ローラ91内に配設されたヒータ911へ電源部108からの電源電圧を供給(通電)する。
印刷制御部110は、上記初期駆動の指示を受けると、プリンタエンジンを構成する上記各部位を初期駆動させるべく、上記各モータへ電源部108からの電源電圧を供給する。
【0046】
プリンタエンジンを構成する各部位は、印刷制御部110による各部位に接続された各モータの駆動制御に基づき、初期動作を行う。この時、いずれかの部位において初期動作が正常に行われないと、制御部101に当該エラーを示す信号が送信される。
【0047】
ヒータ911は、制御部101の制御に基づき、電源部108からの電源電圧が供給(通電)されると、発熱する。これにより、発熱したヒータ911が内部に配設された加熱ローラ91の表面は、加熱される。
【0048】
加熱ローラ91の表面の近傍に配設されたサーミスタ10は、上記電源スイッチがONにされると共に、加熱ローラ91の表面の温度を検出し、該検出した温度(表面温度)を示す表面温度検出信号を随時制御部101に送信する。
【0049】
制御部101は、上記信号の受信を開始すると、該信号が示す表面温度が、ROM106に予め設定された後述するジョブ待機温度(図1中の温度T4、印刷ジョブ待ち中における加熱ローラ91の表面の標準となる温度)になるよう、ヒータ911に対し、電源部108からの電源電圧を供給(通電)する。
【0050】
そして、制御部101は、上記表面温度がジョブ待機温度T4になったことを検知すると、加熱ローラ91の表面温度を該T4の温度に保つべく、ヒータ911へ通電を行い(通電ON)、そして通電を停止する(通電OFF)制御を繰り返す、即ちDuty制御を行う。これにより、印刷ジョブ待機中において、加熱ローラ91の表面の温度は、ジョブ待機温度T4に保たれる。
【0051】
次に、ユーザが画像形成装置100に原稿を複写させるべく、該装置を操作した場合の制御構成について説明する。
【0052】
入力表示部103は、ユーザへの各種通知情報を表示する表示機能及びユーザからの各種指示を受け付けるための入力機能を有するタッチパネルディスプレイと、0〜9までの各数字に対応するボタン群と、スタートボタンと、キャンセルボタン等とから構成される。
【0053】
画像読取部104は、画像形成装置100の図示しない原稿台又は手差しトレイに載置された原稿を光学的に読み取って、該原稿に基づく画像データを生成する部分である。
この、画像読取部104は、例えば光学縮小方式に基づく読み取り構成を有し、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサと、レンズと、光源と、ミラーとを有する。そして、画像読取部104は、光源から原稿に光を照射し、反射した光を更にミラーに反射させ、レンズを通してCCDイメージセンサで受光する。次に、画像読取部104は、光の受光量をアナログーデジタル変換及びRGB(Red−Green−Blue)変換させ、画像データを生成する。ここで、光学縮小方式を用いた画像データの生成については周知であるため、詳細な説明を割愛する。
画像読取部104で生成された画像データは、制御部101の制御に基づき、画像メモリ105に記憶される。この画像データには、ユーザが上記各種ボタンを操作して入力設定した「両面印刷、又は片面印刷」、「用紙サイズ」等の印刷指示情報が付与されている。
【0054】
次に、画像形成装置100が上記ネットワークを介して上記上位装置から印刷データを受信した場合の制御構成について説明を行う。
【0055】
上位装置は、画像形成装置100へ送信する印刷データ(印刷ジョブ)を生成するための装置である。
即ち、上位装置は、画像形成装置100を操作可能にするためのプリンタドライバを該装置が有する図示しないメモリに格納する。このプリンタドライバは、後述する文書データを画像形成装置100が処理可能な「印刷データ」に変換する。
そして、上位装置は、「文字」や「図形」を含む文書データを生成するためのアプリケーションソフトを上記メモリに格納する。
また、上位装置は、ディスプレイから成る表示部と、キーボード及びマウスから成る入力部とを備える。
【0056】
上位装置を操作するユーザが上記入力部を操作して上記アプリケーションソフトを起動させ、上記表示部に表示された上記ソフトの予め設定されたフォーム上に「文字」を入力し、「図形」を描く等して文書を作成すると、該装置は、文書データを生成する。
【0057】
そして、上位装置は、上記文書データを生成後、上記ユーザが上記入力部を介して上記フォーム上に表示された「プリンタ」ボタンを押下すると、上記プリンタドライバを用いて上記文書データに基づく「印刷データ」を生成する。
上位装置は、上記「印刷データ」を生成すると、該生成した「印刷データ」をネットワークを介して画像形成装置100へ送信する。ここで、上記「印刷データ」には、「両面印刷、又は片面印刷」、「用紙サイズ」等を示す印刷指示情報が付与されている。
【0058】
画像形成装置100は、I/F部102を介して上位装置から印刷データを受信すると、制御部101の制御に基づき装置本体が有するラスタライズ変換部を用いて印刷処理可能な画像データに変換する。ここで、画像データには、上記印刷データに付与された印刷指示情報がそのまま付与される。
上記生成された画像データは、制御部101の制御に基づき、画像メモリ105に記憶される。
制御部101は、画像メモリ105に画像データを記憶すると、印刷制御部110に印刷処理の開始を指示する。
【0059】
印刷制御部110は、印刷処理の開始の指示を受けると、上記プリンタエンジンの各部を制御して、給紙カセット2から各用紙1を順次給紙して、印刷処理を行う。
以下に、両面印刷処理時における制御部101によるヒータ911への通電制御について、詳細に説明を行う。
【0060】
用紙厚検出センサ4は、各画像データに基づく印刷処理時において、制御部101により、1枚目の用紙1(第1面が上側)を給紙した際に、該用紙の厚さを検出すべく制御される。
即ち、用紙厚検出センサ4は、給紙ローラ3により1枚目の用紙1(第1面が上側)が給紙される場合にのみ、制御部101の制御に基づいて電源部108からの電源電圧が供給(通電)され、駆動する。
通電された用紙厚検出センサ4は、1枚目の用紙1(第1面が上側)が該センサを通過すると共に、該用紙の厚さを検出し、該検出結果を示す用紙厚情報を制御部101へ出力する。
【0061】
制御部101は、上記用紙厚情報を受けると、該情報をRAM107に記憶する。そして、制御部101は、上記情報を記憶すると、通電制御データ生成部109に通電制御データの生成を指示する。
【0062】
図4は、本発明に係る実施例1のROM106の構成を示す図である。
先ず、以下に、通電制御データ生成部109が通電制御データを生成する際に用いる、ROM106に記憶された各種情報について説明する。
ROM106は、図4に示すように、装置情報記憶領域1061と、表面温度規定値情報記憶領域1062と、定着温度判定情報記憶領域1063と、余熱定着時間判定情報記憶領域1064と、非定着処理時間判定情報記憶領域1065等の各記憶領域から構成されている。このROM106は、上記各記憶領域だけでなく、画像形成装置100を制御するための各種プログラムなどを記憶するための多数の記憶領域を有する。
【0063】
装置情報記憶領域1061は、画像形成装置100が使用する電圧値を示す使用電圧値情報と、該装置の印刷速度を示す印刷速度情報などの装置の各種仕様情報を記憶する領域である。
【0064】
表面温度規定値情報記憶領域1062は、制御部101がヒータ911への通電の制御に用いる、予め設定された加熱ローラ91の表面温度の各種規定値の情報を記憶する領域である。
上記各種規定値として、上記したジョブ待機温度T4(図1参照)と、後述するヒータ下降閾値温度T3(図1参照)とが記憶されている。
ここで、ヒータ下降閾値温度T3は、ジョブ待機温度T4よりも高い温度である。
【0065】
図6は、本発明に係る実施例1の定着温度判定グラフの一例を示す図である。
定着温度判定情報記憶領域1063は、後述する「第1定着温度T1」及び「第2定着温度T2」(図1参照)を判定するための定着温度判定情報を記憶する領域である。
この定着温度判定情報として、実験データにより予め設定された、各用紙のサイズ及び連量、各気温に基づいて、図6に示すような、「第1定着温度T1」及び「第2定着温度T2」を判定するための「定着温度判定グラフ」が記憶されている。
図6では、A4サイズの用紙の目標定着温度(第1定着温度T1及び第2定着温度T2)を例示している。尚、A5サイズの用紙の目標定着温度は、A4サイズの用紙の上記目標定着温度と同じである。
ここで、第1定着温度T1と、第2定着温度T2とは、下記式(1)及び(2)に基づき各々算出される。

第1定着温度T1=((定着基準温度−(気温−基準環境温度)×a))×b・・(式1)

第2定着温度T2=(定着基準温度−(気温−基準環境温度)×a)・・・・・(式2)

上記定着基準温度とは、画像形成装置100の定着処理に適した基準となる定着温度であり、実験結果などに基づき設定されている。この定着基準温度は、後述する各サイズの用紙のパラメータ表(図9参照)内に予め設定された温度であり、用紙の連量毎に値が異なる。
また、上記基準環境温度とは、画像形成装置100を動作させるのに適した基準となる気温であり、実験結果などに基づき設定されている。
更に、上記a、bは、環境温度係数であり、予め実験で求めた各パラメータに対する温度勾配から求められる。
環境温度係数aは、気温により定着器(加熱ローラ91)が受ける温度を補正するパラメータであり、例えばa=0.01とし気温変化の1%が引かれることで、気温が高ければ媒体(用紙1)や現像剤(トナー)の定着前温度が気温と同様高めなので、定着温度を下げることが行われている。
第1定着温度T1は、加熱時の温度のオーバーシュートを抑えるために例えば環境温度係数b=0.9とし第2定着温度T2の90%低い値にする。
予めこれらの式(1)及び(2)を、装置で使用可能な媒体の種類分だけ記憶しておく。
上記グラフ中の各定着温度は、例えば気温0度〜40度までの場合の定着温度であり、気温が該範囲以外であると、図示しない他の低温環境における定着温度判定グラフ、又は高温環境における定着温度判定グラフを用いて各定着温度を判定する。
【0066】
図7は、本発明に係る実施例1の余熱定着時間判定グラフを示す図である。
余熱定着時間判定情報記憶領域1064は、後述する「余熱定着時間t1」(図1参照)を判定するための余熱定着時間判定情報を記憶する領域である。
この余熱定着時間判定情報として、実験データにより予め設定された、各用紙のサイズ及び連量に基づいて、図7に示すような、「余熱定着時間t1」を判定するための「余熱定着時間判定グラフ」が記憶されている。
上記グラフ中の余熱定着時間t1は、用紙1への定着処理中において、ヒータ911への通電を遮断してから加熱ローラ91の表面の余熱により定着処理可能な時間である。
通常、余熱で定着可能な時間は、加熱ローラの直径をR、画像形成装置の印刷速度をV、円周率をπとした場合、該ローラが一周する時間に等しくなる(t1=R×π/V)。
しかしながら、通常、用紙サイズが大きく、かつ連量が大きくなるに連れて、該用紙の吸熱量が増大するので、ヒータへの通電時間を長くする必要がある。
これに鑑み、余熱定着時間t1は、図7に示すように、用紙1のサイズが大きく、かつ連量が大きくなるに連れて、短くなる。(反比例関係)。
図7では、A5サイズの用紙の方が、A4サイズの用紙と比べ、サイズが小さく、かつ定着処理時において当該用紙と接触していない加熱ローラ91の表面の面積部分が大きいため、余熱定着時間t1が長くとれることを示している。
【0067】
非定着処理時間判定情報記憶領域1065は、印刷処理時において、用紙1が加熱ローラ91及び加圧ローラ92の圧接部を通過していない、即ち定着処理が行われていない時間(非定着処理時間)を判定するための非定着処理時間判定情報を記憶する領域である。
この非定着処理時間判定情報として、実験データにより予め設定された、用紙サイズに基づいて、各用紙の第1面の後端が上記圧接部を通過し終えてから、該各用紙の第2面の先端が該圧接部を通過し始めるまでに係る時間(第1非定着処理時間t3)、及び各用紙の第2面の後端が該圧接部通過し終えてから、次の用紙の第1面の先端が該圧接部を通過し始めるまでに係る時間(第2非定着処理時間t4)を判定するための、図示しない「非定着処理時間判定テーブル」が記憶されている。
【0068】
図1は、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の両面印刷処理時の動作と加熱ローラの表面温度の推移とを示すタイムチャートである。
通電制御データ生成部109は、用紙1のサイズ及び連量、装置使用環境(気温)に基づいて、制御部101が印刷処理時のヒータ911への通電の制御に用いる通電制御データを生成する部分である。
この通信制御データは、図1に示されている「第1定着温度T1」と、「第2定着温度T2」と、「ヒータ下降閾値温度T3」と、「ジョブ待機温度T4」と、「余熱定着時間t1」と、「ヒータ再加熱時間t2」と、「第1非定着処理時間t3」と、「第2非定着処理時間t4」とから構成される。
【0069】
図5は、本発明に係る実施例1の通電制御データ生成部109の構成を示す図である。
そして、通電制御データ生成部109は、図5に示すように、指定用紙サイズ取得部1091と、用紙連量算出部1092と、設置環境情報取得部1093と、装置使用電圧値取得部1094と、定着温度判定部1095と、余熱定着時間判定部1096と、非定着処理時間判定部1097と、ヒータ温度上昇勾配算出部1098と、ヒータ再加熱時間算出部1099とから構成される。
通電制御データ生成部109は、上記通電制御データの生成の指示を受けると、先ず、指定用紙サイズ取得部1091に指定用紙サイズの取得を指示する。
【0070】
指定用紙サイズ取得部1091は、指定用紙サイズの取得の指示を受けると、画像メモリ105に記憶された画像データに付与された印刷指示情報から「用紙サイズ」を取得する。
指定用紙サイズ取得部1091が「用紙サイズ」を取得すると、通電制御データ生成部109は、制御部101を介して該「用紙サイズ」を示す用紙サイズ情報をRAM107に記憶する。
上記用紙サイズ情報がRAM107に記憶されると、通電制御データ生成部109は、用紙連量算出部1092に用紙連量の算出を指示する。
【0071】
図9は、本発明に係る実施例1及び2における用紙のパラメータ表の一例を示す図である。
用紙連量算出部1092は、用紙厚検出センサ4で検出された「用紙1の厚さ」と、上記取得した「用紙サイズ」とに基づいて、用紙1の連量(平版というサイズの用紙1000枚当たりの重量―Kg)を算出する部分である。
即ち、用紙連量算出部1092は、上記用紙連量の算出の指示を受けると、RAM107に記憶されている「用紙厚情報」と「用紙サイズ情報」とに基づいて、連量を算出する。
以下に、連量の算出方法について、説明を行う。
先ず、ROM106の図示しない記憶領域には、図9に示すような、実験等により予め求められた用紙1の厚さ及び連量(及び定着基準温度)の対応表(用紙のパラメータ表)が記憶されている。この図9は、あるサイズの用紙のパラメータ表である。上記記憶領域には、各サイズ毎の用紙のパラメータ表が予め記憶されている。
そして、用紙連量算出部1092は、上記「用紙サイズ情報」に基づいて用いるパラメータ表を判定し、その後、上記「用紙厚情報」に基づき該判定した表を検索し、当該「連量」を算出する。
用紙連量算出部1092が「連量」を算出すると、通電制御データ生成部109は、制御部101を介して該「連量」を示す連量情報をRAM107に記憶する。
上記連量情報がRAM107に記憶されると、通電制御データ生成部109は、設置環境情報取得部1093に設置環境情報の取得を指示する。
【0072】
設置環境情報取得部1093は、上記設置環境情報の取得の指示を受けると、制御部101を介して温度センサ16を駆動させる(温度センサ16に対し、電源部108からの電源電圧を供給(通電)する)。これにより、温度センサ16は、画像形成装置100の設置環境として気温を検出し、該検出結果を気温情報として制御部101へ出力する。
制御部101は、気温情報を受けると、該気温情報を設置環境情報としてRAM107に記憶する。
上記設置環境情報がRAM107に記憶されると、通電制御データ生成部109は、装置使用電圧値取得部1094に装置使用電圧値の取得を指示する。
【0073】
装置使用電圧値取得部1094は、電源部108から供給される電源電圧の値を取得する部分である。
即ち、装置使用電圧値取得部1094は、上記使用電圧値の取得の指示を受けると、ROM106に予め記憶されている上記装置情報から、該情報に含まれる使用電圧値(電源電圧値)を取得する。
装置使用電圧値取得部1094が使用電圧値を取得すると、通電制御データ生成部109は、該電圧値を示す使用電圧値情報を制御部101を介してRAM107に記憶する。
上記使用電圧値情報がRAM107に記憶されると、通電制御データ生成部109は、定着温度判定部1095に定着温度の判定を指示する。
【0074】
定着温度判定部1095は、用紙1のサイズ及び連量、装置を使用する環境(気温)に基づいて、定着処理を行うために必要な加熱ローラ91の表面温度である、最低定着温度「第1定着温度T1」と、最高定着温度「第2定着温度T2」とを判定する部分である。
即ち、定着温度判定部1095は、上記定着温度の判定の指示を受けると、ROM106に記憶されている図6に示す「定着温度判定グラフ」から、RAM107に記憶されている用紙サイズ情報、連量情報、設置環境情報(気温)に基づいて、当該「第1定着温度T1」及び「第2定着温度T2」を判定する。
定着温度判定部1095が上記各定着温度を判定すると、通電制御データ生成部109は、これら各温度を制御部101を介してRAM107に記憶する。
そして、通電制御データ生成部109は、上記各定着温度を記憶すると、余熱定着時間判定部1096に余熱定着時間の判定を指示する。
【0075】
余熱定着時間判定部1096は、用紙1のサイズ及び連量とに基づいて、該加熱ローラ91への通電を遮断した後、該ローラの表面の余熱で定着処理が可能な時間(余熱定着時間t1)を判定する部分である。
即ち、余熱定着時間判定部1096は、上記余熱定着時間の判定の指示を受けると、ROM106に記憶されている図7に示す「余熱定着時間判定グラフ」から、RAM107に記憶されている用紙サイズ情報、連量情報に基づいて、当該「余熱定着時間t1」を判定する。
余熱定着時間判定部1096が「余熱定着時間t1」を判定すると、通電制御データ生成部109は、該時間を制御部101を介してRAM107に記憶する。
そして、通電制御データ生成部109は、「余熱定着時間t1」を記憶すると、非定着処理時間判定部1097に非定着処理時間の判定を指示する。
【0076】
非定着処理時間判定部1097は、両面印刷処理中における、定着処理を行っていない時間、即ち、各用紙1が加熱ローラ91及び加圧ローラ92の圧接部を通過していない時間(非定着処理時間)を算出する部分である。
即ち、非定着処理時間判定部1097は、上記非定着処理時間の判定の指示を受けると、RAM107に記憶された「用紙サイズ」に基づいて、先ず、上記圧接部を各用紙1の第1面の後端が通過し終えてから、該各用紙1の第2面の先端が到達するまでにかかる時間(第1非定着処理時間t3)を判定する。
次に、非定着処理時間判定部1097は、上記「用紙サイズ」に基づいて、上記圧接部を各用紙1の第2面の後端が通過し終えてから、次の用紙1の第1面の先端が到達するまでにかかる時間(第2非定着定着時間t4)を判定する。
そして、非定着処理時間判定部1097が「第1非定着処理時間t3」と、「第2非定着処理時間t4」とを判定すると、通電制御データ生成部109は、判定した各時間を制御部101を介してRAM107に記憶する。
【0077】
通電制御データ生成部109は、上記各情報が記憶されると、RAM107に記憶された該各情報に基づいて、上記した通電制御データを生成する。
そして、通電制御データ生成部109は、生成した通電制御データを制御部101を介してRAM107に記憶する。
【0078】
制御部101は、通電制御データがRAM107に記憶されると、該データに基づいてヒータ911への通電制御を開始する。
ここで、制御部101は、該制御部が有する図示しないカウンタを用いて、ヒータ911の表面温度がジョブ待機温度T4から第1定着温度T1になるまでに係る時間を計測する。そして、制御部101は、上記計測した値を、ヒータ加熱時間情報としてRAM107に記憶する。
そして、制御部101は、上記ヒータ加熱時間情報を記憶すると、通電制御データ生成部109に追加情報の生成を指示する。
【0079】
通電制御データ生成部109は、上記追加情報の生成の指示を受けると、ヒータ温度上昇勾配算出部1098にヒータ温度上昇勾配の算出を指示する。
【0080】
ヒータ温度上昇勾配算出部1098は、加熱ローラ91の表面温度がジョブ待機温度T4から上記判定した第1定着温度T1に上昇するまでの上昇温度差ΔT1と、該上昇に係るヒータ911への加熱時間(加熱時間情報)とに基づいて、該ヒータの加熱による上昇温度の勾配(ヒータ温度上昇勾配W[℃/秒])を算出する部分である。
即ち、ヒータ温度上昇勾配算出部1098は、ヒータ温度上昇勾配の算出の指示を受けると、先ず、図1に示す「上昇温度差ΔT1」を算出する。
上記「上昇温度差ΔT1」は、第1定着温度T1からジョブ待機温度T4を引いた差分として求められる(ΔT1=T1−T4)。
【0081】
次に、ヒータ温度上昇勾配算出部1098は、RAM107に記憶された加熱時間情報(通電時間)に基づいて、ヒータ911の加熱による上昇温度の勾配(ヒータ温度上昇勾配)Wを算出する(W=ΔT1/加熱時間)。
ヒータ温度上昇勾配算出部1098がヒータ温度上昇勾配Wを算出すると、通電制御データ生成部109は、該算出値をヒータ温度上昇勾配情報として制御部101を介してRAM107に記憶する。
そして、通電制御データ生成部109は、ヒータ温度上昇勾配Wを記憶すると、ヒータ再加熱時間算出部1099にヒータ再加熱時間の算出を指示する。
【0082】
ヒータ再加熱時間算出部1099は、上記ヒータ911への通電を遮断後、次に各用紙1の第2面を定着処理すべく該ヒータへの通電を再開してから該ローラの表面温度を第1定着温度T1にするまでにかかる時間(ヒータ再加熱時間t2)を算出する部分である。
即ち、ヒータ再加熱時間算出部1099は、上記ヒータ再加熱時間の算出の指示を受けると、先ず、図1に示す「下降温度差ΔT2」を算出する。
上記「下降温度差ΔT2」は、第1定着温度T1からヒータ下降閾値温度T3を引いた差分として求められる(ΔT2=T1−T3)。
【0083】
図8は、本発明に係る実施例1の加熱ローラ表面下降温度差とヒータ再加熱時間との関係を示す図である。
ここで、図8を用いて、加熱ローラ91の表面温度の下降温度差ΔT2と、ヒータ911の再加熱に係る時間(ヒータ再加熱時間t2)との関係について説明する。
通常、ヒータを加熱するための使用電圧値が小さくなれば、該ヒータを加熱する時間を長くする必要がある。また、上記使用電圧値が大きくなれば、上記加熱時間は短くて済む。
更に、通常、加熱ローラの表面温度の下降が大きくなればなるほど、再び該ローラの表面温度を定着可能な温度にするまでに係る時間(ヒータ再加熱時間)は長くなる。
これに鑑み、ヒータ再加熱時間t2は、図8に示すように、下降温度差ΔT2が大きくなるに連れて、長くなる。
【0084】
次に、ヒータ再加熱時間算出部1099は、RAM107に記憶された上記ヒータ温度上昇勾配情報(ヒータ温度上昇勾配W)に基づいて、当該下降温度差ΔT2に該当するヒータ再加熱時間t2を算出する。
ヒータ再加熱時間算出部1099がヒータ再加熱時間t2を算出すると、通電制御データ生成部109は、該算出した時間t2を制御部101を介してRAM107に記憶する。
通電制御データ生成部109は、ヒータ再加熱時間t2が記憶されると、上記生成した通電制御データに該時間t2を追加する。
【0085】
制御部101は、通電制御データに上記ヒータ再加熱時間t2を追加すると、該データに基づいて引き続きヒータ911への通電制御を行う。
【0086】
<実施例1の動作>
次に、制御部101によるヒータ911への通電制御動作について、図1を用いて詳細に説明を行う。
図1は、画像形成装置100の両面印刷処理時において、先ず第1面が上側の1枚目の用紙1、第2面が上側の1枚目の用紙1、第1面が上側の2枚目の用紙1、第2面が上側の2枚目の用紙1が、順次加熱ローラ91及び加圧ローラ92の圧接部を通過して搬送される場合のタイムチャートを示している。
【0087】
図1に示す「定着用紙有無信号」は、上記圧接部を用紙1が通過しているか(用紙1に対して定着処理が行われている)否か示す信号である。本実施例では、画像形成装置100が上記信号を出力する構成を有していないが、書き出しセンサ6からの用紙1の先端と後端の通過を検出する信号と、用紙1の用紙サイズと、印刷速度とに基づいて容易に推定される信号である。そのため、画像形成装置100における各用紙1の上記圧接部の通過タイミングを示すために、図1中に信号として示している。
【0088】
「ヒータON/OFF信号」は、ヒータ911への通電が行われているか(ON)、又は通電が遮断されているか(OFF)を示す信号である。この信号は、ヒータ911へ電源部108からの電源電圧の供給が有るか無しかに基づいている。
【0089】
「排出センサON/OFF信号」は、排出センサ11を用紙1が通過しているか否かを示す信号である。この信号は、排出センサ11から出力される検出信号である。
従来の装置では、排出センサ11が各用紙1(第1面が上側)の先端を検知し、その後、該用紙の後端を検知すると、予め設定された所定時間経過後にヒータ911への通電を遮断していた。
そして、従来の装置では、各用紙1(第2面が上側)と次の用紙1(第1面が上側)を搬送する間は、両用紙の搬送間隔が短いため、ヒータ911への通電を遮断することができなかった。
従って、本実施例の画像形成装置100と、従来の装置との差異を分かり易くするために、図1中に上記信号の波形を示す。
【0090】
「第1定着温度T1」、「第2定着温度T2」、「ヒータ下降閾値温度T3」、「ジョブ待機温度T4」は、上記説明した、加熱ローラ91の表面温度を制御するために予め設定された各所定温度である。
加熱ローラ91の表面温度は、両面印刷処理時において、図1に示すように、T1〜T4の温度を推移する。この表面温度は、加熱ローラ91の表面に近接して配設されているサーミスタ10から出力される出力信号(温度)に基づいている。ここで、図1中のA点は、画像形成装置100の図示しない電源スイッチがONにされて、該装置が起動したタイミングを示している。
【0091】
先ず、制御部101は、1枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が上記圧接部に到達した時点に、ヒータ911の表面温度をジョブ待機温度T4から第1定着温度T1にさせるべく、サーミスタ10からの出力信号に基づいて、電源部108からの電源電圧を該ヒータへ供給(通電)する(図1中のH点〜B点)。
ここで、制御部101は、書き出しセンサ6からの1枚目の用紙1(第1面が上側)の先端の検出を示す信号に基づいて、該用紙1の先端が上記圧接部へ到達するタイミング(図1中の定着用紙有無信号(B点))を判定し、通電制御を行う。
このとき、制御部101は、該制御部が有するカウンタを用いて、加熱ローラ91の表面温度がジョブ待機温度T4から第1定着温度T1になるまでにかかる加熱時間を計測する。
その後、制御部101の指示に基づいて、通電制御データ生成部109は、図1に示す上昇温度差ΔT1(=T1−T4)と、上記加熱時間とに基づいて上記ヒータ温度上昇勾配Wを算出する。
そして、通電制御データ生成部109は、図1に示す下降温度差ΔT2(=T1−T3)と、上記ヒータ温度上昇勾配Wとから、ヒータ再加熱時間t2を算出する。
【0092】
次に、制御部101は、加熱ローラ91の表面温度が第1定着温度T1になると、該表面温度を図1に示すような第2定着温度T2にすべく、ヒータ911への通電において、Duty比を変化させながら、通電ONにし、その後通電をOFFにする制御を繰り返す、Duty制御を行う(図1中のC点)。
そして、制御部101は、加熱ローラ91の表面温度が第2定着温度T2になると、所定時間の間、上記Duty制御を行って該表面温度を第2定着温度T2の温度に保つ。制御部101は、上記所定時間が経過すると、ヒータ911への通電を遮断する(図1中のD点)。
このヒータ911への通電遮断は、図1に示すように、用紙1(第1面が上側)の後端が上記圧接部に到達時間から、上記余熱定着時間t1早いタイミングで行う。
ヒータ911への通電が遮断されると、図1に示すように、加熱ローラ91の表面温度は、第1定着温度T1へと徐々に下降していく(図1中のD点〜E点)。
【0093】
上記状況において、現像剤像が形成された用紙1の第1面において、該用紙の先端(図1中のB点)から半ば(図1中のD点)までは、ヒータ911からの発熱に基づき加熱された加熱ローラ91の表面温度により加熱定着処理される。
そして、用紙1の半ば(図1中のD点)から後端(図1中のE点)までは、加熱ローラ91の表面の余熱により加熱定着処理される。
その後、1枚目の用紙1(第1面が上側)は、該用紙の後端が上記圧接部を通過し終え、反転機構に搬送されて上下面が逆(第2面が上側)になる。ここで、図1中のF点は、排出モータの駆動を一旦停止させ、該モータを逆回転させるべく駆動を開始するタイミングを示している。
制御部101は、上記反転された1枚目の用紙1(第2面が上側)に対する印刷処理を開始する。
【0094】
そして、制御部101は、加熱ローラ91の表面温度がヒータ下降閾値温度T3になると(図1中のG点)、再びヒータ911を第1定着温度T1にすべく、該ヒータへ電源部108からの電源電圧を供給する(ヒータON)。
その後、制御部101は、図1に示すように、1枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が上記圧接部に到達する時点で、加熱ローラ91の表面温度が第1定着温度T1になるよう通電制御を行う(図1中のI点)。
ここで、制御部101によるヒータ911への通電制御の開始は、図1に示すように、1枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が上記圧接部に到達する時間に対し、上記算出したヒータ再加熱時間t2前のタイミングで行う。
また、図1に示すように、上記圧接部を1枚目の用紙1(第1面が上側)の後端が通過し、その後、1枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が通過するまでに係る時間は、上記した第1非定着処理時間t3である。
【0095】
制御部101は、加熱ローラ91の表面温度が第2定着温度T2になると、ヒータ911への電源部108からの電源電圧の供給(通電)を遮断する(図1中のJ点)。
これにより、1枚目の用紙1(第2面が上側)は、1枚目の用紙1(第1面が上側)と同様に、上記圧接部を通過すると、加熱ローラの表面の熱(余熱も含む)によって、該用紙上に形成された現像剤像が加熱定着される(図1中のJ点〜K点)。
【0096】
このとき、ヒータ911への通電が遮断されたため、図1に示すように、加熱ローラ91の表面温度は、第1定着温度T1へと徐々に下降していく(図1中のJ点〜K点)。
制御部101は、上記圧接部を1枚目の用紙1(第2面が上側)の後端が通過してから、2枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が到達するまでに係る時間(第2非定着処理時間t4)に基づいて、該先端の到達時間から予め設定された所定時間分前に、再びヒータ911へ電源部108からの電源電圧を供給(通電)する(図1中のL点)。
ここで、制御部101は、上記圧接部に2枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が到達する時点(図1中のM点)において、加熱ローラ91の表面温度を第1定着温度T1にすべく、ヒータ911への通電を制御する。
【0097】
その後、制御部101は、2枚目の用紙1(第1面が上側)が上記圧接部を通過時において、1枚目の用紙1(第1面が上側)が上記圧接部を通過時と同様のヒータ911への通電制御を行う。
そして、制御部101は、2枚目の用紙1(第1面が上側)の後端が上記圧接部を通過し終え、2枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が該圧接部に到達するまでの間、1枚目の用紙1(第1面が上側)の後端が該圧接部を通過し終え、1枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が該圧接部に到達するまでの間と同様のヒータ911への通電制御を行う。
【0098】
また、制御部101は、2枚目の用紙1(第2面が上側)の後端が上記圧接部を通過し終え、3枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が該圧接部に到達するまでの間、1枚目の用紙1(第2面が上側)の後端が該圧接部を通過し終え、2枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が該圧接部に到達するまでの間と同様のヒータ911への通電制御を行う。
制御部101は、3枚目以降の用紙1(第1面、第2面が上側)に対し、ヒータ911へ同様の通電制御を行う。
【0099】
一方、制御部101は、2枚目の用紙1(第2面が上側)の後端が上記圧接部を通過し終え、書き出しセンサ6などから次(3枚目)の用紙1の給紙を検知する信号を受信していない場合には、ヒータ911への通電を遮断する。
同様に、制御部101は、搬送中の用紙1(第2面が上側)の後端が上記圧接部を通過し終え、次の用紙1の給紙を検知する信号を受信しないと、ヒータ911への通電を遮断する。
そして、制御部101は、画像データに基づく印刷処理を終えると、加熱ローラ91の表面温度をジョブ待機温度T4にすべく、上記した通電制御を行う。
【0100】
<実施例1の効果>
本実施例1の画像形成装置100では、両面印刷処理時において、第1面が上側の各用紙1の後端が加熱ローラ91及び加圧ローラ92の圧接部を通過し終える前に、該加熱ローラ91内部のヒータ911への通電を遮断し、該用紙の一部分に対する定着処理を該ローラの表面の余熱を用いて行うので、該ヒータへの通電時間を短縮することができ、これにより低消費電力で駆動することが可能となる。
また、画像形成装置100では、第2面が上側の各用紙1の後端が上記圧接部を通過し終える前に、ヒータ911への通電を遮断し、同様に該用紙の一部分に対する定着処理を該ローラの表面の余熱を用いて行うので、更に該ヒータへの通電時間を短縮することができ、これにより更に低消費電力で駆動することが可能となる。
【実施例2】
【0101】
<実施例2の構成>
本発明の実施例2の画像形成装置100aは、実施例1の画像形成装置100に対し、印刷処理前に、各画像データの各ページの画像に基づいて各用紙1上に各現像剤像を形成した場合における現像剤像の後端から該用紙の後端までの余白部分(定着不要領域)を判定し、該領域に定着処理を行わないことで、更にヒータ911への通電時間を短縮し、かつ省電力で駆動させる構成に変更したものである。
尚、本実施例において、実施例1の同一の構成については、同一の符号で示し、これらについての詳しい説明を省略する。
【0102】
図11は、本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの制御構成を示すブロック図である。
先ず、実施例2の画像形成装置100aの印刷処理動作に用いる構成について、図11を用いて説明する。
画像形成装置100aは、該装置が有する上記各部を制御するための構成として、図11に示すように、装置全体を制御する制御部101aと、I/F部102と、入力表示部103と、画像読取部104と、画像メモリ105と、ROM106aと、RAM107と、電源部108と、通電制御データ生成部109aと、印刷制御部110とを備える。
【0103】
図12は、本発明に係る実施例2のROM106aの構成を示す図である。
以下に、通電制御データ生成部109aが第2通電制御データを生成する際に用いる、ROM106aに記憶された各種情報について説明する。
ROM106aは、図12に示すように、装置情報記憶領域1061と、表面温度規定値情報記憶領域1062aと、定着温度判定情報記憶領域1063と、余熱定着時間判定情報記憶領域1064と、非定着処理時間判定情報記憶領域1065とを含む各記憶領域から構成されている。このROM106aは、上記各記憶領域だけでなく、画像形成装置100aを制御するための各種プログラムなどを記憶するための多数の記憶領域を有する。
【0104】
表面温度規定値情報記憶領域1062aは、制御部101aがヒータ911への通電の制御に用いる、予め設定された加熱ローラ91の表面温度の各種規定値の情報を記憶する領域である。
上記各種規定値として、ジョブ待機温度T4(図10参照)と、後述する第2ヒータ下降閾値温度T5(図10参照)とが記憶されている。
ここで、第2ヒータ下降閾値温度T5は、ジョブ待機温度T4よりも低い温度である。
実施例2のROM106aの他の構成は、実施例1のROM106の構成と同じである。
【0105】
図10は、本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの両面印刷処理時の動作と加熱ローラの表面温度の推移とを示すタイムチャートである。
通電制御データ生成部109aは、用紙1のサイズ及び連量、装置使用環境(気温)に基づいて、制御部101aが印刷処理時のヒータ911への通電の制御に用いる第2通電制御データを生成する部分である。
この第2通電制御データは、図10に示されている「第1定着温度T1」と、「第2定着温度T2」と、「ジョブ待機温度T4」と、「第2ヒータ下降閾値温度T5」と、「余熱定着時間t1」と、「第1非定着処理時間t3」と、「第2非定着処理時間t4」と、後述する各用紙1の各面毎の「用紙後端余白領域通過時間(t5、t7)」と、「第2ヒータ再加熱時間t6」とから構成される。
本実施例では、上記用紙後端余白領域通過時間として、図10に示すように、1ページ目の用紙1の第1面及び第2面における当該時間t5及びt7を例示する。
【0106】
図13は、本発明に係る実施例2の通電制御データ生成部109aの構成を示す図である。
通電制御データ生成部109aは、図13に示すように、指定用紙サイズ取得部1091と、用紙連量算出部1092と、設置環境情報取得部1093と、装置使用電圧値取得部1094と、定着温度判定部1095と、余熱定着時間判定部1096と、非定着処理時間判定部1097と、ヒータ温度上昇勾配算出部1098と、ヒータ再加熱時間算出部1099aと、用紙後端余白領域通過時間算出部1100とから構成される。
【0107】
通電制御データ生成部109aは、制御部101aから通電制御データの生成の指示を受けると、先ず、用紙後端余白領域通過時間算出部1100に用紙後端余白領域通過時間の算出を指示する。
【0108】
用紙後端余白領域通過時間算出部1100は、画像データの各ページの画像に基づいて、各画像に対応する各現像剤像を各用紙1上に形成した場合、該現像剤像の後端から該用紙の後端までの余白部分(定着処理が不要な領域)の移動に係る時間(用紙後端余白領域通過時間)を算出する部分である。
即ち、用紙後端余白領域通過時間算出部1100は、用紙後端余白領域通過時間の算出の指示を受けると、先ず、画像メモリ105に記憶された画像データの各ページに含まれる画像の後端の余白領域を判定する。
ここで、用紙後端余白領域通過時間算出部1100は、上記用紙後端の余白領域を判定すべく、例えば、用紙の左上を原点として、画像データの原点を重ね合わせたとき、該用紙の最下流側から画像データが有るかを判別する。そして、用紙後端余白領域通過時間算出部1100は、用紙走行方向最下流にある画像データ位置を画像データの後端と判断し、画像データ後端から媒体走行方向下流側に位置する用紙後端までを余白領域として判定する。
また、画像データは、該データ生成時において、ユーザから指示された用紙サイズに対応する寸法情報が付与されている。
【0109】
次に、用紙後端余白領域通過時間算出部1100は、上記判定した余白領域の移動方向の長さと、ROM106aの装置情報記憶領域1061に予め設定された装置情報に含まれる印刷速度とに基づいて、該領域の移動に係る時間(用紙後端余白領域通過時間)を算出する。
ここで、用紙後端余白領域通過時間算出部1100は、画像データに含まれる全ページの各用紙後端余白領域通過時間を算出する。
用紙後端余白領域通過時間算出部1100が全ページの各用紙後端余白領域通過時間を算出すると、通電制御データ生成部109aは、該算出値を用紙後端余白領域通過時間情報として制御部101aを介してRAM107に記憶する。
そして、通電制御データ生成部109aは、用紙後端余白領域通過時間情報(例えば図10中のt5、t7)を記憶すると、指定用紙サイズ取得部1091に指定用紙サイズの取得を指示する。
【0110】
その後、通電制御データ生成部109aの各部によって判定、又は算出された「第1定着温度T1」と、「第2定着温度T2」と、「ジョブ待機温度T4」と、「第2ヒータ下降閾値温度T5」と、「余熱定着時間t1」と、「第1非定着処理時間t3」と、「第2非定着処理時間t4」と、後述する各用紙1の各面毎の「用紙後端余白領域通過時間(図1中のt5、t7)」とから成る第2通電制御データを生成する。
そして、通電制御データ生成部109aは、生成した第2通電制御データを制御部101aを介してRAM107に記憶する。
【0111】
制御部101aは、第2通電制御データがRAM107に記憶されると、該データに基づいてヒータ911への通電制御を開始する。
その後、ヒータ温度上昇勾配算出部1098は、制御部101aの制御に基づき、実施例1と同様に、ヒータ温度上昇勾配Wを算出する。
ヒータ温度上昇勾配算出部1098がヒータ温度上昇勾配Wを算出すると、通電制御データ生成部109aは、該算出値をヒータ温度上昇勾配情報として制御部101aを介してRAM107に記憶する。
そして、通電制御データ生成部109aは、ヒータ温度上昇勾配Wを記憶すると、ヒータ再加熱時間算出部1099aにヒータ再加熱時間の算出を指示する。
【0112】
ヒータ再加熱時間算出部1099aは、上記ヒータ911への通電を遮断後、次に各用紙1の第2面を定着処理すべく該ヒータへの通電を再開してから該ローラの表面温度を第1定着温度T1にするまでにかかる時間(第2ヒータ再加熱時間t6)を算出する部分である。
即ち、ヒータ再加熱時間算出部1099aは、上記ヒータ再加熱時間の算出の指示を受けると、先ず、図10に示す「第2下降温度差ΔT3」を算出する。
上記「第2下降温度差ΔT3」は、第1定着温度T1から第2ヒータ下降閾値温度T5を引いた差分として求められる(ΔT3=T1−T5)。
【0113】
次に、ヒータ再加熱時間算出部1099aは、RAM107に記憶された上記ヒータ温度上昇勾配情報(ヒータ温度上昇勾配W)に基づいて、当該第2下降温度差ΔT3に該当する第2ヒータ再加熱時間t6を算出する。
ヒータ再加熱時間算出部1099aが第2ヒータ再加熱時間t6を算出すると、通電制御データ生成部109aは、該算出した時間t6を制御部101aを介してRAM107に記憶する。
通電制御データ生成部109aは、第2ヒータ再加熱時間t6が記憶されると、上記生成した第2通電制御データに該第2ヒータ再加熱時間t6を追加する。
【0114】
制御部101aは、第2通電制御データに上記第2ヒータ再加熱時間t6を追加すると、該データに基づいて引き続きヒータ911への通電制御を行う。
【0115】
<実施例2の動作>
次に、制御部101aによるヒータ911への通電制御動作について、図10を用いて詳細に説明を行う。
図10は、画像形成装置100aの両面印刷処理時において、先ず第1面が上側の1枚目の用紙1、第2面が上側の1枚目の用紙1、第1面が上側の2枚目の用紙1、第2面が上側の2枚目の用紙1が、順次加熱ローラ91及び加圧ローラ92の圧接部を通過して搬送される場合のタイムチャートを示している。
図10は、各用紙1の各面上に、各面の半分ほどのサイズの現像剤像を形成する場合を示している。
【0116】
図10に示す「定着用紙有無信号」、「ヒータON/OFF信号」、「排出センサON/OFF信号」は、実施例1の図1中に示すこれら信号と同じである。
【0117】
「第1定着温度T1」、「第2定着温度T2」、「ジョブ待機温度T4」、「第2ヒータ下降閾値温度T5」は、上記説明した、加熱ローラ91の表面温度を制御するために予め設定された各所定温度である。
加熱ローラ91の表面温度は、両面印刷処理時において、図10に示すように、T1〜T5の温度を推移する。この表面温度は、加熱ローラ91の表面に近接して配設されているサーミスタ10から出力される出力信号(温度)に基づいている。ここで、図10中のA点は、画像形成装置100aの図示しない電源スイッチがONにされて、該装置が起動したタイミングを示している。
【0118】
先ず、制御部101aは、1枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が上記圧接部に到達した時点に、ヒータ911の表面温度をジョブ待機温度T4から第1定着温度T1にさせるべく、サーミスタ10からの出力信号に基づいて、電源部108からの電源電圧を該ヒータへ供給(通電)する(図10中のH点〜B点)。
ここで、制御部101aは、書き出しセンサ6からの1枚目の用紙1(第1面が上側)の先端の検出を示す信号に基づいて、該用紙1の先端が上記圧接部へ到達するタイミング(図10中の定着用紙有無信号(B点))を判定し、通電制御を行う。
このとき、制御部101aは、該制御部が有するカウンタを用いて、加熱ローラ91の表面温度がジョブ待機温度T4から第1定着温度T1になるまでにかかる加熱時間を計測する。
その後、制御部101aの指示に基づいて、通電制御データ生成部109aは、図10に示す上昇温度差ΔT1(=T1−T4)と、上記加熱時間とに基づいて上記ヒータ温度上昇勾配Wを算出する。
そして、制御部101aは、図10に示す第2下降温度差ΔT3(=T1−T5)と、上記ヒータ温度上昇勾配Wとから、第2ヒータ再加熱時間t6を算出する。
【0119】
次に、制御部101aは、加熱ローラ91の表面温度が第1定着温度T1になると、該表面温度を図10に示すような第2定着温度T2にすべく、ヒータ911への通電において、Duty比を変化させながら、通電ONにし、その後通電をOFFにする制御を繰り返す、Duty制御を行う(図10中のD´点)。
そして、制御部101aは、加熱ローラ91の表面温度が第2定着温度T2になると、所定時間の間、上記Duty制御を行って該表面温度を第2定着温度T2の温度に保つ。制御部101aは、上記所定時間が経過すると、ヒータ911への通電を遮断する(図10中のD´点)。
このヒータ911への通電遮断は、図10に示すように、用紙1(第1面が上側)の後端が上記圧接部に到達時間から、上記余熱定着時間t1分早く、かつ該用紙上に形成される現像剤像の後端から該用紙の後端までの移動時間(用紙後端余白領域通過時間t5)分早いタイミングで行う。
ヒータ911への通電が遮断されると、図10に示すように、加熱ローラ91の表面温度は、第1定着温度T1へと徐々に下降していく(図10中のD´点〜N点)。
【0120】
上記状況において、現像剤像が形成された用紙1の第1面において、該用紙の先端(図10中のB点)から該用紙上に形成された現像剤像の領域の半ば(図10中のD点)までは、ヒータ911からの発熱に基づき加熱された加熱ローラ91の表面温度により加熱定着処理される。
そして、用紙1上に形成された現像剤像の半ば(図10中のD点)から該現像剤像の後端(図10中のN点)までは、加熱ローラ91の表面の余熱により加熱定着処理される。
その後、1枚目の用紙1(第1面が上側)は、該用紙の後端が上記圧接部を通過し終え(図10中のE点)、反転機構に搬送されて上下面が逆(第2面が上側)になる。ここで、図10中のF点は、排出モータの駆動を一旦停止させ、該モータを逆回転させるべく駆動を開始するタイミングを示している。
制御部101aは、上記反転された1枚目の用紙1(第2面が上側)に対する印刷処理を開始する。
【0121】
そして、制御部101aは、加熱ローラ91の表面温度が第2ヒータ下降閾値温度T5になると(図10中のG´点)、再びヒータ911を第1定着温度T1にすべく、該ヒータへ電源部108からの電源電圧を供給する(ヒータON)。
その後、制御部101aは、図10に示すように、1枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が上記圧接部に到達する時点で、加熱ローラ91の表面温度が第1定着温度T1になるよう通電制御を行う(図10中のI点)。
ここで、制御部101aによるヒータ911への通電制御の開始は、図10に示すように、1枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が上記圧接部に到達する時間に対し、上記算出した第2ヒータ再加熱時間t6前のタイミングで行う。
また、図10に示すように、上記圧接部を1枚目の用紙1(第1面が上側)の後端が通過し、その後、1枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が通過するまでに係る時間は、上記した第1非定着処理時間t3である。
【0122】
制御部101aは、加熱ローラ91の表面温度が第2定着温度T2になると、ヒータ911への電源部108からの電源電圧の供給(通電)を遮断する(図10中のJ´点)。
このとき、ヒータ911への通電遮断は、図10に示すように、用紙1(第2面が上側)の後端が上記圧接部に到達時間から、上記余熱定着時間t1分早く、かつ該用紙上に形成される現像剤像の後端から該用紙の後端までの移動時間(用紙後端余白領域通過時間t7)分早いタイミングで行う。
これにより、1枚目の用紙1(第2面が上側)は、1枚目の用紙1(第1面が上側)と同様に、上記圧接部を通過すると、加熱ローラの表面の熱(余熱も含む)によって、該用紙上に形成された現像剤像が加熱定着される(図10中のJ´点〜K点)。
【0123】
このとき、ヒータ911への通電が遮断されたため、図10に示すように、加熱ローラ91の表面温度は、第1定着温度T1へと徐々に下降していく(図10中のJ´点〜K点)。
制御部101aは、上記圧接部を1枚目の用紙1(第2面が上側)の後端が通過してから、2枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が到達するまでに係る時間(第2非定着処理時間t4)に基づいて、該先端の到達時間から予め設定された所定時間分前に、再びヒータ911へ電源部108からの電源電圧を供給(通電)する(図10中のL´点)。
ここで、制御部101aは、上記圧接部に2枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が到達する時点(図10中のM点)において、加熱ローラ91の表面温度を第1定着温度T1にすべく、ヒータ911への通電を制御する。
【0124】
その後、制御部101aは、2枚目の用紙1(第1面が上側)が上記圧接部を通過時において、1枚目の用紙1(第1面が上側)が上記圧接部を通過時と同様のヒータ911への通電制御を行う。
そして、制御部101aは、2枚目の用紙1(第1面が上側)の後端が上記圧接部を通過し終え、2枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が該圧接部に到達するまでの間、1枚目の用紙1(第1面が上側)の後端が該圧接部を通過し終え、1枚目の用紙1(第2面が上側)の先端が該圧接部に到達するまでの間と同様のヒータ911への通電制御を行う。
【0125】
また、制御部101aは、2枚目の用紙1(第2面が上側)の後端が上記圧接部を通過し終え、3枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が該圧接部に到達するまでの間、1枚目の用紙1(第2面が上側)の後端が該圧接部を通過し終え、2枚目の用紙1(第1面が上側)の先端が該圧接部に到達するまでの間と同様のヒータ911への通電制御を行う。
制御部101aは、3枚目以降の用紙1(第1面、第2面が上側)に対し、ヒータ911へ同様の通電制御を行う。
【0126】
一方、制御部101aは、2枚目の用紙1(第2面が上側)の後端が上記圧接部を通過し終え、書き出しセンサ6などから次(3枚目)の用紙1の給紙を検知する信号を受信していない場合には、ヒータ911への通電を遮断する。
同様に、制御部101aは、搬送中の用紙1(第2面が上側)の後端が上記圧接部を通過し終え、次の用紙1の給紙を検知する信号を受信しないと、ヒータ911への通電を遮断する。
そして、制御部101aは、画像データに基づく印刷処理を終えると、加熱ローラ91の表面温度を印刷ジョブ待機温度T4にすべく、上記した通電制御を行う。
【0127】
<実施例2の効果>
本実施例2の画像形成装置100aでは、印刷処理前に、画像データの各ページの画像に基づいて、各用紙1上に各現像剤像を形成した場合における現像剤像の後端から用紙の後端までの余白部分(定着不要領域)を判定し、該領域に対し定着処理を行わないよう、更に早くヒータ911への通電を遮断するので、更にヒータへの通電時間を短縮することができ、これにより更に低消費電力で駆動することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本実施例では、本発明の画像形成装置を複写機能及びプリンタ機能のみを有する構成として説明したが、これに限る必要はなく、例えば複写機能及びプリンタ機能を有する複合機(MFP)にも適用可能である。
【0129】
また、本実施例では、本発明の画像形成装置の両面印刷処理時におけるヒータへの通電の制御について説明したが、1ページ目の用紙(第2面が上側)と2ページ目の用紙(第1面が上側)に対する各定着処理の間にヒータへの通電を遮断する制御を、片面印刷処理時の通電制御にも適用可能である。これにより、本発明の画像形成装置により、片面印刷処理時における低消費電力化を図ることも可能である。
【0130】
更に、本実施例では、本発明の画像形成装置の原稿載置台に載置された原稿に基づく印刷処理におけるヒータへの通電制御について説明したが、これに限る必要はなく、例えば該装置のセカンドトレイ、MPT(Multipurpose Tray)、手差しトレイなどに載置された原稿に基づく印刷処理におけるヒータへの通電制御にも適用可能である。
【符号の説明】
【0131】
100 画像形成装置
101 制御部
102 I/F部
103 入力表示部
104 画像読取部
105 画像メモリ
106 ROM
107 RAM
108 電源部
109 通電制御データ生成部
110 印刷制御部
10 サーミスタ
91 加熱ローラ
911 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の両面に複数ページから成る画像データに基づく印刷処理を行うべく、給紙部から給紙された前記媒体を検知する媒体検知部と、前記媒体検知部の検知結果に基づいて該媒体の第1面上に前記画像データに基づく現像剤像を形成する画像形成部と、該第1面上に形成された現像剤像を加熱定着する画像定着部と、前記画像定着部の温度を検知する温度センサと、画像定着を終えた該媒体の第2面に印刷処理をすべく該媒体を反転させ前記画像形成部に搬送する反転機構とを備える画像形成装置であって、
前記温度センサの検知結果と、前記媒体に前記現像剤像を定着するために必要な前記画像定着部の温度である第1定着温度及び該第1定着温度より高温の第2定着温度を含む複数の設定温度値とを比較して該画像定着部の発熱部への通電を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記媒体検知部の検知結果に基づき、第1面が上側の前記媒体の先端が前記画像定着部に到達した時点で該画像定着部の温度が前記第1定着温度になるよう前記発熱部へ通電を行い、該第1面への加熱定着処理の途中で該画像定着部の温度が前記第2定着温度になるよう該発熱部へ通電を行い、該画像定着部を所定時間該第2定着温度に保つべく該発熱部への通電を行った後、該発熱部への通電を遮断すると共に該画像定着部の余熱を用いて該媒体の搬送方向後端部分の定着処理を続行させ、該媒体が前記反転機構により反転され、第2面が上側になった前記媒体へ加熱定着処理を行うべく該発熱部への通電を再開するまで、該発熱部への通電を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記媒体のサイズ及び連量に基づいて、通電が遮断された前記画像定着部が余熱を用いて定着処理を続行可能な余熱定着時間を算出し、該算出した余熱定着時間に基づいて前記発熱部への通電を遮断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像定着部の温度を前記第1定着温度にすべく、前記発熱部への通電制御時に、所定の温度から該第1定着温度に上昇するまでにかかる通電時間を計測し、上昇温度差と、該計測した通電時間とに基づいて該画像定着部の温度上昇勾配値を算出し、該算出した温度上昇勾配値に基づいて、予め設定したヒータ下降閾値温度になった画像定着部を再び該第1定着温度に上昇させるまでにかかる再加熱時間を算出し、該算出した再加熱時間に基づいて前記発熱部への通電を再開することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記媒体検知部の検知結果に基づき、第2面が上側の前記媒体の後端が前記画像定着部を通過し終えてから、第1面が上側の次の媒体の先端が該画像定着部に到達するまでの非定着処理時間を算出し、該算出した非定着処理時間と、前記算出した余熱定着時間とを合計した時間に基づいて、該媒体への定着処理を終え、該次の媒体への定着処理を開始するまでの間に、前記発熱部への通電を遮断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、印刷処理開始前に、前記画像データの各ページの画像に基づいて各媒体上に各現像剤像を形成した場合における現像剤像の後端から該媒体の後端までの余白部分の長さを判定し、該判定した長さと、予め設定された印刷速度とに基づいて、定着処理を不要とする余白部分の通過時間を算出し、該算出した通過時間及び余熱定着時間とに基づいて前記発熱部への通電を遮断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、第2面が上側の前記媒体への定着処理を終え、第1面が上側の次の媒体への定着処理を開始するまでの間、前記算出した余熱時間及び非定着処理時間、通過時間とに基づいて、前記発熱部への通電を遮断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−118172(P2012−118172A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266142(P2010−266142)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】