説明

画像形成装置

【課題】排紙台の上方に進入した人手などの障害物を検出した際に、画像形成済みの用紙を排紙せずにこの用紙を装置内で循環させる。
【解決手段】給紙台21を有する給紙部20と、画像形成部30と、排紙台71を有する排紙部70と、用紙PAを画像形成部30を経由して循環させる循環搬送路JR中に給紙搬送路KR及び排紙搬送路HRが分岐して設置された用紙循環搬送路部50と、各部を制御する制御部13と、を備えた画像形成装置10であって、排紙台71の上方に進入した障害物を検出する障害物検出用光センサ73を設け、障害物検出用光センサ73で障害物があると検出したときに、制御部13は用紙PAの給紙及び排紙を停止すると共に、排紙搬送路HRに到達する前の用紙PAを循環搬送路JRに沿って循環させることを特徴とする画像形成装置10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙部と、画像形成部と、排紙部と、用紙循環搬送路部と、制御部とを少なくとも備えた画像形成装置において、排紙部の排紙台の上方に進入した人手などの障害物を検出できるように構成した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、用紙上に画像を印刷や複写により形成する画像形成装置は、各種の分野で多用されている。
【0003】
この種の画像形成装置において、画像が形成された用紙を積載して上下動する排紙台の下面側に、排紙台下部の障害物を検出する光センサを設けた画像形成システム装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、印刷装置において、排出台の近傍に、印刷用紙の排出動作を一時的に停止させるための中断スイッチを設けた印刷装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
更に、本出願人は、複数のインクジェットヘッドからイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(B)の各インクを吐出させて用紙上にインク画像をカラー印刷した際に、印刷済みの用紙に対して乾燥時間を確保して用紙の変形(カール)を抑制する共に、用紙の両面に印刷するために用紙循環搬送路部を設けた画像形成装置を提案している。(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−26570号公報
【特許文献2】特開平11−105383号公報
【特許文献3】特開2009−208364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記した特許文献3に開示された画像形成装置の技術的思想を踏襲して、用紙を循環させてこの用紙の両面に画像を形成できると共に、一部改良を図って画像が形成された用紙を排紙する際に、画像形成済みの用紙と人手などの障害物とが接触しないように障害物を検知できる新たな画像形成装置が要求されている。
【0008】
この際、新たに開発する画像形成装置に、上記した特許文献1の技術的思想を適用する場合には、排紙台下部の障害物は検出できるものの、排紙台上に積層された画像形成済みの用紙を取り出す際に、画像形成済みの用紙と人手などの障害物とが接触してジャムが発生するという問題に対して何等の対策も施されていない。
【0009】
一方、新たに開発する画像形成装置に、上記した特許文献2の技術的思想を適用する場合には、排出台の近傍に設けた中段スイッチは手動操作されるものであるので、この中段スイッチは排紙台の上方に進入した人手などの障害物を検出する障害物検出用ではない。
【0010】
そこで、本発明は、排紙部の排紙台上に積層された画像形成済みの用紙を取り出す際に、画像形成済みの用紙と人手などの障害物とが接触してジャムが発生するという問題を解決できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の発明は、給紙台上に積層された最上層の用紙を1枚ずつ給紙する給紙部と、
給紙された前記用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像が形成された前記用紙を排紙台上に排紙する排紙部と、
前記用紙を前記画像形成部を経由して循環させる循環搬送路を有し、該循環搬送路中に給紙搬送路及び排紙搬送路が分岐して設置された用紙循環搬送路部と、
前記した各部を制御する制御部と、を備えた画像形成装置であって、
前記排紙台の上方に進入した障害物を検出する障害物検出用光センサを設け、該障害物検出用光センサで前記障害物があると検出したときに、前記制御部は前記用紙の給紙及び排紙を停止すると共に、前記排紙搬送路に到達する前の前記用紙を前記循環搬送路に沿って循環させることを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記障害物検出用光センサにより前記障害物が取り除かれたと検出した場合に、前記用紙のページ数の順序を乱すことなく前記用紙の排紙を再開させることを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記障害物検出用光センサで前記障害物があると検出した後に、一定時間経過しても前記障害物が取り除かれていないと判断した場合に、警告を出してジョブを強制終了させることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の画像形成装置によると、とくに、排紙台の上方に進入した障害物を検出する障害物検出用光センサを設け、障害物検出用光センサで障害物があると検出したときに、制御部は用紙の給紙及び排紙を停止すると共に、排紙搬送路に到達する前の用紙を循環搬送路に沿って循環させているので、排紙台上に積層された画像形成済みの用紙を取り出す際に、障害物検出用光センサで排紙台の上方に人手などの障害物があると検出したときに、用紙が排紙台上に排紙されないために、画像形成済みの用紙と人手などの障害物とが接触して発生するジャムを防止できる。また、障害物検出用光センサで人手などの障害物を検出したときに、装置内の各部を全部停止させずに一部アイドリング状態を保つことで、障害物を取り除いた後に直ちに通常動作に戻れるので、装置のスループットを向上させることができる。
【0015】
また、請求項2記載の画像形成装置によると、とくに、制御部は、障害物検出用光センサにより障害物が取り除かれたと検出した場合に、用紙のページ数の順序を乱すことなく用紙の排紙を再開させているので、排紙再開後に排紙台上に排紙された画像形成済みの用紙に対してページ数を計数することなく、ページ数を揃えることができる。
【0016】
また、請求項3記載の画像形成装置によると、とくに、制御部は、障害物検出用光センサで障害物があると検出した後に、一定時間経過しても障害物が取り除かれていないと判断した場合に、警告を出してジョブを強制終了させているので、装置の信頼性向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る実施例の画像形成装置の全体構成を示したブロック図である。
【図2】本発明に係る実施例の画像形成装置の全体構成を示した縦断面図である。
【図3】(a),(b)は光反射型の障害物検出用光センサを排紙台の近傍で筐体の側面に設置した場合の第1例を拡大して示した平面図,正面図である。
【図4】(a),(b)は光反射型の障害物検出用光センサを排紙台上に設置した場合の第2例を拡大して示した平面図,正面図である。
【図5】本発明に係る実施例の画像形成装置において、光反射型の障害物検出用光センサを設置した時の動作を説明するための動作タイミングを示した図である。
【図6】本発明に係る実施例の画像形成装置において、光反射型の障害物検出用光センサを設置した時の動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る画像形成装置の一実施例について図1〜図6を参照して詳細に説明する。
【0019】
本発明に係る画像形成装置は、用紙を給紙する給紙部と、給紙された用紙上に画像を形成する画像形成部と、画像が形成された用紙を排紙する排紙部と、必要に応じて用紙を循環させて用紙の両面に画像を形成するための用紙循環搬送路部と、装置内の各部を制御する制御部とを備えて構成されていると共に、排紙部の排紙台の近傍又は排紙台上に人手などの障害物を検出する光反射型の障害物検出用光センサを設置したことを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置において、用紙上に画像を形成する画像形成部としては、インクジェット印刷方式や、レーザ印刷方式、熱転写印刷方式などにより画像を印刷する印刷部、又は、画像を複写するコピー部のいずれでも良いが、装置内に用紙循環搬送路部を備えていることが必要条件である。
【0021】
以下の実施例では、画像形成部としてインクジェット印刷方式を適用した例について説明する。
【実施例】
【0022】
本発明に係る実施例の画像形成装置10の全体構成について、図1及び図2を併用して説明する。
【0023】
上記した実施例の画像形成装置10は、電源11と、パソコンPCや不図示のLANケーブルなどからの印刷データDが入力されるインターフェース12と、このインターフェース12を介して印刷データDが入力され且つ装置全体を制御する制御部13と、装置全体を操作する操作パネル部15と、用紙PAを給紙する給紙部20と、給紙部20の用紙搬送下流側に固定設置されて複数色のインクIKを吐出する複数のライン型インクジェットヘッド31を有し、印刷データDに応じて用紙PA上に複数色のインクIKによるカラー画像を形成(印刷)する画像形成部(以下、印刷部と記す)30と、印刷部30と対向してこの下方に回転可能に設置されたベルトプラテン機構部40と、給紙部20で給紙した用紙PAを印刷部30を経て排紙方向に搬送すると共に両面印刷をしたい用紙PAに対してスイッチバックして印刷部30の方向へ再び搬送する用紙循環搬送路部50と、印刷部30よりも下流側の用紙循環搬送路部50中に設置されて印刷済みの用紙PAの変形(カール)を抑制するために乾燥風を送風する乾燥炉60と、印刷済みの用紙PAを排紙すると共に両面印刷をしたい用紙PAに対してスイッチバックさせる排紙部70と、を備えることで、インクジェット印刷方式を適用して構成されている。
【0024】
ここで、実施例の画像形成装置10内に設けた主要な構成部材について順を追って説明する。
【0025】
まず、上記した制御部13は、図1に示したように、この内部に演算部(CPU)13aと、画像形成装置10の動作プログラムなどを格納したROM13bと、画像形成装置10の動作時に変更可能な情報を一時的に格納するRAM13cと、時間計測を行なうタイマ13dとを有している。
【0026】
また、制御部13は、操作パネル部15と、給紙部20と、インクジェット印刷方式を適用した印刷部(画像形成部)30と、ベルトプラテン機構部40と、後述する第1,第2搬送路切替えレバー52,53及び第1〜第4用紙検出用光センサ54〜57を備えた用紙循環搬送路部50と、乾燥炉60と、後述する障害物検出用光センサ73を備えた排紙部70と、を制御している。
【0027】
この際、図2に示したように、制御部13は、画像形成装置10の外装を形成する筐体14内の適宜な場所に設置されている。
【0028】
次に、上記した操作パネル部15は、図2に示したように、筐体14の上面(又は前面)に設置されて、ユーザが画像形成装置10に対して所望の操作をできるようになっている。
【0029】
次に、上記した給紙部20は、図2に示したように、筐体14の左側面下方部位14aに配設されたサイド給紙台21と、筐体14内の左下方部位に配設された複数の給紙台22,23とを備えており、サイド給紙台21は用紙PAのサイズを検出しながら適宜なサイズの用紙PAを積層可能になっている一方、複数の給紙台22,23は例えばA4サイズ,A3サイズなど特定のサイズの用紙PAをそれぞれ積層可能になっている。
【0030】
そして、サイド給紙台21又は複数の給紙台22,23上に積層された未印刷の用紙PAのうちで各最上層の用紙PAが各給紙ローラ24によって1枚ずつ給紙された後にローラ等の駆動機構による給紙搬送路KRに沿って搬送され、給紙された用紙PAの先頭部分が用紙循環搬送路部50中に設けられたレジストローラ対51に導かれて、このレジストローラ対51で用紙PAの先頭位置が揃うようにタイミング合わせが行なわれている。
【0031】
次に、上記した印刷部30は、給紙部20の下流側で且つ用紙循環搬送路部50の上流側に固定設置されており、筐体14内の略中央部位に位置している。
【0032】
この印刷部30では、複数色のインクIKと対応して複数のライン型インクジェットヘッド31が上流側から下流側に向かってC(シアン)用,K(ブラック)用,M(マゼンタ)用,Y(イエロー)用の順に配置されている。
【0033】
尚、この実施例では、4色(CKMY)のインクIKに対応して4つのライン型インクジェットヘッド31を設置した例で説明するが、例えば文字だけを印刷する場合には1色(K)用だけで良いので、ライン型インクジェットヘッド31は少なくとも一以上設置すれば良いものである。
【0034】
ここで、各色ごとに設けた複数のライン型インクジェットヘッド31は全て同じ構造に形成されており、詳細な図示を省略するが、一のライン型インクジェットヘッド31は、複数のノズルを紙面と垂直な主走査方向に沿って配列させたヘッドブロックが、主走査方向に沿った一のライン上に沿って複数個配置され、且つ、主走査方向と直交する副走査方向に計2ラインに分けて配置されていると共に、隣り合うライン1,2では各ヘッドブロックが一部重なりあうように互い違いに千鳥状に配置されている。
【0035】
次に、上記したベルトプラテン機構部40は、図2に示した如く、印刷部30と対向して複数のライン型インクジェットヘッド31の下方に配設されている。
【0036】
このベルトプラテン機構部40では、給紙部20で給紙された未印刷の用紙PA又は後述する循環搬送路JKによって搬送された片面が印刷済みの用紙PAを搭載しながら搬送するために複数のエアー吸引孔(図示せず)を略等間隔で貫通して形成した帯状のベルトプラテン41が不図示の駆動源により回転駆動される駆動プーリ42と従動プーリ43との間に掛け渡されていると共に、駆動プーリ42と従動プーリ43との間に用紙PAをベルトプラテン41上にエアー吸引するエアー吸引部(サクションボックス)44が設けられている。
【0037】
そして、帯状のベルトプラテン41上に用紙PAを搭載したときに、この用紙PAをベルトプラテン41に形成した複数のエアー吸引孔からエアーを吸引して、用紙PAをベルトプラテン41上に固定した状態でベルトプラテン41の回転より用紙PAを副走査方向(矢印X方向)に搬送しながら複数のライン型インクジェットヘッド31により印刷データD(図1)に基いてカラー画像を印刷している。
【0038】
次に、用紙循環搬送路部50は、図2に示した如く、給紙部20で給紙された用紙PAに対して印刷部30で片面印刷又は両面印刷するために用紙PAを印刷部30を経由して循環させる循環搬送路JRを有し、この循環搬送路JR中に給紙台21側からの未印刷の用紙PAを搬送する給紙搬送路KRと、排紙台71側に印刷済みの用紙PAを搬送する排紙搬送路HRとが分岐して設置されている。
【0039】
また、上記した循環搬送路JRは、印刷部30により用紙PAの片面(表面)に印刷された印刷済みの用紙PAをそのまま排紙する方向に搬送する通常搬送路CRと、片面(表面)が印刷された用紙PAを通常搬送路CRの途中から電磁弁などを用いた第1,第2搬送路切替えレバー52,53により搬送方向を切り換えてスイッチバックを行なって両面(表面及び裏面)を印刷するためのスイッチバック搬送路SRとで環状に設置されている。
【0040】
そして、循環搬送路JRにより、両面印刷したい用紙PAが印刷部(画像形成部)30を経由して循環可能になっている。
【0041】
この際、循環搬送路JR中の通常搬送路CRは、印刷部30の下方を通過し、この後、印刷済みの用紙PA上のインクIKが乾燥できる時間を確保するために印刷部30の上方に廻り込むように屈曲されており、排紙対象となる印刷済みの用紙PAは通常搬送路CRから排紙搬送路HRを経て排紙部70の排紙台71に向かうように搬送されている。
【0042】
一方、循環搬送路JR中のスイッチバック搬送路SRは、通常搬送路CR中で排紙部70に向かう手前を第1搬送路切替えレバー52で切り替えて用紙PAの搬送方向を変更して排紙部70の排紙台71の裏面に形成した用紙ガイド枠72内に向かい、この用紙ガイド枠72内で用紙PAの先頭位置を反転させた後に第2搬送路切替えレバー53で切り替えて用紙PAの搬送方向を変更して再度レジストローラ対51に向かい、この後、印刷部30及びベルトプラテン機構40に接続されるように配設されている。
【0043】
また、用紙循環搬送路部50内には、光反射型(又は光透過型)の第1〜第4用紙検出用光センサ54〜57が設置されており、第1用紙検出用光センサ54は給紙搬送路KR中のレジストローラ対51よりも下流に設置されて用紙PAの給紙状態を検出する給紙センサとして機能し、また、第2用紙検出用光センサ55は用紙PAが排紙搬送路HR又はスイッチバック搬送路SRに到達する前の状態を検出する搬送路切替え前センサとして機能し、また、第3用紙検出用光センサ56は排紙搬送路HRに沿って設置されて排紙台71に向かう用紙PAの排紙状態を検出する排紙センサとして機能し、更に、第4用紙検出用光センサ57は第1搬送路切替えレバー52と第2搬送路切替えレバー53との間に設置されて循環される用紙PAの有無状態を検出する循環用紙有無検出センサとして機能している。
【0044】
次に、上記した乾燥炉60は、図2に示した如く、用紙循環搬送路部50内に設けた通常搬送路CR中で印刷部30よりも下流側で且つ印刷部30の上方に配設されている。
【0045】
この乾燥炉60は、長尺なダクト61と、このダクト61内の上流側に設けられて乾燥風を下流側に向けて送風するドライヤー62とを備えており、印刷部30により印刷された印刷済みの用紙PA上のインクIKをドライヤー62から送風された乾燥風により強制的に乾燥させることで、印刷済みの用紙PA上のインクを迅速に乾燥して印刷済みの用紙PA上のインクIKによるカールを抑制している。
【0046】
尚、印刷済みの用紙PA上のインクIKを自然乾燥させる場合には、乾燥炉60を設けずに、印刷済みの用紙PAが通常搬送路CRに沿って搬送される途中で自然乾燥させれば良い。
【0047】
次に、上記した排紙部70は、ここに備えた排紙台71が筐体14の左側面上方部位14bに対して斜めに傾斜して設置されている。
【0048】
この際、排紙台71は、用紙循環搬送路部50内に設けた通常搬送路CR及び排紙搬送路HRによって搬送された印刷済みの用紙PAを収納する機能と、この排紙台71の裏面に形成した用紙ガイド枠72で片面(表面)が印刷された用紙PAに対して裏面を印刷するためにスイッチバックして用紙PAの先頭位置を反転させる機能とを備えている。
【0049】
また、筐体14の左側面上方部位14bには、本発明の要部となる光反射型の障害物検出用光センサ73が排紙台71に対向して設置されている。
【0050】
上記したように筐体14の左側面上方部位14bに設置した光反射型の障害物検出用光センサ73は、図3(a),(b)に拡大して示した第1例の如く、筐体14の左側面上方部位14bから排紙台71に向けて略水平方向に光を射出し、この光が排紙台71の上方に進入した人手などの障害物Oで遮られて反射された反射光を検出することで、制御部13を介して障害物Oがあると検出でき、且つ、障害物Oを検出したときに操作パネル部15に警告を表示している。
【0051】
尚、この実施例では、光反射型の障害物検出用光センサ73を筐体14の左側面上方部位14bに設置しているが、これに限ることなく、図4(a),(b)に拡大して示した第2例の如く、光反射型の障害物検出用光センサ73を排紙台71の上面71a上でここに積層された印刷済みの用紙PAに邪魔しないように上面71aの側方に設置しても良い。
【0052】
この第2例の場合には、障害物検出用光センサ73は上方に向かって光を射出するので、排紙台71の上面71aの上方に人手などの障害物Oが進入したときに、障害物Oで反射された反射光により障害物検出用光センサ73で障害物Oを検出することができる。
【0053】
ここで、上記した光反射型の障害物検出用光センサ73の動作について、先に用いた図1〜図4と、新たな図5,図6とを併用して説明する。
【0054】
図5(a)〜(e)に示した如く、障害物検出用光センサ73で排紙台71の上方に進入した人手などの障害物Oを制御部13を介して検出して、障害物検出用光センサ73の出力がオンになり、且つ、第1用紙検出用光センサ(給紙センサ)54の出力がオフになり、更に、第2用紙検出用光センサ(搬送路切替え前センサ)55の出力がオンであっても第3用紙検出用光センサ(排紙センサ)56の出力がオフになったときには、給紙部20による未印刷の用紙PAの給紙動作と、排紙部70による印刷済みの用紙PAの排紙動作とを停止すると共に、印刷部30で印刷中の用紙PAを含めて排紙搬送路HRに到達する前の用紙PAを排紙せずに循環搬送路JR(通常搬送路CR及びスイッチバック搬送路SR)に沿って循環させている。
【0055】
一方、障害物検出用光センサ73の出力がオンになったときに、第1用紙検出用光センサ(給紙センサ)54の出力がオンであれば、給紙中の用紙PAに対してのみ給紙を済ませた後に給紙動作を停止させて、給紙動作停止後に用紙PAを循環させれば良い。
【0056】
また、障害物検出用光センサ73の出力がオンになったときに、第3用紙検出用光センサ(排紙センサ)56の出力がオンであれば、排紙中の用紙PAに対してのみ排紙を済ませた後に排紙動作を停止させて、排紙動作停止後に用紙PAを循環させれば良い。
【0057】
そして、排紙台71の上方に進入した人手などの障害物Oを取り除いて、障害物検出用光センサ73の出力がオフになって障害物検出が解除されたならば、制御部13は装置10内を再開して通常動作に制御することで、印刷済みの用紙PAのページ数の順序を乱すことなく排紙動作を再開できるので、排紙再開後に排紙台71上に排紙された印刷済みの用紙PAに対してページ数を計数することなく、ページ数を揃えることができる。
【0058】
また、制御部13は、障害物検出用光センサ73の出力がオンになって障害物Oがあると検出した後に、制御部13内に設けたタイマ13dで時間計測して一定時間経過しても排紙台71の上方の障害物Oが取り除かれていないと判断した場合には、操作パネル部15に警告を表示して、ジョブを強制的に終了させているので、装置10の信頼性向上に寄与できる。
【0059】
ここで、図6に示した如く、上記した障害物検出用光センサ73の動作フローを開始すると、まず、ステップS1で障害物検出用光センサ73がオンであるか否かを問い、障害物検出用光センサ73がオンでない場合(NOの場合)には、排紙台71の上方に障害物Oがないので、ステップS2で通常動作を継続し、通常動作が完了したらこのフローを終了する。
【0060】
一方、ステップS1で障害物検出用光センサ73がオンである場合(YESの場合)には、排紙台71の上方に障害物Oがあるので、ステップS3で給紙センサ(第1用紙検出用光センサ)54がオフであるか否かを問い、給紙センサ54がオフでない場合(NOの場合)にステップS4で給紙中の用紙PAのみを給紙した後に給紙を停止し、ステップS3に戻る。
【0061】
一方、ステップS3で給紙センサ54がオフである場合(YESの場合)には、ステップS5で排紙センサ(第3用紙検出用光センサ)56がオフであるか否かを問い、排紙センサ56がオフでない場合(NOの場合)にステップS6で排紙中の用紙PAのみを排紙した後に排紙を停止し、ステップS5に戻る。
【0062】
一方、ステップS5で排紙センサ56がオフである場合(YESの場合)には、ステップS7で排紙搬送路HRに到達する前の用紙PAを排紙せずに循環させる。
【0063】
次に、ステップS8で排紙台71の上方の障害物Oを取り除く。
【0064】
次に、ステップS9で通常動作に戻り、この通常動作が完了したらこのフローを終了する。
【0065】
上述したように、排紙台71の上方に進入した人手などの障害物Oを検出する障害物検出用光センサ73を設置したことにより、排紙台71上に積層された印刷済み(画像形成済み)の用紙を取り出す際に、障害物検出用光センサ73で排紙台71の上方に障害物Oがあると検出したときに、用紙PAが排紙台71上に排紙されないために、印刷済み(画像形成済み)の用紙と人手などの障害物Oとが接触して発生するジャムを防止できる。
【0066】
また、障害物検出用光センサ73で人手などの障害物Oを検出したときに、装置10内の各部を全部停止させずに一部アイドリング状態を保つことで、障害物Oを取り除いた後に直ちに通常動作に戻れるので、装置10のスループットを向上させることができる。
【0067】
この際、単位時間当たりの処理能力を示すスループットについて、この装置10内での具体例を説明すると、A3サイズ又はA4サイズの用紙PAに対してジョブを開始し、給紙から印刷処理を施して印刷済みの用紙PAを排紙するまでに要する時間は約7〜8秒かかるが、障害物検出用光センサ73で人手などの障害物Oを検出したときに用紙PAを循環させるに要する時間は約2〜3秒であり、ジョブを全て停止させることなく、一部アイドリング状態を保つことで、ジョブ再開時に約5秒程度の時間短縮を図ることができるので、装置10のスループットを向上させることができる。
【0068】
尚、本発明においては、排紙台の上方に進入した人手などの障害物を検出した際に用紙の給紙及び排紙を停止すると共に、排紙搬送路に到達する前の用紙を循環搬送路に沿って循環させるようにしているが、画像形成装置を使用する操作者が、排紙台に排紙される用紙の量を確認しながら、所望の量が排紙台に積載された場合に、その所望量の用紙を排紙台から取り出すために、任意に排紙台の上方に手を翳して、給紙及び排紙を停止すると共に、排紙搬送路に到達する前の用紙を循環搬送路に沿って循環させる場合にも使用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10…画像形成装置、
13…制御部、14…筐体、14b…左側面上方部位、15…操作パネル部
20…給紙部、21…サイド給紙台、22,23…給紙台、24…給紙ローラ、
30…画像形成部(印刷部)、31…ライン型インクジェットヘッド、
40…ベルトプラテン機構部、
50…用紙循環搬送路、KR…給紙搬送路、HR…排紙搬送路、
JR…循環搬送路、CR…通常搬送路、SR…スイッチバック搬送路、
52,53…第1,第2搬送路切替えレバー、
54…第1用紙検出用光センサ(給紙センサ)、
55…第2用紙検出用光センサ(搬送路切替え前センサ)、
56…第3用紙検出用光センサ(排紙センサ)、
57…第4用紙検出用光センサ(循環用紙有無検出センサ)、
60…乾燥炉、70…排紙部、71…排紙台、71a…上面、72…用紙ガイド枠、
73…障害物検出用光センサ、
D…印刷データ、IK…インク、O…障害物、PA…用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙台上に積層された最上層の用紙を1枚ずつ給紙する給紙部と、
給紙された前記用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像が形成された前記用紙を排紙台上に排紙する排紙部と、
前記用紙を前記画像形成部を経由して循環させる循環搬送路を有し、該循環搬送路中に給紙搬送路及び排紙搬送路が分岐して設置された用紙循環搬送路部と、
前記した各部を制御する制御部と、を備えた画像形成装置であって、
前記排紙台の上方に進入した障害物を検出する障害物検出用光センサを設け、前記障害物検出用光センサで前記障害物があると検出したときに、前記制御部は前記用紙の給紙及び排紙を停止すると共に、前記排紙搬送路に到達する前の前記用紙を前記循環搬送路に沿って循環させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記障害物検出用光センサにより前記障害物が取り除かれたと検出した場合に、前記用紙のページ数の順序を乱すことなく前記用紙の排紙を再開させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記障害物検出用光センサで前記障害物があると検出した後に、一定時間経過しても前記障害物が取り除かれていないと判断した場合に、警告を出してジョブを強制終了させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−12193(P2012−12193A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152144(P2010−152144)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】