説明

画像形成装置

【課題】取得した画像データが他装置カラープロファイルで色変換されたものであっても、他装置が記録媒体に形成した画像の色とほぼ同じ色で、画像を記録媒体に形成する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、他装置カラープロファイルで色変換された有彩色現像剤像データおよび黒色現像剤の濃度で表現される黒色現像剤像データを含む画像データを取得する取得部と、有彩色現像剤像データを、他装置カラープロファイルを用いて均等色空間に色変換して、均等色空間データを取得する第1色変換処理部と、均等色空間データを、自装置カラープロファイルを用いて色変換して、有彩色現像剤像変換データを取得する第2色変換処理部と、有彩色現像剤像変換データと取得部が取得した黒色現像剤像データとを合成した合成画像データを生成する合成処理部と、合成処理部で合成された合成画像を記録媒体に形成する画像形成部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、画像形成装置に、自装置以外の画像形成装置のカラープロファイルを用いて色変換した画像データが入力されて、その画像データから画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドットパターン(アノト(登録商標)パターン)が印刷された紙などの記録媒体面上に、専用のデジタルペン(パターン読取部)で書いた文字や図形などがデジタルデータ(ストロークデータ)に変換されるアノト(登録商標)機能がある。
このアノト(登録商標)機能には、記録媒体面上に印刷された「ドットパターンを含む画像」から、専用のデジタルペンに備えられたパターン読取部が赤外線を用いて、記録媒体面上のカーボンを含有する黒色のトナーで印刷されたドットパターンを読み取ることで、記録媒体面上の位置を検出する技術がある(特許文献1)。
【0003】
そのため、画像形成装置により、記録媒体面上に、「ドットパターンの画像」(黒色現像剤像)はカーボンを含有する黒色のトナー(黒色現像剤)で印刷され、一方、文字や罫線などの「ドットパターン以外の画像」はカーボンを含まない「C(Cyan)」、「M(Magenta)」、「Y(Yellow)」の3色のトナー(有彩色現像剤)で印刷される。ここで、ドットパターン以外の画像に含まれる黒色は、CMYの原色を混色した黒色で印刷される。
【0004】
ここで、「ドットパターン以外の画像」は、ユーザがモニタを介して視認している画像(映像)であり、ユーザは、「ドットパターン以外の画像」を、「RGB」で表現された色で視認している。ここで、モニタは、LCD(Liquid Crystal Display)などの画面表示装置であり、画像形成装置と通信可能に接続されたPC(Personal Computer)などのコンピュータが備えるものである。このコンピュータは、画像形成装置へ「ドットパターンを含む画像」の画像データ(印刷ジョブデータ)を送信する画像データ送信装置である。
【0005】
この「ドットパターン以外の画像」を、画像形成装置が記録媒体面上に印刷するためには、モニタに映し出されている「RGB」で表現される色を「CMYK」で表現し換える必要がある。しかしながら、「K」は「ドットパターンの画像データ」を印刷するために用いられるため、「ドットパターン以外の画像データ」では、「RGB」で表現される色を「CMY」で表現し換える。つまり、「RGB」から「CMY」に調色する必要がある。このとき、まず、「RGB」で表現される色が、「Lab」の均等色空間に変換されて、明度や彩度が調整される。そして、「CMY」(CMY表色系)で表現される色に変換される。
【0006】
ここで、画像形成装置それぞれで、例えばプリンタの機種(メーカや型番など)が異なる場合、画像データ送信装置は、各画像形成装置用の色表現偏差(カラープロファイル)を使って調色した画像データを、該当する画像形成装置に送信する。例えば、画像データ送信装置は、機種αカラープロファイルを用いて「RGB」から「CMY」に調色した画像データを、画像形成装置Aに送信する。そして、機種βカラープロファイルを用いて「RGB」から「CMY」に調色した画像データを、画像形成装置Bに送信する。これにより、画像形成装置Aが記録媒体に印刷した画像の色と、画像形成装置Bが記録媒体に印刷した画像の色とは、ほぼ同じ色となる。
このように、カラープロファイルを用いるのは、有彩色現像剤像を記録媒体に形成する際に、各画像形成装置で色相や彩度がことなるため、使用される「C」、「M」、「Y」の3色のトナー(有彩色現像剤)の量が異なるためである。つまり、調色する処理では、画像形成装置それぞれのカラープロファイルを用いて、「RGB」から「CMY」に調色する必要がある。
【0007】
以上より、画像形成装置は、画像データ(印刷ジョブデータ)の送信元であるPC(Personal Computer)などの画像データ送信装置と通信可能に接続される。そして、画像データ送信装置は、「ドットパターンを含む画像データ」を画像形成装置に送信する際に、「RGB」で表現される「ドットパターンを含む画像データ」から、「ドットパターンの画像データ」と「ドットパターン以外(文字や罫線など)の画像データ」との2つのデータを生成する。このとき、データ送信先の画像形成装置のカラープロファイルを考慮して、「ドットパターンの画像データ」を「K」とし、「ドットパターン以外の画像データ」を「CMY」とする。そして、画像データ送信装置は、これら調色後の「ドットパターンの画像データ」(黒色現像剤像データ)および「ドットパターン以外の画像データ」(有彩色現像剤像データ)の2つのデータを画像形成装置に送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−99129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の画像形成装置では、他のジョブで長時間ビジー状態であったり、トナーや記録媒体などの消耗品が不足していたりして、画像形成装置B(他装置)が利用できない場合がある。この場合、第1の方法として、画像データ送信装置にて、画像形成装置Bの「機種βカラープロファイル」を用いて「RGB」から「CMY」に調色した「ドットパターン以外の画像データ」を廃棄して、新たに、画像形成装置A(自装置)の「機種αカラープロファイル」を用いて「RGB」から「CMY」に調色した「ドットパターン以外の画像データ」を生成する方法があるが、データを生成し直す手順が必要であり、不便であった。
また、第2の方法として、画像データ送信元の画像データ送信装置から、画像形成装置B(他装置)の「機種βカラープロファイル」を用いて「RGB」から「CMY」に調色した「ドットパターンの画像データ」(黒色現像剤像データ)および「ドットパターン以外の画像データ」(有彩色現像剤像データ)の2つのデータを、画像形成装置A(自装置)に送信する方法がある。しかし、この「ドットパターン以外の画像データ」(有彩色現像剤像データ)は、画像形成装置Aの「機種αカラープロファイル」ではなく、「機種βカラープロファイル」を用いて「RGB」から「CMY」に調色されているため、画像形成装置Aにより記録媒体に印刷された画像の色は、画像形成装置Bにより記録媒体に印刷された画像の色と異なるという問題点がある。
【0010】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、取得した画像データが他装置カラープロファイルで色変換されたものであっても、他装置が記録媒体に形成した画像の色とほぼ同じ色で、画像を記録媒体に形成する画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、他装置カラープロファイルで色変換された有彩色現像剤像データおよび黒色現像剤の濃度で表現される黒色現像剤像データを含む画像データを取得する取得部と、前記有彩色現像剤像データを、前記他装置カラープロファイルを用いて均等色空間に色変換して、均等色空間データを取得する第1色変換処理部と、前記均等色空間データを、自装置カラープロファイルを用いて色変換して、有彩色現像剤像変換データを取得する第2色変換処理部と、前記有彩色現像剤像変換データと前記取得部が取得した黒色現像剤像データとを合成した合成画像データを生成する合成処理部と、前記合成処理部で合成された合成画像を記録媒体に形成する画像形成部とを備える構成とした。
【0012】
取得部で取得した有彩色現像剤像データを、この有彩色現像剤像データの有彩色現像剤の色に色変換した他装置カラープロファイルを用いて、均等色空間データに変換する。そして、変換された均等色空間データを自装置カラープロファイルを用いて、有彩色現像剤像変換データに変換する。このため、この変換後の有彩色現像剤像変換データから形成される有彩色現像剤像と、取得部が自装置カラープロファイルで色変換された有彩色現像剤像データを含む画像データを取得したときの、その有彩色現像剤像データから形成される有彩色現像剤像とは、略同一の有彩色現像剤像が記録媒体に形成される。
なお、取得部で取得した黒色現像剤像データを用いて黒色現像剤像は形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、取得部が取得した画像データが他装置カラープロファイルで色変換されたものであっても、他装置が記録媒体に形成した画像の色とほぼ同じ色で、画像を記録媒体に形成する画像形成装置を提供することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置を備える画像形成システムにおける、画像データ送信装置と複数の画像形成装置との接続関係と、カラープロファイルと画像が形成された記録媒体との関係とを示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図3】通信部が受信する印刷ジョブデータの一例を示す図である。
【図4】画面表示部が表示する警告画面の一例を示す図である。
【図5】画面表示部が表示するエラー表示画面の一例を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る画像形成装置の画像形成処理動作のフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る画像形成装置の色変換処理動作のフローチャートである。
【図8】図7に続く第1の実施形態に係る画像形成装置の色変換処理動作のフローチャートである。
【図9】第1の実施形態に係る画像形成装置の画像表示処理動作のフローチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図11】通信部が受信する印刷ジョブデータの一例を示す図である。
【図12】第2の実施形態に係る画像形成装置の色変換処理動作のフローチャートである。
【図13】図12に続く第2の実施形態に係る画像形成装置の色変換処理動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、第1の実施形態につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0016】
<第1の実施形態>
[画像形成装置の構成]
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置を備える画像形成システムの構成を示す図である。図1を用いて、本発明の概要を説明する。
PC(Personal Computer)などのコンピュータである画像データ送信装置2が備えるLCD(Liquid Crystal Display)などの画像表示部2aの画面には、ドットパターンデータの画像と、ドットパターン以外の帳票などのカラー描画データの画像とが、RGBで色が表現されて表示されている。
ここで、画像データ送信装置2は、ドットパターンデータを「K」で色を表現し、カラー描画データを「CMY」で色を表現して、ドットパターンデータとカラー描画データとを含む画像データを画像形成装置1(1A,1B,1C,・・・)に送信する。
【0017】
画像データ送信装置2が画像形成装置1Aのカラープロファイル(機種αカラープロファイル)で色変換した画像データを、画像形成装置1Aに送信した場合、画像形成装置1Aは、画像表示部2aの画面に表示される画像と同じ色で、記録媒体に画像を形成(印刷)することができる。
一方、画像データ送信装置2が画像形成装置1Bのカラープロファイル(機種βカラープロファイル)で色変換した画像データを、画像形成装置1Aに送信した場合、画像形成装置1Aは「機種αカラープロファイル」で色変換された画像データではないため、画像表示部2aの画面に表示される画像と同じ色で、記録媒体に画像を形成(印刷)することができない。
【0018】
そのため、本発明の画像形成装置は、画像データ送信装置2が「画像形成装置1Bのカラープロファイル」で色変換した画像データを、画像形成装置1Aに送信した場合であっても、画像形成装置1Aは「画像形成装置1Bのカラープロファイル」および「画像形成装置1Aのカラープロファイル」を用いることで、画像データ送信装置2が「画像形成装置1Bのカラープロファイル」で色変換した画像データを、画像形成装置1Aは、一旦「画像形成装置1Bのカラープロファイル」を用いて色変換前の画像データに戻してから、「画像形成装置1Aのカラープロファイル」を用いて再度色変換する。
これにより、画像データ送信装置2が「画像形成装置1Bのカラープロファイル」で色変換した画像データを画像形成装置1Aが受信した場合に、画像形成装置1Bが記録媒体に形成する画像と同じ色で、画像形成装置1Aは記録媒体に画像を形成(印刷)することができる。
【0019】
[画像形成装置の構成]
図2は、第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。図1で示したように、画像形成装置1は、画像データ送信装置2と通信可能に接続されており、受信データとして、例えば、所定のカラープロファイルで色変換された画像データが入力される。
画像形成装置1は、画像形成装置1全体を制御する制御部10と、画像データ送信装置2と接続してデータを受信する通信部20と、データを記憶する記憶部30と、紙などの媒体に画像を形成する画像形成部40と、タッチパネル60(操作入力部61、画面表示部62)とを備える。
画像形成装置1は、例えば、電子写真記録方式のプリンタ、ファクシミリ装置、複写機、MFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)などであるが、いかなる種類の画像形成装置であってもよい。
【0020】
(通信部20)
通信部20は、画像データ送信装置2から受信したデータを一旦記憶部30(後記する受信データ記憶部31)に記憶させる処理部である。
この通信部20は、受信したデータが印刷ジョブデータである場合、記憶部30に印刷ジョブデータを記憶させたことの記憶完了通知を制御部10に出力する。
ここで、第1の実施形態における画像データ送信装置2は、図3に示すような、印刷ジョブデータを送信するものである。印刷ジョブデータについての詳細な説明は後記する。
【0021】
(記憶部30)
記憶部30は、受信データ記憶部31と、カラープロファイル記憶部32と、ディスプレイリスト記憶部33とを備える。この記憶部30は、ROMや、RAM、HDDなどにより構成される。
(受信データ記憶部31)
受信データ記憶部31は、通信部20が受信したデータを記憶する記憶部である。受信データ記憶部31には、例えば、印刷ジョブデータが記憶される。
【0022】
(カラープロファイル記憶部32)
カラープロファイル記憶部32は、予めカラープロファイルを記憶する記憶部である。ここで、カラープロファイル記憶部32には、画像データ送信装置2が通信可能に接続する画像形成装置1すべてのカラープロファイルが記憶されているものとする。
例えば、画像形成装置1Aのカラープロファイル記憶部32には、従来の自装置(画像形成装置1A)の既存カラープロファイル320の他に、複数の外部カラープロファイル321(外部カラープロファイル321B,外部カラープロファイル321C,・・・)(他装置カラープロファイル)と、内部カラープロファイル322(自装置カラープロファイル)とが記憶されている。ここで、図1の「機種αカラープロファイル」が内部カラープロファイル322に該当し、「機種βカラープロファイル」や「機種γカラープロファイル」が外部カラープロファイル321に該当する。
【0023】
(既存カラープロファイル320)
既存カラープロファイル320は、外部装置のカラープロファイルにより「RGB」で表現された色データを、「CMYK」に表現し直すために参照されるデータファイルである。一般的には「RGB」から「Lab」の均等色空間に変換してから「CMYK」に表現される。
【0024】
(外部カラープロファイル321)
外部カラープロファイル321(他装置カラープロファイル)は、外部装置のカラープロファイルによりCMY表色系で表現された色データを、均等色空間(Lab表色系)に表現し直すために参照されるデータファイルである。カラープロファイル記憶部32には、画像形成装置1Bの外部カラープロファイル321Bや、画像形成装置1Cの外部カラープロファイル321Cなどが記憶されている。
【0025】
(内部カラープロファイル322)
内部カラープロファイル322(自装置カラープロファイル)は、均等色空間(Lab表色系)で表現された色データを、CMY表色系で表現しなおすために参照されるデータファイルである。
【0026】
(ディスプレイリスト記憶部33)
ディスプレイリスト記憶部33は、後記する制御部10により、色変換処理後のディスプレイリストデータ(中間データ)を記憶する記憶部である。
【0027】
(制御部10)
制御部10は、画像形成処理を実行する処理部であり、判別処理部11と、第1色変換処理部12と、第2色変換処理部13と、ディスプレイリスト生成部14と、画像生成部15と、画面処理部16と、既存画像処理部17とを備えて構成される。
なお、制御部10は、図示を省略したCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)などを備えた一般的なコンピュータで構成することができ、コンピュータを前記した各部として機能させるプログラムにより実現することができる。
【0028】
(既存画像処理部17)
既存画像処理部17は、自装置(画像形成装置1A)の既存カラープロファイル320をカラープロファイル記憶部32から抽出して、RGBで表現された色を、抽出した既存カラープロファイル320を参照して、CMYKに表現し直す。以上の処理を行うことで、第1色変換処理部12は、印刷ジョブデータに含まれるページデータすべての色をCMYKで表現する。
【0029】
(判別処理部11)
判別処理部11は、通信部20から記憶完了通知を取得したことを契機に、受信データ記憶部31から印刷ジョブデータを取得する。
ここで、印刷ジョブデータについて、図3を用いて説明する。図3は、通信部20が受信する印刷ジョブデータの一例である。
【0030】
《印刷ジョブデータ》
図3に示すように、印刷ジョブデータには、ヘッダデータと1以上のページデータとが含まれる。
ヘッダデータには、ジョブ情報および調色情報が記述されている。ジョブ情報は、この印刷ジョブデータにドットパターンデータが含まれているか否かの情報であり、ドットパターンデータが含まれていれば「ドットパターン有」が記述されており、一方、ドットパターンデータが含まれていなければ「ドットパターン無」が記述されている。また、調色情報は、この印刷ジョブデータが、いずれのカラープロファイルを用いて色変換が行われたか、一つのカラープロファイルを決める識別情報である。
【0031】
ここで、ジョブ情報が「ドットパターン有」の場合、ページデータには、ドットパターンデータと、ドットパターン以外の帳票画像データとが含まれる。ここで、1ページ目の帳票画像データおよびドットパターンデータと、2ページ目の帳票画像データおよびドットパターンデータとの間には、ページ区切りデータが記述されており、容易にページが変わることを判定することができる。また、最終ページ目の帳票画像データおよびドットパターンデータとの後ろには、データ終了を示す記述が有る。これにより、印刷ジョブデータの終了を判定することができる。
【0032】
再び図2に戻り、判別処理部11について説明する。
まず、判別処理部11は、取得した印刷ジョブデータのヘッダデータからジョブ情報を抽出し、ドットパターンの有無を判定する(ドットパターン含有判定処理)。次に、ヘッダデータから調色情報を抽出し、調色情報に自装置(画像形成装置1A)の内部カラープロファイル322が記述されているか否かを判定する(カラープロファイル判定処理)。
【0033】
(ドットパターン含有判定処理)
ドットパターン含有判定処理の結果、ドットパターンが含まれていない場合は、判別処理部11は、既存画像処理部17に処理を移行する。これにより、既存画像処理部17が一般的な画像形成処理を行う。本発明において特に記載すべきことではないため説明を省略する。
一方、ドットパターン含有判定処理の結果、ドットパターンが含まれている場合は、判別処理部11は、カラープロファイル判定処理を実行する。
【0034】
(カラープロファイル判定処理)
カラープロファイル判定処理の結果、カラープロファイルが自装置(画像形成装置1A)のカラープロファイルである場合、つまり、内部カラープロファイル322である場合、判別処理部11は、ディスプレイリスト生成部14に印刷ジョブデータを出力する。
一方、カラープロファイル判定処理の結果、カラープロファイルが自装置(画像形成装置1A)のカラープロファイルではない場合、つまり、他装置(画像形成装置1Bや画像形成装置1Cなど)のカラープロファイル(外部カラープロファイル321)である場合、判別処理部11は、第1色変換処理部12に印刷ジョブデータを出力する。
【0035】
(第1色変換処理部12)
第1色変換処理部12は、外部カラープロファイル321を参照して、帳票画像データに含まれる色情報を変換する処理部である。
まず、第1色変換処理部12は、印刷ジョブデータのヘッダデータに記述された調色情報に基づき、カラープロファイル記憶部32から外部カラープロファイル321を抽出する。また、第1色変換処理部12は、印刷ジョブデータのページデータ毎に、帳票画像データを抽出する。ここで、調色情報に、画像形成装置1Bのカラープロファイルが記述されていれば、画像形成装置1Bの外部カラープロファイル321Bを抽出する。
【0036】
次に、第1色変換処理部12は、帳票画像データに含まれるCMY表色系で表現された色を、抽出した外部カラープロファイル321(321B)を参照して、均等色空間(Lab表色系)に表現し直すという色変換を行う。以上の処理を行うことで、第1色変換処理部12は、印刷ジョブデータに含まれるページデータすべての帳票画像データの色を均等色空間で表現する。
そして、第1色変換処理部12は、この均等色空間で色を表現し直した帳票画像データと、この帳票画像データを抽出したページデータとを第2色変換処理部13に出力する。
【0037】
ここで、カラープロファイル記憶部32に目的の外部カラープロファイル321(321B)がなかった場合、第1色変換処理部12は、外部カラープロファイル321(321B)がない旨のデータおよび印刷ジョブデータを、画面処理部16に出力する。
【0038】
(第2色変換処理部13)
第2色変換処理部13は、内部カラープロファイル322を参照して、帳票画像データに含まれる色情報を変換する処理部である。
第2色変換処理部13は、カラープロファイル記憶部32から内部カラープロファイル322を抽出する。また、第2色変換処理部13は、印刷ジョブデータのページデータ毎に、帳票画像データを抽出する。この帳票画像データは、第1色変換処理部12により、均等色空間(Lab表色系)で表現されたものである。
次に、第2色変換処理部13は、帳票画像データに含まれる均等色空間で表現された色を、抽出した内部カラープロファイル322を参照して、CMY表色系に表現し直す。以上の処理を行うことで、第2色変換処理部13は、印刷ジョブデータに含まれるページデータすべての帳票画像データの色をCMY表色系で表現する。
そして、第2色変換処理部13は、このCMY表色系で色を表現し直した帳票画像データ(色変換後帳票画像データ)と、この帳票画像データを抽出したページデータとをディスプレイリスト生成部14に出力する。
【0039】
(ディスプレイリスト生成部14)
ディスプレイリスト生成部14は、帳票画像データおよびドットパターンデータから、ディスプレイリストデータを生成し、ディスプレイリスト記憶部33に記憶させる処理部である。
ここで、ディスプレイリスト生成部14は、第2色変換処理部13から処理の移行を受けて、色変換後帳票画像データおよびページデータを取得した場合、ディスプレイリスト生成部14は、第2色変換処理部13から取得した色変換後帳票画像データおよびページデータから、色変換後帳票画像データと同じページデータに含まれるドットパターンデータを抽出する。そして、ディスプレイリスト生成部14は、色変換後帳票画像データと、抽出したドットパターンデータとを一組として、DL(Display List)と呼ばれる中間データ(以下、ディスプレイリストデータと称する)を生成する。そして、ディスプレイリスト生成部14は、生成したディスプレイリストデータをディスプレイリスト記憶部33に記憶させる。
【0040】
一方、ディスプレイリスト生成部14が、判別処理部11から処理の移行を受けて、印刷ジョブデータを取得した場合、ディスプレイリスト生成部14は、印刷ジョブデータのページデータ毎に、帳票画像データおよびドットパターンデータを抽出する。そして、ディスプレイリスト生成部14は、帳票画像データとドットパターンデータとを一組として、ディスプレイリストデータを生成し、ディスプレイリスト記憶部33に記憶させる。
【0041】
(画像生成部15)
画像生成部15は、ディスプレイリスト記憶部33からディスプレイリストデータ(中間データ)を取得して、帳票画像データおよびドットパターンデータを組み合わせた画像を生成し、画像形成部40において画像形成可能な所定の形式にあわせた変更を行い、画像を画像形成部40に出力する処理部である。
【0042】
(画面処理部16)
画面処理部16は、第1色変換処理部12から、外部カラープロファイル321(321B)がない旨のデータおよび印刷ジョブデータを取得したことを契機に、カラープロファイルがない旨の情報をユーザに通知するために、図4に示すような警告画面610をタッチパネル60(画面表示部62)に表示させる。さらに、画面処理部16は、時刻を得られるタイマ部(不図示)を用いて、警告画面610の表示時間を計測する。
【0043】
この警告画面610には、外部カラープロファイル321(321B)の代わりに、自装置(画像形成装置1A)の内部カラープロファイル322を用いて画像形成処理を続行させる指示である続行ボタン611、または、画像形成処理を終了させる指示であるキャンセルボタン612を表示させ、ユーザに選択を促す情報も表示する。
【0044】
ここで、警告画面610において、ユーザによりタッチパネル60(操作入力部61)を介して続行ボタン611が選択された場合には、画面処理部16は、ディスプレイリスト処理部14に処理を移行する。そして、ディスプレイリスト生成部14は、判別処理部11から印刷ジョブデータを取得した場合と同じ処理を行う。
【0045】
一方、警告画面610において、ユーザによりタッチパネル60(操作入力部61)を介してキャンセルボタン612が選択された場合には、画面処理部16は、画像形成処理を終了(中断)する。
また、警告画面610の表示時間が所定時間を超えて表示された場合には、画面処理部16は、図5に示すようなエラー表示画面620をタッチパネル60(画面表示部62)に表示させ、画像形成処理を終了(中断)する。エラー表示画面620の戻るボタン621を選択することにより、不図示の初期画面が表示される。
【0046】
(画像形成部40)
画像形成部40は、画像生成部15から取得した画像を、紙などの媒体に形成する処理部である。例えば、画像形成部40は、図示を省略した露光装置や現像装置、定着器、感光ドラム、転写ローラ、用紙搬送ローラ、それらを駆動する駆動部を備え、露光装置により形成された静電潜像から現像されたトナー像を搬送された記録媒体に転写(形成)する。
【0047】
[画像形成処理]
次に、画像形成装置1(1A)が実行する画像形成処理について、図6を用いて説明する。ここで、画像形成装置1は、画像データ送信装置2から送信される画像データを通信部20が受信し、受信データ記憶部31に記憶させる。ここで、通信部20が、記憶部30(受信データ記憶部31)に印刷ジョブデータを記憶させたことの記憶完了通知を制御部10(判別処理部11)に出力したことを契機に、画像形成処理(図6)を実行する。
【0048】
まず、判別処理部11は、通信部20から記憶完了通知を取得し(ステップS101)、その記憶完了通知に基づき、受信データ記憶部31から印刷ジョブデータを取得する(ステップS102)。
そして、判別処理部11は、図7〜図8に示す色変換処理を実行開始する(ステップS103)。この色変換処理については、後記する。
【0049】
その後、画像生成部15は、ディスプレイリスト記憶部33にからディスプレイリストデータを取得し(ステップS104)、ディスプレイリストデータから画像を生成する(ステップS105)。画像生成部15は、生成した画像を画像形成部40に出力する。
画像形成部40は、画像生成部15から取得した画像を媒体に形成する(ステップS106)。そして、画像形成装置1は、画像形成処理を終了する。
【0050】
[色変換処理]
次に、画像形成装置1(1A)が実行する色変換処理について、図7〜図8を用いて説明する。
まず、判別処理部11は、受信データ記憶部31から取得した印刷ジョブデータに含まれるジョブ情報を抽出する(ステップS201)。そして、抽出したジョブ情報から、印刷ジョブデータにドットパターンデータが含まれているか否かを判定する(ドットパターン含有判定,ステップS202)。ここでは、ジョブ情報に、「ドットパターン有」と記述されているか否かで判定する。
【0051】
ジョブ情報に「ドットパターン無」と記述されていた場合(ステップS202,No)、判別処理部11は、既存画像処理部17に処理を移行する(ステップS203)。これにより、既存画像処理部17は、既存画像処理を実行開始する(ステップS900)。
【0052】
一方、ジョブ情報に「ドットパターン有」と記述されていた場合(ステップS202,Yes)、判別処理部11は、受信データ記憶部31から取得した印刷ジョブデータに含まれる調色情報を抽出する(ステップS204)。そして、抽出した調色情報から、印刷ジョブデータに含まれる帳票画像データが、画像形成装置1の内部カラープロファイル322により調色されたものであるか否かを判定する(カラープロファイル判定,ステップS205)。ここでは、調色情報に記述されたカラープロファイルの情報が、内部カラープロファイル322であるか否かで判定する。
内部カラープロファイル322である場合(ステップS205,Yes)、判別処理部11は、ディスプレイリスト生成部14に処理を移行する(ステップS217)。
【0053】
一方、内部カラープロファイル322ではない場合(ステップS205,No)、判別処理部11は、第1色変換処理部12に処理を移行する。このとき、判別処理部11は、調色情報に記述されたカラープロファイル(外部カラープロファイル321(321B))の情報を含む印刷ジョブデータを、第1色変換処理部12に出力する。
【0054】
第1色変換処理部12は、調色情報に記述された外部カラープロファイルが、カラープロファイル記憶部32に記憶されているか検索し(ステップS206)、その外部カラープロファイルが記憶されているか否かを判定する(ステップS207)。
【0055】
外部カラープロファイルが記憶されていない場合(ステップS207,No)、第1色変換処理部12は、画面処理部16に処理を移行する(ステップS208)。これにより、画面処理部16は、画面表示処理動作を実行開始する(ステップS300)。画面処理部16が実行する画面表示処理については、図9を用いて後記する。
【0056】
一方、外部カラープロファイルが記憶されている場合(ステップS207,Yes)、第1色変換処理部12は、調色情報に記述されたカラープロファイルの情報に該当する外部カラープロファイル321(321B)を、カラープロファイル記憶部32から抽出する(ステップS209)。
【0057】
第1色変換処理部12は、印刷ジョブデータに含まれるページデータから帳票画像データを抽出し(ステップS210,図8)、その帳票画像データに含まれる色を、外部カラープロファイル321(321B)で『CMY表色系』から『均等色空間』に色変換する(ステップS211)。
【0058】
第2色変換処理部13は、内部カラープロファイル322を、カラープロファイル記憶部32から抽出する(ステップS212)。
第2色変換処理部13は、第1色変換処理部12により色変換された後の帳票画像データに含まれる色を、抽出した内部カラープロファイル322で『均等色空間』から『CMY表色系』に色変換する(ステップS213)。
【0059】
ディスプレイリスト生成部14は、第2色変換処理部13により色変換された後の帳票画像データと、その帳票画像データと同じページデータに含まれるドットパターンデータとを一組のデータとしたディスプレイリストデータを生成する(ステップS214)。その後、生成したディスプレイリストデータをディスプレイリスト記憶部33に記憶させる(ステップS215)。
【0060】
次に、ディスプレイリスト生成部14は、印刷ジョブデータに含まれるすべての帳票画像データが色変換されたか否かを判定する(ステップS216)。まだ色変換していない帳票画像データがあれば(ステップS216,No)、ステップS210の処理を再度行う。
一方、印刷ジョブデータに含まれるすべての帳票画像データの色変換が済んでいる場合(ステップS216,Yes)、ディスプレイリスト生成部14は、色変換処理を終了する。これにより、図6のステップS104が実行される。
【0061】
ここで、ステップS205の処理で、調色情報に記述されたカラープロファイルの情報が内部カラープロファイル322であり(ステップS205,Yes)、ディスプレイリスト生成部14が判別処理部11から処理の移行を受けた場合、ディスプレイリスト生成部14は、第1色変換処理部12は、印刷ジョブデータに含まれるページデータから帳票画像データおよびドットパターンデータを抽出する(ステップS217)。
【0062】
ディスプレイリスト生成部14は、帳票画像データおよびドットパターンデータを一組のデータとしたディスプレイリストデータを生成する(ステップS218)。その後、生成したディスプレイリストデータをディスプレイリスト記憶部33に記憶させる(ステップS219)。
【0063】
次に、ディスプレイリスト生成部14は、印刷ジョブデータに含まれるすべての帳票画像データを抽出したか否かを判定する(ステップS220)。まだ抽出していない帳票画像データがあれば(ステップS220,No)、ステップS217の処理を再度行う。
一方、印刷ジョブデータに含まれるすべての帳票画像データの抽出が済んでいる場合(ステップS220,Yes)、ディスプレイリスト生成部14は、色変換処理を終了する。これにより、図6のステップS104が実行される。
【0064】
[画像表示処理]
次に、画像形成装置1が実行する画像表示処理について、図9を用いて説明する。
まず、画面処理部16は、第1色変換処理部12から、外部カラープロファイルがない旨のデータおよび印刷ジョブデータを取得する(ステップS301)。このことを契機に、画面処理部16により画像表示処理が実行される。
【0065】
画面処理部16は、警告画面610(図4)を画面表示部62に表示させる(ステップS302)。このとき、画面処理部16は、時間を計測するタイマ部(不図示)を用いて警告画面610の表示時間を計測する(ステップS303)。そして、画面処理部16は、操作入力部61により所定時間内にボタンが選択されたことを検出できたか否かを判定する(ステップS304)。
【0066】
画面処理部16が所定時間内にボタンが選択されたことを検出できなかった場合(ステップS304,No)、画面処理部16は、エラー表示画面620を画面表示部62に表示させる(ステップS305)。
そして、ユーザにより操作入力部61が操作されて、画面表示部62に表示されたエラー表示画面620の「戻る」ボタンが押下されることで、画面処理部16は、画像形成処理を終了させる処理を行う(ステップS306)。
【0067】
一方、画面処理部16が所定時間内にボタンが選択されたことを検出できた場合(ステップS304,Yes)、画面処理部16は、選択されたボタンの判定を行う(ステップS307)。
【0068】
ここで、警告画面610にて選択されたボタンが続行ボタン611である場合(ステップS307,続行ボタン611)、画面処理部16は、ディスプレイリスト生成部14に処理を移行する(ステップS308)。これにより、図9のステップS217の処理が行われる。
【0069】
一方、警告画面610にて選択されたボタンがキャンセルボタン612である場合(ステップS307,キャンセルボタン)、画面処理部16は、画像形成処理を終了させる処理を行う(ステップS306)。そして、画像表示処理を終了する。
【0070】
[既存画像処理]
ここで、図7および図8にて、ステップS900として記載した「既存画像処理」は、カラープロファイル記憶部32に記憶された既存カラープロファイル320を抽出して、RGBで表現された色を、既存カラープロファイル320を参照して、CMYKに表現し直す処理である。一般的な処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0071】
以上の構成を備えることにより、第1の実施形態の画像形成装置1は、通信部20(取得部)が取得した画像データを含む印刷ジョブデータに含まれる帳票画像データ(有彩色現像剤像データ)を、『CMY表色系』(有彩色現像剤像データ)から『均等色空間』(均等色空間データ)に色変換する外部カラープロファイル(他装置カラープロファイル)と、『均等色空間』(均等色空間データ)から『CMY表色系』(有彩色現像剤像変換データ)に色変換する内部カラープロファイル(自装置カラープロファイル)とを用いて、帳票画像データの色変換を行う。
よって、通信部20(取得部)が取得した印刷ジョブデータ(画像データ)に含まれる、自装置のカラープロファイルで色変換された帳票画像データ(有彩色現像剤像データ)と、第1の実施形態の画像形成装置1により生成された色変換後の帳票画像データ(有彩色現像剤像変換データ)とは、略同一である。
そのため、第1の実施形態の画像形成装置1によれば、第1の実施形態の画像形成装置1が色変換後の帳票画像データ(有彩色現像剤像変換データ)から記録媒体に形成した画像(有彩色現像)は、通信部20(取得部)が取得した印刷ジョブデータ(画像データ)に含まれる、自装置のカラープロファイルで色変換された帳票画像データ(有彩色現像剤像データ)から記録媒体に形成した画像(有彩色現像)と略同一の色で、画像を形成することができる。
【0072】
また、第1の実施形態の画像形成装置1は、自装置以外のカラープロファイルで色変換された帳票画像データ(有彩色現像剤像データ)を通信部20(取得部)が取得しても、適合する外部カラープロファイル321(他装置カラープロファイル)をカラープロファイル記憶部32から抽出して、外部カラープロファイル321(他装置カラープロファイル)および内部カラープロファイル(自装置カラープロファイル)を用いて、色変換した帳票画像データ(有彩色現像剤像変換データ)から記録媒体に画像(有彩色現像剤像)を形成する。
これにより、第1の実施形態の画像形成装置1によれば、他装置が、当該他装置のカラープロファイル(他装置カラープロファイル)で色変換された帳票画像データ(有彩色現像剤像データ)を取得して、その帳票画像データ(有彩色現像剤像データ)から記録媒体に形成する画像(有彩色現像剤像)と、略同一の有彩色現像剤像を記録媒体に形成することができる。
【0073】
また、第1の実施形態の画像形成装置1は、一旦「CMY(有彩色現像剤像データ)」から「Lab(均等色空間データ)」に色変換する外部カラープロファイル(他装置カラープロファイル)と、「Lab(均等色空間データ)」から「CMY(有彩色現像剤像変換データ)」に色変換する内部カラープロファイル(自装置カラープロファイル)とを用いて、画像を形成している。このように、2種類のカラープロファイルを用いる場合、画像形成装置1の数(nは自然数)に対して、画像形成装置1ごとに、自装置に記憶する1つの内部カラープロファイルと、他装置に記憶する1種類の外部カラープロファイルとを用意する必要がある。そして、各画像形成装置1は、それぞれ、1つの内部カラープロファイルと、(n−1)個(他装置の数)の外部カラープロファイルとを、記憶部30(カラープロファイル記憶部32)に記憶させればよい。すなわち、画像形成システム内に、新たに(n+1)台目の画像形成装置1が加わっても、自装置に記憶する1つの内部カラープロファイルと、他装置に記憶する1種類の外部カラープロファイルとの、2種類のカラープロファイルを用意すればよい。
これに対して、「CMY(有彩色現像剤像データ)」から直接「CMY(有彩色現像剤像変換データ)」に色変換するカラープロファイルを用いる場合、自装置の画像形成装置と他装置の画像系装置との組み合わせの数だけ、つまり、(n−1)種類(他装置の数)のカラープロファイルを用意する必要がある。すなわち、画像形成システム内に、新たに画像形成装置Qn+1が加わることにより、n種類のカラープロファイルを用意する必要がある。
以上のように、第1の実施形態の画像形成装置1によれば、外部カラープロファイル(他装置カラープロファイル)と、内部カラープロファイル(自装置カラープロファイル)とを用いることで、画像形成装置が多数備わる大規模な画像形成システムであるほど、ユーザ(システム管理者)がカラープロファイルを生成する手間を省くことができる。
【0074】
<第2の実施形態>
[画像形成装置の構成]
図10は、第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
第2の実施形態に係る画像形成装置101は、第1の実施形態に係る画像形成装置1とほぼ同じ構成であるが、以下の点で構成が異なる。第1に、カラープロファイル記憶部32の代わりに、カラープロファイル記憶部132を備える。第2に、第1色変換処理部12の変わりに、外部カラープロファイル抽出部112を備えて、制御部110を構成する。第3に、画面処理部16およびタッチパネル60を備えなくてもよい。
【0075】
ここで、第2の実施形態における画像データ送信装置2は、図11に示すような、カラープロファイルデータ(外部カラープロファイル321)が含まれる印刷ジョブデータを送信するものである。
《印刷ジョブデータ》
図11に示すように、印刷ジョブデータには、ヘッダデータとカラープロファイルデータと1以上のページデータとが含まれる。ヘッダデータおよびページデータについては、第1の実施形態における画像データ送信装置2が送信した印刷ジョブデータ(図3)に含まれるデータと同じであるため、ここでは説明を省略する。
この印刷ジョブデータにカラープロファイルデータとして含まれる外部カラープロファイル321は、第1の実施形態の画像形成装置1が備えるカラープロファイル記憶部32に記憶された外部カラープロファイル321と同じものであるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
再び図10の説明に戻る。
(カラープロファイル記憶部132)
記憶部30が備えるカラープロファイル記憶部132は、予めカラープロファイルを記憶する記憶部であり、自装置(画像形成装置1A)の既存カラープロファイル320の他に、図1の「機種αカラープロファイル」に該当する内部カラープロファイル322とが記憶されている。第1の実施形態に係る画像形成装置1が備えるカラープロファイル記憶部132と異なり、外部カラープロファイル321が記憶されていない。
【0077】
(外部カラープロファイル抽出部112)
画像形成装置101全体を制御する制御部110が備える外部カラープロファイル抽出部112は、印刷ジョブデータに含まれる外部カラープロファイル321を抽出する処理部である。
まず、外部カラープロファイル抽出部112は、印刷ジョブデータに含まれる外部カラープロファイル321を抽出する。さらに、外部カラープロファイル抽出部112は、印刷ジョブデータのページデータ毎に、帳票画像データを抽出する。
次に、外部カラープロファイル抽出部112は、帳票画像データに含まれるCMY表色系で表現された色を、抽出した外部カラープロファイル321を参照して、均等色空間(Lab表色系)に表現し直すという色変換を行う。以上の処理を行うことで、外部カラープロファイル抽出部112は、印刷ジョブデータに含まれるページデータすべての帳票画像データの色を均等色空間で表現する。
そして、外部カラープロファイル抽出部112は、この均等色空間で色を表現し直した帳票画像データと、この帳票画像データを抽出したページデータとを第2色変換処理部13に出力する。
【0078】
[色変換処理]
第2の実施形態に係る画像形成装置101が実行する色変換処理について、図12を用いて説明する。ここで、第2の実施形態に係る画像形成装置101は、第1の実施形態に係る画像形成装置1と、画像形成処理(図6)および画像表示処理(図9)が共通するため、それらの処理の説明を省略する。色変換処理(図7〜8)においても、ステップS201〜S205およびステップS212〜S220の処理が共通するため、それらの処理の説明を省略する。
【0079】
ステップS205にて、判別処理部11は、カラープロファイル判定を行い、印刷ジョブデータに含まれる調色情報から、印刷ジョブデータに含まれる帳票画像データが、画像形成装置1の内部カラープロファイル322により調色されたものであるか否かを判定する。
内部カラープロファイル322ではない場合(ステップS205,No)、判別処理部11は、外部カラープロファイル抽出部112に処理を移行する。このとき、判別処理部11は、調色情報に記述されたカラープロファイルデータ(外部カラープロファイル321(321B))の情報を含む印刷ジョブデータを、外部カラープロファイル抽出部112に出力する。
【0080】
外部カラープロファイル抽出部112は、外部カラープロファイル321(321B)を印刷ジョブデータから抽出する(ステップS1209,図12)。そして、外部カラープロファイル抽出部112は、印刷ジョブデータに含まれるページデータから帳票画像データを抽出し(ステップS1210,図13)、その帳票画像データに含まれる色を、外部カラープロファイル321(321B)で『CMY表色系』から『均等色空間』に色変換する(ステップS1211)。そして、外部カラープロファイル抽出部112は、第2色変換処理部13に処理を移行する。
【0081】
第2の実施形態の画像形成装置101によれば、第1の実施形態に係る画像形成装置1と同様の効果を有する。さらに、第2の実施形態の画像形成装置101によれば、外部カラープロファイル321を予め記憶させる必要がないため、第1の実施形態に係る画像形成装置1より利便性が高い。
例えば、図1に示すような、画像データ送信装置2と、複数の画像形成装置1(1A,1B,1C)とで構成される画像形成システムにおいて、新たに画像形成装置1Xを接続させたときに、第1の実施形態では、画像形成装置1Xの外部カラープロファイル321Xを、画像形成装置1(1A,1B,1C)それぞれの記憶部30(カラープロファイル記憶部32)に記憶させることを予め行う必要があった。
【0082】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0083】
例えば、プロファイルデータがない場合、プロファイルデータがない旨の警告を、画面表示部62(図1)に表示させて、印刷ジョブデータを破棄するか、または、そのまま画像形成部40に画像を形成させるかを、ユーザに選択させてもよい。
【0084】
また、第1の実施形態および第2の実施形態にて、均等色空間として、Lab表色系を用いているが、Luv表色系であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1(1A,1B,1C,・・・) 画像形成装置
2 画像データ送信装置
10 制御部
11 判別処理部
12 第1色変換処理部
13 第2色変換処理部
14 ディスプレイリスト生成部(合成処理部)
15 画像生成部
16 画面処理部
17 既存画像処理部
20 通信部(取得部)
30 記憶部
31 受信データ記憶部
32 カラープロファイル記憶部
33 ディスプレイリスト記憶部
40 画像形成部
60 タッチパネル
61 操作入力部
62 画面表示部
320 既存カラープロファイル
321(321B,321C,・・・) 外部カラープロファイル(他装置カラープロファイル)
322 内部カラープロファイル(自装置カラープロファイル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他装置カラープロファイルで色変換された有彩色現像剤像データおよび黒色現像剤の濃度で表現される黒色現像剤像データを含む画像データを取得する取得部と、
前記有彩色現像剤像データを、前記他装置カラープロファイルを用いて均等色空間に色変換して、均等色空間データを取得する第1色変換処理部と、
前記均等色空間データを、自装置カラープロファイルを用いて色変換して、有彩色現像剤像変換データを取得する第2色変換処理部と、
前記有彩色現像剤像変換データと前記取得部が取得した黒色現像剤像データとを合成した合成画像データを生成する合成処理部と、
前記合成処理部で合成された合成画像を記録媒体に形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記自装置カラープロファイルおよび複数種類の前記他装置カラープロファイルを記憶する記憶部と、
前記取得部が取得した有彩色現像剤像データが、どの前記他装置カラープロファイルで色変換されたものかを判別する判別処理部と
をさらに備え、
前記第1色変換処理部は、前記判別処理部により判別されたいずれかの前記他装置カラープロファイルを前記記憶部から取得し、
前記第2色変換処理部は、前記自装置カラープロファイルを前記記憶部から取得する
ことを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項3】
前記画像データには、当該画像データに含まれる有彩色現像剤像データを色変換したカラープロファイルを示す、カラープロファイル情報が埋め込まれており、
前記判別処理部は、前記取得部が取得した画像データに埋め込まれた前記カラープロファイル情報から前記判別をすることを特徴とする請求項2に記載された画像形成装置。
【請求項4】
前記取得部が取得した画像データから、当該画像データに埋め込まれた前記他装置カラープロファイルを抽出する抽出処理部と、
前記自装置カラープロファイルを記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記第1色変換処理部は、前記抽出処理部から前記他装置カラープロファイルを取得し、
前記第2色変換処理部は、前記自装置カラープロファイルを前記記憶部から取得する
ことを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成部は、
前記有彩色現像剤像変換データを用いて、CMY表色系の現像剤で画像を形成し、
前記黒色現像剤像データを用いて、黒色の現像剤で画像を形成する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載された画像形成装置。
【請求項6】
前記黒色現像剤像データは、アノト(登録商標)パターンを含むデータであり、前記黒色現像剤はカーボンを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−129875(P2012−129875A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280911(P2010−280911)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】