説明

画像形成装置

【課題】スキャンした画像データを、より簡単かつ安全に保護するとともにそのユーザが容易に利用できるようにする。
【解決手段】ユーザID及びパスワードを含むユーザ認証情報の入力に応答してログイン処理を行い、該ユーザID及びパスワードに基づき秘密キー23aを生成し、操作パネル27からのスキャン指示に応答して原稿画像をスキャンしその画像データを該秘密キーで暗号化してファイル25aを生成する。その後直ぐに又は再ログインし秘密キー23aを生成した後に、操作パネル27で選択されたファイル25aを秘密キー23aで復号し、操作パネル27からの指示に応答して該復号されたファイルの内容を出力する。ユーザIDとパスワードとの結合を暗号化し、これを秘密キー23aとしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログイン処理機能及びファイル暗号化機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、原稿画像をスキャナで読み取って画像ファイルに変換した後、そのサムネイル画像を生成し、ユーザ認証時のユーザIDを暗号化キーとして両者を暗号化し、その後、このユーザが再度ユーザ認証しこのファイルを選択した時に、そのユーザIDを復号キーとして、選択されたファイルを復号してサムネイルを表示させている。
【0003】
この構成によれば、煩雑な操作を行うことなく画像ファイルを安全に保護するとともに、そのサムネイルを表示させることができる。
【0004】
上記公報ではまた、他の態様として、ユーザに暗号化キーを入力させ、この暗号化キーとユーザIDとを対応付けておき、この暗号化キーで画像ファイルを暗号化し、復号する際には、ユーザ認証時のユーザIDと対応つけられた暗号化キーを復号キーとして用いている。
【0005】
この構成によれば、より安全に画像データを保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−211333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、後者の場合、ユーザは暗号化キーを入力しなければならない。
【0008】
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、スキャンした画像データを、より簡単かつ安全に保護するとともにそのユーザが容易に利用することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様では、ユーザID及びパスワードを含むユーザ認証情報を入力するユーザ認証情報入力手段と、該ユーザ認証情報の入力に応答してログイン処理を行うログイン手段と、指示入力手段と、該指示入力手段からのスキャン指示に応答して原稿画像をスキャンし画像データを生成する画像スキャン手段と、出力手段と、制御手段とを備えた画像形成装置において、
該制御手段は、ログインしたユーザのユーザID及びパスワードに基づき秘密キーを生成し、該画像スキャン手段で生成された画像データを該秘密キーで暗号化してファイルを生成し、該指示入力手段で選択されたファイルを該秘密キーで復号し、該指示入力手段からの出力指示に応答して該復号されたファイルの内容を該出力手段で出力させる。
【0010】
本発明による画像形成装置の第2態様では、第1態様において、該秘密キーは、ユーザIDとパスワードとを結合したものを暗号化したものである。
【発明の効果】
【0011】
上記第1態様の構成によれば、ログインしたユーザのユーザID及びパスワードに基づき秘密キーを生成し、該秘密キーでスキャン画像データを暗号化/復号するので、スキャンした画像データを、より簡単かつ安全に保護するとともにそのユーザが容易に利用することができるという効果を奏する。
【0012】
上記第2態様の構成によれば、該秘密キーが、ユーザIDとパスワードとを結合したものを暗号化したものであるので、ユーザの操作を煩雑化することなく、ユーザのパスワード及びスキャンした画像データをより安全に保護することができるという効果を奏する。
【0013】
本発明の他の目的、特徴的な構成及び効果は、以下の説明を特許請求の範囲及び図面の記載と関係づけて読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置のハードウェアの一部とソフトウェア機能ブロックとを示す概略ブロック図である。
【図2】図1のログイン処理部理での処理結果に応答して開始される受付準備処理の概略フローチャートである。
【図3】(A)はスキャンスタートボタンの押下に応答して開始されるスキャン処理の概略フローチャートであり、(B)は暗号化ファイルの選択に応答して開始されるサムネイル表示処理の概略フローチャートる。
【図4】本発明の実施例1に係る画像形成システムのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【実施例1】
【0015】
図4は、本発明の実施例1に係る画像形成システムのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0016】
このシステムでは、PC(パーソナルコンピュータ)10と画像形成装置20とがネットワーク30で結合されている。
【0017】
画像形成装置20では、CPU21がインターフェイス22を介してPROM23、DRAM24、ハードディスクドライブ25、ネットワークインターフェイス26、操作パネル27、スキャナ28、プリンタ29、ICカードリーダ2A及びファックスモデム2Bに結合されている。図4では、簡単化の為に、複数種のインターフェイスを1つのブロック22で表している。
【0018】
PROM23は、例えばフラッシュメモリであり、BIOS(Basic Input/Output System)、OS(Operating System)、各種ドライバ、及び、画像形成装置として機能させるための各種アプリケーションが格納されている。DRAM24は、主記憶装置として用いられる。ハードディスクドライブ25には、印刷用データ、スキャナで読み取った画像データ及びファクシミリ受信データが保存される。ネットワークインターフェイス26は、ネットワーク30に結合されている。操作パネル27は、入力部及び表示部を供えている。スキャナ28は、画像ファイル生成のために用いられ、このファイルは印刷、ファクシミリ送信又はファイル送信のために用いられる。プリンタ29は、プリントエンジン並びに用紙の給紙部、搬送部及び排紙部を備え、DRAM24に生成されたビットマップデータが供給され、このデータに基づいて感光ドラムに静電潜像を形成し、この像をトナーで現像し、トナー像を用紙に転写し定着させ、排紙する。ICカードリーダ2Aは、電波を介してICカード40と通信することにより、管理者又はユーザを認証するためのものである。
【0019】
PC10にも、電波を介してICカード40と通信することにより管理者又はユーザを認証するためのICカードリーダ1Aが接続されている。
【0020】
図1は、図4の画像形成装置20のハードウェアの一部と機能ブロックとを示す概略ブロック図である。図1中、ブロック50〜56はいずれも、PROM23内のプログラムと、これを実行するCPU21とにより構成される機能ブロックである。秘密キー23aはPROM23内に保存され、ワークエリア24aはDRAM24内の一部領域であり、暗号化画像ファイル25aはハードディスクドライブ25に保存される。
【0021】
ユーザがICカード40をICカードリーダ2Aに翳すと、ICカード40がICカードリーダ2Aで検出され、ユーザID及びパスワードがユーザ認証情報として暗号化通信を介しICカード40から読み出され、ICカードリーダ2Aで復号されてログイン処理部50に供給される。この供給イベントに応答して、図2の処理が開始される。以下、括弧内は図中のステップ識別符号である。
【0022】
(S10)ログイン処理部50は、ICカードリーダ2AからのユーザID及びパスワードを、PROM23に予め登録されているユーザID及びパスワードと照合して、正規のユーザであるか否かを判定し、その結果を制御部51に供給する。
【0023】
(S11)制御部51は、正規ユーザと判定された場合にはステップS12の処理に移り、そうでなければステップS14の処理に移る。
【0024】
(S12)制御部51は、ログイン処理部50から供給されたユーザIDとパスワードとを秘密キー生成部53に供給する。秘密キー生成部53はこれに応答して、これらユーザIDとパスワードとを結合させ、これを秘密キー23aとしてPROM23に保存し、制御を制御部51に戻す。この結合は、再現性のあるもの(規則的に行ったもの)であればよく、例えば、両者を単にシリアルに並べる(一方を他方の上位に配置する)ものや、両者を1ビットずつ交互に割り込ませせるものであってもよい。
【0025】
(S13)制御部51は、ユーザインターフェイス部52を介し操作パネル27に操作メニューを表示させて、画像形成装置20の各機能を使用可能な状態にし、図2の処理を終了する。
【0026】
(S14)制御部51は、ユーザインターフェイス部52を介し操作パネル27に、ICカード40が正規のものでないため画像形成装置20を使用不可であることを表示させ、図2の処理を終了する。
【0027】
ユーザはスキャナ28のオートシートフィーダに原稿を載置し、操作パネル27を操作してスキャン機能を選択し、読取解像度等を設定して、スタートボタンを押下する。これにより、図3(A)に示す処理が開始される。
【0028】
(S20)制御部51はスキャナ28を駆動させて原稿をスキャンさせ、その画像データをワークエリア24aとしてDRAM24内に格納させる。
【0029】
(S21)この画像データのうち、先頭頁をサムネイル生成部54に供給して、そのサムネイルをワークエリア24a内に生成させる。
【0030】
(S22)制御部51は、暗号化部55を介しワークエリア24a内の上記画像データとサムネイルとを秘密キー23aで暗号化させる。
【0031】
(S23)制御部51はファイル読出・書込部56を介し、これら暗号化されたデータを1つの暗号化画像ファイル25aとしてハードディスクドライブ25に保存させるとともに、暗号化画像ファイル25aをユーザIDと対応付ける。この対応付けは例えば、暗号化画像ファイル25aのファイル名にユーザIDを含ませることにより、又は、テーブルにこのファイル名とユーザIDを対応付けた行を追加することにより行われる。
【0032】
この後、又は、一旦ログアウトしICカード40をICカードリーダ2Aに翳して図2の処理が行われた後に、ユーザが操作パネル27を操作して暗号化画像ファイル25aを選択すると、図3(B)の処理が開始される。
【0033】
(S30)制御部51はファイル読出・書込部56を介し、選択された暗号化画像ファイル25aの内容をワークエリア24aにロードさせる。
【0034】
(S31)制御部51は復号部57を介し、ワークエリア24a内のこのデータを秘密キー23aで復号させて、これをワークエリア24a内に書き込ませる。
【0035】
(S32)制御部51は、復号されたデータのうちサムネイルを、ユーザインターフェイス部52を介し操作パネル27に表示させる。
【0036】
その後、ユーザが操作パネル27を操作してこのサムネイルに関し、画像出力指示、例えば印刷指示を与えると、制御部51は、ワークエリア24a内のサムネイルを除く本体部の画像データを印刷可能に処理してプリンタ29に供給することにより印刷を行わせる。
【0037】
操作パネル27及びICカードリーダ2Aの機能は、リモート制御でも行うことができる。すなわち、画像形成装置20の操作メニューをPC10の画面に表示させ、また、ICカード40内の暗号化されたユーザID及びパスワードをICカードリーダ1Aで読み取り、PC10を介し画像形成装置20に送信し、制御部51でユーザID及びパスワードを復号し、図2の処理を行うこともできる。
【0038】
本実施例1に依れば、ユーザID及びパスワードを含むユーザ認証情報の入力に応答してログイン処理を行い、該ユーザID及びパスワードに基づき秘密キー23aを生成し、操作パネル27からのスキャン指示に応答して原稿画像をスキャンしその画像データを該秘密キーで暗号化してファイル25aを生成する。その後直ぐに又は再ログインし秘密キー23aを生成した後に、操作パネル27で選択されたファイル25aを秘密キー23aで復号し、操作パネル27からの指示に応答して該復号されたファイルの内容を出力するので、スキャンした画像データを、より簡単かつ安全に保護するとともにそのユーザが容易に利用することができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0039】
本発明の実施例2では、図2のステップS12において、ユーザIDとパスワードとの結合を暗号化し、これを秘密キー23aとしてPROM23に保存する。他の点は、実施例1と同じである。
【0040】
本実施例2に依れば、実施例1の場合よりもセキュリティを高くすることができる。
【0041】
以上において、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明には他にも種々の変形例が含まれ、上記実施例で述べた各構成要素の機能を実現する他の構成を用いたもの、当業者であればこれらの構成又は機能から想到するであろう他の構成も、本発明に含まれる。
【0042】
例えば、出力手段は印刷手段に限定されず、画像表示装置、ファクシミリ送信手段、電子メール送信手段又はファイル送信手段であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 PC
1A、2A ICカードリーダ
20 画像形成装置
21 CPU
22 インターフェイス
23 PROM
23a 秘密キー
24 DRAM
24a ワークエリア
25 ハードディスクドライブ
25a 暗号化画像ファイル
26 ネットワークインターフェイス
27 操作パネル
28 スキャナ
29 プリンタ
2A ICカードリーダ
2B ファックスモデム
30 ネットワーク
40 ICカード
50 ログイン処理部
51 制御部
52 ユーザインターフェイス部
53 秘密キー生成部
54 サムネイル生成部
55 暗号化部
56 ファイル読出・書込部
57 復号部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザID及びパスワードを含むユーザ認証情報を入力するユーザ認証情報入力手段と、該ユーザ認証情報の入力に応答してログイン処理を行うログイン手段と、指示入力手段と、該指示入力手段からのスキャン指示に応答して原稿画像をスキャンし画像データを生成する画像スキャン手段と、出力手段と、制御手段とを備えた画像形成装置において、
該制御手段は、ログインしたユーザのユーザID及びパスワードに基づき秘密キーを生成し、該画像スキャン手段で生成された画像データを該秘密キーで暗号化してファイルを生成し、該指示入力手段で選択されたファイルを該秘密キーで復号し、該指示入力手段からの出力指示に応答して該復号されたファイルの内容を該出力手段で出力させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
該秘密キーは、ユーザIDとパスワードとを結合したものを暗号化したものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−134806(P2012−134806A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285732(P2010−285732)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】