説明

画像形成装置

【課題】仮に、開閉部材の下端縁側から上方に向けて力が加わったとしても、開閉部材がハウジングから外れる不具合を防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】開閉部材20の各軸部20Jがそれぞれ挿入される軸孔264を有する一対の軸支部材240L、240Rは、上端側にハウジング200に固定される固定部250を有するとともに、固定部250と一体をなして下方に延び、下端側に軸孔264が貫設された変位部260を有する。各変位部260は、背面210に対向する方向から見た場合、軸孔264が設けられている下端側が固定部250よりも開閉部材20の中央側に位置する形状とされて、開閉部材20の下端縁に対して上向きの力Fが加わった場合に、軸孔264を開閉部材20の側壁20L、20Rに近づけるように弾性変形可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1に従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、被記録媒体に画像を形成する画像形成部をハウジング内に収容し、ハウジングを構成する側面(背面)に開口部を有する。開口部は、ハウジングの外部からハウジング内の画像形成部に至る被記録媒体の手差し給紙経路の一部を構成するものである。
【0003】
そして、この画像形成装置は、ハウジングに揺動可能に支持され、下端縁側を揺動軸芯として、開口部を開放する開放状態と開口部を閉鎖する閉鎖状態とに変位可能な開閉部材を備える。開閉部材は、手差し給紙用の供給トレイであり、使用時には、下端縁側を揺動軸芯として上端側が後方斜めに延びるように揺動することにより開放状態とされる。そして、被記録媒体の背面を支持し、開口部を介して、画像形成部に向けて被記録媒体を案内するようになっている。その一方、開閉部材は、不使用時には、下端縁側を揺動軸芯として上端側が垂直に立ち上がるように揺動することにより閉鎖状態とされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−219860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の画像形成装置では、閉鎖状態にある開閉部材の下端縁の下方に、例えば、隙間、段差又は凹部等からなる空間(空きスペース)が存在していることが多い。この空間(空きスペース)は、例えば、開閉部材が閉鎖状態から開放状態に変位する際、開閉部材の下端縁がハウジングに干渉することなく変位できるための逃げ部として利用される。
【0006】
また、上記従来の画像形成装置では、開閉部材を揺動可能に支持する構成として、開閉部材に軸部及び軸孔の一方が設けられ、ハウジングに軸部及び軸孔の他方が設けられ、双方の軸部と軸孔とが係合する構成を採用することが多い。
【0007】
そして、このような構成では、ユーザが画像形成装置を持ち上げようとして、閉鎖状態にある開閉部材の下端縁(空きスペース)に手を掛けてしまう場合がある。この場合、開閉部材の下端縁に対してユーザによって上向きの力が加わる。そうすると、その上向きの力が軸部及び軸孔に作用して、ハウジング又は開閉部材における軸孔が形成された部分が弾性変形する結果、軸部が軸孔から抜け出して、開閉部材がハウジングから外れる不具合が生じてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、仮に、開閉部材の下端縁側から上方に向けて力が加わったとしても、開閉部材がハウジングから外れる不具合を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、被記録媒体に画像を形成する画像形成部をハウジング内に収容し、前記ハウジングを構成する側面に開口部を有する画像形成装置であって、
前記ハウジングに揺動可能に支持され、下端縁側を揺動軸芯として、前記開口部を開放する開放状態と前記開口部を閉鎖する閉鎖状態とに変位可能な開閉部材を備え、
前記開閉部材は、前記下端縁を挟んで対向する一対の側壁の下端寄りに、前記揺動軸芯方向に互いに遠ざかるように突出する一対の軸部を有し、
前記開閉部材の閉鎖状態において、前記下端縁の下方には空間を有し、
前記ハウジングにおける前記開閉部材の一対の側壁と対向する部分には、前記各軸部がそれぞれ挿入される軸孔を有する一対の軸支部材が設けられ、
前記各軸支部材は、上端側に前記ハウジングに固定される固定部を有するとともに、前記固定部と一体をなして下方に延び、下端側に前記軸孔が貫設された変位部を有し、
前記各変位部は、前記ハウジングの前記開口部を有する側面に対向する方向から見た場合、前記軸孔が設けられている下端側が前記固定部よりも前記開閉部材の中央側に位置する形状とされて、前記開閉部材の下端縁に対して上向きの力が加わった場合に、前記軸孔を前記開閉部材の前記側壁に近づけるように弾性変形可能に構成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明の画像形成装置は、ハウジングを構成する側面(すなわち、ハウジングの正面、左右の側面又は背面)に開口部を有する。そして、ユーザが画像形成装置を持ち上げようとして、閉鎖状態にある開閉部材の下端縁の下方に存在する空間に手を差し入れて、開閉部材の下端縁に手を掛けてしまう場合がある。この場合、開閉部材の下端縁に対してユーザによって上向きの力が加わる。そうすると、その上向きの力が開閉部材の各軸部から各軸支部材の各軸孔に入力され、各変位部を介して各固定部に伝達される。このため、各固定部には、開閉部材からの上向きの入力に対する下向きの反力が作用する。ここで、各変位部は、ハウジングの開口部を有する側面に対向する方向から見た場合、軸孔が設けられている下端側が固定部よりも開閉部材の中央側に位置する形状とされている。このため、各軸孔に作用する入力の方向が各固定部に作用する反力の方向に対して開閉部材の中央側に食い違うこととなり、各変位部の下端側に設けられた各軸孔を開閉部材の各側壁に接近させる方向の曲げモーメントが各変位部に働く。これにより、各変位部は、各軸孔を開閉部材の各軸部の根元側に変位させるように弾性変形する。その結果、各軸部が各軸孔から外れることを防止できる。
【0011】
したがって、本発明の画像形成装置は、仮に、開閉部材の下端縁側から上方に向けて力が加わったとしても、開閉部材がハウジングから外れる不具合を防止できる。
【0012】
また、この画像形成装置では、各変位部の下端側を互いに離反する方向に弾性変形させて軸孔同士の間隔を拡げることにより、開閉部材の各軸部を各軸孔に容易に挿入することができ、その結果、開閉部材のハウジングへの組み付け作業の簡素化を実現できる。
【0013】
本発明の画像形成装置において、開閉部材は、開放状態において被記録媒体の背面を支持し、開口部を介して、画像形成部に向けて被記録媒体を案内する供給トレイであることが望ましい(請求項2)。上記具体的構成によれば、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、各変位部は、固定部から下方に延びる第1垂下部と、第1垂下部の下端から開閉部材の中央側に向けてクランク状に屈曲するクランク部と、クランク部の第1垂下部とは反対側の端部から下方に延び、軸孔が貫設された第2垂下部とからなることが望ましい(請求項3)。この構成によれば、変位部が各軸孔を開閉部材の各軸部の根元側に変位させるように弾性変形し易くなり、その結果、開閉部材の各軸部が各軸孔から外れることを確実に防止できる。
【0015】
本発明の画像形成装置において、第1垂下部よりも第2垂下部が長いことが望ましい(請求項4)。この構成によれば、クランク部が軸支部材の全長の中間よりも上方に形成される。これにより、変位部が各軸孔を開閉部材の各軸部の根元側に変位させるように一層弾性変形し易くなり、その結果、開閉部材の各軸部が各軸孔から外れることをより確実に防止できる。
【0016】
本発明の画像形成装置において、ハウジングには、開閉部材の揺動軸芯方向の位置決めをする位置決め部が設けられていることが望ましい(請求項5)。この構成によれば、各軸支部材が開閉部材の揺動軸芯方向の位置決めをする必要がない。このため、軸支部材の設計の自由度が増すこととなり、軸支部材の形状を、開閉部材の各軸部が各軸孔から外れないように、変位部の撓み量を充分に確保しつつ、開閉部材の開閉動作についても良好に行うことができる。
【0017】
本発明の画像形成装置において、各軸支部材の少なくとも一方には、軸部を軸孔に案内するガイド部が形成されていることが望ましい(請求項6)。この構成によれば、ガイド部により、開閉部材の軸部を軸孔に容易に挿入でき、開閉部材のハウジングへの組み付け作業の一層の簡素化を実現できる。
【0018】
本発明の画像形成装置は、ハウジングの上方部分を構成し、原稿に形成された画像を読み取る画像読取部を収容する読取ハウジングを備えることが望ましい。そして、開口部は、読取ハウジングにおける画像読取部を覆う4つの側面のうちの背面に設けられ、開閉部材は、読取ハウジングの背面に揺動可能に支持され、各軸支部材は、読取ハウジングの背面であって開閉部材の各側壁と対向する部分に設けられていることが望ましい(請求項7)。
【0019】
このような具体的構成の画像形成装置(いわゆる複合機)では、開口部、及び開閉部材を読取ハウジングの背面に設けることにより装置を小型化し易い。しかしながら、ユーザが画像形成装置の正面側に位置することが多く、この場合、ユーザは画像形成装置の背面側に位置する開閉部材の下端縁側を視認し難い。このため、仮に、装置をユーザが持ち上げようとした場合に、開閉部材の下端縁に手を掛けてしまい易くなる。このような場合でも、本構成の画像形成装置によれば、開閉部材の下端縁側から上方に向けて力が加わったとしても、開閉部材が外れにくいという、本発明の作用効果をより確実に享受できる。
【0020】
上記請求項7の場合において、読取ハウジングの背面に設けられる軸支部材の開閉部材と対向する面とは反対側の面と、読取ハウジングの本体との間には隙間が形成され、ハウジングにおける画像形成部を覆う4つの側面のうちの背面には、隙間に突出するリブが設けられていることが望ましい(請求項8)。
【0021】
この構成によれば、仮に変位部の下端側が開閉部材の側壁から離反する方向に弾性変形しようとしても、上記隙間に突出するリブがその変形を防止するので、軸部が軸孔から外れることを一層確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例の複合機の斜視図である(供給トレイが閉鎖状態)。
【図2】実施例の複合機の斜視図である(供給トレイが開放状態)。
【図3】実施例の複合機に係り、画像形成部の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図4】実施例の複合機に係り、開口部及び供給トレイ等を拡大して示す部分斜視図である(シートガイドの図示を省略)。
【図5】実施例の複合機に係り、読取ハウジングの背面を模式的に示す概略部分背面図である。
【図6】実施例の複合機に係り、読取ハウジングを構成するスキャナベースに設けられた軸支部材及び位置決め部を示す部分斜視図である。
【図7】実施例の複合機に係り、図4の矢視VII方向から見た開放状態の供給トレイを示す部分断面図である。
【図8】実施例の複合機に係り、図7に示す開放状態から閉鎖状態に変位した供給トレイを示す部分断面図である。
【図9】実施例の複合機に係り、図1の範囲IXを拡大して示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(実施例)
図1に示すように、実施例の複合機10は、本発明の画像形成装置の具体的態様の一例である。複合機10は、被記録媒体(例えば、用紙やOHPシート)に画像を形成する画像形成処理、原稿の画像を読み取って電子データ化する画像読取処理、及び外部と電子データの送受信を行う通信処理等の複数の処理を実行可能なものである。図1では、複合機10の操作パネル3側を装置の前側(正面側)と規定し、操作パネル3の反対側を装置の後側(背面側)と規定する。また、装置を前側から見た場合に左手に来る側(操作パネル3に向かって左側)を左側と規定し、その反対側を右側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、複合機10が備える各構成要素について説明する。
【0025】
<複合機の概略構成>
図1及び図2に示すように、複合機10は、上下方向に扁平な略直方体形状の読取ハウジング200と、読取ハウジング200よりも上下方向に厚い略直方体形状とされ、読取ハウジング200を下方から支持する画像形成ハウジング100とを備える。読取ハウジング200及び画像形成ハウジング100は、本発明の「ハウジング」の一例である。
【0026】
読取ハウジング200は、枠形状とされて前面、左右の側面及び背面に露出することにより意匠性のある外観を呈する第1カバー201(図1等に第1カバー201の左側面201L及び背面201Bを示す)と、第1カバー201の上方を覆う第2カバー202(図1等参照)と、第1カバー201及び第2カバー202に覆われたスキャナベース230(図5及び図6等参照)等の内部フレームとが組み合わされてなる。
【0027】
画像形成ハウジング100は、枠形状とされて前面、左右の側面及び背面に露出することにより、第1カバー201及び第2カバー202とともに意匠性のある外観を呈する第3カバー101(図1等に第3カバー101の左側面101L及び背面101Bを示す)と、第3カバー101に覆われた内部フレーム(図示せず)とが組み合わされてなる。第3カバー101の左側面101L及び右側面(図示せず)の下方には、複合機10を持ち上げる際に手を掛けるための把持部101Cが凹設されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、読取ハウジング200の正面側の上部には、画像読取部12や画像形成部11を操作するための操作パネル3が設けられている。操作パネル3は、各種操作ボタンや液晶表示部を有する周知の構成であるので説明は省略する。複合機10は、この操作パネル3に対してユーザが行う指示入力に基づいて動作するようになっている。
【0029】
実施例の複合機10では、装置の小型化のため、読取ハウジング200の背面に、手差し給紙用の開口部13及び供給トレイ20が設けられている。開口部13及び供給トレイ20の詳細な構成については後で説明するが、供給トレイ20は、読取ハウジング200の背面に支持されている。そして、供給トレイ20は、揺動軸芯X1周りに揺動することにより、後方かつ上方に傾斜して開口部13を開放する開放状態(図2に示す状態)と、略垂直に起立して開口部13を閉鎖する閉鎖状態(図1に示す状態)とに変位可能とされている。供給トレイ20は、本発明の「開閉部材」の一例である。
【0030】
<画像読取部の構成>
図3に示すように、読取ハウジング200には、画像読取部12が収容されている。画像読取部12は、フラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)及び自動原稿搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)を有する周知の構成のものである。本発明において画像読取部12は、原稿に形成された画像を読み取るものであれば任意の構成を採用できるので、本明細書においては、その詳細な説明を省略する。
【0031】
<画像形成部の構成>
図3に示すように、画像形成ハウジング100には、インクジェット記録方式の画像形成部11が収容されている。なお、本発明において画像形成部11は、被記録媒体に画像形成するものであれば、電子写真方式等の任意の画像形成方式を採用できる。
【0032】
画像形成部11は、給紙カセット78、搬送部15、インクジェット記録部24及び排紙保持部79等により構成されている。これらは、画像形成ハウジング100を構成する内部フレーム(図示せず)に支持されている。
【0033】
給紙カセット78は、上方が開放された略箱型形状とされて、その内部に被記録媒体を収容するものであり、画像形成ハウジング100内の底部に配設されている。図示は省略するが、給紙カセット78は、第3カバー101の正面から後方に向けて挿入することにより、画像形成ハウジング100内に装着され、その逆方向に引くことにより、画像形成ハウジング100の外部に引き出されるようになっている。
【0034】
排紙保持部79は、画像形成部11により画像が形成された被記録媒体を保持するトレイであり、画像形成ハウジング100内において給紙カセット78の上方、かつ給紙カセット78に対して前方にずれた位置に設けられている。
【0035】
画像形成ハウジング100内には、下方の給紙カセット78の後端から、斜め上方に延びた後、湾曲して前方に向きを変える湾曲搬送路65Aと、湾曲搬送路65Aに連続して前方の排紙保持部79まで水平に延びる水平搬送路65Cとが設けられている。湾曲搬送路65Aは、前後方向に間隔を有して対向する湾曲ガイド部材18、19により区画されている。水平搬送路65Cは、湾曲ガイド部材18、19の上端側から前方に向かって略水平に延在する平板状のプラテン42と、プラテン42の前端側から前方の排紙保持部79まで略水平に延在する平板状のガイド部材83と、ガイド部材83に対して上方に間隔を有して対向する平板状のガイド部材84とにより区画されている。
【0036】
また、画像形成ハウジング100内には、開口部13から下方に傾斜しつつ前方に延びて合流点36で湾曲搬送路65Aと合流する手差し搬送路65Bが設けられている。手差し搬送路65Bは、上下方向に間隔を有して互いに対向しつつ前後方向に延びるガイド部材80及びガイド部材81により区画されている。ガイド部材80は、画像形成ハウジング100を構成する内部フレームの背面側上方に形成されている。ガイド部材81は、読取ハウジング200を構成するスキャナベース230の背面側下方に形成されている。
【0037】
合流点36の近傍には、湾曲搬送路65Aに沿って搬送される被記録媒体、又は、開口部13から手差し搬送路65Bに沿って挿入される被記録媒体の先端位置を検知するための位置検知センサ110が設けられている。
【0038】
搬送部15は、給紙カセット78の上側に配設された給紙ローラ25と、湾曲ガイド部材18、19の上端側とプラテン42との間に配設された第1搬送ローラ60及びピンチローラ61と、プラテン42とガイド部材83、84との間に配設された第2搬送ローラ62A及び拍車ローラ63Aと、ガイド部材83、84の途中に配設された第3搬送ローラ62B及び拍車ローラ63Bとを有する。
【0039】
給紙ローラ25は、基軸28周りに回動可能とされたアーム26の先端に回転自在に支持されている。アーム26には、複数のギヤからなり、駆動源(図示せず)の回転駆動力を給紙ローラ25に伝達して、給紙ローラ25を回転させる駆動伝達機構27が設けられている。給紙ローラ25は、アーム26の下方への回動により給紙カセット78に収容された被記録媒体の上面に圧接する。そして、その状態で、駆動伝達機構27により回転駆動力が伝達されることにより回転し、被記録媒体をピックアップして湾曲搬送路65Aへと送り出す。
【0040】
第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、湾曲搬送路65Aに沿って搬送される被記録媒体を狭持してプラテン42上へ送る。また、第2搬送ローラ62A及び拍車ローラ63Aと、第3搬送ローラ62B及び拍車ローラ63Bとは、プラテン42上を通過した被記録媒体を狭持して、さらに下流側(排紙保持部79側)へ搬送する。この際、第1搬送ローラ60、第2搬送ローラ62A及び第3搬送ローラ62Bは、駆動源(図示せず)により間欠駆動されて、被記録媒体を所定の改行幅で間欠的に搬送するようになっている。
【0041】
インクジェット記録部24は、プラテン42の上方に配設されている。インクジェット記録部24は、左右方向(図3の紙面手前から奥に向かう方向、主走査方向)に延出されたガイドレール(図示せず)に沿って往復動するように構成されている。インクジェット記録部24は、プラテン42上を所定の改行幅で間欠的に搬送される被記録媒体が停止する毎に、主走査方向に往復移動する。この過程において、インクジェット記録部24は、図示しないインクカートリッジから供給されたインクをノズル39から微小なインク滴として被記録媒体に吐出することにより、被記録媒体に画像を形成する。
【0042】
<画像形成部の動作>
上記構成である画像形成部11では、ユーザが操作パネル3を操作して、給紙カセット78内の被記録媒体に画像を形成する指示入力を行うと、図示しない制御手段に制御されて、給紙部15が給紙カセット78内の被記録媒体をピックアップして湾曲搬送路65Aへと送り出す。そうすると、第1搬送ローラ60、第2搬送ローラ62A及び第3搬送ローラ62B及びインクジェット記録部24が制御手段に制御されて協調動作し、被記録媒体に画像を形成する。そして、画像が形成された被記録媒体は、排紙保持部79まで搬送される。
【0043】
また、手差し給紙により被記録媒体に画像を形成する場合、まず、ユーザが供給トレイ20を開放状態(図3に実線で示す)として、1枚の被記録媒体を開口部13に挿入する。そうすると、被記録媒体は、供給トレイ20にその背面を支持された状態で開口部13を通過し、ガイド部材80、81に案内されて、手ざし搬送路65Cに沿って画像形成ハウジング100内に挿入される。その結果、被記録媒体の前端縁は、第1搬送ローラ60とピンチローラ61のニップ位置60Aまで挿入される。この際、位置検知センサ110は、手差し搬送路65Bに沿って挿入される被記録媒体の先端位置を検知し、制御手段に対して被記録媒体が手差し給紙されたことを通知する。
【0044】
そして、ユーザが操作パネル3を操作して、手差し給紙された被記録媒体に画像を形成する指示入力を行うと、第1搬送ローラ60、第2搬送ローラ62A及び第3搬送ローラ62B及びインクジェット記録部24が制御手段に制御されて協調動作し、手差し給紙された被記録媒体に画像を形成する。そして、画像が形成された被記録媒体は、排紙保持部79まで搬送される。
【0045】
<供給トレイ>
本実施例の複合機10では、装置の小型化のため、図1に示すように、不使用時の供給トレイ20が読取ハウジング200を構成する第1カバー201の背面201Bと略面一になるように構成されている。以下、供給トレイ20が支持される読取ハウジング200の背面の構成、供給トレイ20の下方に位置する画像形成ハウジング100の背面の構成、及び供給トレイ20の具体的構成等について詳しく説明する。
【0046】
図2及び図4に示すように、第1カバー201の背面201Bの左右方向の中央には上下方向に溝状に延びる凹部210が設けられている。凹部210は、後方を向く奥面211と、奥面211を挟んで左右方向に対向する内面212L、212Rとにより構成されており、第1カバー201の背面201Bの上端から下端まで延びている。
【0047】
図3及び図4に示すように、凹部210の下方には、左右方向に細長い開口部13が開口している。開口部13及び凹部210の左右方向の幅は、画像形成部11が対応可能な被記録媒体のサイズに合わせて幅広く設定されている。
【0048】
なお、図4では、開口部13及び供給トレイ20等を見え易くするため、図2に示すシートガイド21の図示を省略している。また、図4では、読取ハウジング200、開口部13及び供給トレイ20等の左側の図示を省略しているが、読取ハウジング200、開口部13及び供給トレイ20等の左側と右側とは、特に説明する場合を除いて、勝手違いの同一形状である。このため、以下の説明では、読取ハウジング200、開口部13及び供給トレイ20等の右側について説明し、それらの左側の説明は簡略又は省略する。
【0049】
図1〜図3に示すように、画像形成ハウジング100を構成する第3カバー101の背面101Bの左右方向の中央には上下方向に溝状に延びる凹部110が設けられている。凹部110は、凹部210に連続するように、第3カバー101の上端から下端まで延びている。つまり、読取ハウジング200の背面201Bは、開口部13が形成される中央付近が両端よりも装置内部に向かって窪んだ形状となっており、そして、供給トレイ20を閉じた状態にすることで、背面201Bが略面一となる。同様に、画像形成ハウジング100の背面101Bも左右方向において両端よりも中央付近が窪んだ形状となっている。
【0050】
供給トレイ20は、図4及び図5に示すように、左右方向に細長い略矩形状の載置板20Aと、載置板20Aの左右の端縁から立設されて、載置板20Aを挟んで対向する右側壁20R及び左側壁20Lとを有する。載置板20Aの左右方向の幅は、開口部13より広く、かつ凹部210より狭く設定されている。
【0051】
図4に示すように、載置板20Aにおいて被記録媒体の背面を支持する面には、幅調整ガイド22が左右方向にスライド可能に支持されている。幅調整ガイド22は、画像形成部11が対応可能な被記録媒体の最大サイズに対応する位置と最小サイズに対応する位置との間でスライドする。載置板20Aには、A4サイズをはじめとする各種サイズの被記録媒体を一枚載置可能となっている。
【0052】
図5に示すように、右側壁20R及び左側壁20Lの下端寄りには、一対の軸部20Jが一体に形成されている。各軸部20Jは、左右方向を向く揺動軸芯X1を軸芯として、互いに遠ざかるように、右側壁20R及び左側壁20Lから突出する円柱軸形状とされている。
【0053】
凹部210の内面212L、212Rは、供給トレイ20の右側壁20R及び左側壁20Lと対向している。そして、内面212L、212Rには、図4に示すように、スキャナベース230の一部が露出しており、その露出する部分に、軸支部材240L、240Rと、位置決め部231とが一体に形成されている。図6に、右側の軸支部材240Rび位置決め部231の詳細形状を示す。左右の軸支部材240L、240R及び位置決め部231は勝手違いの同一形状である。
【0054】
<軸支部材>
図5に示すように、各軸支部材240L、240Rは、薄い板状の部材であり、供給トレイ20の右側壁20R及び左側壁20Lと対向して、スキャナベース230から延設されている。図5及び図6に示すように、各軸支部材240L、240Rは、上端側にスキャナベース230に固定される固定部250を有するとともに、固定部250と一体をなして下方に延びる変位部260を有する。
【0055】
変位部260は、固定部250から下方に略鉛直に延びる第1垂下部261と、第1垂下部261の下端から供給トレイ20の中央側に向けて略水平に延びてクランク状に屈曲するクランク部263と、クランク部263の第1垂下部261とは反対側の端部から下方に略鉛直に延びる第2垂下部262とからなる。第1垂下部261よりも第2垂下部262が長くされており、これにより、クランク部263が軸支部材240L、240Rの全長の中間よりも上方に形成されている。このような構成により、変位部260は、前後方向の剛性に対して、左右方向の剛性が低くなっており、変位部260の下端側が左右方向に弾性変形し易くなっている。また、図5に示すように、各変位部260は、読取ハウジング200を構成する第1ケース201の背面201Bに対向する方向から見た場合、後述する軸孔264が設けられている下端側が固定部250よりも供給トレイ20の中央側に位置する形状となっている。
【0056】
第2垂下部262の下端側には、軸孔264が揺動軸芯X1方向に貫設されている。各軸孔264の外径は、各軸部20Jの外径より僅かに大きくされている。そして、各軸孔264に各軸部20Jを挿入すことにより、供給トレイ20が揺動軸芯X1周りに揺動可能に支持される。なお、変位部260の下端側が左右方向に撓み易くなっているので、各軸孔264に各軸部20Jを挿入する際、各変位部260の下端側を互いに離反する方向に弾性変形させて軸孔264同士の間隔を拡げることにより、各軸部20Jを各軸孔264に容易に挿入することができる。その結果、供給トレイ20の読取ハウジング200(スキャナベース230)への組み付け作業の簡素化を実現できる。
【0057】
図6に示すように、右側の変位部260の第2垂下部262において、供給トレイ20の側壁20Rと対向する面(左方を向く面)には、側壁20Rに向かってリブ状に突出するガイド部265が一体に形成されている。ガイド部265は、軸孔264の周縁のうち、上方の半円を覆い、さらに後方かつ下方に斜めに延びている。右側の軸部20Jをこのガイド265に沿わせながら右側の軸孔264に挿入することにより、軸部20Jを軸孔264に容易に挿入でき、供給トレイ20の組み付け作業の一層の簡素化を実現できる。なお、ガイド部265は、各軸支部材240L、240Rの一方に設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。ガイド部265は座ぐり形状であってもよい。
【0058】
<位置決め部>
図4及び図6に示すように、位置決め部231はスキャナベース230から下方に延びる角柱形状とされており、各軸支部材240L、240Rの前方に位置している。位置決め部231の下端側には、後方及び下方に開口するガイド溝231Aが凹設されている。図4及び図7に示すように、供給トレイ20の側壁20Rの近傍には、揺動軸芯X1と平行な軸芯を有する円弧形状とされたガイドリブ20Gが凸設されている。各軸部20Jを各軸孔264に挿入する際、このガイドリブ20Gがガイド溝231Aに挿入される。これにより、図7及び図8に示すように、供給トレイ20が揺動軸芯X1周りに揺動する際、ガイドリブ20Gがガイド溝231A内を摺動して、供給トレイ20の揺動軸芯X1方向の位置決めをする。
【0059】
なお、図4及び図7に示すように、供給トレイ20において、ガイドリブ20Gの近傍には、前方に突出するストッパ20Sが設けられている。そして、供給トレイ20が図4及び図7に示す開放状態に変位すると、ストッパ20Sが位置決め部231の下面231Bに当て止まって、供給トレイ20を開放状態に保持する。
【0060】
なお、供給トレイ20の側壁20L、20Rには、図8に示す閉鎖状態に変位した際に、弾性変形して凹部210の内面212L、212Rに係合する係合部(図示せず)が設けられており、この係合部により供給トレイ20の閉鎖状態が維持される。
【0061】
図5及び図9に示すように、左側の軸支部材240Lにおいて供給トレイ20と対向する面(右方を向く面)とは反対側の面240T(左方を向く面)と、読取ハウジング200を構成する第1カバー201との間には隙間S2が形成されている。この隙間S2は、第1カバー201、スキャナベース230及び内部フレームを組み合わせたり、供給トレイ20を装着する際の逃げ部や、内蔵部品のレイアウト用スペース等として利用されるものである。
【0062】
一方、第3カバー101の背面101Bの左側上端縁には、隙間S1に突出するリブ101Dが一体に形成されている。リブ101Dの断面形状は、前後方向に細長い矩形状とされて嵩張らないようになっている。リブ101Dの先端は、供給トレイ20の左側の軸部20J、及び軸支部材240Lの軸孔264の近傍まで延びている。この構成により、仮に軸支部材240Lの変位部260の下端側が供給トレイ20の側壁20Lから離反する方向に弾性変形しようとしても、隙間S2に突出するリブ101Dがその変形を防止するので、軸部20Jが軸孔264から外れることを防止できる。なお、第3カバー101の背面101Bの右側上端縁にも、リブ101Dと同様のリブが設けられていてもよい。
【0063】
また、読取ハウジング200による供給トレイ20の支持構造、及び画像形成ハウジング100の背面の形状等が上述したように、左右方向に中央付近が窪んだ形状となっていることにより、図5、図8及び図9に示すように、画像形成ハウジング100を構成する第3カバー101の背面101Bに設けられた凹部110と、閉鎖状態にある供給トレイ20の下端縁との間には、空きスペース(空間)S1が存在している。この空きスペースS1は、外観品位の向上や、コストダウンを狙って設けられる他、図7に示すように、供給トレイ20の下端縁が第3カバー101の背面101Bに干渉することなく変位できるための逃げ部としても利用される。
【0064】
<シートガイド>
図2及び図3に示すように、供給トレイ20と凹部210との間には、左右方向に細長い矩形状のシートガイド21が設けられている。
【0065】
図4では、以下に説明するレール溝21B及び係合孔21Cを見やすくするため、シートガイド21の図示を省略している。シートガイド21の上端側の左右端部(図2参照)は、上下方向に延びるレール溝21B(図4参照)にスライド可能に嵌っている。その一方、シートガイド21の下端側の左右端部(図2参照)は、側壁20L、20Rに隣接して、揺動軸芯X1と平行な方向に貫設された係合孔21Cに係合している。
【0066】
供給トレイ20が開放状態から閉鎖状態に移行する場合、係合孔21Cも揺動軸芯X1周りに前方に揺動する。そうすると、シートガイド21の下端側が前方へ移動するとともに、シートガイド21の上端側がレール溝21Bに案内されて上方へ移動する。これにより、シートガイド21は、閉鎖状態にある供給トレイ20と凹部210の間で、起立する姿勢をとる(図3に破線で示す)。
【0067】
その一方、供給トレイ20が閉鎖状態から開放状態に移行する場合、係合孔21Cも揺動軸芯X1周りに後方に揺動する。そうすると、シートガイド21の下端側が後方へ移動するとともに、シートガイド21の上端側がレール溝21Bに案内されて下方へ移動する。これにより、シートガイド21は、凹部210から載置板20Aへ向かって傾倒する姿勢をとる(図3に実線で示す)。シートガイド21がこのような姿勢をとることにより、シートガイド21の下端縁と、載置板20Aにおいて被記録媒体の背面を支持する面との隙間を介して、手差し給紙される被記録媒体の前端縁が開口部13にスムーズに案内される。このため、ユーザが複合機10の正面側に位置する状態で、複合機10の背面側の目視し難い開口部13に、手差し用の被記録媒体を挿入することが容易になっている。
【0068】
<作用効果>
上記構成である実施例の複合機10は、ハウジングの背面、すなわち、読取ハウジング200を構成する第1カバー201の背面201Bに開口部13を有する。また、読取ハウジング200を構成するスキャナベース230の背面側に、供給トレイ20が支持されている。そして、ユーザが複合機10を持ち上げようとする際、複合機10の左右の側面101Lに凹設された把持部101Cに手を掛けるのが正常な取り扱いである、しかしながら、状況によっては、ユーザが読取ハウジング200及び画像形成ハウジング100の背面に手を回すことがある。具体的には、梱包用ダンボール箱から複合機10を取り出す場合や、一旦、設置した複合機10を手前側、逆に背面側に少し移動させようとする場合等が考えられる。
【0069】
そうすると、図3及び図5に示すように、閉鎖状態にある供給トレイ20の下端縁の下方に存在する空きスペース(空間)S1にユーザが手を差し入れて、供給トレイ20の下端縁に手を掛けてしまう場合がある。この場合、供給トレイ20の下端縁に対して上向きの力Fが加わる。そうすると、その上向きの力Fは、供給トレイ20の各軸部20Jから各軸支部材240L、240Rの各軸孔264に上向きの力F1、F2(F1+F2=F)として入力され、各変位部260を介して各固定部250に伝達される。このため、各固定部250には、供給トレイ20からの上向きの入力F1、F2に対する下向きの反力R1、R2が作用する。
【0070】
ここで、各変位部260は、読取ハウジング200を構成する第1ケース201の背面201Bに対向する方向から見た場合、軸孔264が設けられている下端側が固定部250よりも供給トレイ20の中央側に位置する形状とされている。このため、各軸孔264に作用する入力F1、F2の方向が各固定部250に作用する反力R1、R2の方向に対して供給トレイ20の中央側に食い違うこととなり、各変位部260の下端側に設けられた各軸孔264を供給トレイ20の各側壁20L、20Rに接近させる方向の曲げモーメントM1、M2が各変位部260に働く。これにより、各変位部260は、各軸孔264を供給トレイ20の各軸部20Jの根元側に変位させるように弾性変形する。その結果、各軸部20Jが各軸孔264から外れることを防止できる。
【0071】
したがって、実施例の複合機10は、仮に、供給トレイ20の下端縁側から上方に向けて力が加わったとしても、供給トレイ20がスキャナベース230から外れる不具合を防止できる。
【0072】
また、この複合機10では、各変位部260が第1垂下部261と、クランク部263と、第2垂下部262とからなり、第1垂下部261よりも第2垂下部262が長い構成とされているので、各変位部260が各軸孔264を供給トレイ20の各軸部20Jの根元側に変位させるように一層弾性変形し易くなり、その結果、供給トレイ20の各軸部20Jが各軸孔264から外れることをより確実に防止できる。
【0073】
さらに、この複合機10では、位置決め部231により、各軸支部材240L、240Rが供給トレイ20の揺動軸芯X1方向の位置決めをする必要がない。このため、軸支部材240L、240Rの設計の自由度が増すこととなり、軸支部材240L、240Rの形状を、供給トレイ20の各軸部20Jが各軸孔264から外れないように、変位部260の撓み量を充分に確保しつつ、供給トレイ20の開閉動作についても良好に行なうことができる。
【0074】
また、この複合機10では、開口部13及び供給トレイ20を読取ハウジング200の背面に設けることにより装置を小型化し易い。しかしながら、ユーザが複合機10の正面側に位置して複合機10を取り扱うことが多く、この場合、ユーザは複合機10の背面側に位置する供給トレイ20の下端縁側を視認し難い。このため、仮に、複合機10をユーザが持ち上げようとした場合に、供給トレイ20の下端縁に手を掛けてしまい易くなる。このような場合でも、本構成の複合機10によれば、供給トレイ20の下端縁側から上方に向けて力が加わったとしても、供給トレイ20が外れにくいという、本発明の作用効果をより確実に享受できる。
【0075】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0076】
例えば、空きスペース(空間)は、実施例の空きスペースS1のような形状以外に、段部、窪み、隙間等であってもよい。例えば、閉鎖状態の開閉部材がハウジングの背面より後方にはみ出すように設けられている場合には、そのような開閉部材の下端縁の下方に形成される空間が空きスペースとなり得る。また、閉鎖状態の開閉部材と、ハウジングの背面とが略面一とされており、開閉部材の下端縁と、ハウジングとの間に、左右方向に細長い隙間(例えば、開閉部材の揺動を許容する逃げ部)が形成される場合、この逃げ部が空きスペースとなり得る。
【0077】
また、変位部の形状としては、実施例のクランク形状の変位部260以外に、円弧形状、傾斜形状、S字カーブ形状、先細り形状等、各種の形状を採用できる。
【0078】
さらに、軸支部材は、第1カバー201に設けられていてもよい。また、軸支部材は、ハウジングと別体でありながら、固定部がハウジングに固定されてもよい。
【0079】
また、開閉部材としては、画像形成部11の交換部品(例えば、インクカートリッジ)の着脱や紙詰まりの復旧の際に開閉されるメンテナンス用の開閉カバーであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
10…画像形成装置(複合機)、11…画像形成部、12…画像読取部
100、200…ハウジング(100…画像形成ハウジング、200…読取ハウジング)、210…読取ハウジングを構成する第1カバーの背面、13…開口部
20…開閉部材(供給トレイ)、X1…揺動軸芯、S1…空間(空きスペース)
20L、20R…開閉部材(供給トレイ)の側壁、20J…軸部、264…軸孔
240L、240R…軸支部材、250…固定部、260…変位部、F…上向きの力
261…第1垂下部、263…クランク部、262…第2垂下部、
231…位置決め部、265…ガイド部、S2…隙間、101D…隙間に突出するリブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成部をハウジング内に収容し、前記ハウジングを構成する側面に開口部を有する画像形成装置であって、
前記ハウジングに揺動可能に支持され、下端縁側を揺動軸芯として、前記開口部を開放する開放状態と前記開口部を閉鎖する閉鎖状態とに変位可能な開閉部材を備え、
前記開閉部材は、前記下端縁を挟んで対向する一対の側壁の下端寄りに、前記揺動軸芯方向に互いに遠ざかるように突出する一対の軸部を有し、
前記開閉部材の閉鎖状態において、前記下端縁の下方には空間を有し、
前記ハウジングにおける前記開閉部材の一対の側壁と対向する部分には、前記各軸部がそれぞれ挿入される軸孔を有する一対の軸支部材が設けられ、
前記各軸支部材は、上端側に前記ハウジングに固定される固定部を有するとともに、前記固定部と一体をなして下方に延び、下端側に前記軸孔が貫設された変位部を有し、
前記各変位部は、前記ハウジングの前記開口部を有する側面に対向する方向から見た場合、前記軸孔が設けられている下端側が前記固定部よりも前記開閉部材の中央側に位置する形状とされて、前記開閉部材の下端縁に対して上向きの力が加わった場合に、前記軸孔を前記開閉部材の前記側壁に近づけるように弾性変形可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉部材は、前記開放状態において前記被記録媒体の背面を支持し、前記開口部を介して、前記画像形成部に向けて前記被記録媒体を案内する供給トレイである請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記各変位部は、前記固定部から下方に延びる第1垂下部と、前記第1垂下部の下端から前記開閉部材の中央側に向けてクランク状に屈曲するクランク部と、前記クランク部の前記第1垂下部とは反対側の端部から下方に延び、前記軸孔が貫設された第2垂下部とからなる請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1垂下部よりも前記第2垂下部が長いことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記開閉部材の前記揺動軸芯方向の位置決めをする位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記各軸支部材の少なくとも一方には、前記軸部を前記軸孔に案内するガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ハウジングの上方部分を構成し、原稿に形成された画像を読み取る画像読取部を収容する読取ハウジングを備え、
前記開口部は、前記読取ハウジングにおける前記画像読取部を覆う4つの側面のうちの背面に設けられ、
前記開閉部材は、前記読取ハウジングの背面に揺動可能に支持され、
前記各軸支部材は、前記読取ハウジングの背面であって前記開閉部材の前記各側壁と対向する部分に設けられている請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記読取ハウジングの背面に設けられる前記軸支部材の前記開閉部材と対向する面とは反対側の面と、前記読取ハウジングの本体との間には隙間が形成され、
前記ハウジングにおける前記画像形成部を覆う4つの側面のうちの背面には、前記隙間に突出するリブが設けられている請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−13932(P2012−13932A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150046(P2010−150046)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】