説明

画像形成装置

【課題】ベルトとケーブルの干渉を抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、複数の感光ドラム61を露光して静電潜像を形成する複数の露光部材(LEDアレイ40)と、複数の感光ドラム61および複数の露光部材を支持する感光ドラム支持体(ドロワ100)と、複数の感光ドラム61の下方に配置されるベルト(搬送ベルト71)と、感光ドラム支持体を直線的に移動可能に支持する一対のガイド部材200と、装置本体10に設けられ、複数の露光部材にフラットケーブル400を介して接続される本体基板600と、を備えている。本体基板600は、感光ドラム支持体の上方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラムと露光部材を支持する感光ドラム支持体を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムをそれぞれ露光する複数のLEDヘッド(露光部材)と、各感光ドラムと各LEDヘッドを支持して装置本体に対して引き出し可能となる感光ドラム支持体と、装置本体に設けられ、かつ、各LEDヘッドにケーブルを介して接続される制御基板とを備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この技術では、感光ドラム支持体の上部で各感光ドラムが支持され、感光ドラム支持体における感光ドラムよりも下側で各LEDヘッドが支持されている。
【0003】
また、各感光ドラムの上方に中間転写ベルトが各感光ドラムと接するように配置され、感光ドラム支持体の下方に制御基板が配置されている。すなわち、この技術では、上から順に、中間転写ベルト、感光ドラム支持体、制御基板が配置され、感光ドラム支持体で保持された各LEDヘッドと制御基板とがケーブルによって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−157135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願発明者は、前述した構成を変更して、感光ドラム支持体の下方に中間転写ベルトを配置する構造を開発しようとしている。しかしながら、この構造では、感光ドラム支持体の下方に中間転写ベルトが配置されるため、感光ドラム支持体から下方に延びるケーブルが中間転写ベルトに干渉する問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、ベルトとケーブルの干渉を抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、複数の感光ドラムと、前記複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材と、前記感光ドラムの軸方向に対向する一対の側壁を有し、当該一対の側壁の間において前記複数の感光ドラムおよび前記複数の露光部材を支持する感光ドラム支持体と、前記複数の感光ドラムの下方に配置され、各感光ドラムと対向するベルトと、前記感光ドラム支持体を、装置本体内に収納された収納位置と、収納位置から装置本体の開口部を通して装置本体外へ移動した移動位置とに直線的に移動可能に支持する一対のガイド部材と、前記装置本体に設けられ、前記複数の露光部材にケーブルを介して接続される本体基板と、を備え、前記本体基板が、前記感光ドラム支持体の上方に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、感光ドラム支持体の上方に本体基板を配置することで、感光ドラム支持体内の露光部材と本体基板とを繋ぐケーブルが、感光ドラム支持体の下方にあるベルトから離れて配置されるので、ベルトとケーブルの干渉を抑えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ベルトとケーブルの干渉を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るカラープリンタを示す断面図である。
【図2】フロントカバーが閉位置のときのドロワとガイド部材の状態を示す断面図である。
【図3】フロントカバーが開位置のときのドロワとガイド部材の状態を示す断面図である。
【図4】ドロワを装置本体外に引き出した状態を示す断面図である。
【図5】ドロワとプロセスカートリッジとの関係を示す断面図である。
【図6】LEDアレイを前後方向から見た断面図である。
【図7】フラットケーブルとプロセスカートリッジの関係を簡略的に示す平面図である。
【図8】フラットケーブルを簡略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0012】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。また、断面図については、図面の見易さを考慮して、特に必要な箇所にのみハッチングを施すこととする。
【0013】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙PにK,C,M,Yの各色に対応した画像を重ねて形成する画像形成部30とを備えている。
【0014】
装置本体10には、その前壁(フロント側)に開口部11(図3参照)が形成されるとともに、この開口部11を開閉するフロントカバー12が回動可能に設けられている。詳しくは、フロントカバー12は、開口部11を閉じる閉位置(図1の位置)と、開口部11を開放する開位置(図3の位置)との間で回動可能(変位可能)となっている。
【0015】
給紙部20は、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙搬送装置22とを備えている。
【0016】
画像形成部30は、複数の露光部材の一例としての4つのLEDアレイ40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
【0017】
LEDアレイ40は、半導体チップに複数のLEDを配列して構成されており、後述する感光ドラム61を主走査方向(感光ドラム61の軸方向)に沿って露光している。そして、各色に対応した4つのLEDアレイ40は、各色に対応した4つの感光ドラム61に対応するように、各感光ドラム61の上方に近接して配置されて、後述する感光ドラム支持体の一例としてのドロワ100に支持されている。
【0018】
プロセスカートリッジ50は、前後方向に並んで配置され、現像カートリッジ51と、当該現像カートリッジ51の下側に配置されるドラムカートリッジ60とで構成され、ドロワ100に対して着脱可能となっている。
【0019】
現像カートリッジ51は、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容器52や、当該トナー収容器52内のトナーを感光ドラム61に供給する現像ローラ53や、符号を省略して示す供給ローラや層厚規制ブレードなどを備えて構成されている。そして、各色に対応した4つの現像カートリッジ51は、4つの感光ドラム61に対応するように、その内部に異なる色のトナーをそれぞれ収容して各感光ドラム61の前斜め上方に隣接して配置され、ドラムカートリッジ60に対して着脱可能となっている。
【0020】
ドラムカートリッジ60は、感光ドラム61や、符号を省略して示す公知の帯電器などを備えて構成されている。そして、4つのドラムカートリッジ60は、後述するドロワ100に対して着脱可能となっている。
【0021】
転写ユニット70は、給紙部20と各感光ドラム61の間に設けられ、複数のローラに張架された無端状の搬送ベルト71と、4つの転写ローラ72とを備えている。搬送ベルト71は、複数の感光ドラム61と対向するように各感光ドラム61の下側に配置されている。各転写ローラ72は、各感光ドラム61との間で搬送ベルト71を挟み込むように当該搬送ベルト71の内側に配置されている。
【0022】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0023】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、各LEDアレイ40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラ53よりトナーが供給されることで、感光ドラム61上にトナー像が担持される。
【0024】
次に、搬送ベルト71上に供給された用紙Pが各感光ドラム61と各転写ローラ72との間を通過することで、各感光ドラム61上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0025】
そして、定着ユニット80で熱定着された用紙Pは、定着ユニット80の下流側に配設される排紙ローラ90によって装置本体10外に排出され、装置本体10の上壁14に形成された排出トレイ部13上に載置される。ここで、排出トレイ部13は、装置本体10の上壁14の左右方向における中央部に下方に凹むように形成されており、これにより、装置本体10内における排出トレイ部13の左右両側(感光ドラム61の軸方向両側)にスペースが形成されるようになっている。
【0026】
具体的に、排出トレイ部13は、装置本体10の上壁14から下方に向けて直角に延び、かつ、用紙Pの排出口13Aを有する第1壁131と、第1壁131の下端から前斜め上方の上壁14に向けて延び、かつ、上方に凸となるような断面視円弧形状の第2壁132とを備えて構成されている。
【0027】
<ドロワ100周りの構造>
次に、ドロワ100周りの構造について詳細に説明する。
【0028】
図2〜図4に示すように、ドロワ100は、装置本体10内に収納された収納位置(図3の位置)と、収納位置から装置本体10の開口部11を通して装置本体10外へ移動した移動位置(図4)とに前後に移動可能となっている。言い換えると、ドロワ100は、排出トレイ部13に対する用紙Pの排出方向(前方)に引き出し可能となっている。
【0029】
具体的に、ドロワ100は、フロントカバー12を開けると、上方に移動し、上方に移動した位置から開口部11を通して前側に引き出すことが可能となっている。すなわち、ドロワ100は、上下方向(LEDアレイ40の光軸方向)に移動可能であるとともに、前後方向(複数の感光ドラム61が並ぶ方向)に移動可能となっている。
【0030】
また、ドロワ100内の各LEDアレイ40は、ドロワ100の前後方向への移動に連動して上下動するようになっている。詳しくは、各LEDアレイ40は、ドロワ100が収納位置に位置するときには、感光ドラム61に接近した露光位置(図3の位置)に配置され、ドロワ100が移動位置に位置するときには、感光ドラム61から退避して係止部(後述する長孔112の上端)で係止される退避位置(図4の位置)に配置されるようになっている。
【0031】
そして、各LEDアレイ40は、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、ドロワ100内に収容されるようになっている。すなわち、各LEDアレイ40は、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、ドロワ100外に突出しないようになっている。これにより、各LEDアレイ40をユーザ等から保護することが可能となっている。
【0032】
具体的に、装置本体10には、ドロワ100と、ドロワ100を前後方向(水平方向)に直線的に移動可能に支持する左右一対のガイド部材200と、フロントカバー12の開閉に連動してガイド部材200を上斜め前方または下斜め後方に移動させるための左右一対の連動機構300とを備えている。
【0033】
なお、ガイド部材200や連動機構300などの左右に配置される各部材は、左右対称な構造であるため、以下においては、左右の一方のみを代表して説明し、他方の説明は省略する。
【0034】
ドロワ100は、左右(感光ドラム61の軸方向)に対向する一対の側壁110を有し、当該一対の側壁110の間において複数のプロセスカートリッジ50(複数の感光ドラム61)や複数のLEDアレイ40を支持している。また、一対の側壁110は、図5に示すように、その前端部が前壁120で連結され、その後部が後壁130で連結されている。そして、前壁120の前面には、ユーザによって把持される断面視U字状の取手部140が設けられている。
【0035】
各側壁110の内面には、プロセスカートリッジ50を、被露光位置(感光ドラム61がLEDアレイ40によって露光されるときの位置)に案内するための円弧状の溝111が形成されている。これにより、プロセスカートリッジ50がドロワ100に対して円弧状に移動して着脱可能となっている。
【0036】
また、各側壁110には、各LEDアレイ40を上下に移動可能に支持する一対の長孔112が形成されている。長孔112は、上下に延びるように形成されており、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で案内するために、LEDアレイ40の後述する被作用部43A(図6参照)と係合している。
【0037】
ここで、LEDアレイ40は、図6に示すように、複数のLEDを有するLEDヘッド41と、LEDヘッド41を感光ドラム61に向けて付勢する一対のコイルバネ42と、LEDヘッド41をコイルバネ42を介して支持する支持フレーム43とを備えている。そして、支持フレーム43は、左右方向に長尺となるように形成されており、その両端部には、各長孔112を貫通して各側壁110の左右方向外側に突出する一対の被作用部43Aが形成されている。
【0038】
また、支持フレーム43は、引張コイルバネ150を介してドロワ100に支持されている。具体的に、引張コイルバネ150は、一対の側壁110の間に架け渡されるように接合された支持壁151と、支持フレーム43との間に配置されており、LEDアレイ40を感光ドラム61から離間する方向に常時付勢している。
【0039】
各側壁110から外側に突出した各被作用部43Aは、図2〜図4に示すように、各側壁110の外側に設けられる一対のガイド部材200と当接することで、当該ガイド部材200によって上下に押圧されるようになっている。ガイド部材200は、装置本体10に設けられており、ドロワ100を前後方向に移動可能に支持している。言い換えると、ガイド部材200は、ドロワ100に対して相対移動可能に設けられている。
【0040】
具体的に、ガイド部材200は、前後に長い板状の本体部210と、ドロワガイド溝220と、ガイド溝230とを有している。
【0041】
本体部210は、ドロワ100の側壁110に対面して配置されており、その前側下部および後側下部には、左右方向外側に突出する突出ピン211が1つずつ形成されている。そして、各突出ピン211は、一対の支持壁の一例としての装置本体10の左右のサイドフレーム16に形成された一対の円弧状の溝15に移動可能に支持されている。
【0042】
これにより、本体部210は、図2に示す位置と、図3に示す位置との間で移動可能となっている。詳しくは、感光ドラム61が、搬送ベルト71に接触した接触位置と、搬送ベルト71から離間した離間位置との間で移動可能となるように、本体部210が装置本体10に移動可能に支持されている。すなわち、本実施形態においては、ガイド部材200と装置本体10に形成された溝15とによって、ガイド部材200を介してドロワ100を少なくとも上下動可能に支持する離間機構が構成されている。
【0043】
ドロワガイド溝220は、ドロワ100を前後方向に移動可能に支持する溝であり、前後方向に沿って形成されている。具体的に、ドロワガイド溝220は、ドロワ100の側壁110の後側に形成された一対の係合ピン部113Aと、側壁110の前側に形成された1つの係合ピン部113Bを支持している。
【0044】
ドロワガイド溝220には、一対の係合ピン部113Aの前後方向への移動を規制する一対の規制面221,222が設けられている。これにより、ドロワ100のガイド部材200に対する前後の移動が規制されて、ドロワ100が収納位置と移動位置とに位置決めされるようになっている。
【0045】
なお、ドロワ100の側壁110の前側に形成された1つの係合ピン部113Bは、規制面221に引っ掛からないように、各係合ピン部113Aよりも短く形成されている。
【0046】
ガイド溝230は、ドロワ100の装着時において被作用部43Aを退避位置から露光位置まで案内するための溝であり、後端が閉じられるとともに前端が外部に開口する溝状に形成されている。具体的に、ガイド溝230は、LEDアレイ40が露光位置に位置するときに被作用部43Aに係合する係合部231と、LEDアレイ40が退避位置に位置するときに被作用部43Aの前後方向への移動を許容する許容部232と、係合部231と許容部232とを繋ぐ傾斜部233とを有している。
【0047】
係合部231は、前後方向に沿って延びる長溝状に形成され、その上縁で、被作用部43Aの上方への移動を規制している。具体的には、LEDアレイ40が露光位置(図6に示すLEDヘッド41に回転可能に設けられるガイドローラ41Aが感光ドラム61に接触した位置)に位置するときには、コイルバネ42によってLEDヘッド41が下方に付勢されるとともに、コイルバネ42および引張コイルバネ150によって被作用部43Aが上方に付勢される。そのため、LEDアレイ40は、被作用部43Aが係合部231の上縁に係止されることで、露光位置に位置決めされるとともに、感光ドラム61に対して好適な付勢力で付勢されるようになっている。
【0048】
許容部232は、前後方向に沿って延びる長溝状に形成されている。
傾斜部233は、後方に向かうにつれて下方に傾斜する長溝状に形成されている。これにより、ドロワ100をガイド部材200(装置本体10)に対して装着していくと、傾斜部233の上縁で被作用部43Aが下方に押し下げられて、LEDアレイ40が下方の露光位置に向けて移動する。また、ドロワ100をガイド部材200(装置本体10)から引き出していくと、被作用部43Aが、傾斜部233の下縁で上方に押される、もしくは、引張コイルバネ150の付勢力によって上方に上げられることで、LEDアレイ40が上方の退避位置に向けて移動する。
【0049】
連動機構300は、フロントカバー12の開閉に連動してガイド部材200を作動させることで、フロントカバー12が閉位置から開位置に変位するときにガイド部材200(感光ドラム61)を接触位置から離間位置に変位させている。具体的に、連動機構300は、フロントカバー12に固定される扇型部材310と、ガイド部材200と扇型部材310を連結するリンク部材320とを備えている。
【0050】
扇型部材310は、フロントカバー12の回動軸12Aを中心とする扇形状に形成されており、フロントカバー12の下端部の左右両側に1つずつ固定されている。
リンク部材320は、一端がガイド部材200の前側の突出ピン211に回動可能に連結され、他端が扇型部材310に回動可能に連結されている。
【0051】
これにより、フロントカバー12を開けると、ガイド部材200が、リンク部材320および扇型部材310を介してフロントカバー12によって前方に引っ張られて、円弧状の溝15に沿って前斜め上方に移動する。また、フロントカバー12を閉めると、ガイド部材200が、リンク部材320および扇型部材310を介してフロントカバー12によって後方に押されて、円弧状の溝15に沿って後斜め下方に移動する。
【0052】
また、前述したドロワ100の後側部分と、ガイド部材200の後側部分と、後述するフラットケーブル400の後側部分は、前述した排出トレイ部13の左右両側のスペースに入り込んでいる。詳しくは、ドロワ100の後側部分とガイド部材200の後側部分とフラットケーブル400の後側部分は、フロントカバー12を閉めて印字が可能になった状態において、左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置されている。
【0053】
これにより、排出トレイ部13の深さを変えずに、装置本体10の上壁14を下げることが可能となり、装置本体10を上下に小型化することが可能となっている。また、このように排出トレイ部13の左右のスペースにドロワ100等の一部を入れることで、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースには、ドロワ100の前側上部(プロセスカートリッジ50の上部)や、ガイド部材200の前側上部や、フラットケーブル400の前側部分が配置される。これにより、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースを有効活用することが可能となっている。
【0054】
また、図4に示すように、装置本体10には、複数のLEDアレイ40に平板状のフラットケーブル400を介して接続される本体基板600が設けられている。
【0055】
本体基板600は、パソコンなどから出力されてくる印字指令を受け、この印字指令に含まれる画像データを各LEDの明滅信号へ変更する制御などを実行している。本体基板600は、装置本体10内におけるドロワ100の上方に配置されており、これにより、フラットケーブル400と搬送ベルト71との干渉を抑えることが可能となっている。
【0056】
詳しくは、本体基板600は、装置本体10内における排出トレイ部13(第2壁132)の下縁よりも上側の空間に配置されている。これにより、凹状の排出トレイ部13を形成することにより装置本体10の上部に形成されるデッドスペースが、本体基板600やフラットケーブル400の設置スペースとして有効活用されている。
【0057】
また、本体基板600は、左右のサイドフレーム16の上端部を連結する金属板17の下面に設けられている。これにより、金属板17によって左右のサイドフレーム16が補強されるとともに、外部から本体基板600に加わるノイズ(電磁波)を金属板17でカットすることが可能となっている。
【0058】
フラットケーブル400は、本体基板600とドロワ100との間において、幅方向が感光ドラム61の軸方向であり、上下方向に対して面直となる向きで配置され、そのフラットな面を互いに対向させるように前方に開口するU字状に折り曲げられている。そして、ドロワ100が前後方向に移動する際に、フラットケーブル400がU字状に折り畳まれる、または、折り畳まれたU字形状を解くように変形する(U字形状の底部が移動する)ことで、ドロワ100の移動が許容されるようになっている。
【0059】
また、フラットケーブル400のうちLEDアレイ40側の部位は、ドロワ100内において蛇腹状に折り曲げられている。これにより、フラットケーブル400の蛇腹状の部分411で、LEDアレイ40の上下動が許容されるようになっている。
【0060】
また、フラットケーブル400は、図7,8に示すように、蛇腹状の部分411から上方に少し延びた後、プロセスカートリッジ50よりも左右方向外側に突出するように折り曲げられ、さらに後方に向けて折り返された後、上方の本体基板600に向けてU字状に延びるように折り曲げられている。これにより、ドロワ100に対して上方からプロセスカートリッジ50を着脱する際に、フラットケーブル400が邪魔になるのを抑えることが可能となっている。
【0061】
より詳しくは、フラットケーブル400は、前後方向に面直な向きで蛇腹状の部分411から上方に延びており、ドロワ100の側壁110よりも上の位置で一旦後方に直角に折り曲げられた後、左右方向外側に折り返されている。その後、フラットケーブル400は、後方に折り返されて後方に延びた後、U字状に折り曲げられて本体基板600に接続される。
【0062】
また、このフラットケーブル400には、電磁波シールド材が設けられている。これにより、外部からフラットケーブル400に加わるノイズをカットすることが可能となっている。
【0063】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ドロワ100の上方に本体基板600を配置することで、ドロワ100内のLEDアレイ40と本体基板600とを繋ぐフラットケーブル400が、ドロワ100の下方にある搬送ベルト71から離れて配置されるので、搬送ベルト71とフラットケーブル400の干渉を抑えることができる。
【0064】
本体基板600が排出トレイ部13の下縁よりも上側の空間に配置されているので、凹状の排出トレイ部13を形成することにより装置本体10の上部に形成されるデッドスペースを有効活用することができる。
【0065】
フラットケーブル400をドロワ100内において蛇腹状に折り曲げるので、LEDアレイ40の移動を蛇腹状の部分411によって許容することができるとともに、ドロワ100内でフラットケーブル400をコンパクトに収容することができる。また、蛇腹状の部分411がドロワ100内に配置されるので、蛇腹状の部分411がドロワ100の移動時に他の部材と干渉することを抑えることができる。
【0066】
LEDアレイ40が露光位置および退避位置のいずれの位置であってもドロワ100内に収容されているので、LEDアレイ40と他の部材との干渉を抑えることができるとともに、LEDアレイ40をユーザが誤って触ってしまうのを防止することができる。
【0067】
フラットケーブル400が、蛇腹状の部分411からプロセスカートリッジ50よりも左右方向外側に突出するように折り曲げられた後、本体基板600に向かって延びるように折り曲げられるので、フラットケーブル400がプロセスカートリッジ50の着脱の邪魔になるのを抑えることができる。
【0068】
左右のサイドフレーム16の上端部を連結する金属板17に本体基板600が設けられるので、金属板17によって左右のサイドフレーム16が補強されるとともに、外部から本体基板600に加わるノイズを金属板17でカットすることができる。
【0069】
フラットケーブル400に電磁波シールド材が設けられているので、外部からフラットケーブル400に加わるノイズをカットすることができる。
【0070】
フロントカバー12とガイド部材200とを連動させたので、例えばフロントカバー12を開けてからガイド部材200を手動で上下動させる構造に比べ、ドロワ100の着脱作業を容易にすることができる。
【0071】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0072】
前記実施形態では、露光部材としてLEDアレイ40を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、蛍光体などの発光素子を多数配列し、これら発光素子を画像データに応じて選択的に発光させるものであってもよい。あるいは、1つの光源に対して、液晶素子、PLZTなどからなる光シャッタを多数配列し、これら光シャッタの開閉時間を画像データに応じて選択的に制御することにより、光源からの光を制御するものなどを採用してもよい。
【0073】
前記実施形態では、露光部材を退避位置に位置させるための係止部として、側壁110に形成した長孔112を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば側壁とは別の部材で露光部材を係止するようにしてもよい。
【0074】
前記実施形態では、ベルトの一例として、感光ドラム61との間で用紙Pを搬送する搬送ベルト71を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば感光ドラム上のトナーが転写される中間転写ベルトであってもよい。
【0075】
前記実施形態では、離間機構を、ガイド部材200と装置本体10に形成された溝15とで構成したが、本発明はこれに限定されず、例えばガイド部材とリンク機構を組み合わせて構成してもよい。また、連動機構を、例えばギヤ機構を利用して構成してもよい。
【0076】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 カラープリンタ
10 装置本体
11 開口部
40 LEDアレイ
61 感光ドラム
71 搬送ベルト
100 ドロワ
110 側壁
200 ガイド部材
400 フラットケーブル
600 本体基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材と、
前記感光ドラムの軸方向に対向する一対の側壁を有し、当該一対の側壁の間において前記複数の感光ドラムおよび前記複数の露光部材を支持する感光ドラム支持体と、
前記複数の感光ドラムの下方に配置され、各感光ドラムと対向するベルトと、
前記感光ドラム支持体を、装置本体内に収納された収納位置と、収納位置から装置本体の開口部を通して装置本体外へ移動した移動位置とに直線的に移動可能に支持する一対のガイド部材と、
前記装置本体に設けられ、前記複数の露光部材にケーブルを介して接続される本体基板と、を備え、
前記本体基板が、前記感光ドラム支持体の上方に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体の上壁に下方に凹むように形成され、画像形成された記録シートを載置する排出トレイ部をさらに備え、
前記本体基板は、前記装置本体内における前記排出トレイ部の下縁よりも上側の空間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ケーブルの一部は、前記感光ドラム支持体を、前記収納位置に収納した状態において、前記排出トレイ部の前記軸方向外側に形成された空間に収納されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ケーブルは、平板状のフラットケーブルであり、前記フラットケーブルの幅方向が前記軸方向に沿う向きで配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の露光部材は、
前記感光ドラムに接近した露光位置と、前記感光ドラムから退避して係止部で係止される退避位置とに移動可能となるように前記感光ドラム支持体に設けられ、かつ、前記露光位置および前記退避位置のいずれの位置においても、前記感光ドラム支持体内に収容され、
前記ケーブルは、
前記感光ドラム支持体内において蛇腹状に折り曲げられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光ドラムを有し、前記感光ドラム支持体に上方から着脱可能なプロセスカートリッジをさらに備え、
前記ケーブルは、
前記蛇腹状に形成された部分から前記プロセスカートリッジよりも前記感光ドラムの軸方向外側に突出するように折り曲げられた後、前記本体基板に向かって延びるように折り曲げられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記一対のガイド部材を支持する一対の支持壁と、当該一対の支持壁の上端部を連結する金属板と、をさらに備え、
前記金属板に、前記本体基板が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ケーブルには、電磁波シールド材が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記感光ドラムが、前記ベルトに接触した接触位置と、前記ベルトから離間した離間位置との間で移動可能となるように、前記ガイド部材を介して前記感光ドラム支持体を上下動可能に支持する離間機構をさらに備え、
前記ガイド部材は、前記感光ドラム支持体を水平方向に移動可能に支持していることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記装置本体には、前記開口部を閉じる閉位置と開放する開位置とに変位可能なカバーとが設けられ、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に変位するときに前記感光ドラムが前記接触位置から前記離間位置に変位するように前記カバーと前記離間機構とを連動させる連動機構を備えたことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
現像剤を収容する現像剤収容器と、当該現像剤収容器内の現像剤を前記感光ドラムに供給する現像ローラと、前記感光ドラムとを有するプロセスカートリッジをさらに備え、
前記プロセスカートリッジは、前記感光ドラム支持体に対して円弧状に移動して着脱可能となっていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−145883(P2012−145883A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5945(P2011−5945)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】