説明

画像形成装置

【課題】電源投入直後の画像形成時に、定着器の温度低下を防止するための生産性低下シーケンスへの移行を低減する画像形成装置を提供する。
【解決手段】加熱処理により転写材上に画像を定着させる定着器40を加熱する定着加熱手段412を備える。収納された転写材411を加熱するよう配設された転写材加熱手段412へ供給する電力を制御する機能と、転写材加熱手段へ供給する電力を制御する機能と、を有する電力制御手段70を備える。電力制御手段は、定着加熱手段が定着温度に達した後に供給する電力を低減したことに対応して転写材加熱手段へ電力を供給することにより、転写材を加熱して定着器で定着を行う際の温度低下を低減させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材上のトナー像を加熱する加熱装置と記録材を加熱する加熱装置を具備した複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の加熱装置では、高速印字を可能にするため誘導加熱方式を用い、ウォームアップ時間短縮のために薄肉の加熱ローラを用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の画像形成装置には、消費電力の上限を超えないように本体が電源OFF若しくはスタンバイ中又は所定モータが駆動中にカセットヒータをオフするものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−345989号公報
【特許文献2】特開平10−228143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高速で画像形成が可能な画像形成装置(高速機)では、効率的に定着器の温度を高めるため電磁誘導加熱方式の定着器を採用するものがある。
【0006】
また、高速で処理を行う画像形成装置においても、定着器のウォームアップタイム低減が求められており、このため定着ローラを薄肉化して熱容量を低くすることにより温度上昇を速めている。このような薄肉定着ローラは、蓄熱の能力が低いため、通紙による温度低下が起こりやすい。
【0007】
一方、画像形成装置では、消費電力の上限が決まっているので、定着器に供給できる電力に限りがある。そこで、画像形成装置では、通紙時の温度低下による定着不良を防止するため、定着器の温度を常時監視し、検知した温度が一定条件を超えたときに生産性低下シーケンスに入るように制御している。
【0008】
しかし、このような画像形成装置では、生産性低下シーケンスに入るか否かを判断する条件が、用紙の種類、使用環境、電源ONからの時間等である。このため、画像形成装置では、厚手の用紙を使用したり、寒冷な場所で使用する等の条件が重なると、生産性低下シーケンスに入る制御が頻繁に行われ、作業能率が低下するという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、生産性低下シーケンスへの移行回数を減少させ、作業能率の低下を抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、加熱処理により転写材上に画像を定着させる定着器と、前記定着器を加熱する定着加熱手段と、前記定着器へ搬入するため収納された前記転写材を加熱するよう配設された転写材加熱手段と、前記定着加熱手段へ供給する電力を制御する機能と、前記転写材加熱手段へ供給する電力を制御する機能と、を有する電力制御手段とを備え、前記電力制御手段は、前記定着加熱手段が定着温度に達した後に供給する電力を低減したことに対応して前記転写材加熱手段へ電力を供給することにより、前記転写材を加熱して前記定着器で定着を行う際の温度低下を低減させるよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置で画像形成を行う場合に、生産性低下シーケンスへの移行回数を減少させ、作業能率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機の全体構成を示す概略構成説明図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機における定着ユニットとその制御系の構成を取り出して示す概略構成説明図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機における定着ユニットへの供給電力とカセットヒータ制御との関係を示す説明線図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機における生産性低下シーケンス移行判断処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機におけるカセットヒータ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機におけるカセット選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る電子写真カラー複写機における各カセットに同一サイズの用紙が積載されている場合のカセット選択制御1の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る電子写真カラー複写機における各カセットに複数サイズの用紙が積載されている場合のカセット選択制御の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施の形態)
以下、本発明の画像形成装置の第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機について図1乃至図5を参照しながら説明する。本第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機は、本発明を好適に適用できる、複数の画像形成部を並列に配すると共に中間転写方式を採用したカラー画像出力装置として構成されている。
【0014】
図1の電子写真カラー複写機の全体構成を示す概略構成説明図で、1は、電子写真カラー複写機本体である。この電子写真カラー複写機本体1は、画像読取部1Rの下側に、画像出力部1Pを配置して構成されている。この画像読取部1Rは、原稿画像を光学的に読み取り、電気信号に変換して画像出力部1Pに送信する。
【0015】
この画像出力部1Pは、複数の、本実施例では4つ並設された画像形成部10(10a、10b、10c、10d)と、給紙ユニット20と、中間転写ユニット30と、定着ユニット40とを有する。さらに、この画像出力部1Pは、クリーニングユニット50と、フォトセンサ60と、制御ユニット70とを有する。
【0016】
次に、画像読取部1Rにおける個々のユニットについて詳しく説明する。
【0017】
この画像読取部1Rの各画像形成部10(10a、10b、10c、10d)は、それぞれ同様の構造を備える。各画像形成部10a〜10dでは、それぞれ第一の像担持体としてのドラム状の電子写真感光体である感光体ドラム11(11a、11b、11c、11d)が、矢印方向に回転駆動されるように装着されている。
【0018】
各感光体ドラム11a〜11dの外周面に対向して、その回転方向に向けて順に、一次帯電器12(12a、12b、12c、12d)、光学系13(13a、13b、13c、13d)が配置されている。これに続けて、折り返しミラー16(16a、16b、16c、16d)、現像装置14(14a、14b、14c、14d)及びクリーニング装置15(15a、15b、15c、15d)が配置されている。
【0019】
この一次帯電器12(12a、12b、12c、12d)は、それぞれ感光体ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量の電荷を与える。また、光学系13(13a、13b、13c、13d)は、それぞれ記録画像信号出力部1Rからの記録画像信号に応じて変調した、例えばレーザビーム等の光線を利用して露光処理を行う。この光学系13(13a、13b、13c、13d)では、記録画像信号に応じて変調した光線を、折り返しミラー16a〜16dを介して感光体ドラム11a〜11d上に照射して露光し、そこに静電潜像を形成する。
【0020】
各感光体ドラム11a〜11d上にそれぞれ形成された静電潜像は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックといった4色の現像剤(以下、「トナー」という)で各々現像する現像装置14a〜14dによって顕像化される。
【0021】
各感光体ドラム11a〜11d上で顕像化された可視画像は、画像転写領域Ta、Tb、Tc、Tdで中間転写ユニット30を構成する第二の像担持体としてのベルト状の中間転写体である中間転写ベルト31上に転写される。中間転写ユニット30については、後で詳述する。
【0022】
各感光体ドラム11a〜11dは、その表面に中間転写体に転写されずに残されたトナーが、画像転写領域Ta〜Tdの下流側に配置された各クリーニング装置15a、15b、15c、15dで掻き落とされて清掃される。
【0023】
この画像出力部1Pでは、上述したプロセスを繰り返すことにより、各色のトナーによる画像形成が順次行われる。
【0024】
また、この画像出力部1Pの内部には、給紙ユニット20が配置される。この給紙ユニット20は、転写材Pを収納するためのカセット21a、21b、21c、21dと、各カセット21a〜21dより転写材Pを一枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22a、22b、22c、22dを備える。
【0025】
さらに、この給紙ユニット20は、各ピックアップローラ22a〜22dから送り出された転写材Pを、定着ユニット40へ搬送する搬送路を構成するための給紙ローラ対23と、給紙ガイド24とを備える。この給紙ユニット20では、各カセット21a〜21dに接続され定着ユニット40へ至るそれぞれ距離の異なる搬送路が構成されることになる。
【0026】
この給紙ユニット20は、各画像形成部の画像形成タイミングに合わせて転写材Pを二次転写領域Teへ送り出すためのレジストローラ25を備える。これと共に、この給紙ユニット20は、各カセット21a〜21d内にある転写材Pを加熱可能に構成された転写材加熱手段であるカセットヒータ26a、26bを備える。
【0027】
次に、感光体ドラム11(11a、11b、11c、11d)で形成されたトナー像を、給紙ユニット20から供給された転写材P上に転写するための中間転写ユニット30について詳細に説明する。
【0028】
この中間転写ユニット30は、駆動ローラ32と、従動ローラ33と、二次転写対向ローラ34との間に張設巻回された中間転写ベルト31により構成される。この中間転写ベルト31は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)等で構成されている。また、駆動ローラ32は、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタン又はクロロプレン)をコーティングして、ベルトとのスリップを防ぐように構成されている。
【0029】
この駆動ローラ32は、DCブラシレスモータ(不図示)によって回転駆動されることにより、中間転写ベルト31に駆動力を伝達して、無限軌道状に移動させる。また、従動ローラ33は、中間転写ベルト31の回動に従動して回転しながら、ばね(図示せず)の付勢力によって中間転写ベルト31に適度なテンションを与えるテンションローラーとしての機能を備える。
【0030】
また、この中間転写ユニット30では、駆動ローラ32と従動ローラ33との間に巻き掛けられている中間転写ベルト31の部分が、一次転写平面Aとなるように構成されている。
【0031】
この中間転写ユニット30では、各感光体ドラム11a〜11dと中間転写ベルト31が対向する一次転写領域Ta〜Tdには、中間転写ベルト31の裏に一次転写用帯電器35(35a〜35d)が配置されている。
【0032】
一方、この中間転写ユニット30では、二次転写対向ローラ34に対向して二次転写ローラ36が配置され、これらの間に中間転写ベルト31と転写材Pとをニップして二次転写を行うための二次転写領域Teが形成されている。このため、二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31に対して適度な圧力で圧接するように構成されている。
【0033】
また、中間転写ベルト31の二次転写領域Teの下流には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニングユニット50が配置されている。このクリーニングユニット50は、中間転写ベルト31上のトナーを除去するためのクリーニングブレード51と、廃トナーを収納する廃トナーボックス52とを備えている。
【0034】
また、この画像出力部1Pでは、二次転写対向ローラ34及び二次転写ローラ36が配置された位置から、転写材Pの搬送方向下流側に、定着ユニット40が配置されている。
【0035】
この定着ユニット40は、定着ローラ403(407)に対して、加圧ローラ404(408)を圧接するように構成されている。この定着ユニット40には、これらローラ対403,404(407、408)のニップ部へ転写材Pを導くためのガイド43が配置されている。
【0036】
また、この画像出力部1Pには、定着ユニット40のローラ対403,404(407、408)から排出されてきた転写材Pを、装置外部に導き出すための内排紙ローラ44及び外排紙ローラ45が配置されている。
【0037】
さらに、この画像出力部1Pは、外排紙ローラ45で装置本体の外部に送出された転写材Pを載置する排紙トレイ48を備える。
【0038】
次に、この電子写真カラー複写機本体1における、定着器通紙時の温度低下を低減するための温調温度の制御系の要部について、図2を参照して説明する。
【0039】
この電子写真カラー複写機本体1は、定着器通紙時の温度低下を低減するための温調用の内部機器を制御するための電力制御手段である制御ユニット70を備える。この制御ユニット70は、図示しないが、CPU、レジストレーション補正回路や、モータドライバ部等を備える。
【0040】
電力制御手段である制御ユニット70は、図1にも示すように、加熱電源部80に制御信号を送信して駆動制御可能に構成されている。この加熱電源部80は、制御ユニット70からの制御信号に従って給紙ユニット20に記録紙411を加熱可能に配置された転写材加熱手段であるカセットヒータ26a、26bに供給する電力の供給量を制御して加熱動作を行わせる。
【0041】
また、電力制御手段である制御ユニット70は、定着電源415に制御信号を送信して駆動制御可能に構成されている。この定着電源415は、制御ユニット70からの制御信号に従って、定着ユニット40に圧接した状態での加熱処理を行うため配置された定着加熱手段である加熱装置412に供給する電力の供給量を制御して加熱動作を行わせる。
【0042】
制御ユニット70は、定着電源415を介して加熱装置412を制御する際に、定着ユニット40の温度検知のため配置した温度検知センサ414の検出値に応じて、定着器全体を所定の定着用温度に温調するよう構成されている。
【0043】
次に、定着ユニット40の詳細について、図2を参照して説明する。
【0044】
この定着ユニット40は、上下一対のベルト搬送機構の間に記録紙411を挟持して搬送しながら加熱及び加圧して、未定着のトナー画像を熱と圧力による加熱処理で記録紙411上(転写材上)に定着させるよう構成されている。
【0045】
この定着ユニット40の図2で上側のベルト搬送機構は、駆動用の定着ローラ403と、被動用の定着ローラ407との間に無端ベルトである定着用のベルト405を一定の張力が働くように掛け渡して構成されている。この駆動用の定着ローラ403は、駆動用のモータ401で回転駆動される。被動用の定着ローラ407は、巻き掛けられたベルト405にテンションを負荷すると共に、回動自由に支受されるよう装着されている。
【0046】
この定着ユニット40の図2で下側のベルト搬送機構は、駆動用の定着ローラ404と、被動用の定着ローラ408との間に無端ベルトである定着用のベルト406を一定の張力が働くように巻き掛けて構成されている。この駆動用の定着ローラ404は、駆動用のモータ402で回転駆動される。被動用の定着ローラ408は、巻き掛けられたベルト405にテンションを負荷すると共に、回動自由に支受されるよう装着されている。
【0047】
これらベルト405とベルト406とは、それぞれ金属(例えばNi)上にシリコーンゴムの表層を形成したもので構成されている。さらに、各加圧ローラ404、408は、それぞれモータ401、402で駆動しているが、ギア等を介してモータ等により駆動されるように構成してもよい。
【0048】
また、この定着ユニット40では、図2で上側のベルト搬送機構と、図2で下側のベルト搬送機構とが、ベルト405とベルト406とを相互に圧接させるように構成されている。このため、駆動用の定着ローラ403と駆動用の定着ローラ404とは、ベルト405及びベルト406を介して、相互に圧接する方向に付勢されるよう装着されている。これと共に、被動用の定着ローラ407と被動用の定着ローラ408とは、ベルト405及びベルト406を介して、相互に圧接する方向に付勢されるよう装着されている。
【0049】
また、この定着ユニット40では、モータ402とモータ401とが同期して、それぞれ図2の矢印の方向に回転駆動するよう制御する。
【0050】
これにより、図2で上側に当たる一方の駆動用の定着ローラ403と被動用の定着ローラ407とにベルト405を巻き掛けて構成されたベルト伝達機構が、駆動用の定着ローラ403の駆動力で図2の矢印の方向に回転駆動する。これと共に、図2で下側に当たる他方の駆動用の定着ローラ404と被動用の定着ローラ408とにベルト406を巻き掛けて構成されたベルト伝達機構が駆動用の定着ローラ404の駆動力で図2の矢印の方向に回転駆動する。
【0051】
このように構成した定着ユニット40では、ベルト405とベルト406とが圧接する部分が、同期して矢印A方向に移動する動作を行うことにより、これらの間に挟持した記録紙411を搬送する。
【0052】
また、この定着ユニット40では、駆動用の定着ローラ403及び404と被動用の定着ローラ407及び408との間におけるベルト405とベルト406とが圧接する部分に、加圧パット409と410とが配置されている。
【0053】
この定着ユニット40では、一方の加圧パット409がベルト405の内面に対向するように配置され、他方の加圧パット410がベルト406の内面に対向するように配置されている。このように配置された加圧パット409と410とは、ベルト405とベルト406とを介して相互に近接する方向に付勢されている。このように構成することにより、ベルト405とベルト406との間に挟持された記録紙411を、加圧パット409と410とによって、所定の付勢力で平面的に挟み付ける作用を奏する。
【0054】
また、この定着ユニット40では、定着ローラ407の上方に定着加熱手段である加熱装置412を配置して、ベルト405を局部的に加熱するように構成されている。この定着加熱手段である加熱装置412は、例えば電磁誘導加熱方式に構成されており、配置されたコイルに交流電流を流して磁場を発生させることで、導電性発熱体であるベルト405を自己発熱させる。この加熱装置412の加熱位置からベルト405の移動方向下流側には、ベルト405の表面温度を検出するように、例えばサーミスタで構成された温度検知センサ414を配置する。この温度検知センサ414で検知された検知温度は、制御ユニット70に送信される。
【0055】
この電力制御手段である制御ユニット70は、定着ユニット40を駆動してベルト405を周回動作させながら、定着電源415が加熱装置412へ供給する電力量を制御する。これにより、加熱装置412で加熱されたベルト405の部分が、これに直接的に接する定着ローラ407、駆動用の定着ローラ403、加圧パット409及びベルト406を加熱する。これと共に、加熱装置412で加熱されたベルト405の部分の熱エネルギは、ベルト406を介して接触する定着ローラ408、駆動用の定着ローラ404及び加圧パット410に伝導して加熱する。このようにして、加熱装置412がベルト405を部分的に加熱したことによる熱エネルギが定着ユニット40全体に伝導拡散する。そして、一定時間の経過後には、定着ユニット40全体が万遍無く加熱された所定の定着用温度に安定した温調状態となる。
【0056】
この制御ユニット70は、加熱装置412に対して、例えば電源投入直後の立上げ時(ウォームアップ時)に1200W、画像形成(プリント)時に900W、スタンバイ時に500Wの最大電力量を供給するよう制御する。この制御では、立上げ時の供給電力量を最も高くして低温時からできるだけ短時間で所定温度に達するようにし、スタンバイ中の供給電力量を低くして定着器の保温のみを行うように制御する。また、この制御ユニット70では、電力供給量を定着器の熱容量や画像形成速度等の条件によって変更する。
【0057】
また、定着ユニット40では、加熱装置412に対する安全装置として、サーモスイッチ413を、加熱装置412近くに位置するベルト405の内側に当接させて配置する。このサーモスイッチ413は、ベルト405との当接部の温度が例えば250℃を超えると、定着ユニット40への電力供給を遮断するよう構成されている。
【0058】
このように構成された定着ユニット40では、ベルト405とベルト406との間に未定着のトナー画像の載った記録紙411を挿入する。すると、未定着のトナー画像の載った記録紙411は、ベルト405とベルト406との間に挟持された状態で矢印A方向に移動しながら、トナー画像が圧接した状態での加熱処理により記録紙411(転写材上)に定着される。
【0059】
次に、図2に示すように構成された定着器である定着ユニット40の加熱装置412に供給する電力の制御について、図3を参照して説明する。この図3には、定着器の検知温度と定着器への供給電力の立上げ時(ウォームアップ)、スタンバイ、プリント動作の各状態での推移が示されている。
【0060】
この定着ユニット40を制御するための制御ユニット70は、温度検知センサ414の温度を検知しながら加熱装置412への電力量を制御する。すなわち、制御ユニット70は、定着ユニット40のウォームアップ中に、1200Wを常時加熱装置412に供給し、所定温度(例えば190℃)以上になるとスタンバイ状態に遷移させ、供給電力量を500Wまで落とす。
【0061】
また、この定着ユニット40では、プリント動作が始まると、記録紙が定着装置を通過する際に転写材に熱を奪われるので、定着ユニット40の温度が低下する。このため、制御ユニット70は、ベルト405及びベルト406の温度が所定温度(190℃)以下に下がったことを温度検知センサ414が検知すると、供給電力を900Wに上げる。その後、制御ユニット70は、定着器が所定温度以上になったら再度供給電力を500Wに下げるよう制御する。このように制御ユニット70は、温度検知センサ414が検知した検知温度に対応して供給電力を切り替えることで、定着ユニット40を所定温度に保つよう制御する。
【0062】
ここで、この定着ユニット40を備える電子写真カラー複写機では、電源コンセントから消費できる電流に上限がある。例えば日本の場合に、一般的なコンセントから得られる電流が15Aであるため、複写機全体では、消費できる上限の電力が決まってしまう。
【0063】
ここで、複写機全体で消費できる電力の上限が1500Wである場合には、ウォームアップ時にモータ401、402の駆動系等その他の電力に300Wを供給する必要があり、定着器に供給できる上限が1200Wに制限される。
【0064】
この複写機がスタンバイの時には、定着器に500W、その他の電力に300Wが消費されるので、700Wの余裕がある。
【0065】
この複写機がプリント時には、転写材の搬送等を行うために駆動するモータ類が増えるので、その他の消費電力が600Wに上昇する。さらにプリント時には、定着ユニット40の温度が所定温度以下になった時に定着ユニット40に900W供給するため、消費電力が上限の1500Wとなる。ここで、定着ユニット40の温度が所定温度以上になった時には、定着ユニット40に500Wだけ供給すれば良い。よって、この場合には、定着ユニット40の消費電力500W+その他の消費電力600Wだけ消費することになるので、消費電力の上限までに400Wの余裕が生じる。
【0066】
次に、上述した電子写真カラー複写機の動作について説明する。
【0067】
この電子写真カラー複写機では、ユーザが図示しない操作部を操作して、画像形成を行う指令を入力する。すると、この電子写真カラー複写機における指令信号を受信した図示しないCPUを備えた制御部は、画像形成動作開始信号を発して、選択された用紙サイズ等の指令に基づいて選択された給紙段から給紙動作を開始させる。
【0068】
ここで、制御部は、給紙動作を上段の給紙段から給紙するよう制御する場合に、図1に示すように、先ず、ピックアップローラ22aにより、カセット21aから転写材Pを一枚ずつ搬送路へ送り出させる。さらに制御部は、給紙ローラ対23を駆動し、転写材Pを、搬送路の給紙ガイド24の間を通すようにガイドさせて搬送する。そして、制御部は、転写材Pが、搬送路上をレジストローラ対25まで搬送され、転写材Pの先端が停止しているレジストローラ対25のニップ部に突き当る位置に至ったときに停止させるよう制御する。
【0069】
次に、制御部は、フォトセンサ60が中間転写ベルト31内に記されたマーク(不図示)を検知したタイミングで、画像形成部による画像形成の動作を開始させるよう制御する。これと共に、制御部は、マーク検知のタイミングに合わせてレジストローラ対25の回転を開始させる。この回転の開始時期は、転写材Pと画像形成部より中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー画像とが二次転写領域Teにおいて一致するように、タイミングが設定されている。なお、中間転写ベルト31には、複数のマークを配設しても良い。
【0070】
次に、制御部は、フォトセンサ60のマーク検知信号を受信すると、画像形成部に対して画像形成動作開始信号(ITOP)を発して、前述したプロセスにより感光体ドラム上にトナー画像を形成させる。次に、制御部は、中間転写ベルト31の回転方向上流側の感光体ドラム11d上に形成されたトナー画像を、一次転写用帯電器35dによって一次転写領域Tdにある中間転写ベルト31上に一次転写させる。
【0071】
次に、制御部は、一次転写されたトナー像を次の一次転写領域Tcまで搬送し、前のトナー画像の上にレジストを合わせて、次のトナー像を転写させる。なお、制御部は、各画像形成部を、中間転写ベルト31上に形成されたトナー像が搬送されて来るタイミングに合わせて画像形成処理を遅延して実行するよう制御する。
【0072】
制御部は、上述の動作工程を、残りの画像形成部で繰り返えすよう制御することにより、最終的に4色のトナー像を中間転写ベルト31上に一次転写させる。
【0073】
次に、制御部は、転写材Pを二次転写領域Teに搬送して中間転写ベルト31に接触させた状態とし、転写材Pの通過タイミングに合わせて二次転写ローラ36に高電圧を印加するよう制御する。これにより、中間転写ベルト31上に重ねて転写された4色のトナー画像は、転写材Pの表面に転写される。
【0074】
4色のトナー画像が転写された転写材Pは、前述のように、搬送ガイド43にガイドされて定着ユニット40へ搬入され、上側のローラ対403,407と、下側のローラ対404、408の間で搬送される。このとき、定着用のベルト405とベルト406との間に挟持された状態で熱及びニップの圧力が作用して、転写材P表面には、トナー画像が定着される。
【0075】
次に、制御部は、内外排紙ローラ44、45を駆動して、画像が形成された転写材Pを搬送し、機外に排出して排紙トレイ48上に積載させるよう制御する。なお、本実施の形態の電子写真カラー複写機では、装置全体の制御を司る制御部を設けているが、この制御部を図2に示す制御ユニット70として構成しても良い。
【0076】
次に、本第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機で実行される生産性低下シーケンスについて図4のフローチャートを参照して説明する。
【0077】
この電子写真カラー複写機では、ユーザが図示しない操作部等を操作して入力した複写動作命令又はプリント動作命令を制御部が受けると、生産性低下シーケンス移行判断処理が開始される。
【0078】
制御部は、プリント動作が開始すると、プリントの出力毎に、プリントの設定枚数が終了したかを判断し、終了していないと判断した場合(ステップS41でNO)に、ステップS42へ進む。
【0079】
次に、制御部は、その時点での定着ユニット40における定着温度が170℃以下かを判断し、170℃以下と判断した場合(ステップS42でYES)に、ステップS43に進み生産性低下シーケンスを開始する。
【0080】
この生産性低下シーケンスでは、定着器に供給する電力を上げることなく定着器の温度を所定温度に保つようにする。このため、制御部は、転写材の搬送間隔を開ける又は転写材の搬送速度を遅くするよう制御することで単位時間当りに定着器から転写材により奪われる熱量を低減させるよう制御する。制御部が生産性低下シーケンスを実行する場合には、プリント速度(生産性)が低下する。しかし、この場合には、定着器の温度が転写材にトナーを定着できる温度(本実施例では例えば170℃)を下回ることが無いようにできるので、トナーが未定着となることを防止できる。
【0081】
また、制御部は、ステップS42で、170℃以上と判断した場合に、ステップS41に戻る。そして、制御部は、ステップS41でプリントの設定枚数まで終了したと判断した場合(ステップS41でYES)に、本生産性低下シーケンス移行判断処理を終了する。
【0082】
次に、本第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機で実行されるカセットヒータの制御処理について図5のフローチャートを参照して説明する。
【0083】
本第1実施の形態に係る電子写真カラー複写機では、スタンバイ時又はプリント時の定着器が所定温度(190℃)以上のときに、定着器に供給する電力が500Wであるため、総消費電力が上限に達しない。従って、転写材加熱手段であるカセットヒータ26に電力を供給することができるので、このカセットヒータの制御処理を実行する。
【0084】
制御ユニット70は、スタンバイ時又はプリント時に、定着ユニット40への供給電力が500W以下かどうかを判断する。そして、制御ユニット70は、500W以下であると判断した場合(ステップS51でYES)に、カセットヒータをONとする(ステップS52)。また、制御ユニット70は、500W以下でないと判断した場合(ステップS51でNO)に、カセットヒータをOFFとする(ステップS53)。
【0085】
制御ユニット70がこのカセットヒータの制御処理を実行する場合には、電子写真カラー複写機の総消費電力が1500Wを超えることなく、プリント時にもカセットヒータへの電源供給が可能である。カセットヒータは、吸湿した転写材からの水分を除去するだけでなく転写材を暖めるため、プリント動作時に定着器から転写材が奪う熱量を減らせるので、生産性低下シーケンスに入ることを大きく低減し、生産性を向上することができる。
【0086】
(第2実施の形態)
次に、本発明の画像形成装置の第2実施の形態に係る電子写真カラー複写機について説明する。なお、本第2実施の形態では、前述した第1実施の形態で説明したものとの相違点について主に説明する。
【0087】
図1に示す電子写真カラー複写機において、給紙ユニット20内には、カセット21a〜21dが4段配設され、転写材加熱手段であるカセットヒータ26a、26bが2つ、それぞれ記録紙411を加熱可能に配設されている。この電子写真カラー複写機では、カセットヒータ26aがカセット21a、21bの2段分の記録材Pを暖め、カセットヒータ26bがカセット21c、21dの2段分の記録材Pをそれぞれ暖めるよう構成されている。
【0088】
なお、カセットヒータ26aは、カセット21aの上段に配置しカセット21a、21bを暖める構成の他に、カセット21aと21bの間又はカセット21bの下に配置する構成としても良い。さらに、各カセットに対応して各々カセットヒータを配置しても良い。
【0089】
このカセットヒータ26aが転写材Pを暖める効果は、近傍に設置されているカセット21aの方がカセット21bより高い。カセットヒータ26bが転写材Pを暖める効果も同様に、近傍に設置されているカセット21cの方がカセット21dよりも効果が大きい。
【0090】
この電子写真カラー複写機では、定着器の蓄熱状態が不十分な電源投入後プリント可能になってすぐに連続プリントする場合に、前述した第1実施の形態で説明した生産性低下シーケンスに入り易いという傾向がある。
【0091】
そこで、電源投入直後にプリントする場合には、カセット21a又は21cを優先的に選択し、暖まった記録材を使用することで、生産性低下シーケンスを低減するように制御することが望ましい。
【0092】
また、この電子写真カラー複写機では、転写材Pを定着器まで搬送するため、搬送路を構成する給紙ローラ対23と給紙ガイド24とを通過させる際に、転写材Pからカセットヒータで暖められた熱が奪われてしまう。これは、搬送経路の距離が長ければ長いほど奪われる熱量が大きくなる。よって、この電子写真カラー複写機では、最も長い搬送路に接続されたカセット21dから搬出された転写材Pの熱量が最も多く奪われることになる。
【0093】
そこで、この電子写真カラー複写機では、電源投入直後のプリント時に最も短い搬送路に接続されたカセット21aから給紙するよう制御することでカセットヒータにより転写材Pを暖める効果を最大限に活用することができる。
【0094】
次に、プリント動作を行うに当たって、カセットヒータにより転写材Pを暖める効果を最大限に活用するようにカセットを選択する処理の動作の手順について、図6のフローチャートを参照して説明する。なお、このプリント動作の前にカセット選択処理行う電子写真カラー複写機は、全てに同サイズの記録材Pが収納されているものとする。
【0095】
この電子写真カラー複写機では、ユーザが図示しない操作部等を操作して入力した複写動作命令又はプリント動作命令を制御部が受けると、カセットを選択する制御の実行の後、プリント処理が開始される。
【0096】
そして、制御部は、電源投入後所定時間(例えば30分)経過したかを判断し、経過したと判断した場合(ステップS61でYES)には、ステップS63に進み、カセット選択制御2のシーケンスに従ったカセット選択を行う。
【0097】
また、制御部は、電源投入後所定時間経過していないと判断した場合(ステップS61でNO)には、ステップS62に進み、カセットヒータの効果を有効に活用したカセット選択制御1のシーケンスに従ったカセット選択を行う。
【0098】
次に、制御部は、上述したように選択されたカセットに収納されている記録材Pを用いてプリントするプリント動作を開始し、このカセット選択処理を終了する。
【0099】
次に、上述したカセット選択処理で実行されるカセット選択制御1の処理の手順を図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0100】
このカセット選択制御1の処理が開始されると、制御部は、カセット21aに記録材があるかを判別し、記録材があれると判別した場合(ステップS71でYES)に、ステップS72に進む。そして、制御部は、カセット21aを選択して(ステップS72)カセット選択制御を終了する。
【0101】
また、制御部は、カセット21aに記録材がないと判別した場合(ステップS71でNO)には、ステップS73に進み、カセット21cに記録材があるかを判別する。そして、制御部は、記録材があると判別した場合(ステップS73でYES)に、ステップS74に進み、カセット21cを選択してカセット選択制御を終了する。また、制御部は、ステップS73でカセット21cに記録材がないと判断した場合(ステップS73でNO)には、ステップS75に進む。
【0102】
次に、制御部は、カセット21bに記録材があるかを判別し、記録材があると判別した場合(ステップS75でYES)に、ステップS76に進み、カセット21bを選択してカセット選択制御を終了する。また、カセット21bに記録材がないと判別した場合(ステップS75でNO)には、ステップS77に進む。
【0103】
次に、制御部は、カセット21dに記録材があるかを判別し、記録材があると判別した場合(ステップS77でYES)には、ステップS78に進み、カセット21dを選択してカセット選択制御を終了する。また、制御部は、カセット21dに記録材がないと判別した場合(ステップS77でNO)には、ステップS79に進む。
【0104】
次に、制御部は、全てのカセットに記録材がないので、図示しない操作部などに記録材がないことを伝える表示を行う(ステップS79)。その後、制御部は、ユーザがカセット21a〜21dの何れかに記録材Pが補充されるまで待機する(ステップS710でNO)。また、制御部は、カセット21a〜21dの何れかに記録材Pが補充されたと判別したとき(ステップS710でYES)に、ステップS71に戻る。
【0105】
上述したカセット選択制御1のシーケンスでは、カセットヒータの近傍にありかつ定着器への搬送パスが短い順にカセットが選択されるため、生産性低下シーケンスに移行することを低減することができる。
【0106】
次に、図6で説明したカセット選択処理で実行されるカセット選択制御2の処理について説明する。この図6におけるカセット選択制御2シーケンスは、カセットの上段から順に記録材を選択する、一般に汎用されている制御動作を行うもので、カセットヒータの効果を期待しないものである。
【0107】
次に、このプリント動作の前にカセット選択処理行う電子写真カラー複写機において、4段のカセット段に、例えばA3とA4の2種類の記録材Pが収納されている場合について説明する。この場合には、カセット21a、21bにA4の記録材Pを収納し、カセット21c、21dにA3の記録材Pを収納しておき、カセット選択制御を行う。
【0108】
この2種類の記録材Pが収納されている電子写真カラー複写機におけるカセット選択制御では、例えばA4で画像形成を行う場合に、図8のフローチャートに示す動作の手順でカセット選択制御の処理を行う。
【0109】
このカセット選択制御の処理は、ユーザが図示しない操作部等を操作して入力した複写動作命令又はプリント動作命令を制御部が受けると、カセットを選択する制御を伴うカセット選択処理が開始される。そして、制御部は、カセット21aに記録材があるかを判別し、記録材があると判別した場合(ステップS81でYES)には、ステップS82に進み、カセット21aを選択してカセット選択制御を終了する。また、制御部は、カセット21aに記録材がないと判別した場合(ステップS81でNO)には、ステップS83に進む。
【0110】
次に、制御部は、カセット21bに記録材があるかを判別し、記録材があると判別した場合(ステップS83でYES)には、ステップS84に進み、カセット21bを選択してカセット選択制御を終了する。また、制御部は、カセット21bに記録材がないと判別した場合(ステップS83でNO)には、ステップS85に進む。
【0111】
次に、制御部は、カセット21a、21bの両者にA4の記録材がないので、図示しない操作部などにA4の記録材がないことを伝える表示を行う(ステップS85)。その後、制御部は、ユーザがカセット21a、21bの何れかに記録材Pが補充されるまで待機する(ステップS86でNO)。また、制御部は、カセット21a、21bの何れかに記録材Pが補充されたと判別したとき(ステップS86でYES)に、ステップS81に戻る。
【0112】
以上説明したように、複数種類の記録材がカセットに収納されている場合でもカセットヒータの近傍にあるという条件と定着器への搬送パスが短いという条件を満たす順番にカセットを選択する制御を行う。これにより、複数種類の記録材Pが収納されている電子写真カラー複写機におけるカセット選択制御では、プリント処理の際に、生産性低下シーケンスへ移行することを低減し、作業能率の低下を抑制できる。
【0113】
なお、この電子写真カラー複写機において、カセット21c、21dにA3の記録材Pを収納しておき、A3の記録材Pで画像形成を行う場合も、前述したA4の記録材Pに対するカセット選択制御と同様の制御を行う。このように制御する場合には、前述のA4の記録材Pに対するカセット選択制御のときと同様の効果が得られる。
【0114】
要するに、本実施の形態に係る電子写真カラー複写機は、圧接加熱処理により転写材である記録紙411上に画像を定着させる定着器である定着ユニット40を備える。この定着ユニット40は、圧接加熱処理を実行するため、定着電源415から電力の供給を受ける、定着加熱手段としての加熱装置412を備える。
【0115】
また、この電子写真カラー複写機は、給紙ユニット20の複数段のカセット21a、21b、21c、21dにそれぞれ載置された記録紙411を余熱するため、転写材加熱手段であるカセットヒータ26a、26bを備える。
【0116】
また、この電子写真カラー複写機は、定着ユニット40及び給紙ユニット20等へ供給する電力を制御するための電力制御手段としての制御ユニット70を備える。この電力制御手段は、少なくとも、加熱装置412へ供給する電力を調整するため定着電源415を制御する機能と、カセットヒータ26a、26bへ供給する電力を調整するため加熱電源部80を制御する機能と、を備える。さらに、この電力制御手段は、電子写真カラー複写機全体の電力制御を司るように構成しても良い。
【0117】
このように構成された電子写真カラー複写機では、画像形成処理が開始されると、電力制御手段が、加熱装置412へ大きな電力を供給するよう制御して定着ユニット40を定着温度まで加熱する。この後、電力制御手段は、加熱装置412を一定の定着温度に保つため、加熱装置412へ供給する電力を低減させる。
【0118】
さらに、電力制御手段は、電力を低減させたため、この電子写真カラー複写機全体で消費できる上限の最大電力量までに余裕ができるので、この最大電力量までの余裕の範囲内の電力をカセットヒータへ供給するよう制御する。
【0119】
これにより、記録紙411を余熱してから定着ユニット40へ送り込むので、記録紙411が定着ユニット40から奪う熱量を低減できる。その結果、生産性低下シーケンスへの移行回数を減少させ、作業能率の低下を抑制できる画像形成装置を提供することができる。また、電力制御手段は、通常電源OFF又は低電力モード時のみカセットヒータをONにする。さらに、電力制御手段は、プリント中の定着ユニット40への供給電力が所定値以下の時にもカセットヒータをONにすれば、用紙の加熱時間をできる限り長くし、定着器通紙時の温度低下を低減できる。なお、電力制御手段は、電子写真カラー複写機全体で消費できる上限の最大電力量までに余裕がある場合には、その余裕の範囲内で何時でもカセットヒータをONにするよう制御しても良い。
【0120】
また、この電子写真カラー複写機では、定着ユニット40へ搬入される記録紙411の温度が高い方が定着ユニット40を冷やさないで済むことになる。そこで、この電子写真カラー複写機では、特に、定着ユニット40が定着温度に達してから定着ユニット40の全体が加熱されて定着用温度で安定した温調状態となるまでの間に画像形成を行う場合に、カセット選択制御を行う。このカセット選択制御では、カセットヒータ26a、26bで最も加熱されることになるカセットに収納された転写材を優先的に選択して給紙するように制御して定着器通紙時の温度低下を低減する。その結果、生産性低下シーケンスへの移行回数を減少させることができ、作業能率の低下を抑制可能な電子写真カラー複写機を提供することができる。
【0121】
また、この電子写真カラー複写機では、カセット選択制御手段が、最も短い搬送路が接続されたカセットを優先的に選択して記録紙411を給紙するように制御して定着器通紙時の温度低下を低減する。その結果、生産性低下シーケンスへの移行回数を減少させることができ、作業能率の低下を抑制可能な電子写真カラー複写機を提供することができる。
【符号の説明】
【0122】
40 定着ユニット
70 制御ユニット
26a、26b カセットヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱処理により転写材上に画像を定着させる定着器と、
前記定着器を加熱する定着加熱手段と、
前記定着器へ搬入するため収納された前記転写材を加熱するよう配設された転写材加熱手段と、
前記定着加熱手段へ供給する電力を制御する機能と、前記転写材加熱手段へ供給する電力を制御する機能と、を有する電力制御手段とを備え、
前記電力制御手段は、前記定着加熱手段が定着温度に達した後に供給する電力を低減したことに対応して前記転写材加熱手段へ電力を供給することにより、前記転写材を加熱して前記定着器で定着を行う際の温度低下を低減させるよう制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写材加熱手段は、複数のカセットに収納された前記転写材を加熱可能に配設され、
前記定着加熱手段が定着温度に達してから前記定着器の全体が加熱されて定着用温度に安定した温調状態となるまでの間に画像形成を行う場合に、前記転写材加熱手段で最も加熱されることになる前記カセットに収納された前記転写材を優先的に選択して給紙するように制御するカセット選択制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写材は、複数のカセットに収納されて前記転写材加熱手段で加熱されるよう配置し、
前記転写材を、前記複数のカセットからそれぞれ距離の異なる搬送路を通して前記定着器へ搬入するよう構成し、
前記定着加熱手段が定着温度に達してから前記定着器の全体が加熱されて定着用温度に安定した温調状態となるまでの間に画像形成を行う場合に、最も短い搬送路が接続された前記カセットを優先的に選択して前記転写材を給紙するように制御するカセット選択制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−150209(P2012−150209A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7751(P2011−7751)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】