説明

画像形成装置

【課題】新たな構成を付け加えることなく像担持体上の異物を研磨除去する。
【解決手段】感光体ドラム1と、帯電ローラ2と、帯電された感光体ドラム1に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを保持する現像ローラ5を備え静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置6と、像担持体表面に付着した不要トナーを除去するクリーニング部材8と、を備え、画像形成装置は、当該画像形成装置の非作像動作時に前記像担持体に付着した異物を除去する異物除去モードにすることができる。この異物除去モードにおいて、異物除去制御装置20は、前記現像手段の現像ローラ5より早く回転させ、現像剤磁気ブラシで感光体ドラム1の異物を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に係り、特に像担持体と、帯電手段と、潜像形成手段と、現像手段と、前記トナー像を転写部材に転写する転写手段とを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置における記録媒体への画像形成プロセスでは、光導電現象を利用して像担持体上に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成し、この静電潜像に着色した帯電微粒子(トナー)を静電力で付着させて可視像とする。
【0003】
ここで、像担持体に静電潜像を形成するとき、像担持体表面に帯電する必要があり、この像担持体への帯電は、一般的に帯電ローラや帯電チャージャを用いて、放電によって像担持体を均一に帯電することにより行う。
【0004】
しかし、この放電時に放電生成物が像担持体に付着することがある。放電生成物が付着すると、像担持体表面の抵抗が変化し異常画像が発生することがある。また、トナーには帯電性、流動性などを安定化するために数種類の添加剤が添加されている。この添加剤のほとんどは10〜150(nm)の非常に小さな微粒子であり、これらが凝集して像担持体に付着することもある。この場合も異常画像が発生することとなる。
【0005】
これらの問題を解決するために、研磨ブレードを用いて像担持体を研磨する技術が提案されている。特許文献1には、像担持体をクリーニングするクリーニング装置であって、トナーをクリーニングする第1のクリーニング部材と、像担持体に付着した異物を除去するための研磨剤を有する第2のクリーニング部材と、この第2のクリーニング部材を像担持体に接離させる接離手段とを有し、画像形成動作中に、接離手段によって第2のクリーニング部材を像担持体に当接させた状態とするものが記載されている。
【0006】
また、ブレード部材を用いることなく、像担持体表面上に微粒子を供給し、除去ブラシ部材を用いて微粒子とともに放電生成物を除去する技術も提案されている。特許文献2には、放電生成物除去モードとして、非画像形成時に微粒子であるトナーを微粒子供給手段としての現像装置から像担持体である感光体の表面に供給し、第1クリーニングブラシおよび第2クリーニングブラシ、第1回収ローラおよび第2回収ローラ、および第1ローラ電源回路および第2ローラ電源回路からなる静電クリーニング手段を用いて、感光体表面に供給されたトナーを感光体表面上から静電的クリーニングするものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のものにあっては、トナーをクリーニングするためのブレードと、異物を除去するためのブレードとを用いるため、部品数が増えコスト高になってしまう上、ブレード部材を2つ使用するので装置を小型化することができないという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献1および特許文献2に記載のものは、装置の部品数が増えると同時に複雑な制御が必要となり、コスト高となるほか、装置を小型化することができないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明では、新たな構成を付け加えることなく像担持体上の異物を研磨除去することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題解決する請求項1の発明は、像担持体と、この像担持体を帯電する帯電手段と、帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを保持する現像ローラを備え、前記静電潜像をトナー像として可視像化する現像手段と、像担持体表面に付着した不要トナーを除去するクリーニング手段と、を備える画像形成装置において、当該画像形成装置の非作像動作時に前記像担持体に付着した異物を除去する異物除去モードに設定可能であり、前記異物除去モードにおいて、前記現像手段の現像ローラを作像動作時と異なる回転速度で回転させる該異物除去制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
同じく請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記異物除去制御手段は、前記現像ローラの回転速度を作像動作時の回転速度よりも速い速度であり、かつ、像担持体の回転速度より速い速度で回転させることを特徴とする。
【0012】
同じく請求項3の発明は、請求項1および請求項2の画像形成装置において、異物除去制御手段は、前記クリーニング部材を像担持体から離間させることを特徴とする。
【0013】
同じく請求項4の発明は、請求項1から請求項3の画像形成装置において、前記帯電手段には常時交流電圧と直流電圧を重畳した電圧を印加しており、前記異物除去制御部は、異物除去時において、帯電手段に印加する交流電圧を通常の作像動作時に印加する交流電圧よりも低い値とすることを特徴とする。
【0014】
同じく請求項5の発明は、請求項1から請求項4の画像形成装置において、前記像担持体が有機化合物を主体とし、その表面にフィラーを分散させ表面を硬化させた有機光半導体(OPC)であることを特徴とする。
【0015】
同じく請求項6の発明は、請求項1から請求項4の画像形成装置において、前記像担持体がアモルファスシリコン感光体であることを特徴とする。
【0016】
同じく請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記帯電手段、前記現像手段、前記クリーニング手段、および前記像担持体を一体に構成し、画像形成装置本体に着脱可能としたプロセスカートリッジとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、像担持体を清掃するに際して、特別の部材を追加する必要がないので、部品点数の増加による信頼性の低下を防止できるほか、コスト上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の内部構造を示す模式図である。
【図2】同じく画像形成装置を示すブロック図である。
【図3】作像動作時における現像剤磁気ブラシと感光体ドラムの接触部の拡大図である。
【図4】実施例1に係る画像形成装置の異物除去モードにおける現像剤磁気ブラシと感光体ドラムの接触部の拡大図である。
【図5】実施例2に係る画像形成装置を示すブロック図である。
【図6】実施例3に係る画像形成装置の感光体ドラムの構成を示す断面図である。
【図7】実施例4に係る画像形成装置の感光体ドラムの構成を示す断面図である。
【図8】実施例5に係るプロセスカートリッジの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態に係る画像形成装置は、像担持体と、この像担持体を帯電する帯電手段と、帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを保持する現像ローラを備え、前記静電潜像をトナー像として可視像化する現像手段と、像担持体表面に付着した不要トナーを除去するクリーニング手段と、を備え、当該画像形成装置の非作像動作時に前記像担持体に付着した異物を除去する異物除去モードにすることができる。画像形成装置は、この異物除去モードにおいて、前記現像手段の現像ローラを作像動作時と異なる回転速度で回転させる異物除去制御手段を備え、現像剤磁気ブラシで感光体ドラムの異物を除去する。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例(以下では単に実施例と記載する)に係る画像形成装置について説明する。以下、いくつかの例を説明するが、本発明はこれらに限定されず、かつ本発明の真の趣旨および範囲から逸脱せずに、数多くの改良、変更、変形、置換をなすことおよび応用例を想到することが当業者には可能であろう。
【0021】
<実施例1>
以下実施例1に係る画像形成装置について説明する。図1は実施例1に係る画像形成装置内部の基本的構造を示す模式図である。この画像形成装置10は、像担持体としての感光体ドラム1を備えている。この感光体ドラム1は、図1中矢印A方向に速度Aで回転するものであり、アルミニウム基体の外周面に有機感光体からなる感光層を形成し、そのドラム表層をポリカーボネート製としたものである。
【0022】
感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ2と、帯電ローラをクリーニングする帯電ローラ清掃部材3と、潜像形成手段としての露光装置4と、現像手段としての現像ローラ5を有する現像装置6と、転写手段としての転写部材7と、感光体ドラム1をクリーニングするクリーニング部材8と、感光体ドラム1表面の残留電荷を除電する手段としての除電装置9とが配置されている。
【0023】
また、転写部材7で転写が行われる転写領域の下流側、すなわち印刷用紙などの記録材Pが搬送される記録材搬送方向(図中矢印のE方向)の下流側には、記録材P上のトナー像を定着させる定着手段としての定着装置(図示していない)が配置されている。
【0024】
帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電する。この帯電ローラ2は感光体ドラム1の表面に接触、または感光体ドラム1の表面と微小な空隙を空けて配置し、これに帯電バイアスを印加することによって感光体ドラム1表面を所望の極性および所望の電位に一様帯電する。帯電ローラ2は感光体ドラム1の回転A方向と順方向、すなわち図1中矢印B方向に回転する。
【0025】
帯電ローラ清掃部材3は、メラミン材質からなるローラ形状の部材で構成され、帯電ローラ2と接触するように配置される。帯電ローラ清掃部材3は、帯電ローラ2の回転B方向と順方向、すなわち図1中C方向に回転する。
【0026】
露光装置4は、帯電ローラ2によって帯電された感光体ドラム1の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成するものである。この露光装置4は、例えば、発光素子としてLD(Laser Diode)あるいはLED(Light Emitting Diode)を使用し、一様に帯電された感光体ドラム1表面に対して画像データに基づく光を照射することにより、その感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する。なお、露光装置4としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
【0027】
現像装置6は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行う。この現像装置6は、固定配置された磁界発生手段としてのマグネットローラを内部に有する現像剤担持体としての現像ローラ5を備えている。この現像ローラ5は、表面に現像剤を担持しながら回転することによって、現像剤を感光体ドラム1と対向する現像領域へ搬送する。実施例1では、現像剤としてトナーとキャリアからなる2成分現像剤を用い、マグネットローラの磁力により現像領域でキャリアを穂立ちさせてブラシ状にして現像を行う磁気ブラシ現像方式を採用している。
【0028】
現像ローラ5には、現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ5表面の電位と感光体ドラム1表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、現像剤中のトナーが静電潜像へ付着する。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像がトナー像になる。
【0029】
転写部材7は、感光体ドラム1上のトナー像を、図中矢印E方向に搬送されてくる記録材P上へ転写する。この転写部材7は、転写ローラ等の転写部材を感光体ドラム1の表面に所定の押圧力で接触させ、転写部材7と感光体ドラム1との間に転写ニップを形成する。そして、この転写ニップで記録材Pを挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材に印加することによって形成される転写電界により、感光体ドラム1表面上のトナー像を記録材P上へ転写する。
【0030】
なお、転写部材としては、例えば弾性体からなる転写ローラや転写ベルトを用いることができる。さらに、直接記録材Pに転写せず、複数のトナー像を重ねてから記録材Pに転写を行う中間転写ベルトを用いることができる。このようにしてトナー像が転写された記録材Pは、前記定着装置へ搬送され、ここでトナー像が定着された後、機外へ排出される。
【0031】
クリーニング部材8は、転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーを感光体ドラム1の表面から除去する。実施例1では、クリーニング部材8としては、感光体ドラム1表面上の転写残トナーを掻き取って除去するためのクリーニングブレード部材を用いている。クリーニングブレード部材はポリウレタンのブレード部材を金属支持体に貼り付けたものを用い、感光体ドラム1との当接方法は感光体ドラム1の回転方向Aに対してカウンタ方向に接触させる。
【0032】
除電装置9は、感光体ドラム1表面の残留電荷を除去する。残留電荷が除去された感光体ドラム1の表面は、次の画像形成に寄与することになる。なお、この除電装置9は、LEDなどを用いた光除電方式を採用しているが、これに限られるものではない。
【0033】
実施例1に係る画像形成装置10では、非作像動作時に、感光体ドラム1から異物を除去するための異物除去モードとすることができる。図2は実施例1に係る画像形成装置を示すブロック図である。実施例1に係る画像形成装置10では、この異物除去モードにおいて動作する異物除去制御手段としての異物除去制御装置20を備えている。この異物除去制御装置20は、通常画像形成装置に配置されている制御部に新たな制御プログラムを搭載して実行することにより実現される。異物除去制御装置20は、画像形成装置10は外部からの指示により、画像形成装置10が異物除去モードになったとき、駆動モータ制御装置22を制御して現像ローラ5の回転速度を変更する。
【0034】
ここで、感光体ドラム1表面の異物としては、帯電ローラ2により感光体ドラム1を放電により帯電するときに発生する放電生成物、クリーニング部材8により転写残トナーを除去するときにトナーの添加剤凝集体を感光体ドラム1に固着させてしまうものなどがある。
【0035】
実施例1に係る画像形成装置10では、異物除去制御装置20は、異物除去モードにおいて、現像ローラ5の回転速度を通常の作像動作時の回転速度よりも上げ、感光体ドラム1表面の異物除去効率を上げる。
【0036】
現像ローラ5による感光体ドラム1表面の異物除去は、現像ローラ5に担持している現像剤磁気ブラシを利用する。現像剤磁気ブラシは酸化鉄を加工したキャリア13とトナー14を均一に混ぜたもので、現像ローラ5内部の磁石により穂立ちした状態となっている。通常はトナーを感光体ドラム1の潜像に付着させることを目的としているが、キャリア13の影響で研磨力が非常に大きい。
【0037】
通常の作像動作時は感光体ドラム1の回転速度Aと現像ローラ5の回転速度Dはほぼ等速の関係にあるため、現像剤磁気ブラシが感光体ドラム1を摺擦するような力がはたらかないため感光体ドラム1を研磨することはない。
【0038】
画像形成装置10では、異物除去モードにおいて、両者の間に速度差をつけ、現像ローラ5の回転速度を感光体ドラム1の回転速度よりも速くすることにより、現像剤磁気ブラシが感光体ドラム1に接触し、研磨する。
【0039】
画像形成装置10において、通常の作像動作は帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電という一連のプロセスを行うが、非作像時では、帯電、除電のみが行われている状態である。また、転写部材7とクリーニング部材8は異物除去制御装置20の制御により、感光体ドラム1から離れている(図2中矢印G、H)。
【0040】
現像ローラ5は作像時と同様に回転し電圧が印加されるが、露光を行わないので感光体ドラム1を帯電しても潜像が形成されず、トナーが感光体ドラム1に現像されることはない。したがって、画像形成装置10では、この条件下で現像ローラ5上の現像剤磁気ブラシを用いて感光体ドラム1に付着した異物を除去する。
【0041】
異物除去制御装置20は、現像ローラ5の駆動モータ21の駆動を行う駆動モータ制御装置22を制御して、駆動モータ21の回転を制御して現像ローラの回転速度を作像時における現像ローラ5の回転速度Dより早いD’とする。このとき、クリーニング部材8は感光体ドラム1から離間している。この状態で、現像ローラ5は通常の作像時よりも回転速度が上がっているので、現像剤磁気ブラシが感光体ドラム1を激しく摺擦することになり、感光体ドラム1の表面を研磨することができる。
【0042】
図3は作像動作時における現像剤磁気ブラシと感光体ドラムの接触部の拡大図である。上述したように現像剤はキャリア13とトナー14により構成され、現像ローラ5内部の磁石により磁気ブラシ状になって感光体ドラム1と接触している。
【0043】
作像時、つまり感光体ドラム1に現像ローラ5でトナーを付着させるときは、感光体ドラム1と現像ローラの回転速度はほぼ等速(A≒D)となっている。このため、現像剤磁気ブラシが感光体ドラム1と接する領域が小さく、接する回数が少なくなり感光体ドラム1を研磨する能力は小さい。
【0044】
図4は非作像時の異物除去モード時の現像剤磁気ブラシと感光体ドラム1の接触部拡大図である。現像ローラ5は回転速度D’で通常の作像時の回転速度Dよりも速く、かつ感光体ドラム1の回転速度Aよりも速く回転している。このため、現像剤磁気ブラシが感光体ドラム1と接する領域が大きく、接する回数が多くなり感光体ドラム1を研磨する能力は大きくなり、感光体ドラム1表面を削りやすい状態となる。
【0045】
次に実施例2について説明する。図5は実施例2に係る画像形成装置を示すブロック図である。実施例2に係る画像形成装置では、現像ローラ5の速度を上げると共に、さらに、帯電ローラ2に印加する交流電圧を通常の作像動作時に印加する交流電圧よりも低い値とする。なお、画像形成装置40の基本的構造は、実施例1に係る画像形成装置10と同じである。
【0046】
実施例2に係る画像形成装置40においては、AC電源24で帯電ローラ2に交流電圧と直流電圧を重畳した電圧を印加することによって感光体ドラム1を帯電している。放電生成物が発生しやすい条件は、直流電圧が大きいときに発生することがわかっている。作像時は放電不足による異常画像を発生させないために、感光体ドラム1を帯電するのに必要な電圧(電流)よりもやや高い電圧を印加している。そのため放電生成物が感光体ドラム1に付着しやすい状態となっている。したがって。非作像時は異常画像の問題を伴わないため、放電が不足しても許容できる低い直流電圧を帯電手段に印加してもよい。
【0047】
そのため、実施例2に係る画像形成装置40では、異物除去制御装置20は、前述した現像ローラ5の回転制御を行うほか、帯電ローラ2に交流電圧を加えるAC電源24の電圧を制御するAC電源制御装置25に接続されて、AC電源制御装置25の作動を制御する。
【0048】
ここで、帯電ローラ2に加えられる電圧、特に放電に影響する交流電圧は、非作像時であるため感光体ドラム1を均一に帯電する必要はないため低い電圧を印加する。これは異物除去モードに交流電圧を小さくすることにより感光体ドラム1への放電生成物付着を抑制するためである。
【0049】
したがって、感光体ドラム1の異物を除去する状態になったときは、転写部材7、クリーニング部材8が感光体ドラム1から離れ、感光体ドラム1が回転すると同時に帯電ローラ2に電源から作像時よりも低い交流電圧が印加される。このとき直流電圧は作像時と同じ電圧を印加する。感光体ドラム1の回転速度は作像時と同じ速度とし、現像ローラ5の回転速度は作像時よりも速い回転速度D’’で回転駆動する。なお、現像ローラ5には図示していないが電源が接続してあり、作像時と同じ電圧が印加される。
【0050】
このような条件下で、感光体ドラム1と現像ローラ5を一定の時間駆動させることによって現像剤磁気ブラシが感光体ドラム1表面の異物を効率よく除去することができる。なお、異物除去を行うタイミングは、ある一定枚数の画像を出力したときに実行する。あるいは感光体ドラム1の駆動時間を記録しておき、ある一定の駆動時間で実行してもよい。
【0051】
<実施例3>
次に実施例3に係る画像形成装置について説明する。実施例3に係る画像形成装置は、その感光体ドラム1を有機光半導体(OPC)としたものである。図6は実施例3に係る画像形成装置の感光体ドラムの構成を示す断面図である。実施例3に係る画像形成装置の感光体ドラム1は、有機化合物を主体とするOPCであって、その表面にフィラーを分散させ表面を硬化させたものである。すなわち、感光体ドラム1は、アルミニウム基板31(1mm)の上に下引き層32(3〜5μm)、電荷発生層33(0.2〜0.4μm)、電荷輸送層34(15〜20μm)、フィラー分散電荷輸送層35(4.5±0.5μm)を備えて構成されている。
【0052】
実施例3に係る画像形成装置では、感光体ドラム1の表面を硬くすることにより、異物の除去を行いつつ繰り返し使用しても、劣化がほとんど認められず、長寿命となり、画像形成装置を長期にわたって安定して使用することができる。
【0053】
<実施例4>
次に実施例4について説明する。感光体ドラム1としては、前述したOPC(有機光半導体)感光体のほかに、導電性支持体を50℃〜400℃に加熱し、支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を有するアモルファスシリコン感光体(以下、「a−Si系感光体」と称する。)を用いることができる。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして用いられている。
【0054】
図7は実施例4に係る画像形成装置の感光体ドラムの構成を示す断面図である。図7(a)に示す電子写真用感光体500は、支持体501の上a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502が設けられている。図7(b)に示す電子写真用感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503とから構成されている。図7(c)に示す電子写真用感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504とから構成されている。図7(d)に示す電子写真用感光体500は、支持体501の上に、光導電層502が設けられている。光導電層502はa−Si:H,Xからなる電荷発生層505ならびに電荷輸送層506とからなり、その上にアモルファスシリコン系表面層503が設けられている。
【0055】
アモルファスシリコン感光体の支持体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
【0056】
支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体を形成し得るように適宜決定するが、画像形成装置用感光体としての可撓性が要求される場合には、支持体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10(μm)以上とされる。
【0057】
これらのアモルファスシリコン感光体には、必要に応じて導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止するはたらのある電荷注入阻止層を設けるのがいっそう効果的である(図7(c))。すなわち、電荷注入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能が発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0058】
電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、および経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5(μm)、より好ましくは0.3〜4(μm)、最適には0.5〜3(μm)とされるのが望ましい。
【0059】
光導電層は必要に応じて下引き層上に形成され、光導電層502の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1〜100(μm)、より好ましくは20〜50(μm)、最適には23〜45(μm)とされるのが望ましい。
【0060】
電荷輸送層は、光導電層を機能分離した場合の電荷を輸送する機能を主として奏する層である。この電荷輸送層は、その構成要素として少なくともシリコン原子と炭素原子とフッ素原子とを含み、必要であれば水素原子、酸素原子を含むa−Si(H、F、O)からなり、所望の光導電特性、特に電荷保持特性,電荷発生特性および電荷輸送特性を有する。本発明においては酸素原子を含有することが特に好ましい。
【0061】
電荷輸送層の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果などの点から適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層については、好ましくは5〜50(μm)、より好ましくは10〜40(μm)、最適には20〜30(μm)とされるのが望ましい。
【0062】
電荷発生層は、光導電層を機能分離した場合の電荷を発生する機能を主として奏する層である。この電荷発生層は、構成要素として少なくともシリコン原子を含み、実質的に炭素原子を含まず、必要であれば水素原子を含むa−Si:Hからなり、所望の光導電特性、特に電荷発生特性,電荷輸送特性を有する。
【0063】
電荷発生層の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは0.5〜15(μm)、より好ましくは1〜10(μm)、最適には1〜5(μm)とされる。
【0064】
感光体ドラム1に用いることができるアモルファスシリコン感光体には必要に応じて、上述のようにして支持体上に形成された光導電層の上に、さらに表面層を設けることができ、アモルファスシリコン系の表面層を形成することが好ましい。この表面層は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
【0065】
実施例3における表面層の層厚としては、通常0.01〜3(μm)、好適には0.05〜2(μm)、最適には0.1〜1(μm)とされるのが望ましいものである。層厚が0.01(μm)よりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3(μm)を超えると残留電位の増加等の電子写真特性低下がみられる。
【0066】
上述したように、感光体ドラム1をアモルファスシリコン感光体とすることによって、表面硬度が高く、半導体レーザ(770〜800nm)などの長波長光に高い感度を示し、しかも繰り返し使用による劣化もほとんど認められず、長寿命となり、画像形成装置を長期にわたって安定して使用することができる。
【0067】
<実施例5>
次に実施例5について説明する。実施例5は感光体ドラム1、帯電ローラ2、露光装置4、クリーニング部材8を一体として、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジとしたものである。図8は実施例5に係るプロセスカートリッジの構成を示す模式図である。プロセスカートリッジ50は、ケース51内に像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1を帯電するための帯電ローラ2と、感光体ドラム1にトナーを現像する現像装置6と、感光体ドラム1に残留するトナーを除去するためのクリーニング部材8とを配置し、画像形成装置に一体として着脱できるようにしている。
【0068】
実施例5に係る、プロセスカートリッジ50を使用すると、画像形成装置への交換等が容易となり、利便性が向上する。
【符号の説明】
【0069】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電ローラ(帯電手段)
3 帯電ローラ清掃部材
4 露光装置(潜像形成手段)
5 現像ローラ
6 現像装置(現像手段)
7 転写部材
8 クリーニング部材(クリーニング手段)
9 除電装置
10 画像形成装置
13 キャリア
14 トナー
20 異物除去制御装置(異物除去制御手段)
21 駆動モータ
22 駆動モータ制御装置
24 AC電源
25 AC電源制御装置
31 アルミニウム基板
32 下引き層
33 電荷発生層
34 電荷輸送層
35 フィラー分散電荷輸送層
50 プロセスカートリッジ
51 ケース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2009−237062号公報
【特許文献2】特開2007−248525号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、この像担持体を帯電する帯電手段と、帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを保持する現像ローラを備え、前記静電潜像をトナー像として可視像化する現像手段と、像担持体表面に付着した不要トナーを除去するクリーニング手段と、を備える画像形成装置において、
当該画像形成装置の非作像動作時に前記像担持体に付着した異物を除去する異物除去モードに設定可能であり、
前記異物除去モードにおいて、前記現像手段の現像ローラを作像動作時と異なる回転速度で回転させる該異物除去制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記異物除去制御手段は、前記現像ローラの回転速度を作像動作時の回転速度よりも速い速度であり、かつ、像担持体の回転速度より速い速度で回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2の画像形成装置において、
異物除去制御手段は、前記クリーニング部材を像担持体から離間させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の画像形成装置において、
前記帯電手段には常時交流電圧と直流電圧を重畳した電圧を印加しており、
前記異物除去制御部は、異物除去時において、帯電手段に印加する交流電圧を通常の作像動作時に印加する交流電圧よりも低い値とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の画像形成装置において、
前記像担持体が有機化合物を主体とし、その表面にフィラーを分散させ表面を硬化させた有機光半導体(OPC)であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4の画像形成装置において、
前記像担持体がアモルファスシリコン感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記帯電手段、前記現像手段、前記クリーニング手段、および前記像担持体を一体に構成し、画像形成装置本体に着脱可能としたプロセスカートリッジとしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−159811(P2012−159811A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21393(P2011−21393)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】